大変お待たせ致しました。
今回は会話回です。
残念ながらデュエルパートまで辿り着くことができなかったので、本当に会話だけの回です。
遊騎視点と遊花視点を交えておりします。
それでは本編へGO‼︎
☆
「………本当にここに入るのかい?」
「そうだが、どうかしたのか?」
「うっ………虎穴に入らずんば虎子を得ず、か」
「はぁ?ここに危険なんてないぞ?というか、俺の実家にその言い方は失礼だろ」
「いや、まぁ………なんというか………うん」
引き攣った表情でなんとも歯切れの悪い返答を返す夜に俺は首を傾げる。
正体不明の襲撃者に襲われてコートオブアームズ以外のNo.を失い、代わりに謎のカードを手に入れた日の翌日。
俺達は少しでも何かの手掛かりを得られないかと思い、島さんがいる『Natural』に足を運んでいた。
前に話をした時に闇のカードのことはよく知っていると言っていたし、もしかしたらこの謎のカード達についても知っているかもしれないと思ったからだ。
今日は仕事も休みで俺が手に入れていたカードだから本当は1人でくる予定だったのだが、興味があるからと夜と一緒にくることになり、夜を待っていたら時刻は夕方になってしまった。
まぁ、夜にも自分の生活があるんだから遅くなってしまっても仕方がないことだけどな。
俺だって自分の仕事が終わるのを待って貰ってることがあるし。
それはそれとして、この夜の反応は何なんだろうか?
『Natural』に行くという話をした時、夜の反応は極めて普通だった。
俺の実家だと言うことを話したら寧ろ興味深そうにしていたハズなんだが………
俺が訝しげな表情を浮かべていると夜は引き攣った笑みのまましばらくの間宙に視線を彷徨わせ、1度ため息を吐くと覚悟を決めたような表情を浮かべた。
「………はぁ………よし、入ろうか」
「何だかよく分からないが、いいのか?」
「うん、待たせてゴメンね。気持ちの整理はついたから」
「何でカードショップに入るのに気持ちの整理がいるんだよ………」
「カードショップだからって理由じゃないけど………ボクにも色々あるんだよ」
「………まあ、いいけどな」
「ゴメン」
「謝らなくてもいいって。それじゃあ覚悟も決まったみたいだし、入ろうぜ」
「いらっしゃい………おや、遊騎君じゃないか」
「………ただいま、島さん」
「ああ、おかえりなさい」
お店に入るといつものようにレジのところで島さんがコーヒーを飲んでいた。
俺の姿を見て嬉しそうに頰を緩ませる島さんに照れ臭さを感じながらも、本題に入るために口を開く。
「今日は島さんに見てもらいたいものがあってきたんだ」
「………ほぅ、それはそちらにいるのは新しいお友達も関係しているのかい?」
「ん、ああ。先に説明しとくよ、最近知り合った友人の、夜だ」
「は、初めまして、夜と言います。遊騎にはいつもお世話になっています」
俺が紹介すると、夜はどこか緊張した様子で島さんに頭を下げる。
島さんは少し驚いた表情を浮かべながらも、優しい笑みを浮かべて夜に向けて頭を下げた。
「これはどうもご丁寧に。私は島というものだ。
「そ、そうですか………」
「ははは、そんなに怯えなくても取って食ったりはしないよ。君も
「は、はい‼︎」
島さんの言葉に、夜は黒いパーカーの深く被ってあるフードが脱げそうなぐらいにぶんぶんと頷く。
夜らしくない行動に首を傾げていると、島さんの視線が俺に向いた。
「それで、私に見てもらいたいというものどんなものなんだい?」
「あ、ああ。これなんだけど、島さんは見たことないか?」
「っ⁉︎これは………」
島さんに促され、俺は自分のデッキから例の2枚のカードとコートオブアームズを引き抜いて島さんに見せる。
島さんは2枚のカードを見て驚いた表情を浮かべると、真剣な表情で俺を見た。
「遊騎君、これはどこで手に入れたんだい?」
「それが、よく分からないんだ」
「よく分からない?」
「ああ」
俺は島さんに昨日の出来事を伝えた。
闇のカードをばら撒いてると思われる決闘者とデュエルしたこと。
そのデュエルで俺が負け、デッキに入れなかったコートオブアームズ以外のNo.を失い、代わりにこのカードを手に入れていたこと。
