遊戯王Trumpfkarte   作:ブレイドJ

70 / 106

大変お待たせ致しました。
ゴールデンウィークの方が普段より忙しいってなんなんでしょうか?
今回は遊花のデュエル回です。
基本的には遊花視点、最後に少しだけ第3者視点でお送りします。
それでは本編へGO‼︎





第63話 妄執する亡者

 

 

 

「君が栗原 遊花君だね。改めて、お会いできて嬉しいよ」

 

「ひゃ、ひゃい‼︎恐縮です‼︎」

 

「そんなに緊張しないでくれたまえ。呼び出したのは私の方なのだからね」

 

そういって天神先生が朗らかに笑う。

 

真紅ちゃんとデュエルをした日から早くも1週間が過ぎた。

 

私は相変わらず闇先パイとのデュエルを望むデュエルアカデミア生とデュエルを行う日々を過ごしていた。

 

流石に毎日デュエルを行い、私の戦法を観察されているからか最近では私のメタデッキを使うような人もでてきて、勝利はしているものの厳しいデュエルが多くなってきていた。

 

闇先パイ曰く、メタデッキを使われるのは強者として認められている証、らしいんだけど、全然実感がない。

 

そんな風に今日も一日中デュエルをする日なんだろうなと思っていたのだが、今日は少しだけいつもと違っていた。

 

というのも、先週にカードデザイン学の講義で提出したスケッチブックに描いていたオリジナルカードのデザインのことで、放課後に研究室にくるようにと天神先生に呼び出されてしまったのである。

 

というのもーーー

 

「それにしても、まさか学生であそこまでのカードデザインができる人がいるとはね。正直、とても驚いたよ」

 

「あは、あはは………」

 

天神先生の賞賛の言葉に、私は引き攣った表情で曖昧に笑う。

 

呼び出しを受けた際に、私と桜ちゃんは引き攣った表情で冷や汗を流した。

 

何故なら、私がスケッチブックに描いていたのはこの世界にはない異世界のカード達。

 

この世界には存在せず無意識に描いてしまったとはいえ、原型を知っているカードを描いているのである意味ズルして描いたのと同じものなのだ。

 

しかも、その中にはその異世界を滅ぼそうとしたカードまであったわけで、そこからインスピレーションを得られてしまうと色々と困ったことになりそうなのだ。

 

「栗原君は将来、カードデザイナーの道に進む気なのかい?」

 

「い、いえ。私はプロ決闘者を目指しているので………」

 

「そうなのか………君のような子が入ってくればカードデザインの世界も面白くなりそうだと思ったのだがね。君のデザインはどれも素晴らしかったからね。特に、私はこのデザインが気に入ったよ」

 

そういって、天神先生が開いたページに描かれていたのは、私が無意識のうちに描いていた金色の翼を持つ小さな戦士と白龍。

 

沢山の異世界のモンスター達と同じく、無意識の内に描いた2体のモンスターだったが、このモンスター達は本当に見覚えがないモンスターだった。

 

だけど、見覚えはないハズなのに、何故かこのモンスター達は実在している気がするのだ( ・・・・・・・・・・・・)

 

「栗原君?どうかしたのかい?」

 

「あ、いえ、何でもないです。そ、それで天神先生。私は何で呼び出されたのでしょうか?」

 

「ああ、そうだったね。栗原君を呼び出した理由は2つあってね。1つはあのデザインをした子と話がしてみたかったということ。そしてもう1つは、そんな栗原君に課題を出そうかと思ったからさ」

 

「課題………ですか?」

 

天神先生の言葉に、私は首を傾げる。

 

カードデザイン学の課題で私にだけ出されるってどういうことなんだろう?

 

「君は素晴らしいデザインを見せてくれたからね。その才能が磨かれないのは惜しい。例え君がカードデザイナーになる気がなくとも、いずれその才能を活用する機会がくるかも知れない。そこでだ、君には私が出した課題に沿ったカードのデザインをしてきて貰いたい」

 

「カードのデザイン………」

 

「勿論、これは私個人の好奇心からの提案だ。君が断るというのであれば、私も諦めるとしよう。それに、これはとても大切なことだが、もし君がこの課題を受けてくれたとして、この課題によって君が生み出した作品を流用しないことについても誓約書を作成する。どうだろうか?」

 

そういって、天神先生は真剣な表情で私を見る。

 

私には、師匠の跡を継いでプロ決闘者になる夢がある。

 

その思いは絶対に変わらないものだけど、ここまで真剣に私の能力を考えてくれている天神先生の提案を断るのも悪い気がする。

 

それに………この課題を通じてカードデザインを続けていけば、いつかは辿り着くのかも知れない。

 

私が無意識のうちに描いてしまった、あの金色の翼を持つ小さな戦士と白龍の正体に。

 

だからーーー

 

「………分かりました、その提案、お受けします」

 

「………そうか。そういって貰えると私も教えがいがある。これからもよろしく頼むよ、栗原君」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

そういって、手を差し出して握手を求めてくる天神先生の手を握る。

 

天神先生の手は、何故だか冷たく感じた。

 

 

ーーーーーーー

 

 

「ふぅ………結構遅くなっちゃった」

 

殆ど人が居なくなった夕暮れ時の校舎を1人で歩く。

 

あれから天神先生が用意してくれていた誓約書を書いていたら結構遅い時間になってしまった。

 

私にはよく分からなかったけど、プロとして誓約を書面にしておくのはとても大切なことだとは天神先生の言葉だ。

 

それだけ天神先生はカードデザイナーとしての仕事に誇りを持っていると言うことなのだろう。

 

そんな人に自分のデザインを褒められるのは何だか複雑な気分だ。

 

そして誓約書を書いた後、早速天神先生に課題を言い渡された。

 

今回の課題はーーー

 

「『闇』………かぁ」

 

漠然とした課題なのは私の力を試しているのか、期待しているのか。

 

ともあれ私は色々と考えを巡らせる。

 

『闇』という言葉で私の中で真っ先に浮かぶのは闇先パイだが、だからって闇先パイをイメージしてデザインをするというのは流石に無いだろう。

 

次に思い浮かんだのは異世界で出会った私よりも年下なのに私よりも何倍も大人びた雰囲気の少女。

 

