遊戯王Trumpfkarte   作:ブレイドJ

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大変長らくお待たせ致しました。
1度書いたデュエル描写が気に入らず書き直してたらこんなに日にちが過ぎてました、本当に申し訳ないです。
今回は基本的に遊騎視点でお送りし、最初に少しだけ第三者視点、最後に遊花視点でお送りします。
それでは、第二章、闇より出でしゲーム、開幕です。


二章 闇より出でしゲーム
第52話 侵食する夜霧


 

 

 

「クソッ、また勝てなかった………」

 

夜が深まる頃。

 

ケルンの一角で、1人の男がぶつぶつと悪態をつきながら、人がいない夜道を月明りを頼りに歩いていた。

 

「アイツがいなければ優勝できたハズなのに、あの野郎、いつもいつも邪魔ばかりしやがって………クソッ‼︎」

 

男の悪態の向く先は、行き着けの店で行われた大会の決勝で戦った同じその店の常連の決闘者。

 

男が溜息を吐きながら月を見上げると、見上げた月には雲がかかり始め、月明りが隠されていく。

 

「………はぁ、こんなこと言っても仕方ないか。次こそは絶対にアイツを叩き潰してーーー」

 

「へぇーお兄さん、いい心の闇を持ってるねー」

 

「………は?」

 

ふと、男の耳に透き通った少女のような声が聞こえた。

 

男が声が聞こえた方向を見ると、近くの路地裏に人影が見えた。

 

しかし、雲がかかり、月明りが隠されてしまった夜道では、路地裏の闇の中にいる人影の顔は見えなかった。

 

その人影は、感情がこもっていない笑い声をあげると男に語りかける。

 

「ふふふ、ようやくちょうど良さそうな決闘者が見つかったかな?お兄さん、喜ぶといいよ。私が貴方に魔法のカードをあげる。これがあれば、貴方の望みは叶う」

 

「は?何を言ってーーー」

 

「だから、思う存分………その心の闇を解放してね( ・・・・・・・・・・・)

 

その言葉と共に、人影から男に何かが投げつけられ、男は反射的にそれを受け止める。

 

男が受け止めた何かに視線をやると、そこにあったのは1枚のカード。

 

男がカードを認識した、その瞬間ーーー

 

「っ⁉︎ぐあぁぁぁぁぁぁあああああああ‼︎」

 

カードから黒い何かが放たれ、その何かは男の身体を呑み込んでいき、男の意識を急激に薄れさせていく。

 

男が絶叫をあげる中、人影は少し残念そうな声を出す。

 

「うーん、ハズレかーなかなか適合するプレイヤーを見つけるのって難しいなぁ………まあいいや。これはこれでゲームに使えそうだし」

 

そう人影が呟くと、男を呑み込んでいた黒い何かが男の身体に納まっていき、男がその場で倒れ伏す。

 

それを見て、人影は雲が流れはじめた空を見上げ、再び感情がこもっていない笑い声をあげると、男に背を向けた。

 

「ふふふ。それじゃあ、ゲームスタートだよ。思う存分、心の闇の赴くままに暴れてね」

 

雲が流れ、再び月が顔を出すと、まるで初めからそこには何もなかったかのように、人影が消える。

 

後に残ったのは、夜道に倒れ伏せ、身体から微細な闇が溢れ出している男だけだった。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「ーーーーお…て……さい」

 

誰かの声が遠くで聞こえる。

 

自分がまだ深い眠りの中にいるのが分かる。

 

「うぅ………し……う……く…き……と……く…て…まい…す」

 

心地よい揺れに優しい声。

 

誰だろう?

 

ダメだ、頭がうまく回らない。

 

「ゆ…か………ど…?」

 

「あ………や……ん…い……と………」

 

「………た……せて」

 

遠くで先程まで聞こえていた声とはまた別の声が聞こえ、その声の主が近づいてくる気配がする。

 

「あ……そ…はあ…な……じゃ………」

 

「ゆ…きな…大丈夫………10………9………8………7………6………」

 

しばらくすると、その声の主は俺の耳元でカウントを始める。

 

一体何を数えて………

 

「5………4………3………2………1………0」

 

声の主が0を告げた瞬間、背筋に走る強烈な悪寒。

 

俺はその感覚に従って、勢いよく布団から転がり出る。

 

そして布団から転がり出た瞬間に、耳に響いてくる鈍い音。

 

先程まで俺がいた布団に目をやると、俺の枕に突き刺さっていたのは、裁定などについて書かれている分厚いデュエルモンスターズのルールブックだった。

 

「おはよ………遊騎」

 

「………ああ、おはよう、闇」

 

布団から転がり出た俺を見て、何かを手放した体勢で柔らかな笑みを浮かべている闇が目に入る。

 

俺は何とか挨拶を返しながら、頭を抑えながら闇に質問をする。

 

「闇………これは何だ?」

 

「ん………ルールブック」

 

「違う。俺が聞きたいのは凶器が何かではなく、それを使用した動機だ」

 

「遊騎が出勤時間が近づいてきてるのになかなか起きてこないから起こそうと思ったから?」

 

「何故に疑問形?そして危うく永眠するところだったぞ」

 

「大丈夫。遊騎なら避けてくれるから」

 

「………期待が重すぎる」

 

可愛らしく首を傾げる闇に俺は思わずため息が溢れる。

 

確かに起きてこなかった俺が悪いのだが、この起こし方はあんまりではないだろうか?

 

そんな俺に、申し訳なさそうに声をかけてくるのはこの部屋にいたもう1人の人物。

 

「す、すみません、師匠………闇先パイを止められなくて………」

 

「いや、遊花は悪くないさ。元はといえば起きれなかった俺が悪いしな。ありがとな、起こそうとしてくれて」

 

「あ………はい。えへへ」

 

申し訳なさそうに謝ってくる遊花に感謝の意を込めて頭を撫でると、遊花は嬉しそうに表情を緩ませる。

 

そんな遊花を横目に俺は部屋の時計に目をやる。

 

現在の時刻は朝の7時半を回ったところだった。

 

確かにこれは結構急がないと仕事に間に合わなそうだな。

 

「取り敢えず、着替えるからリビングで待っててくれ」

 

「はい‼︎闇先パイ、いきましょう」

 

「ん、待ってるね」

 

そういって、遊花と闇が部屋を出ていく。

 

そんな2人を見送りながら、俺は思わず苦笑を浮かべる。

 

「………この日常にもすっかり慣れちまったな。とにかく、急いで着替えるか」

 

すっかり遊花達との生活に慣れてしまった自分に苦笑しながら、俺は着替えはじめるのだった。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「それじゃあ、そろそろ行くとするかな」

 

「ん、私も出る」

 

「あ、少し待ってください‼︎」

 

リビングでの朝食を終え、仕事があるという闇と共に玄関に向かうと、遊花が足早にキッチンに移動し、小さな包みを2つ持って戻ってくると、俺達にその包みを差し出す。

 

「これ、お弁当です。今日もお仕事頑張ってくださいね、師匠、闇先パイ」

 

「………いつもすまないな。ありがたくいただくよ」

 

「ありがとう、遊花。遊花のお弁当、いつも美味しいから好き。遊花はいいお嫁さんになれる」

 

「い、いいお嫁さんになれるだなんて………そんなことないですよぅ………」

 

闇の言葉に遊花は顔を真っ赤にして照れる。

 

俺も遊花ならいいお嫁さんになれると思うが、言ったら遊花は余計に照れそうだ。

 

ここは余計なことは言わない方がいいだろう。

 

「遊花は今日はどう過ごすんだ?今日でデュエルアカデミアの夏休みも終わりだろ?」

 

今日は8月31日。

 

夏も終わりを告げ、学生達は再び学校に行き出す頃合いだ。

 

