遊戯王Trumpfkarte   作:ブレイドJ

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大変お待たせ致しました。
春休みが近づき仕事が忙しくなってきたので書く時間がなかなか作れない。
後、ルビを振るのって結構大変だなぁと思いました、まる
今回は遊花のデュエル回です。
長くて前後編に分かれてしまったので、今回は前編です。
遊花視点でお送りします。
それでは本編へGO‼︎




第58話真紅の竜王

 

 

「バトル‼︎絶望神アンチホープでマシンナーズフォースを攻撃‼︎ホープブレイクパニッシャー‼︎」

 

「ぐあぁぁぁ‼︎」

 

 

男子生徒 LP400→0

 

 

立体映像が消え、項垂れている男子生徒に私は近づいて笑顔で手を差し出す。

 

「ありがとうございました‼︎いいデュエルでした‼︎」

 

「っ………あ、あぁ‼︎つ、次は負けないからな‼︎」

 

「はい‼︎次にデュエルする時を楽しみに待ってます‼︎」

 

私が握手をしながら笑顔を浮かべると、対戦した男の子は顔を赤くしながら手を振り払って走り去ってしまった。

 

………うぅ、怒らせちゃったのかな?

 

自分に勝った相手が笑っていたのが気に入らなかったのかな………ううん、もしかしたら他にもデュエル中に失礼な態度を取っちゃってたのかも………

 

「お疲れ、遊花。何を落ち込んでるのよ?」

 

そんなことを考えて落ち込んでいると、後ろから私の肩を叩いて声をかけてくる人がいた。

 

言うまでもなく、私の親友の桜ちゃんだ。

 

「桜ちゃん………さっきのデュエル、私失礼なことしちゃったかな?」

 

「は?いきなり何言ってるのよ?」

 

「だって、顔を真っ赤にして走っていっちゃったし………私が失礼なことをして怒らせちゃったんじゃ………」

 

「………」

 

私の言葉に、桜ちゃんが呆れたように頭を抱える。

 

そしてしばらくすると疲れたようにため息を吐きながら、首を振った。

 

「………はぁ〜大丈夫よ。遊花は別に悪いことなんかしてないから」

 

「本当?」

 

「こんなことで嘘なんかつかないわよ。とにかく、遊花はいつも通りでいいの。わかった?」

 

「………うん」

 

「………はぁ〜私の周りの人間はどうしてこう鈍感な奴が多いのかしら」

 

桜ちゃんがため息を吐きながら小さな声で何かを呟く。

 

そして気を取り直すように、視線を私の後ろに向けた。

 

「それにしても、相変わらず凄い人数よね」

 

「あ、あはは………やっぱり闇先パイって凄い人なんだね。こんなに人が集まるなんて」

 

桜ちゃんの視線を追って振り向くと、そこにいるのは今私達がいる講堂から溢れ出さんとばかりに集まった人の山。

 

そこにいる人達はそわそわした様子で私の方を見ていた。

 

………そう、ここにいる人達はみんな闇先パイとデュエルをするために私とデュエルをしに来た人達なのだ。

 

闇先パイが出した条件。

 

栗原 遊花にデュエルで勝った人とならデュエルをする、という話は瞬く間にデュエルアカデミアに広がった。

 

そのためか、あの条件が提示されて5日が経った今では休み時間や講義が空いてる時間に様々な学年から私とのデュエルで勝利するために人が集まるようになっていた。

 

流石にこの人数を相手にすると私の体力が持たないので、条件をもっと細かく定めて貰って休憩時間もできたけど、それでも流石にこの人数とデュエルをするにはいくら時間があっても足りない。

 

だからこそ、闇先パイには少し条件を追加して、私が負けた人達に勝てたら闇先パイに挑戦できるという風にして貰い、私がこの5日間の間に負けた2人( ・・)の決闘者にも協力して貰うことにしたんだけど………

 

「お願い、サンダーエンドドラゴン‼︎終焉のライトニングバースト‼︎」

 

「行くぞ、我が戦友( とも)、魂食神龍ドレインドラゴンよ‼︎暴食のスワロースパイラル‼︎」

 

「きゃぁぁぁ‼︎」

 

「んぎゃあああ‼︎」

 

「あっちも終わったみたいね」

 

「やっぱり強いなぁ………天雷君と喰代君」

 

私達の視線の先には、それぞれ圧倒的な実力で勝利した天雷君と喰代君の姿があった。

 

2人は一息つくと次の挑戦者を探したのだが、どうやら今日2人に挑戦したのは先程の2人だけだったようだ。

 

それもそのハズ。

 

天雷君と喰代君はこのデュエルアカデミアでトップとNO2の実力者だ。

 

私みたいなほとんど無名の決闘者とは違い、その圧倒的な強さはこのデュエルアカデミア中に知れ渡っている。

 

だからこそ、あの2人に挑戦をするのはデュエルアカデミアでトップクラスの実力者に挑戦してみたいという人か、私とのデュエルの待ち時間が待ちきれずにもしかしたら勝てるかも知れないと挑んでいく人ぐらいだ。

 

おまけに圧倒的な実力差で勝っている2人と違い、私は防御よりの戦術のため、ギリギリのところで勝利することの方が多く、もしかしたら次は勝てるかもしれないという気持ちを挑戦してくる人達に抱かしてしまっているみたいで、結果的に勝ち目がありそうな私のとのデュエルを選ぶ人ばかりが増え、私のデュエル回数は全く減っていかないのだ。

 

「やっぱり精進が足りないね。私も2人みたいにもっと強くなれるように頑張らないと‼︎」

 

「今でも十分強くなってると思うけどね。まあ、遊花がそうなりたいって言うのなら頑張りなさい。私だって手を貸してあげるから」

 

「ありがとう、桜ちゃん」

 

そういって桜ちゃんと笑い合うと予鈴のチャイムが鳴る。

 

チャイムの音を聞き、デュエルが出来なかった生徒達は残念そうな表情を浮かべて散っていく。

 

講義中は、実技の講義以外では私に挑むことは禁止されている。

 

一息はつけるんだけど、結局講義を受けることになるんだから休み時間とはとても言えない。

 

だからって、弱音も吐いていられないよね。

 

これも修行の一環だもん。

 

よーし、頑張るぞー‼︎

 

そう自分を鼓舞しながら、私も講義の準備に取り掛かるのだった。

 

 

ーーーーーーー

 

 

「今日の講義では、皆さんにカードのデザインをして貰おうと思います」

 

闇先パイと同じく特別講師としてデュエルアカデミアにきた天神先生は、講義が始まると生徒達にそう告げた。

 

天神先生の講義はカードデザイン学。

 

私達が使用しているデュエルモンスターズのカードがどのように生み出されているのかについて学んでいく講義らしい。

 

今日の講義内容はスケッチブックにオリジナルのカードを好きなだけ描いて提出するという内容で、今回提出された課題を見てこれからの講義内容を考えていくようだ。

 

とはいったものの、いきなりオリジナルのカードを考えるなんて少し難易度が高い気がするんだけどなぁ………

 

「うぅ………桜ちゃん、何か描けた?」

 

「んー私もまだね。いきなり描けって言われてもそうそう描けないわよ」

 

「だよね………うぅ、どうしよう?」

 

「なんだ、遊花達はまだ描けてないのか?」

 

私が桜ちゃんと頭を抱えていると、近くの席に座っていた大地君がそんな声をあげる。

 

「大地君。その口ぶりだと、大地君は………」

 

「おう、もう描けたぜ」

 

そういって大地君は私達にスケッチブックを見せる。

 

そこに描かれていたのは巨大な電磁砲を2つ背負ったロボットのような戦士だった。

 

「それって磁石の戦士をイメージして描いたの?」

 

「まあな。電磁石の戦士の効果があるから、もう少し出せる磁石の戦士を増やしたいんだよな」

 

