遊戯王Trumpfkarte   作:ブレイドJ

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大変お待たせ致しました。
今回はデュエル回です。
遊騎視点、第3者視点、別キャラクター視点でお送りします。
今回の話は度々視点が変更するので分かりにくいかも知れません。
相変わらずの超展開‼︎
意外な人がデュエルをしますよ。
それでは本編へGO‼︎




第79話 魂を刈り取る刃

 

 

「っ………」

 

目が覚めると、視界に入ってきたのは見覚えがある真っ白な天井だった。

 

俺は布団を退け、身体を起こして頭を押さえる。

 

「………何か、変な夢を見た気がする」

 

とても変で………それでいて何か大切な夢だった気がするのだが、その夢の内容はまるで霧に包まれてしまったかのように曖昧になり、思い出すことができない。

 

近くにおいてある時計を見ると、現在の時刻は7時35分。

 

それを確認して俺は深いため息を吐く。

 

「寝坊してればサボれたってのに………まあ、そういうわけにはいかないよな」

 

俺はもう1度深いため息を吐くと、ベッドから降りて、クローゼットからいつも着ている( ・・・・・・・)デュエルアカデミアの制服( ・・・・・・・・・・・・)に身を包み、自分の部屋から出て1階に降りる。

 

リビングをちらりと覗き、人がいないことを確認すると、リビングに置いてあった食パンを口に咥え、そそくさと裏口から外に出る。

 

「………行ってきます」

 

そう小さく口にして、俺は『Natural』を後にしデュエルアカデミアに向けて歩き始める。

 

しばらく歩き、デュエルアカデミアの近くにある大きな公園に差し掛かったところで、不愉快な雑音が耳に入ってきた。

 

「あん?おうおう、そこにいるのは家族殺しの遊騎君じゃねぇか?」

 

「こんな朝早くから出かけてまた誰かを殺しにでも行くのか?ぎゃははは‼︎」

 

「………」

 

近くから聞こえてくる雑音を無視して俺はデュエルアカデミアに向かって歩く。

 

すると、いきなり目の前に壁が現れる。

 

「おい、なに無視してんだよ?ちったぁ反応しろよ」

 

「………邪魔だ」

 

「あん?今なんつった?」

 

「邪魔だって言ったんだよ。その耳は飾りなのか?」

 

「っ‼︎舐めてんじゃねぇぞ、おら‼︎」

 

俺の言葉に反応して、壁のように俺の通り道を塞いでいた不良が殴りかかってくる。

 

俺はため息を吐きながら、放たれた腕を掴んでもう1人の不良に向かって投げ飛ばす。

 

「がっ‼︎」

 

「ぐあっ‼︎」

 

「時間の無駄だ。喧嘩がしたいなら他所でやれ」

 

俺は倒れ伏せる不良共を尻目に再びデュエルアカデミアに向けて歩き出そうとする。

 

そんな俺の耳に背後から2つのデュエルディスクの起動音が聞こえた。

 

「待ちやがれ‼︎逃げるのか腰抜け野郎‼︎」

 

「人殺し風情が散々こけにしやがって‼︎デュエルだ‼︎デュエルでテメェをぶっ潰してやる‼︎」

 

その言葉に俺は再び足を止め、背後にいる不良に向き直り自分のデュエルディスクを起動する。

 

「別にお前らの言い分を聞いてやる必要はないが、デュエルだって言うなら話は別だ。俺に喧嘩を売ったこと、後悔して貰うぞ」

 

そういって、俺は不良達に向けて獰猛に笑う。

 

ああ、今日も最悪な1日になりそうだ。

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「ようやく着いた」

 

「待ちなさいって‼︎私は遊花を背負ってるんだから‼︎病院の3階まで全力疾走とか、堪えるわよ‼︎」

 

公園で倒れた遊花を背負った桜が闇に悪態をつきながら遊騎がいる3階の病室に駆け込む。

 

そんな桜達に、病室の中にいた人物達は苦笑を浮かべながら声をかける。

 

「状況が状況だが、病院内でぐらいもう少し静かにした方がいいと思うぞ」

 

「仕方ないのです。遊騎君の一大事なのですから」

 

「えっ⁉︎炎さん⁉︎リーネさん⁉︎」

 

声をかけてきた炎とリーネに、桜は驚きの声を上げる。

 

そんな桜の様子に、炎とリーネは首を傾げる。

 

「闇、宝月に説明はしていなかったのか?」

 

「緊急事態だったから………合流できたのも偶然。遊花が天神 幻騎とデュエルしてたから」

 

「えっ⁉︎遊花ちゃんがですか⁉︎」

 

「話にあった結束に重症を負わせた元凶か。栗原は無事なのか?」

 

「大丈夫………色々想定外の事態はあったけど、気絶してるだけだから」

 

「ほっ、それなら良かったのです。遊花ちゃんまで大怪我しちゃったらリーネは遊騎君に合わせる顔がないのです」

 

桜の背中で眠る遊花を見て、リーネが安心したように胸を撫で下ろす。

 

そんなリーネ達を見て、桜が闇に尋ねる。

 

「闇、この2人が助っ人なの?」

 

「ん………私が遊騎の次に信頼できる助っ人。今の遊騎を救うことができる唯一の可能性」

 

「とはいえ、俺はただの付き添いだがな。一応冬城が来る前に少し試してみたが、俺の力ではどうにもならなかった。本命はまだ試していない天羽の方だな」

 

「それじゃあ、リーネさんが遊騎を助けるってこと?リーネさんも闇のカードを持ってるの?」

 

現在の遊騎は闇のカードに込められた呪いによって身体を蝕まれている状態だ。

 

その呪いに干渉するということはそれに付随する力をリーネが所持していることになる。

 

そう思っての質問だったのだが、桜の質問にリーネは首を振った。

 

「ご期待のところ悪いのですが、リーネは闇のカードを持っていないのですよ」

 

「えっ?それじゃあなんでリーネさんが助っ人に?」

 

「それはリーネが闇のカード以外で呪いに………というより、魂に干渉する力を持ってるからなのですよ」

 

「闇のカード以外で?」

 

「そうなのです。桜ちゃんにも心当たりがあると思うのですよ。闇のカードによく似た意思を持った存在に」

 

「闇のカードによく似た意思を持った存在?」

 

リーネの言葉が理解できず、桜が難しい表情を浮かべる。

 

そんな桜に、リーネはあっけらかんとその言葉を口にする。

 

「妖精伝姫-カグヤ。桜ちゃんの精霊さんなんですよね?桜ちゃんの周りには他にも沢山の精霊さんがいる( ・・・・・・・・・・・・・)ですが、今は繋がってるのはその子だけみたいなのですね」

 

「えっ⁉︎な、なんでそれを………」

 

「えっへん‼︎お姉さんはこう見えて鋭いのです‼︎意思を持った精霊さんかどうかは見れば分かっちゃうのです‼︎」

 

『あらあら、まさか私のことに気づく人間がいるなんてね』

 

胸を張ってドヤ顔を浮かべるリーネに、カグヤが驚いたような声を出す。

 

『桜、私を出して。私の存在に気づいているなら、挨拶はしっかりしておきたいわ』

 

「いや、出せって言われても………」

 

『いつも通りにデュエルディスクにセットしてくれれば立体映像を通じてどうとでもできるわ』

 

「わ、分かったわよ」

 

カグヤの言葉に桜は遊花を病室の椅子に座らせ、デュエルディスクを起動して、カグヤのカードをセットする。

 

立体映像として現れたカグヤはリーネに向かってお辞儀をした。

 

『初めまして、というのも知られている相手に言うのはおかしいのだけれど、カグヤよ。いつも桜がお世話になっているわ』

 

「これはこれはご丁寧に、天羽 リーネなのです。こちらこそいつも桜ちゃんがお世話になっているのです‼︎」

 

『相棒だもの、当然よ。どうかこれからも、桜を、よろしく』

 

「はい、なのです‼︎これからも仲良くできたらなって、リーネも思っているのですよ」

 

「………私がお世話になってるのは確定なのね。否定はしないけど………」

 

ぺこぺこと頭を下げあう2人を見て、桜が微妙な表情を浮かべる。

 

そんな中、今も意識を失ったまま機械に繋がれベッドの上で眠っている遊騎が呻き声を上げ、身体から闇の瘴気が溢れ出した。

 

「ぐっ、ああ………‼︎」

 

「っ、遊騎⁉︎」

 

「呪いが本格的に結束の命を蝕み始めたか‼︎挨拶は後だ、天羽‼︎早く蹴りをつけなければ結束の命が先に尽きる‼︎」

 

「がってん承知の助なのです‼︎お姉さんにドドーンとお任せなのです‼︎遊騎君は絶対に死なせないのです‼︎」

 

そういって、リーネがデュエルディスクを起動し、1枚のカードをデュエルディスクにセットしようとする。

 

その瞬間、遊騎の身体から大量の闇の瘴気が溢れ出し、遊騎の身体を完全に包み込んだ。

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「………遅れました」

 

「結束‼︎お前、また遅刻か‼︎これで何度目だと思ってる‼︎」

 

「………忘れました」

 

「っ、もういい‼︎講義後に生徒指導室だ‼︎お前のその態度、今日こそ改めさせてやる‼︎」

 

「………はいはい」

 

教師の言葉を聞き流し、いつも座っている教室の1番隅の席に向かう。

 

「結束の奴、また遅刻か………」

 

「人殺しの癖に、よく平然とデュエルアカデミアに来れるわね」

 

他の生徒から向けられるのは冷ややかな視線とこちらを侮蔑する陰口。

 

だけどそんなもの、もう気にすることすらない。

 

「遊騎………おはよ」

 

「闇か、おはよう」

 

いつも座っている席に座ると、その隣の席に座っていた闇が心配そうに話しかけてくる。

 

「また、喧嘩?」

 

「喧嘩なんて言える程のものですらねぇよ」

 

「怪我、してない?」

 

「してないしてない。それより、講義に集中しろよ。俺なんかと話してると、お前まで色々言われるぞ」

 

「っ、そんなのどうでもいい。私は、遊騎と一緒ならーーー」

 

「そこ‼︎何を話している‼︎」

 

悲しそうな表情で話しかけてくる闇を見つけ、教師が怒鳴りつけてくる。

 

はぁ〜仕方ねぇな………

 

「悪いな、先生。来てみたはいいけど、先生の講義がつまんなくてさ。遊びに誘ってたんだよ」

 

「っ⁉︎違っ………」

 

「またお前か、結束‼︎もういい‼︎そんなに俺の講義がつまらないなら今すぐ生徒指導室に連れてってやる‼︎」

 

「ちぇっ、分かったよ。じゃ、そういうことで………あんまり目をつけられることはしないようにな」

 

「っ、遊騎………‼︎」

 

怒り狂った教師が近づいてくるのを見ながら、俺は席を立って小声で闇に向けて呟く。

 

闇は何かを言おうとしたようだが、俺はそれを視線で制して手を振って教師と一緒に教室を出て行く。

 

あー本当に、最悪だ。

 

どうして俺は取り残されてしまったのだろう?

