某ウィルスのせいで仕事の忙しさがヤバい。
休みとゆっくりと小説を書く時間がほしい………いや、本当に。
今回もデュエル回です。
遊騎視点でお送りします。
遊花が作り上げた遊騎の新デッキのお披露目です。
それでは本編へGO‼︎
☆
「………それで、桜も入院することになったわけか。俺の時には自分の身体を蔑ろにし過ぎなのが悪いとか言ってたのに、桜も人の事言えてないじゃないか」
「う、うるさいわね‼︎分かってるわよ、そんなこと‼︎」
「師匠?確かに桜ちゃんも無理をしましたけど、師匠の方がもっと酷い無茶をしてるんですからね?」
「………そうだったかな?」
「惚けてもダメです‼︎」
「やーい、遊花に怒られたー」
「桜ちゃん?私が怒ってるのは師匠だけじゃないからね?桜ちゃんもだからね?2人共ちゃんと分かってます?」
『………はい、すみません』
遊花にジト目で睨まれ、本気で怒られた俺と桜は揃って項垂れる。
そんな俺達を見て、遊花は表情を崩すと、目尻を擦りながら心底安心した表情を浮かべた。
「………でも、本当によかったです。2人共無事で………」
ちょっと声が震えている遊花に俺達はばつが悪くなり、顔を逸らした。
幻騎に植え付けられた呪いから解放され、意識を取り戻した日の翌日。
俺は俺が眠っている間に闇のカードに操られた状態で現れた夜の妹と激闘を繰り広げ、入院することになった桜の病室に遊花と共に足を運んでいた。
どうやら遊花は今日もデュエルアカデミアを休むことにしたらしい。
しかし、それも無理も無いことだろう。
桜は闇のカードの力で実体化した炎に焼かれたようで身体中包帯だらけの状態でベッドの上。
俺は動けてはいるものの身体の大部分は桜と同じで包帯がつけられている状態だ。
身内の人間がここまでの大怪我を負っているのだ、遊花の心情は察するにあまりある。
………それに心が穏やかじゃないのは遊花だけではないしな。
「………ふぇ?」
「桜、痛むか?」
いつもの桜の姿が脳裏に浮かび、ベッドの上で寝ている姿と、その原因が闇のカードによって生み出された炎という現実に居た堪れなくなり、思わず桜の頭に手をやる。
「な、な、な、だ、だだだ、大丈夫よっ‼︎ぜーんぜん‼︎もう、なんていうか、大丈夫過ぎて身体が悲鳴をあげそうなぐらいよっ‼︎」
「………危険じゃないか、それ?」
「とにかくっ、大丈夫だからっ‼︎」
頭に置いていた手を振り払い、桜は慌てた様子でそんなことを捲し立てた。
何故かさっきより余計に顔が赤くなっているので、俺としては本気で心配なのだが、桜はどうもあまり触れて欲しくないようなので渋々引き下がる。
「とはいえ、ありがとな、桜。お前が守ってくれたおかげで俺は無事だったし、夜の妹も無事で済んだ。感謝してる」
「っ………べ、別にアンタのためにデュエルをしたわけじゃないんだからね‼︎私は、ただ、遊花と真紅を助けてあげたかっただけ‼︎アンタが助かったのはそのついでってだけなんだから‼︎」
「………そっか」
「ふん、だ」
照れ臭そうに顔を逸らす桜を見て、俺は脳裏に浮かんだ全てを焼き尽くすような業火のイメージを振り払うように無理矢理にでも笑みを浮かべた。
桜が無事で、本当に良かった。
もう………炎に巻かれて全てを奪われるのはごめんだ。
「っ、師匠?あのーーー」
「桜‼︎」
遊花が俺に何かを問いかけようとした瞬間、勢いよく俺達の背後にあったこの病室の扉が開かれた。
あまりの音に驚いて俺達が振り返ると、そこにいたのは桜に似た濡れ羽色の髪をロングヘアーにした大人の女性。
この人はもしかして………
その女性はベッドの上で寝ている桜を見ると、目を潤ませながら桜にかけよってその身体を抱きしめた。
「良かった………目が覚めたのね。本当に、良かった………」
「お母さん………ごめんなさい。心配かけて………」
やはりこの人が桜の母親か。
泣きそうな顔の桜を見て、俺は遊花と顔を見合わせるとそっと桜の病室を後にした。
ここから先は部外者が立ち入るべき場所ではないだろうから。
ーーーーーーー
「先程桜ちゃんの病室にいらした人が桜ちゃんのお母さん、宝月 睡蓮(ほうづき すいれん)さんです」
遊花と一緒に自分の病室に戻ると、遊花が桜の病室の方を向きながらそう言った。
「睡蓮さんは両親が亡くなって途方に暮れていた私に家事を教えてくれたり、桜ちゃんの家で一緒に住まないかって誘ってくれたりしてくれたとても優しい人なんです。まあ、一緒に住まないかって提案は断っちゃったんですけど」
そういう遊花の表情はどこか申し訳無さそうだった。
自分を案じてくれた睡蓮さんや桜の申し出を断ったことに罪悪感を感じているのだろう。
口にしても遊花の罪悪感は消えないだろうが、それでもこの言葉は口にしておくべきだろう。
「気にするな、とは言わないが。そこまで重く捉えるなよ。それだけ遊花が自分の両親を愛してるってことなんだからさ」
「師匠………ありがとうございます」
遊花の表情が少しだけ緩み柔らかな笑顔に変わったのを見て、俺はほっとする。
上手くいったみたいでよかった。
やっぱり遊花には悲しそうな顔より笑顔でいてほしいからな。
「事情が事情だったので、詳しくは説明出来なかったんですが、入院する程の怪我だったので昨日連絡しておいたんです。睡蓮さんにとって、桜ちゃんは唯一の家族で、娘ですから」
「そっか、桜のところは一人親だったな」
「はい。お父さんは私と出会うよりも前に事故で亡くなったらしくて」
「事故か………世の中ままならないものだな」
「………そうですね」
俺も遊花も両親を事故で失っている。
闇には記憶がなく、両親の顔すら知らないし、リーネは母親を事故で失った。
あまり思いたくもないことだが、俺達の周りにはそう言った過患が溢れすぎている。
本当に、世の中はままならないものだ。
「………暗い話はここまでにしておくか。それは桜も望みはしないだろう」
「そうですね。過去がどんなに辛くても、私達は寄り添いあってこの今を生きてるんですから」
「………だな」
過去は変わらないし、悲しみは消えない。
それでも、俺達はこの今を生きて進むことでしかその人達に報いることができないのだから。
「………よし、切り替えていくか。そういえば遊花、昨日は家に1人だったが大丈夫だったか?闇達、帰ってこなかったんだろう?」
「ちょっと寂しかったですけど、大丈夫です。闇先パイから連絡はありましたし。詳しいことは教えて貰えませんでしたけど。大丈夫でしょうか、闇先パイ達?」
遊花が心配そうな表情を浮かべながら病室の窓から外を見る。
そう、遊花と俺が襲撃される直前に急用ができたといって何処かに向かって行ったリーネと不知火さんは戻ってこなかった。
闇からの連絡はあったようだから心配いらないとは思うが、幻騎に狙われているであろう遊花を1人にするリスクを冒してまで片付けなければならない急用というのは少々気になる。
単なる杞憂であればいいのだが、今の『ケルン』は怪奇事件が頻発する魔境といっても過言ではない状況だ。
本当に変なことに巻き込まれてなければいいんだが………心配しても仕方がないか。
「まあ、心配しても俺達にできることはない。闇達が何があったか教えてくれるのを待つとしよう。………そうだ、まだ遊花にお礼をいえてなかったな。あの新しいデッキとデュエルディスク、ありがとな。おかげでまた思う存分デュエルができそうだ」
「いえ、あの………どうでしたか?リーネさんに手伝って貰ったとはいえ、私、誰かのデッキを作るなんて初めてで………」
そういって遊花は不安そうな表情を浮かべる。
そんな遊花を安心させるように、俺は笑顔を浮かべて遊花の頭を優しく撫でた。
「完璧だったぜ。まだ数回しか回してないから十全に使いこなせているとは言えないが、それでもよく馴染む。本当によくやってくれた」
「あ………えへへ、お役に立てたならよかったです」
遊花が安心したように花咲く笑顔を浮かべる。
まあ、ちょっと過剰な言い回しにはなってしまったかも知れないが、嘘は言っていない。
それぐらい、遊花が新しく作ってくれたデッキは俺によく馴染んでくれている。
「とはいえ、練習がもう少し必要なのは間違いないな」
「あ、なら、私がデュエルの相手になりますよ?私も新しいデッキをもっと試してみたいですから」
「そうか?ならーーー」
遊花の提案を受け、デュエルディスクを起動しようとしたところで病室の扉がノックされる。
今朝の検査は終わったし、この時間にノックして入ってくるような人はいないハズだが………
俺達は顔を見合わせ首を傾げながらも、遊花に頼んで病室の扉を開けて貰う。
「はい、どなたでしょうか?」
遊花がそういいながら病院の扉を開けると、そこにいたのは車椅子に乗せられ、引き攣った表情を浮かべる桜と、険しい表情を浮かべている睡蓮さん。
驚いた遊花が口を開く前に、睡蓮さんはこちらを睨み、声を上げた。
「アナタが私の娘と遊花ちゃんを誑かした男ね‼︎」
「………ええっ⁉︎睡蓮さん⁉︎」
………ああ、これは面倒なことになりそうだ。
驚く遊花と後ろめたそうに顔を逸らす桜を見て、俺は思わずため息を吐くのだった。
ーーーーーーー
「宝月 睡蓮よ。アナタには桜の母親と言った方が分かりやすいわね」
「これはどうもご丁寧に。俺はーーー」
「娘から聞いて知っているわ。結束 遊騎。『ケルン』における大罪人、『墜ちた英雄』でしょ?アナタには即刻、デュエルセキュリティに来てもらって桜と遊花ちゃんの前から消えて貰うわ」
鋭い眼光で俺を睨みながら切り捨てるように告げてくる睡蓮さんに俺は苦笑を浮かべるしかなかった。
取りつく島もないとはこのことだな。
この親あっての桜だと思わざるおえない程の気の強さだ、まだ初対面の時の桜の方が態度が柔らかかったぞ。
この気の強さであれば初対面の時に桜が言っていた俺の存在がバレたら間違いなく通報と言っていたのも納得できる。
とはいえ、俺の世間的な評価を考えれば、この反応は親として妥当な反応だろう。
怪しい経歴の男が娘の周りにいるのだ、良心的な親であれば、娘に危険が及ばないようにするのは当然だろう。
最も………言われている俺以上に怒っている人間がこの場にはいるのだが。
「睡蓮さん………今の言葉、撤回してください‼︎師匠は大罪人なんかじゃないです‼︎」
「………遊花ちゃんは騙されてるのよ。遊花ちゃんはこの男のことを詳しく知らないからーーー」
「師匠のことを詳しく知らないのは睡蓮さんの方です‼︎師匠と関わったこともないのに、師匠を貶すならいくら睡蓮さんでも赦しません‼︎」
遊花が俺を庇うように立ち、頬を膨らませながら絶対に意思を曲げませんとばかりに胸の前で両手を握って睡蓮さんを威嚇する。
相変わらず、遊花は俺の悪口となると沸点が低くなるな。
それだけ慕われており、俺の代わりに怒ってくれているという事実は嬉しいのだが、この沸点の低さをどうにかしなければ付け込まれる隙にもなる。
