遊戯王Trumpfkarte   作:ブレイドJ

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大変お待たせ致しました。
忙しすぎて時間が足りないです………何故1日は24時間しかないのか。
今回は遊花のデュエル回です。
遊花視点でお送りします。
それでは本編へGO‼︎



第69話 赤き影

 

 

 

 

「行ったわね。全く、確かに私達にはデュエルアカデミアがあるけど、無茶するんだから………」

 

「そこが遊騎らしいところではある………納得するかは別だけど」

 

「そこんところがわかんないんでしょうね、あの馬鹿は。まあ、言ってることは一理あるんだし、今はデュエルアカデミアに行く準備をしましょうか」

 

「ん………遊花、大丈夫?」

 

「ふぇ⁉︎だ、大丈夫です‼︎」

 

「………大丈夫じゃなさそう」

 

「遊騎が心配なのが丸わかりね」

 

「あぅ………」

 

朝早くから見回りのためにリビングから出かけていった師匠を視線で追って、玄関の方を向いて呆けていたところを、闇先パイに声をかけられ、慌てて返答したが桜ちゃんと共に呆れたようなジト目を向けられてしまった。

 

師匠が強いことはわかっているけど、闇のカードというもので師匠は1度入院している。

 

だから、どうしても不安が拭えない。

 

あの時のように、また師匠が帰ってこないんじゃないかって。

 

そんな私の不安を見抜いたのか、闇先パイは優しい笑みを浮かべ、背伸びをして私の頭を撫でた。

 

「大丈夫………遊騎は強いから、ちゃんと私達がいる場所に戻ってくる………だから、私達はいつも通りに過ごすの………遊騎が守ってる、遊騎が戻ってくる日常を」

 

「闇先パイ………」

 

「それでも心配なら、もっと強くなればいい………遊騎を手伝って、遊騎が守りたいものを一緒に守れるように………」

 

「………はい‼︎私、もっと頑張ります‼︎」

 

「ん………遊花はいい子………それじゃあそろそろデュエルアカデミアに行こう………あんまりのんびりしてても遅れちゃうしね………」

 

そういって闇先パイが私の頭を撫でるのを止めて、自分の支度に移っていく。

 

そうだ。

 

師匠が心配なら、私が師匠の手伝いができるぐらいに強くなればいい。

 

師匠を危険なことから守れるぐらいに強く。

 

「………よーし、頑張るぞー‼︎」

 

私は改めてそう呟きながら自分の支度に移るのだった。

 

 

ーーーーーーー

 

 

「そういえば、遊騎が言ってた闇に闇のカードについて説明して貰えって言われてたのは何だったの?一応私達、島さんに闇のカードについては教えて貰ったんだけど………」

 

「ん、多分、島さんは大まかな説明しかしてないから補足をしてほしいってことだと思う………闇のカードについては遊騎より私の方が詳しいから」

 

「そうなんですか?」

 

デュエルアカデミアに向かう通学路を闇先パイと一緒に歩きながら、今朝の師匠の言葉を思い出して闇先パイに闇のカードについての話を聞くことにした。

 

私も桜ちゃんも島さんから闇のカードについての説明は受けたけど、それでも師匠が闇先パイに頼んだということはそれだけの理由があるのだろう。

 

そんな私の考えを肯定するように、闇先パイは何の気なしにその言葉を口にした。

 

「うん………だって、私はいつも闇のカードを使ってるから………」

 

「………え?」

 

「………は?」

 

闇先パイの言葉に私達は目を見開く。

 

闇先パイがいつも闇のカードを使っている?

 

だけど、闇先パイがNo.を使ってるところなんて見たことがない。

 

「ん………遊花達だって知ってるハズだよ………私の闇のカード………」

 

「私達が知ってるって………」

 

困惑する私達に闇先パイは自分のデッキから1枚のカードを抜き取り、私達に見せる。

 

そこにあったのは………

 

「これって………ヴェルズウロボロス?」

 

「ん、これが私の使う闇のカード………正確にいえば私が使うヴェルズのカード全てが、だけどね」

 

「ええっ⁉︎」

 

「はぁ⁉︎」

 

闇先パイの言葉に私達が驚きのあまり声を上げる。

 

闇先パイが使ってるヴェルズのカードが全部闇のカードだったの⁉︎

 

だけど、ヴェルズ達は………

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい‼︎アンタが使うヴェルズ達はNo.じゃないじゃない‼︎」

 

「そ、そうですよ‼︎それなのに闇のカードって………」

 

「………成る程。だから遊騎は私に説明を頼んだんだ………遊花達は勘違いしてる………闇のカードはNo.だけじゃない………ただのカードに見えても実は闇のカードだというパターンはいくらでもある………分かりやすいのが今ケルンにばら撒かれているNo.というだけ………」

 

「そ、そうなんですか⁉︎」

 

「ん………」

 

私の言葉に闇先パイが頷く。

 

まさか闇先パイが普段から使ってるヴェルズ達が人を傷つける可能性がある闇のカードだなんて、思っても見なかった。

 

だけど、そんな危険なカードを普段から使っている闇先パイは大丈夫なんだろうか?

 

そんな私の考えを読んだのか、闇先パイは柔らかく笑った。

 

「私は大丈夫………闇のカードは適合できなかった使用者の意思を好戦的にしたり身体の乗っ取ったりするけど、適合者には普通のカードと大差はないから」

 

「………そうなんですか?」

 

「ん………私はヴェルズ達をちゃんと制御できてるから………遊花だって私のヴェルズ達と何度も戦ったことあるけど、怪我したことはないでしょ?」

 

「………確かにそうよね。闇がヴェルズを使っても誰も怪我をしなかったからこそ、ヴェルズ達が闇のカードだなんて思わなかったんだし………」

 

闇先パイの言葉に桜ちゃんが真剣な表情で頷く。

 

確かに、今まで修行中に何度も闇先パイとお手合わせをしてもらったことはあるけど、それで私が怪我をしたことはない。

 

ということは、闇先パイが言う通りヴェルズ達は闇先パイに完全に制御されているのだろう。

 

「ん………これは予想以上に大まかな説明しか受けてない………仕方ない、闇先生の特別講義、闇のカード編を開講しよう………というわけで………美人教師モード………きりっ」

 

そういうと闇先パイは懐から伊達眼鏡を取り出して目にかける。

 

………………えっと………

 

「………それって闇先パイが変装する時にかけてる眼鏡ですよね?」

 

「ん………この方が………雰囲気出るでしょ?これ、潜入美人教師眼鏡だから………」

 

「………色々とツッコミたいところがあるけど、とりあえず変装用なのか潜入用なのかはっきりしなさいよ」

 

「桜ちゃん、ツッコむところは多分そこじゃないよ?」

 

「それで結局闇のカードって何なのよ?」

 

「ん………それじゃあ改めて闇のカードについて説明するね………」

 

「あ、私のツッコミはスルーなんだね。別にいいけど………」

 

そんなどこか締まらない会話をしながら、闇先パイは潜入美人教師眼鏡(?)をかけたまま真剣な表情で話し始めた。

 

「闇のカードというのはカードの精霊に悪意が宿って歪んでしまった呪われたカードのことで闇のカードに適合できなかった使用者の意思を好戦的にしたり破壊衝動を生み出したり、身体の乗っ取りや身体を傷付けたりする………ここまでは島さんからも聞いてるよね?」

 

「はい………」

 

「闇のカードは使用者すらも傷付ける可能性がある呪われたカードだけど、それも使用者の意思や力量、資質、適合割合次第で制御することができて、制御さえできれば普通のカードと変わらずに使用することができるの」

 

「適合割合、ですか?」

 

闇先パイの言葉に私は首を傾げる。

 

意思や力量、資質はまだ理解できるんだけど、適合割合って何なんだろう?

