遊戯王Trumpfkarte   作:ブレイドJ

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大変長らくお待たせしました。
1カ月以上かかって間が空いてしまい申し訳ありません。
休みが………纏った休みが欲しい。
そろそろ身体が限界を迎えてにゅういんぐらしが再開しそうです。
今回はデュエル回です。
遊花視点でお送りします。
それでは本編へGO‼︎


第87話 偽りの骸

 

 

「………ん、もう朝………ん〜〜〜」

 

軽快に鳴り響く目覚まし時計を止めながら私は自分の部屋のベッドから身体を起こして伸びをする。

 

起きたばかりで寝ぼけている顔をパチパチと叩いて気合を入れる。

 

「よし、今日も頑張ろう‼︎」

 

私は胸の前で両手を握って気合を入れると急いでクローゼットから制服を取り出し、着替える。

 

そして身だしなみを整えてから2階にある私の部屋からリビングキッチンに降り、朝食とお昼のお弁当を作り始める。

 

朝ご飯とお弁当のおかずがある程度作り終わった時、2階からゆっくりと誰かが降りてくる物音が聞こえてくる。

 

しばらくして、リビングキッチンの扉がゆっくりと開くと、そこにはーーー

 

「ふぁ〜おはよう、なのです〜」

 

「おはようございます、リーネさん………って、リーネさん⁉︎服のボタンが止めれてないですよ⁉︎見えてます‼︎色々見えてますから‼︎」

 

「ほぇ………?そうですか………とりあえず、座ってから………」

 

「わぁ⁉︎そっちは椅子じゃなくて食器棚ですよ⁉︎ぶつかっちゃいます‼︎ちゃんと起きてください‼︎」

 

ーーー明らかに寝ぼけているリーネさんがそこにいた。

 

師匠と約束をしたリーネさんは師匠がいない間私の家に泊まることになった。

 

行方不明になった不知火さんと御影さんを夜遅くまで探し回っていたリーネさんは自宅からとりあえず最低限の荷物だけを持って私の家に来た。

 

時間ももう少しで深夜になるところだったから疲れているとは思ってたけど、まさかここまで寝ぼけてるなんて思わなかった。

 

そうやってフラフラしているリーネさんのフォローをしていると2階から降りてきた闇先パイがリビングに入ってくる。

 

闇先パイは私にフォローされているリーネさんを見ると申し訳無さそうな表情を浮かべた。

 

「おはよう、遊花………………社長が迷惑をかけてるみたいでごめんなさい」

 

「あ、おはようございます、闇先パイ。これぐらいは大丈夫なんですが………リーネさんって、朝弱いんですか?」

 

「みたい………私も今初めて知った」

 

「あ、あはは………とりあえず、リーネさんを洗面所に連れて行ってあげてくれませんか?まだ朝ご飯の準備が終わってなくて………」

 

「任された………社長、ちゃんと起きる………」

 

「ほぇ………あー………おはようなのです………闇ちゃん………」

 

「………………社長、のしかからないで………………くっ、駄肉が重い」

 

闇先パイは寝ぼけたリーネさんにのしかかるように抱き付かれ、凄く不機嫌そうな表情を浮かべる。

 

「………大丈夫………胸なんてただの飾り。胸なんて………ただの、飾り」

 

「闇先パイ?」

 

突然早口でぶつぶつと何かを呟き始めた闇先パイに困惑し、私が声をかけると闇先パイの視線がこちらを向く。

 

闇先パイは私の胸元をジッと見つめ、その後両手で自分の胸元を触ると悲しそうな表情を浮かべーーー

 

「………どうせ私は"平らか"だから………遊騎好みの"ばいんばいん"じゃないから‼︎」

 

捨て台詞のようなものを口にすると、リーネさんを洗面所の方に引きずっていった。

 

"ばいんばいん"って………えっと、多分そういうことだよね?

 

というか、師匠好みのって………?

 

私は無意識の内に自分の胸元に視線を向けていたことに気づき、頭を振って邪念を追い出すと、何とも言えない感情を抱きながら朝食の準備に戻る。

 

しばらく続きそうな私の新たな日常はそんな微妙な始まり方をするのだった。

 

 

ーーーーーーー

 

 

「ん〜何度食べても遊花ちゃんの手料理は美味しいのです‼︎遊花ちゃんは絶対に将来いいお嫁さんになるのですよ‼︎」

 

「も、もう、恥ずかしいですよ、リーネさん………」

 

しっかりと目が覚め、いつもの調子に戻ったリーネさんの言葉に私は顔が真っ赤になってしまう。

 

うぅ〜前にも言われたけど、やっぱり恥ずかしいよ………

 

「うん………いつも通り、美味しい………」

 

「?闇ちゃん?なんか元気ないですけど、どうかしたですか?」

 

「………何でもない………社長と遊花には縁のないこと………」

 

「リーネと遊花ちゃんには?遊花ちゃん、何のことか分かるですか?」

 

「さ、さぁ?あ、あはは………」

 

「ん〜?」

 

どこか遠い目をして悲しそうな表情を浮かべる闇先パイを見て、リーネさんは不思議そうな表情を浮かべ、私は苦笑いを浮かべながら闇先パイから視線を逸らす。

 

多分さっきの発言のことを引きずってるんだろうけど、それに触れたらきっと余計に闇先パイを悲しませてしまう。

 

ここは強引にでも話題を変えて誤魔化してしまおう。

 

「そ、それはそれとして‼︎今日は闇先パイ達はどうするんですか?」

 

「………私は遊騎と桜が心配だから今日は病院で2人を護衛しておく。1度真紅達を使って襲撃してきたから、2度目がないとは言い切れない………」

 

「リーネは炎君達の目撃情報がないかデュエルセキュリティに詳しい話を聞きに行ってくるのですよ。行方不明に新ルールの件でしばらくはプロリーグも再開出来そうにないですからね………全く、2人揃って迷子だなんて困ったものなのです‼︎やっぱり常識人でお姉さんなリーネが見つけてあげないとダメなのですね‼︎」

 

「社長が常識人………?何の冗談?」

 

「なにおう?常日頃から常識人として清楚に穏やかにやってるじゃないですか‼︎」

 

「むしろ、常識人(笑)とか、せいそ()だと思う。社長が常識人で清楚だと常識人と清楚の定義が壊れる………とりあえず社長。常識人と清楚の概念に謝って」

 

「そこまで否定されるのです⁉︎概念に謝ってとかパワーワードがすぎるのですよ⁉︎」

 

私の質問に、闇先パイとリーネさんは戯れあいながら答える。

 

私も当事者ではあるが、闇先パイとリーネさんにとって今回の出来事はかなり重大なことだ。

 

大切な友人であり仕事仲間でもある師匠の重症と不知火さん、御影さんの失踪は2人の心に重くのしかかっているハズだ。

 

そうだというのに、私に心配をかけないためか毅然に振る舞いふざける余裕すらあるかのように見せている。

 

………………強い人達だ、闇先パイも、リーネさんも。

 

勿論、それは今までも感じていたことではあるけれど、こんな状況だからこそ、余計に強くそう思う。

 

だからこそ、そんな2人に私ができることはーーー

 

「私はデュエルアカデミアの行方不明者についてと、できることなら天神先生が使ってた研究室を調べてみます。可能性は低いですけど、手がかりがあるかも知れませんから」

 

「そう………分かった。私も本当は出勤して手伝ってあげたいけど………」

 

「いえ、闇先パイは師匠達についていてあげてください。その方が、私も安心して調べにいくことができます。師匠と桜ちゃんのこと………よろしくお願いします」

 

「ん、任された………遊花ができないこと………私がやり遂げるから」

 

「でも、遊花ちゃんも気をつけるのですよ?怪我をしたら、めっ、なのですよ」

 

「はい‼︎」

 

私の力強い返事に、闇先パイ達も表情を緩める。

 

………私は、この人達から沢山の大切なものを貰った。

 

この程度じゃ、その恩を全然返すこともできないと思うけど………それでも、少しでもこの優しい人達が心から笑っていられるように………私も、私にできることを全力でやり遂げたい。

 

「さてと、そろそろリーネも行くとするのです。そうだ‼︎ちょうど良いので遊花ちゃんと闇ちゃんも乗って行くといいのですよ。丁度いいのであの話もしにいきたいですし」

 

「乗って行く?」

 

リーネさんの言葉に首を傾げていると玄関のインターホンが鳴る音がした。

 

こんな朝から一体誰が来たんだろう?