でも、彼女をイメージしてデザインするのも流石に違う。

 

それ以外で『闇』でイメージできるものといえば………

 

「あ、そういえば………」

 

私は自分のデッキを取り出し、その中から3枚のカードを取り出す。

 

私が取り出したのは絶望神アンチホープ、ダークネスネオスフィア、究極時械神セフィロンのカード。

 

私がこの3枚と初めて出会った時、このカード達は薄い闇を放っていた気がするのだ。

 

あれは見間違いなのかも知れないけど、何故だかその印象が強く私の中で残っているのだ。

 

「思えばこの3枚も不思議なカードなんだよね」

 

私が所持しているこの3枚のカードを他の人が所持しているのを見たことがない。

 

夏休みの間に色々な大会に出ることになって『Natural』以外のカードショップにも行く機会があったけど、それでもやはりこの3枚を見つけることはできなかったのだ。

 

まさか世界に1枚しかない、なんてことはないと思うのだが、それでも全く同じカードが見つからないのは不思議だった。

 

おまけにこの3枚にはなんだか分からないけど私と繋がっている気がするのだ( ・・・・・・・・・・・・・・)

 

だからだろうか?

 

不思議なカードなのに、忌避感などは全くなかった。

 

思えば『闇』という言葉は、不安や恐怖を煽りそうなものなのに、そんなイメージが全く湧かないのはピンチの時にはいつも私を助けてくれるこの子達のおかげなのかも知れない。

 

私にとって『闇』という言葉は希望の象徴でもあるのだ。

 

まあ、そんなことを言ったら絶望神アンチホープに怒られちゃいそうだけどね。

 

「んーまあまだ時間はあるし、ゆっくり考えてみようかな」

 

そんなことを呟いて私は玄関前の廊下に差し掛かる。

 

思えばこうして1人になるのも何だか久しぶりだ。

 

桜ちゃんは今日は不知火さんとの修行があるらしく早めに帰っていったし、霊華さんも家の用事があるらしい。

 

大地君は最近噂になっている『ケルンの5不思議』という不思議な話を追っているらしく、講義が終わるとすぐに教室を出て行った。

 

そういう不思議な話を追っていくのは危ないと思うんだけど、楽しそうな大地君を見ると何だか止めにくいんだよね。

 

「見つけたぞ、栗原 遊花‼︎」

 

「ふえっ?」

 

そんなことをぼんやりと考えていると、私の背後からそんな怒声が聞こえてきた。

 

私が振り向くとそこにいたのは黒髪を坊主にした少年。

 

「不死川、君?」

 

私が期末試験でデュエルした学年トップ10に入る決闘者ーーー不死川 王我君が血走った目で私を見ていた。

 

「僕とデュエルをしろ‼︎栗原 遊花‼︎」

 

「えっ?」

 

「君なんかに負けたせいで、僕は笑い者だ‼︎君みたいな愚民風情に王が負けるなどあってはならない‼︎」

 

「ええっ………そんなの逆恨みじゃ………」

 

「君を、君を叩き潰して僕が王であることを証明する‼︎そのために、僕は君を倒す力を手に入れたんだ‼︎」

 

そういって不死川君はデュエルディスクを起動して私に向ける。

 

ダメだ、話を聞いて貰えない。

 

私はため息を吐きながらデュエルディスクを起動する。

 

デュエルをすることで不死川君の気がおさまるならそれでいい。

 

話も聞いて貰えないなら、デュエルの中で話すしかない。

 

「栗原 遊花‼︎君は絶対に叩き潰す‼︎」

 

「やるからには、負けるつもりはありません‼︎」

 

『決闘‼︎』

 

 

遊花 LP8000

 

王我 LP8000

 

 

ーーーーーーー

 

 

「先攻は僕だ‼︎モンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンド‼︎」

 

 

遊花 LP8000 手札5

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー■ーー

ーー▲ーー ー

 

王我 LP8000 手札3

 

 

「私のターン、ドロー‼︎」

 

不死川君のデッキはワイトを使ったアンデットデッキだ。

 

期末試験でデュエルした時には攻撃力が8000になったワイトキングを一気に3体も並べられて一撃で決着をつけられそうになった。

 

ゲームエンド級の攻撃でも耐えきる自信はあるけど、ここは慎重に戦わないと。

 

「モンスターをセット。カードを2枚伏せてターンエンドです」

 

 

遊花 LP8000 手札3

 

ーー▲▲ー ー

ーー■ーー

ー ー

ーー■ーー

ーー▲ーー ー

 

王我 LP8000 手札3

 

 

「モンスターとカードを伏せるだけだと?僕には攻撃する必要すらないとでも言いたいのか⁉︎」

 

「えぇ⁉︎ただ攻めれる手札じゃないだけでそんなこと思ってなんかーーー」

 

「ふざけるなふざけるなふざけるな‼︎どいつもコイツも僕を馬鹿にしやがって‼︎」

 

「いや、だから馬鹿にもしてなーーー」

 

「栗原 遊花‼︎王に仇なす愚民風情が粋がりやがって‼︎君だけは必ず処刑してやる‼︎」

 

「うぅ………話を聞いてくださいよぉ………」

 

血走った目でこちらを睨みつけてくる不死川君に私は思わず涙目になりながら肩を落とす。

 

取りつく島もないとはこのことだ。

 

知らない内にそこまで怒らせてしまったのかな?

 

でも、不死川君とはあの期末試験以来会ってないし、あの期末試験での出来事で怒っていたとしても、今まで全く干渉しようとしてこなかったのに今更ここまで怒るだろうか?

