大変お待たせ致しました。
色々と気に入ったデュエルが書けず、1度書いたデュエルを丸々書き直していたら気づけばこんなに間が空いてしまいました、非力な私を許してくれ………
今回は遊騎のデュエル回です。
遊騎視点と遊花視点でお送りします。
後半シリアスです、超展開です。
そしておそらく今までで文字数が最長です。
それでは本編へGO‼︎
☆
もし、過去に戻れるなら。
そんな後悔を、俺は何度も繰り返す。
大切なものを守るために、他の選択肢があったんじゃないかって。
だからこそ、これはきっとその選択肢を絶った俺への、世界が下した呪い。
どこまでも愚かで傲慢な俺への………消えることがない呪いだ。
ーーーーーーー
「………」
「消沈しているね、遊騎君。後悔しているのかい?」
「………まあ、ね」
遊花と仲違いをしてしまった後、俺は島さんにとある頼み事をするために『Natural』を訪れていた。
本当はすぐにでも頼み事をして情報収集に出かけるつもりだったのだが、遊花との仲違いは余程堪えていたらしい。
俺の表情から何かがあったことに気付いた島さんにコーヒーを入れてもらい、気づけば今朝何があったかを話していた。
「もっとさ、別の選択肢があったんだろうなって、思うんだよ。遊花も俺も、両方が納得できるような選択肢が。だけど、やっぱり俺は馬鹿だから、間違った選択肢を選んだんだろうなってことが、終わってからじゃないと分からない」
「………間違った選択肢かどうかは、遊騎君次第だと私は思うよ」
「えっ?」
島さんの言葉に、俺は思わず目を見開く。
戸惑う俺に、島さんは諭すように言葉を紡ぐ。
「確かに、今回遊騎君は遊花君を思いやるあまり、遊花君と仲違いをしてしまった。だが、仲違いなんてものは、生きていれば誰とでも起こり得ることだ。問題は、仲違いをした後、君がどうしたいかだ」
「俺が、どうしたいか?」
「そうさ。自分の気持ちを譲らず、遊花君と気持ちをぶつけ合っていくのか。遊花君のことを慮り、遊花君の気持ちに寄り添っていくのか。どちらが正しい、ということはないよ。これは人の想いの問題だからね」
「正しいが………ない」
「そうさ。遊花君の安全を考えれば、遊騎君がしたことは正しい。だが、遊騎君の安全を考えるなら、遊花君が正しいんだ。遊騎君は遊花君のことを慮るあまり自分のことを蔑ろにし過ぎた。だが、遊花君も遊騎君を慮るあまり、自分を蔑ろにしようとした。第三者である私から突き放すような言い方をすれば、どっちもどっちと言えるだろう」
「………」
「遊騎君が悪い。でも、遊花君も悪かった。ならば、折り合いをつける方法はあると、私は思うけどね」
「………手厳しいな、島さんは。でも………そっか。うん、ありがとう、島さん」
「どういたしまして、だね。私は君達の選択がどうであれ、君達を支えよう。子供のやりたいことを支えてやれない大人なんて、かっこ悪くてかなわないからね」
そういって笑う島さんを見て、俺も思わず笑みを浮かべた。
思えば、俺が悩んだ時にいつも道を示してくれたのは島さんだった。
本当に感謝してもしたりない。
いつか、返せるだろうか?
島さんが貰った沢山の恩義を。
「さて、それじゃあ本題に入るとしよう。私に何か頼み事があるんだったね」
「………ああ。島さんには、これを預かってて欲しいんだよ」
「これは………」
そういって、島さんのいるカウンターに数枚のカードを置く。
「No.にRUM………それに、CNo.………遊騎君、君は………」
俺が置いたのは白紙に戻ったものを除いた、カオスオブアームズやバリアンズフォースを含めた俺が手に入れてきた闇のカード。
俺は険しい表情を浮かべる島さんに、真剣な表情で口を開く。
「昨日、今回の事件の黒幕に関する手掛かりになりそうな情報を手に入れてさ。今日はそれを調べにいくつもりなんだ。だけど、この情報は黒幕にとってもアキレス腱だ。気づかれたら、まず間違いなく襲われるだろう。もし、万が一にも俺が負けたらこのカード達が奴らに渡っちまう。それだけは避けたいんだ」
「………負けた後のことを考えるなんて、随分弱気じゃないか。君らしくもない」
「まあね。だけど、相手は闇のカードを生み出してる奴らだ。どんな悪辣な手を使ってくるか分からない。おまけに、アイツらはよく分からない空間に俺を引きずりこむことができる。襲われたらまず逃げられない。リスクはできるだけ減らしたいんだ。それに………」
俺はカウンターの上においたコートオブアームズのカードを手に取る。
「この事件に関わるきっかけになったカードではあるんだけどさ、何だかんだで気に入っちまったんだよ、コイツのこと。闇のカードだけど、コイツは俺のことを試しながらも、何度も助けてくれた。だから、コイツを他の誰かに悪用なんて、させたくない」
「遊騎君………分かった。君が受け取りにくるまで、責任を持って預からせて貰うよ。だから、必ず君が受け取りに来るんだ。そのカードも、きっとそれを望んでいるよ」
そういって島さんが柔らかな笑みを浮かべる。
俺はそんな島さんに心の中で謝りながら、コートオブアームズをカウンターに置いた。
「ああ。それじゃあ、行ってくる」
「ああ、いってらっしゃい。君の無事を、心から祈っているよ」
そんな島さんの言葉を背に受けながら、俺は『Natural』を後にし、自分のバイクに跨ってケルンの街を走り出す。
俺の頭の中には、昨日空閑から聞いた話がずっと頭の中を巡っていた。
ーーーーーーー
「闇のカード………そいつが東風谷を操ってたと、テメェは言いたいのか?」
「ああ」
俺の言葉に、空閑は舌打ちをして不機嫌そうな表情を浮かべる。
「チッ、とんだオカルトだと笑い飛ばしたいところだが、実際に東風谷は行方不明になっている間に何かを行い、こうしてテメェを襲っている。頭がいてぇ話だぜ」
「この東風谷って子が行方不明になった2日前だったよな?その時に何か変わったことはなかったか?」
「俺様達だっていつも連んでるわけじゃねぇ。俺様も先公に聞かれなければ気づかなかった。正直覚えてもいねぇよ」
「………そうか」
空閑の言葉に、俺は難しい表情を浮かべてしまう。
取り巻きとはいえ別行動をすることもあるなら気づくのに遅れても仕方がない。
そのうえ普段から意識して集まってるんじゃないのなら尚更のこと。
やっぱりこの情報からは先に行けないか?
そんなことを考えていると、空閑がふと思い出したかのように口を開く。
「だが、そうだな………同じように連んでる奴が、東風谷のことで妙な事を口にしていたな」
「妙なこと?」
「ああ。東風谷が数日前から外部講師に呼び出されたって話だ」
「外部講師?」
外部講師と言われ、闇の姿が思い浮かぶが、それはないだろうとその考えを打ち消す。
ただでさえ、闇はデュエル以外のことにほとんど興味がない。
先程デュエルをした感じだと、闇が興味を抱く程のレベルではないだろう。
となると、別の外部講師か?
「ああ。『氷の女王』と同じ日に講師をすることになったカードデザイナーに呼び出されたらしい。何でも『講義で行なったカードデザインについて話がある』って呼び出しだったらしい。東風谷の奴もあまり乗り気じゃなかったが、先公の呼び出しを無視して面倒事になっても俺様に迷惑がかかると言って呼び出しに応じたらしいぜ」
「カードデザイナー………なあ、講義で行なったってことは空閑達もデザインをしたのか?」
「ああ、外部講師の講義は必修だ。サボれば留年が決まっちまう。面倒ではあるが、俺様も勧誘されている手前参加せざる得なかった」
その空閑の言葉に、俺はあることに思い至る。
俺が初めてヘイムダルとデュエルをした時に戦ったロンゴミアント。
あれは闇のカードでありながら俺が使うHーCのカテゴリーに含まれていた。
そして奴はロンゴミアントを『闇のカードを研究し、既存のカードをベースとして変容させた』と言っていた。
確証と言える程のものではない。
だが、カードデザイナーとはそもそもカードを生み出す者だ。
それならば、もしそんな奴に闇のカードを生み出す力があれば。
そして、もしそんな奴を刺激するようなデザインが大した労力も得ずに手に入る場所があるならばーーー
「………なあ、その外部講師の名前はなんて言うんだ?」
「ほぅ、アイツを疑ってんのか。まあ、テメェの話を聞けば疑う理由も分かるがな」
「………言っとくが、危ないから下手に刺激すんなよ?」
「テメェに指図される筋合いはねぇな」
「薮蛇だったか………お前が闇のカードに操られるようなことがあれば問答無用でぶっ倒してやるからな」
「そんなチンケなもんで俺様を従わすことができるならな。まあいい。そいつの名前はーーー」
ーーーーーーー
「天神 幻騎、か」
昼過ぎ。
栗原家にバイクを置いてきた俺は立派な噴水が設置された中央エリアの駅前広場でベンチに腰をかけながらその名前を呟いていた。
午前中の内に行った情報収集では大した情報を得られなかった。
分かったことといえば、天神 幻騎は世界的に活躍しているカードデザイナーであるということぐらいだ。
やはり正規の情報収集では集めるのにも限界がある。
となればーーー
そこまで考えたところで背後から誰かの気配を感じた。
その気配は頑張って気配を消しながらゆっくりと近づいてきているが、強烈な視線を感じるせいで全然気配を隠せていなかった。
俺はため息を吐きながらわざとらしく空を見上げて呟く。
「………美傘、新しい街でも、元気にやってるかな?」
「私ここにいますよ⁉︎この街、出て行ってないですよ⁉︎」
背後から大声でそんなツッコミがとんでくる。
俺が振り返ると、そこでは変装用なのか眼鏡をかけ、ゆったりとした黒のパーカーに青色のロングスカートというカジュアルな服装をした美傘が腕をブンブンと振り回しながらツッコミを入れていた。
そんな美傘に、俺はわざとらしく驚いた表情を浮かべる。
「おお、美傘。いたのか?」
「絶対気付いてたよね⁉︎そういうの良くないよ‼︎」
「で、何しようとしてたんだよ?」
「うっ、そ、それは………」
俺の問いかけに美傘はあからさまに目を逸らす。
そんな美傘に俺はため息を吐きながら笑みを浮かべる。
「まぁ、だいたい想像はつくけどな」
「はぅ………やっぱり遊騎さんには敵わないや………」
「背後から忍び寄ってコブラツイストでもくらわせようとしたんだろ?」
「想像ついてないよ⁉︎見当違いも甚だしいよ⁉︎」
俺の言葉に美傘が驚愕に目を見開く。
まあ、そんな反応をするのが分かってて言ってるんだけどな。
「で?こっそり背後から近付いて、抱きついて驚かせようとでもしたのか?」
「うっ………流石は遊騎さん………こういう時は気持ち悪いくらいに鋭い」
「気持ち悪いは余計だ。お前が分かりやすすぎるんだよ」
俺の言葉に美傘が項垂れる。
まあ、美傘は分かりやすいぐらいがちょうどいいと思うけどな。
「それで、遊騎さん。今日は何の用なの?私をわざわざ呼び出すなんて、初めてだよね?………はっ‼︎まさか、愛の告白⁉︎ダメだよ〜私がいくら可愛いからって〜」
そういって美傘がわざとらしく茶化してくる。
何となく、俺の雰囲気からどんな内容なのかを感じているのだろう。
本当に、今日は気を使われてばかりだ。
それはそれとして、こうして茶化されると少しからかってやりたくなる。
だから、俺は真剣な表情を浮かべて美傘に近寄る。
「そうだと言ったら、どうする?」
「………ほぇ?」
俺の言葉に美傘が分かりやすく固まる。
そして固まった美傘の耳元で真剣な声色で囁く。
「本当に、愛の告白だったら、どうする?」
「ほにょっ⁉︎」
俺の言葉に、美傘の顔が一瞬で林檎のように真っ赤になっていく。
そして目をぐるぐると回しながらうわ言のように言葉が漏れていく。
「ゆ、ゆゆゆゆうきしゃん⁉︎あ、あの、あのあの、みかさも、いやじゃ、にゃい、けど、けど‼︎あぅ、あぅぅぅぅ‼︎」
「………なーんて、冗談だ。これに懲りたら歳上をからかうのは………って、美傘?」
「………ぷしゅー」
「美傘⁉︎」