 

あの業火が………両親を灰に変えたあの業火が………俺すらも焼き尽くしてしまえば良かったのに。

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「ウァァァァァァァァァ‼︎」

 

「っ‼︎これは、さっき遊花の時に見たーーー」

 

背後で桜ちゃんのそんな声が聞こえたかと思うと、遊騎君を覆っていた闇が弾ける。

 

しかし、そこにいた遊騎君は身体が完全に闇に塗り潰された漆黒の人型に変わっていた。

 

遊騎君を塗り潰した漆黒の人型は、遊騎君の声で言葉を紡ぐ。

 

『ようやくこの男の身体を奪い取ることが出来たか。感謝するぞ、オマエ達がこの男を救おうと力を振るったおかげでオレはこの身体を手に入れることができた‼︎』

 

「あなたは誰なのです?」

 

『オレの名はマリシャスシード。心を喰らう呪いの宿り木だ。もう少しだ、もう少しでこの男の記憶と心を触媒にオレの身体を得ることができる‼︎』

 

そういって遊騎君の身体を乗っ取った漆黒の人型は不気味に笑う。

 

とはいえ、相手が誰であろうとリーネのやるべきことはただ1つなのです。

 

「その身体は遊騎君のものなのです‼︎大人しく出て行って貰うのです‼︎」

 

『ハッ、そう言われて素直に返す奴がいると思うのか‼︎』

 

「出ていかないのなら宿り木ごとばらばらに斬り刻んでやるだけなのです‼︎」

 

『おお、怖い怖い。それなら抵抗しないとな‼︎』

 

そういって、マリシャスシードはベッドの脇に置いてあった遊騎君のデュエルディスクを手に取って起動し、遊騎君のデッキを呪いの闇で呑み込んでいく。

 

まさか………‼︎

 

「遊騎君のデッキを丸ごと呪いで汚染するつもりですか⁉︎」

 

『生憎オレにはデッキがないからなぁ。この男のデッキを利用して………』

 

マリシャスシードの呪いの力により、遊騎君のデッキから徐々に闇の瘴気が溢れ始める。

 

しかし、闇の瘴気が溢れるデッキの中で数枚のカードが呪いに抵抗するように輝きはじめた。

 

『っ、なんだ、コイツら⁉︎オレの力を跳ね除けて………ええい、邪魔だ‼︎』

 

マリシャスシードが呪いを跳ね除け、輝きを放つカードをデッキから抜いてこちらに向けて投げつける。

 

リーネと闇ちゃんは咄嗟に投げつけられたカードを掴み取り、そのカードを確認する。

 

「これは………」

 

リーネが掴み取ったのは遊騎君のキーカードである絵札の三銃士とセイクリッドプレアデス。

 

そして、闇ちゃんが掴み取ったのは………

 

「アルカナナイトジョーカー………アルカナエクストラジョーカー………DーHERO BlooーD………遊騎の英雄達」

 

遊騎君の切り札である英雄達が、闇ちゃんの手に握られていた。

 

やっぱりあなた達は遊騎君の………

 

『クックック、多少の邪魔はあったが、汚染仕切ったぞ、この男のデッキを‼︎』

 

「っ‼︎やらかしたです‼︎」

 

投げつけられた絵札の三銃士に気を取られている間に、遊騎君のデッキが闇の瘴気に呑まれていた。

 

「絵札の三銃士達が抜けたからデッキ枚数は足りなくなっている………ということも、なさそうですね」

 

リーネはため息を吐きながら視線を、マリシャスシードが手にしているカードに向ける。

 

多分、アレは遊騎君がデュエルディスクに収納していたサイドデッキ。

 

緊急用に用意してたであろう遊騎君の真面目な性格が仇になったですね。

 

『さあ、これで準備は整った。オマエ以外にオレを取り除けないことは知っている‼︎オマエを葬ればもう誰もオレの邪魔はできん‼︎』

 

「あなたなんかに葬られる程、リーネは甘くないのです‼︎痛む間も無く斬り刻んであげるのです‼︎」

 

そういって、リーネはデュエルディスクをマリシャスシードに構える。

 

遊騎君、少しだけ待ってて欲しいのです。

 

すぐにその呪いを斬り刻んで、助けてあげるのです‼︎

 

『決闘‼︎』

 

 

リーネ LP8000

 

マリシャス LP8000

 

 

ーーーーーーー

 

 

「先攻はリーネなのです‼︎早速行かせて貰うのです‼︎魔法カード、隣の芝刈り発動なのです‼︎」

 

『チッ、面倒なカードを………』

 

「このカードは自分のデッキの枚数が相手よりも多い場合に発動できるのです。その効果はデッキの枚数が相手と同じになるように、自分のデッキの上からカードを墓地へ送るのです‼︎さあ、あなたの残りのデッキ枚数を教えて貰うのです‼︎」

 

『オレの残りデッキは35枚だ』

 

「なら、リーネは55枚なので、その差分の20枚のカードを墓地に送らせて貰うのです。さらに墓地に送られた2枚の妖刀竹光の効果発動なのです‼︎デッキから妖刀竹光以外の竹光カードをデッキから手札に加えるのです。リーネは折れ竹光と黄金色の竹光を手札に加えるのです。さらに魔法カード、シャッフルリボーンなのです‼︎自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分の墓地のモンスター1体を対象としてそのモンスターを特殊召喚するのです‼︎ただし、この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズに除外されるのです‼︎さあ、今回も頼むのです‼︎戦場を舞う始まりの戦乙女‼︎閃刀姫-レイ‼︎」

 

 

〈閃刀姫ーレイ〉☆4 戦士族 闇属性

ATK1500

 

 

リーネの前に現れたのは刀を持ち、制服を着た白髪の少女。

 

レイはフィールドに現れると、リーネを見て真剣な表情で頷く。

 

『閃刀姫-レイ………この男の記憶ではオマエのキーモンスターだったな』

 

「それじゃあ早速行っちゃうのですよ‼︎刀術式起動なのです‼︎戦場へと続くサーキット‼︎」

 

リーネが正面に手をかざすと、レイの正面に巨大なサーキットが現れる。

 

「召喚条件は水属性以外の閃刀姫モンスター1体‼︎リーネは閃刀姫-レイをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」

 

レイの身体を巨大なサーキットが通過するように動き始める。

 

レイがサーキットを潜ると、4つの盾を装備した青い鎧を身に纏った白髪の少女が現れた。

 

「リンク召喚‼︎水簾の如き刀衛の盾なのです‼︎リンク1‼︎閃刀姫ーシズク‼︎」

 

 

〈閃刀姫ーシズク〉LINK1 機械族 水属性

ATK1500 ↗︎

 

 

『水の閃刀姫か………』

 

「まだまだこれからなのですよ‼︎魔法カード、閃刀起動-エンゲージなのです‼︎自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合に発動でき、デッキから閃刀起動-エンゲージ以外の閃刀カード1枚を手札に加え、その後、自分の墓地に魔法カードが3枚以上存在する場合、自分はデッキから1枚ドローできるのです‼︎リーネの墓地には勿論3枚以上魔法カードがあるので後の効果も発動するのです‼︎リーネはデッキから閃刀機-イーグルブースターを手札に加えてさらに1枚ドローなのです‼︎いいものを引いたのです‼︎まずは永続魔法、燃え竹光を発動なのです‼︎さらに装備魔法、折れ竹光を閃刀姫-シズクに装備するのです‼︎」

 

フィールドに燃え盛る竹刀と折れた竹刀が現れ、折れた竹刀をシズクが持つ。

 

すると、燃え盛っていた竹刀から炎が舞い上がった。

 

「この瞬間、永続魔法、燃え竹光の効果発動なのです‼︎このカードが魔法&罠ゾーンに存在する状態で自分が竹光カードを発動した場合、次の相手のメインフェイズ1をスキップするのです‼︎」

 

『チッ‼︎面倒なことを‼︎』

 

燃え竹光から舞い上がった炎がマリシャスシードを囲むように辺りに広がる。

 

「まだ終わってないのですよ。あなたには何もさせてあげないのです‼︎永続魔法、端末世界( ターミナルワールド)を発動なのです‼︎自分メインフェイズ1にのみこのカードを発動でき、このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いのメインフェイズ2をスキップするのです‼︎」

 

『っ⁉︎つまり………』

 

「次のあなたのターンはドローフェイズ、スタンバイフェイズ、バトルフェイズ、エンドフェイズのみになるのです‼︎」

 

オレンジ色の球体が現れ、リーネとマリシャスシードを包む。

 

これで召喚もセットも封じたのです。

 

このまま押し切っちゃいたいところですが、何だか嫌な予感もしてくるのです。

 

ここは突破されたことも考えて………

 