「成る程ね。まあ、自分が使ってるテーマのカードが描きやすいといえば描きやすいわよね」

 

「よし、描けた」

 

そんな話をしていると、私達の1つ前の席に座っていた天雷君からそんな声が聞こえてくる。

 

「て、天雷君ももう描けたの⁉︎」

 

「う、うん。一応ね」

 

そういって恥ずかしそうに天雷君が見せてくれたのは雷を纏った小さな竜。

 

「これは………サンダーエンドドラゴンをイメージして描いたのかしら?」

 

「うん。サンダーエンドドラゴンをもっと小型にした姿をイメージして描いたんだ。サンダーエンドドラゴンはランク8だから、この子はランク4ぐらいかな」

 

「うぅ〜大地君も天雷君もすごいなぁ………私なんてさっぱりだよ」

 

早くも描きあげてしまった大地君と天雷君を見て、私は項垂れる。

 

「そんなに思い浮かばないなら自分がモンスターになった姿でも描けばいいんじゃないか?」

 

項垂れる私を不憫に思ったのか、大地君はそんな言葉を口にする。

 

「私がモンスターになった姿………あれ?」

 

「ん?私がモンスターになった姿?」

 

私がモンスターになった姿って………

 

隣に座っていた桜ちゃんも私と同じ事が頭に浮かんだみたいで、私達は思わず顔を見合わせた。

 

「私達がモンスターになった姿………ね。それなら遊花は相手の場にモンスターが存在していないとき、手札から特殊召喚できて、フィールドから墓地か除外されたそのカードを手札に戻し、そのターン特殊召喚できなくなる代わりに次の相手ターン終了時まで自分が受ける戦闘ダメージは0になるモンスターかしら?」

 

「あはは‼︎それなら桜ちゃんは2000以上の戦闘ダメージを受けるか相手に与えた場合に手札を1枚捨てることでデッキから特殊召喚できて、その効果で特殊召喚に成功した場合、相手はデッキからモンスターを3体まで選んで除外するモンスターだね」

 

「うわっ、それは流石に強すぎないか?」

 

「どちらも条件が緩すぎると思うけど………」

 

驚いた表情を見せる大地君と天雷君に、私と桜ちゃんは苦笑してしまう。

 

何故なら、その効果は私達が異世界に行った時に自分自身がカードになってデュエルをした時の効果なのだ。

 

私が初めて異世界に行った際にみんなの思いを束ねて、天使と竜の翼を持つ少女と共に戦った姿。

 

だから、私がモンスターになった姿というのは、きっとあの漆黒の毛並みに覆われた竜の姿なのだろう。

 

「みんな、元気かなぁ………」

 

私は目を閉じて異世界での記憶を掘り起こす。

 

辛いことや苦しいこともあったけど、みんなと過ごした時間はすごく楽しくて、幸せな時間だった。

 

………また、みんなに会える日も来るのかな?

 

「なんだ、項垂れてたわりには、遊花めちゃくちゃ描いてるじゃん」

 

「………ほぇ?」

 

思い出に浸っていた私は大地君のそんな言葉に現実に引き戻される。

 

大地君の言葉に首を傾げながら自分のスケッチブックを見ると、そこにはどこか見覚えがある様々なモンスターが描かれていた。

 

「ね、ねぇ、遊花?そのモンスター、どこかで見たことあるんだけど………」

 

「き、奇遇だね、桜ちゃん。私もだよ」

 

「僕も少しだけ見たことがあるモンスターが混ざってるような………」

 

私、桜ちゃん、天雷君は、私が無意識のうちにスケッチブックに描いていたモンスターを見て、頰を引きつらせる。

 

巨大な銀狼はいいとして、機械の身体を持つ生物達や顔なき戦士達は色々と不味い気がする。

 

私が無意識のうちに描いてしまったのは、この世界にはない異世界のカード達。

 

前者は兎も角、後者は世界を滅ぼそうとしたカード達のため頰が引きつってしまうのも仕方がないだろう。

 

うぅ………一体いつの間に描いちゃったんだろう?

 

これなら師匠がモンスターになったあのカッコいい姿が描きたいよ。

 

「………あれ?」

 

「遊花?どうかしたの?」

 

「うん。こんなモンスターいたかな?」

 

私は自分が無意識に描いてしまったモンスター達を眺めていると、その中に見覚えがないモンスター達がいた。

 

そこに描かれていたのは金色の翼を持つ小さな戦士と、その隣に描かれている白龍。

 

確かに似た戦士は見た記憶はあるけど、あのモンスターはこんなに小さくは無かった気がする。

 

そしてこの白い龍に関しては間違いなく見たことがないと断言できる。

 

それなのに、どうしてだろう?

 

私は、このモンスター達をよく知ってる気がする( ・・・・・・・・・・)

 

このモンスター達は一体………

 

「それでは、1度手を止めてください」

 

考えに耽っていた私の耳に天神先生の声が聞こえてくる。

 

どうやら無意識に絵を描いたり、考えごとをしている間にかなり時間は過ぎていたようで気付いたら講義の終わりの時間になっていた。

 

うーん、一体何だったんだろう?

 

私は心の何処かに引っ掛かるものを感じながらも、自分が描いたスケッチブックを提出するのだった。

 

 

ーーーーーーー

 

 

「うーん」

 

「さっきから唸ってばっかりだな、遊花は」

 

「そんなに遊花は変わったものを描いたの?」

 

「変わってるといえば変わってるわね。色んな意味で」

 

昼休み。

 

さっきの講義のことを思い出してどうにももやもやとした感じがする私を見て、大地君と霊華さんは首を傾げ、桜ちゃんは私が作った重箱からシューマイを口に運びながら苦笑を浮かべた。

 

休み時間や講義が空いてる時間に私とのデュエルを望む人がいるとはいえ、この昼休みの時間は平和なものだ。

 

流石に、私に挑む為に昼食を抜こうと考える人はそう多くないらしい。

 

昼食を邪魔すれば闇先パイが口にした私に迷惑をかけないという条件を満たせなくなってしまうためだろうが、そうでなくともデュエルアカデミアケルン校は敷地が広く、移動教室などがある場合には、結構な距離を歩くことになるため体力を使う。

 

昼食を抜いてお昼からの講義を受けるとなると、間違いなく講義中に地獄を見ることになるだろう。

 

だからこそ、この時間は四六時中デュエルを挑まれるようになるデュエルアカデミアにおいて唯一しっかりと休める時間だった。

 

「しっかし、遊花とデュエルしようとする奴減らないな。俺だって遊花や闇さんとデュエルしてぇのに」

 

「大地君なら、言っててくれればいつでもデュエルするよ?闇先パイは忙しい人だから分からないけど………」

 

「駄目だ駄目だ。遊花だってずっとデュエルしてたら流石に体力が持たないだろ?俺は万全の状態の遊花とデュエルしたいんだ。それに闇さんはあの条件をクリアしたらデュエルするって話だろ?知り合いだからって理由でルールを破るわけにはいかねぇって」

 

「そっか………ふふっ」

 

「なんだよ?」

 

「ううん、大地君って律儀だなって思っただけ」

 

私が思わず笑いながらそう応えると、大地君が不貞腐れたように自分の腕を枕にしながら椅子にもたれ掛かる。

 

悪いことしちゃったかな?

 

だけど、そういう大地君の律儀なところ、私はとてもいいと思うけどな。

 

「………見つけたぞ」

 

「えっ?」

 

和やかな昼食の時間を過ごしていた私達の耳にそんな言葉が聞こえてくる。

 

私が声が聞こえた方を見ると、そこにいたのは見るからに怪しい少女だった。

 

フリルがついた黒い日傘を持ち、デュエルアカデミアの制服の上から何故か羽織っている黒いマント。

 

右目には眼帯がついており、左目の赤は多分カラーコンタクトだろうか?