遊花と初めて出会ったのが7月の初め頃だったことを考えると、もう2ヶ月も経ったのかと、この2ヶ月の内に起こった様々な出来事を思い返すと何だか感慨深くなる。

 

そんな風に何となくこの2ヶ月のことを思い返していると、遊花は困ったような表情を浮かべた。

 

「本当は、夏休み最後の日なので、桜ちゃんと何処かに買い物に行こうかなって思ってたんですけど、桜ちゃん、夏休みの宿題がまだ終わってないみたいで………」

 

「へぇ、学生の頃にはよくある話ではあるが、桜ができてないのは意外だな」

 

「同感。桜は宿題はきっちり終わらせてるタイプだと思ってた」

 

意外な事実に驚いた表情を浮かべる俺達に、遊花は苦笑を浮かべながら頰を掻く。

 

「桜ちゃん、ああ見えて勉強は苦手な方なんです。テスト前になるといつも私がテスト勉強を手伝ってあげてますから。だから、今日も私が夏休みの宿題を手伝ってあげるんです」

 

「そうなのか。そういえば遊花は座学の成績も良かったしな」

 

「遊花は本当に優秀。それはそれとして、だから桜は今日起きてくるのが遅いの?夜中まで宿題をしてたとか?」

 

「あーそうじゃなくて、多分普通に寝坊だと思います。桜ちゃん、朝弱いから………」

 

「………人って見かけによらないよな」

 

「桜………なんて残念な子」

 

「あ、あはは………」

 

俺達は残念なものを見る目で未だに眠っているだろう桜がいる2階に視線をやると、遊花も目を逸らして誤魔化すように笑う。

 

………うん、これは流石にフォローできんぞ。

 

「………まあいい。とりあえず、そろそろ出ないと不味いから行くとするよ」

 

「はい、お帰りは何時ぐらいになりますか?」

 

「特に用事もないからな………いつも通り19時ぐらいには帰れると思う」

 

「私も今日は大した仕事じゃないから、19時までには帰ってくるね」

 

「そうですか………分かりました。師匠、闇先パイ、いってらっしゃいです‼︎」

 

「ああ、いってきます」

 

「ん、いってくる」

 

笑顔の遊花に見送られ、俺達は玄関を出る。

 

「………ふふっ」

 

「?闇、どうかしたのか?」

 

玄関のドアが閉まり、遊花の姿が見えなくなったところで闇が笑みを漏らし、珍しく思った俺は思わず闇に尋ねる。

 

そんな俺に、闇は可笑しそうに笑いながら首を振る。

 

「ううん、ただ、こうやって遊花に見送られるのもすっかり日常になったなって、少し可笑しく思っただけ」

 

「はは、確かにな。その気持ちは俺にも分かるよ」

 

闇の言葉に、俺も思わず笑みを浮かべてしまう。

 

2ヶ月前までは仕事を無くし、住んでいた場所からも追い出され、他人から蔑まれる毎日を過ごしていたというのに、今はこんな俺の弟子になりたいと言ってくれた子と、友人達と一緒に暮らしているというのは、何とも奇妙な出来事で………本当に、人生何が起こるか分からないとはよく言ったものだと思う。

 

「ん………でも、悪いことじゃない。遊花達はいい子だし、遊騎も一緒にいてくれる。だから、私は幸せ」

 

「………ああ、そうだな。俺も闇や遊花達がいるこの日常が好きだぜ」

 

「むふー………嬉しい」

 

そういって、闇の頭をぽんぽんと軽く叩くと、闇が心から満足そうな笑みを浮かべる。

 

そんな満足気な闇に苦笑しながらも、何気無い幸せを噛み締めながら、俺達はそれぞれの仕事に向かうのだった。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「ふぅ、やっぱりまだ暑いな」

 

午前中に公園で行える掃除が一区切りつき、近くにあるコインロッカーから荷物を取り出してベンチで遊花が作った弁当を食べながら、近くの自動販売機で買ったスポーツ飲料を飲んで一息つく。

 

世間では夏休みが終わる頃だというのに、まだ太陽は燦々と輝き、俺の体力を奪っていく。

 

この感じだとまだしばらくの間はこの暑さが続きそうだ。

 

この暑さのせいか公園にも人は疎らで、人影などほとんどない。

 

現在公園にいるのはランニングをしている男性と母親と思われる女性と砂場で遊んでいる子供ぐらいだ。

 

まぁ、こんな暑い日にわざわざ公園にくる人間なんてそうはいないよな。

 

「………ん?」

 

そんなことを考えていると、どこからか視線を感じた。

 

俺は思わず視線を感じた方向を見るが、そこには公園に植えてある木があるだけで、人影はない。

 

「………気のせいか?」

 

俺は首を傾げながら再び弁当を食べ進めるが、しばらくすると再び視線を感じはじめる。

 

俺は顔を大きく動かさず視線だけを、視線を感じた方向に向けるが、やはりそこには木があるだけで人影はない。

 

「………」

 

俺は奇妙な感覚に思わず顔をしかめ、弁当をベンチの上に置き、その木に近づいて木の後ろや木の上を覗き込む。

 

しかし、やはりそこに人の姿はない。

 

「………何なんだよ一体………」

 

俺は頭を掻きながら、自分が座っていたベンチに戻っていく。

 

すると………

 

「んん⁉︎」

 

ベンチに戻ると、ベンチの上に置いてあった弁当の中身が明らかに減っていた。

 

おかずが少し減っており、まだほとんど食べていなかったご飯は半分程消えている。

 

そして再び木の方から感じる視線。

 

「………狐につままれている気分だ」

 

俺はため息を吐きながら昼食を再開した。

 

視線に関してはこちらを直接害そうとしているわけでないのでもう無視だ。

 

こんなことでせっかく遊花が作ってくれた弁当を無駄にするのはいただけない。

 

その後、弁当を食べ終わり仕事を再開してからも何度か視線を感じたが、視線を向けてくる何者かが姿を現わすことはなかった。

 

そして俺が仕事を終え、近くのロッカーに預けていた荷物を取りに行ってから公園に戻ると、ずっと感じていた視線が無くなっていた。

 

「はぁ………本当に、何なんだよ一体………」

 

俺は思わずため息を吐いてしまう。

 

誰が見ていたのかは結局分からなかったが、どうやら俺を見ていた人間はもういなくなっているようだ。

 

何が目的だったのかは分からないが、観察するだけして何も仕掛けてこなかったことに、何とも言えないモヤモヤとした感覚がする。

 

いや、勿論何か仕掛けてこられても困るのだが、こなかったらこなかったで後々何か面倒事になりそうなので、それならば今仕掛けてこられた方がマシだ。

 

「辺りも暗くなってきたしな………」

 

すでに8月も最終日。

 

まだ夏のような暑さが残っているとはいえ、もう日暮れは早くなってきており、空はすっかり夜の闇に覆われている。

 

出来れば早く帰りたいところだが、俺が気づいていないだけで視線の主がまだいるなら遊花達の身にまで危険を及ぼしてしまうかも知れないと思うと、下手に動きたくない。

 

「………いっそのこと闇でも呼んで一緒に帰るか?」

 

闇ならヴェルズ達という強力なボディーガードがいる分、俺よりも頼りになりそうだし、この状況をどうにかする術もありそうだ。

 

そんな冗談じみたことを考えながら、自身の携帯端末を取り出したところで、俺は目を見開いた。

 

「は?圏外?」

 

取り出した携帯端末を見ると、街中にある公園にいるハズなのに端末に圏外という文字が浮かんでいた。

 

俺はそのことを訝しみ、改めて辺りを見渡し異変に気付く。

 

「この暗さ………夜の闇じゃない」

 

辺りは確かに暗くなっているが、よく見ると風に流されて何かが漂っており、その何かが視界を暗く染めていた。

 