 

「簡単にいうと闇のカードとのシンクロ率のこと………闇のカードを使用し続けることで適合割合は上がっていく………最も適合割合が上がることに対するリスクもあるけど」

 

「リスク?」

 

「最初に説明したように闇のカードはカードの精霊に悪意が宿って歪んでしまった存在………だからこそ、闇のカードとカードの精霊は基本的に仲が悪い………カードの精霊によっては気にしない子やそれよりも気の合うマスターを優先する子もいるけど………本質的に噛み合うことがない………だからこそ、闇のカードとの適合割合が高まることで精霊が宿ったカードは使えなくなっていくの………」

 

「使えなくなるって、デッキに入れれなくなるってことですか?」

 

「ううん………デッキに入れられないわけじゃないよ………だけど、精霊の宿ったカードは絶対に手札に来なくなる………」

 

「手札に来なくなるって………なら、サーチカードを入れればいいだけじゃないの?」

 

「あ、確かに。ドローできないなら手札に持ってこれるカードを引けばいいだけなんじゃ………」

 

そんな私達の言葉に闇先パイは首を振る。

 

「それも無理。カードの精霊はそこまで甘い存在じゃない………精霊は穢れた存在を嫌悪している………だからこそ本気で手札に来たくなければサーチカードをドローさせないことだって精霊は平然とやる」

 

「ドローさせないってそんなオカルト………いや、元々オカルトの存在だったわね」

 

闇先パイの言葉に桜ちゃんは頭を押さえる。

 

きっと自分が向き合っている問題がどれだけ常識から離れているのかを実感してるのだろう。

 

私としては異世界に呼び出されたことがある時点で今更なことだと思うんだけどなぁ。

 

「それに、闇のカードは精霊の存在を殺しうる厄介な特性を持ってるから………よっぽど強い力を持った精霊じゃないと、闇のカードには絶対に近づこうとしない」

 

「厄介な特性?」

 

「ん………闇のカードが持つもう1つの特性………それが『汚染』」

 

「『汚染』………ですか?」

 

「使いこなせているならそう簡単には起こらないけど、闇のカードを使用者が使いこなしていない場合、闇のカードじゃない他のカードすらも自らの呪いを植え付け、闇のカードに変質させていく………1枚の闇のカードが持つ呪いが、他のカードを闇のカードに変えてしまうの」

 

「つまり、闇のカードはゾンビや吸血鬼みたいな奴ってことね」

 

「………単純に言えばね………さて、と」

 

そこまで闇先パイが話したところでデュエルアカデミアの校門が見えてくる。

 

すると、私達と並んで歩いていた闇先パイは急にその場で立ち止まった。

 

「遊花達と一緒に入ると面倒なことになりそうだから私は少し寄り道をしてくる………」

 

「私は別に気にしませんけど………」

 

「アンタが遊花を名指しした時点で今更だと思うわよ?」

 

「………それでもこれ以上遊花へのやっかみを増やすのは私としても本位じゃない………これでも責任は感じてる………それじゃあまた後で………私の講義に遅れないようにね」

 

「あ、闇先パイ‼︎」

 

そういうと闇先パイは私達に背を向けてデュエルアカデミアとは反対方向に歩き去って行った。

 

「まあ、仕方ないわね。行くわよ、遊花」

 

「あ、うん………」

 

桜ちゃんの声に応えながらも、私は闇先パイの後ろ姿を見送りながら拳を握り締める。

 

………今闇先パイが私に気を使わないといけないのは私に闇先パイの隣にいる程の実力がないからだ。

 

今日は無理かも知れない………だけど、いつか絶対に胸を張って闇先パイの隣に立てるように………強く、なるんだ。

 

そんなことを改めて思いながら、私は桜ちゃんを追ってデュエルアカデミアの門を潜るのだった。

 

 

ーーーーーーー

 

 

「バトル‼︎スターヴヴェノムフュージョンドラゴンで漆黒の魔王( ダークルシアス)LV8を攻撃‼︎消失のヴェノムストリーム‼︎」

 

「きゃぁぁぁ‼︎」

 

 

女子生徒 LP2800→0

 

 

立体映像が消え、項垂れている女子生徒に私は手を差し出す。

 

「ありがとうございました‼︎いいデュエルでした‼︎」

 

「っ………勝ったからって調子に乗らないでよね‼︎」

 

「あっ………」

 

しかし、差し出した手は払いのけられ、女子生徒は私を睨みつける。

 

「貴方程度の決闘者が『氷の女王』に認められるなんて、有り得ないわ‼︎一体どんな卑怯な手を使ったのよ‼︎」

 

「卑怯な手って、私は別に何も………」

 

「嘘を言いなさい‼︎大体、貴方みたいな落ちこぼれが学年トップ10に勝っているのもおかしいのよ‼︎一体どんな卑怯な手をーーー」

 

「誰の親友を落ちこぼれだなんて言ってるのかしら?」

 

「っ………宝月………さん」

 

「あ、桜ちゃん」

 

不穏な気配を感じてかいつの間にかに私に近づいてきていた桜ちゃんが私と女子生徒の間に立つ。

 

「弱い奴程よく吠えるものだわ。遊花に一方的に負けてる癖に逆恨みなんてみっともない」

 

「さ、逆恨みなんか………」

 

「現実を正しく認識していないのに一方的に私の親友を中傷してる奴が逆恨みじゃなきゃなんなのよ。そこまで言うなら次は私とでもデュエルしてもらおうかしら?」

 

「な、なんでその子に言ったことで宝月さんが出てくるのよ⁉︎」

 

「………呆れ果てて言葉もないとはこのことね。アンタ自分の発言が遊花だけじゃなく、遊花と真剣にデュエルをした学年トップの連中にも喧嘩を売ってることぐらいわかりなさいよ。私はあの頃の私が出せる全力を出しきってこの子に負けた。その勝負を卑怯だなんだと言って侮辱してるアンタに腹が立たないわけないでしょ?」

 

そこまで言って桜ちゃんがデュエルディスクを構える。

 

「だから、私の親友との真剣勝負を馬鹿にしたあんたを完膚無きまでにぶっ壊してやるって言ってんのよ。半端な覚悟で入ってくるんじゃないわよ‼︎私と親友の大切なデュエルの思い出に‼︎」

 

「ひっ‼︎」

 

桜ちゃんが明らかに怒気を含んだ声を聞き、女子生徒は慌てて走り去っていった。

 

女子生徒の姿が見えなくなると、桜ちゃんはため息を吐きながらデュエルディスクを下ろした。

 

「全く………こういう小物が混ざってるから困るのよね。遊花、大丈夫?」

 

「うん………ありがとう、桜ちゃん」

 

「どういたしまして。でも、とりあえず一旦休憩しなさい」

 

「えっ?私、まだ大丈夫だよ?」

 

「何がまだ大丈夫よ。もうすでに昼休みに入ってるのに10連戦もしてるじゃない。しかも、遊騎の言いつけを守るための練習だったんでしょうけど全戦ノーダメージだし………無理してるのが丸分かりよ」

 

「え、えっと、それは………あ、あはは………」

 

私が苦笑いを浮かべながら目を逸らすと桜ちゃんは深いため息を吐いて私の頭を小突いた。

 

「もう………いいから少し休みなさい。無理して本当にあのカードを持ってる奴が現れてダメージ受けたら元も子もないんだから」

 

「ん………ごめんね、桜ちゃん」

 

「別に、私が好きにやってることだもの。謝られることなんかじゃないわ。というわけで、これから遊花は私と一緒に休憩するから遊花とのデュエルを待ってた奴は挑むのはまた今度にしなさい‼︎文句があるなら私が相手になってやるわ‼︎」

 

桜ちゃんの声を聞き、デュエルが出来なかった生徒達は残念そうな表情を浮かべて散っていく。

 

「これで邪魔者はいなくなったわ。休憩にしましょ」

 

「邪魔者って言い方は酷いよ、桜ちゃん」

 

「私と遊花の時間を邪魔する奴らなんだから邪魔者で十分よ」

 

そんなことを言って桜ちゃんが近くの椅子に座って私に手招きをする。

 

そんな桜ちゃんに苦笑を浮かべながらも私も桜ちゃんの近くの席に座った。

 

「それにしても、いなかったなぁ………闇のカードを使ってる人」

 

「………待ちなさい。遊花、アンタあのデュエル中に闇のカードを使ってる人を探してたの?」

 

「えっ?うん。だって、私に勝てば闇先パイに挑戦できるでしょ?なら、少しでも勝率を上げるためにそういう危険なカードに手を出す人もいるんじゃないかなって思って」

 

「………アンタねぇ」

 

私がそんなことを口にすると桜ちゃんは呆れた表情を浮かべながらまた私の頭を小突いた。

 

「あいたっ‼︎」

 

「例え闇のカードを持っててもこんな大勢の目撃者がいる状況で挑んでくる可能性は低いでしょうが」

 

「あぅ、でもでも、暴走してるのなら可能性は………」

 

「暴走してるのならお行儀よく並んで待ったりせずに、無理矢理デュエルを挑んでくるわよ。自分の欲望が解放されてるんだから」

 

「うっ………そう言われればそうかも」

 

桜ちゃんに指摘に私は項垂れる。

 

今の私の状況は囮としてはかなり使えると思ったんだけど、そう上手くはいかないかぁ………

 

「なら、どうやって調べればいいんだろう?」

 

「闇のカードに操られてる奴は暴走するんでしょ?なら、面倒事や不思議なことが起こってるところを調べればいいんじゃない?」

 

「そっか‼︎じゃあ早速ーーー」

 

「休憩だって言ってるのに、行かせるわけないでしょ。そういうのは放課後にしなさい、私も手伝ってあげるから」

 

「………はーい」

 