そして今までの比ではないほど………もう他の人種に変身したんじゃないかと思う程真っ赤になった美傘は奇妙な声を出すと、その場でふらりと倒れ込みそうになり、慌てて身体を支える。
「き、気絶してる………えぇ?自分でそういう流れを振ってきたのに?」
真っ赤になったまま気絶した美傘を見て、心配するよりも先に困惑してしまう。
自分でからかうように言ってきた癖に、からかい返されて気絶するとは………
「美傘………残念すぎる」
何とも言えない微妙な気分になりながら、俺は気絶した美傘をさっきまで座っていたベンチに運んで介抱するのだった。
ーーーーーーー
「ぐすん、また辱められた………乙女の純情を弄ばれた………」
「いや、まあ、今回は俺も悪かったよ。まさか美傘がここまで残念な奴だとは思ってなかったんだ、すまん」
数分後。
気絶から覚めた美傘を連れて近くのカフェでお茶をしながら、先程の茶番を引きずる美傘を慰める。
まさかあの程度の演技で気絶するとは流石に俺も予想ができなかった。
先程は心配よりも困惑が勝っていたが、改めて考えると美傘の今後が心配になってくる。
「むぅ………まあ謝ってくれるなら………あれ?本当に謝られてる?なんか馬鹿にされてない?」
「………はぁ〜本当に残念だな、美傘は」
「やっぱり馬鹿にされてるよね⁉︎」
俺の微妙な謝罪の言葉に騙されかけて驚愕の表情を浮かべる残念な美傘を見て、俺は思わずため息を吐く。
「お前、もうちょっとしっかりした方がいいぞ?あんな簡単に狼狽えて、あんなんじゃ悪い男に捕まっちまうぞ?」
「………あれはむしろ遊騎さんだったから狼狽したんだけど」
「?何か言ったか?」
「うー何でもないですよー」
何事かを呟いた美傘に尋ね返すと注文したコーヒーを口にしながら拗ねたように顔を逸らす。
全く、本当に心配になってくるな、美傘は。
「お前は可愛いんだから、その手の輩が寄ってこないとも限らないんだぞ?もう少し緊張感と落ち着きを持ってだな………」
「っ⁉︎〜〜〜〜〜っ⁉︎けほっ‼︎けほっ‼︎」
「うぉい⁉︎大丈夫か⁉︎」
飲んでいたコーヒーが気管に入ったのか、いきなり目を白黒とさせながらむせ込んだ美傘を慌てて介抱する。
本当に落ち着きがなさ過ぎるだろうコイツは。
しばらくしてむせこみが治ると、美傘は再び頰を赤く染めながらあわあわと口を震わせる。
「ゆ、遊騎さん?い、今、なんて?」
「は?いや、だからもう少し緊張感と落ち着きを持って」
「その前‼︎その前になんて言ったの⁉︎」
「その前?………ああ、お前は可愛いんだから?」
ようやく質問されていることが分かって自分が言ったことを復唱する。
すると美傘は頭から湯気をーーーって湯気⁉︎
そんな馬鹿な………漫画じゃあるまいし………いや、でも、目を擦ってもやっぱり湯気みたいなものが見えるーーーって、あれ美傘の霊魂じゃないのか⁉︎
「み、美傘‼︎」
「はうっ‼︎」
俺が声をかけると、湯気みたいなものが美傘の中におさまる。
本当に霊魂が抜け出てたのかよ………
「どうしたんだお前、変だぞ?いや、いつも奇怪な行動が目立ちはするけど」
「余計なお世話だよ‼︎そして遊騎さんには言われたくないよ‼︎」
怪訝な表情を浮かべると美傘はきっぱりとそう言う。
失礼な。
俺は美傘に比べれば絶対に一般人だ。
俺程一般的な青年も今時珍しいぐらい普通だろ、俺は。
「………うぅ〜遊騎さんが天然なのは知ってたけど、これ以上私のハートにダイレクトアタックされたら保たないよ………」
「だから、何をぶつぶつ呟いてるんだよ?」
「う〜〜〜‼︎べっつにぃ〜何でもないですよーだ‼︎」
「何故怒る?」
「何でもないったら‼︎それで、結局遊騎さんの用事は何なの?可愛い可愛い後輩の美傘さんだって忙しいんですからね‼︎」
「何故可愛いを強調する?」
そういって美傘が強引に話を切り替えようとする。
よく分からないが、触れて欲しくない部分のようだ。
まあ、俺も時間に余裕があるわけじゃないし、そろそろ本題に入るとしよう。
「まあいい。わざわざ呼び出したのは、ちょっと知りたい情報があってな」
「知りたい情報?」
「ああ、天神 幻騎ってカードデザイナーだ。知ってるか?」
俺が本題を切り出すと、美傘が真剣な表情で自分の携帯端末を操作し、こちらに見せる。
差し出された携帯端末に映っていたのは柔和な笑みを浮かべる黒髪をオールバックにした男だった。
「世界的に活躍しているカードデザイナーであり発明家、天神 幻騎。年齢 26歳。デュエルモンスターズの流通に関与している会社の1つ、『
「………思ったより情報が出てきたな」
「まあ、少し理由があって調べてたからね。まあ、私が調べてたのは『神秘』の方だけど」
「父親の方を?」
「うん。まあ、理由は内緒ってことで。今はまだ語るべきときではないってやつだよ」
そういって美傘が何処からわざとらしく笑う。
………気にならないわけではないが、今俺が求めているのは父親ではなく天神 幻騎の情報だ。
余計なことにかまけて足元をすくわれたのでは目も当てられない。
ここは当初の目的だけを達成することを考えよう。
「………分かった、今は聞かない。それで天神 幻騎のことで美傘が知ってるのはそれだけか?」
「まあ、些細な噂話とかはあるけど、何でそんなに天神 幻騎の情報を欲しがるの?もしかして、何か特ダネになりそうなこと?」
そういって茶化すような口ぶりだが、表情は真剣なままで美傘が尋ねてくる。
俺の推測が外れているならともかく、当たってしまっていた場合、美傘の身にまで危険が及ぶ可能性がある。
今ならまだ誤魔化すこともできるが、そうなるとこれ以上の情報は集まらないかもしれない。
さて、どこまで話すべきか………
「遊騎さん。前に遊騎さんが入院した時に私が話したこと覚えてますか?」
「え?」
躊躇する俺を見て、美傘は真剣な表情のまま、珍しく敬語を使って口を開く。
「私がこうしてプロ決闘者を続けられているのは新人時代に遊騎さんに色々アドバイスして貰ったからです。私がこうしていられるのも、遊騎さんのおかげです。どんなに尽くしても返しきれないくらいに、遊騎さんには恩があります」
そういって美傘は柔らかい笑みを浮かべる。
「それを返すにはきっと一生かかっても足りません。だから、何がなんでも、遊騎さんのために役立ちたいです。私に、恩返しをさせてもらいたいです」
「………お前がプロ決闘者を続けられてるのは、お前が頑張ったからだ」
「そんな言葉、私には響きませんよ?だって、私は確固たる自信を持って言えます。その頑張れる力をくれたのは遊騎さんです。夢を諦めてプロリーグから去ろうかと考えてたあの日に、もう一度立ち上がる力をくれたのは遊騎さんなんです」
「………」
「だから、遊騎さんが困ってることに、私の力が役立つなら、力を貸したいです。だって………だって、美傘さんは遊騎さんの可愛い可愛い後輩ですからね‼︎」
そういって、真剣な表情から一転して戯けるように笑う美傘。
ただ、顔が林檎のように赤くなってることから真剣に心情を吐露したことに照れてるのが丸分かりだ。
そんな美傘に、俺は思わず笑みを浮かべてしまう。
本当に、誰かを笑顔にするのが得意な奴だよ、お前はさ。
「………ったく、照れ臭いなら最初から言わなければいいものを」
「て、照れてなんかないもん‼︎エンターテイナーはこんなことぐらいじゃ照れないし‼︎」
「どんな意地の張り方だよ………じゃあ、力を貸して貰ってもいいか、美傘?」
「‼︎にひひ、まっかせて‼︎不肖、雨夜 美傘‼︎全力で頑張っちゃうよ‼︎」
そういってキラキラとした笑顔を浮かべる美傘に俺は事の全容を話し始める。
美傘な俺の話に驚きながらも真剣な表情で話を聞き、そしてーーー
ーーーーーーー
「それじゃあ、また何か分かったら連絡するね?」
「ああ。とは言っても、無理はするんじゃないぞ?今日俺が相談したことも、基本的には内緒だからな」
「モチのロンだよ‼︎遊騎さんとの密会をわざわざ言いふらしたりしないって。遊騎さんも無茶なことはしないでね?」
「善処する」
「うわー絶対無茶するやつだ」
そういって美傘がジト目で俺を見る。
だが、こればかりは闇のカードをばら撒いている連中次第だ。
俺はただ闇のカードをばら撒いている奴を探しているだけだから、襲われるのは不可抗力だ。
「遊騎さんはこれからどうするの?」
「とりあえず奴が外部講師をしているデュエルアカデミアに行ってみるつもりだ」
「そっか、デュエルアカデミアには遊花ちゃん達もいるもんね。情報共有と危機管理は必要だもんね」
「ん………まあ、な」
「遊騎さん?」
急に歯切れが悪くなった俺を見て美傘が首を傾げる。
そんな美傘に俺は首を振って応える。
「いや、何でもない。それじゃあ情報収集、頼んだぜ。くれぐれも、気をつけてな」
「分かってる。それじゃあねー」
そういってブンブンと手を振りながら去っていく美傘を見送り、俺も雨が降り出しそうな曇り空の中、デュエルアカデミアへの道のりを歩いていく。
美傘から得られた情報はとても有力な情報だった。
そしてこの情報の真偽を確かめるには虎穴に入るしかない。
とはいえ、その前に遊花達にこの情報を伝えておくべきだろう。
でも、その前に………
「謝らないとな………遊花に」
デュエルアカデミア前にあるいつもの公園に差し掛かったところで、俺はそんなことを呟いて携帯端末を操作し、遊花の番号を映し出させる。
俺は自分の命が価値のあるものだと思っていない。
だからこそ、俺がいくら傷つこうが遊花達の日常を守れるなら構わないと思っている。
その考えは微塵も変わっていない。
だけど、それでも遊花達にとっては、こんな価値がない俺でも傷つくのが許容できないのだろう。
それは、きっと俺が遊花達に穏やかな日常を送って貰いたいのと同じ気持ちで………
「………いや、謝るなら直接の方がいいよな」
そういって携帯端末の画面を消そうとしたところでーーー
『見つけたぞ、結束 遊騎』
ーーー後ろから何かの声がした。
振り向くと、そこにいたのは黒の装甲のようなスーツに黒いヘルメットを被った男。
闇のカードを生み出している元凶ーーーヘイムダルが木の陰からこちらを見ていた。
俺は極めて平静を装いながら、携帯端末をポケットにしまい込み軽快な声で話しかける。
「よう、まさかこんなところで会えるなんてな、ヘイムダル。いや、それともこう呼んだ方がいいのか?『Schopfer』現社長、天神 幻騎さん?」
『………何のことだ?』
「惚けんなって。アンタが第一人者なんだってな、立体映像を現実化させ、衝撃波のような物理的なダメージとして現れさせる仮想立体触感に立体映像を完全に実体化させるリアルソリッドビジョン。あの
『………驚いたよ。まさかそこまで調べあげ、推理しているとはね』
そういってヘイムダルがこちらに歩みよりながら黒いヘルメットについてあった機械のスイッチを押すと、黒い装甲がデータのように消えていく。
そして木の陰から姿を現したのは黒髪をオールバックにした男ーーー天神 幻騎だった。
「へぇ、そのヘンテコな装甲もリアルソリッドビジョンだったってわけか」
「君には敵わないな。どうだ、取引をしないか?」
「取引だ?」
幻騎の言葉に俺は眉を顰める。
そんな俺に幻騎はスーツの胸ポケットから小さなケースを取り出すと俺に差し出した。
「君にプレゼントをあげよう」
そういって幻騎がケースを開けると、そこにあったのは金色の翼を持つ戦士。
「っ、No.39 希望皇ホープ………」
俺はなるべく平静を装いながらそのカードに目をやる。
かつて異世界、そしてこの世界で共に戦った少女が所持していたNo.。
まさかこの世界にも存在していたなんてな。
「このカードはとても強力な力を持つNo.だ。このカードを研究したことにより、現在ケルンに蔓延しているNo.は生み出されている」
「っ⁉︎このカードから他のNo.を生み出された………そんな貴重なカードを俺に渡そうってのか?」
「そうだ。そしてもう1つ、君の弟子だそうだね、栗原 遊花君は」
「っ‼︎」
幻騎の口から遊花の名前が出てきたことで俺の心臓がドクンと大きいな音を鳴らす。
コイツ、俺と遊花の関係まで知ってるのか?
