遊戯王Trumpfkarte   作:ブレイドJ

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遊花のデュエル回・後編です‼︎
今回は遊花が新しい切り札を手に入れる?





第8話 絶望の後に来るもの

 

 

 

遊花 LP1900 手札2

 

ーー▲▲ー ー

ーー◾︎ーー

ー ☆

ーー☆ーー

ーー△△ー ー

 

顕示 LP2500 手札0

 

 

「ふっ、防戦一方か。私のターン、ドロー‼︎漆黒のトバリの効果発動、ドローしたカードはハックワーム‼︎墓地へ送って1ドロー‼︎さらに漆黒のトバリの効果、ドローしたカードはオルフェゴールディヴェル‼︎墓地へ送って1ドロー‼︎………今回はこれで終わりか。私は墓地に存在するオルフェゴールスケルツォンの効果発動‼︎墓地のこのカードを除外し、オルフェゴールスケルツォン以外の自分の墓地のオルフェゴールモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。ただし、この効果の発動後、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしか特殊召喚できない。私は墓地からオルフェゴールカノーネを特殊召喚する‼︎」

 

 

〈オルフェゴールカノーネ〉☆1 機械族 闇属性

DEF1900

 

 

「さらに墓地のオルフェゴールディヴェルの効果発動‼︎墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキからオルフェゴールディヴェル以外のオルフェゴールモンスター1体を特殊召喚する。ただし、この効果の発動後、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしか特殊召喚できない。私はデッキからオルフェゴールスケルツォンを特殊召喚‼︎」

 

 

〈オルフェゴールスケルツォン〉☆3 機械族 闇属性

DEF1500

 

 

再び現れるカノーネとスケルツォン。

 

そして顕示が手をかざしサーキットが現れる。

 

「動き出せ‼︎狂気が奏でるサーキット‼︎召喚条件はオルフェゴールモンスターを含むモンスター2体‼︎私はオルフェゴールカノーネ、オルフェゴールスケルツォンリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」

 

カノーネとスケルツォンがサーキットに吸い込まれる。

 

そして代わりに現れるのはロンギルスに似た人型だがロンギルスと違って身体が完全に機械で出来ている少女。

 

「リンク召喚‼︎狂気に造られた悲しき巫女‼︎リンク2‼︎オルフェゴールガラテア‼︎」

 

 

〈オルフェゴールガラテア〉LINK2 機械族 闇属性

ATK1800 ↙︎↗︎

 

 

「オルフェゴールガラテアの効果発動‼︎ルナティックセレナーデ‼︎除外されている自分の機械族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻し、その後、デッキからオルフェゴール魔法・罠カード1枚を自分フィールドにセットできる。私は除外されているオルフェゴールスケルツォンをデッキに戻し、デッキからフィールド魔法、オルフェゴールバベルをセットし、そのまま発動‼︎」

 

顕示がフィールド魔法を発動すると辺りの風景が海上に立っている塔に変わる。

 

「オルフェゴールバベルの効果、このカードがフィールドゾーンに存在する限り、元々のカード名にオルフェゴールを含む、自分フィールドのリンクモンスター及び自分の墓地のモンスターが発動する効果は、相手ターンでも発動できる効果になる‼︎」

 

「っ‼︎そんな⁉︎」

 

つまりオーケストリオンやまだ発動していないロンギルスの効果も相手ターンに使えるようになってしまう。

 

そうなると、私のリンクモンスターは封じられたようなものだ。

 

そして私のデッキはリンクモンスターがいないと攻撃力が足りない。

 

このままじゃ、そう遠くない内にやられる。

 

「バトル‼︎オルフェゴールロンギルスでセットモンスターを攻撃‼︎エレジーロンギヌス‼︎」

 

「セットモンスターはサクリボー」

 

 

〈サクリボー〉☆1 悪魔族 闇属性

DEF200

 

 

サクリボーはロンギルスの槍に貫かれて破壊される。

 

「終わりだ‼︎オルフェゴールオーケストリオンでダイレクトアタック‼︎スロウスカプリッチオ‼︎」

 

オーケストリオンのパイプから数えきれない程のレーザーが撃ち出され、私の身体を貫こうとする。

 

でも、まだ‼︎

 

「手札から、クリボーの効果発動‼︎ダークエンヴェロップ‼︎相手モンスターが攻撃した場合、そのダメージ計算時にこのカードを手札から捨てて発動できる。その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる‼︎」

 

「まだ粘るか………」

 

クリボーが私の代わりにレーザーに貫かれる。

 

「オルフェゴールガラテアでダイレクトアタック‼︎レクイエムサイズ‼︎」

 

「きゃあ‼︎」

 

 

遊花 LP1900→100

 

 

ガラテアの鎌に切り裂かれ、とうとう私のライフが100になる。

 

それを見て顕示が私に向けて嘲笑を浮かべる。

 

「ふっ………流石は卑怯者のファンだ。生き汚いものだな」

 

挑発するために言ったのか、それとも本当に勝ち誇って言っているのかは分からない。

 

だけど、その程度の言葉じゃ、デュエル中の私には響かない。

 

私は昨日見た師匠の姿を思い出し、その言葉を口に出す。

 

「………好きに言ってろ、です」

 

師匠だって、自分に対する嘲笑なんて気にもしなかった。

 

だったら、私だってその程度で乱されたりしない。

 

ライフだって、まだ100残っている。

 

まだ負けてない。

 

負けてないなら、諦める理由になんかならない‼︎

 