 

ーーーーーーー

 

 

「うーん、でも、面倒事や不思議なことが起こってるところってどういうところなんだろう?」

 

「噂話とかを頼りにするしかないのかしらね。といっても、最近の噂は遊花と闇が独占してるものね」

 

「うぅ………それはそれで恥ずかしいからあまり考えたくはないんだけど………」

 

放課後。

 

私達はデュエルアカデミアの中庭で項垂れていた。

 

桜ちゃんと行く当てもなくデュエルアカデミアの中を見て回りながら闇のカードを持ってる人を探すが、やっぱりそれらしき人はなかなか見つからなかった。

 

そもそも不死川君が偶々持っていただけで、他には闇のカードがデュエルアカデミアの中にないって可能性もある。

 

そうなるとデュエルアカデミアの中を捜索するのは無駄になるかも知れないんだよね。

 

「うーん、どうにかしてデュエルアカデミア内の面倒事や不思議なことを調べる手段ってないかな?」

 

「そうねー風紀委員とか新聞部、生徒会や先生達に聞けば少しぐらいは情報が手に入りそうよね」

 

「でも、それって結構怪しまれるよね?なんでそんな情報を調べてるんだーって」

 

「まあ、そうなるわよね」

 

「むー難しいなぁ………」

 

闇のカードを調べるのはいいけど、それで私達が疑われるのはよくない。

 

私達が何か調べてるなんて噂が出来ちゃったら、もしデュエルアカデミアの中に闇のカードをばら撒いている人がいた場合逃げられちゃうかも知れないし………

 

「とはいえ、このままじゃラチがあかないし、とりあえず聞きに言ってみるしかないんじゃない?私達にその辺りの知り合いはいないんだし、知り合いがいればそこから聞けばいいんだけど」

 

「そうだよね。よし、それじゃあまずは風紀委員会にでもーーー」

 

「見つけたぞ、栗原 遊花‼︎」

 

「えっ?」

 

とりあえず風紀委員会に手掛かりを探しに行こうとした私の背後から聞き覚えのある声がかけられる。

 

そこにいたのはーーー

 

「服部、君?」

 

「デュエルだ‼︎栗原 遊花‼︎俺はお前を倒すために新たな力を手に入れた‼︎お前を倒して、俺は冬城プロに挑戦させて貰う‼︎」

 

そこにいたのは、闇先パイとのデュエルを賭けて私が初めてデュエルすることになった服部君の姿があった。

 

服部君は私が初めて会った時のようにデュエルディスクを構え、鋭い眼光で私を見ていた。

 

「服部君?その悪いんですが今は少し用事が………」

 

「ふっ、新たな力を手にした俺に恐れをなして逃げるのか?」

 

「逃げるわけではないんですが………」

 

「………遊花」

 

鋭い眼光で私を睨みつける服部君に戸惑っていると、桜ちゃんが小さな声で話しかけてくる。

 

「こいつ、なんか様子がおかしくない?」

 

「………もしかしたら?」

 

「もしかするかもね」

 

「………分かりました。そのデュエル受けて立ちます‼︎」

 

「ふっ、ようやくやる気になったようだな」

 

好戦的な笑みを浮かべる服部君を横目に私は桜ちゃんに私の後ろに下がってもらいデュエルディスクを起動して構える。

 

このデュエルはもしかしたら危険なデュエルになるかも知れない。

 

だけど、逃げるわけにはいかない。

 

私の後ろには、護りたい親友がいるんだもん‼︎

 

「………行きます‼︎」

 

「今度こそお前を地に這い蹲らせてやろう‼︎」

 

『決闘‼︎』

 

 

遊花 LP8000

 

香月 LP8000

 

 

ーーーーーーー

 

 

「先攻は俺だ。俺は忍者マスターHANZOを召喚‼︎」

 

 

〈忍者マスターHANZO〉☆4 戦士族 闇属性

ATK1800

 

 

フィールドに現れたのは銀の忍装束を着た仮面をつけた忍者。

 

「忍者マスターHANZOの効果発動‼︎このカードが召喚に成功した時、デッキから「忍法」と名のついたカード1枚を手札に加える事ができる。俺はデッキからデッキから忍法 変化の術を手札に加える。カードを4枚伏せてターンエンドだ」

 

 

遊花 LP8000 手札5

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー○ーー

ー▲▲▲▲ ー

 

香月 LP8000 手札1

 

 

「私のターン、ドロー‼︎」

 

「スタンバイフェイズ、忍者マスターHANZOをリリースし、リバースカードオープン‼︎永続罠、忍法 変化の術‼︎自分フィールドの表側表示の忍者モンスター1体をリリースしてリリースしたモンスターのレベル+3以下のレベルを持つ獣族・鳥獣族・昆虫族モンスター1体を、手札・デッキから特殊召喚する‼︎ただし、このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。俺はデッキから鳥獣族モンスター、ダークシムルグを特殊召喚する‼︎」

 

 

〈ダークシムルグ〉☆7 鳥獣族 闇属性

ATK2700

 

 

HANZOの姿が煙に包まれ、HANZOがいた場所から煙を吹き飛ばしながら黒い身体の怪鳥が現れる。

 

「そのモンスターは………」

 

「ダークシムルグの永続効果、このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はカードをセットすることができない‼さらに2枚のリバースカードをオープン‼︎永続罠、魔封じの芳香‼︎虚無空間‼︎魔封じの芳香の効果でこのカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いに魔法カードはセットしなければ発動できず、セットしたプレイヤーから見て次の自分ターンが来るまで発動できず、虚無空間の効果でこのカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない‼︎」

 

「っ、この布陣は………」

 

「これでお前は魔法・罠を使えず、特殊召喚もできない。前は先攻を取られたからこそやられたが今度こそ、お前には何もさせない」

 

こちらの全てを封じ込むような布陣を作った服部君が不敵な笑みを浮かべる。

 

確かに、前に戦った時には先手を取ってセットしていたカードを使って突破することができたが今回セットカードはない。

 

私にできることはモンスターを召喚することのみで、レベル1が主体の私のデッキではダークシムルグを倒すのは至難の技だ。

 

………だけど、こう言い換えることもできる。

 

至難の技ではあるけれど、出来ないわけじゃない、と。

 

「いえ、それぐらいじゃ私は止められません‼︎私だって前より強くなってるんです‼︎」

 

「何?」

 

「私はものマネ幻想師を召喚‼︎」

 

 

〈ものマネ幻想師〉☆1 魔法使い族 光属性

ATK0

 

 

フィールドに現れたのは手鏡を手に持つ道化師のモンスター。

 

「ものマネ幻想師の効果発動‼︎このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して、このカードの攻撃力・守備力は、選択したモンスターの元々の攻撃力・守備力と同じ数値になります‼︎」

 

「何⁉︎」

 

「私が対象にするのは、勿論ダークシムルグ‼︎」

 

ものマネ幻想師がダークシムルグを鏡で写すと、ものマネ幻想師の姿がダークシムルグに変化する。

 

 

ものマネ幻想師

ATK0→2700

 

 

「バトル‼︎ものマネ幻想師でダークシムルグを攻撃‼︎イリュージョンミラー‼︎」

 

ダークシムルグがものマネ幻想師に向けて闇を纏った暴風を放つが、ダークシムルグに変化したものマネ幻想師も同じように闇を纏った暴風を放ち、ぶつかり合った暴風は両者を吹き飛ばし、爆散させた。

 

「くっ………相討ちか。ダークシムルグが墓地にいったことにより虚無空間は破壊される………」

 

「これで特殊召喚の制限とカードのセットが解除されました‼︎私はカードを3枚セットしてターンエンドです‼︎」

 

 

遊花 LP8000 手札2

 

ー▲▲▲ー ー

ーーーーー

ー ー

ーーーーー

ー△△ー▲ ー

 

香月 LP8000 手札1

 

 

「チッ、まさかこんなにあっさりとロックを解除してくるとはな。俺のターン、ドロー‼︎リバースカードオープン‼︎魔法カード、マジックプランター‼︎自分フィールドの表側表示の永続罠カード1枚を墓地へ送って自分はデッキから2枚ドローする。俺は魔封じの芳香を墓地へ送って2枚ドローする‼︎」

 

「自分で魔封じの芳香を解除するカードを仕掛けていたんですね………」

 

「俺は成金( ゴールド)忍者を召喚‼︎」

 

 

〈成金忍者〉☆4 戦士族 光属性

ATK500

 

 

フィールドに現れたのは紫の忍装束を着た恰幅のいい仮面をつけた忍者。

 

「成金忍者の効果発動‼︎1ターンに1度、手札から罠カード1枚を墓地へ送ってデッキからレベル4以下の忍者と名のついたモンスター1体を表側守備表示、または裏側守備表示で特殊召喚する‼︎俺は手札のスキルプリズナーを捨ててデッキから2体目の忍者マスターHANZOを特殊召喚する‼︎」