そしてそのデュエルの詳細が思い出せないことなど、手掛かりになりそうなことは全て話した。
島さんは俺の話を聞き終わると腕を組んで困ったような表情を浮かべた。
「………話してくれてありがとう、遊騎君。とりあえず、君が無事でいてくれて良かったよ」
「うっ………ごめんなさい」
「謝らなくても構わないよ。それに、例え1度負けようと君はまた闇のカードを街に放っている人物を追うんだろう?」
「………」
島さんの言葉に俺は思わず目をそらす。
そんな俺に苦笑しながら、島さんは言葉を続ける。
「これでも君の保護者だからね、それぐらいは分かる。私にできることは、君が無事にこの事件を解決してくれることだけだよ」
「………ごめん。そしてありがとう、島さん」
「どういたしまして。さて、本題に入るとしよう。このカードについて聞きたいという話だったが、申し訳ないが私にもこのカードのことは分からない。力に慣れなくて悪いね」
「そっか、島さんにも分からないカードってあるんだな」
「それはそうさ。ただ、このNo.というカードについてなら少しは教えることができる」
「っ‼︎あなたは知ってるんですか、このNo.達について⁉︎」
島さんの言葉に、空気を読んで黙ってくれていた夜が喰いつく。
「ああ、このカード達はーーー」
夜の言葉に島さんが頷き、話しはじめようとした時、店の扉が開く音がした。
俺が思わずそちらを向くと、そこにはーーー
「こんにちはー………って、あれ?師匠?」
「遊騎?あんた何してるのよ?」
「何?"
「栗原先輩のお師匠さん、ですか?」
「遊花?桜?」
ーーー見たことがない少女達を連れた遊花と桜がそこにいた。
ーーーーーーー
★
「はぁ〜ようやく今日の講義が終わったわね………」
「ふふっ、お疲れ様、桜ちゃん」
講義が終わり、机に俯せになっている桜ちゃんに苦笑を浮かべながら、桜ちゃんの頭を優しく撫でる。
桜ちゃんは先程までの講義のダメージが余程大きかったのか俯せになったまま覇気のない声をあげる。
「うぅ〜あんなの社会にでても使う機会なんてあるわけないじゃない。何が微分積分よ………」
「あはは………まあ、気持ちは分かるけどね。でも、テストでは必要になるんだから覚えなきゃダメだよ?」
「くっ、この成績優秀者め………」
そういって、恨めしそうな目で桜ちゃんが私を見る。
私は別に成績優秀者ってわけではないと思うけど、勉強苦手な桜ちゃんからすれば、講義についていけている私は優秀に見えるんだろう。
私だって予習や復習をしてるからついていけてるだけなんだけどなぁ。
『全く、桜がしっかり勉強してないのが悪いのにその子に当たってどうするのよ』
「ふぇ?桜ちゃん、今何か桜ちゃんを叱るような声が聞こえなかった?」
「えっ⁉︎き、気のせいじゃない?」
突然、どこからか呆れたような女の子の声が聞こえた気がして私は辺りを見渡しながら桜ちゃんに尋ねる。
そんな私の問いに、桜ちゃんは私から目を逸らしながらどこか慌てた様子でそう答える。
「そうかな?確かに近くで聞こえた気がしたんだけど………」
「き、きっと疲れてるのよ‼︎ほら、今日も1日忙しかったでしょ?だから、今日は早く帰って休みましょ。うん、それがいいわ‼︎」
桜ちゃんはそう早口でまくし立てると急いで自分の荷物を纏める。
確かに、今日も1日闇先パイにデュエルを挑みたい人達が挑んできて休む暇もほとんどなかったし、少し疲れてきてるのかも。
でも、今日は行っておきたい場所があるんだよね。
「うーん、でも、今日は『Natural』に行こうと思ってたんだよね」
「『Natural』に?」
「うん。最近デュエルしてると私のデッキをピンポイントで妨害するようなカードを入れてる人が増えてきたから、対策のためにまたカードを見ながらデッキを組み直してみようかなって思って。それに、少し調べたいものもあるし」
私の頭に浮かぶのはギャラクシークィーンと一昨日手に入れたホープルーツのカード。
天神先生でも分からないカードだったけど、もしかしたら島さんなら何か知ってるかも知れないし、自分で調べれるところまで調べておきたいのだ。
ギャラクシークィーンを手に入れたあの日。
ギャラクシークィーンを使っていた不死川君は明らかに様子がおかしかった。