「チッ………気に入らんな。まだ諦めていないと見える。リンク状態になっているオルフェゴールガラテアは戦闘破壊されない。さらにオルフェゴールバベルの効果でオルフェゴールロンギルスの除外されている自分の機械族モンスター2体をデッキに戻し、リンク状態の相手モンスター1体を選んで墓地へ送ることが出来る。ターンエンドだ」

 

 

遊花 LP100 手札2

 

ーー▲▲ー ー

ーーーーー

ー ☆

ーー☆☆ー

ーー△△ー ▽

 

顕示 LP2500 手札0

 

 

「私のターン、ドロー‼︎」

 

手札には未だにこの状況をどうにかするカードはない。

 

でも、まだ諦めるのには早過ぎる。

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

「ふっ、ついにモンスターすら出せなくなったか‼︎オルフェゴールガラテアの効果発動‼︎ルナティックセレナーデ‼︎除外されている自分の機械族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻し、その後、デッキからオルフェゴール魔法・罠カード1枚を自分フィールドにセットできる。私は除外されているオルフェゴールディヴェルをデッキに戻し、デッキから魔法カード、オルフェゴールプライムをセットする」

 

 

遊花 LP100 手札3

 

ー▲▲▲ー ー

ーーーーー

ー ☆

ーー☆☆ー

ーー△△▲ ▽

 

顕示 LP2500 手札0

 

 

「私のターン、ドロー‼︎私のターン、ドロー‼︎漆黒のトバリの効果発動、ドローしたカードはデスペラードリボルバードラゴン‼︎墓地へ送って1ドロー‼︎これで十分だ。魔法カード、オルフェゴールプライム‼︎手札のオルフェゴールディヴェルを墓地に送り2枚ドローする‼︎………クックック、貴様には絶望を教えてやろう‼︎」

 

「っ………」

 

何か、来る‼︎

 

「まずはオルフェゴールガラテアの効果発動‼︎ルナティックセレナーデ‼︎除外されている自分の機械族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻し、その後、デッキからオルフェゴール魔法・罠カード1枚を自分フィールドにセットできる。私は除外されているリボルバードラゴンをデッキに戻し、デッキから永続罠、オルフェゴールコアをセットする。そして私は墓地に存在するオルフェゴールスケルツォンの効果発動‼︎墓地のこのカードを除外し、オルフェゴールスケルツォン以外の自分の墓地のオルフェゴールモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。ただし、この効果の発動後、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしか特殊召喚できない。私は墓地からオルフェゴールカノーネを特殊召喚する‼︎」

 

 

〈オルフェゴールカノーネ〉☆1 機械族 闇属性

DEF1900

 

 

「さらに墓地のオルフェゴールディヴェルの効果発動‼︎墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキからオルフェゴールディヴェル以外のオルフェゴールモンスター1体を特殊召喚する。ただし、この効果の発動後、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしか特殊召喚できない。私はデッキからオルフェゴールスケルツォンを特殊召喚‼︎」

 

 

〈オルフェゴールスケルツォン〉☆3 機械族 闇属性

DEF1500

 

 

何度目かもう分からないぐらいに現れるカノーネとスケルツォン。

 

でも、ここまでならさっきと変わらない。

 

そして顕示が手をかざしサーキットが現れる。

 

「動き出せ‼︎狂気が奏でるサーキット‼︎召喚条件はオルフェゴールモンスターを含むモンスター2体以上‼︎私はオルフェゴールスケルツォンとオルフェゴールカノーネ、そしてをオルフェゴールガラテアを2体分にしてリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎」

 

カノーネとスケルツォン、そしてガラテアが2体に分身してサーキットに吸い込まれていく。

 

リンク4………ということはまさか‼︎

 

「リンク召喚‼︎再び現れろ‼︎殺戮を為す狂気のオーケストリオン‼︎リンク4‼︎オルフェゴールオーケストリオン‼」

 

 

〈オルフェゴールオーケストリオン〉LINK4 機械族 闇属性

ATK3000 ↙︎↓↑↗︎

 

 

現れたのは2体目のオルフェゴールオーケストリオン。

 

これでオーケストリオン同士が相互リンクしているから2体の破壊耐性が完全なものになってしまった。

 

しかし、顕示はそれだけでは止まらない。

 

「そして魔法カード、死者蘇生‼︎」

 

「っ⁉︎ここで………‼︎」

 

「その効果により、私は墓地からモンスター1体を特殊召喚する‼︎甦れ、クラッキングドラゴン‼︎」

 

 

〈クラッキングドラゴン〉☆8 機械族 闇属性

ATK3000

 

 

再び呼び出されるのは漆黒の機械龍。

 

そしてこれにより、私がさっき伏せたカード、クリボーを呼ぶ笛でハネクリボーを出すことは出来なくなった。

 

出した瞬間に、クラッキングドラゴンのバーン効果が発動して、負ける。

 

「さぁ、防げるものなら防いでみるがいい‼︎バトル‼︎今度こそ終わりだ‼︎オルフェゴールオーケストリオンでダイレクトアタック‼︎スロウスカプリッチオ‼︎」

 

再び放たれるオーケストリオンのパイプから数えきれない程のレーザーが撃ち出され、私の身体を貫こうとする。

 

でもーーー

 

「まだ………まだです‼︎手札からバトルフェーダー‼︎さらにチェーンして墓地からクリボーンの効果発動‼︎」

 

「っ‼︎」

 

「相手モンスターの攻撃宣言時、墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のクリボーモンスターを任意の数だけ対象として、そのモンスターを特殊召喚します‼︎来て、クリボー‼︎クリアクリボー‼︎サクリボー‼︎虹クリボー‼︎」