 

私は首を傾げながらも闇先パイ達に断りを入れて、玄関のドアを開ける。

 

「はーい………ふぇ⁉︎」

 

「朝早く失礼します、栗原 遊花様」

 

私が玄関を開けると、そこにはスーツ姿の男性が立っており、その後ろには全長が7、8メートルはある真っ黒のリムジンが見えた。

 

えっ⁉︎えっ⁉︎どういうことなんですか⁉︎

 

「あ、やっぱり鞍馬さんだったのです‼︎声がしたからそうじゃないかなって思っていたのです‼︎」

 

「おはようございます、リーネお嬢様。御加減はいかがですか?」

 

「お腹一杯‼︎元気一杯、なのですよ‼︎」

 

「それはよろしゅうございました。もう出られる準備はできておられますか?」

 

「あ、もう少し待って欲しいのです。それと遊花ちゃんをデュエルアカデミアに、闇ちゃんを病院まで送って行きたいのです」

 

「かしこまりました」

 

「え、えっと、リーネさん?この方は?」

 

「あ、紹介するのを忘れていたのです‼︎この人は鞍馬さん。リーネの秘書をやってくれている人なのです」

 

「ご紹介にあがりました、鞍馬と申します。リーネお嬢様がお世話になっております」

 

そういって鞍馬さんは深く頭を下げる。

 

突然の事態に困惑する私にリーネさんは満面の笑みを浮かべてーーー

 

「リーネは遊騎君と約束したですからね。遊花ちゃんを守るって。だから、これからしばらくは安全のために鞍馬さんにデュエルアカデミアに送って行って貰うのですよ」

 

ーーーそんなことを口にするのだった。

 

 

ーーーーーーー

 

 

「おい何だよ、アレ?」

 

「アレは………アレでしょ?ほら、オレンジ色の野菜の………」

 

「ニンジンじゃなくてリムジンだろ。そういうボケじゃなくて何であんなものがデュエルアカデミアに来てんだよ?」

 

「知るかー‼︎何でもかんでも私に聞くんじゃないわよ‼︎」

 

「逆ギレ⁉︎」

 

早朝、デュエルアカデミアの前で止まった全長が七、八メートルはあろうかという真っ黒なリムジンを見て、登校中の生徒達が動揺して騒めく声が聞こえてくる。

 

ガチャリとリムジンの運転席のドアが開くと、運転席からスーツ姿の男性ーーー鞍馬さんが降りてきて、リムジンのドアを開く。

 

生徒達が注目する中、リムジンのドアが開き、中から現れたのは顔を真っ赤に染め恥ずかしそうに俯いている左側頭部を水色のリボンをつけてサイドテールにしている黒髪の少女だった。

 

ーーーまぁ、私なんですが。

 

「………ありがとうございました、鞍馬さん」

 

「いえいえ。むしろご迷惑をおかけしてしまったようで申し訳ありません」

 

「あ、あはは………確かに大変な騒ぎになってますね」

 

辺りを見渡すとリムジンから現れた私を見て様々な声があがっており軽くパニックが起きている。

 

穏便に終わりそうにはないなぁ………そんな風に思わず遠い目をしているとその騒ぎを更に大きくするようにリムジンから2つの人影が顔を出す。

 

「おおー朝早いのにみんな元気なのです‼︎やっぱり学生はこうでなくちゃいけないのです‼︎」

 

「これは元気なのとは関係ないと思う………」

 

楽しそうなリーネさんと呆れている闇先パイの姿に、私は思わず頬を引きつらせる。

 

プロチーム『Trumpfkarte』のメンバーである闇先パイとリーネさんはこの街ではかなりの有名人だ。

 

おまけに今日は2人共変装をしておらず、テレビで流れる姿のままだ。

 

端的に言って目立つ………凄く目立つ。

 

突然現れたトップクラスの2人のプロ決闘者のせいで、喧騒はさらに大きくなっていき、通行人の中に野次馬まで生まれはじめている。

 

度重なる衝撃で場の空気が風船が破裂する寸前にまで達したところでーーー

 

「騒がしいと思って老体に鞭を打って出てきて見れば、君達は何をしているんだい?」

 

ーーー突如聞こえてきた呆れながらも確かな存在感を示す声に、辺りの喧騒が一瞬で静まった。

 

デュエルアカデミアの校内から現れたのは柔和そうな印象を受ける初老の老人。

 

「あ、校長先生………その、お、おはようございます」

 

「おはよう、栗原君。ああ、そう怯えないでいいよ。どうしてこんな状況になっているかは大体察したからね」

 

校長先生はそういうと視線を闇先パイとリーネさんに向ける。

 

闇先パイはそんな校長先生を真剣な表情を浮かべてーーー

 

「………眩しい………あれ?………日の出?」

 

「そんなに反射してないよね⁉︎不快になるほどはさぁ⁉︎天羽君⁉︎君のところの社員、再教育しといてくれるかなー⁉︎」

 

ーーー眩しそうに目を覆った。

 

どんな会話が交わされるのか見守っていた生徒達の何人かが闇先パイの言葉に思わず吹き出して顔を逸らす………みんな、失礼だよ?

 

笑顔のまま額に血管を浮かべるという器用な技を披露しつつ、校長先生はリーネさんに視線を向ける。

 

視線を向けられたリーネさんは特に気にした様子も見せず笑顔で校長先生に挨拶をした。

 

「武者小路さん‼︎お久しぶりなのです‼︎遊騎君と闇ちゃんのことでお話に行った時以来なのです‼︎」

 

「ああ、久しぶりだね。君の活躍は聞いているよ。そして人の話を聞かないのも相変わらずだね」

 

「リーネの特技だと思っているのですよ。えっへん」

 

「褒めてないからね?それでどうして今日はこんなことになっているんだい?」

 

「大したことじゃないのです。ただの遊花ちゃんのボディガードなのですよ。最近、何かと物騒ですからね」

 

「成る程、確かに君のところで守るなら栗原君は安全だろうね………他のところで被害がでそうだけどね」

 

そういってニコニコ笑うリーネさんに校長先生はため息を吐く。

 

「君が連れて来たということは栗原君はそう(・・)なんだね?」

 

「勿論、そう(・・)なのですよ‼︎誰にも渡すつもりなんてないのです‼︎」

 

「ひゃぅ‼︎り、リーネさん?」

 

校長先生と話していたリーネさんにいきなり抱き付かれ、私は困惑する。

 

そんな私を見て、校長先生は楽しそうに笑った。

 

「ははは‼︎そうか。まぁ、()の弟子であり、闇君に教わっているのであれば当然の帰結というものだろうね」

 

「そういうわけなので少しお話しがしたいのですよ。突然の訪問になっちゃったのはごめんなさいなのですが」

 

「ははは‼︎良いとも、君も多忙だろうしね」

 

「ありがとうなのです‼︎そんなわけでリーネも少しデュエルアカデミアにお邪魔するのです。鞍馬さん、少しの間遊花ちゃんのことをお願いするのです」

 