俺が遊花をどう宥めようかと悩んでいると、意外なところから更に事態を混沌とさせるように声が上がった。
「お母さん‼︎遊騎はそんな人じゃないって言ったでしょ⁉︎遊騎を通報するって言うなら私だって赦さないわよ‼︎」
「っ、桜………」
「………桜、お前もか」
威嚇するように睡蓮さんを睨み付ける桜を見て、俺は思わず顔を右手で覆う。
言ってることは間違いなく睡蓮さんの方が正しいのだが、まるで睡蓮さんが悪者みたいな雰囲気だ。
客観的に見ても間違いなく悪いのは俺なんだがな。
「とにかく落ち着け、遊花、桜」
「「ですが(だけど)………‼︎」」
「お前達は頭がいいんだから、睡蓮さんの言ってることの方が正しいのは分かるだろ?側から見れば、お前達を利用してると見られるのは当然だ。ましてや、睡蓮さんはお前達を心配して言ってくれてるんだ。それを怒るのは御門違いってもんだろ」
俺の嗜めるような言葉に、遊花達は泣きそうな顔で目を逸らす。
悲しげな顔の理由は、自分達を心配してくれた睡蓮さんに対して怒ってしまった罪悪感か、それとも俺を守れそうにないことを悟っているのか。
まあ、そもそもが歪な状況だったんだ。
その報いだとすれば仕方のないことだろう。
「睡蓮さん。謝って許されることではありませんが、すみません。2人の前から消えて牢獄に入れと言うのであればその通りにします」
「………その程度のことでアナタの罪が赦されるとでも思っているの?」
「いえ、全く。ですが、俺はそうすることでしか報いる術を知りません。なので、他に望みがあるのであればいくらでも言ってください」
殺気が込められた鋭い視線を向けてくる睡蓮さんを、俺は真っ直ぐに見つめ返す。
そんな俺を見て、遊花は覚悟を決めた表情で睡蓮さんに頭を下げた。
「睡蓮さん………師匠とデュエルをしてくれませんか?」
「遊花ちゃん?」
「デュエルをすれば、睡蓮さんも絶対に師匠が私達を利用するような人じゃないって分かります。だから、師匠とデュエルをしてくれませんか?」
「お、おい。遊花」
頭を下げたまま真剣な声色で遊花は睡蓮さんに頼み込む。
そんな遊花を見て、桜も真剣な表情で睡蓮さんを見る。
「お母さん、私からも頼むわ。遊騎とデュエルをして」
「桜まで………」
「私も、最初はお母さんと同じだった。でも、遊騎とデュエルをして、遊騎のことを知っていく中で、遊騎が悪い奴じゃないって分かった。だから、誰かからの評価じゃなくて、ちゃんと遊騎のことを知ってから考えてほしいの」
「………」
桜の言葉に、睡蓮さんは困惑した表情を浮かべたが、しばらくするとため息を吐いて俺の方を見た。
「………分かったわ」
「お母さん‼︎」
「結束 遊騎。アナタが本当に桜が言うような人間なのか、見極めさせて貰うわ。ただし、デュエルの結果は関係ないわ。私が気に入らなければ、アナタをデュエルセキュリティに突き出す。それでいいのであれば、ね」
睡蓮さんは試すような視線をこちらに向ける。
しかし、それに対する俺の答えは決まっている。
「勿論、構いません。俺は自分が遊花達が言う程良い人間だとは思ってません。睡蓮さんが言うようにデュエルセキュリティに突き出されようが、仕方ないと思ってます」
今回のことは絶対的に睡蓮さんが正しい。
その事実に変わりはない。
だけど、それでもーーー
「それでも、こんな俺がいなくなることを悲しんでくれる優しい弟子と友人のために、チャンスをくれると言うのであれば、俺は全力で睡蓮さんとデュエルをします。俺を救ってくれた優しい人達のためにも、可能性があるのなら、俺は諦めちゃいけないから」
ーーーこんな俺を望んでくれた遊花達のためにも、諦めるわけにはいかないのだから。
ーーーーーーー
「準備はいいかしら?」
「はい」
病院の中庭に移動し、睡蓮さんとお互いにデュエルディスクを構える。
そんな俺達を、真剣な表情で遊花達が見ている。
まさか遊花が作ってくれた新デッキの実戦がこんなデュエルになるとは思わなかったが、それでも、きっとこのデッキはーーー
「………いきます‼︎」
「デュエルを通して見せてみなさい、アナタがどんな人間なのかを‼︎」
『決闘‼︎』
遊騎 LP8000
睡蓮 LP8000
ーーーーーーー
「先攻は俺か」
デュエルディスクの決定により先攻になった俺は自身の手札を見る。
初手としては………悪くないか。
マリシャスシードに自分のデッキを奪われた俺の為に、遊花がリーネのアドバイスを受けながら一生懸命作ってくれたデッキだ。
何度か試運転をしたとはいえ、まだ使いこなせると言えるレベルじゃないんだが………作ってくれた本人の前で無様なデュエルは見せられないよな。
「自分フィールドにモンスターが存在しない場合にこのモンスターは特殊召喚できる‼︎来い、フォトンスラッシャー‼︎」
〈フォトンスラッシャー〉☆4 戦士族 光属性
ATK2100
フィールドに現れたのは光りの身体を持つ鋼鉄の戦士。
「さらに俺は曙光の騎士を召喚‼︎」
〈曙光の騎士〉☆4 戦士族 光属性
ATK1400
さらにフォトンスラッシャーに寄り添うように、赤いマフラーを靡かせたゴーグルをかけた騎士が現れる。
「そして、斬り開け‼︎運命に抗うサーキット‼︎」
「リンク召喚ね………」
俺が正面に手を前に突き出すと、目の前に巨大なサーキットが現れる。
「召喚条件は戦士族モンスター2体‼︎俺はフォトンスラッシャーと曙光の騎士の2体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎追想に生きる王女‼︎リンク2‼︎聖騎士の追想 イゾルデ‼︎」
〈聖騎士の追想 イゾルデ〉LINK 2 戦士族 光属性
ATK1600 ↙︎ ↘︎
フォトンスラッシャーと曙光がサーキットの中に消え、金髪と白髪の2人の女性が現れる。
「聖騎士の追想 イゾルデの効果、それにチェーンして曙光の騎士の効果発動‼︎ フィールド上のこのカードが墓地へ送られた場合、デッキから光属性モンスター1体を墓地へ送る事ができる‼︎俺はデッキから閃刀姫ーロゼを墓地に送る‼︎」
曙光の効果でデッキから墓地に送るのはリーネが入れたであろう閃刀姫。
というかアイツ、人のデッキに自分のデッキのメタカードにもなる閃刀姫を入れるなんてどういうつもりなんだ?
いや、アイツのことだからあまり深く考えてないか、自分も使ってる閃刀姫を俺が使ってるのが見たいとかそんな感じだな。
まぁ、ありがたく使わせては貰うが。
「そして聖騎士の追想 イゾルデの効果発動‼︎リンクレカレクション‼︎リンク召喚に成功した時、デッキから戦士族モンスター1体を手札に加える。ただし、このターン、自分はこの効果で手札に加えたモンスター及びその同名モンスターを通常召喚・特殊召喚できず、そのモンスター効果も発動できない。俺はデッキからペンデュラムモンスター、イグナイトウージーを手札に加える‼︎」
「へぇ、ペンデュラムモンスター。プロ時代のアナタは使っていなかったハズだけど?」
「俺も遊花達に刺激を受けて変わってきてるんですよ。聖騎士の追想 イゾルデの更なる効果発動‼︎メモリーズギフト‼︎デッキから装備魔法カードを任意の数だけ墓地へ送り、墓地へ送ったカードの数と同じレベルの戦士族モンスター1体をデッキから特殊召喚する‼︎俺はデッキから妖刀竹光、リビングフォッシル、最強の盾、閃光の双剣-トライス、使い捨て
〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性
ATK1900
イゾルデに導かれ、姿を現したのは絵札の名を持つ青い鎧の騎士。
「墓地に送られた妖刀竹光の効果発動‼︎デッキから妖刀竹光以外の竹光カードをデッキから手札に加える‼︎俺はデッキから黄金色の竹光を手札に加える‼︎さらに俺は装備魔法、妖刀竹光をジャックスナイトに装備‼︎そして魔法カード、黄金色の竹光を発動‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在する場合に発動でき、デッキからカードを2枚ドローする‼︎」
「どんどんデッキを圧縮しているわね。流石は元プロ決闘者と言ったところかしら?」
「恐縮です。俺はスケール2のイグナイトデリンジャーとスケール7のイグナイトウージーでペンデュラムスケールをセッティング‼︎」
俺を挟むように光の柱が立ち上り、その光の中に導火線に火がついた2体の戦士の姿が浮かびあがり、下に2と7の数字が現れる。
「これにより俺は3から6までのモンスターを同時に召喚可能‼︎魂を燃やす戦士よ‼︎燃え盛る勇気となりて、運命を超える力を導け‼︎ペンデュラム召喚‼︎現れろ、俺のモンスター達‼︎」
俺がそういうと空に巨大な穴が空き、そこからフィールドに向かって2つの光が舞い降りる。
「レベル4、クィーンズナイト‼︎」
〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性
DEF1600
最初に現れたのは絵札の名を持つ赤い鎧を身に纏った女性の騎士。
そしてその後ろに赤き装甲の戦士が降り立つ。
「レベル5、オーバーレイブースター‼︎」
〈オーバーレイブースター〉☆5 戦士族 光属性
ATK2000
「レベル5モンスターが2体………これは………‼︎」
「俺は光属性レベル5のジャックスナイト、オーバーレイブースターでオーバーレイ‼︎2体の光属性モンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」
ジャックスナイトとオーバーレイブースターが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けると空から純白の鎧を見に纏った戦士が降りてくる。
「星々を守りし光の戦士‼︎セイクリッドプレアデス‼︎」
〈セイクリッドプレアデス〉★5 戦士族 光属性
ATK2500
「やはりエクシーズ召喚‼︎それもプロ時代には使っていなかったものね」
「あの頃の俺はリンクと融合しか使おうとしませんでしたからね。今となっては勿体なかったなって思ってますよ。墓地に送られた妖刀竹光の効果発動‼︎デッキから黄金色の竹光を手札に加える‼︎そしてペンデュラムゾーンのイグナイトデリンジャーのペンデュラム効果発動‼︎イグナイトモジュール‼︎もう片方の自分のペンデュラムゾーンにイグナイトカードが存在する場合、自分のペンデュラムゾーンのカードを全て破壊し、自分のデッキ・墓地から戦士族・炎属性モンスター1体を選んで手札に加える‼︎俺はペンデュラムゾーンのイグナイトデリンジャー、イグナイトウージーを破壊し、デッキからゴッドフェニックスギアスリードを手札に加える‼︎」
光の中にいた2体の戦士の導火線が勢いよく燃え上がり、2体の戦士が爆散する。
その爆風でデッキから不死鳥の騎士が手札に加わる。