 

綺麗な黒髪をサイドアップにし、身長は私よりも少し小さいから多分年下だろうその少女はどこか不敵な笑みを浮かべてこちらを見ていた。

 

「汝が栗原 遊花だな?」

 

「えっと、そう、だけど………私に何か用かな?」

 

「ようやく巡り逢えた。汝は光、我は影。我らはぶつかり合う運命(さだめ)にある‼︎」

 

そういって少女はマントを勢いよく広げながら不敵な笑みを浮かべる。

 

どういう反応をすればいいのか分からず困惑していると、桜ちゃんが呆れたような声でその少女に話しかける。

 

「はぁ………遊花とデュエルしにきたって言うのは何となく分かったけど、それで、アンタは誰なのよ?」

 

「フッ、我が忌み名を問うか………良かろう。我こそ深淵より出でし、全てを喰らう真紅の悪竜‼︎我が忌み名、その魂に刻め‼︎」

 

そういうと少女はマントを翻しながらゆるりと一回転すると、眼帯のついた右目を手で押さえながら、もう片方の手で私を指差した。

 

紅神爆牙( こうこうはくが)のアイズ・D・スカーレット。汝を喰らう者だ‼︎」

 

「………は、はぁ」

 

思わず間の抜けた返事を返す私を見て、少しだけ不服そうにしながらも、スカーレット(?)ちゃんはデュエルディスクを起動し、私に向ける。

 

「さあ、我らの聖戦( ジハード)を始めようではないか、栗原 遊花。我が運命の好敵手よ‼︎汝を倒した時、我が悲願は達成される‼︎」

 

「えっと………桜ちゃん、これってデュエルの申し込みってことでいいんだよね?」

 

「だと思うわよ。言ってることはよく分からないけど。まあ、軽く蹴散らしてやりなさいな」

 

「何だか面白い奴が挑んできたもんだな。くぅーっ‼︎いいなぁ、俺もデュエルがしたいぜ‼︎」

 

「あの子の魂からも面白い波動を感じる。ふふっ、遊花といると、本当に退屈しないわね」

 

呆れたように肩を竦める桜ちゃんに、ワクワクした表情をする大地君、そしてちょっと不思議な感想を言って微笑んでいる霊華さん。

 

何だかよく分からないけど、デュエルを挑まれたなら断るわけにはいかないよね?

 

私は自分のデュエルディスクを起動して、構える。

 

それを見て、スカーレットちゃんはニヤリと笑った。

 

「さあ、汝の全てを喰らい尽くしてやろう‼︎」

 

「何だかよく分からないけど、デュエルするなら、受けてたちます‼︎」

 

『決闘‼︎』

 

 

遊花 LP8000

 

スカーレット LP8000

 

 

ーーーーーーー

 

 

「先攻は私だね。モンスターをセット。カードを2枚伏せてターンエンドだよ」

 

 

遊花 LP8000 手札2

 

ーー▲▲ー ー

ーー■ーー

ー ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

スカーレット LP8000 手札5

 

 

「我のターン、ドロー‼︎我は伝説の黒石( ブラックオブレジェンド)召喚( サモン)‼︎」

 

 

〈伝説の黒石〉☆1 ドラゴン族 闇属性

ATK0

 

 

フィールドに現れたのは赤黒い石のような卵のモンスター。

 

種族がドラゴンということは、あの卵から何かが産まれてくるのかな?

 

興味深く黒石を見つめる私に、スカーレットちゃんは不敵に笑いながら黒石に手をかざす。

 

「クックック、我が力の一端、汝に見せてやろう‼︎伝説の黒石のエフェクトアクティベート‼︎このカードをリリースしてデッキからレベル7以下のレッドアイズモンスター1体を特殊召喚( スペシャルサモン)する‼︎」

 

「えっ⁉︎レッドアイズ⁉︎」

 

「現れよ、真紅眼の黒竜( レッドアイズブラックドラゴン)‼︎」

 

スカーレットちゃんの呼び声に応えるように、黒石が輝きはじめ、空に浮かび上がる。

 

そして黒石が割れ、卵の殻が弾け飛ぶと、そこには真紅の眼を持つ黒竜が私を睨みつけながら咆哮をあげた。

 

 

〈真紅眼の黒竜〉☆7 ドラゴン族 闇属性

ATK2400

 

 

「真紅眼の………黒竜………」

 

スカーレットちゃんの特殊召喚した黒竜に、私は思わず驚きの声をあげてしまう。

 

真紅眼シリーズ。

 

可能性をもたらす竜とも呼ばれ、非常に人気が高いレアカードである真紅眼の黒竜を主にしたカテゴリーだ。

 

サポートカードも豊富で、その人気の高さから昔はプレミア価格がついてデッキを作るのには数百万はかかっていたらしい。

 

現在は増版され、一部の大会の優勝景品などで出回ったおかげで昔よりかは手に入りやすくなってるハズだけど、それでもまだ数十万はかかるハズだ。

 

まさかそんなデッキをデュエルアカデミアの生徒で持っている人がいるなんて………

 

私は不敵に笑っているスカーレットちゃんを見て、気を引き締める。

 

真紅眼シリーズは確かに希少価値の高いシリーズだけど、ただ希少価値が高いからプレミア価格が付いていたわけではない。

 

真紅眼シリーズはそれだけ強力な力と可能性を秘めているのだ。

 

「まずは小手試しだ‼︎魔法アクティベート、黒炎弾‼︎我のモンスターゾーンの真紅眼の黒竜1体を対象としてその真紅眼の黒竜の元々の攻撃力分のダメージを汝に与える‼︎」

 

「っ‼︎元々の攻撃力分ということはいきなり2400のバーンダメージ⁉︎」

 

「ただし、このカードを発動するターン、真紅眼の黒竜は攻撃できないがな。燃やし尽くせ、真紅眼の黒竜‼︎黒炎弾‼︎」

 

「きゃあ‼︎」

 

 

遊花 LP8000→5600

 

 

黒竜から黒い炎の弾丸が私に向けて放たれ、私の身体を炎が包む。

 

最初から結構痛い一撃を貰っちゃった。

 

だけど、これで真紅眼の黒竜は攻撃できない………なんて、安心できるわけないよね。

 

そんな私の予感を肯定するかのように、スカーレットちゃんは不敵に笑いながら次のカードを掲げる。

 

「我はフィールドの真紅眼の黒竜をリリース‼︎我の手札・フィールドからレッドアイズモンスター1体をリリースした場合にこのカードは特殊召喚できる‼︎我が僕よ、貴様の中に潜む異なる人格( オルターエゴ)を呼び覚ますがいい‼︎真紅眼の( レッドアイズ)亜黒竜( オルタナティブブラックドラゴン)‼︎」

 

「真紅眼の亜黒竜⁉︎」

 

スカーレットちゃんの言葉に黒竜が自身の身体を抑えながら苦しそうに咆哮をあげる。

 

そして咆哮をあげた黒竜の目が漆黒に染まると、身体が赤黒く光り、黒竜だった存在は歓喜の咆哮をあげた。

 

 

〈真紅眼の亜黒竜〉☆7 ドラゴン族 闇属性

ATK2400

 

 

「バトルだ‼︎真紅眼の亜黒竜でセットモンスターをアタック‼︎黒焔弾( ダークテラフレア)‼︎」

 

「っ、セットモンスターはドットスケーパー‼︎」

 

 

〈ドットスケーパー〉☆1 サイバース族 地属性

DEF2100

 

 

現れたのはドットの身体を持つモンスターを、亜黒竜の赤黒い炎の弾丸が焼き尽くし、ドットスケーパーの身体がデータに変わり辺りに散らばる。

 

しかし、炎が晴れると散らばっていたデータが再び集まり、ドットスケーパーの姿を成した。

 

「墓地に送られたドットスケーパーの効果発動‼︎デュエル中に1度、このカードが墓地に送られた場合に特殊召喚するよ‼︎」

 