「承知いたしました」

 

「闇ちゃんは………」

 

「歩いて行くから問題ない………寄りたいところもある」

 

「分かったのです‼︎2人によろしくなのです‼︎」

 

「ん………」

 

「え?えっと………」

 

リーネさんの行動に困惑している間に目まぐるしく変わる状況に私が目を白黒させていると、リーネさんが今度は私の頭を優しく撫でてーーー

 

「まあまあ、ここはリーネお姉さんにどどーんとお任せなのです‼︎」

 

ーーーそういって、満面の笑みで笑うのだった。

 

………………この状況を作ったのもリーネさんですけどね。

 

 

ーーーーーーー

 

 

「成る程ね………感謝するよ、報告を。とはいえ、するものじゃないよ、無茶は」

 

「は、はい………ごめんなさい」

 

「君達も、良かったよ、無事でね」

 

「う、うむ」

 

「ご、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

 

「構わないよ、反省しているなら。手に余るけどね、状況は」

 

リーネさんのせいで混沌とした状況に陥った午前中が過ぎて昼休み。

 

霊華さんや大地君に助けて貰って何とか他の生徒からの追求を逃げ切った私は真紅ちゃん達を連れて臨時風紀委員として風紀委員会の教室を訪れ、宮司さん達に休んでいた間のことを話した。

 

最も、闇のカードのことを正直に話したわけじゃない。

 

行方不明者が呪われたカードに操られているなんて話、普通は信じてもらえない。

 

だからこそ、少し事実を曲解させ、行方不明になっている生徒達は誘拐され、様々な方法で無理矢理怪しげな男達の仕事を手伝わされているという話にした。

 

そして、行方不明について調べていた私達は偶々怪しげな男達の仕事を手伝わされていた真紅ちゃん達を見つけ、何とか解放。

 

その際に桜ちゃんは重症を負ってしまったということにした。

 

8割ぐらいは本当の話だからそこまで違和感もないと思う………多分。

 

「見回りぐらいだね、出来るとしても」

 

「生徒だけの見回りは現状では難しいですわね。とはいえ、教師の手もどれだけ借りられるか………」

 

眉間に皺を寄せ、宮司さん達が難しい表情をする。

 

今回の案件は完全に風紀委員会で対処できる案件を超えている。

 

私が誤魔化したせいもあるけど、敵は複数、尚且つ怪しい大人。

 

そんなものをただの学生がどうにかできるわけがない。

 

「考える必要があるね、じっくりと。今回の件に関して」

 

「そうですわね。とはいえ、あの生徒からも聞き取りをする必要もありますし………」

 

「あの生徒?」

 

困った表情を浮かべ鬼石さんが溢した言葉が私の耳に入る。

 

首を傾げた私を見て、宮司さんが口を開く。

 

「登校してきたんだよ、行方不明になった生徒が」

 

「えっ⁉︎」

 

「その生徒は1週間程行方不明になっていたのですが、今朝方になってフラッと登校してきたのですわ」

 

「こう言ったそうだよ、教師に。『友人の家に泊まっていた』、と。家族にも行方不明者として探され、携帯端末が繋がらなかったにも関わらず、ね」

 

「さらに言えば登校してきた生徒の性格は別人のように変わっているらしいですわ」

 

「性格が?」

 

「ええ。行方不明になる前は大人しい生徒だったらしいのですが、今日登校したその生徒は傍若無人と言える程偉そうな態度をとっているようですわ」

 

「それは………」

 

怪しい………明らかに怪しい。

 

いくら友人の家に泊まっていたのだとしても、1週間も、家族にすら連絡していないのは流石におかしい。

 

そして極め付けに性格が豹変している。

 

これは………間違いない。

 

「………あの、なら、その生徒の聞き取りは私に任せてくれませんか?」

 

「あなたが?」

 

「はい。3日も休んでしまって風紀委員としての仕事もできませんでしたし………臨時とはいえ、お役に立てていないのは心苦しいですから」

 

私の言葉に鬼石さんが訝しげな表情を浮かべる。

 

うぅ、不自然だったかな?

 

でも、本当にその生徒が闇のカードに操られているなら大変なことになるかも知れないし………

 

内心の焦りを隠し、何とかその生徒と接触できるように更に言葉を続けようとしたところで………

 

「ならば、任せよう、君に」

 

「風紀委員長⁉︎ですが、栗原 遊花は………」

 

「必要だからね、考える時間が。そして、必要なことだ、聞き取りも、早急にね。なら、頼るべきだよ、彼女に」

 

不敵に笑いながら宮司さんが私を見る。

 

………多分、気付かれてる。

 

私が真実を隠していることを。

 

だけど、この失踪事件に関する真実を告げるわけにはいかない。

 

前に新聞部の件で宮司さんが言っていた。

 

賢しすぎると疎まれると。

 

ある意味で、私は既に染まっていた。

 

闇のカードであるアンチホープ達と出会い、様々な出会いをしていた私には闇のカードの存在とその真実に対する動揺は少なかった。

 

だけど、闇のカードについて知らない宮司さん達がこの真実を知ってしまった時、動揺しないということはないだろう。

 

真実を伝えることが必ずしも正しいとは限らない。

 

時に真実が人を狂わせる可能性もある。

 

だからこそーーー

 

「任せるよ、君に。その生徒の真実を」

 

「………はい、任されました」

 

宮司さんの言葉に私は頭を下げる。

 

みんなを守るために全てを背負う覚悟。

 

師匠を守るために天神先生とデュエルをしたあの時から、その覚悟はもう決めているのだから。

 

 

ーーーーーーー

 

 

「ごめんね、手伝って貰っちゃって」

 

「気にしないでください。私も栗原先輩に助けて貰いましたから。これぐらいで救っていただいた恩を返せるとは思っていませんが、

手伝わせてください」

 

「汝と『壊獣姫』には借りがある。深淵より出でし、全てを喰らう真紅の悪竜として、受けた借りをそのままにしておくなど、紅神爆牙( こうこうはくが)のアイズ・D・スカーレットの名が廃る。我が名は紅神爆牙( こうこうはくが)のアイズ・D・スカーレット‼︎ 深淵より出でし、全てを喰らう真紅の悪竜‼︎汝に借りを返した時こそ、汝との真の聖戦( ジハード)が幕を開けるのだ‼︎」

 

行方不明になっていたハズの生徒に会いに行くことにした私が付いてきてくれた真紅ちゃん達にお礼を言うと、刀花ちゃんは柔らかい笑顔で真紅ちゃんはマントを勢いよく広げながら不敵な笑みを浮かべて応えてくれた。

 

………真紅ちゃんが言ってることは相変わらずよく分からないけどね。

 

「真紅ちゃんのことは気にしないでください。いつものことなので」

 

「あ、えっと、うん」

 

「因みに真紅ちゃんの言葉を要約すると栗原先輩と宝月先輩に助けられたご恩は私の全てに変えても返します、です」

 

「え?内容全然違うけど………」

 

「勝手に我が意を明かすな‼︎"深淵の話し手( アビストーカー)"‼︎」

 

「あってるみたいですよ」

 

「………うん、あってるみたいだね」

 

どうして真紅ちゃんの言ってることが分かったんだろう?

 

一緒にいた時間の差なのかな?