 

………なんだか、少し違和感がある気がする。

 

妙な違和感に首を傾げる私を、不死川君は血走った目で睨みながら勢いよくカードを引き抜いた。

 

「王の威光は絶対だと言うことを君にも分からせてやる‼︎僕のターン、ドロー‼︎反転召喚、魔導雑貨商人‼︎」

 

 

〈魔導雑貨商人〉☆1 昆虫族 光属性

ATK200

 

 

現れたのは風呂敷を背負ったコガネムシのモンスター。

 

「魔導雑貨商人の効果発動‼︎このカードがリバースした場合、魔法・罠カードが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、その魔法・罠カードを手札に加え、残りのめくったカードは全て墓地へ送る‼︎」

 

「‼︎魔法や罠を手札に加えるモンスター………ううん、本命は墓地肥やしですね」

 

魔導雑貨商人は背負っていた風呂敷をおろすと、風呂敷の中に入っているものを次々と辺りに放り投げ、墓地に送られていく。

 

しばらくすると目当てのものが見つかったのか、魔導雑貨商人は手にしたカードを掲げた。

 

「僕はワンフォーワンを手札に加える‼︎そして墓地に送られた2体のワイトプリンスの効果発動‼︎」

 

「っ、そのモンスターは………」

 

「このカードが墓地に送られた場合、ワイトとワイト夫人1体ずつを手札・デッキから墓地に送る‼︎僕は2体のワイトプリンスの効果でデッキからワイトとワイト夫人を2体ずつ墓地へ送る‼︎」

 

そういって不死川君のデッキがら4枚のガイコツ達が墓地に送られる。

 

かなり墓地が増えたけど、まだ不死川君は反転召喚をしただけだ。

 

「墓地に存在するワイトプリンスの効果発動‼︎自分の墓地からワイト2体とこのカードを除外してデッキからワイトキングを特殊召喚する‼︎墓地に存在するワイト夫人、ワイトプリンス、はワイトとして扱うため、僕は墓地のワイト、ワイト夫人、ワイトプリンスを除外して、顕現せよ、我が王‼︎王の威光により数多の屍を統べる骸の王‼︎ワイトキング‼︎」

 

 

〈ワイトキング〉☆1 アンデット族 闇属性

ATK?

 

 

現れたのは身体中から闇を溢れ出させているガイコツの王、不死川君の切り札だ。

 

「王の威光はこの程度じゃない‼︎手札から馬頭鬼を捨てて魔法カード、ワンフォーワンを発動‼︎デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する‼︎顕現せよ、ワイトキング‼︎」

 

「っ、2体目のワイトキング………」

 

 

〈ワイトキング〉☆1 アンデット族 闇属性

ATK?

 

 

フィールドに現れるのは2体目のワイトキング。

 

警戒する私を見て、不死川君は嘲笑うような笑みを浮かべた。

 

「焦るなよ、君の処刑はもう少し先さ。王の裁きは絶対じゃないといけないんだからね‼︎僕は金華猫を召喚‼︎」

 

「えっ⁉︎金華猫⁉︎」

 

 

〈金華猫〉☆1 獣族 闇属性

ATK400

 

 

現れたのは私がいつも頼りにしている霊体になっている猫のようなモンスター。

 

不死川君の召喚した金華猫は、私を見ると瞳孔を広げながら『シャー』っと鳴き声をあげながら威嚇する。

 

うぅ………うちの子じゃないのはわかってるけど威嚇されるのは結構ショックだよ………

 

「金華猫の効果発動‼︎召喚した時、墓地に存在するレベル1モンスターを特殊召喚する‼︎

蘇れ、ワイトプリンス‼︎」

 

 

〈ワイトプリンス〉☆1 アンデット族 闇属性

DEF0

 

 

姿を見せたのは王子様のような姿をしたガイコツのモンスター。

 

現れたワイトプリンスを見て、不死川君は不気味な笑みを浮かべながらワイトプリンス達に手をかざす。

 

その瞬間、不死川君の身体を少しだけ闇が溢れ出し、不死川君の身体を覆った気がした。

 

「僕はレベル1の魔導雑貨商人、金華猫、ワイトプリンスでオーバーレイ‼︎3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」

 

「‼︎エクシーズ召喚………?」

 

魔導雑貨商人、金華猫、ワイトプリンスが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けると、そこに現れたのは夜空のようなドレスを身に纏い、水晶の杖を持った闇夜の女王。

 

「銀河の闇より生まれし女王よ‼︎その冷酷なる魔術で王に叛く者を断罪せよ‼︎現れろ‼︎No.83ギャラクシークィーン‼︎」

 

 

〈No.83ギャラクシークィーン〉★1 魔法使い族 闇属性

DEF500

 

 

「No.83………ギャラクシークィーン?」

 

聞いたこともないエクシーズモンスターに私は思わず首を傾げてしまう。

 

私のデッキも不死川君のようにレベル1が主体のデッキだから闇先パイにエクシーズ召喚について教えてもらった時に、ランク1のエクシーズモンスターにどんなモンスターがいるのかを調べた。

 

だけど、その時にギャラクシークィーンなんて名前のモンスターはいなかったハズだ。

 

それに立体映像として映し出されたギャラクシークィーン自体にもどこか違和感のようなものを感じてしまう。

 

存在が知られていない、どこか違和感を感じるエクシーズモンスター………なんだか、嫌な予感がする。

 

「クックックッ、これで君の処刑は決まったようなものだけど、どうせだからたっぷりと君を絶望させてあげよう‼︎手札からワイトメアの効果を発動‼︎このカードを手札から捨てて以下の効果から1つを選択して発動する事ができる‼︎ゲームから除外されている自分のワイトまたはワイトメア1体を選択して自分の墓地に戻すか、ゲームから除外されている自分のワイト夫人またはワイトキング1体を選択してフィールド上に特殊召喚することができる‼︎僕はワイト夫人を特殊召喚‼︎」

 

 

〈ワイト夫人〉☆3 アンデット族 闇属性

DEF2200

 

 

ワイトキングの横に現れるのは貴婦人のような姿をしたガイコツのモンスター。

 

そのモンスターからワイトキングを包むように黒いオーラのようなものが溢れ出す。

 

「ワイト夫人の永続効果、このカードがフィールドに表側表示で存在する限り、ワイト夫人以外のフィールド上のレベル3以下のアンデット族モンスターは戦闘では破壊されず、魔法・罠カードの効果も受けない‼︎」

 

「っ………相変わらず厄介な耐性ですね」

 

「さらに墓地に存在する馬頭鬼の効果発動‼︎自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のアンデット族モンスター1体を特殊召喚する‼︎さあ、愚民を絶望させろ、ワイトキング‼︎」

 

「3体目のワイトキング⁉︎っ、魔導雑貨商人ですでに墓地に落ちてたんですか………」

 

 

〈ワイトキング〉☆1 アンデット族 闇属性

ATK?