 

 

〈忍者マスターHANZO〉☆4 戦士族 闇属性

DEF1000

 

 

「忍者マスターHANZOの効果発動‼︎このカードが反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから同名カード以外の忍者と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる‼︎俺はデッキから黄昏の忍者-ジョウゲンを手札に加える‼︎そして、現れろ‼︎闇夜に紛れしサーキット‼︎」

 

「リンク召喚ですか………」

 

服部君が正面に手を前に突き出すと、巨大なサーキットが現れる。

 

「召喚条件は戦士族モンスター2体‼︎俺は成金忍者と忍者マスターHANZOの2体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎リンク2‼︎聖騎士の追想 イゾルデ‼︎」

 

 

〈聖騎士の追想 イゾルデ〉LINK 2 戦士族 光属性

ATK1600 ↙︎ ↘︎

 

 

成金忍者とHANZOがサーキットの中に消えると、代わりに師匠も使っている金髪と白髪の2人の女性が現れる。

 

「聖騎士の追想 イゾルデの効果発動‼︎リンク召喚に成功した時、デッキから戦士族モンスター1体を手札に加える。ただし、このターン、自分はこの効果で手札に加えたモンスター及びその同名モンスターを通常召喚・特殊召喚できず、そのモンスター効果も発動できない。俺はデッキから黄昏の忍者-カゲンを手札に加える‼︎さらに聖騎士の追想 イゾルデの効果発動‼︎デッキから装備魔法カードを任意の数だけ墓地へ送り、墓地へ送ったカードの数と同じレベルの戦士族モンスター1体をデッキから特殊召喚する‼︎俺はデッキから風魔手裏剣、月鏡の盾、最強の盾、団結の力を墓地に送り、3体目の忍者マスターHANZOを特殊召喚‼︎」

 

 

〈忍者マスターHANZO〉☆4 戦士族 闇属性

ATK1800

 

 

「忍者マスターHANZOの効果発動‼︎デッキから黄昏の忍者将軍-ゲツガを手札に加える‼︎俺は、スケール1の黄昏の忍者-ジョウゲンとスケール10の黄昏の忍者-カゲンでペンデュラムスケールをセッティング‼︎」

 

「っ⁉︎ペンデュラムカード⁉︎」

 

服部君を挟むように光の柱が立ち上り、その光の中に鎖鎌を持った金色の鎧を纏った忍者と紫のマントを羽織った忍者が現れ、下に1と10の数字が現れる。

 

「黄昏の忍者-カゲンのペンデュラム効果により、自分は忍者モンスターしかペンデュラム召喚できないがわこれで俺は2から9までのモンスターを同時に召喚可能だ‼︎深淵に浮かびし新月よ‼︎我を勝利へと導け‼︎ペンデュラム召喚‼︎来たれ、我が刃‼︎」

 

服部君がそういうと空に巨大な穴が空き、そこからフィールドに向かって3つの光が舞い降りる。

 

「レベル4、機甲忍者フレイム‼︎」

 

 

〈機甲忍者フレイム〉☆4 戦士族 炎属性

ATK1600

 

 

最初に現れたのは青い忍装束を纏った忍者。

 

「レベル5、機甲忍者アース‼︎」

 

 

〈機甲忍者アース〉☆5 戦士族 地属性

ATK1600

 

 

フレイムに続くように現れたのは茶色の忍装束を纏った忍者。

 

そして2体の忍者後ろから、2本の旗を背負った黒い鎧の忍者が現れる。

 

「レベル8、黄昏の忍者将軍-ゲツガ‼︎」

 

 

〈黄昏の忍者将軍-ゲツガ〉☆8 戦士族 闇属性

ATK2000

 

 

「っ、一気にモンスターが………」

 

「機甲忍者フレイムの効果発動‼︎このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、自分フィールド上の忍者と名のついたモンスター1体を選択して選択したモンスターのレベルを1つ上げる‼︎俺は機甲忍者フレイムのレベルを1つ上げる‼︎」

 

 

機甲忍者フレイム

☆4→5

 

 

「クックック、これで準備は整った。お前に見せてやろう、俺の新しい力を‼︎」

 

「新しい力、ですか?」

 

服部君は不気味な笑みを浮かべてフレイム達に手をかざす。

 

その瞬間、服部君の身体から闇が溢れ出し、服部君の身体を覆っていく。

 

「っ⁉︎これってやっぱり………服部君‼︎」

 

「俺はレベル5になった機甲忍者フレイムと機甲忍者アースでオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」

 

フレイムとアースが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けると、そこに現れたのは赤髪をたなびかせた一刀の刀を逆手に持つ赤き鎧の忍者。

 

「闇より生まれし刃よ‼︎その絶技にて主君を守れ‼︎現れろ‼︎No.12 機甲忍者クリムゾンシャドー‼︎」

 

 

〈No.12 機甲忍者クリムゾンシャドー〉★5 戦士族 地属性

ATK2400

 

 

「やっぱり、No.‼︎これが人を狂わせる闇のカードの力ってわけね………」

 

「でも、なんで服部君がNo.を………」

 

「クックック、お前達もこのカードを知っているようだな。だが、お前達の問いに答えるつもりはない‼︎黄昏の忍者将軍-ゲツガの効果発動‼︎忍之一字‼︎同名カードは1ターンに1度、フィールドに攻撃表示で存在する場合、同名カード以外の自分の墓地の忍者モンスター2体をこのカードを守備表示にし、特殊召喚する‼︎黄昏の忍者将軍-ゲツガを守備表示にし、現れろ、2体の忍者マスターHANZO‼︎」

 

 

黄昏の忍者将軍-ゲツガ

ATK2000→DEF3000

 

 

〈忍者マスターHANZO〉☆4 戦士族 闇属性

ATK1800

 

 

ゲツガが2本の旗を掲げて座り込むと、ゲツガに寄り添うように2体のHANZOが現れる。

 

「2体の忍者マスターHANZOの効果発動‼︎デッキから機甲忍者アクアと2体目の成金忍者を手札に加える‼︎これだけでは終わらん‼︎俺は戦士族レベル4の忍者マスターHANZO2体でオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」

 

2体のHANZOが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けると、そこに現れたのは装甲を纏い、二振りの刀を構えた忍者。

 

「闇に生きし刃よ‼︎その妙技にて主君に仇なす者を斬り裂け‼︎現れろ‼︎機甲忍者ブレードハート‼︎」

 

 

〈機甲忍者ブレードハート〉★4 戦士族 風属性

ATK2200

 

 

「またエクシーズモンスター………‼︎」

 

「機甲忍者ブレードハートの効果発動‼︎一箭双雕‼︎1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除き、自分フィールド上の忍者と名のついたモンスター1体を選択してこのターン、選択したモンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる‼︎俺はNo.12 機甲忍者クリムゾンシャドーに2回攻撃を付与する‼︎」

 

「っ⁉︎No.が2回攻撃に⁉︎」

 

ブレードハートが手にしていた刀を一刀クリムゾンシャドーに手渡し、クリムゾンシャドーが二刀流になる。

 

ただでさえ物理的なダメージが発生するNo.が2回攻撃になるなんて………

 

「バトル‼︎聖騎士の追想 イゾルデでダイレクトアタック‼︎」

 

「させません‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎聖なるバリア -ミラーフォース-‼︎相手モンスターの攻撃宣言時に、相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊します‼︎」

 

「何⁉︎」

 

イゾルデが勢いよく突撃してくるが、その攻撃は見えない壁弾き返し、その突撃のエネルギーが光弾となって服部君のモンスターを襲う。

 

これでNo.を破壊できれば服部君を正気に戻せるハズ………‼︎

 

しかし、そんな私の考えを読んだかのように、服部君がニヤリと笑う。

 

「そうはいかない‼︎No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーの効果発動‼︎近朱必赤‼︎1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除き、このターン、自分フィールド上の忍者と名のついたモンスターは戦闘及びカードの効果では破壊されない‼︎この効果は相手ターンでも発動できる‼︎」

 

「っ⁉︎破壊耐性⁉︎」

 

クリムゾンシャドーが印を結ぶと、服部君の忍者達が赤いオーラに包まれる。

 

赤いオーラに包まれた忍者達は凄まじい速さで移動し、ミラーフォースによって跳ね返されたエネルギーを全て躱しきった。

 

「相変わらず侮れない奴だ。だが、そのような小細工は俺には通じん‼︎機甲忍者ブレードハートでダイレクトアタック‼︎機略縦横‼︎」

 

「通しません‼︎相手モンスターの直接攻撃宣言時、手札のゴーストリックランタンの効果発動‼︎その攻撃を無効にし、このカードを手札から裏側守備表示で特殊召喚します‼︎」