「これは………煙………いや、霧か?」

 

視界を暗く染めていた何かに触れて見ると、腕に少し水滴がつく。

 

………これは前言を撤回する必要がありそうだな。

 

「すでに仕掛けられてたわけか………しかも、凄く面倒臭い相手みたいだな」

 

この2ヶ月の間に俺も様々な経験をしたため、こんな異常現象が起こっていれば流石に自分がどんな状況にいるかが分かる。

 

これは………異世界で経験したのと同じような体験だ。

 

「うわぁぁぁぁぁ‼︎」

 

「っ⁉︎何だ⁉︎」

 

異世界での経験を思い返している最中に、耳を劈くような悲鳴が聞こえ、俺の近くに何かが吹き飛ばされてくる。

 

俺が思わずそちらを見ると、そこには身体中が傷だらけになった男性が横たわっていた。

 

俺は慌ててその男性に近づいていく。

 

「おい‼︎大丈夫か⁉︎何があった⁉︎」

 

「わ………わからない………友人とデュエルをしてる時に………急に霧が出てきて………霧が………霧が襲ってきて………」

 

「っ‼︎おい、しっかりしろ‼︎」

 

そこまで言ったところで、男性が意識を失って倒れこむ。

 

これは、思ってた以上にヤバい状況になっているみたいだな。

 

とりあえず、この男性をどこかにーーー

 

「ククク、見つけたぞ」

 

「っ‼︎」

 

声が聞こえてきた方向を見ると、そこには1人の男が立っていた。

 

黒髪のツイストヘアーのその男はどこにでもいる一般人に見える。

 

ただ、おかしい点があるとすれば、身体から黒い霧を噴き出させ、狂気に満ちた瞳で笑っているところだ。

 

そしてこの男が身体から発している霧からする気配には覚えがある。

 

「………お前がこの異常現象の原因か」

 

「ネズミが紛れ込んでいたか………まあいい。誰だろうとジャマする奴は全員叩き潰してやればいいんだ‼︎今のオレにはその力があるんだからな‼︎」

 

「………思ってた以上に会話が繋がらないな」

 

血走った目でデュエルディスクを起動する男に俺は頭を抱えたくなりながらも、デュエルディスクを起動する。

 

どの道、この霧をどうにかするには霧の発生源であるコイツを倒さないといけないみたいだし、視界が遮られて逃げられない以上、やるしかない。

 

「いいぜ、やってやる。ただし、叩き潰されるのはお前の方だがな」

 

「オレが最強になるために、ジャマする奴は誰だろうと叩き潰す‼︎」

 

『決闘‼︎』

 

 

遊騎 LP8000

 

黒霧男 LP8000

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「ククク、先攻はオレだ。オレはモンスターをセット。カードを2枚伏せてターンエンドだ‼︎」

 

 

遊騎 LP8000 手札5

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー◼︎ーー

ーー▲▲ー ー

 

黒霧男 LP8000 手札2

 

 

「俺のターン、ドロー‼︎」

 

俺はドローしたカードを横目に身体から黒い霧を噴き出させ狂ったように笑う怪しげな男を見る。

 

先程俺の前でボロボロになり意識を失った男性を見る限り、この男とのデュエルは前に俺が戦ったあの黒ずくめのヘンテコヘルメット野郎の時のようにモンスターの攻撃が実体化している可能性が高い。

 

ならば、相手の準備が整い、攻撃を受ける前にさっさと決着をつける‼︎

 

「相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚することができる。来い、H・C( ヒロイックチャレンジャー)強襲のハルベルト‼︎」

 

 

〈H・C 強襲のハルベルト〉☆4 戦士族 地属性

ATK1800

 

 

俺の前に現れたのはハルバードを持った紫の鎧を纏った戦士。

 

「さらに来い、クィーンズナイト‼︎」

 

 

〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性

ATK1500

 

 

ハルベルトの隣に赤い鎧を身に纏った女性の騎士が現れる。

 

「バトル‼︎H・C 強襲のハルベルトでセットモンスターを攻撃‼︎」

 

「ククク、セットモンスターはおジャマブルーだ」

 

 

〈おジャマブルー〉☆2 獣族 光属性

DEF1000

 

 

姿を現したのは縦長い顔を持つ青い人型のモンスター。

 

おジャマデッキか………なかなか厄介なデッキだ。

 

これは余計に早く終わらさないと面倒なことになりそうだ。

 

「H・C 強襲のハルベルトの効果、このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える‼︎」

 

「何っ⁉︎」

 

「貫け、ライトニングハルバード‼︎」

 

ハルベルドは雷を纏ったハルバードでおジャマブルーを貫いた。

 

 

黒霧男 LP8000→7200

 

 

「クッ………」

 

「よし、H・C 強襲のハルベルトの効果発動‼︎このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時にデッキからヒロイックカードを手札に加える‼︎」

 

「‼︎やってくれるな。なら、オレはおジャマブルーの効果発動‼︎このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、デッキからおジャマカード2枚を手札に加える‼︎オレはデッキからおジャマジックとおジャマカントリーを手札に加える‼︎」

 

「面倒なカードが入ったな。だが、こちらもH・C 強襲のハルベルトの効果でデッキからH・C( ヒロイックチャレンジャー)ダブルランスを手札に加える。そしてこれでお前のフィールドは空いた‼︎クィーンズナイトでダイレクトアタック‼︎クィーンズスラッシュ‼︎」

 

「グッ‼︎」

 

クィーンズナイトが男に斬りかかり、男が鬱陶しそうな声を出す。

 

 

黒霧男 LP7200→5700

 

 

「まだだ‼︎速攻魔法発動‼︎ライバルアライバル‼︎自分・相手のバトルフェイズに発動でき、モンスター1体を召喚する‼︎」

 

「何⁉︎」

 

「来い、キングスナイト‼︎」

 

 

〈キングスナイト〉☆4 戦士族 光属性

ATK1600

 

 

クィーンズナイトの横に並び立ったのは黄金の鎧を身に纏った騎士。

 

そしてクィーンズナイトとキングスナイトはお互いに剣を掲げて更なる騎士を呼ぶ。

 

「キングスナイトの効果発動‼︎自分フィールドにクィーンズナイトが存在し、このカードを召喚に成功した時、デッキからジャックスナイト1体を特殊召喚する‼︎集え、絵札の三銃士‼︎来い、ジャックスナイト‼︎」

 

 

〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性

ATK1900

 

 

クィーンズナイトとキングスナイトの剣に合わせるように剣を掲げる青い鎧の騎士が現れる。

 

それを見て、男は目を見開く。

 

「バトルフェイズ中にモンスターを展開してくるだと⁉︎」

 

「バトルフェイズ中の召喚により2体共攻撃する権利が残っている‼︎行け‼︎キングスナイトでダイレクトアタック‼︎キングススラッシュ‼︎」

 

「チッ‼︎」

 

 

黒霧男 LP5700→4100

 

 

「追撃だ‼︎ジャックスナイトでダイレクトアタック‼︎ジャックススラッシュ‼︎」

 

「ググッ‼︎」

 

 

黒霧男 LP4100→2200

 

 

キングスナイトとジャックスナイトが交差するように男に斬りかかり、男のライフは一気に削れる。

 

これでライフポイントとしてはこちらが有利になった。

 

このまま早めに決着をつけてやる。

 

「メインフェイズ2‼︎斬り開け‼︎運命に抗うサーキット‼︎」

 

「リンク召喚か………」

 

俺が正面に手を前に突き出すと、目の前に巨大なサーキットが現れる。

 

「召喚条件は戦士族モンスター2体‼︎俺はクィーンズナイトとキングスナイトの2体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎追想に生きる王女‼︎リンク2‼︎聖騎士の追想 イゾルデ‼︎」