「魔法カード、黄金色の竹光を発動なのです‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在する場合に発動でき、デッキからカードを2枚ドローするのです‼︎これ以上動くことはなさそうなのです。閃刀姫ーシズクの永続効果、ヘルフィヨトゥル‼︎相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は、自分の墓地の魔法カードの数×100ポイントダウンするのです‼︎リーネの墓地には魔法カードは23枚あるので、あなたのモンスターの攻撃力は2300ポイントダウンするのです‼︎」

 

『次から次へと厄介な効果だな………』

 

「リーネはカードを1枚伏せてエンドフェイズに閃刀姫ーシズクの効果発動‼︎ヘルヴォル‼︎このカードを特殊召喚したターンのエンドフェイズ、デッキから同名カードが自分の墓地に存在しない閃刀魔法カード1枚を手札に加えるのです‼︎リーネはデッキから閃刀機-シャークキャノンを手札に加えてターンエンドなのです‼︎」

 

 

リーネ LP8000 手札4

 

▲△△△ー ー

ーーーーー

☆ ー

ーーーーー

ーーーーー ー

 

マリシャス LP8000 手札5

 

 

『オレのターン、ドロー‼︎』

 

「燃え竹光の効果でメインフェイズ1はスキップなのです‼︎」

 

『ウザってぇ‼︎なら、利用するだけ利用して丸ごと消しとばしてやるよ‼︎バトルフェイズ‼︎速攻魔法、魔力の泉‼︎相手フィールドの表側表示の魔法・罠カードの数だけ自分はデッキからドローし、その後、自分フィールドの表側表示の魔法・罠カードの数だけ自分の手札からカードを選んで捨てる‼︎ただし、このカードの発動後、次の相手ターンの終了時まで、相手フィールドの魔法・罠カードは破壊されず、発動と効果を無効化されなくなる‼︎オマエのフィールドにある表側の魔法・罠は折れ竹光、燃え竹光、端末世界の3枚。オレのフィールドに表側の魔法・罠は魔力の泉1枚。よって3枚ドローし、1枚手札を捨てる‼︎』

 

「大量ドローのカード………これで逆転の方法を引き込むというわけなのですね」

 

『バカが‼︎逆転の方法なんてものは既に用意してんだよ‼︎まずは手札から墓地に送られた妖刀竹光の効果発動‼︎オレはデッキから黄金色の竹光を手札に加える‼︎そしてバトルフェイズを終了し、バトルフェイズ終了時に手札から罠発動‼︎拮抗勝負‼︎』

 

「っ‼︎そのカードは………」

 

『自分フィールドにカードが存在しない場合、このカードは手札からも発動できる‼︎相手フィールドのカードの数が自分フィールドのカードの数より多い場合、自分・相手のバトルフェイズ終了時に発動できる‼︎自分フィールドのカードの数と同じになるように、相手はフィールドのカードを裏側表示で除外しなければならない‼︎オレのフィールドには今発動した拮抗勝負のみ‼︎オマエにもフィールドのカードが1枚になるようにカードを除外して貰うぞ‼︎』

 

「………リーネの魔法・罠は破壊されなくても除外はされてしまう………抜け目がないのです。リーネは閃刀姫ーシズクを残して他のカードを除外するのです」

 

リーネがそう宣言すると、シズク以外のカードが粒子に変わって消えていく。

 

あの布陣をこうもあっさりと攻略してくるとは………魂に取り憑いた偽者でも、遊騎君だということには変わりがないということですか。

 

『呆気ねぇな、これでメインフェイズに入ることができるぜ。メインフェイズ2、オレはH・C( ヒロイックチャレンジャー)サウザンドブレードを召喚‼︎』

 

 

〈H・C サウザンドブレード〉☆4 戦士族 地属性

ATK1300→0

 

 

現れたのは頭巾を被り、背中に何本もの刀を背負った戦士。

 

前にも遊騎君が使っていた時に見たことはあるのですが、その時と違っているところがある。

 

それは、サウザンドブレードの身体から溢れ出る闇の瘴気と怪しく光る赤い眼光。

 

「完全に汚染されてるようなのですね………」

 

『コイツはオレがこの男に取り憑く際、寄生していたカードのオーバーレイユニットになっていた。直接オレの呪いを受けたコイツは汚染されやすくなっていたんだ。このカードを汚染できて本当に良かったよ。コイツの力は他のヒロイックを呼び出すことができる。その力は他のヒロイックと繋がる力、繋がっているからこそ、連鎖的にヒロイックをオレの力で汚染することができたんだからな‼︎』

 

そういって、マリシャスシードが遊騎君の身体を使って下卑た笑い声をあげる。

 

リーネはそれを見て心の中でムッとする。

 

遊騎君の身体でそんな笑い声を上げないでほしいのです。

 

すっごく不愉快なのです‼︎

 

『H・C サウザンドブレードの効果発動‼︎1ターンに1度手札にあるヒロイックカードを捨ててデッキからヒロイックモンスターを特殊召喚する‼︎オレは手札のH・C( ヒロイックチャレンジャー)ダブルランスを捨ててデッキから現れろ、H・C( ヒロイックチャレンジャー)クラスプナイフ‼︎』

 

 

〈H・C クラスプナイフ〉☆1 戦士族 地属性

DEF100

ATK300→0

 

 

フィールドに現れたのは鉄の鎧を見に纏った巨大なナイフを持つ戦士。

 

当然その身体からは闇の瘴気が溢れ出していた。

 

『そしてこの効果を使ったH・C サウザンドブレードは守備表示になる』

 

 

H・C サウザンドブレード

ATK0→DEF1100

 

 

マリシャスシードのフィールドに並ぶ2体の戦士族モンスター。

 

遊騎君のデッキならここから繋がるリンクモンスターはまず間違いなく聖騎士の追想 イゾルデ。

 

それなら………

 

『H・C クラスプナイフの効果発動‼︎このカードがH・Cと名のついたモンスターの効果によって特殊召喚に成功した時、デッキからH・Cと名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる‼︎』

 

「なら、その効果にチェーンして手札から浮幽さくらの効果発動なのです‼︎」

 

『っ‼︎手札誘発のモンスターか‼︎』

 

「同名カードは1ターンに1度しか発動できず、相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、このカードを手札から捨て、自分のEXデッキのカード1枚を選んでお互いに確認し、その後、相手のEXデッキを確認し、選んだカードの同名カードがある場合、その相手の同名カードを全て除外するのです‼︎この効果は相手ターンでも発動できるのです‼リーネが選ぶのは、聖騎士の追想 イゾルデなのです‼︎」

 

『何だと⁉︎』

 

リーネの手札から死神の鎌を持った白装束の少女が現れ、その少女が鎌を振るうとマリシャスシードのEXデッキにあったイゾルデが除外される。

 

イゾルデは戦士族デッキなら使える汎用性の高いリンクモンスター。

 

リーネのデッキでも閃刀機-ホーネットビットで出せる閃刀姫トークンを使うことでリンク召喚ができるから、浮幽さくらで除外できることも考えて投入されているのです。

 

それがまさか遊騎君のデッキをメタるために使うことになるとは流石に思わなかったですけど。

 

『チッ、面倒なことを‼︎オレはH・C クラスプナイフの効果でデッキから2枚目のH・Cダブルランスを手札に加える‼︎だが、まだ終わりじゃねぇ‼︎装備魔法、妖刀竹光をH・C サウザンドブレードに装備‼︎さらに魔法カード、黄金色の竹光を発動‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在する場合に発動でき、デッキからカードを2枚ドローする‼︎』

 

「まだ妖刀竹光が残っていたですか………」

 

『オレはカードを2枚伏せてターンエンドだ‼︎』

 

 

リーネ LP8000 手札3

 

ーーーーー ー

ーーーーー

☆ ー

ーー□□ー

ー▲△▲ー ー

 

マリシャス LP8000 手札4

 

 

「リーネのターン、ドローなのです‼︎」

 

マリシャスシードのフィールドには2体の守備表示モンスター。

 

単騎戦闘を得意とするリーネのデッキとしてはこういう単純な戦法の方が苦手だったりするのです。

 

しかも、マリシャスシードのフィールドにいるサウザンドブレードは破壊しても戦闘ダメージを受ければ蘇生してしまう。

 

破壊する意味はほとんどない。

 

それなら、直接本体を叩くに限るのです‼︎

 

「刀術式起動なのです‼︎戦場へと続くサーキット‼︎」

 

『再びリンク召喚か………』

 

リーネが正面に手をかざすと、シズクの正面に巨大なサーキットが現れる。

 

「召喚条件は風属性以外の閃刀姫モンスター1体‼︎リーネは閃刀姫-シズクをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」

 

巨大なサーキットはシズクの身体を通過するように動き始める。

 

シズクがサーキットを潜ると、スナイパーのような装備をした緑の鎧を身に纏った白髪の少女が現れた。

 

「リンク召喚‼︎疾風の如き天翔る牙なのです‼︎リンク1‼︎閃刀姫ーハヤテ‼︎」

 

 

〈閃刀姫ーハヤテ〉LINK1 機械族 風属性

ATK1500 ↙︎

 

 

H・C サウザンドブレード

ATK0→1300

 

 

H・C クラスプナイフ

ATK0→300

 

 

『お次は風の閃刀姫か‼︎』

 

「さあ、派手に行くのです‼︎デッキの一番上のカードを墓地へ送って、魔法カード、アームズホールを発動なのです‼︎自分のデッキ・墓地から装備魔法カード1枚を選んで手札に加えるのです‼︎ただし、このカードを発動するターン、自分は通常召喚できないのです。リーネはデッキから装備魔法、サイコブレイドを手札に加えるのです‼︎そしてリーネはデッキから手札に加えた装備魔法、サイコブレイドを2000ポイントのライフを支払って閃刀姫ーハヤテに装備するのです‼︎」

 

 

リーネ LP8000→6000

 

 

ハヤテの手元に緑色に輝く大剣が現れる。

 

「サイコブレイドは1ターンに1枚しか発動できず、100の倍数のライフポイントを最大2000ポイントまで払って発動できるのです。そして装備モンスターの攻撃力・守備力は、このカードを発動するために払ったライフポイントの数値分アップするのです‼︎」