 

「防いできたか」

 

ブレードハートが刀で私を斬り裂こうとした瞬間ブレードハートの正面にジャックオーランタンのような幽霊が現れる。

 

ブレードハートは急に現れたランタンに驚きながらも、ランタンを斬り裂こうとしたが、ランタンの姿はすぐに空気に溶けるように消えていった。

 

「だが、その程度では俺の攻撃は防げん‼︎No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーでセットモンスターを攻撃‼︎この瞬間、黄昏の忍者-カゲンのペンデュラム効果発動‼︎1ターンに1度、自分の忍者モンスターの攻撃宣言時、そのモンスターの攻撃力はダメージステップ終了時まで1000ポイントアップする‼︎」

 

「えっ?」

 

 

No.12 機甲忍者クリムゾンシャドー

ATK2400→3400

 

 

光の柱の中にいるカゲンが印を結ぶと、クリムゾンシャドーの手にしている片方の刀に淡い光が灯る。

 

私のフィールドにはセットされているランタンがいる。

 

このまま攻撃してもダメージなんて入らないのになんで攻撃力を………

 

そんな私の疑問は、次の服部君の言葉ですぐに明らかになる。

 

「さらに黄昏の忍者-ジョウゲンのペンデュラム効果発動‼︎自分の忍者モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える‼︎」

 

「っ⁉︎貫通効果⁉︎」

 

次は光の柱の中にいるジョウゲンが印を結ぶと、クリムゾンシャドーの手にしている淡い光が灯っていない刀を闇が纏う。

 

「斬り裂け、No.12 機甲忍者クリムゾンシャドー‼︎光陰流転‼︎」

 

「っ、セットモンスターはゴーストリックランタンです‼︎」

 

 

〈ゴーストリックランタン〉☆1 悪魔族 闇属性

DEF0

 

 

ランタンが笑いながら、クリムゾンシャドーの刀に斬り裂かれ、その衝撃が明らかな質量を持って私に向かってくる。

 

「っ‼︎遊花‼︎」

 

「大丈夫‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎パワーウォール‼︎」

 

「何⁉︎」

 

「相手モンスターの攻撃によって自分が戦闘ダメージを受けるダメージ計算時、その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージが0になるように500ダメージにつき1枚、自分のデッキの上からカードを墓地へ送ります‼︎No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーの攻撃で発生する戦闘ダメージは3400だからデッキの上から7枚のカードを墓地に送ってダメージを0にします‼︎」

 

私がデッキの上から7枚のカードを墓地に送ると、私の前に粒子で出来た盾が生まれ、クリムゾンシャドーの斬撃を防ぐ。

 

 

No.12 機甲忍者クリムゾンシャドー

ATK3400→2400

 

 

「チッ、この奇襲すらも防ぐか。だが、まだ攻撃は残っているぞ‼︎No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーでダイレクトアタック‼︎光陰流転‼︎」

 

「手札からクリボーの効果発動‼︎ダークエンヴェロップ‼︎相手モンスターが攻撃した場合、そのダメージ計算時にこのカードを手札から捨てて発動できる。その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にします‼︎」

 

「これも防ぐだと⁉︎」

 

再び私に向かって音も無く忍び寄ったクリムゾンシャドーが二刀の刀を私に振るう。

 

しかし、その刀は私を庇うように立ち塞がったクリボーが受け止め、クリボーは粒子になって消えていった。

 

「っ、おのれ………俺のNo.の攻撃を一度ならず二度までも防ぐとは………俺はこれでターンエンドだ」

 

「ならエンドフェイズ‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎裁きの天秤‼︎相手フィールドのカードの数が自分の手札・フィールドのカードの合計数より多い場合に発動でき、自分はその差の数だけデッキからドローします‼︎」

 

「っ⁉︎何だと⁉︎」

 

「服部君のフィールドのカードは6枚、私は裁きの天秤1枚のみ。その差分の5枚のカードをドローします‼︎」

 

 

遊花 LP8000 手札5

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー○□○

△ー△ー△ ー

 

香月 LP8000 手札2

 

 

「私のターン、ドロー‼︎」

 

ドローしたカードを見て、服部君のフィールドを見ながら次の手を考える。

 

今の手札じゃ、まだクリムゾンシャドーの強力な耐性を突破することはできない。

 

なら、今の私がすべきことは………‼︎

 

「私は手札を5枚捨てて、永続魔法、守護神の宝札を発動‼︎」

 

「何?一気に増えた手札を捨てるだと?」

 

「自分はデッキから2枚ドローし、このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分ドローフェイズの通常のドローは2枚になりす‼︎」

 

「ほぅ、未来への投資というわけか」

 

「はい。でも、それだけじゃ終わりませんよ。私は、今ドローした占い魔女 ヒカリちゃんの効果発動‼︎このカードをドローした時、このカードを相手に見せることで手札から特殊召喚します‼︎」

 

 

〈占い魔女 ヒカリちゃん〉☆1 魔法使い族 光属性

DEF0

 

 

フィールドに現れたのは太陽の形をしたステッキを持った黄色い髪の女の子。

 

現れたヒカリちゃんは嬉しそうにニコニコと笑うと、手にしたステッキをブンブンと振いながらもう片方の手で私に向かってピースサインをする。

 

うん、貴女の力、貸して貰うね?

 

「占い魔女 ヒカリちゃんの効果発動‼︎このカードが手札からの特殊召喚に成功した場合、自分フィールドのモンスター1体を対象として、そのモンスターを墓地へ送り、デッキから魔法使い族・レベル1モンスター1体を特殊召喚します‼︎私は占い魔女 ヒカリちゃんを墓地へ送り、デッキからミスティックパイパーを特殊召喚‼︎」

 

 

〈ミスティックパイパー〉☆1 魔法使い族 光属性

DEF0

 

 

ヒカリちゃんが一礼をしてからステッキを振るうと、ヒカリちゃんの身体が光に包まれて霧散する。

 

そして霧散した光が再び集まると、そこにフルートのようなものを弾いている男の人が現れた。

 

「ミスティックパイパーの効果発動‼︎このカードをリリースして自分のデッキからカードを1枚ドローし、この効果でドローしたカードをお互いに確認し、レベル1モンスターだった場合、自分はカードをもう1枚ドローします‼︎」

 

いつものようにミスティックパイパーがサムズアップをするのを見て、私もサムズアップを返すと、ミスティックパイパーは満足そうに笑って姿を消す。

 

それと同時に私はカードをドローし、そのカードを服部君に見せる。

 

「私がドローしたのは金華猫‼︎レベル1モンスターなのでもう1枚ドローします‼︎そして金華猫を召喚‼︎」

 

 

〈金華猫〉☆1 獣族 闇属性

ATK400

 

 

現れたのは霊体になっている猫のようなモンスター。

 

「金華猫の効果発動‼︎召喚した時、墓地に存在するレベル1モンスターを特殊召喚します‼︎墓地から戻ってきて、ものマネ幻想師‼︎」

 

 

〈ものマネ幻想師〉☆1 魔法使い族 光属性

ATK0

 

 

「っ、そいつは………」

 

「ものマネ幻想師の効果発動‼︎No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーを選択して、このカードの攻撃力・守備力は、選択したモンスターの元々の攻撃力・守備力と同じ数値になります‼︎」

 

「チッ、小賢しい‼︎No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーを対象に墓地に存在するスキルプリズナーを除外して効果発動‼︎このターン、選択したカードを対象として発動したモンスター効果を無効にする‼︎」

 

ものマネ幻想師がクリムゾンシャドーを鏡で写そうとするがクリムゾンシャドーを覆うようにバリアが現れて、ものマネ幻想師の効果が弾かれる。

 

「相討ち狙いだったんだろうが、残念だったな」

 

「いえ、これでスキルプリズナーは使わせました‼︎導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」

 

「っ、リンク召喚か‼︎」

 

私の前に大きなサーキットが現れる。

 

「召喚条件はトークン以外のレベル1モンスター1体‼︎私はものマネ幻想師をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎相手を捕える深淵の邪眼‼︎リンク1‼︎サクリファイスアニマ‼︎」

 

 

〈サクリファイスアニマ〉LINK1 魔法使い族 闇属性

ATK0 ↑

 

 

ゲツガの目の前に怪しげな邪眼を持つモンスターが現れる。

 

「サクリファイスのリンクモンスターだと⁉︎」

 

「サクリファイスアニマの効果発動‼︎コネクトアブソープション‼︎1ターンに1度このカードのリンク先の表側表示モンスター1体を対象にその表側表示モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備し、このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの攻撃力分アップします‼︎対象は黄昏の忍者将軍-ゲツガ‼︎吸い込んじゃって、サクリファイスアニマ‼︎」