 

 

〈クリボー〉☆1 悪魔族 闇属性

DEF200

 

 

〈クリアクリボー〉☆1 天使族 光属性

DEF200

 

 

〈サクリボー〉☆1 悪魔族 闇属性

DEF200

 

 

〈虹クリボー〉☆1 悪魔族 光属性

DEF100

 

 

私の周りに現れるのは4体のクリボーとその横に鐘の音を鳴らす悪魔。

 

 

〈バトルフェーダー〉☆1 悪魔族 闇属性

DEF0

 

 

「バトルフェーダーの効果発動‼︎相手モンスターの直接攻撃宣言時にこのカードを手札から特殊召喚し、その後バトルフェイズを終了します‼︎そしてこの効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外されます」

 

「なんだと⁉︎」

 

「さらにバトルフェーダーには攻撃力が無く、クリボー達は同時に召喚されているためクラッキングドラゴンの効果は発動しません‼︎」

 

「おのれ‼︎まだ沈まんのか‼︎………クッ、いいだろう。どうせその雑魚達では私のモンスターには敵わない。リンクモンスターを出したところでそこはロンギルスとオーケストリオンの間合い。貴様に何かが出来るわけがない‼︎次のターン、その雑魚達を蹴散らし、貴様にドラゴノイドジェネレーターの効果で貴様にトークンを送りつけてトドメを刺してやる。俺はカードを1枚セットし、ターンエンドだ」

 

「………エンドフェイズ。速攻魔法、ドローマッスルを発動。自分フィールドの守備力1000以下の表側守備表示モンスター1体を対象に自分はデッキから1枚ドローし、そのモンスターはこのターン戦闘では破壊されません。私は虹クリボーを対象にカードを1枚ドロー‼︎」

 

「はっ、苦し紛れのドローに賭けたか‼︎」

 

 

遊花 LP100 手札3

 

ー▲▲ーー ー

□□□□□

ー ☆

ーー☆☆◯

ーー△△▲ ▽

 

顕示 LP2500 手札0

 

 

ダメ、今の手札じゃ根本的な解決にはならない。

 

となれば、次のドローでこの状況をどうにかするカードを引くしかない。

 

でも、本当にあるのだろうか?

 

この絶望的な状況を打開出来るカードが………私のデッキの中に。

 

そう少し弱気になりそうになった時、ちらりと私の後ろで私のデュエルを黙って見ている島さんの姿が目に入った。

 

「………」

 

島さんは落ち着いた目で私を見ている。

 

その目には何処にも心配の色が浮かんでいない。

 

私が勝つのを微塵も疑っていない。

 

「っ‼︎」

 

私は両手で自分の頰を思いっきり叩いた。

 

それを見て顕示は怪訝そうな表情を浮かべる。

 

「どうした?絶望的な状況に、とうとう狂ったか?」

 

「違います。馬鹿なことを考えていた自分が情けなくて、叩いてやりたくなっただけです」

 

「何だと?」

 

そう、私は諦めないと決めた。

 

なのに、どうして弱気になっているんだろうか?

 

まだ、ライフは残っている、カードも残っている。

 

なのに、諦める理由なんて、何処にも無いではないか。

 

そんな弱気でどうする、栗原 遊花。

 

お前はあの2人の思いを守ると誓ったのだろう?

 

ならば、絶対に勝つと、自分を信じなくてどうするというのだ‼︎

 

ふと気がつけば、私の周りにクリボー達やバトルフェーダーが寄り添ってくれていた。

 

クリボー達はそれぞれ心配そうに寄り添ってきたり、励まそうと私の周りをくるくる回ったりしたり、覚悟を決めたような目をしていたりする。

 

どうしてだろう?

 

立体映像のハズなのに………

 

本当に私を見守ってくれている気がする( ・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

思えば、この子達もずっと私と一緒にいてくれた。

 

その子達がこうやって私を心配してくれているのだ。

 

それが嬉しくないわけがない。

 

錯覚でもいい、立体映像の演出だったとしても構わない。

 

それでも、決めたのだ。

 

私はこの子達と一緒に強くなると。

 

ならば、今から逃げるな。

 

今ここで強くなれ‼︎

 

「私のターンーーー」

 

このドローが勝負の鍵。

 

だから、お願い、カード達、私に思いを守るための力を貸して‼︎

 

「ーーードロー‼︎」

 

勢いよくドローし、引いたカードに目をやる。

 

しかし、そこにあったのはーーー

 

「………えっ?」

 

ーーー私が入れた覚えがない、僅かに黒い闇を纏っているように見えるカードだった。

 

いや、見覚えはある。

 

このカードは、さっきこのお店で拾った、島さんが驚きを露わにしたカードだ。

 

確かに、デュエルする前に、カードを置いた記憶はない。

 

もしかしてその時に混ざってしまったのだろうか?