「そう怖い顔をしないでくれたまえ。もう1つの条件、No.39 希望皇ホープを渡すのを含め、君の弟子である栗原 遊花君には手を出さないことを約束しよう。代わりに、私のことについて公表しないで貰いたい。これでも、重要な立場にいるからね」
そういって、幻騎は笑顔でホープを俺に差し出してくる。
俺はしばらく考え、差し出されたホープを手に取った。
「乗った………なーんてな、ふっ‼︎」
「おっと‼︎」
そう言いながら勢いよくケースを蹴り飛ばし、幻騎を狙うが、何なく躱される。
あわよくば直撃して気絶してくれればと思ったが、そう上手くはいかないか。
「逃しやしない。ここでお前を倒せばこれ以上闇のカードが広まるのも止まるし遊花が狙われることはない‼︎行方不明になってるデュエルアカデミア生の居場所も洗いざらい吐いてもらうぞ‼︎」
「まさか強盗してくるとはな。やはり、決着はデュエルでつけるしかないか」
そういって幻騎がデュエルディスクを起動する。
俺のデッキの中にNo.は入っていない。
このデュエルで幻騎がNo.を使ってきても、このままじゃ回収することはできない。
それならと、俺はデュエルディスクを起動し、先程手に入れたホープのカードをデュエルディスクにセットする。
「さあ、懺悔してもらうぜ?今まで闇のカードに傷つけられてきた人達に‼︎」
「クックック、君にできるものならな」
『決闘‼︎』
遊騎 LP8000
幻騎 LP8000
ーーーーーーー
「先攻は俺か」
幻騎のデッキは幻影騎士団と星因士というモンスター達の混合デッキだったハズだ。
幻騎騎士団はサーチが行える多彩な罠でこちらの動きを妨害し、星因士はモンスター除去や妨害を行なってくるモンスター達だと記憶している。
さらに幻騎は闇のカードを生み出している元凶。
もたもたすれば、どんな強力な闇のカードが現れるか分からない。
それならば、最初から全力で動くしかない。
「魔法カード、予想GUYを発動‼︎自分フィールドにモンスターが存在しない場合にこのカードは発動できる。デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する‼︎来い、クィーンズナイト‼︎」
〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性
DEF1600
俺の前に現れたのは赤い鎧を身に纏った女性の騎士。
「さらに俺はキングスナイトを召喚‼︎」
〈キングスナイト〉☆4 戦士族 光属性
ATK1600
さらにクィーンズナイトと並び立つように現れるのは黄金の鎧を身に纏った騎士。
そしてクィーンとキングが揃った時、新たな騎士が姿を現わす。
「キングスナイトの効果発動‼︎自分フィールドにクィーンズナイトが存在し、このカードを召喚に成功した時、デッキからジャックスナイト1体を特殊召喚する‼︎集え、絵札の三銃士‼︎来い、ジャックスナイト‼︎」
〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性
ATK1900
クィーンズナイトとキングスナイトの剣に合わせるように剣を掲げると、青い鎧の騎士が現れる。
「ふっ、馬鹿の1つ覚えか」
「否定はしねぇよ、絵札の三銃士は俺が1番信頼するモンスター達だ。だが、俺のデッキだって前にデュエルした時より進化している。それをお前に教えてやる‼︎斬り開け‼︎運命に抗うサーキット‼︎」
「リンク召喚か………」
俺が正面に手を前に突き出すと、目の前に巨大なサーキットが現れる。
「召喚条件は戦士族モンスター2体‼︎俺はクィーンズナイトとキングスナイトの2体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎追想に生きる王女‼︎リンク2‼︎聖騎士の追想 イゾルデ‼︎」
〈聖騎士の追想 イゾルデ〉LINK 2 戦士族 光属性
ATK1600 ↙︎ ↘︎
クィーンズナイトとキングスナイトがサーキットの中に消え、今度は俺のフィールドにイゾルデ達が現れる。
「聖騎士の追想 イゾルデの効果発動‼︎リンクレカレクション‼︎リンク召喚に成功した時、デッキから戦士族モンスター1体を手札に加える。ただし、このターン、自分はこの効果で手札に加えたモンスター及びその同名モンスターを通常召喚・特殊召喚できず、そのモンスター効果も発動できない。俺はデッキから魔装戦士ドラゴディウスを手札に加える‼」
「ほう、ペンデュラムモンスター………君も新たな力を手に入れていたか」
「聖騎士の追想 イゾルデの更なる効果発動‼︎メモリーズギフト‼︎デッキから装備魔法カードを任意の数だけ墓地へ送り、墓地へ送ったカードの数と同じレベルの戦士族モンスター1体をデッキから特殊召喚する‼︎俺はデッキから妖刀竹光、最強の盾、ビッグバンシュート、閃光の双剣-トライス、孤毒の剣を墓地に送り、デッキから天融星カイキを特殊召喚‼︎」
〈天融星カイキ〉☆5 戦士族 光属性
DEF2100
俺のフィールドに現れたのは鬼の顔の鎧を見に纏った鎧武者。
「天融星カイキの効果、それにチェーンして墓地に送られた妖刀竹光の効果発動。デッキから妖刀竹光以外の竹光カードを手札に加える。俺はデッキから黄金色の竹光を手札に加える。そして天融星カイキの効果発動‼︎このカードが特殊召喚に成功した場合、ライフポイントを500を払って発動できる‼︎」
遊騎 LP8000→7500
「自分の手札・フィールドから、戦士族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する‼︎俺はフィールドのレベル5以上の戦士族モンスター、ジャックスナイトと天融星カイキを融合‼︎」
「ほう、モンスター効果で融合召喚か‼︎」
カイキが雄叫びをあげると、空に見える星が輝き、カイキとジャックスナイトを照らす。
その光に導かれるように、カイキとジャックスナイトは粒子に変わり、混ざり合う。
「天に融けし戦士よ、絵札の三銃士よ‼︎今交わりて、勝利を照らす星となれ‼︎融合召喚‼︎」
混ざり合った粒子が輝くと、その場に現れたのは漆黒のマントを羽織り、巨大な槍を持つ鬼神。
「勝利を告げる明星‼︎覇勝星イダテン‼︎」
〈覇勝星イダテン〉☆10 戦士族 光属性
ATK3000
「覇勝星イダテンの効果発動‼︎このカードが融合召喚に成功した場合、デッキから戦士族・レベル5モンスター1体を手札に加える‼︎俺はデッキからターレットウォリアーを手札に加える‼︎そして覇勝星イダテンの効果発動‼︎神行法‼︎1ターンに1度、手札を任意の枚数捨ててこのカードの攻撃力を捨てた数×200ポイントアップさせる‼︎俺は手札の妖刀竹光を捨てて、覇勝星イダテンの攻撃力を200ポイントアップさせる‼︎」
覇勝星イダテン
ATK3000→3200
「墓地に送られた妖刀竹光の効果発動‼︎デッキから折れ竹光を手札に加える‼︎そして聖騎士の追想 イゾルデに装備魔法、折れ竹光を装備‼︎魔法カード黄金色の竹光を発動‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在する場合に発動でき、デッキからカードを2枚ドローする‼︎」
「チッ、また手札を増やすか………」
「まだまだ行くぜ‼︎魔法カード、蛮族の狂宴LV5‼︎自分の手札・墓地から戦士族・レベル5モンスターを2体まで選んで特殊召喚する‼︎ただし、この効果で特殊召喚したモンスターは、効果が無効化され、このターン攻撃できない。蘇れ、ジャックスナイト、天融星カイキ‼︎」
〈天融星カイキ〉☆5 戦士族 光属性
DEF2100
〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性
ATK1900
「レベル5モンスターが2体。ということは………」
「俺は光属性レベル5の天融星カイキ、ジャックスナイトでオーバーレイ‼︎2体の光属性モンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」
カイキとジャックスナイトが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると空から純白の鎧を見に纏った戦士が降りてくる。
「星々を守りし光の戦士‼︎セイクリッドプレアデス‼︎」
〈セイクリッドプレアデス〉★5 戦士族 光属性
ATK2500
「やはり次はエクシーズ召喚か」
「まだだ‼︎まだ終わらない‼︎このカードは自分フィールド上の戦士族モンスター1体をリリースして手札から特殊召喚できる‼︎俺は聖騎士の追想 イゾルデをリリースし、来い、ターレットウォリアー‼︎」
〈ターレットウォリアー〉☆5 戦士族 地属性
ATK1200
イゾルテ達が粒子に変わり、その粒子が集まって砲塔のような戦士に姿を変える。
「この方法で特殊召喚したターレットウォリアーの攻撃力は、リリースしたモンスターの元々の攻撃力分アップする」
ターレットウォリアー
ATK1200→2800
「攻撃力が2800のモンスター………いや、君の狙いはエクストラモンスターゾーンを空けることか」
「その通りだ‼︎俺はスケール2の魔装戦士ドラゴディウスとスケール7の魔装戦士ドラゴノックスでペンデュラムスケールをセッティング‼︎」
「っ、ペンデュラムモンスターまで引き込んでいたか」
俺を挟むように光の柱が立ち上り、その光の中に2体の戦士の姿が浮かびあがり、下に2と7の数字が現れる。