 

 

フィールドに現れた3体のワイトキングが私を睨みつける。

 

不死川君の墓地にはすでにかなりの数のワイトがいるハズだからその攻撃力は凄まじいことになっているだろう。

 

だけど、私のセットモンスターは相棒のハネクリボー。

 

だから、最低でもこのターンは生き残れるハズだ。

 

そんな私の思考を読んだかのように不死川君の不気味な笑みを浮かべる。

 

「ククク、あまり慌てた様子が見えないね。ということは、そのセットモンスターはハネクリボーとかいうあの忌々しい雑魚モンスターかな?」

 

「………さあ、どうでしょうね?」

 

「あはは、図星かい?まあ、真実がどうかなんてどうでもいいさ。それよりも、まさかこれぐらいならまだ耐えられるだなんて思ってるんじゃないだろうね?」

 

「………」

 

「はっ、これだから愚民は理解力が乏しくて困る。1度見た戦法が王に通じるわけがないだろう?僕には王を勝利に導く闇の女王がいるんだからね‼︎No.83ギャラクシークィーンの効果発動‼︎ギャラクシーオペイク‼︎」

 

「‼︎あのエクシーズモンスターの効果ですか………」

 

「1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除き、次の相手のエンドフェイズ時まで、自分フィールド上に存在するモンスターは戦闘では破壊されず、守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える‼︎」

 

「っ⁉︎モンスター全体に戦闘破壊耐性と貫通効果を与えるんですか⁉︎」

 

ギャラクシークィーンの杖から闇が溢れ出し、不死川君のモンスター達を包み込む。

 

闇を纏ったワイト達は歓喜したように身体を震わせる。

 

「オーバーレイユニットとして墓地に送られたワイトプリンスの効果発動‼︎デッキからワイトとワイト夫人1体ずつを墓地に送る‼︎さらに速攻魔法、速攻魔法、異次元からの埋葬‼︎除外されている自分及び相手のモンスターの中から合計3枚までそのモンスターを墓地に戻す‼︎僕は除外されているワイト、ワイトプリンス、馬頭鬼を墓地に戻す‼︎」

 

「またワイトが墓地に………」

 

「さあ、王の威光を示す時だ‼︎ワイトキングの永続効果、グールズエクスプロイテイション‼︎このカードの攻撃力は墓地に存在するワイトキングとワイトの数×1000ポイントの数値になる‼︎墓地に存在するワイト夫人、ワイトプリンス、ワイトメア、そしてワイトプリンセスはワイトとして扱う」

 

「っ、先程の魔導雑貨商人で他のワイトも墓地にいってたんですね」

 

「僕の墓地にはワイトが3枚、ワイト夫人、ワイトメア、ワイトプリンス、ワイトプリンセスがそれぞれ2枚ずつ存在している‼︎よってワイトキングの攻撃力は‼︎」

 

 

ワイトキング

ATK?→11000

 

 

「攻撃力11000の貫通攻撃モンスターが3体⁉︎」

 

「さあ、この世から消してあげるよ‼︎バトル‼︎ワイトキングでセットモンスターを攻撃‼︎キングダークネス‼︎」

 

「っ、セットモンスターはハネクリボー‼︎」

 

 

〈ハネクリボー〉☆1 天使族 光属性

DEF200

 

 

現れるのは天使の羽を持つ私の相棒。

 

ハネクリボーは私を守るように手を広げる。

 

「ハッ、やはりその雑魚モンスターか‼︎だが、そいつの効果が発動するのは破壊された後だ‼︎No.83ギャラクシークィーンの力を得たワイトキングには無意味‼︎雑魚モンスターの壁なんて意味をなさないんだよ‼︎」

 

「相棒の頑張りを、無意味になんかさせません‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎パワーウォール‼︎」

 

「何⁉︎」

 

「相手モンスターの攻撃によって自分が戦闘ダメージを受けるダメージ計算時、その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージが0になるように500ダメージにつき1枚、自分のデッキの上からカードを墓地へ送ります‼︎ワイトキングの攻撃で発生する戦闘ダメージは10800だからデッキの上から22枚のカードを墓地に送ってダメージを0にします‼︎」

 

私がデッキの上から22枚のカードを墓地に送ると、私の前に粒子で出来た盾が生まれる。

 

ワイトキングが身体上から溢れ出る闇を拳に集め、ハネクリボーを殴り飛ばして粒子に変えながら、拳に集めた闇を私に向けて放つが放たれた闇は粒子の盾に阻まれる。

 

そして破壊されたハネクリボーの粒子が私を守るように私の身体を包み込んだ。

 

「ハネクリボーの効果発動‼︎プリフィケーション‼︎このカードがフィールドから墓地に送られたターン、自分の受ける戦闘ダメージは0になる‼︎」

 

「チッ、王の攻撃を防ぐとは生意気な奴め‼︎………まぁいいさ。君には王を倒すことなどできやしないんだからね‼︎僕はこれでターンエンドだ‼︎」

 

 

遊花 LP8000 手札3

 

ーーー▲ー ー

ーーーーー

ー □

□○○○ー

ーー▲ーー ー

 

王我 LP8000 手札0

 

 

不死川君のフィールドには攻撃力11000まで高められたワイトキングが3体と、そのワイトキングに強力な耐性を与えているワイト夫人とギャラクシークィーンがいる。

 

ワイトキングとワイト夫人だけならまだ耐えられるかもしれないが、ギャラクシークィーンがいる限りワイトキングの攻撃は必ず私に届く。

 

早くあのカードを何とかしないと………

 

「私のターン、ドロー‼︎私はクリボルトを召喚‼︎」

 

 

〈クリボルト〉☆1 雷族 光属性

ATK300

 

 

出て来たのは電気を出している黒い球体のモンスター。

 

「っ、小賢しいモンスターを‼︎そんなものが通用するわけないだろう‼︎リバースカードオープン‼︎速攻魔法、禁じられた聖衣‼︎フィールドの表側表示モンスター1体を対象としてターン終了時までそのモンスターは、攻撃力が600ポイントダウンし、効果の対象にならず、効果では破壊されない‼︎対象はNo.83ギャラクシークィーン‼︎」