 

『払ったライフポイントの数値分………つまり今回は2000ポイントアップするってわけか』

 

 

閃刀姫ーハヤテ

ATK1500→3500

 

 

「さらに装備魔法、巨大化を閃刀姫ーハヤテに装備するのです‼︎」

 

『何⁉︎そのカードは‼︎』

 

「自分のライフポイントが相手より少ない場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の倍になるのです‼︎リーネのライフは6000、あなたのライフは8000‼︎よって閃刀姫ーハヤテの攻撃力は倍になるのです‼︎」

 

ハヤテはサイコブレイドに石版のような物を取りつけると、サイコブレイドが巨大化してハヤテの身長の2倍程の大剣に変化する。

 

 

閃刀姫ーハヤテ

ATK1500→3000→5000

 

 

『攻撃力5000だと⁉︎だが、オレのフィールドには守備表示のモンスター達がいるオマエの攻撃は通らない‼︎』

 

「問題ないのです‼︎閃刀姫ーハヤテの永続効果、ゲイレルル‼︎このカードは直接攻撃できるのです‼︎」

 

『っ⁉︎攻撃力5000の直接攻撃だと⁉︎』

 

「バトル‼︎閃刀姫ーハヤテでダイレクトアタック‼︎」

 

リーネの言葉に、ハヤテがサイコブレイドをマリシャスシードに向ける。

 

「奥義‼︎閃刀術式-ベクタードブラスト起動‼︎」

 

リーネがそう口にするとハヤテの背後に魔法陣が浮かび上がると、ハヤテの目にスコープがかかり、サイコブレイドの先端部にエネルギーが充填されていく。

 

「スゴイのいっちゃうのです‼︎ゲイルスケグル‼︎」

 

エネルギーが溜まり切ると、ハヤテはマリシャスシードに向けてサイコブレイドに充填されたエネルギーを解き放った。

 

『ぐがぁぁぁぁ‼︎』

 

 

マリシャス LP8000→3000

 

 

「閃刀姫ーハヤテの効果発動なのです‼︎スヴィプッル‼︎このカードが戦闘を行ったダメージ計算後、デッキから閃刀カード1枚を墓地へ送るのです‼︎リーネはデッキから閃刀術式-ベクタードブラストを墓地へ送るのです‼︎そして巨大化のデメリットにより、自分のライフポイントが相手より多い場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の半分になるのです」

 

 

閃刀姫ーハヤテ

ATK1500→750→2750

 

 

「それじゃあお色直しと行くのです‼︎刀術式起動なのです‼︎戦場へと続くサーキット‼︎」

 

『っ、またリンク召喚か‼︎』

 

リーネが正面に手をかざし、再び巨大なサーキットを出現させる。

 

「召喚条件は炎属性以外の閃刀姫モンスター1体‼︎リーネは閃刀姫ーハヤテをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」

 

ハヤテがサイコブレイドを投げ捨て、サーキットを通過していく。

 

ハヤテがサーキットを潜ると、真っ赤な鎧を身に纏った白髪の少女が現れた。

 

「リンク召喚‼︎業火の如き閃滅の刃なのです‼︎リンク1‼︎閃刀姫-カガリ‼︎」

 

 

〈閃刀姫-カガリ〉LINK1 機械族 炎属性

ATK1500 ↖︎

 

 

「閃刀姫-カガリの効果発動‼︎アルヴィト‼︎このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地の閃刀魔法カード1枚を対象としてそのカードを手札に加えるのです‼︎リーネは墓地から閃刀起動-エンゲージを手札に加えるのです‼︎」

 

『チッ、面倒なものを回収しやがった‼︎』

 

「そして再び魔法カード、閃刀起動-エンゲージなのです‼リーネはデッキから閃刀機-ホーネットビットを手札に加えてさらに1枚ドローなのです‼︎そして閃刀姫-カガリの永続効果‼︎ヒルド‼︎このカードの攻撃力は自分の墓地の魔法カードの数×100ポイントアップするのです‼︎今のリーネの墓地には28枚の魔法カードがあるのです‼︎なので攻撃力は………」

 

 

閃刀姫-カガリ

ATK1500→4300

 

 

『攻撃力、4300‼︎』

 

「このまま一気に押しきっちゃうのですよ。リーネはカードを3枚伏せてターンエンドなのです‼︎」

 

『リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎活路への希望‼︎』

 

「っ‼︎ここでドローカードですか」

 

『自分のライフポイントが相手より1000以上少ない場合、1000LPを払って発動‼︎』

 

 

マリシャス LP3000→2000

 

 

『お互いのライフポイントの差2000につき1枚、自分はデッキからドローする‼︎オレのライフは2000‼︎オマエは6000‼︎よって2枚のカードをドローする‼︎』

 

 

リーネ LP6000 手札1

 

ー▲▲▲ー ー

ーーーーー

☆ ー

ーー□□ー

ーー△▲ー ー

 

マリシャス LP2000 手札6

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「凄い………取り憑かれてるとはいえあの遊騎を圧倒してる」

 

リーネのデュエルを見て、思わず桜がそんな言葉を漏らす。

 

「前にも話したけど、社長の強さは私達『Trumpfkarte』の中でも郡を抜いてるから。遊騎の身体を奪った偽者程度がどうにかできる相手じゃない」

 

「………信頼してるのね、リーネさんのこと」

 

「当然。私を救ってくれたのは遊騎。でも、私に遊騎と一緒にいれる居場所をくれたのは社長。そんな社長も信じられないなら、遊騎以外の誰も信じられない」

 

「………それでも遊騎は信じられるのね」

 

闇の真っ直ぐな言葉に桜は苦笑を浮かべる。

 

そんな桜を尻目に闇は真剣な表情でデュエルを見る。

 

「とはいえ、曲がりなりにも遊騎の偽者。これで終わるとは考えにくい」

 

「ここから逆転してくるって?」

 

「それでも、社長は負けない。悔しいけど、きっと誰よりも遊騎を救ってきたのは社長だから………今回も絶対に、遊騎を助けてくれる」

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「ようやく解放されたか………」

 

生徒指導室での教師達のお説教は結局昼になるまで続いた。

 

おかげで朝の講義は全滅だ。

 

まあ、今更講義の1つや2つ出なくても変わりはしないが。

 

「っ、返して‼︎」

 

「ん?この声は………」

 

聞き覚えのある声が教室から聞こえ、俺は首を傾げながら教室の中を覗き込む。

 

教室の中では、男子生徒と言い争いをしている闇の姿があった。

 

「そのカードは遊騎に貰った大切なもの‼︎返して‼︎」

 

「ハッ、そんな大切なカードを落とす奴が悪いんだろ?俺はただ落ちてたカードを拾っただけだぜ?」

 

「それは貴方がぶつかってきたから………」

 

「知らねぇな、そんなこと。大体、何が大切なカードだ。あんな人殺しから貰ったカードが大切だなんて頭が狂ってやがるんじゃないのか?ぎゃはははは‼︎」

 

そういって言い争いをしている男が闇を嘲笑う。

 

周りにいる生徒も、必死な闇の姿を見て笑っているか傍観しているだけで闇を助けようともしない。

 

それを見た瞬間、俺の中の何かが切れた。

 

「ぎゃははは‼………︎ぐべっ⁉︎」

 

「………えっ?」

 

闇の惚けたような声が何処かで聞こえる。

 

だけど、それは今どうでもいい( ・・・・・・)

 

今はただーーー目の前の敵を排除するだけだ( ・・・・・・・・・)

 

「ぎゃっ⁉︎ぎゃあ‼︎やめ‼︎」

 

悲鳴を上げる男を正面から何度も何度も殴りつける。

 

俺を止めようと近づいてくる奴らも投げ飛ばし、悲鳴も上げなくなった男の胸倉を掴んで無理矢理立たせる。

 

「おい」

 

「ひっ‼︎」

 

「俺は人殺しなんだよな?」

 

「ご、ごべんなさーーー」

 

「謝る必要なんてねぇよ。ただ、俺を人殺しだと嘲笑うならーーー殺される覚悟はちゃんとできてるんだよな?」

 

「ひぃっ⁉︎」

 

俺の言葉に悲鳴をあげる男に向かって拳を振り上げる。

 

そんな俺の腕を必死に掴む手があった。

 

「遊騎、止めて‼︎もういい‼︎もういいから‼︎」

 

ちらりと視線を向けると、そこにいたのは泣きながら腕を掴む闇がいた。

 

闇のその表情を見て、血が上っていた俺の頭は急激に冷えていき、視界もクリアになっていく。

 

傍観していた周りの生徒からの畏怖の視線が俺を見る。

 

教室の外からは騒ぎを聞きつけた教師の声が聞こえてくる。

 

………これでいい。

 

これで………俺の居場所は完全になくなった。

 

俺は男の胸倉を掴んでいた腕を放すと、殴り飛ばした拍子に落ちた闇のカードを拾うと、闇の手に握らせる。

 

「遊騎………」

 

「じゃあな、もうカードは取られないようにしろよ」

 

「遊騎‼︎待っーーー」

 

「お前ら、何をしている⁉︎っ、またお前か結束‼︎」

 

闇が何か言おうとした瞬間、教室の外から教師がやってくる。

 

「んじゃ、ちょっと先生と話してくるわ。まぁ、良くて停学だろうけど、元気でな」

 

「っ⁉︎遊騎‼︎」

 

引き止める闇を無視して傍観していた奴らの説明を受けた教師に連れていかれる。

 

ああ、やっぱり今日は最悪だ。

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

『一気に押しきるだと?そう上手くいくと思ってるのかよ‼︎』

 

「っ………どうやら、ここからが正念場のようなのです」

 

遊騎君の身体を覆うマリシャスシードの闇が濃くなっていく。

 

このままじゃ、本格的に遊騎君の命が危ない。

 

早くケリをつけないとですね。

 