「これにより俺は3から6までのモンスターを同時に召喚可能‼︎魂に宿りし剣よ‼︎煌めく勇気となりて、運命を超える力を導け‼︎ペンデュラム召喚‼︎現れろ、俺のモンスター‼︎」
俺がそういうと空に巨大な穴が空き、そこからフィールドに向かって1つの光が舞い降りる。
「レベル3、チューナーモンスター、ジャンクチェンジャー‼︎」
「チューナーモンスターだと⁉︎」
〈ジャンクチェンジャー〉☆3 戦士族 地属性
DEF900
姿を現したのは鋼鉄の身体を持つロボットのような戦士。
そして俺はあの言霊を口にする。
「俺はレベル5、ターレットウォリアーに、レベル3、チューナーモンスター、ジャンクチェンジャーをチューニング‼︎」
「来るか、シンクロ召喚‼︎」
ジャンクチェンジャーが光の輪になり、ターレットウォリアーが小さな星に変わり、光の道になる。
光の道が輝くと、その中から現れるのは機械の身体を持つ電子の巨人。
「迫る逆境、覆したるは不屈の闘志‼︎シンクロ召喚‼︎百折不撓の戦士、ギガンティックファイター‼︎」
〈ギガンティックファイター〉☆8 戦士族 地属性
ATK2800
「ギガンティックファイターの永続効果、フォルテュードフォース‼︎このカードの攻撃力は、お互いの墓地の戦士族モンスターの数×100ポイントアップする‼︎」
「戦士の無念を攻撃力に変えるモンスターか………君に相応しい脳筋モンスターだな」
「余計なお世話だ‼︎俺の墓地にいる戦士族モンスターはクィーンズナイト、キングスナイト、聖騎士の追想 イゾルデ、ターレットウォリアー、ジャンクチェンジャーの5体‼︎よって攻撃力は500ポイントアップする‼︎」
ギガンティックファイター
ATK2800→3300
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド‼︎さあ、どこからでもかかってこい‼︎」
遊騎 LP7500 手札0
△ー▲ー△ ー
○ー○ーー
○ ー
ーーーーー
ーーーーー ー
幻騎 LP8000 手札5
「まさか1ターン目からリンク、融合、シンクロ、エクシーズ、ペンデュラム召喚を行われるとは思っても見なかったよ。だが、その動きから伝わってくるぞ、君の焦りが」
「………」
「とはいえ、それを馬鹿にはすまい。才能あるものを恐怖するのは人として当然のこと、神の如き才能を持つ私を恐怖するのは当たり前なのだから‼︎」
そういって幻騎が愉快そうに笑う。
態度から見て取れる過剰すぎる自信に、肥大したエゴ。
それが実力を伴い、なおかつ悪い方向に向いているのだからタチが悪い。
「さあ、存分に感じるがいい、私の才能を‼︎私のターン、ドロー‼︎私が引いたのは
「っ⁉︎いきなりそのカードか‼︎」
「このカード名の効果はデュエル中に1度しか適用できず、自分のドローフェイズに通常のドローをしたこのカードを公開し続ける事で、そのターンのメインフェイズ1の開始時に発動できる‼︎私はRUMー七皇の剣を発動‼︎CNo.以外のNo.101〜No.107のいずれかをカード名に含むモンスター1体を、自分のEXデッキ・墓地から選んで特殊召喚し、そのモンスターと同じNo.の数字を持つCNo.モンスター1体を、そのモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する‼︎RUMー七皇の剣の効果でEXデッキより現れろ、No.104‼︎偽善の仮面を被り、弱者に救いの光を与えよ‼︎不吉なる仮面舞踏会の支配人、
〈No.104仮面魔踏士シャイニング〉★4 魔法使い族 光属性
ATK2700
現れたのは清廉そうな仮面をつけ、白いスーツに身を包んだ青いつばさを持つ魔術師。
「そしてNo.104仮面魔踏士シャイニング1体でオーバーレイ‼︎1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築‼︎カオスエクシーズチェンジ‼︎」
シャイニングが空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると空から舞い降りたのは清廉な仮面が黒く禍々しいものに代わり、全身が血で染まったかのような真紅のスーツを身に付けた邪悪なる魔術師。
「現れろ、CNo.104‼︎偽善の仮面を外し、愚者を冥府の仮面舞踏会に導け‼︎絶望を告げる恐怖の死神、
〈CNo.104仮面魔踏士アンブラル〉★5 魔法使い族 闇属性
ATK3000
「CNo.104仮面魔踏士アンブラルの効果発動‼︎ダンスマカブル‼︎このカードが特殊召喚に成功した時、フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する‼︎」
「っ、そんな効果も持っていたのか‼︎」
「私が破壊するのは魔装戦士ドラゴノックスだ‼︎」
アンブラルが放つ魔術の暴風が光の柱にいるドラゴノックスを吹き飛ばす。
「破壊された魔装戦士ドラゴノックスはEXデッキに送られる」
「バトル‼︎CNo.104仮面魔踏士アンブラルでセイクリッドプレアデスを攻撃‼︎ブラッディマスカレード‼︎」
「セイクリッドプレアデスの効果発動‼︎ゾディアックリターン‼︎オーバーレイユニットを1つ使い、1ターンに1度、相手のカード1枚を手札に戻す‼︎この効果は相手ターンでも使用することが出来る‼︎俺はCNo.104仮面魔踏士アンブラルを手札に戻す‼︎」
「無駄だよ。その効果にチェーンしてCNo.104仮面魔踏士アンブラルの効果発動‼︎カースドリーパー‼︎このカードがNo.104仮面魔踏士シャイニングをカオスオーバーレイユニットとしている場合、1ターンに1度、相手フィールド上で効果モンスターの効果が発動した時、このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除き、その発動を無効にする‼︎」
「くっ………」
「さらにその後、相手の手札をランダムに1枚墓地へ送り、相手ライフを半分にすることができるが、手札を墓地へ送らなければライフは半分にできない。今の君の手札は0、運がよかったね」
プレアデスが放つ星の弾丸がアンブラルに向かって打ち出されるが、アンブラルが杖を振るうと、星の弾丸が黒いオーラを纏いながら跳ね返され、プレアデスの視界を奪う。
視界を奪う星の弾丸に紛れ、アンブラルは踊るようなステップでプレアデスの背後に回り込むと頭部を杖で執拗に殴りつけ、撲殺した。
遊騎 LP7500→7000
「ぐあっ‼︎………やっぱり、ダメージは実体化してるのか」
「メインフェイズ2。はてさて、折角のCNo.もカオスオーバーレイユニットが無くなってしまえばただのバニラモンスターだ。だからこそ、次の手を打たせて貰うよ。手札から速攻魔法、
「っ⁉︎幻影騎士団のランクアップマジック⁉︎まだランクアップするって言うのか⁉︎」
「自分・相手のメインフェイズに、自分フィールドのオーバーレイユニットの無い闇属性エクシーズモンスター1体を対象としてその自分のモンスターよりランクが1つ高い闇属性エクシーズモンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚し、このカードを下に重ねてオーバーレイユニットとする‼︎私はCNo.104仮面魔踏士アンブラル1体でオーバーレイ‼︎1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築‼︎ランクアップエクシーズチェンジ‼︎」
アンブラルが空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると空から舞い降りたのは黒いマントに身を包み、白き羽根を血と闇で染め上げた死神。
「恐怖の死神よ‼︎愚かな魂を糧として、更なる絶望を蔓延させよ‼︎現れろ、ランク6‼︎
〈巡死神リーパー〉★6 アンデット族 闇属性
DEF?
「邪悪なる魔術師が完全な死神に堕ちたか」
「巡死神リーパーは攻守共に定まっていないモンスター。このカードの攻撃力・守備力は、お互いの墓地の闇属性モンスターの数×200ポイントアップする。現在私達の墓地には闇属性のモンスターは存在しないため、攻撃力・守備力は共に0だ」
巡死神リーパー
DEF?→0
攻守共に0。
だけど、ランクアップマジックを使って呼び出したモンスターの効果がそれだけとは思えない。
「巡死神リーパーの効果発動‼︎カッティングスピリット‼︎このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除き、お互いのデッキの上からカードを5枚墓地へ送る‼︎」
「デッキ破壊のエクシーズモンスターか‼︎」
リーパーが鎌を振るうと、俺と幻騎のデッキの上から5枚のカードが墓地に送られる。
短期決戦のために無理にデッキを動かしているから1ターン目を終えた段階でかなりデッキ枚数が減っている。
この効果を喰らい続けたら流石にマズイか。
「だが、巡死神リーパーの効果で墓地に戦士族である
「こちらの墓地にも戦士族である
「お互いの墓地に存在する戦士族モンスターは合計して10体‼︎よって攻撃力は1000ポイントアップする‼︎」
ギガンティックファイター
ATK3300→3800
「それぐらい構わないさ。だが、墓地に落ちたカードはそれだけではない。墓地に送られた妖刀竹光の効果発動‼︎」
「何?」
「効果を説明する必要はないね。私はデッキから黄金色の竹光を手札に加える‼︎」
幻騎がデッキから黄金色の竹光を見せ、手札に加える。
アイツのデッキにも竹光が入ってるのか?