 

「っ、ここで………」

 

 

No.83ギャラクシークィーン

ATK500→0

 

 

ギャラクシークィーンのドレスが白の聖衣を纏う。

 

オーバーレイユニットさえ無くしてしまえればと思ったけど、やっぱりそう簡単には通してくれないよね。

 

「だけど、まだ諦めません‼︎導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」

 

「リンク召喚か………」

 

私の前に大きなサーキットが現れる。

 

「召喚条件はレベル1モンスター1体。私はクリボルトをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚‼︎希望の守り手‼︎リンク1‼︎リンクリボー‼︎」

 

 

〈リンクリボー〉LINK1 サイバース族 闇属性

ATK300 ↓

 

 

クリボルトがサーキットに吸い込まれると、代わりに私の前に青い球体のモンスターが現れる。

 

「えっ………リンクリボー?どうしたの?」

 

しかし、いつもなら元気一杯と言った風に私に擦り寄ってくるリンクリボーはどこか警戒した様子でギャラクシークィーンを見つめていた。

 

「………あ‼︎そういえば………」

 

私はリンクリボーの様子からあることに思い至り改めて不死川君のフィールドを見る。

 

不死川君のフィールドではワイトキング達が身に纏う闇のオーラに歓喜するように身体を震わせ、そんなワイトキングをワイト夫人が愛おしそうに見つめていた。

 

しかし、そんな中でもギャラクシークィーンはエクシーズ召喚された時と変わらず、ただその場に佇み、無機質な目で私の方を見ていた。

 

「………やっぱり、そうだ」

 

改めて不死川君のフィールドを見て、私はギャラクシークィーンから感じた違和感に気づく。

 

不死川君のフィールドにいるワイトキング達はまるで生きているような………いや、アンデットだから死んではいるんだろうけど、意思のようなものを感じられた。

 

だけど、ギャラクシークィーンからはその意思というものが感じられない。

 

その場にただ佇み、決められた命令通りに動く、まるでロボットのような機械じみた印象を受けるのだ。

 

勿論、立体映像なのだから意思が感じられないなんて当然だと思う。

 

だけど、この感覚は間違っていないと、私の直感が告げていた。

 

「でも、それならなんであのカードからだけ………」

 

「さっきから何をぶつぶつと呟いている?何もしないんだったらさっさと負けを認めろ‼︎」

 

思考に耽っていた私に不死川君は怒鳴り声をあげる。

 

………この感覚が何なのかは分からないけど、今はデュエルに集中しないと。

 

「………私はこのままターンエンドです」

 

 

No.83ギャラクシークィーン

ATK0→500

 

 

遊花 LP8000 手札3

 

ーーー▲ー ー

ーーーーー

☆ □

□○○○ー

ーーーーー ー

 

王我 LP8000 手札0

 

 

「あはははは‼︎手も足もでないようだね。ならば、さっさと潰してあげるよ‼︎僕のターン、ドロー‼︎No.83ギャラクシークィーンの効果発動‼︎ギャラクシーオペイク‼︎オーバーレイユニットを1つ取り除き、再び僕のモンスターに次の相手のエンドフェイズ時まで、戦闘では破壊されず、守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える効果を付与する‼︎」

 

「っ、また………」

 

ギャラクシークィーンの杖から溢れ出した闇が再び不死川君のモンスター達を包み込む。

 

「それでは王の威光に背いた愚民に判決を言い渡そう。愚民である君に与える判決は、死だ‼︎バトル‼︎ワイトキングでリンクリボーを攻撃‼︎キングダークネス‼︎」

 

「相手モンスターの攻撃宣言時、リンクリボーの効果発動‼︎ゼロリンク‼︎このカードをリリースし、その相手モンスターの攻撃力はターン終了時まで0になる‼︎」

 

 

ワイトキング

ATK11000→0

 

 

リンクリボーの身体が粒子に変わってワイトキングに纏わりつき、殴りかかろうとしてきたワイトキングが纏っていた闇を払う。

 

「防いだか。だが、それだけでは君の判決は変わらない‼︎2体目のワイトキングでダイレクトアタック‼︎キングダークネス‼︎」

 

「まだです‼︎相手モンスターの攻撃宣言時にクリボーンの効果、それにチェーンしてクリアクリボーの効果発動‼︎」

 

「チッ、さっきのパワーウォールで墓地にいったカードか‼︎」

 

「まずはクリアクリボーの効果発動‼︎相手モンスターの直接攻撃宣言時、墓地のこのカードを除外し、自分はデッキから1枚ドローし、そのドローしたカードがモンスターだった場合、そのモンスターを特殊召喚してその後、攻撃対象をそのモンスターに移し替えます‼︎私はカードを1枚ドロー‼︎このカードは特殊召喚しません。そしてクリボーンの効果発動‼︎相手モンスターの攻撃宣言時に墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のクリボーモンスターを任意の数だけ対象として、そのモンスターを特殊召喚します‼︎来て、アンクリボー‼︎クリボーン‼︎クリボール‼︎ジャンクリボー‼︎そして、いつだって、私と共に‼︎ハネクリボー‼︎」

 

 

〈アンクリボー〉☆1 悪魔族 闇属性

DEF200

 

 

〈クリボーン〉☆1 天使族 光属性

DEF200

 

 

〈クリボール〉☆1 悪魔族 闇属性

DEF200

 

 

〈ジャンクリボー〉☆1 機械族 地属性

DEF200

 

 

〈ハネクリボー〉☆1 天使族 光属性

DEF200

 

 

私を守るようにフィールドに5体のクリボー達が現れる。

 

しかし、現れたクリボー達を嘲笑うように不死川君は声をあげる。

 

「学習能力がないなぁ、君は。雑魚モンスターの壁など意味をなさないと言ってるだろ‼︎攻撃対象が増えたことで攻撃対象を変更‼︎2体目のワイトキングでクリボールを攻撃‼︎キングダークネス‼︎」

 

ワイトキングの拳がクリボールを弾き飛ばし、闇が私に向かって放たれる。

 

だけど、まだ終わりじゃない‼︎

 

「手札から、クリボーの効果発動‼︎ダークエンヴェロップ‼︎相手モンスターが攻撃した場合、そのダメージ計算時にこのカードを手札から捨てて、その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にします‼︎」