「まだまだ行きます‼︎手札のゴッドフェニックスギアフリードの効果発動‼︎自分のフィールド・墓地から装備魔法カード1枚を除外してこのカードを手札から特殊召喚する‼︎俺は墓地にある妖刀竹光を除外‼︎」
墓地にあった妖刀竹光が勢いよく燃え上がり、灰へと変わる。
その灰が集まり、輝くとそこに現れたのは炎を纏う不死鳥の騎士。
「幾星霜を燃え尽きようと、不死鳥は騎士に宿りて蘇る‼︎降誕せよ、ゴッドフェニックスギアフリード‼︎」
〈ゴッドフェニックスギアフリード〉☆9 戦士族 炎属性
ATK3000
「今度は最上級の戦士モンスター………」
「まだですよ。遊花の思いがこもったこのデッキの力はこんなものじゃありません‼︎ 自分フィールドに戦士族・炎属性モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる‼︎来い、焔聖騎士-リナルド‼︎」
〈焔聖騎士-リナルド〉☆1 戦士族 炎属性
DEF200
ゴッドフェニックスの近くに現れたのは馬に乗った赤き騎士。
「この方法で特殊召喚した焔聖騎士-リナルドはチューナーとして扱う‼︎」
「っ、次はチューナーモンスター⁉︎」
「さらに焔聖騎士-リナルドの効果発動‼︎ このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地のカード及び除外されている自分のカードの中から、同名カード以外の戦士族・炎属性モンスター1体または装備魔法カード1枚を手札に加える‼︎俺は除外された妖刀竹光を手札に加える‼︎」
「手札に竹光が揃ったことでまたドローができる………そして………」
「俺はレベル4、クィーンズナイトに、レベル1、チューナーモンスターとなった焔聖騎士-リナルドをチューニング‼︎」
「やっぱりシンクロ召喚まで使えるのね」
リナルドが光の輪になり、クィーンズナイトが小さな星に変わり、光の道になる。
「他者の痛みを知る傭兵よ‼︎その力を弱きものを守る為に振るえ‼︎シンクロ召喚‼︎懇篤の傭兵‼︎スカーウォリアー‼︎」
〈スカーウォリアー〉☆5 戦士族 地属性
ATK2100
光の道が輝くと、その中から現れたのは片腕を包帯で吊るした傷だらけの傭兵。
「俺は装備魔法、妖刀竹光をゴッドフェニックスギアフリードに装備‼︎ 魔法カード、黄金色の竹光を発動‼︎デッキからカードを2枚ドローする‼︎よし‼︎さらに俺は戦士族である聖騎士の追想 イゾルデをリリースし、手札より現れよ、沈黙の剣士-サイレントソードマン‼︎」
〈沈黙の剣士-サイレントソードマン〉☆4 戦士族 光属性
ATK1000
イゾルデの姿が消え、代わりに現れたのは銀色の大剣を持つ戦士。
「沈黙の剣士-サイレントソードマン………確かそのモンスターはレベルモンスターの………」
「一応、俺の布陣の説明、いりますか?」
「………そうね、教えて貰えるかしら」
「それじゃあ説明させて貰いますね。まずはスカーウォリアーの永続効果、ディヴォートチャリティーによりこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手は表側表示で存在する他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択する事はできず、また、スカーウォリアーは1ターンに1度だけ、戦闘では破壊されません」
「戦闘破壊耐性に攻撃誘導ね」
「さらにゴッドフェニックスギアフリードの効果、炎凰十字斬により、1ターンに1度、モンスターの効果が発動した時、自分フィールドの表側表示の装備カード1枚を墓地へ送ってその発動を無効にして破壊し、沈黙の剣士-サイレントソードマンの効果、魔断斬りによって、1ターンに1度、魔法カードが発動した時にその発動を無効にします」
「お次はモンスター効果と魔法無効………」
「最後にセイクリッドプレアデスの効果、ゾディアックリターンによりオーバーレイユニットを1つ使い、1ターンに1度、相手のカード1枚を手札に戻すことができ、この効果は相手ターンでも使用することができます」
「最後にはカードバウンス………本当に容赦無いわね」
先攻で作り上げた俺のフィールドに、睡蓮さんは苦い表情を浮かべる。
この布陣は幻騎とデュエルをした遊花が考えたものだ。
CNo.と実際に相見えた遊花が出した結論は相手にCNo.を出させない、RUMを使わせないということらしい。
CNo.となったホープの攻撃は普通の闇のカードよりも強力なものだったというのは闇の弁。
それこそ俺が生死の境を彷徨ったように、簡単に人を死に至らしめる力だ。
だからこそ、使わせない。
出させない。
それでいて俺にあった攻撃的な防御手段を考えたらしい。
まぁ、元はと言えば俺のデッキに相手を妨害する手段が乏しかったのも原因なのだが。
チラッと遊花の方を見ると、嬉しそうに目を輝かせている。
あの表情が見れただけでも、頑張って新戦術を身につけた甲斐はあると言ったものだ。
とはいえ、まだデュエルは始まったばかり。
相手はあの桜の母親だ。
きっと油断をしていい相手ではない。
成り行きで始まったデュエルではあるが、遊花達の期待に応えるためにも、俺は全力でデュエルをするだけだ。
「それじゃあ俺はカードを1枚伏せてターンエンドです」
遊騎 LP8000 手札0
ー▲△ーー ー
ー○○○○
ー ー
ーーーーー
ーーーーー ー
睡蓮 LP8000 手札5
「さて、どうしたものかしらね。私のターン、ドロー‼︎」
「スタンバイフェイズ、沈黙の剣士-サイレントソードマンの効果発動‼︎沈思黙考‼︎自分・相手のスタンバイフェイズ、このカードの攻撃力は500ポイントアップする‼︎」
沈黙の剣士-サイレントソードマン
ATK1000→1500
「時間が経てば立つ程強くなるってわけね。なら、早めに破壊させて貰おうかしら。魔法カード、儀式の下準備‼︎デッキから儀式魔法カード1枚を選び、さらにその儀式魔法カードにカード名が記された儀式モンスター1体を自分のデッキ・墓地から選んで、そのカード2枚を手札に加えるわ‼︎」
「儀式デッキか………沈黙の剣士-サイレントソードマンの効果発動‼︎魔断斬り‼︎ 1ターンに1度、魔法カードが発動した時にその発動を無効にする‼︎」
沈黙の剣士が睡蓮さんが発動しようとした儀式の下準備をぶった斬り、その発動を無効にする。
儀式魔法と儀式モンスターが揃ってしまうから使わざるを得なかったとはいえ、早速、沈黙の剣士を使わされてしまった。
儀式デッキということが分かったが、早くも魔法無効が出来なくなったところがどこまで響くか………
「早速使ってきたわね。それなら次はこれよ。手札の機械天使の絶対儀式を見せて、
「っ、2体特殊召喚されるのはマズいか。ゴッドフェニックスギアフリードの効果発動‼︎炎凰十字斬‼︎1ターンに1度、モンスターの効果が発動した時、自分フィールドの表側表示の装備カード1枚を墓地へ送ってその発動を無効にして破壊する‼︎俺は装備魔法、妖刀竹光を墓地に送り、魔神儀-キャンドールの効果を無効にする‼︎」
ゴッドフェニックスが妖刀竹光を振るうと妖刀竹光から不死鳥の形をした炎が放たれ、キャンドールを焼き尽くす。
キャンドールが燃え尽きると、妖刀竹光も燃えはじめ、灰に変わった。
「墓地に送られた妖刀竹光の効果発動‼︎デッキから装備魔法、折れ竹光を手札に加える‼︎」
「手札は増えたけど、これで無効効果は無くなった。思う存分動かせて貰うわ‼︎ 私は
〈宣告者の神巫〉☆2 天使族 光属性
ATK500
フィールドに現れたのは白いローブを羽織った虹色の羽根を持つ天使の少女。
「宣告者の神巫の効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキ・EXデッキから天使族モンスター1体を墓地へ送り、このカードのレベルはターン終了時まで、そのモンスターのレベル分だけ上がるわ‼︎私はEXデッキからレベル4の
宣告者の神巫
☆2→6
宣告者の神巫の背後に虹色の羽根を持つ白い球体の天使が現れ、宣告者の神巫に力を与えてレベルを上昇させる。
「さらに墓地に送られた虹光の宣告者の効果発動‼︎このカードが墓地へ送られた場合に、デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える‼︎私はデッキから儀式モンスター、サイバーエンジェル-
「サイバーエンジェル-美朱濡-………?その名前、どこかで………」
「行くわよ、儀式魔法、機械天使の絶対儀式を発動‼︎レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地から天使族または戦士族のモンスターをデッキに戻し、手札からサイバーエンジェル儀式モンスター1体を儀式召喚するわ‼︎」
「っ、墓地のモンスターを使って儀式召喚⁉︎」
「私はフィールドのレベル6となった宣告者の神巫をリリースし、さらに墓地のレベル4モンスター、虹光の宣告者をEXデッキに戻して儀式召喚を行う‼︎」
睡蓮さんの前に炎が灯った祭壇が現れ、その炎の中に宣告者の神巫と虹光の宣告者が身を投げる。
炎が一際強く燃え上がると、炎を吹き飛ばしながら姿を現したのは金の歯車を背負う機械の天使。
「勝利をもたらす天使よ‼︎その力で悪しきもを浄化せよ‼︎儀式召喚‼︎降臨せよ、サイバーエンジェル-美朱濡-‼︎」
〈サイバーエンジェル-美朱濡-〉☆10 天使族 光属性
ATK3000
「サイバーエンジェル-美朱濡-の効果発動‼︎イミディアトゥブゥーダ‼︎このカードが儀式召喚に成功した場合、EXデッキから特殊召喚された相手フィールドのモンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの数×1000ポイントのダメージを相手に与え、このターン、このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる‼︎」
「なっ⁉︎」
「さらにサイバーエンジェル-美朱濡-の効果にチェーンしてリリースされた宣告者の神巫の効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、このカードがリリースされた場合、手札・デッキから同名カード以外のレベル2以下の天使族モンスター1体を特殊召喚する‼︎」
「っ、後続まで増えるのか。なら、さらにチェーンしてセイクリッドプレアデスの効果発動‼︎ゾディアックリターン‼︎オーバーレイユニットを1つ使い、サイバーエンジェル-美朱濡-を手札に戻す‼︎」
プレアデスが空間に穴を開け、星の弾丸を放って美朱濡を空間の裂け目に弾き飛ばす。
しかし、空間の裂け目に呑まれる瞬間、美朱濡は背負っていた金の歯車をプレアデスに向けて放ち、放たれた金の歯車が意志を持っているかのように辺りを旋回し始めた。