 

 

〈聖騎士の追想 イゾルデ〉LINK 2 戦士族 光属性

ATK1600 ↙︎ ↘︎

 

 

クィーンズナイトとキングスナイトの2体がサーキットの中に消えると代わりに現れたのは金髪と白髪の2人の女性。

 

「聖騎士の追想 イゾルデの効果発動‼︎リンクレカレクション‼︎リンク召喚に成功した時、デッキから戦士族モンスター1体を手札に加える。ただし、このターン、自分はこの効果で手札に加えたモンスター及びその同名モンスターを通常召喚・特殊召喚できず、そのモンスター効果も発動できない。俺はデッキからH・C( ヒロイックチャレンジャー)サウザンドブレードを手札に加える‼︎これだけじゃ終わらない‼︎聖騎士の追想 イゾルデの更なる効果発動‼︎メモリーズギフト‼︎デッキから装備魔法カードを任意の数だけ墓地へ送り、墓地へ送ったカードの数と同じレベルの戦士族モンスター1体をデッキから特殊召喚する‼︎俺はデッキから妖刀竹光、ビッグバンシュート、最強の盾、閃光の双剣-トライス、孤毒の剣を墓地に送り、デッキから2体目のジャックスナイトを特殊召喚‼︎」

 

 

〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性

ATK1900

 

 

「墓地に送られた妖刀竹光の効果発動。デッキから妖刀竹光以外の竹光カードを手札に加える。俺はデッキから黄金色の竹光を手札に加える。俺は光属性レベル5のジャックスナイト2体でオーバーレイ‼︎2体の光属性モンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」

 

2体のジャックスナイトが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けると空から純白の鎧を見に纏った戦士が降りてくる。

 

「星々を守りし光の戦士‼︎セイクリッドプレアデス‼︎」

 

 

〈セイクリッドプレアデス〉★5 戦士族 光属性

ATK2500

 

「セイクリッドプレアデスの効果発動‼︎ゾディアックリターン‼︎オーバーレイユニットを1つ使い、1ターンに1度、相手のカード1枚を手札に戻す‼︎この効果は相手ターンでも使用することが出来る‼︎俺はお前のセットカード1枚を手札に戻す‼︎」

 

「っ、ならばリバースカードオープン‼︎永続罠、おジャマパーティ‼︎」

 

「使ってこなかったから条件を満たしていないのかと思ったが、使わなかっただけか」

 

「自分・相手のメインフェイズに、デッキからおジャマカード1枚を手札に加え、その後手札を1枚選んで捨てる‼︎オレはおジャマレッドを手札に加え、手札を1枚捨てる」

 

プレアデスが放つ星の弾丸がおジャマパーティを吹き飛ばして男の手札に戻す。

 

「そして今手札から捨てられたおジャマジックの効果発動‼︎このカードが手札・フィールドから墓地へ送られた場合、デッキからおジャマグリーン、おジャマイエロー、おジャマブラックを1体ずつ手札に加える‼︎」

 

「一気に手札が増えたな………」

 

男の手札におジャマモンスターが一気に加わり、結果的にはプレアデスの効果による手札戻しも悪手になってしまった。

 

これは面倒なことになったかもな。

 

「俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

 

 

遊騎 LP8000 手札4

 

ーーーーー ー

ーーー○○

ー ☆

ーーーーー

ーーー▲ー ー

 

黒霧男 LP2200 手札8

 

 

 

「好き勝手してくれやがって、テメェは絶対に叩き潰す‼︎オレのターン、ドロー‼︎速攻魔法、手札断殺‼︎お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送り、その後、それぞれデッキから2枚ドローする‼︎」

 

「手札交換か………」

 

「ククク、いいものを引いたぞ。まずはフィールド魔法、おジャマカントリーを発動‼︎」

 

男がカードを発動させると、辺りの景色がおジャマ達が生息している集落に変わる。

 

「オレはおジャマレッドを召喚‼︎」

 

 

〈おジャマレッド〉☆2 獣族 光属性

ATK0

 

 

姿を現したのは丸顔の赤い人型のモンスター。

 

「おジャマレッドの効果発動‼︎このカードが召喚に成功した時、手札からおジャマと名のついたモンスターを4体まで自分フィールド上に攻撃表示で特殊召喚する事ができる‼︎現れろ、おジャマグリーン、おジャマイエロー、おジャマブラック‼︎」

 

 

〈おジャマグリーン〉☆2 獣族 光属性

ATK0

 

 

〈おジャマイエロー〉☆2 獣族 光属性

ATK0

 

 

〈おジャマブラック〉☆2 獣族 光属性

ATK0

 

 

レッドに導かれフィールドに現れる3体のおジャマ達。

 

………この状況は少しマズイ。

 

おジャマ達にはあの3体が揃うことで使用できる必殺技がある。

 

そして発動されたおジャマカントリーには手札を捨てることで墓地に存在するおジャマモンスターを蘇生する効果がある。

 

そして厄介なのがその蘇生は手札から捨てたモンスターでも可能だと言うこと。

 

プレアデスでおジャマ達を戻してもあまり意味はない。

 

「フィールド魔法、おジャマカントリーの効果。自分フィールド上におジャマと名のついたモンスターが表側表示で存在する限り、フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの元々の攻撃力・守備力を入れ替える」

 

 

おジャマレッド

ATK0→1000

 

 

おジャマグリーン

ATK0→1000

 

 

おジャマイエロー

ATK0→1000

 

おジャマブラック

ATK0→1000

 

 

セイクリッドプレアデス

ATK2500→1500

 

 

H・C 強襲のハルベルト

ATK1800→200

 

 

フィールドにいたモンスター達の攻守が逆転する。

 

これがおジャマデッキの厄介なところだ。

 

俺のデッキには高い攻撃力を持つ代わりに低い守備力を持っているモンスターが結構いる。

 

そういうモンスター達が現状ではかなり不利になってしまうのだ。

 

そして男はニヤリと怪しい笑みを浮かべながら恐れていたカードを発動する。

 

「そして、魔法カード、おジャマデルタハリケーン‼︎自分フィールド上におジャマグリーン、おジャマイエロー、おジャマブラックが表側表示で存在する場合、相手フィールド上に存在するカードを全て破壊する‼︎」

 

「っ、やっぱりあったか‼︎なら、チェーンしてリバースカードオープン‼︎罠発動‼︎ダメージダイエット‼︎このターン自分が受ける全てのダメージは半分になる‼︎」

 

「チッ、そんなカードを仕掛けていたか………」

 

「さらにチェーンしてセイクリッドプレアデスの効果発動‼︎ゾディアックリターン‼︎オーバーレイユニットを1つ使い、H・C 強襲のハルベルトを手札に戻す‼︎」

 

「‼︎」

 

プレアデスが放つ星の弾丸が空間に穴を開け、その穴を潜り抜けてハルベルトが俺の手札に戻ってくる。

 

これで次のターンの展開も少しは楽になる。

 

「だがキサマの残りのカードは全て破壊させて貰うぞ‼︎」

 

おジャマ3兄弟がおしくらまんじゅうのように互いのお尻をくっつけ合い、そのまま猛烈な勢いで円を描くよう高速回転して輪を作り、俺のフィールドのカードを囲んで大爆発を起こして吹き飛ばす。

 

これで俺のフィールドはガラ空きになった。

 

これは流石にマズイな………

 

「さあここからが本番だ‼︎跪け‼︎全てを蹴散らすサーキット‼︎」

 

「リンク召喚か………」

 

男の前に巨大なサーキットが現れる。

 

「召喚条件はおジャマモンスターを含む獣族モンスター3体‼︎オレはおジャマグリーン、おジャマイエロー、おジャマブラックをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎リンク3‼︎おジャマエンペラー‼︎」