幸い、途中で元の不死川君に戻ったけど、もし不死川君があのままだったらどうなっていたかは分からない。
………私は、不死川君の様子がおかしかったのはあのギャラクシークィーンが原因だったのだと思う。
根拠と言える程、確かな確信があるわけじゃない。
だけど、ギャラクシークィーンのコントロールを奪った後に普段の様子に戻ったことを考えると、その可能性はかなり高いと思う。
私の脳裏に浮かぶのは、初めて行った異世界で行われた、私が未熟だったせいで私を守ろうとしてくれた優しい少女を傷つけ、危険な目に合わせてしまったデュエル。
あの時、私は対戦相手だった決闘者が使用したカードで、ありもしない幻影を見せられた。
異世界にもデュエルモンスターズは存在し、異世界でそのようなカードが存在しているのであれば、私達が生きているこの世界にだって、そんな不思議なカードが存在してもおかしくない。
………今回はその標的が偶々私だった。
だけど、もしその標的が私の大切な人達に向かったら………
「遊花?どうかしたの?」
「っ………ううん、何でもない」
心配そうな表情で私を見つめる桜ちゃんに、私は無意識のうちに握りしめていた手のひらを開いて誤魔化すように手を振る。
結局、ギャラクシークィーンについては何も分かっていないから、私の考え過ぎなのかも知れない。
だけど、だからこそ知っておきたい。
どうしてギャラクシークィーンがそんな力を持っていたのか。
そして、どうしてその力が
「とにかく私はこの後『Natural』に行ってみるね。桜ちゃんは先にーーー」
「何水臭いこと言ってるのよ。私だってついて行くわ。それに、対戦相手がいないとデッキ調整ができないでしょ?」
「桜ちゃん………ありがとう‼︎」
「わあっ⁉︎だから、いきなり抱き着かないでってば‼︎」
気持ちが抑えきれずに抱き着いた私を、桜ちゃんは顔を真っ赤にしながら引き離そうとする。
そんな中、私達の耳に聞き覚えのある笑い声が聞こえてきた。
「クックック、アッハハハハ‼︎見つけたぞ、"
「あれ?この声って………」
突然聞こえてきた妙な声に騒然とする教室の中、私が声の聞こえた方を見ると、そこには校内にも関わらず黒い日傘を差し、マントを羽織っている真紅ちゃんがいた。
「真紅ちゃん‼︎」
「わ、我が真名を呼ぶな‼︎"
「そう言うなら私もその呼び名はやめてほしいんだけど………」
私が困った表情を浮かべていると真紅ちゃんは騒然としている教室の中を気にも止めずに私の前まで歩いてきて、マントを翻しながらくるりと一回転し、眼帯を押さえながら私を指差した。
「さあ、
「見つけた‼︎何してるの、真紅ちゃん‼︎」
「チッ‼︎いいところで………」
「あ、刀花ちゃん」
真紅ちゃんが私にデュエルを申し込もうとしたところで、真紅ちゃんの後ろから慌てた様子で刀花ちゃんが教室に入ってくる
刀花ちゃんは急いで真紅ちゃんの側に近づくと、初めて会った時のように真紅ちゃんの頭に手を置くと、勢い良く下げさせた。
「すみません‼︎すみません‼︎また真紅ちゃんがご迷惑をかけてすみません‼︎」
「くっ、止めよ、"
「意味がわからないことを言わない‼︎もう栗原先輩達に迷惑をかけないって約束したでしょ‼︎」
「フン、そんなもの我は了承しておらいたたたた‼︎分かった、分かったから、刀花ちゃん‼︎手を放して‼︎頭が、頭が割れるぅ‼︎」
「すみません‼︎すみません‼︎本当にすみません‼︎」
「だ、大丈夫。私は気にしてないから。頭をあげて、刀花ちゃん」
「本当に申し訳ありません‼︎他の先輩方もお騒がせしてしまい申し訳ありませんでした‼︎」
涙目で頭を抑えている真紅ちゃんに無理矢理頭を下げさせながら、刀花ちゃんは何事かとこちらの様子を伺っていた他の生徒達にも頭を下げる。
他の生徒達はそんな刀花ちゃんに苦笑いを浮かべながらも、気にしてないとでも言うように手を振ったり、声をかけたりしていた。
まあ、これだけ一生懸命謝ってる子にこれ以上何かを言うのは良心が咎めるよね。
少し気になるのは真紅ちゃんの姿を見て頭を抱えたり、「静まれ」とか言いながら目や腕を抑えている男子生徒が何人かいることだけど、何かあったのかな?