 

ど、どうしよう⁉︎

 

この局面でそんなカードを引いちゃうなんて‼︎

 

慌てた私はついそのカードをまじまじと見てしまう。

 

「………あれ?」

 

しかし、そのカードを見て、今の状況について考える。

 

そしてーーー

 

「………あはは」

 

「っ⁉︎何がおかしい⁉︎」

 

ーーー思わず笑顔が溢れてしまった。

 

絶望的な状況だったハズなのに、それでも笑顔が溢れてしまう。

 

「絶望の先には、必ず希望が待っているハズ、か」

 

これはさっき島さんから私に送られた言葉だ。

 

それが今まさに当てはまっている。

 

「そっか………君は、私の希望になりに来てくれたんだね」

 

だとしたら、それはきっとこの子にとってはとても不本意なことだろう。

 

本来のこの子は、希望なんてものから1番縁遠い存在のハズだ。

 

「でも………うん、ありがとう」

 

でも、それでも来てくれたことが、凄く嬉しかった。

 

さっき拾った、得体も知れないカードのハズなのに………クリボー達と同じように、このカードとも、私は繋がっている( ・・・・・・)のが分かる。

 

「それじゃあ、一緒に行こう」

 

私を助けに来てくれた、優しい絶望( きぼう)のために。

 

「私はフィールドに存在するクリボー、クリアクリボー、サクリボー、虹クリボー、4体のレベル1モンスターを墓地に送ることで手札からモンスターを特殊召喚します‼︎」

 

「何⁉︎なんだその特殊な召喚方法は⁉︎」

 

クリボー達が私を見て頷きあいながら粒子に変わる。

 

そしてその粒子は重なり合い、大きな闇の巨人が、私を守るように現れた。

 

「おいで‼︎絶望を統べる優しき神‼︎絶望神アンチホープ‼︎」

 

 

〈絶望神アンチホープ〉☆12 悪魔族 闇属性

ATK5000

 

 

「馬鹿な………何だそのモンスターは………デッキの中に入っているモンスターで………攻撃力5000だと⁉︎だが、クラッキングドラゴンの効果発動‼︎ヴァンダルブレイク‼︎このカードがモンスターゾーンに存在し、相手がモンスター1体のみを召喚・特殊召喚した時、そのモンスターの攻撃力はターン終了時までそのレベル×200ダウンし、ダウンした数値分だけ相手にダメージを与える‼︎絶望神アンチホープのはレベル12、よって2600ポイントダウンし、2600ポイントのダメージを与える‼︎貴様のライフでは耐えられないのだよ‼︎」

 

クラッキングドラゴンがレーザーを撃とうとする。

 

そんなこと、百も承知に決まってる‼︎

 

「手札からジャンクリボーの効果発動‼︎ジャンクバレット‼︎自分にダメージを与える魔法・罠・モンスターの効果を相手が発動した時、自分の手札・フィールドのこのカードを墓地へ送ってその発動を無効にし破壊する‼︎」

 

「何だと⁉︎」

 

ジャンクリボーが増殖しながらクラッキングドラゴンがレーザーを放とうとした砲身に突撃し、内側からクラッキングドラゴンごと爆発した。

 

これでもうモンスターを出すことを躊躇う必要も無くなった‼︎

 

「バトル‼︎絶望神アンチホープでオルフェゴールロンギルスを攻撃‼︎」

 

アンチホープが背中の大剣を構え、突撃の構えをとる。

 

「この攻撃が通ればライフが0になるだと………ふざけるな‼︎それぐらいならオルフェゴールロンギルスごと消し飛ばしてくれる‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎オルフェゴールアタック‼︎自分または相手のモンスターの攻撃宣言時に、自分フィールドのオルフェゴールモンスターまたは星遺物モンスター1体をリリースし、相手フィールドのモンスター1体を対象としてそのモンスターを除外する‼︎オルフェゴールロンギルスをリリースし、消えろ、絶望神アンチホープ‼︎」

 

ロンギルスの姿が光の塊になり、アンチホープに向かってくる。

 

でも、そんなものじゃ私の絶望( きぼう)は壊せない‼︎

 

「絶望神アンチホープの効果発動‼︎インヴィンシブルディスペア‼︎このカードが戦闘を行うバトルステップ中に1度、自分の墓地のレベル1モンスター1体を除外して発動‼︎墓地から金華猫を除外し、このカードはそのダメージステップ終了時まで、他のカードの効果を受けず、戦闘では破壊されない‼︎」

 

「効果を受けないだと⁉︎」

 

ロンギルスが変わった光の塊はアンチホープに当たるが、アンチホープは平然とその光を弾き飛ばした。

 

「攻撃対象がいなくなったことにより攻撃対象を変更‼︎絶望神アンチホープでオルフェゴールオーケストリオンに攻撃‼︎ホープブレイクパニッシャー‼︎」

 

「くっ、迎え撃て‼︎オルフェゴールオーケストリオン‼︎スロウスカプリッチオ‼︎」

 

オーケストリオンがレーザーを放ちアンチホープを消し去ろうとする。

 

しかし、アンチホープはそのレーザーを全て弾き、その大剣でオーケストリオンを斬りつけた。

 

 

顕示 LP2500→500

 

 

顕示のライフが僅かに残る。

 

それを見て、顕示が勝ち誇ったように笑う。

 

「ふっ………ははははは‼︎確かに後一歩でやられるところだった‼︎だがしかし、結局お前の攻撃では私のライフは削り切れていない‼︎そしてリンク状態のオルフェゴールオーケストリオンが破壊されることはない‼︎これならば次のターンに………」

 

でも、まだ何も終わっていない‼︎

 

「リバースカードオープン‼︎速攻魔法‼︎エネミーコントローラー‼︎」

 

「何⁉︎」

 

「私は2つの効果の内、自分フィールドのモンスター1体をリリースし、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象に、その表側表示モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る効果を選択‼︎私は絶望神アンチホープをリリースし、オルフェゴールオーケストリオン1体のコントロールを得る‼︎」

 

ゲームのコントローラーが私の前に現れ、絶望神アンチホープの姿が消えるとコントローラーが動き始める。

 