 

 

〈おジャマエンペラー〉LINK3 獣族 光属性

ATK0 ↙︎↓↘︎

 

 

おジャマ3兄弟がサーキットに吸い込まれ、代わりに現れたのは玉座に座っている紫色のおジャマモンスター。

 

「おジャマエンペラーの永続効果、エンペラーアソラティー‼︎フィールドゾーンにおジャマカントリーが存在する場合、このカードは攻撃力が3000ポイントアップし、効果では破壊されない‼︎」

 

「っ、この状況で攻撃力3000か………」

 

 

おジャマエンペラー

ATK0→3000

 

 

「さらにオレはおジャマカントリーの効果発動‼︎1ターンに1度、手札からおジャマと名のついたカード1枚を墓地へ送る事で、自分の墓地に存在するおジャマと名のついたモンスター1体を特殊召喚する‼︎オレは手札のおジャマパーティーを捨てて墓地より蘇れ、おジャマブルー‼︎」

 

 

〈おジャマブルー〉☆2 獣族 光属性

ATK0→1000

 

 

再びフィールドに現れるおジャマブルー。

 

そして男は正面に手をかざす。

 

「オレはレベル2のおジャマレッドとおジャマブルーでオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」

 

「次はエクシーズ召喚か………」

 

おジャマレッドとおジャマブルーが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けると現れたのは筋骨隆々な岩石の戦士。

 

「現れろ‼︎ガチガチガンテツ‼︎」

 

 

〈ガチガチガンテツ〉★2 岩石族 地属性

ATK500→1800

 

 

「ガチガチガンテツの永続効果、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、

自分フィールド上のモンスターの攻撃力・守備力は、このカードのオーバーレイユニットの数×200ポイントアップする」

 

 

おジャマエンペラー

ATK3000→3400

 

 

ガチガチガンテツ

ATK1800→2200

 

 

「攻撃力3400………」

 

「まだだ‼︎魔法カード、トライワイトゾーン‼︎自分の墓地に存在するレベル2以下の通常モンスター3体を選択して選択したモンスターを墓地から特殊召喚する‼︎蘇れ、おジャマグリーン、おジャマイエロー、おジャマブラック‼︎」

 

 

〈おジャマグリーン〉☆2 獣族 光属性

ATK0→1000→1400

 

 

〈おジャマイエロー〉☆2 獣族 光属性

ATK0→1000→1400

 

 

〈おジャマブラック〉☆2 獣族 光属性

ATK0→1000→1400

 

 

再びフィールドに現れるおジャマ3兄弟。

 

これは結構なダメージになりそうだな。

 

「バトルだ‼︎おジャマイエローでダイレクトアタック‼︎イントゥルージャンパンチ‼︎」

 

「くっ‼︎」

 

 

遊騎 LP8000→7300

 

 

「次だ‼︎おジャマブラックでダイレクトアタック‼︎イントゥルージャンキック‼︎」

 

「っ………」

 

 

遊騎 LP7300→6600

 

 

「まだまだ‼︎おジャマグリーンでダイレクトアタック‼︎イントゥルージャンタックル‼︎」

 

「うっ………」

 

 

遊騎 LP6600→5900

 

 

おジャマ3兄弟が俺の身体を殴り、蹴り、タックルをかまし、身体に軽い痛みが走る。

 

クソッ、やっぱりダメージが実体化してるのか。

 

今のは攻撃力が低いおジャマ3兄弟の攻撃だったからまだ良かったが、これは攻撃を受けすぎるのもマズイな。

 

「ククク、痛そうだな?まだ攻撃は終わっていないぞ?ガチガチガンテツでダイレクトアタック‼︎ガチガチブロー‼︎」

 

「がっ‼︎」

 

遊騎 LP5900→4800

 

 

ガンテツの重い拳が身体に入り、俺の身体は吹き飛ばされる。

 

………咄嗟に後ろに飛んで衝撃を殺せたから良かったものの、まともに入ったらあれだけでも洒落にならない。

 

そしてまだ1番攻撃力が高いモンスターの攻撃が残っている。

 

「ククク、次はもっと痛いぞ?おジャマエンペラーでダイレクトアタック‼︎イントゥルージャンアーミー‼︎」

 

「ぐうっ‼︎」

 

 

遊騎 LP4800→3100

 

 

おジャマエンペラーが片手をあげると、おジャマエンペラーの周りにおジャマナイトの軍隊が現れ、それぞれが手に持った盾でシールドアタックをかまして消えていった。

 

「だが、戦闘ダメージを受けた時、H・Cサウザンドブレードの効果発動‼︎このカードが墓地に存在し、戦闘・効果で自分がダメージを受けた時、このカードを墓地から攻撃表示で特殊召喚する‼︎」

 

 

〈H・C サウザンドブレード〉☆4 戦士族 地属性

ATK1300→1100

 

 

俺のフィールドに頭巾を被り、背中に何本もの刀を背負った戦士が姿を現わす。

 

おジャマデルタハリケーンがある可能性を考えてさっきの手札断殺で捨てていたのが役に立ったな。

 

これで次のターンに繋げることができる。

 

「ククク………ようやく出番だな」

 

「っ‼︎」

 

そんな風に考えた俺を見て、男はニヤリと笑う。

 

そして男が笑うのと同時に男の周りを漂っていた黒い霧が集まりはじめ、俺の身体を悪寒が駆け抜ける。

 

この感覚………来る‼︎

 

「さあ、キサマに耐えられるかな?オレの攻撃を‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎ワンダーエクシーズ‼︎その効果により自分フィールド上のモンスターでエクシーズ召喚を行う‼︎」

 

「っ‼︎ここでエクシーズ召喚か‼︎」

 

「オレはレベル2のおジャマグリーン、おジャマイエロー、おジャマブラックでオーバーレイ‼︎3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」

 

おジャマ3兄弟が光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けると、そこに現れたのは白い鉤爪を持ち胴体に牙を持つ獰猛なる悪魔、悪意の霧。

 

「悪意により生み出されし禁呪の霧よ‼︎後悔と絶望を呑み込み具現せよ‼︎現れろ‼︎No.96ブラックミスト‼︎」

 

 

〈No.96ブラックミスト〉★2 悪魔族 闇属性

ATK100→500

 

 

「No.………やっぱり闇のカードか‼︎」

 

現れたブラックミストを見て、霧から感じていた気配が確信に変わる。

 

No.という名前がついているなら間違いなく俺が所持しているカードと同じで闇のカードだろう。

 

そして男の雰囲気が妙なことにもこれで説明がつく。

 

前に闇に聞いた話だと、闇のカードは使用者の意思を好戦的にしたり破壊衝動を生み出したり、身体を乗っ取ろうとしたりするらしい。

 

恐らくこの男は闇のカードに適合できずに負の衝動を増幅されているか身体を乗っ取られているパターンなのだろう。

 

何にせよ、本体が出てきたということは、ここが正念場になりそうだな。

 

「バトル‼︎No.96ブラックミストでH・C サウザンドブレードを攻撃‼︎」

 

ブラックミストが身体を黒い霧に変え、サウザンドブレードに迫る。

 

「攻撃力が低いモンスターで攻撃………ってことは………」

 

「No.96ブラックミストの効果発動‼︎リグレットガルプ‼︎このカードが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に1度、オーバーレイユニットを1つ取り除き、その相手モンスターの攻撃力を半分にし、このカードの攻撃力はその数値分アップする‼︎」

 

「っ‼︎攻撃力を吸収するモンスター⁉︎」

 

霧になったブラックミストがサウザンドブレードの身体に纏わりつき、サウザンドブレードの身体から力を奪い去り、サウザンドブレードが膝をつく。

 

 

No.96ブラックミスト

ATK500→1050

 