「それで、結局真紅は何しにきたのよ?」
「
「長いのよ、アンタの呼び名………」
「フッ、我が呼び名を呼べるなど光栄におもってあー‼︎ごめんなさい‼︎謝る‼︎謝るから‼︎生意気言って本当にすみませんでした‼︎だから引きちぎらんとばかりに眼帯を引っ張らないで‼︎やめ、やめろー‼︎ああでもそのまま放すのは止めて‼︎ゆっくり、ゆっくり放してね‼︎」
刀花ちゃんに眼帯を思いっきり引っ張られながら悲鳴をあげる真紅ちゃんに桜ちゃんが憐れむような視線を向ける。
うん、全然話が進まない。
このままじゃ一向に『Natural』に行くことにならないよ。
「うーん、ゴメンね、真紅ちゃん。私達、今日はこの後カードショップに行く予定があるからデュエルは受けられないんだ」
「そうだったんですね………うぅ、なおのことお時間を無駄にしてしまい申し訳ありません」
「フッ、我から逃げるのかあああ‼︎刀花ちゃんの馬鹿ぁ‼︎ゆっくりって言ったのにぃ‼︎目が、目があああ‼︎」
「だ、大丈夫、真紅ちゃん?」
「ああ、気にしないでください。いつものことですから」
引っ張られていた眼帯を放され、ゴムの反動で眼帯が目に当たり廊下をのたうち回る真紅ちゃんを見て、刀花ちゃんが気にしないようにと手を振る。
というか、いつもこんな目にあってるの?
「くぅ、に、逃げるのか、"
「ここまでやられて全く反省した様子が見られないのはある意味凄いわね」
「別に逃げるつもりはないんだけど………そうだ‼︎真紅ちゃん達も一緒にくる?そうすれば向こうでデュエルができるかも知れないし」
「いいんですか?お邪魔になるかも知れませよ?」
「大丈夫。ちょうどデュエルの相手も欲しかったしね」
「そういうことなら、不束者ですが真紅ちゃん共々よろしくお願いします」
「クックック、いいだろう。そのカードショップを貴様の墓場にーーー」
「真紅ちゃん?」
「ーーーよろしくお願いします、先輩方‼︎」
刀花ちゃんが手を頭に乗せようとして、真紅ちゃんが慌てて頭を下げる。
うーん、今日は賑やかになりそうだなぁ。
ーーーーーーー
「あの、栗原先輩。少し聞きたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「ん?うん、いいよ。なにが聞きたいの?」
「栗原先輩は、どうやって今の強さを身につけたんですか?」
「ほぇ?」
『Natural』に向かう途中、私達の少し後ろを歩いていた刀花ちゃんにそんな質問をされた。
質問の意味がよく分からず首を傾げていると、刀花ちゃんはさらに言葉を続ける。
「あれから何度か栗原先輩がデュエルをする姿を見かけたのですが、栗原先輩が負けてるところって見たことがないんです。だから、どうすればそんなに強くなれるのかなって少し疑問に思ったんです」
「うーん、そんなに強いかなぁ?私なんてまだまだだと思うけど………」
「あ、あれでまだまだ、ですか?」
「だって、いつもギリギリのところまで追い詰められちゃうもん。もっと強く、もっと華麗に逆転できるようにならないと、ね」
私の言葉に刀花ちゃんが目を丸くする。
そんな刀花ちゃんに桜ちゃんがどこか呆れた様子で口を開いた。
「悪いわね、刀花。その子天然なの。それに、目指しているものがものだから理想も高くて、自信もないのよ」