『オレのターン、ドロー‼︎手札を1枚捨て、速攻魔法、ツインツイスター‼︎フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として破壊する‼︎オレが破壊するのは、オマエの両脇のセットカードだ‼︎』

 

「っ、リバースカードオープンなのです‼︎速攻魔法、閃刀機-ホーネットビットなのです‼︎さらにチェーンしてリバースカードオープンなのです‼︎速攻魔法、閃刀機-シャークキャノンなのです‼︎自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、相手の墓地のモンスター1体を対象としてそのモンスターを除外するのです‼︎自分の墓地に魔法カードが3枚以上存在する場合、除外せずにそのモンスターを自分フィールドに特殊召喚できるのですが、今回はその効果は使わないのです。あなたの墓地からH・Cダブルランスを除外するのです‼︎」

 

『チッ、上手く躱されたか………』

 

カガリの手元にランチャーのようなものが現れ、カガリが引き金を引くとそこから放たれたレーザーがマリシャスシードの墓地からダブルランスを除外する。

 

「そして閃刀機-ホーネットビットの効果発動なのです‼︎自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、自分フィールドにリリースできない戦士族・闇属性・レベル1・攻撃力守備力0の閃刀姫トークン1体を守備表示で特殊召喚するのです‼︎そして自分の墓地に魔法カードが3枚以上存在する場合、そのトークンの攻撃力・守備力は1500になるのです‼︎出てきてくださいです、閃刀姫トークン‼︎」

 

 

〈閃刀姫トークン〉☆1 戦士族 闇属性

DEF1500

 

 

フィールドにホーネットビットが飛び交い、ホーネットビットから閃刀姫-レイの立体映像が投影される。

 

『チェーン処理でツインツイスターが閃刀機-ホーネットビットと閃刀機-シャークキャノンを破壊する』

 

そして突如フィールドに出現したとカガリが持つシャークキャノンを吹き飛ばした。

 

「さらに墓地に魔法カードが増えたので閃刀姫-カガリの攻撃力は上がるのですよ」

 

 

閃刀姫-カガリ

ATK4300→4500

 

 

『多少攻撃力が上がるぐらい許してやるよ‼︎墓地に存在するシャッフルリボーンの効果発動‼︎』

 

「さっきのツインツイスターで墓地に送ってたですね」

 

『自分フィールドのカード1枚を対象としそのカードを持ち主のデッキに戻してシャッフルし、その後自分はデッキから1枚ドローする。ただしこのターンのエンドフェイズに、自分の手札を1枚除外する‼︎オレはフィールドのH・C クラスプナイフをデッキに戻し、カードを1枚、ドローする‼︎オレはH・C サウザンドブレードを攻撃表示に変更し、再びH・C サウザンドブレードの効果発動‼︎オレは手札のH・C( ヒロイックチャレンジャー)アンブッシュソルジャーを捨ててデッキから現れろ、H・Cダブルランス‼︎そしてこの効果を使ったH・C サウザンドブレードは守備表示になる‼︎』

 

 

〈H・C ダブルランス〉☆4 戦士族 地属性

ATK1700

 

 

フィールドに現れたのは2つの槍を持った白い戦士。

 

当然その身体からは闇の瘴気が溢れ出す。

 

そしてマリシャスシードは正面に手をかざす。

 

『オレは戦士族、レベル4のH・C サウザンドブレードとH・C ダブルランスでオーバーレイ‼︎2体の戦士族モンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎』

 

サウザンドブレードとダブルランスが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けるとそこにいたのは赤い鎧から闇の瘴気を溢れ出させている王者の風格を漂わせる戦士。

 

「闇を纏て、光を切り伏せる孤独な王者‼︎HーC( ヒロイックチャンピオン)エクスカリバー‼︎」

 

 

〈HーC エクスカリバー〉★4 戦士族 光属性

ATK2000

 

 

「HーC エクスカリバーまで汚染されてるですか………」

 

『HーC エクスカリバーの効果発動‼︎ダールフォース‼︎オーバーレイユニットを2つ使い、このカードの攻撃力は、次の相手のエンドフェイズ時まで元々の攻撃力の倍になる‼︎』

 

エクスカリバーの周りを漂っていたオーバーレイユニットがエクスカリバーに集まると、エクスカリバーの身体が闇に包まれ、その目が血のような赤で輝き始める。

 

 

HーC エクスカリバー

ATK2000→4000

 

 

『さらに魔法カード、ヒロイックチャンス‼︎自分フィールド上のヒロイックと名のついたモンスター1体を選択し、このターン、選択したモンスターは攻撃力が倍になる‼︎ただし、相手プレイヤーにダイレクトアタックは出来なくなる。オレが対象にするのはHーC エクスカリバーだ‼︎』

 

 

HーC エクスカリバー

ATK4000→8000

 

 

「攻撃力8000………でも、それならまだライフポイントは尽きないから大丈夫なのです‼︎」

 

『ハッ‼︎大丈夫なんて簡単に言ってくれるじゃねぇか、お気楽者が‼︎オレはH・C ダブルランスを召喚‼︎』

 

 

〈H・C ダブルランス〉☆4 戦士族 地属性

ATK1700

 

 

マリシャスシードのフィールドに再びダブルランスが姿を現わし、勇ましい雄叫びを上げる。

 

『H・C ダブルランスの効果発動‼︎召喚成功時に手札・墓地の同名モンスターを表側守備表示で特殊召喚する‼︎ただしこのカードはシンクロ素材にできず、このカードをエクシーズ素材とする場合、戦士族モンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない。墓地より蘇れ、H・C ダブルランス‼︎』

 

 

〈H・C ダブルランス〉☆4 戦士族 地属性

DEF900

 

 

ダブルランスの雄叫びに導かれもう1体ダブルランスが現れる。

 

そしてマリシャスシードは再び正面に手をかざす。

 

『俺はレベル4のH・C ダブルランス2体でオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎』

 

2体のダブルランスが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けると現れたのは闇を纏った金色の翼を持つ戦士。

 

『現れろ、No.39‼︎儚く光る希望の戦士‼︎希望皇ホープ‼︎』

 

 

〈No.39 希望皇ホープ〉★4 戦士族 光属性

ATK2500

 

 

「No.39 希望皇ホープ………遊騎君に取り憑いた呪いの核だったカードですか」

 

『さあ、終わりにしてやる‼︎バトル‼︎HーC エクスカリバーで閃刀姫-カガリを攻撃‼︎この瞬間、No.39 希望皇ホープの効果発動‼︎ムーンバリア‼︎自分または相手のモンスターの攻撃宣言時、このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除き、そのモンスターの攻撃を無効にする‼︎』

 

「何ですと⁉︎」

 

エクスカリバーがカガリに斬りかかり、カガリが反撃をしようと刀を振るうと、その刀をホープが翼を盾に変えて防ぐ。

 

なんでわざわざ自分の攻撃を無効化して………攻撃の無効?

 

「っ‼︎そうなのです‼︎遊騎君のデッキにはーーー」

 

『速攻魔法、ダブルアップチャンス‼︎攻撃が無効になったモンスターを対象にして発動‼︎このバトルフェイズ中、選択したモンスターはもう1度だけ攻撃でき、その場合、選択したモンスターはダメージステップの間、攻撃力が倍になる‼︎」

 

「っ⁉︎やっぱりそれですか‼︎」

 

「バトル‼︎HーC エクスカリバーで閃刀姫-カガリを攻撃‼︎」

 

「っ、リバースカードオープンなのです‼︎罠発動、ダメージダイエットなのです‼︎このターン自分が受ける全てのダメージは半分になるのです‼︎」

 

『ほう、ダメージを軽減する罠を仕掛けていたか………ダメージステップ‼︎ダブルアップチャンスの効果、HーC エクスカリバーの攻撃力を倍にする‼︎』

 

 

HーC エクスカリバー

ATK8000→16000

 

 

「攻撃力………16000です⁉︎」

 

『斬殺しろ‼︎HーC エクスカリバー‼︎必殺剣 二の太刀‼︎叫喚地獄‼︎』

 

ホープの背後に隠れたエクスカリバーがもう1度剣を構え、集中するとエクスカリバーの剣に闇が集まっていく。

 

ホープが盾を使ってカガリの攻撃を受け流し、カガリの体勢を崩す。

 

エクスカリバーはホープの背後から飛び出すと、カガリに向かって剣を振り下ろして闇の衝撃波を放ち、カガリを吹き飛ばし、そのままリーネの身体をも吹き飛ばした。

 

 

リーネ LP6000→250

 

 

「っ‼︎ああああああ‼︎」

 

闇の衝撃波によって、リーネの身体は病室の窓を突き破り、病室の外に吹き飛ばされる。

 

ここは病院の3階。

 

ここから落ちるのは流石に洒落になってないですよ⁉︎

 

「天羽⁉︎」

 

「リーネさん⁉︎」

 

「っ、ヴェルズウロボロス‼︎」

 

『ヨセカマ』

 

病院の窓から紐無しバンジーをしそうになったところを、窓の外で実体化した闇ちゃんのヴェルズウロボロス君がリーネが着ていたスーツの襟を咥えて、紐無しバンジーを防いでくれた。

 

「ふぅー流石に死ぬかと思ったのです。ありがとうなのです、ヴェルズウロボロス君」

 

『ヨシヌ ウヨコ ノウオウヨジ イヨ』

 

「わお、凄く距離感を感じる呼ばれ方なのです。間違ってはないですけど」

 

リーネはヴェルズウロボロス君に放って貰って病室の中に舞い戻る。

 

心配そうに駆け寄ってくる闇ちゃん達を、リーネは身体を起こしながら手で制した。

 

「大丈夫なのです‼︎これぐらいでへこたれてたら、遊騎君に笑われちゃうのです‼︎閃刀姫ーカガリが破壊された時に墓地にいる閃刀姫ーレイの効果発動なのです‼︎このカードが墓地に存在する状態で、自分フィールドの表側表示の閃刀姫リンクモンスターが相手の効果でフィールドから離れた場合、または戦闘で破壊された場合にこのカードを特殊召喚するのです‼︎」