「成る程、自己再生能力を所持していたか………クックック、そうこなくてはな」

 

 

〈ドットスケーパー〉☆1 サイバース族 地属性

DEF2100

 

 

「メインフェイズ2、我はカードを2枚セットし、ターンエンドだ」

 

 

遊花 LP5600 手札2

 

ーー▲▲ー ー

ーー□ーー

ー ー

ーー○ーー

ーー▲▲ー ー

 

スカーレット LP8000 手札1

 

 

「私のターン、ドロー‼︎まずは、導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」

 

「リンク召喚か………」

 

私が正面に手をかざすと私の前に大きなサーキットが現れる。

 

「召喚条件はレベル1モンスター1体‼︎私はドットスケーパーをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎希望の守り手‼︎リンク1‼︎リンクリボー‼︎」

 

 

〈リンクリボー〉LINK1 サイバース族 闇属性

ATK300 ↓

 

 

ドットスケーパーがサーキットに入り、代わりに飛び出してきたのは青い球体型のモンスター。

 

飛び出してきたリンクリボーはしばらく私の周りを嬉しそうにくるくる回っていたが、しばらくすると私の頭の上に座り込んだ。

 

立体映像だから重さはないけど、なんだか変な感じだなぁ。

 

苦笑を浮かべながらリンクリボーを見上げているとスカーレットちゃんが愉快そうに笑う。

 

「クックック、それが汝の使い魔か。えらくちっぽけだな」

 

「むっ、小さくたってこの子達はとっても強いんだよ。今からそれを証明してあげる」

 

「ほぅ、ならば見せて貰おうではないか」

 

「うん、たっぷり見せてあげるよ。小さい者なりの戦い方ってやつをね‼︎私はサクリボーを召喚‼︎」

 

 

〈サクリボー〉☆1 悪魔族 闇属性

ATK300

 

 

私の前に現れるのは背中に金色の目を持つクリボーに似たモンスター。

 

「フッ、そのようなちっぽけなモンスターが増えたところでどうなるというのだ」

 

「勿論、貴方の真紅眼の亜黒竜を倒せるんだよ‼︎魔法カード、ミニマムガッツ‼︎自分フィールド上のモンスター1体をリリースし、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動‼︎私はサクリボーをリリースして真紅眼の亜黒竜を選択‼︎選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズまで0になり、このターン選択したモンスターが戦闘によって破壊され、相手の墓地に送られた時、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える‼︎」

 

「何っ⁉︎」

 

「お願い、サクリボー‼︎」

 

サクリボーが青いオーラを纏い身体を粒子に変えながら、亜黒竜に突撃していく。

 

亜黒竜はサクリボーに赤黒い炎の弾丸を放ち焼き尽くそうとするが、サクリボーは消滅しながらも最後の力を振り絞り、亜黒竜の身体に体当たりをし、怯ませた。

 

 

真紅眼の亜黒竜

ATK2400→0

 

 

「我が僕の攻撃力が………‼︎」

 

「サクリボーの効果発動‼︎このカードがリリースされた場合に自分はデッキから1枚ドローします‼︎そして、バトル‼︎リンクリボーで真紅眼の亜黒竜を攻撃‼︎リンクラッシュ‼︎」

 

「迎え撃て、真紅眼の亜黒竜‼︎黒焔弾‼︎」

 

亜黒竜が赤いオーラを纏って突撃してくるリンクリボーに赤黒い炎の弾丸を放つ。

 

しかし、リンクリボーは炎の弾丸を物ともせずそのままの勢いで亜黒竜を弾き飛ばした。

 

 

スカーレット LP8000→7700

 

 

「ミニマムガッツの効果‼︎戦闘によって破壊された真紅眼の亜黒竜の元々の攻撃力分のダメージを相手に与える‼︎」

 

「ぐっ、小癪な………だが、破壊された真紅眼の亜黒竜のエフェクトアクティベート‼︎黒竜は深淵より舞い戻る(リバイヴパーソナリティー )‼︎このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合、同名カード以外の我のセメタリーのレベル7以下のレッドアイズモンスター1体を特殊召喚する‼︎そしてこのエフェクトで特殊召喚したモンスターが真紅眼の黒竜の場合、その元々の攻撃力は倍になる‼︎」

 

「えっ⁉︎攻撃力が倍⁉︎」

 

「覚醒の刻だ、我が僕よ‼︎異なる人格( オルターエゴ)の深淵より目覚めよ‼︎真紅眼の黒竜‼︎」

 

リンクリボーによって弾き飛ばされた黒竜の身体から赤黒い光が消えていく。

 

黒竜が再び真紅の眼を輝かせると、世界を震わせるような咆哮をあげた。

 

 

〈真紅眼の黒竜〉☆7 ドラゴン族 闇属性

ATK2400→4800

 

 

「っ………だけど、ミニマムガッツの効果で2400ポイントのダメージは受けて貰うよ‼︎」

 

「ぐっ………」

 

 

スカーレット LP7700→5300

 

 

リンクリボーの身体から赤い衝撃波が放たれ、スカーレットちゃんのライフを削る。

 

これでライフは少しだけ優位になったけど、攻撃力が倍になった黒竜が蘇ってしまった。

 

やっぱりドラゴン族特有の高攻撃力は少々部が悪い。

 

油断すると、一瞬でやられる。

 

「メインフェイズ2、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

遊花 LP5600 手札1

 

ー▲▲▲ー ー

ーーーーー

☆ ー

ーー○ーー

ーー▲▲ー ー

 

スカーレット LP5300 手札1

 

 

「我のターン、ドロー‼︎魔法アクティベート、紅玉の宝札‼︎手札からレベル7のレッドアイズモンスター1体をセメタリーへ送り、我はデッキから2枚ドローする。その後、デッキからレベル7のレッドアイズモンスター1体をセメタリーへ送る事ができる‼︎手札の真紅眼の黒炎竜( レッドアイズブラックフレアドラゴン)をセメタリーへ送り、カードを2枚ドローする‼︎その後、デッキから2枚目の真紅眼の黒竜をセメタリーに送る‼︎」

 

「っ、墓地肥やしにドローを両方こなせるんだね」

 

「クックック。それでは魔宴( サバト)の始まりだ‼︎リバースカードオープン‼︎永続罠アクティベート、真紅眼の鎧旋( リターンオブレッドアイズ)‼︎我のフィールドにレッドアイズモンスターが存在する場合、我のセメタリーの通常モンスター1体を対象としてそのモンスターを特殊召喚する‼︎蘇れ、真紅眼の黒炎竜‼︎」

 

 

〈真紅眼の黒炎竜〉☆7 ドラゴン族 闇属性

ATK2400

 

 

フィールドに現れたのは炎の翼を持つレッドアイズ。

 

でも、そのレッドアイズは効果モンスターに見えるんだけど………

 

怪訝な表情を浮かべる私をスカーレットちゃんは何故かその場で一回転してから指を指す。

 

「クックック、汝の困惑、手に取るように分かるぞ。真紅眼の黒炎竜はデュアルモンスター。真紅眼の黒炎竜はフィールド・セメタリーに存在する限り、通常モンスターとして扱い、フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚することでその身に宿る禁じられし力を解放することができるのだ」

 

「デュアルモンスター………」

 

その名前は聞いたことがある。

 

確か通常モンスターと効果モンスターの側面を合わせ持つモンスターのことだ。

 

フィールドにいるそのモンスターを再度召喚することで効果モンスターとして扱い、本来持っている効果を発動させるモンスター。

 

レッドアイズにもそんなモンスターが存在したんだ………

 

「さあ、禁じられた力を解き放ち、この世の全てを燃やし尽くすがいい‼︎真紅眼の黒炎竜‼︎再度召喚( デュアルサモン)‼︎」

 

スカーレットちゃんがそう宣言すると、黒炎竜の炎の翼が勢いを増して燃え上がる。

 