………何だか嫌な予感がする。
「私は墓地に存在する幻影騎士団サイレントブーツの効果発動‼︎このカードを除外し、デッキからファントム魔法・罠を手札に加える。私は永続罠、
「くっ、厄介なカードが手札に………墓地の戦士族が減ったことでギガンティックファイターの攻撃力も変動する」
ギガンティックファイター
ATK3800→3700
「私はカードを2枚伏せてターンエンドだ」
遊騎 LP7000 手札0
ーー▲ー△ ー
○ーーーー
○ □
ーーーーー
ーー▲▲ー ー
幻騎 LP8000 手札4
「俺のターン、ドロー‼︎」
奴の伏せカード、1枚は間違いなく幻影霧剣。
面倒なカードだが、超えられないわけじゃない。
「俺は墓地に存在する速攻魔法、バスターモードゼロを除外して効果発動‼︎自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して、手札・デッキからバスターモード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットする‼︎そしてこの効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できる‼︎俺はデッキから罠カード、バスターモードをセットする‼︎」
「ほう、巡死神リーパーの効果で落ちていたか」
「バトル‼︎覇勝星イダテンで巡死神リーパーを攻撃‼︎天翔疾風撃‼︎」
「止めるならばここか。リバースカードオープン‼︎永続罠、幻影霧剣‼︎フィールドの効果モンスター1体を対象としてこのカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、対象のモンスターは攻撃できず、攻撃対象にならず、効果は無効化され、そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される。対象は覇勝星イダテンだ‼︎」
イダテンに向かって闇の霧を纏った剣が放たれ、イダテンを貫いてその身体を霧に変える。
覇勝星イダテン
ATK3200→3000
「続けてギガンティックファイターで巡死神リーパーを攻撃‼︎ギガンティックブレイク‼︎」
ギガンティックファイターは力強く跳躍するとリーパーを勢いよく蹴り飛ばした。
「巡死神リーパーが破壊されたか」
「さあ、ここからが本番だ‼︎ギガンティックファイターをリリースし、リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎バスターモード‼︎」
「やはり追撃してくるか」
「自分フィールドのシンクロモンスター1体をリリースしてそのモンスターのカード名が含まれる/バスターモンスター1体をデッキから攻撃表示で特殊召喚する‼︎アクセスコード、ギガンティックファイターEXE‼︎」
ギガンティックファイターの正面にロケットがついた青いアーマーが現れる。
ギガンティックファイターがそのアーマーを蹴り飛ばすと、アーマーが弾け飛びギガンティックファイターに装着されていく。
装着が終わるとそこに佇むのは背中にロケットを背負った青いボディの電子の巨人。
「重甲合体‼︎ギガンテックファイター/バスター‼︎」
〈ギガンテックファイター/バスター〉☆10 戦士族 地属性
ATK3300
「ギガンテックファイター/バスター………」
「ギガンテックファイター/バスターの効果発動‼ノックアウトフォース‼︎︎このカードが特殊召喚に成功した時、自分のデッキから戦士族モンスターを2体まで選択し墓地へ送る事ができる‼︎俺はデッキからタスケナイトと
ギガンテックファイター/バスターは背中のロケットを使い勢いよく空へと飛び立つと、右手を幻騎に向け、左手で支えと、右手が銃口に変わり、銃口からレーザーが放たれる。
しかし、幻騎を貫かんと放たれたそのレーザーはいきなり軌道を変え、幻騎の身体を避けた。
「何⁉︎」
「それは防がせて貰おう。リバースカードオープン‼︎罠発動、
〈幻影騎士団ウロングマグネリング〉☆2 戦士族 闇属性
ATK0
フィールドに現れた磁石の輪を持った戦士がその磁力によりギガンテックファイター/バスターのレーザーを引き寄せ、受け流す。
バスターモードによる連続攻撃も防いでくるとは………やはり一筋縄にはいかないか。
「俺はこのままターンエンドだ。ギガンテックファイター/バスターには永続効果、パーフェクトファイターがある。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、全ての相手モンスターの攻撃力は、自分の墓地に存在する戦士族モンスターの数×100ポイントダウンする」
「君の墓地にいる戦士族モンスターはギガンテックファイター/バスターにより墓地に送られた2体のモンスターに、ギガンテックファイターが追加され11体。私のフィールドのモンスターは全て攻撃力が1100ポイントダウンするということか。なかなか強力な効果だ、ここは対抗策をドローしにいくこととしよう。エンドフェイズに幻影騎士団ウロングマグネリングの効果発動‼︎幻影霧剣を墓地に送り、カードを2枚ドローする‼︎覇勝星イダテンの戒めは解いてやろう」
イダテンを貫いていた幻影霧剣が消え、再びイダテンが姿を現わす。
イダテンは戻ってきたが、代わりに幻騎の手札は増えた。
これは、次のターン辺りに仕掛けてきそうだな。
遊騎 LP7000 手札1
ーー▲ー△ ー
○ー○ーー
ー ー
ーー○ーー
ーーーーー ー
幻騎 LP8000 手札6
「準備は整った。そろそろ攻めさせて貰うよ。私は
〈星因士ベガ〉☆4 戦士族 光属性
ATK1200→100
フィールドに現れたのは琴のような形をした星の戦士。
「星因士ベガの効果発動‼︎このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合、手札から星因士ベガ以外のテラナイトモンスター1体を特殊召喚する。手札から
〈星因士ウヌク〉☆4 戦士族 光属性
ATK1800→700
ベガの身体が輝くと、その輝きに導かれてさらに蛇使いのような星の戦士が姿を現わす。
「星因士ウヌクの効果発動‼︎このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから星因士ウヌク以外のテラナイトカード1枚を墓地へ送る。私はデッキから
そして幻騎は正面に手をかざす。
「今回は出し惜しみをする必要もない。私の本気を見せてあげよう。閉鎖せよ‼︎運命に従うサーキット‼︎」
「リンク召喚か」
幻騎の正面に巨大なサーキットが現れる。
「召喚条件は戦士族モンスター2体‼︎私は幻影騎士団ウロングマグネリングと星因士ベガの2体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎過去に囚われし王女‼︎リンク2‼︎聖騎士の追想 イゾルデ‼︎」
「何⁉︎」
〈聖騎士の追想 イゾルデ〉LINK 2 戦士族 光属性
ATK1600→500 ↙︎ ↘︎
ウロングマグネリングとベガがサーキットの中に消え、幻騎の前に現れたのは俺も普段使用している金髪と白髪の2人の女性。
「聖騎士の追想 イゾルデの効果発動‼︎リンクセレクト‼︎リンク召喚に成功した時、デッキから戦士族モンスター1体を手札に加える‼︎ただし、このターン、自分はこの効果で手札に加えたモンスター及びその同名モンスターを通常召喚・特殊召喚できず、そのモンスター効果も発動できない。私はデッキから
「っ、この動きは………」
〈星因士プロキオン〉☆4 戦士族 光属性
ATK1300→200
イゾルデに導かれ、フィールドに現れたのはこいぬ座の名を持つ星の戦士。
だが、それよりも気になるのは………
「どういうつもりだ?」
「ククッ、流石に気付くか。そう、これは君の動きを模しているのだよ、結束 遊騎。これでも、私は君のファンだからね」
「………ふざけてるのか?」
「大真面目だとも。どう受け取るかは君次第だがね」
俺が睨みつけると幻騎は愉快そうな笑みを浮かべる。
幻騎の言葉が真実であれ挑発であれ、どちらにせよ俺の動きを意識してるのは間違いない。
「星因士プロキオンの効果、それにチェーンして墓地に送られた妖刀竹光の効果発動‼︎私はデッキから折れ竹光を手札に加える‼︎そして、星因士プロキオンの効果発動‼︎このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合、手札のテラナイトモンスター1体を墓地へ送り、自分はデッキから1枚ドローする‼︎私は手札の星因士アルタイルを捨てて1枚のカードをドローする‼︎さらに私は聖騎士の追想 イゾルデに装備魔法、折れ竹光を装備‼︎さらに魔法カード黄金色の竹光を発動‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在する場合に発動でき、デッキからカードを2枚ドローする‼︎………ほう」
黄金色の竹光の効果でドローしたカードを見て、幻騎は愉快そうに笑う。
そして幻騎は笑みを浮かべたままモンスター達に手をかざす。
「私はレベル4テラナイトモンスター、星因士ウヌク、星因士プロキオンでオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚‼︎」
ウヌク、プロキオンが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると、空から舞い降りたのは漆黒の鎧を見に纏ったケンタウロス。
「全てを闇に染め上げる悪星‼︎
〈煉獄の騎士ヴァトライムス〉★4 戦士族 闇属性
ATK2600→1500
「闇属性のテラナイトだと?」
「このカードはテラナイトの中でも変わり者でね。だが、非常に私好みのカードだ。煉獄の騎士ヴァトライムスの永続効果、フォーリングダークサイド‼︎このカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドの全ての表側表示モンスターは闇属性になる‼︎」
「っ、属性を変化させるエクシーズモンスター⁉︎」
聖騎士の追想 イゾルデ
光属性→闇属性
ギガンテックファイター/バスター
地属性→闇属性
覇勝星イダテン
光属性→闇属性
ヴァトライムスの身体から闇が溢れ出すと、フィールドを呑み込み、フィールドにいたモンスター達が漆黒のオーラを纏う。
確か幻騎のデッキには闇属性の効果メタであるセイクリッドダイヤというエクシーズモンスターがいたハズ。
ということはあのカードは闇に対する対抗策じゃなく本来ならこのカードと併用することを想定したカードってことか。
「このカードの力はとても便利でね。応用すればこんなこともできる。まずは手札を1枚捨て、除外されている幻影騎士団サイレントブーツを対象として装備魔法、DDRを発動‼︎そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。フィールドに舞い戻れ、幻影騎士団サイレントブーツ‼︎」
〈幻影騎士団サイレントブーツ〉☆3 戦士族 闇属性
DEF1200
ATK200→0
フィールドに現れたのは茶色い服を着た亡霊。
「そして私は手札を1枚捨てて速攻魔法、超融合を発動‼︎」
「っ、超融合、だと⁉︎」
「このカードは手札を1枚捨てて発動でき、自分・相手フィールドから融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する‼︎このカードの発動に対して魔法・罠・モンスターの効果は発動できない‼︎私は私のフィールドの闇属性モンスター、幻影騎士団サイレントブーツと煉獄の騎士ヴァトライムスによって闇属性となっている君のギガンテックファイター/バスター、覇勝星イダテンを融合‼︎」
「俺のモンスター達を使って融合召喚を………‼︎」
「闇に呑まれし戦士達よ‼︎今交わりて、全てを呑み込む闇となれ‼︎」
フィールドに稲妻を纏った渦が現れ、その中にモンスター達が吸い込まれていく。
そして渦が弾けると、現れるのは全てを溶かし尽くす捕食者。
「融合召喚‼︎世界を閉ざす毒蛇‼︎
「捕食植物、だと⁉︎」
〈捕食植物トリフィオヴェルトゥム〉☆9 植物族 闇属性
ATK3000
「クックック、そういえば君の哀れな弟子も捕食植物を使っていたね。驚いたかい?」
「っ、お前………‼︎」
「おお怖い怖い」
そういって幻騎がわざとらしく肩をすくめる。
コイツ、俺を挑発するためにわざとこのモンスターを………
「私は割と臆病でね。怖いものは早めに消しておきたいのだよ。さて、ギガンテックファイター/バスターが消えたことで私のモンスターの攻撃力は元に戻る」
煉獄の騎士ヴァトライムス
ATK1500→2600
聖騎士の追想 イゾルデ
ATK500→1600