 

私には分かるようになる気がしないんだけど………

 

そんなことを思っている内に宮司さんに教えてもらった行方不明になっていたハズの生徒がいる高等部2年生の教室につく。

 

3年生である私と1年生である真紅ちゃん達が2年生の教室の近くにいるのが珍しいのだろう。

 

私達は教室内から2年生の好奇の視線に晒されている。

 

とはいえ、今回に限ってはそれもちょうど良い。

 

「すみません、風紀委員です。この教室に五味 宝生(ごみ ほうせい)君という生徒はいらっしゃいますか?」

 

私の言葉に教室内にいた生徒達が騒めき、視線が1つの方向に向く。

 

私が生徒達の視線が向いた先を見ると、そこには1人の男子生徒がいた。

 

男子生徒は私の姿を見て舌打ちをすると、私の前まで来る。

 

「俺だよ、五味 宝生は。風紀委員さんが俺に何のようだ?」

 

「少し場所を変えてお話しを聞かせて貰いたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

「話だと?」

 

「あなたがしばらく行方不明になっていたということについてです」

 

私の言葉に五味君は苛立たしげに私を睨む。

 

「またその話か。先生に話した通りだよ。友人の家に泊まっていた、それだけだ」

 

「そのことについて詳しく聞かせていただきたいんです。何故、両親に連絡もしなかったのか、とか」

 

「チッ、面倒臭い奴だな………どいつもこいつもゴミ共が‼︎」

 

五味君は舌打ちをし、身体から一瞬闇が溢れたかと思うと、私に向かって懐から何かを取り出して投げる。

 

私は嫌な予感がして反射的に投げられたものを掴んで胸に抱くと、投げられたものーーーデュエルモンスターズのカードから大量の闇が溢れ出そうとしていた。

 

やっぱり持ってた、闇のカード‼︎

 

「させない、よ‼︎」

 

「何⁉︎」

 

私は直感に任せて祈りを捧げるように胸の前で手を組み、掴んだカードに力を込めると溢れ出そうとしていた闇が霧散し、手にしていたカードが白紙のカードに変わった。

 

「えっ⁉︎」

 

白紙に変わってしまったカードを見て、私は思わず目を見開く。

 

ダークホープの時と同じ感覚がしたのに、まさかカードが白紙に変わってしまうとは思わなかった。

 

これって一体………

 

「っ‼︎どけ‼︎」

 

「あ‼︎待って‼︎」

 

私が思わぬ自体に動揺していると、闇のカードによる呪いが私に効かないことを悟った五味君が一目散に教室から駆け出していき、私は慌ててその後を追う。

 

闇のカードは白紙になってしまったのに、五味君の様子が変わった感じはしない。

 

つまり、五味君は別の闇のカードを持っている。

 

被害者側か加害者側かは分からないけど、闇のカードを持っている五味君を放っておくわけにはいかない‼︎

 

「ま、待ってください‼︎栗原先輩‼︎」

 

「鞘走るな‼︎"小さな聖域の守護女神( リトルサンクチュアリガーディアン)"‼︎」

 

後ろから真紅ちゃん達の焦ったような声が聞こえてくるけど、今五味君を見失う訳にはいかない。

 

校内で突如始まったデットヒートを何事かと見てくる生徒達を躱しながら五味君を追って行くと、五味君が人気のない体育館に逃げ込んで行くのが見えて私も体育館の中に駆け込む。

 

体育館の真ん中で動きを止めた五味君は忌々しげに私を睨む。

 

「チッ、しつこい奴だ」

 

「当たり前、です。闇のカードを持っているあなたを逃すわけにはいきません‼︎」

 

「闇のカードだと?一体何を言っている?」

 

私の言葉を聞いて五味君が訝しげな表情を浮かべる。

 

闇のカードのことを知らない?

 

なら、五味君はただ闇のカードに操られているだけ?

 

………正解がどちらかは分からないけど、私にできることは1つだけだ。

 

私は後ろから追いついてきた真紅ちゃん達の足音を聞きながらデュエルディスクを起動して五味君に向けて構える。

 

「なら、デュエルで決着をつけましょう。私が勝ったらあなたが知っていることを全て話して貰います‼︎私が負けたらあなたの好きにしてくれて構いません‼︎」

 

「ほざいたな‼︎なら、お望み通りデュエルでお前に絶望を教えてやる‼︎」

 

五味君もデュエルディスクを起動し、私に向けて構える。

 

「やっと追いついた………って、栗原先輩⁉︎」

 

「"小さな聖域の守護女神( リトルサンクチュアリガーディアン)"⁉︎貴様、また無茶をーーー」

 

ごめんね、2人共。

 

どの道私が退く訳にはいかないの。

 

五味君をこのままにしておくと、またデュエルアカデミアに闇カードをばら撒かれるかも知れない。

 

だからーーー

 

「行きます‼︎」

 

「後悔させてやる‼︎」

 

『決闘‼︎』

 

 

遊花 LP8000

 

宝生 LP8000

 

 

ーーーーーーー

 

 

「先攻は俺だ。クックック、俺は手札を全てセットする」

 

「ええっ⁉︎」

 

不気味な笑い声を漏らしたかと思うと、五味君はいきなり手札を全て魔法&罠ゾーンにセットした。

 

いきなり手札を全てセットしてくるなんて、一体五味君のデッキはどんなデッキなの?

 

「俺はこれでターンエンドだ。さあ、恐れぬのならかかってくるがいい」

 

 

遊花 LP8000 手札5

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

ーーーーー

▲▲▲▲▲ ー

 

宝生 LP8000 手札0

 

 

「私のターン、ドロー‼︎」

 

5枚のセットカード………どんなカードが仕掛けられてるかは分からないけど、進んでみるしか道はないよね。

 

「私はクリバンデットを召喚‼︎」

 

 

〈クリバンデッド〉☆3 悪魔族 闇属性

ATK1000

 

 

私の前に現れたのは盗賊のような姿をした黒い毛玉のモンスター。

 

久しぶりの登場だからか凄く好戦的にぴょんぴょんと跳ねながら手を振っている………って、君は元々そうだったか。

 

「バトル‼︎クリバンデットでダイレクトアタック‼︎バンデットクロー‼︎」

 

クリバンデットが五味君に突撃し、勢いよくその爪を振り下ろす。

 

迫るクリバンデットを見て、五味君は不気味な笑みを浮かべた。

 

「蛮勇だな。その短慮がどのような結果を齎すか教えてやろう‼相手モンスターの攻撃宣言時、︎私は伏せていた2枚のセットカードを破壊し、リバースカードオープン‼︎速攻魔法、報復の隠し歯‼︎このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードの発動に対して魔法・罠・モンスターの効果は発動できない。自分または相手のモンスターの攻撃宣言時に発動でき、自分フィールドにセットされているカード2枚を選んで破壊し、その攻撃を無効にする‼︎」

 

五味君の手にいつの間にか小さなナイフが現れ、クリバンデットの爪はその小さなナイフに受け止められ、弾かれる。

 

「さらに、この効果で破壊され墓地へ送られたカードの中にモンスターカードがあった場合、その内の1体を選び、選んだモンスターの守備力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターを全て破壊し、その後このターンのエンドフェイズになる‼︎」

 

「えっ?でも、五味君が破壊したのは魔法&罠ゾーンのカードだからそんな効果があっても使えないんじゃ………」

 

「陳腐な発想だな。俺が選択するのは守備力2400のアーティファクト-カドケウス‼︎ このカードは魔法カード扱いとして手札から魔法&罠カードゾーンにセットできる‼︎」

 

「っ⁉︎ 魔法&罠ゾーンにセットできるモンスター⁉︎ということは………‼︎」

 

「お前のクリバンデットを破壊し、お前のターンのエンドフェイズになる‼︎」

 

攻撃を弾かれ、体勢を崩したクリバンデットは五味君の手にしたナイフに斬り裂かれ、その身体を粒子に変えて消滅した。

 

「っ、クリバンデット………」

 