「バトルだ‼︎真紅眼の黒炎竜でリンクリボーをアタック‼︎黒焰弾( ダークキロフレア)‼︎」

 

「相手モンスターの攻撃宣言時、リンクリボーの効果発動‼︎ゼロリンク‼︎このカードをリリースし、その相手モンスターの攻撃力はターン終了時まで0になる‼︎」

 

 

真紅眼の黒炎竜

ATK2400→0

 

 

リンクリボーの身体が粒子に変わって黒炎竜に纏わりつく。

 

しかし、それに構わず黒炎竜は炎の弾丸を放つ。

 

「フッ、その程度で我の炎を防いだつもりか‼︎真紅眼の黒炎竜の効果発動‼︎黒炎は全てを燃やし尽くす(エタニティフレア )‼︎このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、このカードの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える‼︎」

 

「えっ⁉︎きゃあ‼︎」

 

 

遊花 LP5600→3200

 

 

私に放たれた炎の弾丸が勢いよく燃え上がり、私のライフを削り取る。

 

まさかバーン効果を得るとは思わなかった。

 

思ってた以上に、この状況は不味い。

 

「さあ、終焉の刻だ。真紅眼の黒竜でダイレクトアタック‼︎総てを燃やし尽くす黒炎弾( オーバーロードダークメガフレア)‼︎」

 

黒竜から先程より巨大な黒い炎の弾丸が私に向けて放たれる。

 

これを受けたら私の負けが確定する。

 

「そんな攻撃、通さない‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎パワーウォール‼︎相手モンスターの攻撃によって自分が戦闘ダメージを受けるダメージ計算時、その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージが0になるように500ダメージにつき1枚、自分のデッキの上からカードを墓地へ送ります‼︎真紅眼の黒竜の攻撃力は4800だからデッキの上から10枚のカードを墓地に送ってダメージを0にする‼︎」

 

私がデッキの上から10枚のカードを墓地に送ると、私の前に粒子で出来た盾が生まれ、黒竜の炎を防ぐ。

 

黒炎は粒子の盾を喰らい、燃え上がりながら私に迫るが、私の身体に届く前に消滅した。

 

「クックック、闘志は未だに消えぬようだな。ならば、我が僕を打倒してみるがいい。メインフェイズ2、カードを1枚セットしターンエンドだ」

 

 

真紅眼の黒炎竜

ATK0→2400

 

 

遊花 LP3200 手札1

 

ー▲ー▲ー ー

ーーーーー

ー ー

ーー○○ー

ー▲△▲ー ー

 

スカーレット LP5300 手札1

 

 

「すー………はー………私のターン‼︎」

 

私は1度深く深呼吸をして、握るカードに力を込める。

 

状況は私の不利。

 

圧倒的な攻撃力を得ている黒竜に、強力なバーン効果を持つ黒炎竜。

 

どちらを残しても危険なことには変わりがない。

 

だけど、今の攻撃で増えた墓地のカードを使えば、まだなんとかなる‼︎

 

「ドロー‼︎私は天輪の葬送士を召喚‼︎」

 

 

〈天輪の葬送士〉☆1 天使族 光属性

ATK0

 

 

フィールドに現れたのは銀色の棺の身体を持つモンスター。

 

「天輪の葬送士の効果発動‼︎このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の光属性・レベル1モンスター1体を対象としてその光属性モンスターを特殊召喚するよ‼︎おいで、ミスティックパイパー‼︎」

 

 

〈ミスティックパイパー〉☆1 魔法使い族 光属性

DEF0

 

 

葬送士が自分の腕で身体になっている棺を開けると、棺の中からフルートのようなものを弾いている男の人が姿を現わす。

 

「ミスティックパイパーの効果発動‼︎このカードをリリースして自分のデッキからカードを1枚ドローし、この効果でドローしたカードをお互いに確認し、レベル1モンスターだった場合、自分はカードをもう1枚ドローします‼︎」

 

「ドローカードか」

 

「私がドローしたのは魔轟神獣キャシー‼︎レベル1モンスターなのでもう1枚ドロー‼︎さらに魔法カード、モンスタースロット‼︎自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、選択したモンスターと同じレベルの自分の墓地に存在するモンスター1体を選択してゲームから除外する。その後、自分のデッキからカードを1枚ドローし、この効果でドローしたカードをお互いに確認して選択したモンスターと同じレベルのモンスターだった場合、そのモンスターを特殊召喚するよ‼︎私は天輪の葬送士を対象に墓地のドットスケーパーを除外し、カードを1枚ドロー‼︎私がドローしたのは妖醒龍ラルバウール‼︎レベル1モンスターだから特殊召喚するよ‼︎」

 

 

〈妖醒龍ラルバウール〉☆1 ドラゴン族 闇属性

DEF0

 

 

フィールドに現れたのは銀色の身体の幼竜。

 

現れたラルバウールは楽しそうに青い炎を吐きながら、私の頭の上に乗る。

 

むぅ………なんだか今日はみんな私の頭の上に乗ってくるな。

 

まあ、別に構わないけどね。

 

君の力、貸して貰うね?

 

「除外されたドットスケーパーの効果、それにチェーンして妖醒龍ラルバウールの効果発動‼︎このカードが特殊召喚に成功した場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として自分の手札を1枚選んで捨て、対象のモンスターと同じ種族・属性でカード名が異なるモンスター1体をデッキから手札に加える‼︎私は天輪の葬送士を対象に手札を1枚捨て、天使族・光属性のクリアクリボーを手札に加えるよ‼︎そして、除外されたドットスケーパーの効果発動‼︎デュエル中に1度、このカードが除外された場合に特殊召喚するよ‼︎」

 

 

〈ドットスケーパー〉☆1 サイバース族 地属性

DEF2100

 

 

「まだだよ‼︎手札から捨てられた魔轟神獣キャシーの効果発動‼︎このカードが手札から墓地へ捨てられた時、フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する‼︎」

 

「何⁉︎」

 

「私が破壊するのは真紅眼の鎧旋‼︎」

 

「ならばチェーンして真紅眼の鎧旋のエフェクトアクティベート‼︎蘇れ、真紅眼の黒竜‼︎」

 

 

〈真紅眼の黒竜〉☆7 ドラゴン族 闇属性

DEF2000

 

 

2体目の黒竜が姿を現し、身体に金色の腕輪のようなものをつけた猫のモンスターが、緑色のボールのような悪魔を弾き飛ばして真紅眼の鎧旋を破壊する。

 

これで蘇生手段は無くすことができた。

 

そう思った瞬間、フィールドに再び竜の咆哮が響く。

 

「クックック、見事だ。だが、破壊された真紅眼の鎧旋のエフェクトアクティベート‼︎このカードが相手の効果で破壊されセメタリーへ送られた場合、我のセメタリーのレッドアイズモンスター1体をを特殊召喚する‼︎」

 

「っ⁉︎破壊しても効果があるの⁉︎」

 

「真なる自身と並び立て、真紅眼の亜黒竜‼︎」

 

 

〈真紅眼の亜黒竜〉☆7 ドラゴン族 闇属性

DEF2000

 

 

亜黒竜まで現れ、スカーレットちゃんのフィールドに現れた4体のレッドアイズが私を睨む。

 

「よくやった、と言いたいところだが下策だったな。これでより我のフィールドは盤石になった」

 

「確かに状況は少し悪くなったけど、これぐらいなら大丈夫‼︎」

 

「何?」

 

「さあ、攻略しちゃうよ‼︎導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」

 

私が正面に手をかざすと巨大なサーキットが現れる。

 

「召喚条件はトークン以外のレベル1モンスター1体‼︎私は天輪の葬送士をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎相手を捕える深淵の邪眼‼︎リンク1‼︎サクリファイスアニマ‼︎」

 

 