「させるか‼︎永続罠、オルフェゴールコアを発動‼︎1ターンに1度、自分のフィールド・墓地からモンスター1体を除外し、オルフェゴールコア以外の自分フィールドのオルフェゴールカードまたは星遺物カード1枚を対象とし、このターン、そのカードは効果の対象にならない‼︎私は墓地に存在するオルフェゴールロンギルスを除外し、エネミーコントローラーの対象になっているオルフェゴールオーケストリオンを効果の対象にならなくする‼︎」

 

オーケストリオンの周りにバリアーが現れ、コントロールを受け付けなくなったからかコントローラーが爆散する。

 

それを見て顕示が笑みを強くする。

 

「フハハハハ‼︎無駄だったな。結局お前がやったことは折角出した切り札を無駄に失ったに過ぎない‼︎」

 

そう言って笑う顕示に、私は笑顔を浮かべながら言った。

 

「それはどうかな?」

 

「何?」

 

「私は絶望神アンチホープを無駄に失ったんじゃない。これで私の絶望( きぼう)は繋がったの‼︎リバースカードオープン‼︎速攻魔法‼︎クリボーを呼ぶ笛‼︎」

 

「クリボーを呼ぶ笛だと?」

 

「その効果で自分はデッキからクリボーまたはハネクリボー1体を選択し、手札に加えるか自分フィールド上に特殊召喚する事ができる‼︎私か選ぶのは特殊召喚‼︎いつだって、私と共に‼︎ハネクリボー‼︎」

 

 

〈ハネクリボー〉☆1 天使族 光属性

ATK300

 

 

現れるのは天使の羽を持つ私の最高の相棒。

 

相棒はやる気十分という風に拳を引いて構える。

 

顕示はそんな私の相棒を見て嘲笑を漏らす。

 

「ふん、そんな雑魚モンスターを攻撃表示で出すとはな。そんな雑魚モンスターに何が出来る‼︎」

 

「相棒は雑魚なんかじゃない‼︎この子が貴方にトドメを刺す‼︎ハネクリボーでオルフェゴールオーケストリオンを攻撃‼︎」

 

「馬鹿め、血迷ったか‼︎迎え撃て‼︎オルフェゴールオーケストリオン‼︎スロウスカプリッチオ‼︎」

 

オーケストリオンのパイプから今までの比ではないぐらいのレーザーが相棒に向かって撃ち出される。

 

しかし、ハネクリボーはその小柄さからそれをひらひらと避けながらオーケストリオンの頭上に飛翔する。

 

そうだよ、見せてあげよう、私の相棒。

 

貴方の………貴方達の力を‼︎

 

「速攻魔法発動‼︎バーサーカークラッシュ‼︎」

 

「バーサーカークラッシュだと?何だそのカードは………」

 

「このカードはハネクリボーの真なる力を解放するカード。自分の墓地に存在するモンスター1体をゲームから除外し、ターン終了時まで、自分フィールド上に表側表示で存在するハネクリボー1体の攻撃力・守備力は、除外したモンスターと同じ数値になる‼︎」

 

「除外したモンスターと同じ数値だと?………⁉︎貴様、まさか⁉︎」

 

「私が除外するのは、絶望神アンチホープ‼︎お願い、貴方の絶望( きぼう)を相棒に貸して‼︎」

 

私がそういうとアンチホープが薄っすらとフィールドに現れ、ハネクリボーの方を見る。

 

ハネクリボーはアンチホープの方を見るとコクリと頷き、それを見たアンチホープも頷き返して自分の身体を粒子に変えた。

 

粒子に変わったアンチホープはハネクリボーが空に向かって突き上げた右手に集まり、右手の部分に巨大な漆黒の球体を生み出した。

 

 

ハネクリボー

ATK300→5000

 

 

「馬鹿な⁉︎攻撃力5000のハネクリボーだと⁉︎」

 

「なんと⁉︎」

 

その光景を見て、今まで静観を続けていた島さんすらも声を漏らす。

 

そんな中、ハネクリボーはオーケストリオンの懐に向かって急降下し、その漆黒の球体をオーケストリオンの懐に突き出した。

 

「行って、ハネクリボー‼︎ディスペアクラッシュ‼︎」

 

私の声と共にハネクリボーがその球体をオーケストリオンに押し当てる。

 

すると、その球体は一瞬でオーケストリオンを呑み込み、そのまま轟音と共に跡形もなく消し飛ばした。

 

「馬鹿なぁぁぁ‼︎」

 

 

顕示 LP500→0

 

 

 

 

デュエルが終わり、辺りが見覚えがある店内に戻る。

 

私は崩れ落ちた顕示の前に立つ。

 

「さぁ、私が勝ったのでさっきの発言を撤回して貰えますか?」

 

「くっ‼︎ふざけるな‼︎何故貴様などに謝らなければならん‼︎」

 

「デュエルを始める時に約束しましたから」

 

「そんなもの守るわけがーーー」

 

「卑怯者」

 

「何‼︎」

 

私が正面からそういうと、顕示が怒りに満ちた顔でこちらを睨みつける。

 

「貴方は言いましたよね?遊騎さんのことを卑怯者だと。なら、デュエルをする際の約束すら守れない貴方は何なのですか?」

 

この人は何度も言っていた。

 

遊騎さんのことを卑怯者だと。

 

「貴方が卑怯者だと言っている遊騎さんは約束を守る人です。大切な約束の為に………苦悩する人です。なら、貴方が卑怯者と呼ぶ遊騎さんでも守る約束を、デュエルでの結果すら守ろうとしない貴方は卑怯者以下じゃないですか‼︎」