「破壊されたモンスターを悼んでいる場合か?お前の短慮が招いた絶望はまだ始まったばかりだ。報復の隠し歯によって破壊されたアーティファクト-ベガルタの効果、それにチェーンしてアーティファクト-カドケウスの効果発動‼︎魔法&罠カードゾーンにセットされたこのカードが相手ターンに破壊され墓地へ送られた時、このカードを特殊召喚する‼︎」

 

「っ、魔法&罠ゾーンで破壊された時に特殊召喚できるモンスター⁉︎」

 

「現れよ、アーティファクト-カドケウス‼︎」

 

 

〈アーティファクト-カドケウス〉☆5 天使族 光属性

DEF2400

 

 

フィールドに現れたのは2匹の蛇の意匠が象られた機械仕掛けの巨大な杖のモンスター。

 

「さらにアーティファクト-ベガルタの効果発動‼︎魔法&罠カードゾーンにセットされたこのカードが相手ターンに破壊され墓地へ送られた時、このカードを特殊召喚する‼︎現れよ、アーティファクト-ベガルタ‼︎」

 

 

〈アーティファクト-ベガルタ〉☆5 天使族 光属性

DEF2100

 

 

さらにカドケウスの横に赤き紋様を持つ機械仕掛けの片手剣が現れる。

 

どうやら魔法&罠ゾーンにセットできるのと破壊された時に特殊召喚できるのはアーティファクトモンスターの共通効果みたいだ。

 

「まだ終わらんぞ、特殊召喚されたアーティファクト-ベガルタの効果、それにチェーンしてアーティファクト-カドケウスの効果発動‼相手ターン中にアーティファクトと名のついたモンスターが特殊召喚された時、デッキからカードを1枚ドローする‼︎さらにアーティファクト-ベガルタの効果発動‼︎相手ターン中にこのカードが特殊召喚に成功した場合、自分フィールド上にセットされたカードを2枚まで選んで破壊する‼︎」

 

「っ‼︎まさかまた………‼︎」

 

「俺は伏せていた2枚のセットカードを破壊する‼︎そして破壊されたアーティファクト-アイギスの効果、アーティファクト-アキレウスの効果発動‼︎魔法&罠カードゾーンにセットされたこのカードが相手ターンに破壊され墓地へ送られた時、このカードを特殊召喚する‼︎現れよ、アーティファクト-アイギス‼︎ アーティファクト-アキレウス‼︎」

 

 

〈アーティファクト-アキレウス〉☆5 天使族 光属性

DEF2200

 

 

〈アーティファクト-アイギス〉☆5 天使族 光属性

DEF2500

 

 

五味君を守るように、五味君の左右から機械仕掛けの紫の紋様が入った大楯と黄色の紋様が入った大楯が現れる。

 

「特殊召喚されたアーティファクト-アイギスの効果、それにチェーンしてアーティファクト-アキレウスの効果、さらにチェーンしてアーティファクト-カドケウスの効果を2回発動‼アーティファクト-アイギスとアーティファクト-アキレウスが特殊召喚されたことでデッキからカードを2枚ドローする‼︎さらにアーティファクト-アキレウスの効果発動‼︎相手ターン中にこのカードが特殊召喚に成功した場合、ターン終了時まで、自分フィールド上のアーティファクトと名のついたモンスターは相手のカードの効果の対象にならず、相手のカードの効果では破壊されなくなる‼︎そしてアーティファクト-アイギスの効果発動‼︎相手ターン中にこのカードが特殊召喚に成功した場合、このターン相手は自分フィールド上のアーティファクトと名のついたモンスターを攻撃対象にできない‼︎」

 

「っ………これは………」

 

たった1度の攻撃により現れた4体のアーティファクトモンスターとその効果を見て私は思わず顔を引き攣らせる。

 

………間違いない。

 

五味君のデッキは私と同じデッキタイプ………相手の攻撃に反応して強力な防御戦術を展開し、返しのターンで一気に攻めるカウンターデッキだ。

 

そして何よりも不味いのは報復の隠し歯によって私はすでにエンドフェイズにされていて、セットカードもないというところだ。

 

………下手をすれば、次のターンで一瞬でやられる。

 

「っ………ターンエンドです」

 

 

遊花 LP8000 手札5

 

ーーーーー ー

ーーーーー

ー ー

□□□□ー

ーーーーー ー

 

宝生 LP8000 手札3

 

 

「俺のターン、ドロー‼︎クックック、どうやら今日の俺の運は最強のようだな。私は全てのモンスターを攻撃表示に変更する‼︎」

 

 

アーティファクト-カドケウス

DEF2400→ATK1600

 

 

アーティファクト-ベガルタ

DEF2100→ATK1400

 

 

アーティファクト-アキレウス

DEF2200→ATK1500

 

 

アーティファクト-アイギス

DEF2500→ATK1200

 

 

「そして魔法カード、右手に盾を左手に剣を‼︎このカードの発動時にフィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの元々の攻撃力と元々の守備力を、エンドフェイズ時まで入れ替える‼︎」

 

「えっ⁉︎」

 

 

アーティファクト-カドケウス

ATK1600→2400 DEF2400→1600

 

 

アーティファクト-ベガルタ

ATK1400→2100 DEF2100→1400

 

 

アーティファクト-アキレウス

ATK1500→2200 DEF2200→1500

 

 

アーティファクト-アイギス

ATK1200→2500 DEF2500→1200

 

 

右手に盾を左手に剣をの効果で五味君のフィールドのモンスターの攻守が反転し、アーティファクトモンスターの攻撃力が一時的に強化される。

 

「五味先輩のモンスターが一気に強化されて………全ての攻撃を受けたら、それだけで栗原先輩のライフポイントは尽きちゃう‼︎」

 

「チッ‼︎何とかしろ‼︎ "小さな聖域の守護女神( リトルサンクチュアリガーディアン)"‼︎」

 

「終わらせてやろう。バトル‼︎アーティファクト-ベガルタでダイレクトアタック‼︎小なる激情( ベガルタ)‼︎」

 

ベガルタの近くに粒子の身体を持つ英霊が現れ、ベガルタを振るって私を斬り裂こうとする。

 

しかし、次の瞬間、英霊の正面にジャックオーランタンのような幽霊が私を守るように現れた。

 

「そんな攻撃、通しません‼︎相手モンスターの直接攻撃宣言時、手札のゴーストリックランタンの効果発動‼︎その攻撃を無効にし、このカードを手札から裏側守備表示で特殊召喚します‼︎」

 

英霊は急に現れたランタンに驚きながらも、ランタンを斬り裂こうとしたが、ランタンの姿はすぐに空気に溶けるように消えていった。

 

「防いできたか。続けてアーティファクト-アキレウスでセットモンスターを攻撃‼︎差し迫る破滅の前の静けさ(アキレウス)‼︎」

 

「セットモンスターはゴーストリックランタン‼︎」

 

 

〈ゴーストリックランタン〉☆1 悪魔族 闇属性

DEF0

 

 

アキレウスの近くに粒子の身体を持つ英霊が現れ、アキレウスを手にすると姿を現したランタンに向かって突撃し、アキレウスを使ってその身体を押し潰した。

 

「ありがとう、ゴーストリックランタン。手札に存在する妖醒龍ラルバウールの効果発動‼︎このカードが手札・墓地に存在し、自分フィールドのモンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合にこのカードを特殊召喚します‼︎ただし、この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外されます‼︎おいで、妖醒龍ラルバウール‼︎」

 

 

〈妖醒龍ラルバウール〉☆1 ドラゴン族 闇属性

DEF0

 

 

フィールドに現れたのは銀色の身体の幼竜。

 

現れたラルバウールはアーティファクト達を睨みつけながら私の頭の上に乗る。

 

「妖醒龍ラルバウールの効果発動‼︎このカードが特殊召喚に成功した場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として自分の手札を1枚選んで捨て、対象のモンスターと同じ種族・属性でカード名が異なるモンスター1体をデッキから手札に加える‼︎私はアーティファクト-カドケウスを対象に手札を1枚捨て、天使族・光属性のワタポンを手札に加えます‼︎そして手札に加わったワタポンの効果、それにチェーンして墓地に送られた絶対王バックジャックの効果発動‼︎」

 

「手札コストとして墓地に送ったカードか」

 

「このカードが墓地へ送られた場合、自分のデッキの上からカードを3枚確認し、好きな順番でデッキの上に戻します。そしてワタポンの効果発動‼︎このカードがカードの効果によって自分のデッキから手札に加わった場合、このカードを手札から特殊召喚できる‼︎おいで、ワタポン‼︎」

 

 

〈ワタポン〉☆1 天使族 光属性

DEF300

 

 

ラルバウールに導かれ、手札に加わったカードから触覚を持つ白い毛玉のようなモンスターが飛び出し、私の肩の上に乗る。

 

君達………私を乗り物だと思ってない?