〈サクリファイスアニマ〉LINK1 魔法使い族 闇属性

ATK0 ↑

 

 

葬送士がサーキットに吸い込まれ、代わりにサーキットから黒炎竜の正面に怪しげな邪眼を持つモンスターが現れる。

 

「ぐっ………邪眼だと?………カッコイイなぁ」

 

「えっ?」

 

「コホン………何でもない。そんなちっぽけな瞳で何ができるというのだ?」

 

「ちっぽけでも貴方の竜を封じることはできるよ‼︎サクリファイスアニマの効果発動‼︎コネクトアブソープション‼︎1ターンに1度このカードのリンク先の表側表示モンスター1体を対象にその表側表示モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備し、このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする‼︎」

 

「何だと⁉︎」

 

「対象は真紅眼の黒炎竜‼︎吸い込んじゃって、サクリファイスアニマ‼︎」

 

アニマの目の上にある空間が開き、黒炎竜を吸い込む。

 

しばらくするとアニマの背中についている羽のような部分から炎の翼が現れた。

 

 

サクリファイスアニマ

ATK0→2400

 

 

「くっ………忌々しき邪眼の力め………」

 

「まだまだ終わらないよ‼︎墓地に存在するジェットシンクロンの効果発動‼︎手札を1枚墓地に送り、墓地からこのカードを特殊召喚する‼︎ただし、この効果で特殊召喚したこのカードはフィールドから離れた場合、除外されるよ‼︎おいで、ジェットシンクロン‼︎」

 

 

〈ジェットシンクロン〉☆1 機械族 炎属性

DEF0

 

 

フィールドに現れたのは小さなジェット機のような機械のモンスター。

 

現れたジェットシンクロンは嬉しそうに私の周りを飛び回る。

 

私は深く深呼吸をして正面に手をかざす。

 

さあ、あなたの出番だよ‼︎

 

「行くよ、導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」

 

私の前に再び巨大なサーキットが現れる。

 

「召喚条件は効果モンスター3体以上‼︎私はドットスケーパー、ジェットシンクロン、妖醒龍ラルバウール、サクリファイスアニマをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」

 

「大型のリンクモンスターか………」

 

ドットスケーパー、ジェットシンクロン、ラルバウール、アニマがサーキットに吸い込まれていく。

 

そしてサーキットが光り輝くとそこから現れるのは剣の如き龍。

 

運命を斬り開く私の剣。

 

「お願い、私に運命を超える力を貸して‼︎リンク召喚‼︎閉ざされた運命を斬り開く魂の( つるぎ)‼︎リンク4‼︎ヴァレルソードドラゴン‼︎」

 

私の問いに、剣の如き龍は世界を震わせる程の咆哮で応えた。

 

 

〈ヴァレルソードドラゴン〉LINK4 ドラゴン族 闇属性

ATK3000 ↙︎←↓↑

 

 

「リンク4の大型ドラゴンか………いいだろう、その力、我に示してみよ‼︎」

 

「ううん、まだだよ‼︎手札を1枚捨てて、速攻魔法、超融合‼︎」

 

「なっ⁉︎そのカードは⁉︎」

 

「手札を1枚捨てて発動し、自分・相手フィールドから融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚するよ‼︎このカードの発動に対して魔法・罠・モンスターの効果は発動できない‼私が融合するのはあなたのフィールドにいる闇属性モンスター、真紅眼の黒竜と真紅眼の亜黒竜‼︎」

 

「我のモンスターだけで融合召喚を行うだと⁉︎」

 

フィールドに現れた嵐のように激しい渦に黒竜と亜黒竜が吸い込まれていく。

 

「真紅の眼を持つ黒竜よ、内なる黒竜と交わりて、孤独を壊す力とならん‼︎」

 

さあ、今日も思いっきりお願いね。

 

「融合召喚‼︎閉ざされた世界を溶かす毒龍‼︎スターヴヴェノムフュージョンドラゴン‼︎」

 

私の問いかけに応えるように、渦を吹き飛ばしながら毒龍はその姿を現した。

 

 

〈スターヴヴェノムフュージョンドラゴン〉☆8 ドラゴン族 闇属性

ATK2800

 

 

「スターヴヴェノムフュージョンドラゴンの効果発動‼︎パワースワローヴェノム‼︎このカードが融合召喚に成功した場合、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を選び、その攻撃力分だけこのカードの攻撃力をターン終了時までアップする‼︎対象にするのは攻撃力が倍になっている真紅眼の黒竜‼︎」

 

「何っ⁉︎」

 

スターヴヴェノムが毒の瘴気を放ち、瘴気を浴びた黒竜の力を奪い取っていく。

 

 

スターヴヴェノムフュージョンドラゴン

ATK2800→7600

 

 

「攻撃力7600だと⁉︎」

 

「バトル‼︎スターヴヴェノムフュージョンドラゴンで真紅眼の黒竜を攻撃‼︎消失のヴェノムストリーム‼︎」

 

「迎え撃て、真紅眼の黒竜‼︎総てを燃やし尽くす黒炎弾‼︎」

 

黒竜が巨大な黒い炎の弾丸を放つが、スターヴヴェノムが放った毒のブレスに掻き消され、そのままブレスを受けた黒竜は消滅した。

 

 

スカーレット LP5300→2500

 

 

よし、これでスカーレットちゃんのフィールドにモンスターはいなくなった。

 

このまま一気にーーー

 

「我のフィールドのレベル7以下のレッドアイズモンスターが相手モンスターの攻撃または相手の効果で破壊され我のセメタリーへ送られた場合、手札の真紅眼の遡刻竜( レッドアイズトレーサードラゴン)のエフェクトアクティベート‼︎」

 

「っ⁉︎」

 

「このカードを手札から守備表示で特殊召喚し、可能な限りその破壊されたモンスターを破壊された時と同じ表示形式で特殊召喚する‼︎刻を超えて蘇れ、真紅眼の黒竜‼︎」

 

 

〈真紅眼の黒竜〉☆7 ドラゴン族 闇属性

ATK2400

 

 

〈真紅眼の遡刻竜〉☆4 ドラゴン族 闇属性

DEF1600

 

 

突然フィールドに巨大な機械が現れ、その中から黒竜と黒竜に似た小さな黒竜が現れる。

 

まさか手札誘発で蘇生手段があるとは思わなかったけど、攻撃表示のままならまだいける‼︎

 

「ヴァレルソードドラゴンで真紅眼の黒竜を攻撃‼︎攻撃宣言時、ヴァレルソードドラゴンの効果発動‼︎アブソーブブースト‼︎1ターンに1度、このカードが表側表示モンスターに攻撃宣言した時、ターン終了時まで、このカードの攻撃力はそのモンスターの攻撃力の半分アップし、そのモンスターの攻撃力は半分になる‼︎」

 

「何っ⁉︎」

 

 

真紅眼の黒竜

ATK2400→1200

 

 

ヴァレルソードドラゴン

ATK3000→4200

 

 

ヴァレルソードが斬りかかり、それを黒竜は腕で受け止めるが、剣から漏れる赤い光に徐々に力を吸い取られていく。

 

「さらにヴァレルソードドラゴンの効果発動‼︎アサシネイトショット‼︎1ターンに1度、攻撃表示モンスター1体を対象としてそのモンスターを守備表示にし、このターン、このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる‼︎そしてこの効果の発動に対して相手は効果を発動できない‼︎この効果は相手ターンにでも使用することが出来ます‼︎対象にするのは、スターヴヴェノムフュージョンドラゴン‼︎」

 

斬りかかっていたヴァレルソードの腕から突然散弾がスターヴヴェノムの頭上に撃ち出され、それを見てスターヴヴェノムは身を守る。

 

 

スターヴヴェノムフュージョンドラゴン

ATK7600→ DEF2000

 

 

「っ、攻撃反応のカードを封じてきたか」

 