「サイバーエンジェル-美朱濡-は手札に戻るわ。次に宣告者の神巫の効果発動‼︎私はデッキからサイバープチエンジェルを特殊召喚するわ‼︎」
〈サイバープチエンジェル〉☆2 天使族 光属性
DEF200
宣告者の神巫の力により、フィールドに機械の身体を持つ小さな天使が姿を現す
「最後にサイバーエンジェル-美朱濡-の効果発動‼︎イミディアトゥブゥーダ‼︎あなたがEXデッキから特殊召喚したモンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの数×1000ポイントのダメージを相手に与えるわ‼︎」
最後に辺りを旋回していた美朱濡の放った金の歯車が高速で移動してプレアデス、スカーを斬り刻んだ。
遊騎 LP8000→6000
「くっ………これで妨害手段は全部使わされたか」
「これで私を止めるものは本当に無くなったわ。サイバープチエンジェルの効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合にデッキからサイバーエンジェルモンスター1体または機械天使の儀式1枚を手札に加える‼︎私はデッキからサイバーエンジェル-弁天-を手札に加えるわ‼︎ そして私は今手札に加えたサイバーエンジェル-弁天-をリリースし、魔法カード、慈悲深き機械天使‼︎同名カードは1ターンに1度、自分の手札・フィールドのサイバーエンジェル儀式モンスター1体をリリースし、自分はデッキから2枚ドローし、その後手札を1枚選んでデッキの一番下に戻す‼︎ただし、このカードの発動後、ターン終了時まで自分は儀式モンスターしか特殊召喚できないわ。さらにリリースされたサイバーエンジェル-弁天-の効果発動‼︎このカードがリリースされた場合、デッキから天使族・光属性モンスター1体を手札に加える‼︎私はデッキから破滅の美神ルインを手札に加えるわ‼︎」
「破滅の美神ルイン⁉︎そのカードは確か………」
「あら、このカードのことを知ってるのね。それなら話は早いわ。世界が崩壊していく中で、あなたは滅びずにいられるかしら?儀式魔法、エンドオブザワールド‼︎ フィールドか手札から、儀式召喚するモンスターと同じレベルになるようにリリースし、破滅の女神ルイン、または終焉の王デミスを降臨させる‼︎そして、破滅の美神ルインの永続効果により、破滅の美神ルインは手札・フィールドに存在する限り破滅の女神ルインとして扱う‼︎私は手札のレベル10モンスター、サイバーエンジェル-美朱濡-をリリースして儀式召喚を行う‼︎」
空に巨大な魔法陣が描かれ、地表が青白い炎に包まれていく。
終末に近づく世界の中、美朱濡が巨大な魔法陣に吸い込まれていく。
美朱濡を吸収し、魔法陣が光り輝くと、天から舞い降りたのは真紅のラブリュスを手にした銀髪の女神。
世界の崩壊を告げる破滅の女神。
「破滅を告げる女神よ‼︎定められし滅びの未来に向け、迷える小羊を導け‼︎儀式召喚‼︎降誕せよ、破滅の美神ルイン‼︎」
〈破滅の美神ルイン〉☆10 天使族 光属性
ATK2900
「破滅の美神ルイン………サイバーエンジェル-美朱濡-………やっぱり、そういうことなのか………」
俺はフィールドに現れた破滅の美神ルインを見て、睡蓮さんから感じていた既視感の正体に気付いた。
「睡蓮さん………1つ尋ねてもよろしいですか?」
「何かしら?」
「『破滅の天使』………この呼び名に聞き覚えは?」
「あら、懐かしい呼び名ね」
「やっぱり、そうなんですね」
昔を懐かしむような遠い目をする睡蓮さんに、俺は苦笑を浮かべる。
道理で娘である桜があんなに強いわけだ。
「遊騎?お母さん?一体何の話をしてるの?」
「師匠、『破滅の天使』って何ですか?」
そんな俺達を見て、不思議そうに首を傾げる遊花と桜。
チラッと睡蓮さんを見ると、悪戯を成功させた子供のような楽し気な笑みを浮かべている。
俺は肩を竦めると、遊花達の質問に答えるべく口を開いた。
「『破滅の天使』って言うのは。俺が保育園の時ぐらいに世界ランキング上位で活躍していたプロ決闘者の異名だよ。天使族のサーチ効果を主軸として呼び出す儀式モンスターで相手のフィールドを破壊し尽くす。特にその人の切り札であり代名詞ともなった3体の儀式モンスター、『サイバーエンジェル-美朱濡-』、『終焉の覇王デミス』、そして『破滅の美神ルイン』は、その人が結婚してプロ決闘者を引退する日まで、見るだけで当時のプロ決闘者を震え上がらせたって話を、学生時代に武者小路校長に聞いたことがある」
「『サイバーエンジェル-美朱濡-』、『終焉の覇王デミス』、『破滅の美神ルイン』………えっ?待って。それ全部お母さんのデッキに入ってるんだけど………」
桜が引き攣った表情でぎこちなく顔を動かし、遊花も困惑した表情で睡蓮さんを見る。
そんな彼女達に俺は間違いないであろうその真実を告げる。
「そのプロ決闘者の名前を、天国 睡蓮(あまくに すいれん)と言う。いや、それは旧姓で正しくは宝月 睡蓮、だな。あってますか、睡蓮さん?」
「えぇ、正解よ」
「はあっ⁉︎」
「睡蓮さんが、元プロ決闘者⁉︎」
あっさりと肯定した睡蓮さんに、遊花、そして実の娘である桜が目を見開いて驚く。
この反応からして、2人は睡蓮さんが元プロ決闘者ってことを知らなかったみたいだな。
「ちょっと、お母さん⁉︎何で教えてくれなかったのよ⁉︎」
「だって、聞かれなかったもの。それに、恥ずかしいじゃない、母親として『破滅の天使』なんて呼び名を娘に知られるの。あなただって、デュエルアカデミアで『壊獣姫』って呼ばれてることをお母さんに教えてくれなかったじゃない」
「どうして知ってるの⁉︎」
「あら?遊花ちゃんが話してくれたわよ?」
「っ⁉︎遊花〜〜〜‼︎」
「ひゃぅ‼︎ご、ごめんって‼︎隠してるなんて思ってなくて、ゆ、揺らさないで〜‼︎」
桜が顔を真っ赤に染めて遊花の身体を揺さ振る。
ああ、やっぱり恥ずかしかったんだな、あの呼び名。
桜らしいと言えばらしい話だ。
いや、プロ決闘者だった時に俺が呼ばれてた『英雄騎士』って名前も大概なんだけどな。
こういうのは慣れと諦めが大事だ。
「それで、私が『破滅の天使』だと知って怖気付きでもしたのかしら?」
そういって、睡蓮さんが試すような視線を俺に向けてくる。
俺が怖気ずく?
まさか、とんでもない‼︎
「それこそまさか、ですよ。聞き及んでいた世界ランキング上位に位置してた元プロ決闘者とのデュエルなんですよ?これで燃えないなんて男が廃りますよ」
「っ………へぇ、少しは見込みがありそうね」
自分でも分かる程楽しげに、獰猛な笑みを浮かべる俺を見て、睡蓮さんが興味深そうに笑う。
「なら、精々足掻いて見せなさい‼︎ 破滅の美神ルインは破滅を体現する女神。その身には確実な破滅をもたらす3つの力を秘めているわ。1つ目の永続効果、リチュアルルインは儀式召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの儀式モンスターは効果では破壊されなくする」
「儀式モンスター全体への効果耐性付与………」
「さらに2つ目の永続効果、チェインルインにより儀式モンスターのみを使用して儀式召喚したこのカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。そして3つ目の効果、カミトゥマントルインによりこのカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与えるわ‼︎」
「っ、連続攻撃にバーン効果まであるのか‼︎」
「さあ、破滅の美神ルインがもたらす破滅にあなたは抗うことができるかしら?バトル‼︎ 破滅の美神ルインでゴッドフェニックスギアフリードを攻撃‼︎」
「攻撃力が足りない破滅の美神ルインでゴッドフェニックスギアフリードを攻撃………っ、狙いはあれか‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動、マジカルシルクハット‼︎相手バトルフェイズに発動でき、デッキから魔法・罠カード2枚を選び、そのカード2枚を攻撃力守備力0の通常モンスターカード扱いとして、自分のメインモンスターゾーンのモンスター1体と合わせてシャッフルして裏側守備表示でセットする‼︎」
「へぇ、珍しいカードを使ってくるわね」
「ただし、この効果でデッキから特殊召喚したカードはバトルフェイズの間しか存在できず、バトルフェイズ終了時に破壊される。俺はデッキから装備魔法、スーペルヴィスと装備魔法、妖刀竹光を通常モンスターカード扱いとして呼び出し、ゴッドフェニックスギアフリードと合わせて裏側守備表示でセット、シャッフルする‼︎」
フィールドに3つのシルクハットが現れ、ゴッドフェニックスを隠すように動き回り、配置される。
破滅の美神ルインは光属性。
攻撃力が足りないのにゴッドフェニックスを直接狙ってきたということは十中八九オネストだろう。
シルクハットの中にゴッドフェニックスを隠せたとはいえ、1度目の攻撃でゴッドフェニックスを当てられたら2度目の攻撃で沈黙の剣士を狙われてバーン効果も合わさって俺の負けが確定する。
ここが勝負の別れ目だ。
「攻撃対象が増えたことで、攻撃対象を変更するわ。破滅の美神ルインで中央のシルクハットを攻撃‼︎ファーストルイン‼︎」
破滅の美神ルインがラブリュスを振り下ろし、中央のシルクハットを切断する。
そのシルクハットの中にあったのは………
「セットカードは………妖刀竹光‼︎破壊される」
「残念、外れちゃったわね」
シルクハットの中に隠されていた妖刀竹光が破壊される。
「墓地に送られた妖刀竹光の効果発動‼︎デッキから最後の黄金色の竹光を手札に加える‼︎」
「手札まで増やされるなんてね、なら次よ‼︎ 破滅の美神ルインで右のシルクハットを攻撃‼︎セカンドルイン‼︎」
破滅の美神ルインが横薙ぎにラブリュスを振るい、右のシルクハットを切断する。
「っ、セットカードは………ゴッドフェニックスギアフリードだ」
〈ゴッドフェニックスギアフリード〉☆9 戦士族 炎属性
DEF2200
切断されたシルクハットからは炎が上がり、苦悶に喘ぐ戦士の声が響き、消滅した。
「当たったわね。なら、破滅の美神ルインの効果発動‼︎カミトゥマントルイン‼︎このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える‼︎」
破滅の美神ルインがラブリュスを掲げると、ラブリュスから光が放たれ、俺の身体を貫いた。
「ぐっ‼︎」
遊騎 LP6000→3000
「このターンで決めるつもりだったんだけどね。よく耐えたわ。私はこのままターンエンドよ」
「バトルフェイズ終了時、最後のシルクハットが破壊される。そして破壊されたスーペルヴィスの効果発動‼︎表側表示のこのカードがフィールドから墓地へ送られた場合、自分の墓地の通常モンスター1体を特殊召喚する‼︎」