 

デュエル中だから私に乗ってるのって危ないんだよ?

 

「壁となるモンスターまで出してきたか。小癪な真似を………だが、そのような矮小な虫けらが生き残れると思うな‼︎アーティファクト-カドケウスで妖醒龍ラルバウールを攻撃‼︎伝令使の杖(カドケウス)‼︎」

 

カドケウスの近くに粒子の身体を持つ英霊が現れ、カドケウスを手にすると、カドケウスが怪しげに光ると、虚空から水銀でできたの蛇が現れ、勢いよくラルバウールに向かって突撃する。

 

ラルバウールは宙を舞い、青い炎のブレスを纏って抵抗するが、水銀の蛇に丸呑みにされ、消滅した。

 

「破壊された妖醒龍ラルバウールは除外されます………」

 

「最後だ。アーティファクト-アイギスでワタポンを攻撃‼︎災厄を払う魔除けの雲(アイギス)‼︎」

 

アイギスの近くに粒子の身体を持つ英霊が現れる。

 

それを見たワタポンは私から降りて距離を取ろうとするが、英霊がアイギスを手にして構えると、アイギスから雷を纏ったレーザーが放たれ、ワタポンを一瞬で蒸発させた。

 

………私が知ってる盾となんか違う‼︎

 

「メインフェイズ2………クックック、お前は後悔するだろう。このターンの内にデュエルに敗北しなかったことをな」

 

「言ってること、全然分かりません‼︎デュエルに負けなかったことを後悔するなんて、あり得ません‼︎」

 

「ハッ、おめでたい奴だ。お前は味わうだろう、敗北すれば味わうことの無かった、苦痛と恐怖をな‼︎」

 

五味君がそういうと、五味君の身体から闇が溢れ出し始める。

 

その瞬間、私の心臓がドクンと脈打ち、その言いようの無い奇妙な感覚に目を見開く。

 

「えっ⁉︎この感覚は………⁉︎」

 

「?"小さな聖域の守護女神( リトルサンクチュアリガーディアン)"?」

 

突然声を上げた私を見て真紅ちゃんが訝しげな表情を浮かべる。

 

だけど、私はそれに反応する余裕はなかった。

 

五味君の身体から溢れ出した闇から感じたのは………絶望神アンチホープ達から感じた、私と繋がっている感覚( ・・・・・・・・・・)で………

 

「っ、まさか………‼︎」

 

「俺はレベル5のアーティファクト-ベガルタ、アーティファクト-アキレウス、アーティファクト-アイギスでオーバーレイ‼︎3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」

 

ベガルタ、アキレウス、アイギスが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けると、舞い降りたのは赤黒い鎧を纏いし偽りの神。

 

「偽りの骸を纏いし神よ‼︎神話‼︎歴史‼︎全ての過去を無意味な塵芥へと塗り替えろ‼︎現れろ‼︎ No.53偽骸神Heart-eartH‼︎」

 

 

〈No.53偽骸神Heart-eartH〉★5 悪魔族 闇属性

ATK100

 

 

「No.53偽骸神Heart-eartH………うっ‼︎」

 

五味君が特殊召喚したHeart-eartHを見た瞬間、突然視界がノイズに包まれ、頭の中に見たことのないイメージが流れ込んでくる。

 

『これがNo.の頂に立つ最強のNo.‼︎超然の鎧を纏い、世界を震撼させよ‼︎現れろ、No.53偽骸神Heart-eartH‼︎』

 

『見るがいい、これがHeart-eartHの真の姿ーーー』

 

「っ‼︎今のは………天神先生のデュエルでも見えた………」

 

「栗原先輩⁉︎大丈夫ですか⁉︎」

 

「っ、うん‼︎大丈夫‼︎」

 

心配そうな表情を浮かべる刀花ちゃんに返事をしながら、Heart-eartHを見つめる。

 

確かに感じる。

 

Heart-eartH………ううん、その先にある真の姿から( ・・・・・・・・・・・)………アンチホープ達と同じ………私と繋がっているあの感覚を( ・・・・・・・・・・・・・)

 

あの姿になられたら大変なことになる。

 

どうにかして、あの姿になられる前に五味君を倒さないと‼︎

 

「クックック、楽しみだよ。お前が苦痛に喘ぐ姿がなぁ。俺はカードを3枚伏せてターンエンド」

 

「なら、メインフェイズ2終了時、墓地の絶対王バックジャックを除外して効果発動‼︎相手ターンに墓地のこのカードを除外して自分のデッキの一番上のカードをめくり、そのカードが通常罠カードだった場合、自分フィールドにセットし、違った場合、そのカードを墓地へ送ります。そして、この効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できます」

 

「チッ、お前のデッキの上は操作されていたな………」

 

「はい。絶対王バックジャックの効果で操作済みです。絶対王バックジャックの効果でデッキの上をめくります‼︎めくられたのは通常罠、バトルマニア‼︎通常罠カードなのでセットされます」

 

「チッ、面倒なものを………エンドフェイズ、右手に盾を左手に剣をの効果が消え、アーティファクト-カドケウスの攻守は元に戻る」

 

アーティファクト-カドケウス

ATK2400→1600 DEF1600→2400

 

 

遊花 LP8000 手札2

 

ーー▲ーー ー

ーーーーー

ー ー

ーー○○ー

ー▲▲▲ー ー

 

宝生 LP8000 手札0

 

 

「私のターン、ドロー‼︎ 私は、今ドローした占い魔女 ヒカリちゃんの効果発動‼︎このカードをドローした時、このカードを相手に見せることで手札から特殊召喚します‼︎」

 

 

〈占い魔女 ヒカリちゃん〉☆1 魔法使い族 光属性

DEF0

 

 

フィールドに現れたのは太陽の形をしたステッキを持った黄色い髪の女の子。

 

現れたヒカリちゃんは嬉しそうにニコニコと笑い、ステッキをブンブンと振いながらもう片方の手で私に向かってピースサインをする。

 

うん、あなたの力、貸して貰うね‼︎

 

「占い魔女 ヒカリちゃんの効果発動‼︎このカードが手札からの特殊召喚に成功した場合、自分フィールドのモンスター1体を対象として、そのモンスターを墓地へ送り、デッキから魔法使い族・レベル1モンスター1体を特殊召喚します‼︎私は占い魔女 ヒカリちゃんを墓地へ送り、デッキからミスティックパイパーを特殊召喚‼︎」

 

 

〈ミスティックパイパー〉☆1 魔法使い族 光属性

DEF0

 

 

ヒカリちゃんが一礼をしてからステッキを振るうと、ヒカリちゃんの身体が光に包まれて霧散する。

 

そして霧散した光が再び集まると、そこにフルートのようなものを弾いている男の人が現れた。

 