 

「クッ………今に見ていろ‼︎貴様らを絶対に後悔させてやる‼︎」

 

私の言葉に、そう捨て台詞を残すと顕示は私を振り切って店から出て行った。

 

しまった、逃げられた‼︎

 

追おうか迷う私を見て、島さんが首を振りながら声をかけてくる。

 

「君が追う必要はないよ。この街でデュエルの結果を違えるような人間の末路は決まっているさ」

 

「でも………」

 

「何、どちらにせよ人が来ない店だ。これ以上悪評が流れようが変わらないさ。それより、先程のデュエル、見事だったよ。特に、最後の攻撃は、ね」

 

そういって島さんが笑顔で私を褒めてくれる。

 

それに対して私はデッキに混ざっていたアンチホープのカードを取り出し、首を振りながら答える。

 

「それはこの子のおかげです。正直、あの状況は私のデッキの中のカードじゃどう考えても、完全に詰んでいたんです。でも、それをデッキに混ざってしまったこの子が助けに来てくれた。だからこそ、さっきのデュエルでは勝てたんです」

 

「………そうか。でも、その結果を導いたのは君が最後まで諦めなかったからだよ。だから、それだけは誇りなさい」

 

「‼︎………はい‼︎」

 

島さんの言葉に私は笑顔で答える。

 

また少し、進むことが出来たかな?

 

出来てたら、いいな。

 

そんな私を見て、島さんはうんうんと頷くと仕切り直しとばかりに手を叩いた。

 

「さて、無粋な輩に遮らせてしまったが改めて君に送らせて貰うカードを決めるとしようか」

 

そういう島さんに私はデュエルが終わってから決めていたことを話した。

 

「あの、島さん。それなら、この子を貰えませんか?」

 

「この子って………そのアンチホープのカードかい?」

 

島さんが少し困ったような顔をしながら言う。

 

確かにさっき島さんはこのカードには触れちゃいけないと言っていた。

 

それがどういう意味かは分からない。

 

でも、それでも私は島さんに頼み込む。

 

「私は、このカードがどういうカードなのか、島さんがどういう意味で触るなって言ったのかは分かりません。でも、さっきこのカードを使った時、なんだか分からないけど繋がっている( ・・・・・・)感じがしたんです。相棒………ハネクリボー達みたいに」

 

「ほぅ………」

 

島さんがそれを聞いて面白そうな表情を浮かべる。

 

「それに、この子は助けに来てくれました。あれだけ絶望的な状況で、私の希望になってくれました。だから、この子と一緒に、もっとデュエルしてみたいんです。だから、お願いします‼︎」

 

そういって頭を深く下げる。

 

それを見て、島さんはとても嬉しそうに笑った。

 

「そこまで言われるなら、そのカードも本望だろう。いいよ。そのカードと一緒に、沢山デュエルをしてあげなさい。勿論、お代はいらないよ。元々、どうしようか困っていたカードでもあるからね」

 

「‼︎ありがとうございます‼︎」

 

「いやいや、今日は色々と良いものを見せて貰ったからそのお礼だよ。それより、時間は大丈夫かい?長いこと話し込んだ後にデュエルをしていたからそろそろ夜になるが………」

 

島さんの言葉にハッとして時間を見る。

 

どうしよう‼︎急がないともう師匠が帰って来てるかも‼︎

 

「ご、ごめんなさい‼︎今日の所はここで失礼します‼︎」

 

「いやいや、またいつでも来てくれていいからね。………そうだ、遊騎君に1つ言付けを頼めるかい?」

 

「言付けですか?」

 

慌ててお店を飛び出そうとする私を島さんが呼び止める。

 

私が振り返ると島さんは凄く優しい表情で言付けを口にした。

 

「いつでも帰ってきなさい。ここは君の家だ。でも、今、君に他の居場所があるのなら、その居場所を大切にしなさい………そう伝えてくれるかい?」

 

島さんの言葉に私は力強く頷いた。

 

「はい‼︎今日はありがとうございました‼︎次は、師匠やお友達を連れて来ます‼︎」

 

「‼︎………ああ、楽しみに待っているよ」

 

今日、この店に来て良かった。

 

そう実感しながら私は帰路を急ぐのだった。

 

 

ーーーーーーー

 

 

「おっ、帰って来たか」

 

「あ、師匠‼︎お待たせしてしまってすみません‼︎」

 

「ここはお前の家なのになんでお前が謝るんだよ」

 

家に着くと、玄関先で師匠が既に待っていた。

 

遅くなったことを謝ると師匠は呆れた表情を浮かべた。

 

「師匠はその、宿のこととか、どうなりました?」

 

「あ〜それなんだが………」

 

師匠が罰が悪そうな表情を浮かべる。

 

「やっぱりこの時期はホテルはどこも満杯で空きが出るのは最低でも4ヶ月は先になるらしい。一応、仕事の方は遊花と会ったあの公園の清掃員の仕事が決まったんだが………」

 

「‼︎つまり、まだ一緒に過ごせるんですね‼︎」

 

「………何でそんなに嬉しそうなんだ」

 

私の反応に師匠が顔を引き攣らせるがそれでも私は喜びを隠せなかった。

 

だって、それだけ師匠とは沢山過ごせて色んなことを学ぶことが出来るのだから。

 

師匠は私のそんな反応にため息を吐きながら渋々といった感じで口を開く。

 

「………まぁ、宿についてはまた色々と考えて行く………悪いが、それまではよろしく頼む」

 