「へぇ、ここでモンスターも増やしてくるか」
「甦れ、クィーンズナイト‼︎」
〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性
DEF1600
遊騎 LP3000 手札2
ーーーーー ー
ー○□ーー
ー ー
ーー○□ー
ーーーーー ー
睡蓮 LP8000 手札1
「俺のターン、ドロー‼︎スタンバイフェイズ、沈黙の剣士-サイレントソードマンの効果発動‼︎沈思黙考‼︎自分・相手のスタンバイフェイズ、このカードの攻撃力は500ポイントアップする‼︎」
沈黙の剣士-サイレントソードマン
ATK1500→2000
睡蓮さんのフィールドにセットカードはなく、モンスターも破滅の美神ルインとプチエンジェルのみだ。
一見チャンスのようにも見えるが、先程の睡蓮さんの行動からあの手札はオネストだと仮定して動かなければならない。
迂闊に破滅の美神ルインに攻撃すればその時点でカウンターを受けて俺の負けが確定する。
ここは慎重にいかないとな。
「俺はクィーンズナイトに装備魔法、折れ竹光を装備‼︎さらに魔法カード、黄金色の竹光を発動‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在するためカードを2枚ドローする‼︎よし、永続魔法、
「ゴッドフェニックスギアフリードをデッキに戻してくる、か」
「これで準備は整った、俺はキングスナイトを召喚‼︎」
〈キングスナイト〉☆4 戦士族 光属性
ATK1600
クィーンズナイトと並び立つように現れるのは黄金の鎧を身に纏った騎士。
そしてクィーンとキングが揃った時、新たな騎士が姿を現わす。
「キングスナイトの効果発動‼︎自分フィールドにクィーンズナイトが存在し、このカードを召喚に成功した時、デッキからジャックスナイト1体を特殊召喚する‼︎集え、絵札の三銃士‼︎来い、ジャックスナイト‼︎」
〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性
ATK1900
クィーンズナイトとキングスナイトが剣を合わせると、その剣に重ねるように、剣を掲げたジャックスナイトが現れる。
「絵札の三銃士………プロ決闘者だったアナタの代名詞」
「それだけじゃない‼︎自分フィールドのモンスター3体、クィーンズナイト、キングスナイト、ジャックスナイトをリリースし、手札からこのモンスターを特殊召喚する‼︎」
「っ⁉︎その特殊な召喚方法は………」
絵札の三銃士が粒子に変わり、空に集まっていく。
集まった粒子が弾けると、空から舞い降りたのは龍の鎧を見に纏った漆黒の戦士。
その戦士はフィールドに降り立つと、力強い咆哮を上げた。
「呪われた運命に抗う孤独の戦士‼︎
〈DーHERO BlooーD〉☆8 戦士族 闇属性
ATK1900
「DーHERO………アナタのもう1つの代名詞たる運命の英雄ね」
「DーHERO BlooーDの永続効果、シールデステニー‼︎このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドの表側表示モンスターの効果は無効化される‼︎」
「っ‼︎」
BlooーDの鎧から闇が吹き出し、辺りの風景が夜に変わる。
そのBlooーDから吹き出した闇により、破滅の美神ルインの力が失われていく。
「そしてDーHERO BlooーDの効果発動‼︎カースアブソーブ‼︎1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として、その相手モンスターを装備カード扱いとして1枚だけこのカードに装備し、このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの元々の攻撃力の半分だけアップする‼︎対象は破滅の美神ルイン‼︎」
「くっ、モンスターの吸収効果………‼︎」
BlooーDが破滅の美神ルインに手を伸ばすと、BlooーDの背中に付いている龍の爪が破滅の美神ルインに放たれ、その爪に貫かれた破滅の美神ルインはガラスのように砕け、粒子に変わるとBlooーDに吸い込まれていった。
DーHERO BlooーD
ATK1900→3350
「バトル‼︎沈黙の剣士-サイレントソードマンでサイバープチエンジェルを攻撃‼︎沈黙の剣LV0‼︎」
沈黙の剣士が大剣を振るい、プチエンジェルを両断する。
「くっ‼︎」
「これで睡蓮さんを守るモンスターはいなくなった‼︎DーHERO BlooーDでダイレクトアタック‼︎デソレイションフィアー‼︎」
BlooーDも地面を強く蹴って跳び上がり、空中で一回転して足に闇を纏いながら睡蓮さんに向けて跳び蹴りを放った。
「きゃあ‼︎」
睡蓮 LP8000→4650
睡蓮さんのモンスターは全滅し、ライフも大きく削れた。
とはいえ、相手は世界ランキング上位だった決闘者だ。
このまますんなりといってくれればいいが………
「メインフェイズ2、俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ‼︎」
遊騎 LP3000 手札0
ー▲△ーー ー
ー○○ーー
ー ー
ーーーーー
ーーーーー ー
睡蓮 LP4650 手札1
「モンスター効果を封じるDーHERO BlooーDに魔法をふうじてくる沈黙の剣士-サイレントソードマン………なかなかに厄介ね。私のターン、ドロー‼︎」
「スタンバイフェイズ、沈黙の剣士-サイレントソードマンの効果発動‼︎沈思黙考‼︎自分・相手のスタンバイフェイズ、このカードの攻撃力は500ポイントアップする‼︎」
沈黙の剣士-サイレントソードマン
ATK2000→2500
「そろそろ成長具合が不味くなってきたわね。そろそろ沈黙の剣士-サイレントソードマンにも退場して貰うわよ。私はイーバを召喚‼︎」
〈イーバ〉☆1 天使族 光属性
ATK500
フィールドに現れたのは小型の銃を持ち、ヘルメットをつけた小さな宇宙人のモンスター。
「バトル‼︎イーバでDーHERO BlooーDを攻撃‼︎イレイズレイ‼︎ダメージステップ開始時、手札からオネストの効果を発動‼︎」
「っ、やっぱりオネストがあったか………」
「自分の光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる‼︎そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする‼︎DーHERO BlooーDの攻撃力は3350。よってイーバの攻撃力を3350ポイントアップさせる‼︎」
イーバ
ATK500→3850
イーバの背中に天使の羽根が生え、手にした銃にエネルギーが集束していく。
イーバが引き金を引くと、銃口から極太のレーザーが放たれ、BlooーDを呑み込み、跡形もなく消しとばした。
遊騎 LP3000→2500
「くっ………すまない、DーHERO BlooーD………」
「これでフィールドでもモンスター効果が使えるようになったわ‼︎メインフェイズ2‼︎再生せよ‼︎廃墟に芽吹くサーキット‼︎」
「っ、リンク召喚か………」
睡蓮さんの前に大きなサーキットが現れる。
「召喚条件はトークン以外のレベル1モンスター1体‼︎私はイーバをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎リンク1‼︎サクリファイスアニマ‼︎」
「サクリファイスアニマだって⁉︎」
〈サクリファイスアニマ〉LINK1 魔法使い族 闇属性
ATK0 ↑
睡蓮さんが呼び出したのは遊花も使っている怪しげな邪眼を持つモンスター。
この状況でアイツはマズい。
「まずは墓地に送られたイーバの効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、このカードが墓地へ送られた場合、このカード以外の自分のフィールド・墓地の天使族・光属性モンスターを2体まで除外し、除外した数だけ、デッキからイーバ以外のレベル2以下の天使族・光属性モンスターを同名カードは1枚まで手札に加える‼︎私は墓地から宣告者の神巫とサイバープチエンジェルを除外してデッキからサイバーエッグエンジェルと2枚目の宣告者の神巫を手札に加えるわ‼︎そしてサクリファイスアニマの効果発動‼︎リンクアブソーブ‼︎1ターンに1度このカードのリンク先の表側表示モンスター1体を対象にその表側表示モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備し、このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする‼︎対象は沈黙の剣士-サイレントソードマンよ‼︎吸収なさい、サクリファイスアニマ‼︎」
アニマの目の上にある空間が開き、沈黙の剣士が吸い込まれる。
しばらくするとアニマの背中についている羽のような部分から大剣が浮き上がった。
サクリファイスアニマ
ATK0→1000
「これで私を縛るものは全部無くなったわ。とはいえ、それが効果を生むのは次のターンだけど。私はこれでターンエンドよ」
「なら、リバースカードオープン‼︎罠発動、貪欲な瓶‼︎同名カードは1ターンに1度しか発動できず、同名カード以外の自分の墓地のカード5枚を対象としてそのカード5枚をデッキに加えてシャッフルし、その後、自分はデッキから1枚ドローする‼︎俺は墓地に存在する妖刀竹光2枚、黄金色の竹光3枚をデッキに戻してシャッフルし、カードを1枚ドローする‼︎」
「っ‼︎へぇ、ドローカードを一気にデッキに戻してくる、か。お手並み拝見といこうかしら」
遊騎 LP2500 手札1
ーー△ーー ー
ーーーーー
☆ ー
ーーーーー
ーー△ーー ー
睡蓮 LP4650 手札2
「俺のターン‼︎ドローフェイズ、永続魔法、武装鍛錬の効果発動‼︎ 自分ドローフェイズに通常のドローを行う代わりに自分のデッキ・墓地から装備魔法カード1枚を選んで手札に加える‼︎俺はデッキから装備魔法、妖刀竹光を手札に加える‼︎」
「また妖刀竹光が手札に加わっちゃったわね」
「俺は睡蓮さんのサクリファイスアニマに装備魔法、妖刀竹光を装備‼︎」
アニマの手元に妖刀竹光が現れる。
これで準備はできた。
「そして永続魔法、武装鍛錬の効果発動‼︎俺は墓地の焔聖騎士-リナルドをデッキの下に戻してカードを1枚ドローする‼そして俺はバトルサバイバーを召喚‼︎︎」
〈バトルサバイバー〉☆4 戦士族 地属性
ATK1600
フィールドに現れたのは串についた肉を頬張るボロボロのマントを羽織った冒険者のモンスター。
「バトル‼︎バトルサバイバーでサクリファイスアニマに攻撃‼︎エニシングゴーズ‼︎」