「そいつは知っているぞ。リバースカードオープン‼︎罠発動、アーティファクトの神智‼︎ このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。デッキからアーティファクトモンスター1体を特殊召喚する‼デッキより︎現れよ、アーティファクト-ベガルタ‼︎」

 

 

〈アーティファクト-ベガルタ〉☆5 天使族 光属性

DEF2100

 

 

「っ、また………‼︎」

 

「特殊召喚されたアーティファクト-ベガルタの効果、それにチェーンしてアーティファクト-カドケウスの効果発動‼相手ターン中にアーティファクトと名のついたモンスターが特殊召喚された時、カードを1枚ドローする‼︎さらにアーティファクト-ベガルタの効果発動‼︎自分フィールド上にセットされたカードを2枚まで選んで破壊する‼︎そして破壊されたアーティファクト-モラルタの効果、アーティファクト-デスサイズの効果発動‼︎魔法&罠カードゾーンにセットされたこのカードが相手ターンに破壊され墓地へ送られた時、このカードを特殊召喚する‼︎現れよ、アーティファクト-モラルタ‼︎アーティファクト-デスサイズ‼︎」

 

 

〈アーティファクト-モラルタ〉☆5 天使族 光属性

DEF1400

 

 

〈アーティファクト-デスサイズ〉☆5 天使族 光属性

DEF900

 

 

フィールドにベガルタに似た青き紋様を持つ機械仕掛けの片手剣と漆黒の機械仕掛けの大鎌が現れる。

 

「特殊召喚されたアーティファクト-モラルタの効果、それにチェーンしてアーティファクト-デスサイズの効果、さらにチェーンしてアーティファクト-カドケウスの効果を2回発動‼アーティファクト-モラルタとアーティファクト-デスサイズが特殊召喚されたことでカードを2枚ドローする‼︎さらにアーティファクト-デスサイズの効果発動‼︎ 相手ターンに、このカードが特殊召喚に成功した場合、このターン、相手はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない‼︎」

 

「っ⁉︎EXデッキ封じのアーティファクトっ‼︎」

 

デスサイズから闇の波動が放たれ、私のEXデッキが闇に包まれる。

 

これは一気にHeart-eartHを攻略するのが難しくなったね。

 

「さらにアーティファクト-モラルタの効果発動‼︎相手ターンに、このカードが特殊召喚に成功した場合、相手フィールドの表側表示のカード1枚を選んで破壊する‼︎消え去れ、ミスティックパイパー‼︎」

 

「っ、ミスティックパイパー‼︎」

 

モラルタの放つ青い斬撃を受け、ミスティックパイパーは無念そうに消えていく。

 

満足に効果も使ってあげられなくてゴメンね、ミスティックパイパー………でも、あなたの犠牲は無駄にはしないから‼︎

 

「これでお前のドロー手段は潰した。残念だったな」

 

「それはどうかな?」

 

「何?」

 

「さっきまでなら無理でした。でも、あなたが動いてくれたから、私も動くことができます‼︎魔法カード、三戦の才‼︎このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このターンの自分メインフェイズに相手がモンスターの効果を発動している場合、3つの効果から1つを選択して発動できる‼︎1つ目が自分はデッキから2枚ドローする効果、2つ目が相手フィールドのモンスター1体を選び、エンドフェイズまでコントロールを得る効果、3つ目が相手の手札を確認し、その中からカード1枚を選んでデッキに戻す効果です‼︎」

 

「なっ⁉︎禁止カード級の効果を選んで発動できる魔法カードだと⁉︎」

 

「私は1つ目を選択してカードを2枚、ドローします‼︎よし‼︎金華猫を召喚‼︎」

 

 

〈金華猫〉☆1 獣族 闇属性

ATK400

 

 

現れたのは霊体になっている猫のようなモンスター。

 

「金華猫の効果発動‼︎召喚した時、墓地に存在するレベル1モンスターを特殊召喚します‼︎戻ってきて、ミスティックパイパー‼︎」

 

 

〈ミスティックパイパー〉☆1 魔法使い族 光属性

DEF0

 

 

金華猫に導かれ、再びミスティックパイパーが姿を現し、こちらを見て嬉しそうに笑いながらサムズアップをする。

 

そんなミスティックパイパーに私も笑顔でサムズアップを返した。

 

うん、君の力貸して貰うね‼︎

 

「チッ、蘇ってきたか………」

 

「ミスティックパイパーの効果発動‼︎このカードをリリースして自分のデッキからカードを1枚ドロー‼︎私が引いたのはクリボーン‼︎レベル1モンスターだからもう1枚ドロー‼︎」

 

私が勢いよくドローすると、手札に存在した1枚のカードから自己主張をするように黒い闇が溢れ出す。

 

………ここは任せろって言ってるんだね。

 

分かった、君を信じるよ。

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンド‼︎エンドフェイズ、金華猫はスピリットモンスターなので手札に戻ります」

 

 

 

遊花 LP8000 手札2

 

ー▲▲▲ー ー

ーーーーー

ー ー

□□○○□

ーーーーー ー

 

宝生 LP8000 手札3

 

 

「チッ、しぶとい。俺のターン、ドロー‼︎」

 

「スタンバイフェイズ‼︎リバースカードオープン‼︎罠発動‼︎バトルマニア‼︎さらにチェーンしてリバースカードオープン‼︎罠発動‼︎竜嵐還帰‼︎このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できませんが、除外されている自分または相手のモンスター1体を対象としてそのモンスターを自分フィールドに特殊召喚します‼︎ただし、この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに持ち主の手札に戻る‼︎除外から戻ってきて、絶対王バックジャック‼︎」

 

 

〈絶対王バックジャック〉☆1 悪魔族 闇属性

DEF0

 

 

私のフィールドに機械の身体を持つ人型の悪魔が現れる。

 

「そしてバトルマニアの効果で相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターは全て攻撃表示になり、このターン表示形式を変更する事はできない‼︎また、このターン攻撃可能な相手モンスターは攻撃しなければならない‼︎」

 

「チッ、面倒な。何が狙いかは知らんが、そう簡単に乗るとは思わないことだ‼︎亡失せよ‼︎塵芥漂うサーキット‼︎」

 

「リンク召喚ですか………」

 

五味君がそういって手を前に突き出すと、巨大なサーキットが現れる

 

「召喚条件はカード名が異なるモンスター2体‼︎俺はアーティファクト-デスサイズとアーティファクト-カドケウスの2体をリンクマーカーにセット‼︎サーキットコンバイン‼︎リンク召喚‼︎リンク2‼︎アーティファクト-ダグサ‼︎」

 

 

〈アーティファクト-ダグサ〉LINK 2 天使族 光属性

ATK1500 ↙︎ ↘︎

 

 

デスサイズとカドケウスの2体がサーキットの中に消えると代わりに現れたのは機械仕掛けの巨大な棍棒。

 

「まだまだ行くぞ‼︎俺はレベル5のアーティファクト-ベガルタ、アーティファクト-モラルタでオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎」

 

「今度はエクシーズ召喚………」

 

ベガルタとモラルタが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして渦が爆けると、空から落ちてきたのは機械仕掛けの巨大な大剣。

 

「不滅の力を持つ刃よ‼︎全ての理を塗り替えろ‼︎現れろ‼︎アーティファクト-デュランダル‼︎」

 

 

〈アーティファクト-デュランダ〉★5 天使族 光属性

ATK2400

 

 

「アーティファクトのエクシーズモンスターですか………」

 