「墓地に存在する幻影霧剣の効果発動‼︎墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の幻影騎士団モンスター1体を対象として特殊召喚する‼︎ただしこの効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。現れろ、
〈幻影騎士団フラジャイルアーマー〉☆4 戦士族 闇属性
DEF2000
フィールドに現れたのは青白い炎の身体を持った騎士。
さっきの超融合かDDRで墓地に送っていたのか。
「そして、閉鎖せよ‼︎運命に従うサーキット‼︎」
「再びリンク召喚か………」
幻騎が手をかざすと、正面に再び巨大なサーキットが現れる。
「召喚条件は闇属性モンスター2体以上‼︎私は幻影騎士団フラジャイルアーマーと闇属性となった聖騎士の追想 イゾルデを2体分として扱ってリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」
フラジャイルアーマーとイゾルデが2体に分身してサーキットに吸い込まれる。
そしてサーキットが輝くと、現れたのは巨大な戦斧を構えた漆黒の騎士。
「リンク召喚‼︎終わりを告げる戦斧の騎士‼︎リンク3‼︎
〈幻影騎士団ラスティバルディッシュ〉LINK 3 戦士族 闇属性
ATK2100 ↙︎ ↘︎→
「このモンスターはあの時の………」
「ほう、どうやら幻影騎士団ラスティバルディッシュのことを知っているようだな。ならばその力、存分に味わうがいい‼︎幻影騎士団ラスティバルディッシュの効果発動‼︎ラストファントム‼︎自分メインフェイズにデッキから幻影騎士団モンスター1体を墓地へ送り、その後、デッキからファントム魔法・罠カード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットする‼︎私はデッキから
「っ、面倒なカードばかりを………」
「さて、煉獄の騎士ヴァトライムスの役割は終わった。役目を終えたものには交代してもらおう。煉獄の騎士ヴァトライムスの効果発動‼︎シャドーインセパラブル‼︎オーバーレイユニットを1つ取り除き、手札を1枚捨てて発動できる。光属性のテラナイトエクシーズモンスター1体を、自分フィールドのこのカードの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する‼︎ただし、この効果の発動後、ターン終了時まで自分はモンスターをエクシーズ召喚できない」
「またエクシーズモンスターを使ったエクシーズ召喚か………」
「私は手札を1枚捨て、煉獄の騎士ヴァトライム1体でオーバーレイ‼︎1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築‼︎エクシーズチェンジ‼︎」
ヴァトライムが空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると、空から翼が生え、剣と光の輪を持つ光輝く戦士が舞い降りる。
「闇夜に輝く破滅の戦士‼︎
〈星輝士デルタテロス〉★4 戦士族 光属性
ATK2500
「星輝士デルタテロス………」
「星輝士デルタテロスの効果発動‼︎バーンコメット‼︎オーバーレイユニットを1つ使い、1ターンに1度フィールドのカード1枚を対象とし破壊する‼私が選択するのはペンデュラムゾーンの魔装戦士ドラゴディウス‼︎」
デルタテロスが持つ光の輪から隕石が現れ、光の柱の中にいたドラゴディウスに降り注ぎ、消滅させた。
「これで厄介なペンデュラム効果は無くなった。バトル‼︎幻影騎士団ラスティバルディッシュでダイレクトアタック‼︎ファントムスマッシャー‼︎」
「ぐっ‼︎」
遊騎 LP7000→4900
ラスティバルディッシュが戦斧を掲げると戦斧に闇が集まっていき、辺りの闇を集め終わると空高く跳び上がり、勢いよく戦斧を振り下ろすと闇の斬撃が俺の身体を斬り裂く。
「だが、戦闘ダメージを受けた時、H・Cサウザンドブレードの効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、このカードが墓地に存在し、戦闘・効果で自分がダメージを受けた時、このカードを墓地から攻撃表示で特殊召喚する‼︎」
〈H・C サウザンドブレード〉☆4 戦士族 地属性
ATK1300
ダメージを受けた俺を庇うように頭巾を被り、背中に何本もの刀を背負った戦士が現れる。
「面倒なモンスターだ、盾になるには少し物足りないがね。星輝士デルタテロスでH・C サウザンドブレードを攻撃‼︎デルタブレイク‼︎」
高速で移動するデルタテロスがサウザンドブレードの身体を何度も斬り付け、消滅させた。
「くっ‼︎」
遊騎 LP4900→3600
「捕食植物トリフィオヴェルトゥムでダイレクトアタック‼︎トリニティピルムプラント‼︎」
「ぐあぁぁぁっ‼︎」
遊騎 LP3600→600
トリフィオヴェルトゥムが槍の形をした種子の弾丸を放ち、躱そうとした俺の右足を貫き、俺はその場に崩れ落ちる。
この状況は不味い。
このままだと、上手く実体化した攻撃を躱せない。
「メインフェイズ2、カードを2枚伏せてターンエンドだ。さあ、存分に足掻いてくれたまえ」
「ああ、足掻いてやるさ‼︎エンドフェイズにリバースカードオープン‼︎罠発動、裁きの天秤‼︎相手フィールドのカードの数が自分の手札・フィールドのカードの合計数より多い場合に発動でき、自分はその差の数だけデッキからドローする‼︎お前のフィールドのカードは6枚、俺は裁きの天秤と手札1枚の2枚。その差分の4枚のカードをドローする‼︎」
「ここにきて4枚のカードをドローするだと⁉︎チッ、弟子共々忌々しい‼︎」
遊騎 LP600 手札5
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ☆
ーー○ー○
ー▲▲▲ー ー
幻騎 LP8000 手札2
「俺のターン、ドロー‼︎魔法カード、貪欲な壺‼︎」
「っ、またドローカードだと⁉︎」
「墓地に存在する聖騎士の追想 イゾルデ、覇勝星イダテン、ギガンティックファイターをEXデッキに、キングスナイト、ジャックスナイトをデッキに戻してシャッフルし、カードを2枚ドローする‼︎」
手札は増えたが俺のライフは残り僅か。
おまけに幻騎のフィールドには強力なモンスターが3体存在し、伏せカードにも2枚の幻影霧剣がある。
それでも、可能性は残っている‼︎
「魔法カード、戦士の生還‼︎自分の墓地の戦士族モンスター1体を対象としてその戦士族モンスターを手札に加える‼︎俺は墓地からクィーンズナイトを手札に加える‼︎」
「今更そんなカードを手札に加えて何をしようと言うんだ」
「こうするんだよ‼︎魔法カード、悪魔への貢物‼︎フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を選択して墓地へ送り、手札からレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する‼︎俺はお前のフィールドの捕食植物トリフィオヴェルトゥムを墓地へ送り、現れろ、クィーンズナイト‼︎」
「何だと⁉︎」
〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性
DEF1600
フィールドに現れた悪魔がトリフィオヴェルトゥムを喰らい尽くし、対価として俺のフィールドにクィーンズナイトが姿を現わす。
「さらに俺はキングスナイトを召喚‼︎」
〈キングスナイト〉☆4 戦士族 光属性
ATK1600
さらにクィーンズナイトと並び立つように再びキングスナイトが姿を現し、新たな騎士を呼ぶ。
「キングスナイトの効果発動‼︎自分フィールドにクィーンズナイトが存在し、このカードを召喚に成功した時、デッキからジャックスナイト1体を特殊召喚する‼︎」
「いい加減しつこいぞ、馬鹿の1つ覚えが‼︎チェーンしてリバースカードオープン‼︎永続罠、幻影霧剣‼︎対象はキングスナイトだ‼︎」
キングスナイトが幻影霧剣に貫かれ、その身体を霧に変える。
「まだだ‼︎斬り開け‼︎運命に抗うサーキット‼︎」
俺が正面に手を前に突き出すと、再び目の前に巨大なサーキットが現れる。
「召喚条件は戦士族モンスター2体‼︎俺はクィーンズナイトとキングスナイトの2体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎再誕せよ、追想に生きる王女‼︎リンク2‼︎聖騎士の追想 イゾルデ‼︎」
〈聖騎士の追想 イゾルデ〉LINK 2 戦士族 光属性
ATK1600 ↙︎ ↘︎
「聖騎士の追想 イゾルデの効果発動‼︎リンクレカレクション‼︎」
「無意味だ。だが、それ以上に目障りだ‼︎チェーンしてリバースカードオープン‼︎永続罠、幻影霧剣‼︎対象は聖騎士の追想 イゾルデだ‼︎」
イゾルデに向かって幻影霧剣が放たれる。
だが、それがどうした‼︎
「無意味だなんて、お前が決めることじゃない‼︎手札を1枚捨て、速攻魔法、ツインツイスター‼︎フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として破壊する‼︎俺が破壊するのは、今発動した幻影霧剣とセットカードだ‼︎」
「何⁉︎」
突如フィールドに出現した竜巻が闇の霧を纏った剣とセットカードを破壊する。
「これで聖騎士の追想 イゾルデの効果は無効化されない‼︎俺はデッキからジャックスナイトを手札に加える‼︎聖騎士の追想 イゾルデの更なる効果発動‼︎メモリーズギフト‼︎俺はデッキから妖刀竹光、月鏡の盾を墓地に送り、デッキからヒーローキッズを特殊召喚‼︎」
〈ヒーローキッズ〉☆2 戦士族 地属性
DEF600
イゾルデに導かれ、姿を現したのはSFで出てきそうなバトルスーツを着た小さな戦士。
「墓地に送られた妖刀竹光の効果、それにチェーンしてヒーローキッズの効果発動‼︎このカードが特殊召喚に成功した時、デッキから同名カードを任意の枚数特殊召喚する事ができる‼︎俺はデッキから2体のヒーローキッズを特殊召喚する‼︎」
〈ヒーローキッズ〉☆2 戦士族 地属性
DEF600
ヒーローキッズがバトルスーツを操作し通信を行うと、呼び出しに応じた2体のヒーローキッズがフィールドに現れる。
「墓地に送られた妖刀竹光の効果発動‼︎俺はデッキから折れ竹光を手札に加える‼︎そして魔法カード、手札抹殺‼︎お互いに手札を全て捨て、捨てた枚数と同じ枚数ドローする‼︎俺は4枚、お前は2枚捨ててドローだ」
「っ、ここに来て手札交換か‼︎」
「俺は4枚のカードをドローする‼︎………来てくれたか‼︎」
勢いよくドローしたそのカードに視線を向け、俺は思わず笑みを浮かべる。
「行くぞ、俺は自分フィールドのモンスター3体、ヒーローキッズ3体をリリースし、手札からこのモンスターを特殊召喚する‼︎」
「何⁉︎その特殊な召喚条件は⁉︎」
3体のヒーローキッズが粒子に変わり、空に集まっていく。
集まった粒子が弾けると、空から舞い降りたのは龍の鎧を見に纏った漆黒の戦士。
その戦士はフィールドに降り立つと、力強い咆哮を上げた。
「呪われた運命に抗う孤独の戦士‼︎
〈DーHERO BlooーD〉☆8 戦士族 闇属性
ATK1900
「DーHERO BlooーD‼︎君の本来の切り札であり、運命の囚人………呪われた英雄か‼︎」
「DーHERO BlooーDは運命の囚人でも、呪われた英雄でもない‼︎DーHERO BlooーDは残酷な運命に抗う英雄だ‼︎DーHERO BlooーDの永続効果、シールデステニー‼︎このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドの表側表示モンスターの効果は無効化される‼︎」
BlooーDの鎧から闇が吹き出し、辺りの風景を夜に変える。
「そしてDーHERO BlooーDの効果発動‼︎カースアブソーブ‼︎1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として、その相手モンスターを装備カード扱いとして1枚だけこのカードに装備し、このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの元々の攻撃力の半分だけアップする‼︎対象は幻影騎士団ラスティバルディッシュ‼︎」
「チッ、幻影の騎士をも呑み込むか、運命の英雄」
BlooーDがラスティバルディッシュに手を伸ばすと、BlooーDの背中に付いている龍の爪がラスティバルディッシュに放たれ、その爪に貫かれたラスティバルディッシュはガラスのように砕け、粒子に変わるとBlooーDに吸い込まれていった。
DーHERO BlooーD
ATK1900→2950
ラスティバルディッシュを吸収したBlooーDの攻撃力が上がる。
幻影騎士団は墓地にいった罠カードに幻影騎士団を蘇生させる効果を持つものが存在している。