サバイバーが肉を刺していた串をアニマの眼に投擲し、目潰しをすると、アニマの羽根から浮き上がった沈黙の剣士の大剣とアニマが手にしていた妖刀竹光を奪い取り、二刀を使ってアニマを切り刻んだ。
睡蓮 LP4650→4050
「くっ………流石にあの攻撃力じゃやられるわよね」
「ここからが本番ですよ。墓地に送られた妖刀竹光の効果、それにチェーンして墓地の閃刀姫-ロゼの効果発動‼︎」
「っ⁉︎そのカードは最初に曙光の騎士で墓地に送っていた………」
「このカードが墓地に存在する状態で、EXモンスターゾーンの相手モンスターが、戦闘で破壊された場合、または自分のカードの効果でフィールドから離れた場合、このカードを特殊召喚する‼︎その後、相手フィールドの表側表示モンスター1体を選び、ターン終了時までその効果を無効にできる。来い、閃刀姫-ロゼ‼︎」
〈閃刀姫-ロゼ〉☆4 戦士族 光属性
ATK1500
フィールドに黒い軍服に身を包み、真っ赤な刀を手にした銀髪赤目の少女が現れる
「そして墓地に送られた妖刀竹光の効果発動‼︎デッキから黄金色の竹光を手札に加える‼︎バトルフェイズ中の特殊召喚のため、閃刀姫-ロゼには攻撃する権利が残っている‼︎ 閃刀姫-ロゼでダイレクトアタック‼︎ダーインスレイヴ‼︎」
攻撃宣言をするとロゼは一瞬で睡蓮さんとの距離を詰め、手にした真紅の刀で睡蓮さんを斬り裂いた。
睡蓮 LP4050→2550
「くぅっ‼︎やってくれるわね‼︎」
「よし‼︎バトルフェイズ終了時、バトルサバイバーの効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、自分・相手のバトルフェイズ終了時にこのバトルフェイズ中、このモンスターが表側表示で存在する間に自分の墓地へ送られたカードの中から、同名カード以外のカード1枚を自分の墓地から選んで手札に加える‼︎俺はフィールドから墓地に送られた妖刀竹光を手札に加える‼︎」
「っ⁉︎そこも見越して妖刀竹光を手札に加えてたのね………」
「メインフェイズ2‼︎俺は装備魔法、妖刀竹光をバトルサバイバーに装備‼︎そして魔法カード、黄金色の竹光を発動‼︎自分フィールドに竹光と名のついた装備魔法が存在するため、カードを2枚ドローする‼︎」
サバイバーがアニマから手に入れた妖刀竹光を掲げ、黄金色の竹光により俺はカードをドローする。
そして俺は正面に手をかざす。
「俺はフィールドにいるレベル4モンスター、バトルサバイバーと閃刀姫-ロゼでオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎』
サバイバーとロゼが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。
そして渦が爆けるとそこに現れたのは翠玉の身体を持つ岩石の戦士。
「勝機を照らす翠玉の戦士‼︎現れろ‼︎ダイガスタエメラル‼︎」
〈ダイガスタエメラル〉★4 岩石族 風属性
DEF800
「ランク4のエクシーズモンスター………」
「再び墓地に送られた妖刀竹光の効果発動‼︎デッキから2枚目の黄金色の竹光を手札に加える‼︎そしてダイガスタエメラルの効果発動‼︎レェディアンスリバイバル‼︎1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除き、2つの効果から1つを選択して発動できる。1つ目は自分の墓地のモンスター3体をデッキに加えてシャッフルし、その後、自分はデッキから1枚ドローする効果。もう1つは効果モンスター以外の自分の墓地のモンスター1体を対象としてそのモンスターを特殊召喚する効果だ。俺は1つ目の効果を使い墓地の聖騎士の追想 イゾルデをEXデッキに、キングスナイト、ジャックスナイトをデッキに戻してシャッフルし、カードを1枚ドローする‼︎」
「これで手札は5枚………まさかここまでやるとは思わなかったわ」
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド‼︎」
遊騎 LP2500 手札4
ー▲△ーー ー
ーーーーー
ー □
ーーーーー
ーーーーー ー
睡蓮 LP2550 手札2
「まさかここまで持ち直されるとはね。想像以上、と言ったところかしら」
「………そういってますけど、睡蓮さんからはまだまだ余裕を感じられますよ?」
困ったように頬に手を当てる睡蓮さんだが、表情は追い詰められているとは到底思えない程余裕のある笑顔だ。
「あら、手札がたった2枚しかない相手に随分怯えているじゃない」
「例え手札が無くても、たった1枚のドローで全てを覆す可能性がある。それがデュエルじゃないですか?」
「………ふふっ、そうね」
俺の言葉に睡蓮さんは一瞬きょとんとした表情を浮かべた後、くすくすと笑い出す。
「アナタのこと、何となく分かってきたわ。アナタは不器用なぐらい、ただひたすらに真っ直ぐな人なのね。桜と遊花ちゃんが懐くはずだわ」
「………どうも」
その言葉は俺を褒める言葉であり、同時に攻める言葉でもあった。
睡蓮さんはこう言っているのだ。
アナタは確かに誠実かも知れない。
だけど、誠実なだけでは遊花達は守れない、と。
「だからといって、アナタの行動が私の目に余るのは変わらないわ。その居場所を守りたいのであれば、死ぬ気で証明して見せなさい‼︎私のターン、ドロー‼︎………ふふっ」
「っ‼︎」
勢いよくカードを引いた睡蓮さんの雰囲気が変わる。
どうやら、ここからが正念場みたいだな。
「アナタに見せてあげるわ、過去に『破滅の天使』と呼ばれていた私の全力をね‼︎まずは魔法カード、儀式の準備‼︎デッキからレベル7以下の儀式モンスター1体を手札に加え、その後、自分の墓地の儀式魔法カード1枚を選んで手札に加える事ができる‼︎私はデッキから儀式モンスター、
「魔神儀-カリスライム………?」
「手札の魔神儀-カリスライムを見せて魔神儀-カリスライムの効果発動‼︎この効果は魔神儀-カリスライムを相手に見せて発動でき、手札を1枚選んで捨て、デッキから魔神儀モンスター1体を特殊召喚する‼︎ただし、発動後、このターン中に自分が儀式モンスターの特殊召喚に成功しなかった場合、エンドフェイズに自分は2500のライフポイントを失うわ。私は手札の宣告者の神巫を捨てて、デッキから魔神儀-キャンドールを特殊召喚‼︎」
〈魔神儀-キャンドール〉☆4 炎族 光属性
DEF0
「魔神儀-キャンドールの効果発動‼︎このカードがデッキからの特殊召喚に成功した場合、デッキから儀式魔法カード1枚を手札に加える‼︎私はデッキから儀式魔法、
「魔神儀の儀式魔法………」
「さらに私はサイバーエッグエンジェルを召喚‼︎」
〈サイバーエッグエンジェル〉☆2 天使族 光属性
ATK200
フィールドに現れたのは機械で出来た卵に羽根が生えた天使のモンスター。
「サイバーエッグエンジェルの効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合デッキから機械天使魔法カードまたは祝福の教会-リチューアルチャーチ1枚を手札に加える‼︎
私はデッキから祝福の教会-リチューアルチャーチを手札に加えるわ‼︎そしてフィールド魔法、祝福の教会-リチューアルチャーチを発動‼︎」
睡蓮さんがフィールド魔法ゾーンにカードを置くと、辺りの景色が教会の礼拝堂に変わる。
「手札から儀式魔法、魔神儀の祝誕を捨てて、祝福の教会-リチューアルチャーチの効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、自分メインフェイズに手札から魔法カード1枚を捨ててデッキから光属性の儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える‼︎私はデッキから儀式魔法、機械天使の儀式を手札に加えるわ‼︎さらに魔神儀-キャンドールを墓地に送り、墓地の魔神儀の祝誕の効果発動‼︎このカードが墓地に存在する場合、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、同名カード以外の魔神儀カード1枚を墓地へ送ってデッキから魔神儀モンスター1体を特殊召喚し、その後、墓地のこのカードを手札に加える‼︎来なさい、
〈魔神儀-タリスマンドラ〉☆6 植物族 闇属性
DEF0
ペンシルベルの代わりにフィールドに現れたのは首にタリスマンをかけたマンドラゴラのモンスター。
「魔神儀-タリスマンドラの効果発動‼︎このカードがデッキからの特殊召喚に成功した場合にデッキから儀式モンスター1体を手札に加える‼︎私はデッキからサイバーエンジェル-韋駄天-を手札に加えるわ‼︎さらに祝福の教会-リチューアルチャーチのもう1つの効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、自分の墓地の魔法カードを任意の数だけデッキに戻し、デッキに戻した数と同じレベルを持つ、自分の墓地の天使族・光属性モンスター1体を特殊召喚する‼︎私は墓地の儀式の下準備と儀式の準備をデッキに戻して墓地から宣告者の神巫を特殊召喚‼︎」
〈宣告者の神巫〉☆2 天使族 光属性
DEF300
「っ、そいつは………」
「宣告者の神巫の効果発動‼︎私は再びEXデッキからレベル4の虹光の宣告者を墓地に送り、宣告者の神巫のレベルを4つ上昇させるわ‼︎」
宣告者の神巫
☆2→6
「さらに墓地に送られた虹光の宣告者の効果発動‼︎私はデッキから儀式モンスター、サイバーエンジェル-弁天-を手札に加える‼︎そして儀式魔法、魔神儀の祝誕を発動‼︎レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドの魔神儀モンスターをリリースし、手札から儀式モンスター1体を儀式召喚する‼︎私はフィールドの魔神儀-タリスマンドラをリリース‼︎」
フィールドに現れた聖杯の中にタリスマンドラが吸い込まれていく。
タリスマンドラの力が込められた聖杯が光り輝くと、聖杯から現れたのは背中にブースターが付いた神速の天使。
「神速の天使よ‼︎神風を巻き起こし、悪しき者に裁きを与えよ‼︎儀式召喚‼︎降臨せよ、サイバーエンジェル-韋駄天-‼︎」
〈サイバーエンジェル-韋駄天-〉☆6 天使族 光属性
ATK1600
「サイバーエンジェル-韋駄天-の効果発動‼︎このカードが儀式召喚に成功した場合、自分のデッキ・墓地から儀式魔法カード1枚を選んで手札に加える‼︎私はデッキから儀式魔法、エンドレスオブワールドを手札に加えるわ‼︎」
「エンドレスオブワールド………あのカードは………」
「そして儀式魔法、機械天使の儀式‼︎レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、手札からサイバーエンジェル儀式モンスター1体を儀式召喚する‼︎私はフィールドのレベル6となった宣告者の神巫をリリース‼︎」