「‼︎はい‼︎いつまででも大丈夫ですから‼︎」

 

そういう私に師匠は口をひくひくと引き攣らせながらも、1つ咳払いをして口を開いた。

 

「それで、カードショップの方では何か収穫はあったか?」

 

「はい‼︎新しい切り札とか………師匠のことについても沢山知ることが出来ました」

 

「‼︎………島さん、話したのか?俺のこと」

 

「はい………師匠の過去のことと、お店のことを、色々と」

 

「………そうか」

 

そう呟く師匠は困った顔で頭を掻いた。

 

「その………なんだ、やっぱりカッコ悪いよな、俺。約束1つ守れずに、迷惑ばかりかけて、さ」

 

「‼︎そんなことありません‼︎師匠は凄くカッコイイんです‼︎」

 

「⁉︎遊………花?」

 

大声で否定した私を見て、師匠が驚きの表情を浮かべる。

 

でも、その言葉だけは、例え師匠であっても肯定させない。

 

「凄いじゃないですか。お店を立て直す為に、恩返しをする為にプロ決闘者になるなんて。そんなことを決意して、本当にやり遂げちゃう人が、カッコ悪いハズ、ありません。島さんが言ってました。誰もいない店の中に毎日来てくれたことが嬉しかった、彼がいてくれた日々が、私の1番の宝物だったって」

 

「⁉︎島さんが………そんなことを?」

 

「はい。それに、師匠の約束はまだ破られてないじゃないですか」

 

「えっ?」

 

私の言葉に師匠はきょとんとした顔をする。

 

そんな師匠に、私は自信を持って告げる。

 

「だって、師匠は私の師匠なんです。なら、私が師匠の正式な後継者としてプロ決闘者になれば、自ずと師匠の名前も上がります」

 

「なっ⁉︎」

 

「そして、師匠の名が上がれば、当然お店の方にも影響が生まれ、立て直せます。勿論、今の私にはまだそんな力は無いですし、ここまで上手く行くかはわからないですけど、そうなれるのであれば、師匠は約束を違えてないじゃないですか」

 

笑顔でそういう私を師匠は驚いた表情で見つめる。

 

そしてとても真剣な表情で私を見る。

 

「俺の正式な弟子だって言うのは、途轍もなく辛い道になるぞ?」

 

「そんなの、遊騎さんの弟子になると決めた時から覚悟しています。言ったハズですよ、耐えるのは得意だって。何せ、クリボーデッキですからね。多少の攻撃ぐらい平気、へっちゃらです」

 

「俺の時とは違う。最初から非難の的にされる可能性が高い。最悪プロ決闘者になることすら拒否されるかも知れないぞ?」

 

「その程度じゃ諦める理由になりません。プロからがダメならアマチュアからでもそれ以下からでも始めればいいんです。師匠には誓ったハズです。私はもう諦めることだけはしないと」

 

「お前に重石を背負わせることになる。俺の約束まで、お前が背負うことないだろう?」

 

「師匠が弟子に夢を託して何が悪いんですか。それに、その約束は本日付けで私のものにもなったんです。だったら、これは師匠の重石なんかじゃないですよ」

 

師匠の問いかけに、真っ正面から答えていく。

 

どう問いかけても、即答する私に師匠はもう1度ため息を吐いた。

 

「………本当に、遊花は俺には過ぎた弟子だよ」

 

「師匠だからこそ、私は弟子になったんです。他の誰であろうと、私の師匠になることは出来ません。そういえば、島さんからの言付けです。いつでも帰ってきなさい。ここは君の家だ。でも、今、君に他の居場所があるのなら、その居場所を大切にしなさい、らしいですよ」

 

「………今このタイミングで言うか、そんな言葉?」

 

「師匠は居場所なんてないとか思ってるかも知れませんが、本当は居場所だってあるんです。島さんの所が………そして、私もそんな居場所になれたらなって思います」

 

私の言葉に、師匠は困ったように頭を掻いた。

 

「島さんの所には………今はまだ帰れない。果たすべき約束を、俺はまだ果たせていないから。でも………島さんが喜んでくれるなら、今度、顔出しにぐらいは行ってもいいのかもな」

 

「‼︎はい‼︎行きましょう‼︎私もお供します‼︎」

 

師匠がそう言ってくれたことが嬉しくて、私は弾むように家の前に行き、家の鍵を開けて、師匠に向かって振り向いた。

 

「言い忘れてました。師匠、おかえりなさい‼︎」

 

「………馬鹿、待ってたのは俺の方なんだからそれはこちらの台詞だ。まぁ、ただいま………そして、おかえり、遊花」

 

「‼︎はい、ただいまです、師匠‼︎」

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「ふぅ………それにしても、今日は面白く、そしてとてもいい日だった」

 

ここは、遊花が帰って行った後の『Natural』の店内。

 

今日あったことを振り返り、島は思わず笑顔を漏らした。

 

今まで音信不通だった義理の息子が弟子を作っているという話はとても嬉しかった。

 

そして、その弟子である少女。

 

彼女がとても面白く、そして優しい少女だった。

 

彼女が入ってきた時に驚いたのは、彼女を守るように"カードの精霊"………彼女のデッキのクリボー達が寄り添っていたことだ。

 

カードの精霊自体が憑いていることについては、それ程珍しいことではない。

 

彼女にも自覚症状は無かったようだが、気付けないだけでカードを大切に扱っているものにならカードの精霊は集まってくるものだ。

 

だが、彼女程多くの精霊に囲まれている存在を見るのは久しぶりだった。

 

そして何よりその後の出来事。

 