「栗原先輩が目指してるもの、ですか?」
「ええ、その子が目指してる場所は、どんな逆境でも、笑顔で、楽しそうに切り抜けて、皆を驚かせるデュエルができる世界ランキング2位のプロチーム、『Trumpfkarte』のプロ決闘者だもの」
「『Trumpfkarte』のプロ決闘者………って、ええっ⁉︎」
「何だと⁉︎」
桜ちゃんの言葉に、刀花ちゃんと刀花ちゃんの隣で聞いてないフリをしながらもチラチラとこちらを見ていた真紅ちゃんが驚いた声をあげる。
あーまぁ、そんな反応になるよね。
「く、栗原先輩は『Trumpfkarte』に入ることを目指してるんですか⁉︎」
「う、うん。私の師匠が『Trumpfkarte』の人でね。その人の跡を継ぎたいから」
「汝の強さ、只者ではないと思っていたが、まさか『Trumpfkarte』の者を
「うーん、闇先パイも確かにデュエルを教えてくれるけど、師匠ってわけじゃないんだ」
「『氷の女王』に直接教えてもらっているだと⁉︎くっ………なんて羨ましい………」
そういって真紅ちゃんは俯きながらぶつぶつと何かをつぶやいている。
「ど、どうしたの?」
「あーあまり気にしないでください。多分憧れてる冬城先生が栗原先輩に教えてるのが羨ましいだけなので」
「真紅ちゃんは闇先パイに憧れてるの?」
「当たり前だよ‼︎どんな状況であろうと変わらず無表情で相手を圧倒するあの強さ‼︎そしてそんな自分を魅せるためのあのゴシック調のファッション‼︎あんなにカッコいいのに憧れないわけがないよ‼︎」
「え、ええっと、なんか口調がブレてるけど、いいの?」
「はっ‼︎こ、コホン。深淵に潜む悪竜としては、真なる女王に礼節を払うのは当然だ。べ、別にファンというわけではないからな‼︎」
「そ、そっか」
思わず口調がブレてしまう程の真紅ちゃんの熱量に、私は思わず苦笑を浮かべてしまった。
あの衣装に関してはスポンサーの意向で闇先パイとしては不本意なものだってことは言わない方がいいんだろうなぁ。
「ま、まぁ、私のことはそんなところだよ。というか、私としては真紅ちゃんと刀花ちゃんだって十分強いと思うよ?2人こそ、どうやって強くなったの?」
「私は独学ですね。デュエルにおける戦術を参考書で調べたり、プロ決闘者の人のデュエルを見にいったりといった感じです」
「クックック、我の力の一旦を探ろうと言うのか?そんなもの、我が答えるわけがーーー」
「真紅ちゃんはお姉さんがプロ決闘者の方なんです。デュエルはそのお姉さんに教えてもらってて、いつもデュエルを挑んでは返り討ちにあってるみたいですよ」
「って、恥ずかしいことを勝手に答えるなー‼︎"
真紅ちゃんが誤魔化そうとした事実を刀花ちゃんがさらりと話して、真紅ちゃんが頰を赤くする。
この反応、負けてることとか、努力してることとかがバレたくなかったんだろうなぁー。
「へぇ、プロ決闘者のお姉さんがいたんだね、真紅ちゃんには。やっぱり、強い人なの?」
「フン、当然だ‼︎姉上は我が知る限り最も強い決闘者だ。今はまだ世界ランキングのトップ10には入っていないが、姉上なら必ず『氷の女王』も超え、世界ランキングの頂点に君臨する‼︎」
そういって真紅ちゃんは自慢気に胸を張る。
真紅ちゃんがここまで自慢気に語るプロ決闘者のお姉さんか………どんな人なんだろう?