 

「っ、はじめからこちらが狙いか‼︎」

 

アニマの目の上にある空間からゲツガを吸い込むように風が生み出され、ゲツガが呑み込まれると、アニマの羽根な2振りの旗が飛び出した。

 

 

サクリファイスアニマ

ATK0→2000

 

 

「これでこれ以上忍者モンスターは蘇生できません‼︎私はカードを1枚伏せてエンドフェイズ、金華猫の効果発動‼︎召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに手札に戻ってきます。これでターンエンドです‼︎」

 

 

遊花 LP8000 手札2

 

ー▲△△ー ー

ーーーーー

ー ☆

ーー○ー○

△ー△ー△ ー

 

香月 LP8000 手札2

 

 

「俺のターン、ドロー‼︎魔法カード、機甲忍法ゴールドコンバージョン‼︎自分フィールド上に忍法と名のついたカードが存在する場合、自分フィールド上の忍法と名のついたカードを全て破壊し、その後、デッキからカードを2枚ドローする‼︎俺は忍法 変化の術を破壊して2枚ドローする‼︎そして再びペンデュラム召喚を行う‼︎深淵に浮かびし新月よ‼︎我を勝利へと導け‼︎ペンデュラム召喚‼︎来たれ、我が刃‼︎」

 

服部君がそういうと空に巨大な穴が空き、そこからフィールドに向かって2つの光が舞い降りる。

 

「レベル4、機甲忍者アクア‼︎」

 

 

〈機甲忍者アクア〉☆4 戦士族 水属性

DEF1600

 

 

最初に現れたのは赤い忍装束を纏った忍者。

 

「レベル4、成金忍者‼︎」

 

 

〈成金忍者〉☆4 戦士族 光属性

DEF1800

 

 

さらにアクアに続くように再び紫の忍装束を着た恰幅のいい仮面をつけた忍者が姿を現わす。

 

「俺は戦士族レベル4の機甲忍者アクアと成金忍者の2体でオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」

 

アクアと成金忍者が光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けると、そこに現れたのは装甲を纏い、二振りの刀を構えた忍者。

 

「闇に生きし二振りの刃よ‼︎その妙技にて主君に仇なす者を斬り裂け‼︎再び姿を現せ‼︎機甲忍者ブレードハート‼︎」

 

 

〈機甲忍者ブレードハート〉★4 戦士族 風属性

ATK2200

 

 

「2体目のブレードハート………‼︎」

 

「2体の機甲忍者ブレードハートの効果発動‼︎一箭双雕‼︎オーバーレイユニットを1つ取り除き、No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーと1体の機甲忍者ブレードハートに2回攻撃を付与する‼︎さあ、苦しみに喘ぐがいい‼︎バトル‼︎No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーでサクリファイスアニマを攻撃‼︎」

 

クリムゾンシャドーが二刀の刀をアニマに向かって振るう。

 

だけど、そんな単調な攻撃を受ける程、私は甘くない‼︎

 

「No.に操られた服部君にあげるライフなんて、1ポイントもありません‼︎リバースカードオープン‼︎永続罠、強制終了‼︎この効果はバトルフェイズ時にのみ発動でき、自分フィールド上に存在するこのカード以外のカード1枚を墓地へ送る事で、このターンのバトルフェイズを終了します‼︎」

 

「何⁉︎バトルフェイズを終了させる永続罠だと⁉︎」

 

「私はサクリファイスアニマに装備されていた黄昏の忍者将軍-ゲツガを墓地に送ってバトルフェイズを終了します‼︎」

 

クリムゾンシャドーの刃がアニマを斬り裂こうとした瞬間、アニマの羽根からゲツガと共に吸収した旗が放たれ、クリムゾンシャドーの刀を弾き飛ばし、アニマを守るように見えない防壁が現れた。

 

「チッ、守ってばかりの臆病者が‼︎俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ‼︎」

 

 

遊花 LP8000 手札2

 

ー△△ーー ー

ーーーーー

○ ☆

ーー○ー○

△ー▲ー△ ー

 

香月 LP8000 手札1

 

 

「私のターン、守護神の宝札の効果で2枚ドロー‼︎そして金華猫を召喚‼︎」

 

 

〈金華猫〉☆1 獣族 闇属性

ATK400

 

 

「金華猫の効果発動‼︎墓地から戻ってきて、ミスティックパイパー」

 

 

〈ミスティックパイパー〉☆1 魔法使い族 光属性

DEF0

 

 

「ミスティックパイパーの効果発動‼︎このカードをリリースしてカードを1枚ドロー‼︎私がドローしたのは妖醒龍ラルバウール‼︎レベル1モンスターなのでもう1枚ドローします‼︎さらに魔法カード、貪欲な壺‼︎墓地に存在するクリボー、ゴーストリックランタン、ものマネ幻想師、占い魔女 ヒカリちゃん、ミスティックパイパーをデッキに戻してシャッフルし、カードを2枚ドローします‼︎」

 

「くっ、また手札が増えたか………」

 

「まだです‼︎再びドローした占い魔女 ヒカリちゃんの効果発動‼︎このカードを相手に見せ手札から特殊召喚します‼︎」

 

 

〈占い魔女 ヒカリちゃん〉☆1 魔法使い族 光属性

DEF0

 

 

「占い魔女 ヒカリちゃんの効果発動‼︎私はサクリファイスアニマを墓地へ送り、デッキからものマネ幻想師を特殊召喚‼︎」

 

 

〈ものマネ幻想師〉☆1 魔法使い族 光属性

ATK0

 

 

「っ、またそいつか‼︎」

 

「ものマネ幻想師の効果発動‼︎今度こそNo.12 機甲忍者クリムゾンシャドーを選択して、このカードの攻撃力・守備力は、選択したモンスターの元々の攻撃力・守備力と同じ数値になります‼︎」

 

ものマネ幻想師がクリムゾンシャドーを鏡で写し、ものマネ幻想師の姿がクリムゾンシャドーに変化する。

 

 

ものマネ幻想師

ATK0→2400

 

 

「バトル‼︎ものマネ幻想師でNo.12 機甲忍者クリムゾンシャドーを攻撃‼︎イリュージョンミラー‼︎」

 

「チッ、No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーの効果発動‼︎近朱必赤‼︎オーバーレイユニットを1つ取り除き、このターン、自分フィールド上の忍者と名のついたモンスターは戦闘及びカードの効果では破壊されない‼︎迎え撃て、No.12 機甲忍者クリムゾンシャドー‼︎光陰流転‼︎」

 

ものマネ幻想師が姿を写し取って作り出した刀をクリムゾンシャドーに振るうが、クリムゾンシャドーが印を結ぶと、服部君の忍者達が再び赤いオーラに包まれ、クリムゾンシャドーが凄まじいスピードで動き、ものマネ幻想師を斬り裂いた。

 

「ゴメンね、ものマネ幻想師………でも、これでNo.12 機甲忍者クリムゾンシャドーのオーバーレイユニットはなくなりました‼︎メインフェイズ2‼︎墓地に存在するジェットシンクロンの効果発動‼︎手札を1枚墓地に送り、墓地からこのカードを特殊召喚する‼︎ただし、この効果で特殊召喚したこのカードはフィールドから離れた場合、除外される‼︎」

 

 

〈ジェットシンクロン〉☆1 機械族 炎属性

DEF0

 

 

現れたのは小さなジェット機のような機械のモンスター。

 

そして私は再び正面に手をかざす。

 

「導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」

 

「リンク召喚………」

 

「召喚条件はレベル1モンスター1体。私は占い魔女 ヒカリちゃんをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚‼︎希望の守り手‼︎リンク1‼︎リンクリボー‼︎」

 

 

〈リンクリボー〉LINK1 サイバース族 闇属性

ATK300 ↓

 

 

ヒカリちゃんがサーキットに吸い込まれると、代わりに青い球体のモンスターが現れる。

 

現れたリンクリボーはどこか警戒した様子でクリムゾンシャドーを見つめていた。

 

やっぱり、No.を警戒してる………私は今まで受けたことはないけど、師匠が一度入院した程だ。

 

安全なんてことはありえないということを、きっとリンクリボー達も分かってるんだ。

 

なら、そんな状況で私が打てる手は………

 

私は自分の手札にあるカードと服部君のフィールドにいるモンスター達を見てから目を閉じる。

 

そして覚悟を決めると目を開いて、手を正面にかざした。

 

「私はレベル1の金華猫とジェットシンクロンでオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚‼︎」

 

金華猫とジェットシンクロンが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして、渦が弾けると、舞い降りたのは金色の翼を持つ小さな戦士。

 

私が呼ぶ小さき希望。

 