 

H・C サウザンドブレード

ATK1100→550

 

 

「喰らい尽くせ、No.96ブラックミスト‼︎ディスペアシンク‼︎」

 

膝をついたサウザンドブレードの頭上に霧が集まってブラックミストが姿を現し、胴体にある口から闇の波動を放ち、サウザンドブレードを呑み込み、爆散させた。

 

「ぐっ‼︎」

 

 

遊騎 LP3100→2550

 

 

爆風により飛び散ったコンクリート片が俺の身体を襲う。

 

直接当たっていなくてこの衝撃。

 

ダイレクトアタックなんて受けたらその時点で意識だけでなく、身体も失うことになるだろう。

 

………コイツは少しばかりヤバいな。

 

「オレはカードを1枚伏せてターンエンドだ‼︎次のターンで決着をつけてやるよ‼︎」

 

 

遊騎 LP2550 手札5

 

ーーーーー ー

ーーーーー

☆ ー

○○ーーー

ーー▲ーー ▽

 

黒霧男 LP2200 手札0

 

 

男ーーーブラックミストはニヤニヤとした怪しい笑みを浮かべて俺を見る。

 

あれだけ自信満々といった表情を浮かべているということは余程自分のフィールドに自信があるのだろう。

 

だけど、そんな男の表情を見ても不思議と全然負ける気はしなかった。

 

こう言っては何だが、この程度の相手に負けるなら、俺は遊花と出会ったこの2ヶ月の間で死んでいるだろう。

 

そう思える程、遊花と出会ってから、この2ヶ月の間にした経験は、しっかりと俺の中に残っている。

 

「俺のターン、ドロー‼」

 

カードをドローした瞬間、俺のEXデッキが黒く光る。

 

………使えって言ってるんだよな。

 

確かに、相手は闇のカード。

 

そして今の手札で奴を倒すなら、あのカードを使うのがちょうどいい。

 

あまり使いたくはないが………

 

「………仕方がない、乗せられてやるよ。相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しないため、再び来い、H・C強襲のハルベルト‼︎」

 

 

〈H・C 強襲のハルベルト〉☆4 戦士族 地属性

ATK1800→200

 

 

「さらに魔法カード、戦士の生還‼︎自分の墓地の戦士族モンスター1体を対象としてその戦士族モンスターを手札に加える‼︎俺は墓地に存在するH・C サウザンドブレードを手札に加え、そのままH・C サウザンドブレードを召喚‼︎」

 

 

〈H・C サウザンドブレード〉☆4 戦士族 地属性

ATK1300→1100

 

 

「そしてH・C サウザンドブレードの効果発動‼︎1ターンに1度手札にあるヒロイックカードを捨ててデッキからヒロイックモンスターを特殊召喚する‼︎俺は手札にあるH・Cダブルランスを捨てて、来い、H・C( ヒロイックチャレンジャー)エクストラソード‼︎」

 

 

〈H・C エクストラソード〉☆4 戦士族 地属性

ATK1000

 

 

現れたのは銀色の鎧を身に纏った二刀流の戦士。

 

俺はその姿を確認してから、3体の戦士に手をかざす。

 

「俺はレベル4のH・C 強襲のハルベルト、H・C サウザンドブレード、H・C エクストラソードでオーバーレイ‼︎3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」

 

ハルベルト、サウザンドブレード、エクストラソードが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けるとそこから現れるのは異形の存在。

 

悪魔のような身体に白いツノ、黒い鉤爪を持つ異形の神。

 

「騎士の魂が宿し紋章よ‼︎今こそその魂を示せ‼︎現れろ‼︎No.69 紋章神( ゴッドメダリオン)コートオブアームズ‼︎」

 

 

〈No.69 紋章神コートオブアームズ〉★4 サイキック族 光属性

ATK2600→1400

 

 

「馬鹿な、No.だと⁉︎」

 

「………よし、特に何ともないな」

 

前に使用した時のような嫌な感覚で意識が薄れはじめることもなく、俺はホッと息を吐く。

 

これも前に闇が言っていた1度使ったことで適合割合が上がってることが原因だろうか?

 

複雑な気持ちだが、使用する度に意識を失いかけるよりかはマシだな。

 

「まずはエクシーズ素材になったH・C エクストラソードの効果発動‼︎このカードを素材としてエクシーズ召喚したモンスターの攻撃力は1000ポイントアップする‼︎」

 

 

No.69 紋章神コートオブアームズ

ATK1400→2400

 

 

「さらにNo.69 紋章神コートオブアームズの効果発動‼︎ロストグローリー‼︎このカードが特殊召喚に成功した時、このカード以外のフィールド上の全てのエクシーズモンスターの効果を無効にする‼︎」

 

「何だと⁉︎」

 

「ご自慢の効果、消させて貰うぜ‼︎」

 

コートオブアームズから謎の波動が放たれ、ブラックミストとガチガチガンテツが色を失っていく。

 

 

ガチガチガンテツ

ATK2200→1800

 

 

おジャマエンペラー

ATK3400→3000

 

 

No.96ブラックミスト

ATK1050→100

 

 

「ついでだ。No.69 紋章神コートオブアームズの効果発動‼︎アームズドレイン‼︎自分のメインフェイズ時、1ターンに1度、このカード以外のエクシーズモンスター1体を選択し、エンドフェイズ時まで、このカードは選択したモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る‼︎」

 

「同じ効果を得るだと⁉︎」

 

「対象はガチガチガンテツだ。お前の効果、いただくぜ」

 

コートオブアームズの鉤爪から光の糸が現れ、ガチガチガンテツの身体を貫き、力を吸い取っていく。

 

 

No.69 紋章神コートオブアームズ

ATK2400→3000

 

 

「っ、攻撃力3000だと⁉︎」

 

「さてと、こういう時のお約束としては、核となってる奴を倒せば終わりだよな?」

 

「っ‼︎」

 

「バトル‼︎ガチガチガンテツとなったNo.69 紋章神コートオブアームズで、No.96ブラックミストを攻撃‼︎」

 

「っ‼︎させるか‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎立ちはだかる強敵‼︎相手の攻撃宣言時に自分フィールド上の表側表示モンスター1体を選択し、発動ターン相手は選択したモンスターしか攻撃対象にできず、全ての表側攻撃表示モンスターで選択したモンスターを攻撃しなければならない‼︎これで攻撃対象をおジャマエンペラーにーーー」

 

「そんなことだろうと思ったぜ。残念だが通さねぇよ。ライフポイントを半分払い、手札からカウンター罠発動‼︎レッドリブート‼︎」

 

「何っ⁉︎手札からカウンター罠だと⁉︎」

 

 

遊騎 LP2550→1275

 

 

「相手が罠カードを発動した時に発動できる‼︎その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする‼︎その後相手はデッキから罠カード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットできる。最もこのカード発動後、ターン終了時まで罠カードは発動できないけどな」

 

「何だと⁉︎」

 

男の顔が驚愕に歪み、発動しようとしていた立ちはだかる強敵が再びセットされる。

 

これでこのターンに防がれることはない。

 

「決めろ、No.69 紋章神コートオブアームズ‼︎クレストマジェスティ‼︎」

 

ブラックミストは身体を霧に変えて逃げようとしたがコートオブアームズの鉤爪から光の糸が現れてブラックミストを縛り、ツノからエネルギー波を撃ち込み消滅させた。

 

「バカなぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

黒霧男 LP2200→0

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

「ふぅ………勝った」

 

コートオブアームズが放ったエネルギー波により辺りを包んでいた黒い霧が吹き飛び、夜の闇が戻ってくる。

 

俺がホッと一息ついていると、コートオブアームズによって吹き飛ばされた男のデッキからカードが1枚、勝手に宙に浮き、凄い勢いで回転しながら俺の元に飛んできた。

 