フィールドに現れた再び炎が灯った祭壇が現れ、その炎の中に宣告者の神巫が身を投げる。
炎が一際強く燃え上がると、炎を吹き飛ばしながら現れたのは聖杯から現れたのは鉄扇を手にした七福神。
「富を司る天使よ‼︎幸運を呼び込み更なる高みへと至れ‼︎儀式召喚‼︎降臨せよ、サイバーエンジェル-弁天-‼︎」
〈サイバーエンジェル-弁天-〉☆6 天使族 光属性
ATK1800
「っ、どんどん儀式モンスターが出てくるな………」
「リリースされた宣告者の神巫の効果発動‼︎私は再びデッキからサイバープチエンジェルを特殊召喚するわ‼︎」
〈サイバープチエンジェル〉☆2 天使族 光属性
DEF200
「さらにサイバープチエンジェルの効果発動‼︎私はデッキから再びサイバーエンジェル-美朱濡-を手札に加えるわ‼︎」
「これでまたサイバーエンジェル-美朱濡-を呼び出す準備ができたってわけか………」
「さらに再生せよ‼︎廃墟に芽吹くサーキット‼︎」
「っ、またリンク召喚か………」
睡蓮さんの前に再び大きなサーキットが現れる。
「召喚条件はカード名が異なるモンスター2体‼︎私はサイバーエッグエンジェルとサイバープチエンジェルをリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎リンク2‼︎クロシープ‼︎」
〈クロシープ〉LINK 2 獣族 地属性
ATK700 ↙︎ ↘︎
サイバーエッグエンジェルとサイバープチエンジェルがサーキットに吸い込まれ、代わりに現れたのは編み物をしている羊のモンスター。
「これで準備は出来たわ。さあもう1度あの子を降臨させるわよ。儀式魔法、機械天使の絶対儀式を発動‼︎私は墓地のレベル10モンスター、破滅の美神ルインをデッキに戻して儀式召喚を行う‼︎」
睡蓮さんの前に再び炎が灯った祭壇が現れ、その炎の中に破滅の美神ルインが身を投げる。
炎が一際強く燃え上がると、炎を吹き飛ばしながら再び姿を現したのは金の歯車を背負う機械の天使。
「再臨せし勝利をもたらす天使よ‼︎その力で悪しきもを浄化せよ‼︎儀式召喚‼︎降臨せよ、サイバーエンジェル-美朱濡-‼︎」
〈サイバーエンジェル-美朱濡-〉☆10 天使族 光属性
ATK3000
「サイバーエンジェル-美朱濡-の効果、それにチェーンしてクロシープの効果発動‼︎同名カードは1ターンに1度、このカードのリンク先にモンスターが特殊召喚された場合にこのカードのリンク先のモンスターの種類によって効果を適用する‼︎儀式モンスターがいる場合自分はデッキから2枚ドローし、その後手札を2枚選んで捨てる‼︎」
「手札交換………なら、こっちも手札を増やさせて貰う‼︎チェーンしてリバースカードオープン‼︎永続罠、闇の増産工場‼︎自分の手札・フィールドのモンスター1体を墓地へ送って自分はデッキから1枚ドローする‼︎俺はフィールドのダイガスタエメラルを墓地へ送って1枚ドローする‼︎」
「ダメージを与えなければサイバーエンジェル-美朱濡-は2回攻撃はできない。上手く躱したわね。でも、それぐらいじゃアナタが至る終焉からは逃れられないわ‼︎クロシープの効果発動‼︎自分はデッキから2枚ドローし、その後手札を2枚選んで捨てる‼さらに魔法カード、貪欲な壺‼︎墓地のイーバ、サイバーエッグエンジェル、サイバープチエンジェル、オネスト、魔神儀-カリスライムをデッキに戻してカードを2枚ドローする‼︎さらに墓地に存在するシャッフルリボーンの効果発動‼」
「っ、クロシープの時に墓地に送ってたのか………‼︎」
「自分フィールドのカード1枚を対象としそのカードを持ち主のデッキに戻してシャッフルし、その後自分はデッキから1枚ドローする。ただしこのターンのエンドフェイズに、自分の手札を1枚除外する‼︎私はフィールドのクロシープをEXデッキに戻し、カードを1枚ドローする‼︎さあ、下ごしらえはこれで終わり。ようやくメインディッシュよ‼︎儀式魔法、エンドレスオブザワールド‼︎」
「っ、遂にくるか‼︎」
「レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分フィールドのモンスターをリリースし、手札から破滅の女神ルインまたは終焉の王デミスを儀式召喚する‼︎そして、終焉の覇王デミスの永続効果により、終焉の覇王デミスは手札・フィールドに存在する限り終焉の王デミスとして扱う‼︎私はフィールドのレベル6モンスター、サイバーエンジェル-韋駄天-とサイバーエンジェル-弁天-をリリースして儀式召喚を行う‼︎」
空に巨大な魔法陣が描かれ、地表が青白い炎に包まれていく。
終末に近づく世界の中、韋駄天と弁天が巨大な魔法陣に吸い込まれていく。
魔法陣から闇が降り注ぐと、闇より現れたのは漆黒の鎧に身を包み、巨大なラブリュスを手にした覇王。
世界を崩壊させる終焉の覇王。
「終焉に導く覇王よ‼︎定められし滅びをもたらし、彷徨える魂を安寧へと導け‼︎儀式召喚‼︎降誕せよ、終焉の覇王デミス‼︎」
〈終焉の覇王デミス〉☆10 悪魔族 闇属性
ATK3000
「遂に来たか、終焉の覇王デミス‼︎」
「さあ、終焉の始まりよ‼︎リリースされたサイバーエンジェル-韋駄天-、さらにチェーンしてリリースされたサイバーエンジェル-弁天-の効果発動‼︎私はデッキから再び破滅の美神ルインを手札に加えるわ‼︎そしてサイバーエンジェル-韋駄天-の効果発動‼︎ このカードがリリースされた場合、自分フィールドの全ての儀式モンスターの攻撃力・守備力は1000ポイントアップする‼︎」
「っ、全体強化か‼︎」
韋駄天の力の残滓が終焉の覇王デミスと美朱濡に流れ込み、その力を強化していく。
終焉の覇王デミス
ATK3000→4000 DEF3000→4000
サイバーエンジェル-美朱濡-
ATK3000→4000 DEF2000→3000
「攻撃力4000の儀式モンスターが2体………」
「まだよ‼︎終焉がもたらす破滅はこの程度じゃないわ‼︎速攻魔法、リバースオブザワールド‼︎」
「リバースオブザワールド………?」
「レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、手札の儀式モンスターをリリースし、手札・デッキから破滅の女神ルインまたは終焉の王デミスを儀式召喚する‼︎」
「っ⁉︎儀式召喚ができる速攻魔法⁉︎」
「私は手札のレベル10モンスター、
地面に巨大な魔法陣が描かれ、天に向かって青白い炎の柱が立ちのぼる。
終末に近づく世界の中、祭壇の姿をした悪魔が巨大な魔法陣に吸い込まれていく。
クリオルターを吸収し、魔法陣が光り輝くと、地の底から再び姿を現したのは真紅のラブリュスを手にした銀髪の女神。
世界の崩壊を告げ、終焉をもたらすために再臨した破滅の女神。
「破滅を告げる女神よ‼︎今ここに再臨し、定められし滅びの未来に向け、迷える小羊を導け‼︎儀式召喚‼︎降誕せよ、破滅の美神ルイン‼︎」
〈破滅の美神ルイン〉☆10 天使族 光属性
ATK2900
「『サイバーエンジェル-美朱濡-』、『終焉の覇王デミス』、そして『破滅の美神ルイン』………『破滅の天使』の切り札が揃い踏みか」
まさか一気にレベル10の儀式モンスターを3体も呼び出されるとは思わなかった。
これが、『破滅の天使』と呼ばれた睡蓮さんの実力。
俺が子供の頃に活躍していたプロ決闘者の本気………‼︎
「さあ、アナタの全てを終焉へと導いてあげるわ‼︎終焉の覇王デミスは終焉をもたらす覇王。その身には破滅の美神ルインと同じく確実な破滅をもたらす3つの力を秘めている‼︎1つ目の永続効果、リチュアルデミスは儀式召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの儀式モンスターは戦闘では破壊されなくする」
「っ、破滅の美神ルインの効果と合わさって儀式モンスターは戦闘でも効果でも破壊されなくなってるのか………」
「さらに2つ目の永続効果、ステップダウンデミスにより儀式モンスターのみを使用して儀式召喚したこのカードの効果を発動するために払うライフポイントは必要なくなる。そして3つ目の効果は、今から体感させてあげるわ‼︎終焉の覇王デミスの効果発動‼︎ディストピアデミス‼︎1ターンに1度、2000ライフポイントを払ってフィールドの他のカードを全て破壊し、破壊した相手フィールドのカードの数×200ポイントのダメージを相手に与える‼︎」
「っ⁉︎実質ノーコストでの全体破壊効果⁉︎………なら、使わせて貰うぜ、遊花‼︎2000ライフポイントを払って終焉の覇王デミスの効果にチェーンして手札からクリフォトンの効果発動‼」
「‼︎へぇ………」
遊騎 LP2500→500
「このカードを手札から墓地へ送り、2000ライフポイントを払って、このターン、自分が受ける全てのダメージは0になる‼︎」
終焉の覇王デミスが巨大なラブリュスを掲げると、空に巨大な魔法陣が現れ、魔法陣から全てを消滅させる万雷が降り注ぐ。
降り注がれた万雷は俺のフィールドの全てのカードを消しとばし、俺をも焼き尽くさんと迫るが、雷が俺の身体を貫く前に俺の前に現れた電球のような姿をしたモンスターが、俺の身体を包みこむように光の粒子を放ち、降り注ぐ雷を無効化した。
「手札誘発の防御カードが入ってたなんてね………だからこその余裕だったってわけか………私はこのままターンエンドよ」
遊騎 LP500 手札4
ーーーーー ー
ーーーーー
ー ー
ー○○○ー
ーーーーー ー
睡蓮 LP2550 手札0
遊花がくれたクリフォトンのおかげで生き残ることはできたが、3体の強力な儀式モンスターが健在なことには変わりがない。
おまけに終焉の覇王デミスと破滅の美神ルインにより睡蓮さんの儀式モンスターは全て戦闘・効果破壊耐性を得ている。
遊花に作って貰ったとはいえ、俺の新デッキも出来ることは以前のデッキとそこまで変わっていない。
つまり、基本的には戦闘でしか相手モンスターに対応できないのだ。
そしてこのターンで睡蓮さんを倒し切ることが出来なければ次のターンには終焉の覇王デミスの効果により俺の敗北が決まるだろう。
だけど、だからこそーーー
「………こんな状況でもまだ笑えるのね」
「こんな状況、だからですよ。逆境だからこそ、笑うんです」
こちらを睥睨する睡蓮さんと3体の儀式モンスターに、俺は満面の笑みで応えた。
「確かに状況は俺の方が不利です。でも、だからこそデュエルは楽しいんだって俺は思います」
「楽しい?」
「立ちはだかる強大なモンスター。一寸先に待っている敗北の未来。それをたった1枚のドローで覆せるかも知れない。そんなワクワクした気持ちを、楽しめなきゃ嘘ってもんですよ」
「………成る程、ね。それがアナタの根源ってわけ」
俺は祈るように胸の前で両手を握っている遊花をチラッと見て、デッキの上のカードを掴む。