そんなことを話している内に『Natural』が見えてきた。
何だか色々なことを話してたらあっという間だったなぁ。
「ついたわね」
「ここが栗原先輩が通っているカードショップですか?」
「む、何だか寂れたところだな」
『Natural』を見て、真紅ちゃん達が微妙な表情を浮かべる。
私はそんな2人に苦笑しながらも勢いよく店の扉を開ける。
「こんにちはー………って、あれ?」
私が扉を開けると『Natural』の中に3つの人影があった。
1人は店長である島さん。
そんな島さんに話しかけているフードを被った人物。
そしてもう1人ーーー
「師匠?」
「遊騎?あんた何してるのよ?」
「何?"
「栗原先輩のお師匠さん、ですか?」
「遊花?桜?」
ーーー私の師匠がそこにいた。
ーーーーーーー
☆
「師匠も『Natural』に来てたんですね」
「ああ、ちょっと島さんに聞きたいことがあってな。そっちの子達は見たことがないが遊花の友達か?」
「はい‼︎眼竜 真紅ちゃんと幸土 刀花ちゃんです」
遊花がそういうと、遊花の後ろから黒い日傘に、マント、眼帯をつけた少女が俺の前にやってきて品定めでもするような目で俺を見た。
「我は
「………は?」
「真紅ちゃん‼︎す、すみません‼︎すみません‼︎」
「ぐああああああっ‼︎頭が、頭が割れるぅ‼︎」
少女の名乗りに俺が思わず唖然としていると、もう1人の少女が真紅と呼んだ少女の頭を掴んで無理矢理下げさせた。
「は、初めまして幸土 刀花と言います。栗原先輩にはお世話になってます。いきなり真紅ちゃんが失礼なことを言ってしまい申し訳ありません‼︎」
「あ、ああ。別に気にしてないから構わない。遊騎だ。遊花がお世話になってるな」
「い、いえいえ、そんなそんな、私の方が栗原先輩にはお世話になってて、本当に、ほんっとうにご迷惑をおかけして………」
「はな、放せ‼︎我はただ"
真紅と呼ばれていた少女の悲鳴が店の中に響く。
このままだと近所迷惑になりそうなんだが………
俺がどうしたものかと唸っていると、そんな俺に遊花が話しかけてくる。
「それで、そちらの方は師匠のお知り合いですか?」
「ん?ああ、紹介するよ。コイツは………って、おい?なんで俺の後ろに隠れるんだ」
「いや、そのなんというか………」
俺が夜を紹介しようと後ろを振り向こうとすると、夜が俺の背中に張り付いて遊花達から隠れる。
そんな夜から聞こえてくるのはどこか焦ったような声だった。
突然の夜の行動に俺が戸惑っていると、意外なところから夜の行動の答えがもたらされた。
「ううっ、頭が潰れるかと………ん?姉上⁉︎姉上が何故ここに⁉︎」
「うぐっ………」
掴まれていた頭を解放され、涙目で頭を押さえていた少女が夜を指差しながらそんなことを言い、夜が引き攣った笑みを浮かべる。
………………ん?
「ああ、もう………まさかこんなところで出会うなんてね。弱ったなぁ」
そういうと夜は観念したように俺の背中から離れて遊花達の前に出て、困ったように笑った。
「初めまして、遊騎のお弟子さん、かな?ボクは眼竜 夜(がんりゅう よる)。妹がお世話になってるよ」
ーーーーーーー
「まさか妹が遊騎の弟子の後輩だなんてね、思っても見なかったよ」
「俺は夜が女だったことの方に驚いてるよ」
「気づいてなかったんですね、師匠………」
色々と衝撃的な自己紹介が終わった後、俺達はデュエルスペースに座って雑談をしていた。
島さんからNo.について聞くのは一旦保留してもらった。
今話したら遊花の耳にも入るからな。
「いや、前例があるからなあ」
「前例………ああ、異世界での」
呆れたようなジト目で俺を見ていた遊花が俺の言葉を聞いて俺にだけ聞こえるような声で納得したように口を開く。
2回目の異世界で、俺達は少女の見た目をした少年に会っている。
いや、あの少年は危うく本当に少女にされるところだったが。