「うおっと⁉︎」

 

咄嗟にそのカードを掴み見て見ると、俺の元に飛んできたのは先程まで男に取り憑いていたブラックミストのカードだった。

 

一瞬、ブラックミストから黒い闇が溢れてきそうになったが、闇から貰ったネックレスがブラックミストから溢れ出していた闇を飲み込み、打ち消した。

 

それと同時にさっきまで圏外になっていたハズの携帯端末が鳴り始める。

 

着信相手はーーー

 

「もしもし?」

 

『遊騎、大丈夫?ヘリオロープが遊騎が襲われてるって言ってたから心配した』

 

「そんなことまで分かるのかよ、このネックレス………ああ、何とかな」

 

『よかった………』

 

端末越しに心配そうな声色で話しかけてくる闇に、俺は苦笑しながら応える。

 

ブラックミストが生み出した霧の中でのデュエルだったためよく分からなかったが、夜の闇は俺が仕事を終えた時よりも深まっている。

 

思ったよりも長い間あの霧の中にいたみたいだな。

 

「闇、今から出てこれるか?俺はいいんだが、闇のカードを使ってた奴とその被害者らしき奴が倒れちまっててどうすればいいか分からないんだ」

 

「ん、今来た」

 

「………対応が早過ぎるだろ」

 

端末から視線を公園の入り口の方に向けると、いつも通りの無表情で闇がこちらに向かって歩いてきていた。

 

おそらく、連絡を取りながらもこちらに向かってきていたのだろう。

 

それでもタイミングを狙ってたみたいで少し驚いたが。

 

闇は俺の近くで倒れていた2人の男に近づいて何かを確認すると、懐からインヴェルズオリジンのカードを取り出して先程ブラックミストに吹き飛ばされた男のデュエルディスクにセットすると、インヴェルズオリジンから闇が溢れ出しデュエルディスクごとその男を包み込んでいく。

 

闇はそのまま男のデュエルディスクを操作し、男を包んでいたインヴェルズオリジンの闇が消えると、セットしたインヴェルズオリジンを抜き取りこちらに戻ってきた。

 

「これでよし。帰ろ、遊騎」

 

「いやいやいや、この人達をこのまま放置するわけにもいかないだろ」

 

「大丈夫。デュエルディスクの通報装置を発動させたから時期にデュエルセキュリティが来る。面倒な事はアイツらにやらせればいい」

 

「でもな………」

 

「だって、ここにいて正直に話すと遊騎が犯人にされちゃうよ?インヴェルズオリジンを使ってその人の記憶とデュエルディスクには細工をしたけど、最後にデュエルをしたのは遊騎だから名乗り出たら間違いなく遊騎が犯人にされる。アイツらは闇のカードなんて信じないだろうし」

 

「うぐっ………」

 

闇の言葉に俺は言葉を詰まらせる。

 

確かに客観的に見れば最後にデュエルしたのが俺でこうなってるのだから間違いなく俺が犯人だよな。

 

実際、襲われた不可抗力とはいえコートオブアームズで吹き飛ばして気絶させたのは俺なんだし。

 

「遊騎のそういう素直なところ、私は好き。だけど、それで遊騎が辛い目に会うのは嫌。それに遊騎がそんなことで捕まったら、遊花は悲しむよ」

 

「………分かったよ」

 

「ん、それでよし。それじゃあ、帰ろ」

 

そういって闇が俺の手を引いて歩き出す。

 

闇に手を引かれながら、俺は闇に問いかける。

 

「手慣れてる感じだったけど、闇はいつもこんなことしてるのか?」

 

「うん。前も話したけど、ヴェルズ達は負の感情を食べるから闇のカードに取り憑かれた人達にはちょうどいいの。さっきの人も闇のカードに取り憑かれた原因はもう1人の倒れてた人にデュエルで勝てないことに対する小さな悪感情を増幅させられたみたい」

 

「コイツそんなことしたのかよ」

 

「それが遊騎が倒した闇のカード?」

 

さっきから握りっぱなしになっていたブラックミストのカードに視線をやる。

 

俺の言葉に、闇がブラックミストのカードを覗き込む。

 

すると、ブラックミストを見た闇は怪訝そうな表情を浮かべた。

 

「ん………またNo.………」

 

「また?まあ、確かに俺が今まで手に入れたのもNo.って種類だったけど………」

 

「違う。遊騎のことじゃない。実は最近、闇のカードを所有して暴走してる人に出会うことが明らかに増えてるの」

 

「そうなのか?」

 

「ん、しかも1ヶ月前ぐらいまでは1週間に1度あるぐらいだったのに、ここ最近は1日に2〜3戦戦うこともあるぐらいで、ちょっと異常」

 

「………それは確かにちょっと異常だな」

 

闇の言葉に俺が眉をひそめと、闇はさらに言葉を続ける。

 

「うん。そして最近出会う闇のカードで1番多いのがその『No.』って種類の闇のカード。最初は偶然かとも思ったけど、そう思うには少し出会い過ぎてる。まるで………誰かが意図的にばら撒いてるみたい(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「………なぁ、それってもしかして………」

 

俺の脳裏に2ヶ月前にコートオブアームズを狙って俺を襲ってきたあの黒ずくめのヘンテコヘルメット野郎が思い浮かぶ。

 

あの男は、確かロンゴミアントを使った際に『私の才能を注いで作り上げた新しいカード』だと言っていた。

 

そして『新しいカードを作り上げることなど造作もない』とも。

 

俺の考えていることが分かったのか、闇はこくりと頷く。

 

「ん、目的は分からないけど、多分犯人は遊騎を襲った奴だと思う。闇のカードが増えはじめたのは遊騎が襲われてからしばらくしてからだし、そのカードもほとんどが『No.』という名前のカードだっていうのは偶然とは思えない」

 

「………だよな」

 

「これでも一応、遊騎達に被害が出る前にと空いてる時間で犯人を探してはいたんだけど………結局、間に合わなかったね………」

 

闇が少し落ち込んだかのように肩を落とす。

 

そんな闇の言葉に、俺は首を振りながら闇の頭をぽんぽんと軽く撫でる。

 

「気にするなよ。お前は色々と忙しいのに、それでも俺達のことを考えて犯人探しをしてくれたんだ。ありがとな、闇」

 

「遊騎………ん、どういたしまして」

 

たった1人で頑張ってくれていた闇にお礼を言うと、闇は目を丸くし、それから柔らかい笑顔を浮かべた。

 

それにしても、問題は闇のカードの所有者が増えてきているということだ。

 

1度身体を乗っ取られかけたからよく分かる。

 

闇のカードはとても危険なものだ。

 

闇みたいに使いこなせているならともかく、先程の男みたいに使いこなせずに暴走した場合、近くにいた人間にどんな被害が出るかは分かるない。

 

そして闇のカードによる暴走が誰かの意図したもので無差別に引き起こされているというのであれば、その被害は俺の身近な存在にも及ぶかもしれないということだ。

 

それに、俺は1度闇のカードをばら撒いている原因であるであろう男と戦い、闇のカードを入手している。

 

今まで接触が無く、さっきのデュエル自体は偶発的に起こったものだったとしても、再び襲われないとも限らない。

 

いや、もしかすると公園で昼間に感じたあの謎の視線はあの男かその仲間のものであった可能性だってある。

 

それならば………俺が取るべき行動はーーー

 

「なぁ、闇」

 

「ん?」

 

「俺も手伝うよ。闇のカードをばら撒いてる奴を探すの」

 

「………やっぱり、遊騎ならそう言うと思った」

 

俺の言葉を予想していたのか、闇が少し困ったような表情を浮かべる。

 

「危ないよ?」

 

「それはお前だって同じだろ」

 

「私は………強いから」

 