彼女がこの店で拾った絶望神アンチホープのカード………あのカードは''闇のカード( ・・・・・)"だった。

 

カードの精霊に悪意が宿り、歪んだ呪われてしまったカード………それが闇のカードだ。

 

闇のカードには使用者の意思を好戦的にしたり破壊衝動を生み出したりしながら人々から負の感情を喰らい、使用者や対戦相手を物理的に傷付ける可能性すらあるとても危険なカードだ。

 

しかも、あの絶望神アンチホープに秘められた闇は普通の闇のカードに秘められている呪いなどとは比べ物にならないぐらい強力なものだった。

 

それを彼女はあっさりと触り、その上影響を受けるどころか完全に受け入れて無力化していた。

 

勿論、本人の資質により闇のカードの影響を受けず、自分の意思で扱う者がいないわけではない。

 

しかし、そういった者は今度は逆にカードの精霊との折り合いが悪い。

 

カードの精霊は呪われてしまった闇のカードを嫌う。

 

その逆に闇のカードも呪われていないカードの精霊を嫌う。

 

彼らは相反する存在であり、相入れることなど、あり得ないことだった。

 

しかし、彼女が闇のカードに触れてしまったのにも関わらず、彼女の精霊達は特に強い拒絶の反応を示さなかった。

 

それどころかその後のデュエル。

 

彼女を守る為にカードの精霊達は闇のカードである絶望神アンチホープに力を貸し、絶望神アンチホープもカードの精霊であり、彼女が連れていた精霊の中で最も力が強かったハネクリボーを受け入れ、力を貸していた。

 

まるで彼女だけは絶対に守る( ・・・・・・・・・・)というその点で、両方の存在が合意しているかのように。

 

その上、デュエルが終わった後に力を貸してくれたからと絶望神アンチホープを譲ってほしいと言ってきた。

 

あのカードと一緒にデュエルがしたいと、只々純粋に、あのカードを受け入れた。

 

「相反する存在の両方から愛される存在………いやはや、長生きはしてみるものだ」

 

島がそう呟いた時、店の裏口の方から物音が聞こえた。

 

島がそちらを見ると、身体から少し闇が漏れ出している黒髪でショートボブの小学生程の少女がいた。

 

島はその少女を見て驚きの表情を浮かべる。

 

「裏口から入ってくるとは珍しいね。おまけに少し闇が漏れ出しているが、何かしてきたのかい?」

 

「店の前でこの店に悪態をついてた男がいたから………裏路地で少し喰らわせてきた」

 

「あー心当たりは確かにあるが、そこまでやる必要は無かったんじゃないかい?」

 

「外道にかける情けはない………大丈夫、面倒だから殺してはいない。身体は少しズタボロにしたけど、負の感情と一緒に記憶も喰わせてきたから、完全犯罪」

 

そういって無表情のままピースサインを作る少女に島は苦笑を浮かべる。

 

そういう問題ではないのだが、彼女は自分が気に入った相手以外には容赦がないので言っても無駄だろうと諦めた。

 

こういうところは血は繋がっていないが遊騎に似ているのかも知れないと島は思う。

 

島は気を取り直して少女に話しかける。

 

「それにしても、ここに来ていて大丈夫なのかい?この時期は何かと忙しいだろう?」

 

「落ち着ける環境は必要………大丈夫、やることはしっかりとこなして来たから社長も怒りはしないわ」

 

「相変わらずだね、君は」

 

無表情のまま平坦な声でいう少女を見て、島は苦笑を浮かべる。

 

彼女の感情が大きく動くことなど、そう多くないことは分かっているのだ。

 

「そうそう、今日は凄く面白いことがあったんだ」

 

「面白いこと?この店の売り上げが伸びたとか?」

 

「相変わらず辛辣だね。違うよ、遊騎君のことだ」

 

「詳しく」

 

島がそういうと少女は凄い勢いで島に近付いた。

 

そう、彼女が1番感情を動かすのは彼の事だから。

 

「会ったの?」

 

「いや、本人には会っていないよ。でも、彼の弟子を名乗る子が現れてね。その子が今の彼の事を教えてくれたのさ」

 

「弟子………」

 

「近々、本人にも会えるかも知れないよ。連れて来てくれるって、約束したからね」

 

「………そう。その時は連絡して」

 

「勿論。君も大事な常連( ・・)だからね」

 

そういうと少女が目を閉じて胸の前で右手を握る。

 

これは彼女の感情が高ぶっている時の行動だ。

 

島はそれを見ながら、店じまいの準備を始める。

 

そんな島を横に、少女は少しだけ感情を乗せた声で呟いた。

 

「遊騎………」

 

 

 





次回予告

突然昔のような明るい性格に戻った遊花を訝しむ桜は、遊花を問い詰め、遊騎の存在を知る。
遊花が騙されているのではと疑う桜は、その為に遊騎にデュエルを挑む。
学年トップ10の実力者を相手に、遊騎はその笑みを強くする。


次回 遊戯王Trumpfkarte
『全てを壊すもの』


次回は遊騎対遊花の親友である桜のお話。
最後に島さんと話をしていた新キャラの再登場は多分次々回になると思います。
そして遊花が手に入れた新しい切り札は使う側が絶望とか言われているアンチホープさんです。
せめてエクシーズ規制効果があればよかったのに………こんなことを言ってますがブレイドJはレベル1デッキだと気付いたら投入しているぐらいアンチホープさんが大好きです。
この作品ではカッコ良くアンチホープさんが描ければいいな。
ではでは〜
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