そんなことがあったため、余計に中性的な顔立ちの夜の性別は分からなかったのだ。
「まあ、『ボク』って言う呼び方もよくなかったよね。だけど………気づかれてないなとは思ってたけど………背中に張り付いても気づかれないとは思わなかったよ」
夜が暗い表情で自分の胸に手をやり、俺の隣に座っている遊花の胸を見て口角がピクピクと引き攣った。
………反応に困るからそういうのはやめてほしいんだが。
「悪かったね、遊騎。柔らかな感触がなくて」
「いや、言ってない言ってない」
「もう、師匠‼︎そういうのはダメですよ‼︎例え心で思ってても口にしないのがマナーです」
「だから言ってな………遊花の方が酷いこと言ってるぞ?」
「はっ⁉︎す、すみません、夜さん‼︎私、嘘が苦手で………」
「うん………遊花ちゃん。悪気がないのは分かってるからこれ以上抉らないで貰えるかな………心を」
遊花の悪意のない言葉をくらい、夜が胸を押さえる。
天然の言葉ってこういう時に痛いよな。
「ともあれ不可抗力とはいえ夜の本名を知っちまったんだし、俺も一応改めて自己紹介をした方がいいか」
「別に必要ないよ、とっくに気づいてるからね、結束 遊騎さん?」
「ああ、やっぱり気づいてたのか」
「まあね。今の君の現状で絵札の三銃士を使ってる人間なんて、それこそそのカードの代名詞となったオリジナルしかいないだろう?それに、君の人となりは美傘からよく聞いてるからね」
「美傘?………あ‼︎じゃあ夜のデッキに入ってたEM五虹の魔術師って………」
「うん、あの子から押し付けられたものだよ。あの子とボクは同世代のプロ決闘者だから、何かと交流があってね。数少ないボクの友人さ………言ってて少し悲しくなるけどね」
そういって夜が自嘲気味に笑う。
俺がどう反応しているか悩んでいると、遊花の隣に座っていた桜が弄っていた端末を見ながら口を開いた。
「あった、眼竜 夜。所属チーム『
「ふぇ⁉︎世界ランキング上位の人なんですか⁉︎」
「あはは………まあ、一応ね」
桜が読み上げた内容に、夜は照れたように笑う。
『
その名が意味するようにアンデット族や悪魔族のモンスターを戦術の核におく決闘者が多く所属していたように記憶している。
確かにアンデット族を主軸として使っている夜にぴったりのチームと言えるだろう。
現世界ランキング16位という実力も、あの強さなら納得だ。
「クックック、どうだ、"
「"
「えっとえっと、師匠は気にしないでください。それよりも今の発言は見逃せないよ、真紅ちゃん。師匠は罪人なんかじゃないもん‼︎」
「真紅、今の発言は流石に私も見逃せないわよ?」
夜の妹が遊花に勝ち誇ったような笑みを浮かべ、遊花、そして桜はムッとした表情を浮かべて夜の妹を睨みつける。
「そこまでだ、遊花。後ついでに桜。別に俺は気にしてないから」
「っ、でも‼︎」
「前も言ったわよ、私はアンタが馬鹿にされることを黙って聞いてることなんてできないって」
「それでも、俺がこの街で罪人なのは事実だ。そんなこといちいち怒ってたらきりが無い。受け流すことも大切だ。桜はともかくとして、遊花はプロになったら間違いなく今みたいなことを言われ続ける。そんな挑発に毎回乗ってたら、勝てるものも勝てなくなるぞ」
「っ………分かり、ました」
俺の言葉を聞いて遊花が悲しそうに目を伏せる。
今言った言葉は事実だ。
遊花が俺の後継者としてプロ決闘者になるつもりである以上、こんな挑発は毎回されるハズだ。
そんな挑発に毎回乗ってたらきりが無いし、受け流すことも必要だ。
………だけど、フォローはちゃんとしておくべきだろう。
「………だけど、お前達が俺の代わりに怒ってくれたのは嬉しかったよ。ありがとうな、遊花、桜」
「っ、はい‼︎」
「………分かればいいのよ」
俺の言葉に遊花が嬉しそうに笑い、桜が照れたように目を逸らす。
本当に、いい奴らだよ遊花達は。
「………すまないね、遊騎。うちの妹が」