「これで終わりです‼︎斬り開いて、ヴァレルソードドラゴン‼︎剣光のベイオネットブレイク‼︎」

 

私の言葉にヴァレルソードは応えるように咆哮をあげ、そのまま黒竜を斬り裂き、爆風が吹き荒れる。

 

しかし、その爆風がスカーレットちゃんに届くことはなかった。

 

「残念だが、それは届かない。リバースカードオープン‼︎罠アクティベート‼︎ガードブロック‼︎」

 

「っ‼︎」

 

「相手ターンの戦闘ダメージ計算時にその戦闘によって発生する我への戦闘ダメージは0になり、我はデッキからカードを1枚ドローする」

 

「防がれた⁉︎っ、それでもモンスターは残さない‼︎ヴァレルソードドラゴンで真紅眼の遡刻竜を攻撃‼︎もう1度斬り開いて、ヴァレルソードドラゴン‼︎剣光のベイオネットブレイク‼︎」

 

「フッ、良かろう。よくやってくれた、真紅眼の遡刻竜よ」

 

ヴァレルソードに斬り裂かれ、遡刻竜が消滅する。

 

仕留めきれなかった………状況としてはまだこちらが有利だけど、スカーレットちゃんのあの余裕そうな表情………追い詰められたのは、私の方なのかもね。

 

「私はこれでターンエンド」

 

スターヴヴェノムフュージョンドラゴン

ATK7600→2800

 

 

遊花 LP3200 手札0

 

ー▲ーーー ー

ーー○ーー

☆ ー

ーーーーー

ー▲ーーー ー

 

スカーレット LP2500 手札1

 

 

「我のターン、ドロー………我が僕を打倒し、我をここまで追い詰めるとは、褒めてやろう。流石は"小さな聖域の守護女神( リトルサンクチュアリガーディアン)"と言ったところか」

 

「え"っ⁉︎も、もしかして、それ、私のこと?」

 

「ぷっ………"小さな聖域の守護女神( リトルサンクチュアリガーディアン)"」

 

私が思わず引き攣った表情でスカーレットちゃんを見ると、後ろから噴き出した桜ちゃんの声が聞こえた。

 

後ろを振り返ると口を押さえて必死に笑いを堪えている桜ちゃん達の姿があり、私は恥ずかしさに顔を赤くしながらも恨めしそうにスカーレットちゃんを睨む。

 

私にそんな変な異名なんてついてないよ‼︎

 

というか、桜ちゃんは笑い過ぎ‼︎

 

桜ちゃんだって『壊獣姫』なんて異名を持ってる癖に‼︎

 

「汝のその強さに敬意を評し、我が深淵の一端をお見せしよう。我はチューナーモンスター、ヴァレットシンクロンを召喚‼︎」

 

「ヴァレット………シンクロン?」

 

 

〈ヴァレットシンクロン〉☆1 ドラゴン族 闇属性

ATK0

 

 

現れたのは機械的な身体を持つ弾丸の如き龍。

 

ヴァレットシリーズというカテゴリーがあるのは知っている。

 

私のヴァレルソードやヴァレルロード、桜ちゃんが持つヴァレルガードのようなヴァレルシリーズと併用することでモンスターを弾丸のように撃ち出して相手の戦術を崩していくカテゴリーだ。

 

だけど、あのシリーズはリクルート効果が強力で複数枚のヴァレットモンスターをデッキに投入する必要があるから、レッドアイズシリーズとは噛み合っていない気がするんだけど………

 

そんな私の怪訝な表情を見て、スカーレットちゃんは不敵に笑う。

 

「ヴァレットシンクロンのエフェクトアクティベート‼︎このカードが召喚に成功した時、自分のセメタリーのレベル5以上のドラゴン族・闇属性モンスター1体を対象としてそのモンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚する‼︎」

 

「っ⁉︎大型ドラゴンの蘇生効果⁉︎」

 

「ただし、この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊され、この効果の発動後、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。何度でも蘇れ、我が僕‼︎真紅眼の黒竜‼︎」

 

 

〈真紅眼の黒竜〉☆7 ドラゴン族 闇属性

DEF2000

 

 

ヴァレットシンクロンの後ろに再び姿を現わす黒竜。

 

ヴァレットシンクロンはチューナーモンスター。

 

ということはーーー

 

「行くぞ‼︎我が魂に潜む深淵の悪魔‼︎真紅の竜王の名をその魂に刻むがいい‼︎」

 

「真紅の………竜王?」

 

「我はレベル7、真紅眼の黒竜に、レベル1、チューナーモンスター、ヴァレットシンクロンをチューニング‼︎」

 

ヴァレットシンクロンが光の輪になり、黒竜が小さな星に変わり、光の道になる。

 

そして光の道が輝くと、そこに現れたのは王者の風格を持つ傷だらけの竜王。

 

「王者の威光、闇をも揺るがす‼︎深淵に触れしその力を解放せよ‼︎シンクロ召喚‼︎深淵の武王、レッドデーモンズドラゴンスカーライト‼︎」

 

 

〈レッドデーモンズドラゴンスカーライト〉☆8 ドラゴン族 闇属性

ATK3000

 

 

「レッドデーモンズドラゴン………スカーライト………」

 

「深淵の武王よ、その力を知らしめるがいい‼︎レッドデーモンズドラゴンスカーライトのエフェクトアクティベート‼︎1ターンに1度、我のメインフェイズにこのカード以外の、このカードの攻撃力以下の攻撃力を持つ特殊召喚された効果モンスターを全て破壊し、この効果で破壊したモンスターの数×500ポイントのダメージを相手に与える‼︎」

 

「全体破壊⁉︎」

 

「深淵に抱かれて眠るがいい、強者たる龍よ。深淵は武王を見出す(スカーライトアビス)‼︎」

 

スカーライトが咆哮をあげると、フィールドを炎が包み込み、ヴァレルソードとスターヴヴェノムを一瞬で焼き尽くす。

 

「ヴァレルソードドラゴン‼︎スターヴヴェノムフュージョンドラゴン‼︎」

 

「2体の龍は焼き尽くした。次は汝が焼かれる番だ」

 

「っ‼︎きゃあ‼︎」

 

 

遊花 LP3200→2200

 

 

スカーライトの炎が私の身体まで焼き尽くす。

 

私のライフがスカーライトの攻撃力を下回った………だけど‼︎

 

「破壊されたスターヴヴェノムフュージョンドラゴンの効果発動‼︎ロンリーブレイク‼︎融合召喚したこのカードが破壊された場合、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する‼︎」

 

「‼︎ほう………深淵の武王をも喰らおうとするか、猛毒の龍よ」

 

燃やし尽くされたスターヴヴェノムの亡骸から大量の毒の瘴気が溢れ出し、スカーライトを呑み込み、溶かし尽くして粒子に変える。

 

これでスカーレットちゃんのスカーライトも破壊された。

 

これならまだ………

 

「だが、甘い‼︎リバースカードオープン‼︎罠アクティベート‼︎シャドーインパルス‼︎」

 

「えっ⁉︎」

 

「我のフィールドのシンクロモンスターが戦闘・効果で破壊されセメタリーへ送られた時、そのモンスター1体を対象としてそのモンスターと同じレベル・種族でカード名が異なるシンクロモンスター1体をEXデッキから特殊召喚する‼︎教えてやろう、"小さな聖域の守護女神( リトルサンクチュアリガーディアン)"よ」

 

「その呼び方はやめて欲しいんだけど………」

 

「我が魂に潜む真紅の竜王は、平行世界( パラレルワールド)の自分自身と繋がることができるのだ」

 

「そして聞いてくれないんだね………平行世界の自分?」

 

「見せてやろう、異なる道を歩んだ真紅の竜王の姿を‼︎レッドデーモンズドラゴンスカーライトを対象とし、我はEXデッキから更なる竜王を呼ぶ‼︎」

 