 

「チッ、まだ防ぐというのか⁉︎」

 

クリボーが私を守るように立ち塞がり、ワイトキングが放った闇を受け止め、粒子になって消えていく。

 

ありがとう、クリボール、クリボー。

 

君達の頑張りは無駄にしないよ‼︎

 

「墓地に存在する妖醒龍ラルバウールの効果発動‼︎このカードが手札・墓地に存在し、自分フィールドのモンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合にこのカードを特殊召喚します‼︎ただし、この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外されます‼︎おいで、妖醒龍ラルバウール‼︎」

 

 

〈妖醒龍ラルバウール〉☆1 ドラゴン族 闇属性

DEF0

 

 

フィールドに現れたのは銀色の身体の幼竜。

 

現れたラルバウールはギャラクシークィーンを警戒した様子で見つめながら私の頭の上に乗る。

 

そこ、前にも乗ってたけど気に入ったの?

 

いや、別にいいんだけどね。

 

「妖醒龍ラルバウールの効果発動‼︎このカードが特殊召喚に成功した場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として自分の手札を1枚選んで捨て、対象のモンスターと同じ種族・属性でカード名が異なるモンスター1体をデッキから手札に加える‼︎私はハネクリボーを対象に手札を1枚捨て、天使族・光属性の究極時械神セフィロンを手札に加えます‼︎」

 

「ほぅ、大それた名前のモンスターを持っているじゃないか。だが、せっかく加えたそのカードも、君が消えれば使えない‼︎3体目のワイトキングでーーー」

 

「いえ、まだ終わりません‼︎妖醒龍ラルバウールの効果で手札から捨てられたフリップフローズンの効果発動‼︎このカードが墓地へ送られた場合、相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て守備表示にします‼︎」

 

「何だって⁉︎」

 

こちらに走りだそうとしたワイトキングが踏みしめていた地面が突然凍りつき、ワイトキングが足を滑らせてその場で転倒すると、ワイトキングの頭部についていたガイコツが外れて氷の上を勢いよく転がっていく。

 

転がっていった頭部を拾おうと他のワイトキングも動こうとするが、同じように凍りついた地面で足を滑らせて転倒した。

 

 

ワイトキング

ATK11000→DEF0

 

 

「クソが、さっきからちょろちょろとかわしやがって‼︎………まぁいい。ワイトキング達は戦闘では破壊されない。それに守備表示になったということはダメージを受ける心配もなくなったということだ。次のターンこそ、君に引導を渡してやる‼︎メインフェイズ2、カードを1枚伏せてターンエンドだ‼︎」

 

 

遊花 LP8000 手札3

 

ーーー▲ー ー

□□□□□

ー □

□□□□ー

ーー▲ーー ー

 

王我 LP8000 手札0

 

 

何とか耐え凌ぎ、再び私のターンがやってくる。

 

だけど、私も防御手段をほとんど使い切ってしまったため次のターンを渡すようなことがあれば次こそは本当に防ぎきれない。

 

このターンが、私がデュエルに勝利する最後のチャンス。

 

「私のターン、ドロー‼︎」

 

勢いよくドローしたカードに視線を向ける。

 

ドローしたカードを見て、私は思わず笑みを浮かべた。

 

「見えました………あなたの攻略法‼︎」

 

「何⁉︎」

 

私の言葉に不死川君が目を見開く。

 

そんな不死川君に、私は確かな自信を持って口を開く。

 

「不死川君………あなたを、攻略します‼︎」

 

「っ、戯言を‼︎」

 

私は深く深呼吸をして正面に手をかざす。

 

さあ、あなたの出番だよ‼︎

 

「行きます、導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」

 

私の前に再び巨大なサーキットが現れる。

 

「召喚条件は効果モンスター3体以上‼︎私は妖醒龍ラルバウール、アンクリボー、クリボーン、ジャンクリボーをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」

 

「っ、大型のリンクモンスターか………」

 

ラルバウール、アンクリボー、クリボーン、ジャンクリボがサーキットに吸い込まれていく。

 

そしてサーキットが光り輝くとそこから現れるのは剣の如き龍。

 

「お願い、私に王に反逆する力を貸して‼︎リンク召喚‼︎閉ざされた運命を斬り開く魂の( つるぎ)‼︎リンク4‼︎ヴァレルソードドラゴン‼︎」

 

私の願いに剣の如き龍は咆哮で応えた。

 

 

〈ヴァレルソードドラゴン〉LINK4 ドラゴン族 闇属性

ATK3000 ↙︎←↓↑

 

 

「リンク4の大型ドラゴンだと⁉︎」

 

「まだです‼︎私はサクリボーを召喚‼︎」

 

 

〈サクリボー〉☆1 悪魔族 闇属性

ATK300

 

 

現れたのはクリボーに似た毛玉のモンスター。

 

「導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」

 

私の前に再び大きなサーキットが現れる。

 

「召喚条件は効果モンスター2体‼︎私はハネクリボーとサクリボーをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎リンク2‼︎ペンテスタッグ‼︎」

 

 

〈ペンテスタッグ〉LINK 2 サイバース族 闇属性

ATK1600 ↑↓

 

 

現れたのは機械の身体を持つクワガタのようなモンスター。

 

「ペンテスタッグだと?確かそのモンスターは………」

 

「ペンテスタッグの永続効果‼︎このカードがモンスターゾーンに存在する限り、リンク状態の自分のモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与えます‼︎」

 

「っ‼︎成る程、その貫通効果で僕のライフを削りきる気だな。だが、無意味だ‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎閻魔の裁き‼︎相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、そのモンスターを破壊する‼消えろ、ペンテスタッグ‼︎」

 

「っ、ゴメンね、ペンテスタッグ………」

 

フィールドに現れた閻魔が

 

破壊されたペンテスタッグを見て不死川君が勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

 

「はっ、呆気ない。これで分かっただろう?君が僕に勝てるわけがないんだよ‼︎」

 

「はい、見えましたよ。あなたを攻略する私の未来が‼︎」

 

「何⁉︎」

 