 

 

〈閃刀姫ーレイ〉☆4 戦士族 闇属性

DEF1500

 

 

エクスカリバーが放った闇の衝撃波が晴れるとボロボロになり、刀で身体を支えながらもフィールドに立っているレイの姿があった。

 

『無駄な足掻きだな。ダブルアップチャンスの効果が切れることでHーC エクスカリバーの攻撃力が元に戻る』

 

 

HーC エクスカリバー

ATK16000→8000

 

 

『No.39 希望皇ホープで閃刀姫ーレイを攻撃‼︎ホープ剣スラッシュ‼︎』

 

「自身をリリースして閃刀姫ーレイの効果発動なのです‼︎EXデッキから閃刀姫モンスター1体をEXモンスターゾーンに特殊召喚するのです‼︎この効果は相手ターンでも発動できるのです‼︎」

 

ホープが剣をレイに振りかざそうとしたところで、レイの正面に巨大なサーキットが現れ、ホープがサーキットに弾かれて吹き飛ばされる。

 

レイの身体をサーキットを通過すると、今度は重機のように巨大な4つの機械の手を装備し、橙色の鎧を身に纏ったレイの姿が現れた。

 

「地盤の如き揺るぎない豪腕なのです‼︎リンク1‼︎閃刀姫ーカイナ‼︎」

 

 

〈閃刀姫ーカイナ〉LINK1 機械族 地属性

ATK1500 ↘︎

 

 

『地の閃刀姫………ソイツは………』

 

「閃刀姫-カイナの効果発動‼︎フリスト‼︎このカードが特殊召喚に成功した場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象としてそのモンスターは相手ターン終了時まで攻撃できなくなるのです‼︎対象は勿論、No.39 希望皇ホープなのです‼︎」

 

弾き飛ばされたホープが再び剣を構えてカイナに迫る。

 

しかし、そんなホープの身体をカイナは4つの機械の手を使って拘束し、完全に封じ込めた。

 

『チッ、どこまでも足掻いてくれる。メインフェイズ2、カードを2枚伏せてターンエンド。エンドフェイズ、ヒロイックチャンスの効果が消え、HーC エクスカリバーの攻撃力は元に戻る』

 

 

HーC エクスカリバー

ATK8000→2000

 

 

リーネ LP250 手札1

 

ーーーーー ー

ーー□ーー

☆ ○

ーー○ーー

ー▲▲▲ー ー

 

マリシャス LP2000 手札0

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「はぁ………停学、か………」

 

再び連れていかれた生徒指導室。

 

校長までもが関わってきた話し合いの末、俺は一定期間停学することになった。

 

あれだけのことをしておいて停学ならまだいい方なのだろう。

 

いっそのこと退学にしてくれた方が楽だったのにな。

 

「………なーんてな。それじゃあ意味ないっての」

 

俺は首を振って自分が考えたことを頭から追い出す。

 

デュエルアカデミアを退学ってことはプロ決闘者の道を諦めるってこと。

 

それは死んだ両親の願いを俺自身が踏みにじるということだ。

 

そんなこと出来るわけがない………だけど………

 

俺は自分のデュエルディスクにセットされあデッキを取り出す。

 

「今の俺に………コイツらと一緒に戦う資格、あるのかな」

 

そう俺が呟いた時だった。

 

「なら、そいつは俺が貰ってやるよ‼︎」

 

「っ‼︎」

 

後ろから衝撃が走り、俺の身体は地面を転がり、手に持っていたデッキが奪われる。

 

何が起こったか混乱する俺を尻目に、俺を突き飛ばした男が俺のデッキを奪って走り出した。

 

「っ‼︎待ちやがれ‼︎」

 

俺も慌てて身体を起こして走りはじめる。

 

しばらく追いかけていると、男は朝通った公園に入っていくのが見えた。

 

俺が公園に足を踏み入れると公園の奥には俺から奪ったデッキを眺めながらニヤニヤと笑う今朝俺に喧嘩を売ってきた男達がいた。

 

「よう、やっときたか。待ちくたびれたぜ」

 

「テメェら、今朝の………」

 

「今朝はよくもやってくれたな。リベンジマッチと行こうじゃねぇか」

 

「人のデッキを奪っておいてふざけたことを‼︎」

 

「あれあれーデッキがねぇの?じゃあ俺の不戦勝だな‼景品として︎このデッキは頂いてくぜ‼︎」

 

「っ‼︎テメェ‼︎」

 

俺が男に掴み掛かろとすると、もう1人の男に蹴りを入れられ、俺の身体が地面を転がる。

 

「ぐっ………」

 

「暴力はいけないな〜悔しかったら誰かお友達でも連れてきて代わりにデュエルをしてもらえよ‼︎お前にそんな友達なんているわけねぇけどな‼︎ぎゃはははは‼︎」

 

そういって男達が俺を嘲笑いながら俺の身体を蹴り飛ばす。

 

ああ、そんなこと分かってるさ。

 

俺なんかを助けてくれる奴がいないことぐらい。

 

それでも、俺はーーー

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「残りライフは250で手札もたったの1枚。いわゆる崖っぷちって奴なのですね」

 

そのうえマリシャスシードにはセットカードが3枚ある上に防御効果を持ったホープもいるなんて、本当にやれやれなのですよ。

 

でもーーー

 

『………オマエ、気が狂ったか?何故この状況で笑っていられる?』

 

「こんな状況だから、なのですよ。辛い時ほど笑うのです‼︎」

 

リーネは満面の笑みでマリシャスシードに応える。

 

「辛気臭い顔をしてても勝利の女神は微笑んでくれないのです‼︎それに………リーネにはいつもへらへらと笑っててほしいって言ってくれる人もいるですからね」

 

目を閉じれば浮かんでくる。

 

あの病室で、なんて言葉をかければいいか分からなかったリーネに、冗談混じりでそう言って笑ってくれた遊騎君の姿が。

 

あの笑顔を取り戻すためにも、リーネは笑っていないといけないんです‼︎

 

「リーネが笑っていられるためにも、あなたを刈り取らせて貰うのです‼︎」

 

『何故だ?何故オマエはこの男を助けようとする?所詮はただの他人だろう?』

 

マリシャスシードは心底不可解そうな表情を浮かべる。

 

でも、その言葉をリーネは否定する。

 

「他人じゃないのです‼︎」

 

『何?』

 

「遊騎君は………辞めた今でも、リーネにとって我が社の大切な社員なのです‼︎リーネにとって、社員は家族なのです‼︎闇ちゃんも、炎君も、治虫君も、みんなリーネの家族なのです‼︎」

 

『………何を言っている?そんなもの、ただのまやかし。ただの家族ごっこだろう?』

 

「確かにあなたの言う通り、側から見たら家族ごっこかも知れないです。それでも、この繋がりはリーネにとって、本当の家族と同じぐらい大切な繋がりなのです‼︎この繋がりだけは、誰にも否定させないのです‼︎リーネのターン、ドローなのです‼︎魔法カード、貪欲な壺‼︎」

 

『何⁉︎この状況でドローカードを引き当てたというのか⁉︎』

 

「墓地に存在する閃刀姫ーシズク、閃刀姫ーハヤテ、閃刀姫ーカガリをEXデッキに、浮幽さくら、閃刀姫ーレイをデッキに戻してシャッフルするのです‼︎」

 

リーネは目を閉じて、握るカードに力を込める。

 

頼むのです、リーネのデッキ。

 

遊騎君を………リーネの大切な家族を、弟君を守らせて欲しいのです‼︎

 

「そして、カードを2枚ドローするのです‼︎」

 

リーネが勢いよくデッキからカードをドローする。

 

その瞬間、リーネの耳に待ち望んでいた声が聞こえてきたのです。

 

『リーちゃん、お待たせ』

 

「‼︎………もう、遅いのですよ‼︎」

 

『ごめんなさい』

 

「仕方がないですね。それでも、来てくれたので許してあげるのです‼︎その分、遊騎君を助けるために力を貸して貰うのですよ‼︎」

 

『うん。精一杯、頑張る』

 

そんな声が聞こえ、リーネは思わず笑みを浮かべる。

 

これで全ての準備が整ったのです。

 

「さあて、いっちょやらかすのですよ‼︎リーネも墓地に存在するシャッフルリボーンの効果発動なのです‼︎フィールドの閃刀姫-カイナをEXデッキに戻し、カードを1枚、ドローするのです‼︎そして、刀術式起動なのです‼︎戦場へと続くサーキット‼︎」

 

『またリンク召喚か………芸のない』

 

リーネが正面に手をかざし、再び巨大なサーキットを出現させる。

 

「召喚条件は炎属性以外の閃刀姫モンスター1体‼︎リーネは閃刀姫トークンをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」

 

レイの立体映像がサーキットに吸い込まれる。

 

そしてサーキットから再び現れるのは真っ赤な鎧を身に纏った白髪の少女。

 

「リンク召喚‼︎再燃する業火の如き閃滅の刃なのです‼︎リンク1‼︎閃刀姫-カガリ‼︎」

 

 

〈閃刀姫-カガリ〉LINK1 機械族 炎属性

ATK1500 ↖︎

 

 

「閃刀姫-カガリの効果発動‼︎アルヴィト‼︎リーネは墓地から閃刀起動-エンゲージを手札に加えるのです‼︎そして再び魔法カード、閃刀起動-エンゲージなのです‼リーネはデッキから閃刀術式-アフターバーナーを手札に加えてさらに1枚ドローなのです‼︎魔法カード、閃刀術式-アフターバーナー発動なのです‼︎自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象としてそのモンスターを破壊し、その後、自分の墓地に魔法カードが3枚以上存在する場合、フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊できるのです‼︎破壊するモンスターはNo.39 希望皇ホープなのです‼︎」

 

『何だと⁉︎』

 

「何もないようなので、ついでに中央のセットカードも破壊させて貰うのです‼︎」

 