「おいで、No.39‼︎小さき希望は、逆境の中で進化を遂げる‼︎希望皇ホープルーツ‼︎」

 

 

〈No.39 希望皇ホープルーツ〉★1 戦士族 光属性

ATK500

 

 

「No.だと⁉︎お前もNo.を所持していたのか⁉︎」

 

「これが、遊花が使うNo.………」

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンドです‼︎」

 

 

遊花 LP8000 手札2

 

ー△△▲▲ ー

ーーー○ー

○ ☆

ーー○ー○

△ー▲ー△ ー

 

香月 LP8000 手札1

 

 

「俺のターン、ドロー‼︎」

 

「スタンバイフェイズ‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎バトルマニア‼︎相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターは全て攻撃表示になり、このターン表示形式を変更する事はできず、このターン攻撃可能な相手モンスターは攻撃しなければならない‼︎」

 

「何?………何を狙っているかは知らないが、そんなちっぽけなNo.で俺のクリムゾンシャドーに勝てるわけがない‼︎とはいえ、そもそもお前には厄介な永続罠があるからな。先にそれを消させてもらうぞ‼︎俺は覆面忍者ヱビスを召喚‼︎」

 

 

〈覆面忍者ヱビス〉☆4 戦士族 風属性

ATK1200

 

 

フィールドに現れたのは爆弾を手にした恰幅のいい緑の忍装束を着た忍者。

 

「覆面忍者ヱビスの効果発動‼︎1ターンに1度、自分フィールド上に同名カード以外の忍者と名のついたモンスターが存在する場合、自分フィールド上の忍者と名のついたモンスターの数だけ、相手の魔法・罠カードを持ち主の手札に戻す‼︎」

 

「っ………リバースカードオープン‼︎速攻魔法、アクションマジック-フルターン‼︎このターン、モンスター同士の戦闘で発生するお互いの戦闘ダメージは倍になります‼︎」

 

「何だと?」

 

ヱビスが投げた爆弾が私の魔法・罠を吹き飛ばす。

 

「はっ、血迷ったか。俺のモンスター達はお前の弱小モンスターに比べて圧倒的に攻撃力が高い‼︎その効果でやられるのはお前自身だと言うことすら分からないとはな‼︎」

 

私が発動したアクションマジック-フルターンを見て服部君が一瞬怪訝そうな表情を浮かべたがすぐにこちらを嘲笑うような笑みに変わる。

 

No.は人の心の闇を増幅すると言っていたけど、その分気も大きくなっているのかも知れない。

 

「機甲忍者ブレードハートの効果発動‼︎一箭双雕‼︎オーバーレイユニットを1つ取り除き、No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーに2回攻撃を付与する‼︎さらに装備魔法、エクシーズユニットをNo.12 機甲忍者クリムゾンシャドーに装備する‼︎このカードはエクシーズモンスターにのみ装備でき、装備モンスターの攻撃力は、装備モンスターのランク×200ポイントアップする‼︎また、自分フィールド上の装備モンスターがオーバーレイユニットを取り除いて効果を発動する場合、このカードは取り除くオーバーレイユニットの1つとして扱う事ができる‼︎No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーのランクは5‼︎よって攻撃力は1000ポイントアップする‼︎」

 

 

No.12 機甲忍者クリムゾンシャドー

ATK2400→3400

 

 

「バトル‼︎覆面忍者ヱビスでNo.39 希望皇ホープルーツを攻撃‼︎」

 

「相手モンスターの攻撃宣言時、リンクリボーの効果発動‼︎ゼロリンク‼︎このカードをリリースし、その相手モンスターの攻撃力はターン終了時まで0になります‼︎」

 

リンクリボーの身体が粒子に変わってヱビスに纏わりつき、力を奪う。

 

 

覆面忍者ヱビス

ATK1200→0

 

 

「いい加減しつこいんだよ‼︎No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーでNo.39 希望皇ホープルーツを攻撃‼︎この瞬間、黄昏の忍者-カゲンのペンデュラム効果発動‼︎No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーの攻撃力はダメージステップ終了時まで1000ポイントアップする‼︎」

 

 

No.12 機甲忍者クリムゾンシャドー

ATK3400→4400

 

 

光の柱の中にいるカゲンが印を結ぶと、クリムゾンシャドーの手にしている片方の刀に淡い光が灯り、それを見たクリムゾンシャドーがホープルーツに向かって駆け出す。

 

「No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーよ‼︎脆弱な臆病者のNo.を斬り刻め‼︎光陰流転‼︎」

 

クリムゾンシャドーが凄まじいスピードでホープルーツに迫り、二振りの刀を振るう。

 

それを見て、私は不敵な笑みを浮かべた。

 

「その攻撃を………待ってました‼︎」

 

「何⁉︎」

 

「No.39 希望皇ホープルーツの効果発動‼︎ムーンバリアオリジン‼︎自分または相手モンスターの攻撃宣言時、このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除いてそのモンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターがエクシーズモンスターだった場合、このカードの攻撃力はそのモンスターのランク×500ポイントアップします‼︎」

 

「何だと⁉︎」

 

「No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーのランクは5‼︎よって攻撃力は2500ポイントアップします‼︎」

 

クリムゾンシャドーが振るった刀をホープルーツが背中の翼を盾に変えて受け止め、その刀を通じてクリムゾンシャドーから闇の力を奪い取っていく。

 

 

No.39 希望皇ホープルーツ

ATK500→3000

 

 

No.12 機甲忍者クリムゾンシャドー

ATK4400→3400

 

 

「ぐっ‼︎コイツ………‼︎」

 

自分の力が奪われていることに気づいたのか慌てた様子でクリムゾンシャドーがホープルーツから離れていく。

 

「貴方がエクシーズモンスターばかりを出し、ランクが低いNo.39 希望皇ホープルーツを侮ってくれて助かりました。今の貴方のエクシーズモンスターはバトルマニアの効果で攻撃しなければいけません。これならNo.39 希望皇ホープルーツは全力を出すことができます‼︎」

 

「っ‼︎貴様、まさか最初からこれが狙いで………‼︎」

 

「No.12 機甲忍者クリムゾンシャドー‼︎貴方を攻略して、私が知る服部君を返して貰います‼︎」

 

「っ………1体目の︎機甲忍者ブレードハートでNo.39 希望皇ホープルーツを攻撃‼︎機略縦横‼︎」

 

「No.39 希望皇ホープルーツの効果発動‼︎ムーンバリアオリジン‼︎オーバーレイユニットを1つ取り除いてそのモンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターがエクシーズモンスターだった場合、このカードの攻撃力はそのモンスターのランク×500ポイントアップする‼︎機甲忍者ブレードハートのランクは4‼︎よって攻撃力は2000ポイントアップします‼︎」

 

ブレードハートが振るった刀をホープルーツが背中の翼を盾に変えて受け止め、その力を自身の力に変える。

 

 

No.39 希望皇ホープルーツ

ATK3000→5000

 

 

「ランク1で………攻撃力、5000だと⁉︎っ、クソが‼2体目の︎機甲忍者ブレードハートでNo.39 希望皇ホープルーツを攻撃‼︎機略縦横‼︎」

 

「迎え撃って‼︎No.39 希望皇ホープルーツ‼︎ホープ剣ルーツスラッシュ‼︎」

 

ブレードハートが素早くホープルーツの背後に回って刀を振り下ろすが、ホープルーツは背中の翼を盾に変えて、振るわれた刀を弾き返す。

 

刀を弾かれ、体勢を崩したブレードハートにホープルーツは剣を横薙ぎに振るい、両断した。

 

 

香月 LP8000→2400

 

 

「があっ‼︎ぐっ、おおおおお‼︎No.12 機甲忍者クリムゾンシャドーでNo.39 希望皇ホープルーツを攻撃‼︎光陰流転‼︎」

 

香月君が雄叫びをあげると、クリムゾンシャドーが凄まじいスピードでホープルーツに迫り、二振りの刀を振るう。

 

しかし、次の瞬間、クリムゾンシャドーの刀は空を切り、ホープルーツの姿はクリムゾンシャドーの視界から消える。

 

「これで終わりです‼︎No.39 希望皇ホープルーツ‼︎」

 

ホープルーツの姿を探し、辺りを見渡していたクリムゾンシャドーは自身の頭上に光輝くものがあることに気付き頭上に視線を向ける。

 

クリムゾンシャドーの光輝く剣を勢いよく振り被ったホープルーツの姿があった。

 

「闇を断ち切って‼︎ホープ剣ルーツスラッシュ‼︎」

 

ホープルーツが剣を振り下ろすと、クリムゾンシャドーの身体が両断され、爆散した。

 

「ぐあぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

香月 LP2400→0

 

 

ーーーーーーー

 

 

「ふぅ………攻略完了です」

 