デルタテロスを吸収した方が攻撃力は上がるが、リンクモンスターを蘇させられるよりかはこちらの方がマシなハズだ。
「バトル‼︎DーHERO BlooーDで星輝士デルタテロスを攻撃‼︎デソレイションフィアー‼︎」
BlooーDも地面を強く蹴って跳び上がり、空中で一回転して足に闇を纏いながらデルタテロスに向けて跳び蹴りを放ち、その身体を貫いた。
幻騎 LP8000→7550
「くっ………無駄な足掻きを‼︎星輝士デルタテロスの効果発動‼︎メテオリインカネーション‼︎このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、手札・デッキからテラナイトモンスター1体を特殊召喚する‼︎私はデッキから星因士アルタイルを特殊召喚」
〈星因士アルタイル〉☆4 戦士族 光属性
ATK1700
デルタテロスが墜落しながら粒子に変わっていく、しかしデルタテロスの身体が光輝くとデルタテロスの身体を少し小さくしたような星の戦士の姿に変わり、その戦士はそのまま地面に降り立った。
「さあ、どうする?聖騎士の追想 イゾルデでは星因士アルタイルに勝てないぞ?」
そういって幻騎が俺を挑発する。
確かにこのままだと次のターンにエクシーズ召喚に繋げられ、イゾルデを攻撃されれば俺のライフは簡単に尽きる。
ならーーー
「すまない、イゾルデ。聖騎士の追想 イゾルデで星因士アルタイルを攻撃‼︎ツインアタック‼︎」
「勝利の為に特攻させるか‼︎迎え撃て、星因士アルタイル‼︎デルタストラッシュ‼︎」
イゾルデ達が同時に飛び上がり、空中で一回転してからアルタイルに跳び蹴りを放つが、アルタイルは空を飛んで跳び蹴りを躱し、すれ違いざまにイゾルデ達を斬り裂き、粒子に変えた。
遊騎 LP600→500
「戦闘ダメージを受けた時、H・Cサウザンドブレードの効果発動‼︎このカードを墓地から攻撃表示で特殊召喚する‼︎」
〈H・C サウザンドブレード〉☆4 戦士族 地属性
ATK1300
ダメージを受けた俺を庇うように再びサウザンドブレードが姿を現わす。
「再び蘇ったか。だが、蘇ったH・Cサウザンドブレードも攻撃表示。結末は変わらない」
「それが分かってて特攻させるわけないだろ‼︎イゾルデの仇は取らせて貰う‼︎速攻魔法発動‼︎ライバルアライバル‼︎」
「ほう、ここでそのカードか」
「このカードは自分・相手のバトルフェイズに発動でき、モンスター1体を召喚する‼︎来い、
〈H・C 強襲のハルベルト〉☆4 戦士族 地属性
ATK1800
俺の前に現れたのはハルバードを持った紫の鎧を纏った戦士。
「H・C 強襲のハルベルトで星因士アルタイルを攻撃‼︎ライトニングハルバード‼︎」
空を飛んで逃げようとするアルタイルにハルベルドは雷を纏ったハルバードを投擲し、その身体を貫いて消滅させた。
幻騎 LP7550→7450
「チッ………むず痒い攻撃を………」
「H・C 強襲のハルベルトの効果発動‼︎このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時にデッキからヒロイックカードを手札に加える‼︎俺はデッキからヒロイックリベンジソードを手札に加える‼︎メインフェイズ2、俺は………」
俺の残りライフは500。
墓地のタスケナイト、そしてBlooーDの効果が俺を守ってくれているとはいえ何が起こるかは分からない。
それなら、さっき手に入れたばかりのあのカードを使ってみるのも手か。
「早速試してみるか。俺はレベル4のH・C 強襲のハルベルトとH・C ダブルランスでオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」
ハルベルトとダブルランスが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると現れたのは金色の翼を持つ戦士。
「現れろ、No.39‼︎逆境の中で輝く希望の光‼︎希望皇ホープ‼︎」
〈No.39 希望皇ホープ〉★4 戦士族 光属性
ATK2500
「クックック、ハーッハハハハ‼︎」
「っ、何がおかしい‼︎」
俺が幻騎から奪った希望皇ホープをEXデッキからデュエルディスクにセットした瞬間、幻騎が不気味な笑い声をあげる。
しばらく笑い続けた幻騎は愉快そうな表情で俺を見た。
「クックック、本当に、君が単純で良かったよ。使ったね、そのNo.39 希望皇ホープを」
「何?」
幻騎の言葉に、俺が訝しげな表情を浮かべた瞬間、フィールドに現れたホープの目が怪しく光る。
すると、ホープのカードからカオスオブアームズの時とは比べ物にならない程の大量の闇が溢れ出し、俺の身体を包み込んだ。
「何⁉︎ぐっ………ああああああああああ‼︎」
気を抜けば深い闇の淵に落ちてしまいそうな程の嫌な感覚が身体中を駆け巡り、闇に貰ったネックレスに亀裂が走る。
「ぐっ………がああ‼︎何だ、これ⁉︎」
「君は知りすぎた。真実に近づき過ぎた者は深淵に呑まれる。よくある話だろう?」
そういって幻騎は愉悦の笑みを浮かべながら、淡々と口を開く。
「そのNo.39 希望皇ホープは私が作り上げたレプリカだ」
「レプリカ⁉︎偽物、だってのか⁉︎」
「ああ、勘違いしないで貰いたい。レプリカといってもカード自体は本物と相違ない。ただし、そのレプリカには本物を遥かに超えた呪いを宿している。使用した者を暴走させるなんて柔なものじゃない。使用者に寄生して心を喰らい、確実に死に至らしめる呪いの宿り木、マリシャスシードがね」
「ぐっ………最初から、俺を始末するつもりだったって、わけか………ぐうっ‼︎」
あまりの闇の瘴気に、俺は思わず膝をつく。
そんな俺を見て、幻騎が興味深そうな表情を浮かべた。
「とはいえ、そのカードを使用して即死しなかったのは想定外だったよ。予想以上の精神力だ。これはこれで興味深い。ああ、安心したまえ。レプリカであるそのカードにはNo.特有の勝者へ移動する性質はない。存分に扱ってくれたまえ」
「そう、かよ………‼︎」
意識が朦朧とし始め、視界が霞みはじめる。
これは本格的にマズイ。
だが、対処方法が思いつくわけでもない。
なら………せめてコイツだけでも………
「俺は、カードを、2枚伏せて、ターン、エンドだ………」
遊騎 LP600 手札0
ー▲△▲ー ー
ーー○ーー
○ ー
ーーーーー
ーーーーー ー
幻騎 LP7450 手札2
「私のターン、ドロー‼︎………クックック、ハーッハハハハ‼︎どうやら運命は君に終わりを告げているようだ」
そういって確かな自信と狂気を孕んだ表情で幻騎は笑う。
コイツ、この後に及んで一体何をする気なんだ?
「まずは墓地に存在する幻影霧剣を除外して効果発動‼︎墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の幻影騎士団モンスター1体を対象としてそのモンスターを特殊召喚する‼︎ただし、この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。蘇れ、
〈幻影騎士団フラジャイルアーマー〉☆4 戦士族 闇属性
ATK1500
現れたのは宙に浮くヘルムのようなモンスター。
「さらに私は
〈星因士シリウス〉☆4 戦士族 光属性
ATK1600
さらにクラックヘルムに並び立つようにおおいぬ座の力を持つ星の戦士が姿を現わす。
これで幻騎のフィールドにはレベル4モンスターが2体。
ということは………
「冥土の土産に見せてあげよう、本物の希望をね。私はレベル4の星因士シリウスと幻影騎士団クラックヘルムでオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」
シリウスとクラックヘルムが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると現れたのは俺が先程呼び出したのと全く同じ外見をした金色の翼を持つ戦士。
「現れろ、No.39‼︎夢幻なる希望の戦士‼︎希望皇ホープ‼︎」
〈No.39 希望皇ホープ〉★4 戦士族 光属性
ATK2500
「それが、本物ってわけ、か‼︎」
だが、ホープの効果は自分または相手のモンスターの攻撃宣言時にオーバーレイユニットを1つ取り除いてそのモンスターの攻撃を無効にするという効果だ。
ただでさえ、BlooーDに効果を消された状態なのに、何故ホープを………
訝しげな表情を浮かべる俺を見て、幻騎は指を振ると、1枚のカードを掲げた。
「どうやら君はNo.39 希望皇ホープを防御用のNo.だと考えているようだね。違うんだよ、このカードはこうやって使うんだ。私は
「何⁉︎RUMーヌメロンフォース、だと⁉︎」
「自分フィールド上のエクシーズモンスター1体を選択し、選択したモンスターと同じ種族でランクが1つ高いCNo.と名のついたモンスター1体を、選択したモンスターの上に重ね、エクシーズ召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する‼︎私はNo.39 希望皇ホープ1体でオーバーレイ‼︎1体のモンスターでオーバーレイネットワークを再構築‼︎カオスエクシーズチェンジ‼︎」
ホープが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けるとそこから現れるのは進化を遂げた希望の戦士。
血のような真紅の装甲と漆黒の鎧を見に纏った希望の英雄。
「希望の戦士よ‼︎混沌の力を受け入れ、殺戮の果てに儚き希望を見出せ‼︎現れろ‼︎CNo.39 希望皇ホープレイV‼︎」
〈CNo.39 希望皇ホープレイV〉★5 戦士族 光属性
ATK2600
「CNo.39 希望皇ホープレイV………だが、いくらCNo.になっても、DーHERO BlooーDがいる限り、効果は使えない‼︎」
「ハッ、運命の囚人程度で、私が生み出したCNo.を止めることはできない‼︎RUMーヌメロンフォースの更なる効果‼︎CNo.と名のついたモンスター1体を、選択したモンスターの上に重ね、エクシーズ召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚した後、この効果で特殊召喚したモンスター以外のフィールド上に表側表示で存在するカードの効果を全て無効にする‼︎」
「っ⁉︎なん、だと⁉︎」
「私の才能の前には全てが無価値だ。消え失せろ、カオスデリート‼︎」
ホープレイVの身体が光り輝くと、BlooーDの放った闇が消滅し、俺のフィールドにあった全てのカードが色を失う。
DーHERO BlooーD
ATK2950→1900
「さあ、希望という名の幻想を抱いた報いを受けるがいい‼︎CNo.39 希望皇ホープレイVの効果発動‼︎このカードが希望皇ホープと名のついたモンスターをカオスオーバーレイユニットとしている場合、1ターンに1度、このカードのカオスオーバーレイユニットを1つ取り除き、相手フィールド上のモンスター1体を破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える‼︎対象はDーHERO BlooーD‼︎」
「っ、モンスターを破壊する、バーン効果、だと⁉︎ぐっ、リバースカード、オープン‼︎罠発動、スキルプリズナー‼︎自分フィールド上のカード1枚を選択して、このターン、選択したカードを対象として発動したモンスター効果を、無効にする‼︎」
「最後まで生き足掻くか………感動的だな、だが無意味だ。ライフポイントを半分払い、手札からカウンター罠発動‼︎レッドリブート‼︎」
「っ⁉︎ここで、レッドリブート、だと⁉︎」
幻騎 LP7450→3725
「言っただろう?私は君のファンだと。君の戦い方は知り尽くしている。相手が罠カードを発動した時に発動できる‼︎その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする‼︎その後相手はデッキから罠カード1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットできる。最もこのカード発動後、ターン終了時まで罠カードは発動できないがね」
「っ………俺は、ダメージダイエットを、セット………する………ぐっ」
身体を侵食してくる闇の瘴気に耐えきれず、俺は地面に倒れ伏し、その拍子にポケットに入れていた携帯端末が地面に落ちる。
「っ………ちく、しょう‼︎」
ホープレイVの手元に赤黒い剣が現れ、赤黒い剣に闇の瘴気が集まっていく。
俺はなんとか直撃を避けるために、身体を動かそうとするが、ホープによる呪いと先程のダメージにより地面を這うことしかできなかった。
「………はぁ………はぁ」
「無様なものだな。地面を這うことしかできないのにまだ抗うというのか」
「うる………せぇ、よ」
「強がりもここまでくると滑稽だよ。さあ、終わりの時だ」
闇の瘴気が集まり、ホープレイVの赤黒い剣が怪しく輝き始める。
こんなところで、俺は終わるのか?