ホープに向かってカガリが刀の形をした8つの炎を飛ばし、ホープを斬り裂き、その背後にあったセットカードも破壊する。

 

これで手札の閃刀魔法も使い切ったですし、お膳立ては済んだのです。

 

さあ、あなたの出番なのですよ‼︎

 

「派手に行くのです‼︎自分の墓地にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できるのです‼︎」

 

『っ⁉︎その召喚条件………閃刀姫じゃないモンスターか⁉︎』

 

驚愕するマリシャスシードに満面の笑みで答えながら、リーネはそのカードをデュエルディスクにセットする。

 

すると、天空より鳥をモチーフとした帽子を被った天使がフィールドに舞い降りた。

 

「光と闇を番う天翔ける守護者の牙‼︎ガーディアンエアトスなのです‼︎」

 

 

〈ガーディアンエアトス〉☆8 天使族 風属性

ATK2500

 

 

『私の出番。それじゃあ、始めよう』

 

『っ‼︎ソイツ、精霊か‼︎』

 

「そうなのです‼︎この子が遊騎君を救うのです‼装備魔法、︎女神の聖剣-エアトスをガーディアンエアトスに装備するのです‼︎装備モンスターの攻撃力は500ポイントアップするのです‼︎」

 

 

ガーディアンエアトス

ATK2500→3000

 

 

天空から聖剣が舞い降りて、エアトスの手元に収まる。

 

「そしてガーディアンエアトスの効果発動なのです‼︎ハイリヒグランツ‼︎このカードに装備された自分フィールドの装備魔法カード1枚を墓地へ送り、相手の墓地のモンスターを3体まで対象としてそのモンスターを除外し、このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果で除外したモンスターの数×500ポイントアップするのです‼︎リーネが対象にするのはあなたの墓地に眠る、H・C サウザンドブレード、H・Cダブルランス、No.39 希望皇ホープ‼︎」

 

『なっ⁉︎っ、させるか‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動、エクシーズリボーン‼︎自分の墓地のエクシーズモンスター1体を対象としてそのモンスターを特殊召喚し、このカードをオーバーレイユニットとする‼︎甦れ、No.39 希望皇ホープ‼︎』

 

 

〈No.39 希望皇ホープ〉★4 戦士族 光属性

ATK2500

 

 

フィールドに再びホープが姿を現わす。

 

逃げられちゃったですけど、それでも問題はないのです‼︎

 

「墓地に眠りし穢れた魂を助けてあげるのです、ガーディアンエアトス‼︎」

 

『任せて』

 

エアトスが聖剣を掲げると、墓地に眠っていたサウザンドブレードとダブルランスから闇の瘴気が溢れ出し聖剣に吸収されていく。

 

『まさか、聖剣の力で呪いを浄化して‼︎』

 

「そのモンスター達も、その身体も、遊騎君のものなのです‼︎だから耳を揃えて返して貰うのです‼︎」

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「そこの子達、何をやってるですか‼︎」

 

突然俺の背後から誰かの声が聞こえた。

 

声の主は俺に近づいて俺の身体を起こしながら優しい声をかけてくれる。

 

「何があったのです⁉︎あなた達この子に何をしたですか⁉︎」

 

「アンタは………?」

 

そこにいたのは腰まで届く長い金髪をポニーテールにした、緑のパーカーを着た女性。

 

くりっとした大きな青い瞳に、スラリとした手足と白い肌、豊満な胸部。

 

どこをとっても人の目を引いてしまうようなとても綺麗な人だった。

 

「そいつとこのデッキを賭けてデュエルすることになったんだが、そいつがデッキを持って無くてな。力強くで奪おうとしてきやがったから突き飛ばしただけだよ」

 

「下手な誤魔化しはいらないのです。それはこの子のデッキですよね?この子に返すのです‼︎」

 

「うるせぇ‼︎人殺しからデッキを奪って何が悪いんだよ‼︎それとも、そいつの代わりにアンタがデュエルすんのか?その場合、アンタのデッキも賭けて貰うがな‼︎」

 

「何ですと⁉︎」

 

「元々テメェは部外者なんだ‼︎覚悟もねぇ奴は引っ込んでろ‼︎」

 

「そうだ‼︎部外者は引っ込んでろ‼︎」

 

その言葉を聞いて、女性は顔を顰める。

 

当たり前だ。

 

俺のデッキだけならともかく、自分のデッキがかかってまで彼女がデュエルを受ける義理なんてない。

 

俺と彼女は完全な他人なのだ。

 

そんな他人の為に自分のカードを賭けることなんてあるわけないし、する必要もない。

 

そこまで考えたところで俺の耳に、想定外の言葉が聞こえてきた。

 

「上等なのです‼︎勝てたらデッキでも何でも持ってくといいのです‼︎その代わり、こちらが勝ったらこの子のデッキは返して貰うのです‼︎」

 

「………はっ?」

 

女性の切った啖呵に、俺は思わず耳を疑う。

 

「アンタ、なんで………」

 

「デッキは決闘者の魂です。その魂を奪われたあなたを、お姉さんはほっておくことはできないのです」

 

「いや、そもそも俺とアンタは他人で‼︎アンタのデッキまで賭ける必要なんて………‼︎」

 

「あなたの魂を賭けて貰うのです。それぐらいの代償を払わないと、お姉さんも立つ瀬がないのです‼︎それに、あなたは今戦えないんですよね?」

 

真っ直ぐと俺の目を見て尋ねてくる女性の言葉に、俺は思わず目を逸らす。

 

そんな俺に、女性は優しく微笑んだ。

 

「なら、戦えないあなたの代わりに、お姉さんが戦ってあげるのです‼︎こう見えて、お姉さんは凄く強いですから、心配なんていらないのですよ‼︎」

 

「いや、だけど………‼︎」

 

それでも何とかこの女性を巻き込むまいとすする俺の頭を、女性は優しく撫でると満面の笑みを浮かべた。

 

「大丈夫なのです‼︎お姉さんにドドーンとお任せなのです‼︎」

 

「えっ………や………」

 

その優しく、綺麗な笑みに、俺は何も言えなくなる。

 

そんな俺に構わず、女性はデュエルディスクを起動して、デッキを奪った男に構えた。

 

「さあて、それじゃあやるとするのです‼︎」

 

「………テメェ、正気か?」

 

その条件を呑んでくるとは思わなかったのだろう。

 

男が理解出来ないものを見るような目で女性を見る。

 

それに対して女性は不敵に笑って見せた。

 

「ふふん、勿論正気なのです‼︎さぁ、人の魂がこもったデッキを奪う悪い子さんにはお姉さんがお仕置きしちゃうのです‼︎」

 

そうして女性と男のデュエルが始まる。

 

その光景を見ながら、俺はどこか妙な感覚を覚える。

 

「知っている………俺は、この光景を知っている気がする。あの女性を………リーネを‼︎」

 

リーネの名前を口にした瞬間、目の前の景色にガラスが割れるかのようにひびが入る。

 

そして、ひび割れた風景が全て壊れると、俺の耳にあの底なしに明るい………優しい声が届いた。

 

「戻ってくるのです、遊騎君‼︎」

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

『ぐっ‼︎があっ‼︎馬鹿な、衰弱して、死にゆくはずだったこの男の自我が、目覚めて‼︎』

 

リーネの呼びかけに、マリシャスシードが突然苦しみ始める。

 

そして、マリシャスシードの口から聞き覚えがある、リーネが聞きたかった声が聞こえてくる。

 

「………ったく、うるせえっての、アホの子が。おちおち眠ることもできねぇじゃねぇか」

 

「っ‼︎えへへ、もう、アホの子は酷いのですよ、遊騎君‼︎」

 

遊騎君の言葉に、リーネは思わず笑みを浮かべてしまう。

 

そして遊騎君が目覚めたことでマリシャスシードは焦り始める。

 

『馬鹿な‼︎クソ、もう一度コイツを眠らせてーーー』

 

「………ぐっ、悪りぃ、リーネ。よく、状況は分かんねぇけどさーーー頼んだ」

 

「‼︎えへへ、大丈夫なのです‼︎お姉さんにドドーンとお任せなのです‼︎」

 

リーネがそういうのと同時に、エアトスが手にしていた聖剣がサウザンドブレード達の闇の瘴気を吸収しきり、砕け散る。

 

しかし、浄化されたサウザンドブレード達の魂がエアトスに吸い込まれ、力を与える。

 

 

ガーディアンエアトス

ATK3000→2500→3500

 

 

「そして閃刀姫-カガリの永続効果‼︎ヒルド‼︎今のリーネの墓地には32枚の魔法カードがあるのです‼︎なので攻撃力は………」

 

 

閃刀姫-カガリ

ATK1500→4700

 

 

『バカな………攻撃力4700だと⁉︎』

 

「バトルフェイズなのです‼︎ガーディアンエアトスでNo.39 希望皇ホープを攻撃‼︎ベーテンリート‼︎」

 

『私の全部、リーちゃんに捧げて歌うよ』

 

エアトスが綺麗な声色で祈りの歌を絶唱し、その音色が波動となってホープを襲う。

 

『ガーディアンエアトスでNo.39 希望皇ホープを無力化し、HーC エクスカリバーを閃刀姫-カガリで攻撃して勝つつもりか‼︎………だが、そうはいくか‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動、アームズコール‼︎』

 

「っ⁉︎」

 

『デッキから装備魔法カード1枚を手札に加え、その後、そのカードを装備可能な自分フィールドのモンスター1体を選び、そのモンスターに装備できる‼︎オレはこの効果でデッキから装備魔法、月鏡の盾を手札に加え、No.39 希望皇ホープに装備する‼︎』

 

ホープの手元に異次元から満月のような綺麗な金色の輝きを放つ盾が現れ、エアトスの祈りの歌を受け止める。

 

『そして装備魔法、月鏡の盾の効果発動‼︎このカードの装備モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時のみ、装備モンスターの攻撃力・守備力は、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力と守備力の内、高い方の数値を+100ポイントアップした数値になる‼︎』