「今の行動であなたのセットカードは無くなりました。これで妨害されることなく動くことができます‼︎このモンスターは自分の墓地にモンスターが10体以上存在する場合のみ特殊召喚する事ができる‼︎」

 

「っ、聞いたことがない特殊召喚条件だと⁉︎」

 

私の呼び声に呼応するかのように、私の背後に巨大な大樹が現れる。

 

そして大樹から10の光が溢れ、光の線で結ばれていくと、大樹の中から現れたのは機械の身体を持つ巨大な天使にして、時を司り、世界を救おうとした究極の神。

 

「おいで‼︎時空を超え、希望を導く叡智の神‼︎究極時械神セフィロン‼︎」

 

 

〈究極時械神セフィロン〉☆10 天使族 光属性

ATK4000

 

 

「っ、さっき妖醒龍ラルバウールで手札に加えたモンスターか‼︎」

 

「究極時械神セフィロンの効果発動‼︎リザレクションウィッシュ‼︎1ターンに1度、レベル8以上の天使族モンスター1体を自分の手札・墓地から特殊召喚する事ができる‼︎この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、攻撃力は4000になる‼︎」

 

「何っ⁉︎君のデッキはレベル1モンスターのデッキのハズだ‼︎レベル8以上の天使族モンスターなんて………」

 

「いるんです、私のとっておきの相棒が‼︎いつまでも、私と共に羽ばたいて‼︎ハネクリボーLV9‼︎」

 

「ハネクリボーLV9だと⁉︎」

 

 

〈ハネクリボーLV9〉☆9 天使族 光属性

ATK?→4000

 

 

セフィロンの身体が光り輝き、その輝きに導かれ、フィールドに現れたのは赤き鎧に身を包んだ天使の羽を持つ私の相棒。

 

今回はちょっと損な役回りをさせちゃうけど、私に力を貸してね、相棒‼︎

 

「レベル9のハネクリボーだと⁉︎そんなモンスターもパワーウォールで墓地に送っていたのか⁉︎」

 

「ヴァレルソードドラゴンの効果発動‼︎アサシネイトショット‼︎1ターンに1度、攻撃表示モンスター1体を対象として発動‼︎そのモンスターを守備表示にし、このターン、このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。そしてこの効果の発動に対して相手は効果を発動できない‼︎この効果は相手ターンにでも使用することが出来ます‼︎対象にするのは、ハネクリボーLV9‼︎」

 

「2回攻撃だと⁉︎」

 

ヴァレルソードドラゴンが相棒に向かって銃撃を放ち、相棒がその銃弾を弾いて防御を固める。

 

 

ハネクリボーLV9

ATK4000→DEF0

 

 

「これがあなたの攻略法です‼︎速攻魔法、エネミーコントローラー‼︎」

 

「何⁉︎貴様、まさか⁉︎」

 

「私は2つの効果の内、自分フィールドのモンスター1体をリリースし、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象に、その表側表示モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る効果を選択‼︎私はハネクリボーLV9をリリースし、No.83ギャラクシークィーンのコントロールを得ます‼︎」

 

「や、止めろぉぉぉ‼︎」

 

相棒の姿が消えると、フィールドに現れたコントローラーが動き出し、そのコマンドに操られ、ギャラクシークィーンが私のフィールドに移動する。

 

その瞬間、ギャラクシークィーンのカードから闇のようなものが吐き出され、私に向かってきた。

 

「ふぇっ⁉︎な、何⁉︎」

 

私は咄嗟に防ぐように手を正面にかざし、怖くなって目を閉じる。

 

その瞬間、私の視界で何かが輝いた気がした。

 

しばらくして何も起こらずおそるおそる目を開けて見ると、闇のようなものはどこにもなく私のフィールドに移動したギャラクシークィーンが私を見つめ、申し訳なさそうに頭を下げた。

 

「えっ?何々?何が起こったの?」

 

私は突然のことに首を傾げてしまう。

 

さっきのは幻覚?

 

でも、確かにギャラクシークィーンから闇のようなものが溢れてた気がするし………それに、今確かにギャラクシークィーンは私に向かって頭を下げたよね?

 

さっきまではまるでロボットみたいな機械じみた印象を受けたのに、今は確かにギャラクシークィーンの意思のようなものが感じられた。

 

も、もうわけがわからないよ〜‼︎

 

「………ん?なんだ?何で僕は栗原 遊花なんかとデュエルしてるんだ⁉︎」

 

「ふぇ?」

 

私が1人困惑していると、そんな声が聞こえてきて私は不死川君の方を見る。

 

すると、そこには先程までの鬼気迫った様子ではなく明らかに困惑している不死川君の姿があった。

 

「おい‼︎栗原 遊花‼︎貴様、一体何をした‼︎何故、僕が君なんかとデュエルをしてるんだ‼︎」

 

「ええっ⁉︎そんなの私が聞きたいよ‼︎無理矢理挑んできたのは不死川君の方だよ⁉︎」

 

「はぁ?嘘をつくな。僕が君程度の決闘者にデュエルを挑む理由なんてあるわけないだろ」

 

「ええっ⁉︎」

 

先程までの流れを完全に覆すような発言をする不死川君。

 

一体全体どうなってるの⁉︎

 

「………ふん、まぁいい。君をここで倒して期末試験の借りを返すのも一興だ。さあ、かかってこい‼︎栗原 遊花‼︎」

 

「うぅ………何なの本当に………もう‼︎よく分からないからすぐにデュエルを終わらせます‼︎No.83ギャラクシークィーンの効果発動‼︎ギャラクシーオペイーーー」

 

そこまでいったところで私のフィールドにいたギャラクシークィーンが首を振った。

 

えぇ………今度は何なの?

 

ギャラクシークィーンは私を見ると、杖を振って不死川君のフィールドにいた時とは違い杖から闇ではなく光を放った。

 

も、もしかして効果名の変更を求められてるの?

 

ほ、本当に何なんだろうこのカード?

 

ええっと、不死川君が言ってたギャラクシーオペイクはギャラクシーが銀河でオペイクは闇って意味のハズだから、訳すると銀河の闇、だよね?