今の手札じゃ、まだ睡蓮さんを倒し切るには足りない。
だけど、俺は信じている。
遊花が作ってくれたこのデッキは………必ず
俺のことを助けてくれると‼︎
「俺のターン、ドロー‼︎」
勢いよくカードをドローし、そのカードを見る。
「………睡蓮さん。このデュエル、俺の勝ちだ」
「っ⁉︎」
笑顔で勝利宣言をする俺に睡蓮さんは目を見開く。
見せてやる、俺の仲間達の力を‼︎
「俺はクィーンズナイトを召喚‼︎」
〈クィーンズナイト〉☆4 戦士族 光属性
ATK1500
俺が呼び出したのは絵札の三銃士の起点たる女騎士。
「そして俺は装備魔法、災いの装備品を破滅の美神ルインに装備する‼︎」
「っ、災いの………装備品?」
「災いの装備品の効果により装備モンスターの攻撃力は、自分フィールド上に存在するモンスターの数×600ポイントダウンする‼︎」
フィールドに化け物の顔の意匠が施された紫色の装備が現れ、災いの装備品はその呪いにより破滅の美神ルインに取り憑き、その力を奪っていく。
破滅の美神ルイン
ATK2900→2300
「攻撃力を下げる装備カード………だけど、それでもクィーンズナイトの攻撃力じゃ破滅の美神ルインの攻撃力には届かない‼︎」
「確かにクィーンズナイトじゃ破滅の美神ルインの攻撃力には届かない。だけど、俺もコイツも、強大な敵を前に1人で何とか出来るだなんて思っていない‼︎バトル‼︎クィーンズナイトで破滅の美神ルインを攻撃‼︎」
「っ⁉︎迎え撃ちなさい、破滅の美神ルイン‼︎ファーストルイン‼︎」
破滅の美神ルインが向かってくるクィーンズナイトに向かって勢いよくラブリュスを振り下ろす。
このままいけばクィーンズナイトが破壊されて俺の負け………だが、勿論このままでは終わらない‼︎
「1人では成し遂げれなくても仲間を信じ、連携することで不可能を打ち倒す。それが絵札の三銃士だ‼︎速攻魔法発動‼︎ライバルアライバル‼︎」
「⁉︎その速攻魔法は‼︎」
「このカードは自分・相手のバトルフェイズに発動でき、モンスター1体を召喚する‼︎来い、キングスナイト‼︎」
〈キングスナイト〉☆4 戦士族 光属性
ATK1600
現れたキングスナイトが剣を振るい、クィーンズナイトに向かって振り下ろされたラブリュスを逸らす。
「そしてキングスナイトの効果発動‼︎クィーンズナイトが存在するため、再び集え、絵札の三銃士‼︎来い、ジャックスナイト‼︎」
〈ジャックスナイト〉☆5 戦士族 光属性
ATK1900
更にジャックスナイトが盾を構えて破滅の美神ルインに向かって突撃し、その身体を突き飛ばす。
「っ、結束 遊騎の代名詞………絵札の三銃士‼︎」
「俺のフィールドにモンスターが増えたことにより、災いの装備品の効果で破滅の美神ルインは更に弱体化する‼︎」
破滅の美神ルイン
ATK2900→1100
「破滅の美神ルインの攻撃力がクィーンズナイトよりも低く………⁉︎」
「斬り裂け、クィーンズナイト‼︎クィーンズスラッシュ‼︎」
突き飛ばされ、体勢を崩した破滅の美神ルインをクィーンズナイトは容赦なく斬りつけた。
睡蓮 LP2550→2150
「くっ‼︎」
「終焉の覇王デミスの効果により破滅の美神ルインは戦闘破壊されない‼︎追撃だ、キングスナイトで破滅の美神ルインを攻撃‼︎キングススラッシュ‼︎」
睡蓮 LP2150→1650
クィーンズナイトに斬られ、苦悶の表情を浮かべる破滅の美神ルインに、追撃をかけるようにキングスナイトがクィーンズナイトが斬りつけた場所を更に斬り付ける。
「くぅっ‼︎戦闘破壊耐性が仇に………‼︎」
「まだだ‼︎ジャックスナイトで破滅の美神ルインを攻撃‼︎ジャックススラッシュ‼︎」
キングスナイトの攻撃に気を取られた破滅の美神ルインを見て、ジャックスナイトは2人の騎士と同じ場所を更に斬りつけた。
睡蓮 LP1650→850
「うっ‼︎結構ダメージを受けたわね………でも、凌ぎ切ったわよ。次のターンに絵札の三銃士ごとアナタをーーー」
そう………これで本当に最後だ‼︎
「いいや、あなたに次のターンはない‼︎これが勝利への最後のピース‼︎速攻魔法発動‼︎瞬間融合‼︎」
「っ⁉︎ここにきて融合魔法⁉︎」
「自分フィールドに存在から融合モンスターによって決められた融合素材を墓地に送り、EXデッキから融合モンスターを特殊召喚する‼︎俺はクィーンズナイト、キングスナイト、ジャックスナイトの3体で融合‼︎」
フィールドに現れた渦に3体の騎士達が飛び込んでいく。
そして渦が爆けるとその中から現れるのは黒い鎧を身に纏った漆黒の騎士。
「融合召喚‼︎運命に打ち勝つ勇敢なる騎士達の主‼︎アルカナナイトジョーカー‼︎」
〈アルカナナイトジョーカー〉☆9 戦士族 光属性
ATK3800
「絵札の三銃士の融合体、アルカナナイトジョーカー………結束 遊騎の切り札、か」
「フィールドのモンスターが減ったため、災いの装備品の効果も変動する」
破滅の美神ルイン
ATK2900→2300
「これで決める‼︎アルカナナイトジョーカーで破滅の美神ルインを攻撃‼︎」
「っ、最後の意地よ‼︎迎え撃ちなさい、破滅の美神ルイン‼︎ファーストルイン‼︎」
アルカナナイトジョーカーが大剣を構えると、大剣に金色の光が集まっていき、破滅の美神ルインに向かって勢いよく突撃する。
それに対し、破滅の美神ルインは手放していたラブリュスを拾い、突撃してくるアルカナナイトジョーカーに向かって横薙ぎにラブリュスを振るう。
「これで終わりだ‼︎行け、アルカナナイトジョーカー‼︎ロイヤルストレートフラッシュ‼︎」
振るわれたラブリュスに向けてアルカナナイトジョーカーは勢いよく大剣を振るう。
交差する大剣とラブリュス。
怒号のような破砕音。
その後に残されたのは、根元から断ち切られたラブリュスと共にフィールドに沈む破滅の美神ルインの姿だった。
睡蓮 LP850→0
ーーーーーーー
「………俺の勝ちです」
「………そうね、見事なデュエルだったわ」
デュエルが終わり、立体映像が消えていく中で、俺は真っ直ぐに睡蓮さんの目を見る。
俺の目を見た睡蓮さんは、深いーーーとても深いため息を吐いた。
「はぁ〜………ええ、ええ、癪だけど認めるしかないわ。強敵を前に正面からぶつかり、不可能を打倒する………本当に、デュエルだけで自分の人間性を証明するなんてね」
「お母さん‼︎ということは………‼︎」
「結束 遊騎さん。アナタは娘達に不埒な真似を働くような人間ではないことを認めるわ。桜や遊花ちゃんの言ってたことは、確かに間違いじゃなかった」
「っ‼︎師匠………‼︎」
「うおっ⁉︎」
感極まったかのように、勢いよく抱きついてくる遊花を受け止めきれず、押し倒されるように中庭の芝生の上に倒れ込む。
「師匠‼︎師匠‼︎やっぱり、師匠は凄いです‼︎これでこれからも一緒です‼︎」
「ゆ、遊花、あのな………」
俺の胸元に頭を擦り付けてはしゃぐ遊花に、俺は困った表情を浮かべる。
そんな俺を見て、睡蓮さんはクスクスと笑いながらも嗜めるように口を開く。
「ふふっ、成る程ね。むしろアナタの方が不埒な真似をされる方かしら?遊花ちゃん、アナタの師匠が認められて嬉しいのは分かるけど、淑女としてもう少し慎みを持った方がいいわよ?あまり無防備だとアナタの師匠が狼さんになっちゃうかも知れないわ」
「ひゃうっ‼︎⁉︎は、はわわ、ごめんなさい‼︎師匠‼︎」
「あ、ああ」
睡蓮さんの言葉に自分が大胆な行動を取っていることに気付いた遊花は、顔を真っ赤にして慌てた様子で俺の上から飛び退く。
倒れていた身体を起こし、遊花の方に視線を向けると、遊花はビクッと身体を震わせ、その顔を更に真っ赤に染めた。
「あぅあぅ………ぅ〜〜〜‼︎」
「あらあら、この前まで小さな子供だと思っていたのに、遊花ちゃんも一人前の女の子になっていたのね」
「す、睡蓮さん‼︎」
恥ずかしそうに睡蓮さんをポカポカと叩く遊花を見て、睡蓮さんは楽しげに笑う。
どう反応するべきか困り、思わず遊花から視線を逸らすと、こちらをジッと見ていた桜と視線が合う。
何となく気まずい雰囲気の中、桜は1つため息を吐くと呆れたような表情で口を開いた。
「………はぁ〜とりあえず、お疲れ様」
「………ああ、ありがとな、桜。睡蓮さんに認められたのも、お前と遊花が抗議してくれた結果だ」
「前例があったもの。遊騎ならお母さんにも認められるって思ってたわ」
「前例?」
桜の言葉に首を傾げると、桜は不服そうに頬を膨らました。
「………ふーん、そう。遊騎にとっては忘れる程度のことってわけ」
「は?………ああ、もしかして桜と初めて会った時のことを言ってるのか?」
不機嫌そうな桜を見て、俺は納得したようにそう呟く。
確かに状況としては桜に認められた時と全く同じか。
だからこそ、俺なら睡蓮さんにも認められると信じていたのだろう。
それなのに俺がすぐに分からなかったから拗ねていると。
俺はそんな桜が微笑ましく感じ、その頭を軽く撫でた。
「ばーか。大事な友人との最初の出会いだぞ?忘れるわけないだろ?」
「っ、ふ、ふん‼︎どうだか………いつか私のことだって忘れちゃうんじゃないの?」
「すぐに思い至らなかっただけだっての。例え何十年経とうが、桜との出会いを忘れられるかよ」
大事な親友のために、得体の知れない怪しい男に果敢に挑み、友の為に自分を変えることを決意した強く優しい少女。
遊花の出会いと同じく、その少女との出会いを俺は生涯忘れないということは自信を持って言えるのだ。
「そ、そう………なら、赦してあげるわ」
「ククッ、そっか。サンキューな」
「っ………ふん」
俺の言葉に照れ臭そうに桜な顔を逸らす。
本当に、素直じゃない奴だ。
素直じゃない桜の姿を見ながら、俺は思わず笑い声を漏らすのだった。
次回予告
睡蓮とのデュエルを終え、一息ついた遊騎達の元に闇と美傘が訪れる。
闇の帰還を喜ぶ遊騎達だが、そんな遊騎達とは裏腹に闇と美傘は深刻な表情を浮かべる。
困惑する遊騎達は美傘から告げられた凶報に耳を疑う。
次回 遊戯王Trumpfkarte
『失踪する炎影』
次回は会話回。
遊騎視点でお送りします。
闇達が告げる凶報とは?
次回をお楽しみに。
それじゃあ今回はここまで。
再び長らく更新が滞ってしまい申し訳ありません。
冒頭にも書きましたが某ウィルスのせいで現在仕事の忙しさが限界突破して、家に帰った途端に気絶する毎日です。
切実に早く終息して欲しいものです。
ウィルスの前に過労で倒れそう。
それはそれとして、執筆が滞っている間にもまた色んな情報が出ましたね。
もうすぐ新ルールも始まりますし、それに伴う新制限の施行。
デュエル業界の変化も激しいです。
個人的にはエラッタされたとはいえレダメが帰ってきたのが嬉しいです。
次回は会話回なので新ルールへの変更は次のデュエル回で行いたいと思います。
それでは今回はここでお開き。
次回こそ早く更新できればいいな。
ではでは〜