そういって、スカーレットちゃんがEXデッキから1枚のカードを取り出す。

 

すると突然、スカーレットちゃんがそのカードを押さえる。

 

「ぐあぁぁぁ‼︎」

 

「ええっ⁉︎な、なに?」

 

「ぐっ………し、静まれ………深淵の竜王よ………怒りを静めろ」

 

「す、スカーレット、ちゃん?」

 

「あー、遊花。あんまり触れないであげる方がいいわよ?」

 

スカーレットちゃんは苦しそうにそう言ってカードを押さえる。

 

そんなスカーレットちゃんの様子を、桜ちゃん達は生暖かい目で見つめているけど………スカーレットちゃんが手にしているあのカードから、薄っすらと闇が溢れ出してるような( ・・・・・・・・・・・)………

 

しばらく苦しそうにカードを押さえていたスカーレットちゃんは、そのカードを天に掲げると勢いよくデュエルディスクにセットした。

 

「深淵に至りし覇道の王者よ‼︎闇をも燃やし尽くし絶対なる力を示せ‼︎深淵の覇王、琰魔竜レッドデーモン‼︎」

 

 

〈琰魔竜レッドデーモン〉☆8 ドラゴン族 闇属性

ATK3000

 

 

現れたのはスカーライトに似た王者の風格を持つ巨大な竜王。

 

その姿を見て、私は奇妙な感覚に陥る。

 

私は、あのモンスターを知ってる気がする( ・・・・・・・・)

 

だけど、一体どこで………

 

「バトル‼︎終幕だ、琰魔竜レッドデーモンでダイレクトアタック‼︎覇王は断罪の炎である(カンヴィクションヘルフレア)‼︎」

 

琰魔竜が拳に炎を纏い、私に向けてその拳を振るう。

 

「っ‼︎相手モンスターの直接攻撃宣言時、墓地のクリアクリボーの効果発動‼墓地のこのカードを除外し、自分はデッキから1枚ドローし、そのドローしたカードがモンスターだった場合、そのモンスターを特殊召喚してその後、攻撃対象をそのモンスターに移し替えます‼︎」

 

「ほぅ、先程手札から捨てたカードか」

 

ここでモンスターが引けなければ私の負け。

 

頼んだよ、私のデッキ‼︎

 

私は勢いよくカードをドローし、そのままそのカードを呼び出す。

 

「私がドローしたのは絶対王バックジャック‼︎モンスターなので特殊召喚し、攻撃対象を移し替えます‼︎」

 

 

〈絶対王バックジャック〉☆1 悪魔族 闇属性

DEF0

 

 

私のフィールドに機械の身体を持つ人型の悪魔が現れる。

 

現れたバックジャックは琰魔竜を見て目を見開き、さらにその拳が自身に振るわれていることに気付くとショックを受けたような表情を浮かべながら燃やし尽くされて消滅した。

 

………何だか分からないけど、ゴメンね。

 

「墓地に送られた絶対王バックジャックの効果発動‼︎このカードが墓地へ送られた場合、自分のデッキの上からカードを3枚確認し、好きな順番でデッキの上に戻す‼︎さらに墓地の絶対王バックジャックを除外して効果発動‼︎相手ターンに墓地のこのカードを除外して自分のデッキの一番上のカードをめくり、そのカードが通常罠カードだった場合、自分フィールドにセットし、違った場合、そのカードを墓地へ送るよ。そして、この効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できる」

 

「汝のデッキは今操作したばかりか」

 

「私のデッキの上のカードは罠カード、貪欲な瓶。通常罠だからセットするよ」

 

「クックックッ、いいだろう、"小さな聖域の守護女神( リトルサンクチュアリガーディアン)"」

 

「やめてって言ってるのにぃ………」

 

「耐えてみせよ。その守り、我が真紅の竜王が正面から破壊してやろう。メインフェイズ2、セメタリーに存在する伝説の黒石のエフェクトアクティベート‼︎このカードがセメタリーに存在する場合、我のセメタリーのレベル7以下のレッドアイズモンスター1体をデッキに戻し、セメタリーのこのカードを手札に加える。」

 

「っ‼︎墓地回収の効果まであるんだね」

 

「我は真紅眼の亜黒竜をデッキに戻し、伝説の黒石を手札に加える。カードを1枚セットし、ターンエンドだ」

 

そういってスカーレットちゃんがターンの終了を宣言する。

 

レッドアイズを倒したと思ったら次はレッドデーモン。

 

第2ステージに移ったってところかな?

 

状況は、一気にこちらが不利になった。

 

だけど、これぐらいで弱音なんて吐いていられない。

 

耐えることなら、私は誰にも負けない自信がある。

 

この逆境を耐え切って、絶対に攻略してみせるんだから‼︎

 

 

遊花 LP2200 手札0

 

ー▲▲ーー ー

ーーーーー

ー ○

ーーーーー

ーー▲ーー ー

 

スカーレット LP2500 手札1




次回予告

スカーレットのレッドデーモンに苦戦する遊花。
激しさを増す攻撃は、遊花の防御能力を少しずつ削り取っていく。
絶え間ない逆境、それでも遊花は未来に向けて手を伸ばす。

次回 遊戯王Trumpfkarte
『時空を超えし者』


次回も遊花のデュエル回。
遊花視点でお送りする予定です。
遊花はスカーレットに勝つことができるのか?
次回をお楽しみに。

そして今回登場の新キャラクター、アイズ・D・スカーレット。
色々と痛い子です。こう、あいたたたって感じです。
勿論名前は自称、紅神爆牙というのも当て字です。
正確には紅口白牙、美しい女性の容姿を言い表す四字熟語からきてたりします………そんな彼女は遊花よりちびっ子ですが。
ちゃんとしたお名前はまたいずれ。
そんな彼女のデッキは真紅眼レッドデーモン。
最近他の方のお話でも出た気がしますが偶然です。
今回は綺麗にドラゴンばかりでてきましたが、他のものも入ってたりします。
そこら辺は次回で出せるかな?
そして今回のお話では少しだけ、現在、コラボしていただいている、yunnnさんの作品、「遊戸 里香の表裏生活」のコラボ時に登場したオリカが遊花がスケッチブックに描いたカードとして出させていただいています。
星を壊すものだったり、メカだったり、ヴォルフだったり、オリジナルでそういうものを考えることが苦手な私としては本当に尊敬します。
勿論、書くに当たって許可もいただいております、yunnnさん、本当にありがとうございました‼︎

さてさて、それでは今回はここまで。
皆さん、新しい禁止制限はいかがでした?

禁止
レッドアイズダークネスメタルドラゴン

制限
SRベイゴマックス
終末の騎士
サンダーボルト

準制限
真竜拳士ダイナマイトK
餅カエル
ヒーローアライブ
リミッター解除

制限解除
Emダメージジャグラー
妖精伝姫-シラユキ
源竜星-ボウテンコウ
ユニオン格納庫
神の警告

今回本編で登場したレッドアイズの系譜であるダークネスメタルですが、やっぱり生き残れませんでしたね、ガンドラが悪かった気はしますが、ドラゴン系の汎用カードとして使いやすすぎたのが不味かったんですかね。
制限はベイゴマックスはなら前はなんで帰ってきたしって感じですが、汎用カードになるのはやっぱりダメなんですね。
週末………終末の騎士さんも、あそこからリンク起点にできたのが不味かったのでしょう。
そして戻ってきたサンダーボルト。
まあ羽根箒が帰ってきた時からいつかはくると思ってました。
天雷君のデッキにでも入れよう。
準制限はカエルが戻ってくれたのが個人的には嬉しいかな?
私の死の合唱デッキが復活するぜ‼︎あれ、なんか違う?
制限解除はシラユキとダメージジャグラーは嬉しかったかな?
まあ、そんなところで今回はお開き。
次回はもう少し早く更新できるように頑張ります。
ではでは〜

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