 

でも、今は光を放ってるから、ええっと………

 

「No.83ギャラクシークィーンの効果発動‼︎ギャラクシークィーンズライト‼︎オーバーレイユニットを1つ取り除き、私のモンスターに次の相手のエンドフェイズ時まで、戦闘では破壊されず、守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える効果を付与します‼︎」

 

「何だと⁉︎」

 

ギャラクシークィーンは私のつけた効果名に満足そうにしながら杖を振るい、私のモンスターを光で包む。

 

よ、よく分からないけど、これで準備は整ったもん‼︎

 

「バトル‼︎ヴァレルソードドラゴンでワイトキングを攻撃‼︎攻撃宣言時、ヴァレルソードドラゴンの効果発動‼︎アブソーブブースト‼︎1ターンに1度、このカードが表側表示モンスターに攻撃宣言した時、ターン終了時まで、このカードの攻撃力はそのモンスターの攻撃力の半分アップし、そのモンスターの攻撃力は半分になる‼︎」

 

「何っ⁉︎」

 

 

ワイトキング

ATK11000→5500

 

 

ヴァレルソードドラゴン

ATK3000→8500

 

 

ヴァレルソードが斬りかかり、それをワイトキングは闇を纏った拳で受け止めるが、剣から漏れる赤い光に徐々に闇が吸い取られていく。

 

「これで終わりです‼︎斬り開いて、ヴァレルソードドラゴン‼︎剣光のベイオネットブレイク‼︎」

 

私の言葉にヴァレルソードは応えるように咆哮をあげ、そのままワイトキングを斬り裂き、爆風で不死川君を吹き飛ばした。

 

「んぎゃあああ‼︎」

 

 

王我 LP8000→0

 

 

ーーーーーーー

 

 

「ふぅ………おわったぁ………」

 

何だか色んな意味で疲れてしまった私は思わずそんな気の抜けた声を漏らして、廊下にへたり込む。

 

その瞬間、私に向かって何かが飛んでくるのが見えた。

 

「わあっ⁉︎今度は何なの⁉︎」

 

私は反射的に飛んできたものを受け止め、おそるおそる受け止めたものを見る。

 

私が受け止めたのは不死川君が使っていたギャラクシークィーンのカードだった。

 

「ええっ⁉︎何で⁉︎」

 

私は困惑した表情で不死川君を見るが、不死川君は忌々しげに表情を歪めながら、俯いてぶつぶつと呟いていた。

 

「クソっ‼︎何がどうなってるんだ‼︎何故気付いたら栗原 遊花とデュエルをしている‼︎しかも、何であんな負けるのが確定した状況なんだ‼︎」

 

「あ、あの………」

 

「ああ⁉︎僕を笑いにきたのか⁉︎」

 

「ひゅい‼︎ち、違うよ‼︎私は不死川君のカードが私に向かって飛んできたから返そうとしただけで………」

 

「はぁ?」

 

「ほ、ほら、これ」

 

機嫌が悪そうに怒鳴り声をあげる不死川君に、私はおそるおそるギャラクシークィーンのカードを見せる。

 

すると、不死川君は余計に怒ったような表情を浮かべた。

 

「それは僕への当てつけのつもりか?それは君が使ってたカードだろ‼︎」

 

「ええっ⁉︎違うよ‼︎このカードは不死川君が出してきたんだよ⁉︎私はそれをエネミーコントローラーを使ってコントロールを得ただけで………」

 

「何をふざけたことを………僕はこんなカードは持っていない‼︎なら使ってるのは君しかいないじゃないか‼︎」

 

「え、えぇ………?」

 

不死川君の言葉に私は困惑した表情を浮かべる。

 

今のデュエルでギャラクシークィーンを使っていたのは間違いなく不死川君だったのに、それすらも覚えていないの?

 

本当に、このカードはなんなんだろう?

 

私が戸惑っている間に不死川君はデュエルディスクを仕舞い、こちらを睨みつけながら吐き捨てるように口を開いた。

 

「これで勝ったと思うなよ、栗原 遊花‼︎次は絶対に君をひれ伏させてみせるからな‼︎」

 

「あ‼︎ちょっと、待ってよ不死川君‼︎」

 

私が呼び止める間も無く不死川君が走り去っていく。

 

残されたのはギャラクシークィーンを手にして呆然としている私だけ。

 

「うぅ………本当になんなの〜もう‼︎」

 

そんな私の問いに、答えてくれる人はいなかった。

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「ふーん。ちょっと想像とは違ったけど、やっと面白そうなプレイヤーが見つかったかな?」

 

廊下にへたり込んで遊花が嘆きの声をあげている頃、そんな遊花を物陰から見ている人影があった。

 

「そろそろプレイヤーを探すのにも飽きちゃったし、私もゲームに参加させて貰おうかなぁ?挨拶ぐらいは、しておいてもいいよね?」

 

人影はあまり感情がこもっていない透き通った声でそういうと近くにあった窓から外を見る。

 

その方角にあるのは、この街にある大きな公園。

 

「怒られちゃうかも知れないけど、少しだけ摘まみ食いさせて貰っちゃお。少しは面白いゲームになればいいなぁ」

 

そういうと、まるで初めからそこにいなかったかのように、人影は姿を消すのだった。

 

 





次回予告

手掛かりを得られないまま仕事を続ける遊騎の前に謎の少女が現れる。
少女は闇のカードについて知っており、知りたければ自分とデュエルをするように遊騎に告げ、遊騎は手掛かりを得るために少女にデュエルを挑む。
全力で挑む遊騎のデュエルに、少女は無邪気な笑みを浮かべる。

次回 遊戯王Trumpfkarte
『悪意の庭』


次回は遊騎のデュエル回。
遊騎視点でお送りする予定です。
遊騎は手掛かりを得ることができるのか?遊騎にデュエルを挑んだ少女の正体とは?
次回をお楽しみに。

そして遊花もとうとう闇のカードと遭遇しました。
これから少しずつ遊花の方でも物語が動いていきます。
そんな遊花が手に入れたのはギャラクシークィーン。
全体に戦闘破壊耐性と貫通効果を付与する女王様です。
遊花の耐久力がさらに増しそうですが、貫通効果はペンテスタッグがいるのでどうなるか。

それじゃあ今回はここまで。
連休なのに何故か普段より忙しいですが、もう少し更新できるように頑張ります‼︎
ではでは〜
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。