「やったわね、遊花‼︎」

 

デュエルが終わり、私の後ろに下がっていた桜ちゃんが安心した表情で声をかけてくる。

 

私がホッと一息ついて桜ちゃんの方を向こうとすると、デュエルが終わって気絶してしまった服部君のデッキからカードが1枚、勝手に宙に浮き、そのカードを闇のようなものが覆ったかと思うと凄い勢いで回転しながら私の元に飛んできた。

 

「ひゃぅ⁉︎」

 

「っ⁉︎遊花⁉︎」

 

咄嗟にそのカードを受け止めるために手をかざすと、そのカードを覆っていた闇が跡形も無く霧散し、勢いが弱まりながら私の手の中にカードが収まる。

 

恐る恐る手の中に収まったカードを見て見ると、私の元に飛んできたのは先程まで服部君に取り憑いていたクリムゾンシャドーのカードだった。

 

「ふぅ………びっくりした………痛っ‼︎」

 

「遊花⁉︎」

 

クリムゾンシャドーを受け止めたことでホッと一息をついた瞬間、急に頭痛が襲ってくる。

 

しかし、頭を押さえるとその頭痛が嘘のように消えていった。

 

「大丈夫⁉︎まさか、さっきのデュエルでどこか怪我を………」

 

「あ、ううん。ちょっと頭痛がしただけだから、平気、へっちゃらだよ。ちょっと集中し過ぎたから疲れちゃったのかも」

 

「………そう………よかった。もう心配かけないでよね」

 

「えへへ、ごめんね」

 

桜ちゃんがホッとした表情で私の身体を抱きしめてくるので私も優しく抱きしめ返す。

 

「う………ここは………」

 

「あ‼︎服部君、大丈夫⁉︎」

 

「むっ、栗原か………何をしてるんだ、君達は?」

 

「っ‼︎」

 

「わわっ、桜ちゃん?」

 

「ごめん、今はこっち見ないで………」

 

「え?あ、うん。わかった」

 

しばらくして起き上がった服部君は抱き合っている私達を見て怪訝そうな表情を浮かべる。

 

私を抱きしめていたことを見られたのが恥ずかしかったのか桜ちゃんは顔を真っ赤にして私の身体を離すと私の後ろに隠れてしまった。

 

「服部君、大丈夫?」

 

「ああ………俺はここで倒れていたのか?」

 

「え?あ、う、うん‼︎偶々中庭に来たら服部君が倒れてたから、ビ、ビックリシタヨー」

 

「どうして棒読みなんだ?とはいえ、心配をかけたな、すまない」

 

「ううん、ううん‼︎気にしなくてもいいよ。困った時は助け合いだもん‼︎」

 

「そうか、いい奴だな、君は」

 

そういって服部君が柔らかく笑う。

 

………よかった、No.に操られた後遺症みたいなものもないみたい。

 

………そうだ‼︎

 

「ねぇ、服部君。このカードって服部君の?このカード、気絶してた服部君が持ってたんだけど………」

 

「俺が?………No.12 機甲忍者クリムゾンシャドー?いや、確かに俺は忍者を使っているが、そのようなカードは所持していないぞ」

 

クリムゾンシャドーのカードを見た服部君は驚いた表情を浮かべながら首を振る。

 

この感じだと、服部君はさっきのデュエルと手にしていたクリムゾンシャドーのことは覚えていないみたいだ。

 

直接聞いて何か手掛かりが得られないかと思ったけど、そう簡単にはいかないか。

 

そこまで考えて私は手の中にあるクリムゾンシャドーを見る。

 

何故だかよく分からないけど、このクリムゾンシャドーからはデュエル中に感じていた闇の気配が一切感じられない。

 

なら、もしかしたら………

 

「うーん。そっか、とりあえず服部君にこのカード返すね」

 

「ちょっ⁉︎遊花⁉︎」

 

「いや、返すと言われてもそもそも俺のカードでは………」

 

「でも、服部君のデッキなら使えるでしょ?外に落ちてたものだし、風で飛ばされてきたかも知れないから持ち主を探す方が難しいよ。だから、服部君が使ったらいいと思う。忍者を使いこなしてる服部君、カッコいいしね」

 

そういって、少し緊張しながらも服部君の手にクリムゾンシャドーを握らせる。

 

もし、私の勘違いでまだ闇が残っているのであれば服部君は再び暴走してしまうかも知れない。

 

でも、私の感覚がもし正しいのであれば………

 

「………分かった。とりあえず俺が所持しておこう。だが、敵に塩を送ったことを後悔するなよ?」

 

「なら、後悔しないように私はもっと強くなるね」

 

「ふっ、それでこそ栗原だ」

 

服部君はそう言って笑みを浮かべると、クリムゾンシャドーを自分のデッキに入れた。

 

………暴走の気配は、ない。

 

「そうだ‼︎一応、保健室に行って見てもらっておいた方がいいよ。倒れてたんだし」

 

「ふむ、そうだな。それでは俺は保健室に行くとしよう。今回は迷惑をかけたな」

 

「気にしなくていいよ。それじゃあ、またね」

 

「ああ」

 

服部君が保健室の方に歩いていき、その姿が見えなくなるまで見送る。

 

服部君の姿が完全に見えなくなったところで、桜ちゃんが私に詰め寄ってきた。

 

「ちょっと遊花⁉︎回収したNo.を返すってどういうことよ⁉︎もし、また暴走したらどうするのよ⁉︎」

 

「その時はまた私がデュエルすればいいだけだよ。それに、多分もう暴走はしないんじゃないかな?桜ちゃんだって服部君の様子を見てたでしょ?」

 

「………確かに暴走しそうな感じには見えなかったけど………でも、それでもあれは闇のカードなのよ?」

 

「いや、それもどうだろう。多分ね、クリムゾンシャドーはもう闇のカードじゃなくなってたよ」

 

「………は?」

 

私の言葉に桜ちゃんが目を丸くする。

 

「私が手にした時にはもうクリムゾンシャドーが纏ってた闇みたいなものが見えなかったもん」

 

「でも、さっきまでは………」

 

「私も不思議に思ったけど、私の持ってるホープルーツとギャラクシークィーンも闇のカードじゃなくなってたみたいだし、そんなこともあるのかなって」

 

私の言葉に桜ちゃんがしばらく考え込んでからため息を吐く。

 

「………まあいいわ。だけど、心臓に悪いから迂闊な行動は謹んでよね」

 

「あはは、ごめんね。でも、これでデュエルアカデミアの中にも闇のカードが入ってきてることが分かったね」

 

「いいことではないけどね。これから忙しくなりそうだわ」

 

私達は苦笑を浮かべながらこれからのことを話し始める。

 

これが、私達の一歩目。

 

闇のカードを巡る長い戦いの始まりだった。

 

 




次回予告

No.を生み出している人物を見つけ出すため、手掛かりとなる鱗之助を探して港湾エリアを彷徨う遊騎と夜。
鱗之助の情報を手繰り、辿り着いた場所にいたのは闇のカードによって操られた船乗り達だった。
負傷している遊騎を守るため、夜は単身船乗り達とのデュエルに挑む。

次回 遊戯王Trumpfkarte
『亡霊の宴』


次回は夜のデュエル回。
遊騎視点と第三者視点でお送りする予定です。
遊騎達は無事に手掛かりを手に入れることができるのか?
次回をお楽しみに。

そして今回は闇のカードの説明とデュエルアカデミアでのNo.に関するデュエル回でした。
クリムゾンシャドーはフリーチェーンで忍者全体に耐性を与える中々厄介なカードです。
最近の忍者はフィールドに残ってると碌なことをしないのでそんな忍者全体に耐性を与えるクリムゾンシャドーは物凄く厄介なんですよね。
もうそろそろ海外から忍者が入ってくるのでまた出番はありそうですね………海外から忍者が入ってくるという言葉は何かおかしい気もしますが。

それじゃあ今回はここまで。
いつのまに7月に入ろうとしており、夏が近づいてきて仕事量が大変なことになってきてます。
というわけで、申し訳ないのですが次回の更新はまた少し空く予定です。
具体的に言うと7月11日まで。
その理由としては前に書いた気がしますが、7月11日でこの作品が1周年になるので1周年記念の番外編を更新したいからです。
………まあ、張り切り過ぎて既に普段の二話分に届きそうになってて少し怖いのですが。
ただここで完成させて添削しながら本編を書くとなると企画倒れになりかねないので、今回ばかりは少し番外編の方に力を入れたいのでご理解の方をよろしくお願いします。
その分、皆さんに楽しんで貰えるように自分の100%を全開にして執筆しますので。
詳細な内容は秘密にしておきますが、番外編らしいちょっと変わった話になる予定ですよ。
といったところで今回はここでお開き。
ではでは〜
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