「すみません、結束さん。真紅ちゃんが失礼なことを………」
「構わねぇよ、事実だしな。そういえば、夜のことで有耶無耶になっちまったけど、結局遊花達は何をしに来たんだ?」
「あ、そうでした‼︎私、島さんに見てもらいたいものがあったんです‼︎」
「おや、私にかい?」
突然自分に話が振られたことに、島さんが驚いた表情を浮かべて遊花を見る。
「はい、これなんですけど………」
そういって、遊花が自分のデッキから2枚のカードを引き抜いて島さんに見せようとする。
その動きにはどこか既視感があり、なんだか嫌な予感がしてくる。
そして、その予感は確信に変わる。
「これは………‼︎」
「最近偶然手に入れたもので、No.ってカードなんですがーーー」
「「No.⁉︎」」
「ひゃぅ‼︎し、師匠?夜さん?どうかしたんですか?」
突然大声をあげた俺達に遊花は驚いた表情を浮かべ、桜達はきょとんとした表情で俺達を見る。
しかし、そんな遊花達に構っている余裕もなく、俺達は慌てて遊花が島さんに手渡したカードを覗き込む。
そこにあったのは確かにNo.の名前を持つ2枚のカード。
俺は慌てて遊花の肩に手をおく。
「ひゃわぁ‼︎し、師匠?」
「遊花‼︎このカードはどこで手に入れた⁉︎体調とか悪くなったり、怪我とかしてないか⁉︎」
「ち、近い‼︎近いです、師匠‼︎このカードはデュエルアカデミアで手に入れて、怪我とかはなくてーーー」
「デュエルアカデミアで⁉︎」
「嘘でしょ、そんなところにまでばら撒かれはじめたのかい⁉︎」
遊花の言葉に俺と夜は目を見開く。
そんな俺達に戸惑いながらも遊花は何かの確信を得たかのような目で俺を見て、口を開く。
「師匠は、このカード達について知ってるんですね?教えてください、このカードはなんなんですか?」
そんな遊花の問いに、俺は思わず天を仰ぐ。
困惑に満ちた店内で、俺達は確かに日常が崩壊していく音を聞いた。
次回予告
お互いにNo.を手に入れ、奇妙な事件に巻き込まれはじめていることを知る遊騎と遊花。
島から語られるNo.の力に、真紅は興味を抱き、自分も手に入れると口にする。
そんな真紅を止めるため、ある人物がデュエルを挑む。
次回 遊戯王Trumpfkarte
『張り巡らされる警告』
次回はデュエル回。
真紅とある人物がデュエルします。
真紅を止めた人物とは?
次回をお楽しみに。
そして今回は二章にて遊騎と遊花の物語が交わり、さらに夜の正体が露呈する回でした。
実は夜の本名についてだけなら一章の遊花VS美傘回の冒頭で出てたりします。
それを覚えていた人なら夜の正体と真紅の関係も簡単に分かってるんだろうななんて思ったり。
性別に関しては不乱健がいたしバレバレだったかな?
それじゃあ今回はここまで。
皆さん、新弾は買いましたか?
私はとりあえず2箱とバラで買ってB・Fを組みました。
ブラックフェザーじゃないですよ?
ビーフォースです。
某メタルヒーローの重甲する人達でもありません。
シンクロモンスターのデザインもカッコよくていいですね。
もっぱら決戦のビッグバリスタが破壊された時に究極変異体を呼び出すモンスターになってたりしましたが。
そして何より手に入って嬉しかったのが占い魔女ヒカリちゃん。
これでデッキからミスティックパイパーを呼び出す手段が増えました、やったぜ。
占い魔女自体も組もうかなと思ってるのでもっと集めねば………チーちゃんを使った便乗デッキとか楽しそうかな?
そして新情報で唐突に強化される桜と大地。
まさかここにきてEーHEROの強化がくるとは………
桜は新しい殺意の波動に目覚めたリンク5のファイアーウォール。
やったね、禁止になったけど使えそうな進化形態が生まれたよ。
問題はそのイベントに進むまでどれだけ時間がかかるか………年が変わるまでには行きたいところです。
といったところで今回はお開き。
次回は仕事の都合で少し遅くなるかもです。
申し訳ありません。
ではでは〜