 

「何ですと⁉︎」

 

『ダメージ計算時、月鏡の盾によりNo.39 希望皇ホープはガーディアンエアトスの攻撃力を+100ポイントアップした数値になる‼︎」

 

 

No.39 希望皇ホープ

ATK2500→3600

 

 

月鏡の盾が輝くと、エアトスの祈りの歌が波動となって跳ね返され、エアトスが体勢を崩す。

 

『迎え撃て、No.39 希望皇ホープ‼︎ホープ剣ムーンミラースラッシュ‼︎』

 

体勢が崩れたエアトスをホープが跳躍して剣で斬り裂き、エアトスは勢いよく地面に叩きつけられた。

 

 

リーネ LP250→150

 

 

フィールドを爆煙が包み、それを見て、マリシャスシードは高笑いをする。

 

『クックック、ハーハッハッハ‼︎これでオマエの精霊は葬った‼︎閃刀姫ーカガリの攻撃もNo.39 希望皇ホープのムーンバリアで届かない‼︎これでーーー』

 

「………高笑いを上げているところ悪いのですが、あなたの敗北に変わりはないのです」

 

『ーーーは?』

 

リーネの言葉に、マリシャスシードの表情が固まる。

 

そんなマリシャスシードに、リーネは1枚のカードを掲げた。

 

「このカードはガーディアンエアトスが戦闘・効果で破壊され自分の墓地へ送られた場合に手札から特殊召喚するのです‼︎」

 

『何⁉︎ガーディアンエアトスを破壊することで現れるモンスターだと⁉︎』

 

フィールドを包んでいた爆煙が晴れると、そこに佇む影が1つ。

 

そこにいたのは白い仮面をつけた漆黒の鎧に身を包んだ守護者。

 

「光と闇を番う彷徨う魂の守護者‼︎ガーディアンデスサイスなのです‼︎」

 

 

〈ガーディアンデスサイス〉☆8 悪魔族 闇属性

ATK2500

 

 

『武装、完了』

 

「ガーディアンデスサイスの効果発動なのです‼︎トートズィッヒェル‼︎このカードが特殊召喚に成功した時、デッキから死神の大鎌-デスサイス1枚をこのカードに装備するのです‼︎」

 

地底から巨大な鎌がデスサイスの手元に収まるように現れる。

 

「そして装備された死神の大鎌-デスサイスの効果なのです‼︎このカードはガーディアンデスサイスにのみ装備でき、装備モンスターの攻撃力は、お互いの墓地のモンスターの数×500ポイントアップするのです‼︎」

 

『お互いの墓地のモンスターの数×500ポイントアップする装備魔法、だと⁉︎』

 

「リーネの墓地にいるモンスターはガーディアンエアトスなのです‼︎」

 

『オ、オレの墓地にはH・Cダブルランスが1体』

 

「合計2体なので攻撃力は1000ポイントアップするのです‼︎」

 

 

ガーディアンデスサイス

ATK2500→3500

 

 

「閃刀姫-カガリでHーC エクスカリバーを攻撃なのです‼︎」

 

「くっ………No.39 希望皇ホープの効果発動‼︎ムーンバリア‼︎オーバーレイユニットを1つ取り除き、その攻撃を無効にする‼︎』

 

エクスカリバーに斬りかかろとするカガリの刀をホープが翼を盾に変えて防ぐ。

 

「これでもう攻撃は防げないのです‼︎」

 

『だが、ガーディアンデスサイスの攻撃力は3500‼︎それだけならまだオレのライフを削りきることはーーー』

 

「それはどうかな?なのです‼︎」

 

『っ‼︎』

 

「残念ですが、リーネはそこまで甘くないのです‼︎ガーディアンデスサイスは相手の魂を刈り取る刃‼︎その果てしなき斬撃を防ぐ術など存在しないと知るのです‼︎ガーディアンデスサイスでHーC エクスカリバーを攻撃なのです‼︎攻撃宣言時、速攻魔法、旗鼓堂々なのです‼︎」

 

『っ⁉︎そのカードは‼︎』

 

「このターン、自分はモンスターを特殊召喚できなくなる代わりに、自分の墓地の装備魔法カード1枚をその正しい対象となるフィールド上のモンスターに装備するのです‼︎ただしこの効果で装備した装備魔法カードはエンドフェイズ時には破壊されるのです。リーネは墓地から装備魔法、巨大化をガーディアンデスサイスに装備するのです‼︎」

 

『なっ⁉︎』

 

「効果の説明は不要ですよね?リーネのライフは150、あなたのライフは2000‼︎よってガーディアンデスサイスの攻撃力は倍になるのです‼︎」

 

デスサイスが大鎌に石版のような物を取りつけると、大鎌が巨大化する。

 

 

ガーディアンデスサイス

ATK2500→5000→6000

 

 

『攻撃力、6000だと⁉︎』

 

Das ist das Ende( これで終わりなのです)‼︎斬り刻んであげるのです、ガーディアンデスサイス‼︎シュテルプリヒシュナイデン‼︎」

 

『マスト………ダイ‼︎』

 

デスサイスは巨大化した鎌を高速回転させながら投擲し、その大鎌でエクスカリバーを斬り裂き、そのままマリシャスシードに突き刺さる。

 

『ぐあぁぁぁぁぁぁ‼︎』

 

その瞬間、遊騎君の身体に根付いていたマリシャスシードが切断され、遊騎君の身体から勢いよく吐き出された。

 

 

マリシャス LP2000→0

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「うっ、ぐっ………」

 

「おっととと、大丈夫なのですか、遊騎君?」

 

「………なんとかな」

 

悪夢から解き放たれ、痛む身体に病室の床に倒れ込みそうになったところをリーネに抱きとめられる。

 

思わず安心して、気を抜きそうになった俺の耳に炎さんの焦ったような声が響く。

 

「結束‼︎天羽‼︎まだだ‼︎」

 

「っ‼︎」

 

「やおいかんです‼︎ガーディアンデスサイス‼︎」

 

俺の身体から吐き出された呪いの塊が、勢いよく突撃してきて俺の腕に装着されていたデュエルディスクを弾き飛ばす。

 

動き回る呪いの塊にリーネが呼び出していたデスサイスが大鎌を振るうが、呪いの塊は大鎌を躱して弾き飛ばされた俺のデュエルディスクを呑み込んだ。

 

「っ、俺のデュエルディスクが‼︎」

 

「何をする気なのです⁉︎」

 

呪いの塊に呑み込まれたデュエルディスクが、宙に浮かび上がり、禍々しく輝く。

 

すると、呪いの塊が変化していき、俺のデュエルディスクを装着した身体が闇に塗り潰された漆黒の人型に変化した。

 

漆黒の人型は、ノイズの混じった電子的な、それでいてどこか聞き覚えのある声で話し始める。

 

『クッ………まだダ‼︎』

 

「この声………俺の声、なのか?」

 

「まさか………遊騎君の長年使ってきたデュエルディスクに宿る思い出を、遊騎君の記憶の代わりに触媒として実体化したですか⁉︎」

 

『まだ………オレは消えネェ‼︎消えてタマルカァァァ‼︎』

 

そんな唸り声をあげたかと思うと呪いの塊は割れた窓から外に飛び出していった。

 

それを見て、慌てて闇が窓に近づいて外を見たが、悔しそうに首を振った。

 

「っ、逃げられた………」

 

「ちょっ⁉︎ここ3階よ⁉︎」

 

「相手は実体化しているとはいえ精霊と同じ身体が霊気でできた霊体だ。物理的に不可能なことなど、奴らには関係ない」

 

正直意識が戻ったばかりで状況はよく分からないが、それでも分かっていることが1つある。

 

「俺のデッキとデュエルディスク、奪われちまった………」

 

ーーーーー結束 遊騎はデュエルをする手段を失ったということだ。




次回予告

激闘を終え、意識を取り戻した遊花は遊騎に自身の思いを伝え合い、改めて幻騎の思惑を砕く決意をする。
入院中の遊騎に代わり、遊花は遊騎の新しいデュエルディスクを手に入れ、新たなデッキ作りの手伝いをするため、リーネと共に『Natural』に向かう。
訪れた『Natural』で、遊花は島に謎のカード達を手渡され、リーネのアドバイスを受けながらそのカード達を組み込んだ自身の新たなデッキを作ることになる。
新たなデッキを制作していく最中、遊花はリーネに遊騎とリーネの出会いについて尋ねる。

次回 遊戯王Trumpfkarte
『見守る者達』


次回は会話回。
遊花、そしてリーネ視点の予定です。
今回の話の途中に出ていた遊騎の過去話のリーネ視点です。
一応デュエルもあると思います。
次回をお楽しみに。


そして今回はリーネのデュエル回でした。
現れたリーネの精霊、ガーディアンエアトス。
元々リーネのデッキは装備魔法が多く、魔法カードで戦うのでエアトスは割と出しやすいです。
デスサイスはエアトスを出した後、閃刀姫を連続リンク召喚させれば墓地にモンスターが増えるので結構高打点を引き出せます。
閃刀姫との共通点は1人で戦うところですね。


それじゃあ今回はここまで。
皆さん、今回の新弾はいかがでしたか?
私はとりあえず2箱と当たらなかったウィンドペガサスを単品買いして@イグニスターを作りました。
やっぱり色んな召喚法が使えるのは楽しいです。
そして私が今回1番注目してるのは脆刃の剣。
装備モンスターの攻撃力を2000ポイントアップさせ、装備モンスターの戦闘で発生する戦闘ダメージはお互いのプレイヤーが受けるという装備魔法。
攻撃力を2000ポイントもアップさせ、相手に与える戦闘ダメージを自分でも受けれるなんて、私的には色々悪用できる装備魔法が増えるのはとても嬉しいのです。
スペシャルパックは超融合とズァーク。
うーむ、安定のラスボス感………
それでは今回はここでお開き。
ではでは〜
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