「お前が強いことは知ってるけど、それと心配しないかは別だろ。お前は俺の大切な友達で………家族だと思ってる。お前が俺のことを心配してくれるように、俺が闇が危険なことに首を突っ込むことを放っておけるわけないだろ」

 

「………むぅ、凄く嬉しいから困る………ん、分かった。私も明日からは少し忙しくなりそうだし、遊騎も探してくれるなら助かる。だけど、無理はしちゃダメ」

 

「分かってるよ。俺も短い期間で2度も入院することになりたくないからな」

 

冗談めかした俺の言葉に、闇が少し笑みをこぼす。

 

色々と面倒な事になったが、俺達の日常を守るためなら致し方ないことだよな。

 

「そういえば、明日から忙しくなるって何があるんだ?別にまだプロリーグも大詰めってわけじゃないだろ?」

 

「ん………遊騎なら話してもいい。少し前に無理を通させて貰ったお礼をするってだけのお話だけど。実はねーーー」

 

そんな俺の質問に、闇は悪戯っ子のような笑みを浮かべながらその問いに応える。

 

闇が告げたその応えに、俺は思わず目を丸くするのだった。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「ふぁ〜………眠い………」

 

「もう、桜ちゃん。今日から2学期なんだからちゃんとしないと」

 

「分かってるわよ………ふぁ〜」

 

眠たそうに欠伸をしながら目を擦る桜ちゃんに私は苦笑する。

 

今日から2学期、再びデュエルアカデミアでの学園生活が始まる。

 

前までは長期休暇が終わるとデュエルをしなければならないデュエルアカデミアに行くことに憂鬱な気分になっていたけど、今は違う。

 

そんな私達の後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる。

 

「おはよう、遊花、桜」

 

「よ、遊花、桜」

 

「あ、霊華さん、大地君‼︎おはよう‼︎」

 

「おはよう………霊華、九石………」

 

「桜は今にも眠りそうね」

 

「あはは、桜ちゃん、朝弱いから」

 

話しかけてきた霊華さんと大地君に、私は笑顔で挨拶を返す。

 

………昔は絶対に考えられなかったけど、こうして、友達にまた会えることが凄く嬉しい。

 

「それにしても早く始業式終わらねぇかな?」

 

「ケルン校は小中高一貫のマンモス校だから、全校を一箇所に集めるとそれなりに時間はかかるから仕方ない」

 

退屈そうに頭の後ろで腕を組んでいる大地君に、霊華さんがそう告げる。

 

実際、ケルン校では生徒の数が多すぎるため別室でモニターを使って集会を行うことの方が多い。

 

全校がこうして体育館に集まるのはこういう始業式や終業式のような日のみ。

 

人混みに酔いそうになってしまうため、大地君の早く終わって欲しいという気持ちも分かる。

 

まあ、多分大地君は退屈だから早く終わって欲しいんだろうけど。

 

『全校生徒が揃いましたので、ただ今より始業式を開始します』

 

「あ、始まるね」

 

始業式の開始を告げる先生のアナウンスが聞こえてきたため、会話を切り上げて壇上を見つめ、淡々と進行していく始業式に意識を傾ける。

 

そして、学生にとっては1番眠くなる時間である校長先生のお話が終わろうとした時、校長先生が私達が驚くことになるその言葉を口にする。

 

「さて、今学期は、デュエルアカデミアの生徒の能力向上を願い、特別講師として2人の講師が新しい次代の決闘者達の力になりたいと、我が校で講義を行いたいと申し出てくれたため、新しく必修科目の特別講義を行ってくれることになったので、君達に紹介したいと思う」

 

「必修科目の特別講義を行う特別講師?」

 

「珍しいわね、必修科目の特別講義なんて」

 

校長先生の言葉に、生徒達はざわつき始め私も桜ちゃんと一緒に首を傾げる。

 

特別講師自体そう珍しいことではない。

 

様々なカリキュラムの中から自分が学びたい戦術や召喚方法などによって好きな授業を受けれるようになっているメジャー制度を取り入れているこのケルン校では、講義ごとに専門の特別講師が付いているため、講師の数はかなり多い。

 

それでも、2学期という年度の中間に位置するこの時期に必修科目を教える講師が入ってくるというのは今までには無いパターンだった。

 

「まずは1人目の講師を紹介しよう。世界的に活躍しているカードデザイナー、天神 幻騎 (あまがみ げんき)君だ」

 

校長先生に紹介されて壇上に登ったのは柔和な笑みを浮かべる黒髪をオールバックにした男性。

 

「皆さんこんにちは、カードデザイナーの天神 幻騎です。私の経験が新たな時代に向かうデュエルに関係する皆さんの力になればと思い、今回、カードデザイン学という講義を担当させて貰うことになりました。どうぞ、よろしくお願いします」

 

天神さんが頭を下げると、体育館に拍手の音が響く。

 

天神さんが壇上の端に下がると、校長先生が再び話し始める。

 

「それでは2人目の講師を紹介しよう。次に紹介する講師は君達も知っているだろうプロ決闘者だ。彼女はこのケルン校の卒業生であり、今回は自身の後輩にあたる決闘者達の役に立てればと多忙にも関わらず名乗り出てくれた。それでは早速壇上に上がって貰おう」

 

校長先生の言葉に、壇上に上がっていく1人の少女。

 

「えっ⁉︎」

 

「嘘でしょ⁉︎」

 

その姿に私と桜ちゃんは思わず声を上げてしまう。

 

壇上に上がったのは黒髪でショートボブの小柄な女性。

 

その表情を氷のように固まり、変わることない無表情。

 

「それでは紹介しよう。世界ランキング2位のプロチーム、『Trumpfkarte』に所属し、現世界ランキング4位のプロ決闘者ーーー『氷の女王』冬城 闇君だ」

 

校長先生の紹介に小柄な少女ーーー闇先パイは、いつも通りの無表情で口を開いた。

 

「冬城 闇………デュエル学の実技を担当することになりました………どうぞ、よろしくお願いします」




次回予告

講師として現れた闇に驚く遊花達。
そんな中、闇の実力を示すため、闇と校長のエキシビションマッチが行われる。
現役プロ決闘者と元プロ決闘者。
激しいぶつかり合いに遊花達は圧倒される。

次回 遊戯王Trumpfkarte
『吹雪の戦場』


次回は闇のデュエル回。
基本的には第3者視点でお送りする予定です。
現役プロ決闘者と元プロ決闘者のデュエルはどうなるのか?
次回をお楽しみに。

そして今回は遊騎とモブラックミストさんのデュエルでした。
おジャマの攻守逆転と攻撃力吸収が何とも面倒なデッキですが、効果無効だったりおジャマカントリーがやられたらダメだったり、隙も結構多いデッキです、新規のおジャマエンペラー強いなぁ。
そして久しぶりに登場したコートオブアームズ。
40話ぶりぐらいの登場でしたが、別に忘れられてたわけではなく遊騎が意図的に使わないようにしてただけです。
まあ自分の身体を乗っとろうとした奴を気軽に使おうとするわけないですよね。
新キャラも登場する中どのように物語が進んでいくのか楽しみに待っていただけたらなと思います。

それじゃあ今回はここまで。
次回の更新はちょうど1週間後に資格試験があり、その勉強に忙しいのでまた遅くなりそうです。
今回の更新もそれで遅れた部分が多々あり、今も睡眠時間をかなり削って勉強して2〜3時間しか眠れてないので、さらに更新に時間を割くと、流石にぶっ倒れそうなのでご理解いただけたらなと思います。
というわけで、早くても次の更新は1週間後になると思います、
更新がなかったら勉強頑張ってるんだなと思ってください。
更新があったらコイツ、サボってやがるなと思ってください。
というわけで、また次回。
ではでは〜
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