そんな考えが俺の頭をよぎった時ーーー
『師匠………師匠⁉︎』
「っ………」
ーーー近くから心配そうな遊花の声が聞こえてきた。
視線を声が聞こえてきた方に向けると、そこにあるのはポケットから落ちた携帯端末。
そうだ………俺はまだ、遊花に謝れてもいない。
「真実と共に………闇に消え去れ、結束 遊騎」
ホープレイVが赤黒い剣をBlooーDに向ける。
それでも俺は視線を逸らさずに、ホープレイVを睨みつける。
遊花に謝るまで………諦めるものか、絶対に‼︎
そんな俺をホープレイVから遮るように、動く影があった。
「っ………BlooーD?」
俺に背を向ける運命の英雄は、そんな俺に笑みを浮かべた気がした。
「砕け散れ、Vブレードシュート‼︎‼︎」
ホープレイVが赤黒い剣をBlooーDに向けて投擲し、BlooーDの身体を貫き、俺の身体を吹き飛ばした。
遊騎 LP500→0
ーーーーーーー
★
「はぁ………はぁ………」
私は降りしきる雨に濡れながら、必死に走って初めて師匠と出会ったあの公園に足を踏み入れる。
「はぁ………はぁ………師匠は………」
私は息を切らしながら必死に公園の中を見回す。
すると、私の視界に入る2つの人影があった。
「む?栗原 遊花だと?何故ここに………」
「天神、先生?」
1つの人影は、見たこともない冷たい表情を浮かべている天神先生。
そしてもう1つの人影。
天神先生の近くに倒れているその人影はーーー
「し、しょー?」
ーーー傷だらけになり、身体から大量の血を流しながら闇に包まれている師匠の姿だった。
「っ‼︎師匠⁉︎」
私は慌てて駆け寄り、師匠の身体を抱え起す。
「師匠⁉︎大丈夫ですか⁉︎しっかりしてください‼︎」
「ゆうか………はは、わりぃ………わるのりが、すぎたみたいだ………」
そういって、師匠は力なく笑う。
そんな………何で師匠がこんなボロボロに………
「想定外の出来事ではあるが、見られたからには生かしておくわけにはいかないな」
「っ、天神、先生………あなたが、やったんですか?」
「ああ、そうだとも。安心したまえ。師弟共々、仲良くあの世に送ってあげよう」
そういって天神先生がデュエルディスクを起動すると、真紅の装甲と漆黒の鎧を見に纏った戦士の姿が映し出される。
何が起こるかは分からない。
だけど、これだけ師匠がボロボロになっているのなら同じようなことが私の身に起こるのだろう。
だけど………それでもいい。
このまま師匠を失うぐらいなら、私も一緒にーーー
「ばか、やろう………いきるのを、あきら、めるな」
「っ、師匠?」
「おまえには、かなえなきゃならない………ゆめが、あるだろう?」
「夢………でも、師匠がいないと、私は………」
「おれの………じまんの、でしは………ぜったいに………あきらめない、やつだ………こんなことで………あきらめてんじゃ、ねぇよ」
「師匠?師匠‼︎」
そういって師匠が私を安心させるために私の頭をひと撫でして柔らかく笑い、意識を失う。
私だって、諦めたくない………私の夢も………師匠のことも………
「じゃあ私は、師匠のために何を………」
「つまらない三文芝居は終わりだ。君にできることなどただ1つ。2人仲良く死にたまえ」
天神先生がそういうと真紅の装甲と漆黒の鎧を見に纏った戦士が手に持った剣を振り下ろそうとする。
嫌だ。
やっぱり諦めたくない。
私がーーー
「私が………師匠を守るんだ‼︎」
「守れるものか、ただの小娘の君に‼︎」
そんな天神先生の言葉と共に、剣が振り下ろさる。
私は思わず目を瞑りながら振り下ろされる剣に右手を向け、力一杯に叫ぶ。
「師匠を、傷付けないで‼︎」
すると、視界が眩い光りに包まれてーーー
「………何?」
驚くような天神先生の声が私の耳に届く。
恐る恐る目を開けると、真紅の装甲と漆黒の鎧を見に纏った戦士の姿が消えていた。
「何故、ホープレイVが消えた?貴様、一体何をーーー」
戸惑うように天神先生が口を開こうとするが、公園の外からいくつかの足音と人の声が聞こえてくると、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべきびしを返した。
「チッ、野次馬が集まり始めたか。まあいい、結束 遊騎にマリシャスシードは植えつけた。どの道その男は死に至る。ここは1度引かせて貰おう」
そういうと天神先生がデュエルディスクについてある何かのスイッチを押す。
「私の計画は誰にも止められない。次は貴様の命を貰いにこよう、栗原 遊花」
そんな言葉を残し、まるで空気に溶けるかのように天神先生は姿を消した。
「見つけた、遊花………って、遊騎⁉︎」
公園の外から、爆音を聞きつけて私を追ってきたであろう桜ちゃんの声が聞こえてくる。
降りしきる雨が、私と師匠の身体を冷たく濡らしていた。
次回予告
呪いを植え付けられ、生死の境を彷徨う遊騎。
遊騎が生死の境を彷徨うことになったのは自分のせいではないかと、遊花は自分の無力さを痛感する。
そんな遊花の前に現れる謎の少女。
問答の末、謎の少女は遊花に闇に染まった未知なるカードを渡し姿を消す。
そして遊花を葬ろうと姿を現わす幻騎。
遊花は運命を斬り開くため、未知なるカードに望みを託す。
次回 遊戯王Trumpfkarte
『希望の存在意義』
次回は会話回です。
第3者視点と遊花視点でお送りします。
遊花が手にした未知なるカードとは?
次回をお楽しみに。
そして今回は、遊騎死す‼︎デュエルスタンバイ‼︎
いや、死んではいませんが。
悪役から渡されたものをホイホイ使ったらダメだという教訓回ですね。
あれ、違う?
そしてとうとう登場したホープとその進化形態。
真ゲスとの友情の証、ホープレイVです。
ヴォルカザウルス涙目なインチキバーン。
デザインの禍々しさと邪悪な笑い声がとても印象に残ってます。
というか、放送時間が変更されてからしばらく見てなくて、友人の家で焼肉をしながら久しぶりにテレビをつけて見た回が、今明かされる衝撃の真実ゥ‼︎の回だったのも記憶に残ってる理由なんですけどね。
それじゃあ今回はここまで。
新しい禁止制限、発表されましたね。
書き直ししている間に1週間も過ぎてしまいましたが、改めて少しだけ振り返りをば。
禁止
守護竜アガーペイン
エクリプスワイバーン
ソウルチャージ
制限
魔鐘洞
輝白竜ワイバースター
鎖龍蛇-スカルデット
ドラコネット
十二獣の会局
ドラゴニックD
準制限
E・HEROシャドーミスト
捕食植物オフリススコーピオ
レディデバッガー
妨げられた壊獣の眠り
SPYRAL RESORT
名推理
竜呼相打つ
ワンフォーワン
無制限
ABC-ドラゴンバスター
ダークアームドドラゴン
TG ハイパーライブラリアン
デビルフランケン
氷結界の龍トリシューラ
影霊衣の反魂術
リミッター解除
神の通告
アガーペイン………知ってた。
ドラコネットも1番イヴにアクセスできたので仕方ない。
スカルデットは少し驚きましたが、未界域で3枚使ってぶん回すらしいので納得。
そして何が1番嬉しいってワンフォーワンの規制が緩まったことです‼︎
遊花デッキがまた動きやすくなるぜ‼︎
というか、遊花はワンフォーワン、桜は妨げられた壊獣の眠り、闇は影霊衣の反魂術というメインキャラ3人娘が緩和されて強くなるという謎状態です。
そしてそして今日はウォリアーズストライクの発売日。
私が注目してるのはラプテノスの超魔剣。
装備モンスターの表示形式によって耐性を与えるんですが、注目するのはもう1つの効果。
自分・相手のバトルフェイズ開始時に装備モンスターの表示形式を変更し、モンスター1体を召喚する。
この作品を読んでくれてる方ならお分かりいただけると思いますが、ライバルアライバルでキングスナイトを出して絵札の三銃士を揃えてた部分が装備魔法でできるんですよ‼︎
遊騎強化です、強い‼︎
そして何気に竹光が再録されてるのが嬉しい‼︎
といったところで今回はここでお開き。
また次回。
ではでは〜