「No.53偽骸神Heart-eartHはバトルマニアの呪縛から逃れることはできないが、それでもお前のフィールドにいる雑魚を屠ることぐらい造作もない‼︎だが、まだだ‼︎魔法カード、エクシーズギフト‼︎それにチェーンしてアーティファクト-ダグサの効果発動‼︎大いなる知恵の権力者(ルアドロエサ)‼︎このカード以外のフィールドのカードの効果が発動した時、手札・デッキからアーティファクトモンスター1体を選んで、魔法カード扱いとして自分の魔法&罠ゾーンにセットする‼︎ただし、この効果でセットしたカードは次の相手エンドフェイズに破壊される‼︎俺はデッキからアーティファクト-カドケウスをセットする‼︎」

 

「っ、またアーティファクト-カドケウスが………」

 

「そしてエクシーズギフトの効果‼︎自分フィールド上にエクシーズモンスターが2体以上存在する場合に発動でき、自分フィールド上のオーバーレイユニットを2つ取り除き、デッキからカードを2枚ドローする‼︎私はNo.53偽骸神Heart-eartHのオーバーレイユニットを2つ取り除き、カードを2枚ドローする‼︎」

 

五味君のフィールドにカドケウスがセットされ、さらにカードが2枚ドローされる。

 

マズい。

 

ドローされたことがじゃなくて、Heart-eartHの( ・・・・・・・・・・・)オーバーレイユニットが( ・・・・・・・・・・)減ったことがマズい( ・・・・・・・・)

 

時間はあまり残されていない。

 

五味君を早く倒さないと大変なことになる。

 

………だから‼︎

 

「バトル‼︎No.53偽骸神Heart-eartHで絶対王バックジャックを攻撃‼︎」

 

「お願い、貴方の力を私に貸して‼︎相手モンスターの攻撃宣言時、手札のダークネスネオスフィアの効果発動‼︎自分の手札・フィールド上から悪魔族モンスターをそれぞれ1体ずつ墓地へ送る事でのみ、このカードを手札から特殊召喚する事ができます‼︎」

 

「っ⁉︎特殊な召喚条件のモンスターだと⁉︎だが、どんなモンスターだろうと出て来れなければ意味がない‼︎チェーンしてアーティファクト-デュランダルの効果発動‼︎記憶を断つ剣(ドゥリンダナ)‼︎1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動でき、この効果は相手ターンでも発動できる‼︎1つ目はフィールドのモンスターの効果が発動した時、または通常魔法・通常罠カードが発動した時、このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除いてその効果を相手フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊するに書き換える効果‼︎そして2つ目はこのカードのオーバーレイユニットを1つ取り除いてお互いは手札を全てデッキに戻してシャッフルする。その後、お互いはそれぞれ自身がデッキに戻した数だけデッキからドローする効果だ‼︎」

 

「っ⁉︎相手のカード効果や手札を書き換えるエクシーズモンスター⁉︎」

 

「俺が選択するのは2つ目の効果だ‼︎手札からいなくなれば特殊召喚もできまい‼︎」

 

「そんな効果、通さなければいいだけです‼︎さらにチェーンしてリバースカードオープン‼︎罠発動‼︎巨神封じの矢(ティタノサイダー)‼︎ このカード名の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、EXデッキから特殊召喚された相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象としてそのモンスターの攻撃力を0にし、その効果を無効にする‼︎対象はアーティファクト-デュランダルです‼︎」

 

「何だと⁉︎」

 

私の手元に巨大な神弓と弓矢が現れる。

 

私は足を開いて姿勢を整えると、弓に矢をつがえ、デュランダルに向けて巨神封じの矢を放つ。

 

放たれた巨神封じの矢がデュランダルを貫くと、デュランダルは機能を停止した。

 

 

アーティファクト-デュランダル

ATK2400→0

 

 

「これでアーティファクト-デュランダルの効果は無効になりました‼︎もう止められるものはありません‼︎ 私は、フィールドの悪魔族モンスター、絶対王バックジャックと、手札の悪魔族モンスター、クリボーンを墓地に送る‼︎」

 

フィールドにいたバックジャックと手札から現れたクリボーンの姿が粒子に変わる。

 

そしてその粒子が集まり現れたのは、深い闇を纏う、天使と悪魔の羽根を持つ人型のモンスター。

 

「おいで‼︎闇夜に紛れる不可視の天体‼︎ダークネスネオスフィア‼︎」

 

 

〈ダークネスネオスフィア〉☆10 悪魔族 闇属性

DEF4000

 

 

「馬鹿な⁉︎守備力4000のモンスターだと⁉︎」

 

「何だと⁉︎"小さな聖域の守護女神( リトルサンクチュアリガーディアン)"め………まだこんな隠し球を持っていたとは………」

 

「凄い………栗原先輩はこんなモンスターまで扱えるんだ………」

 

フィールドに降臨したネオスフィアを見て、五味君だけじゃなく真紅ちゃん達も圧倒されている。

 

無理も無いとは思うけどね。

 

ネオスフィアは闇のカードの中でも一線を画する………世界を滅ぼしかねない、"砕け得ぬ闇の天体"なのだから。

 

「あなたのNo.53偽骸神Heart-eartHはバトルマニアによる制約を受けてます‼︎この攻撃は止められません‼︎さらに墓地に送られた絶対王バックジャックの効果発動‼︎墓地へ送られた場合、自分のデッキの上からカードを3枚確認し、好きな順番でデッキの上に戻します‼︎」

 

「っ、クソッ‼︎No.53偽骸神Heart-eartHでダークネスネオスフィアを攻撃‼︎偽・神の手(フェイクゴットハンド)‼︎」

 

「迎え撃って、ダークネスネオスフィア‼︎ヘブンリィダークネス‼︎」

 

Heart-eartHがネオスフィアに向かって腕を振り下ろすが、直撃する瞬間にネオスフィアの身体が闇に溶けるように消え、Heart-eartHの頭上に現れる。

 

ネオスフィアがHeart-eartHに向けて異形の手をかざすと幾千もの白と黒の光弾がHeart-eartHを囲むように浮かび上がる。

 

ネオスフィアが手を振り降ろすと、幾千もの白と黒の光弾がまるで流星群のようにHeart-eartHに降り注いだ。

 

 

宝生 LP8000→4100

 

 

「ぐぬぅぅっ‼︎やってくれる‼︎この屈辱、必ず返してくれる‼︎メインフェイズ2‼︎俺はカードを4枚伏せてターンエンドだ‼︎」

 

「なら、メインフェイズ2終了時、再び墓地の絶対王バックジャックを除外して効果発動‼︎デッキの上をめくり、めくられたのは通常罠、裁きの天秤‼︎」

 

「何⁉︎そのカードは………⁉︎」

 

「通常罠カードなのでセットされます‼︎そしてエンドフェイズにリバースカードオープン‼︎罠発動‼︎裁きの天秤‼︎相手フィールドのカードの数が自分の手札・フィールドのカードの合計数より多い場合に発動でき、自分はその差の数だけデッキからドローします‼︎」

 

「ぐっ、お前………‼︎」

 

「五味君のフィールドのカードは8枚、私は裁きの天秤、ダークネスネオスフィア、そして手札1枚の3枚‼︎その差分の5枚のカードをドローします‼︎」

 

私が勢いよくデッキからカードをドローすると、ドローしたカードの内の1枚から黒い闇が溢れ出すと、デュエルディスクのEXデッキが入ってある部分に纏わり付いた。

 

………あなたを使ってあの子を呼べって言ってるんだね。

 

分かった、あなた達の力、貸して貰うね。

 

「っ、やってくれる………‼︎」

 

「エンドフェイズ、巨神封じの矢の効果が消え、アーティファクト-デュランダルは元の力を取り戻します」

 

 

アーティファクト-デュランダル

ATK0→2400

 

 

遊花 LP8000 手札6

 

ーーーーー ー

ーー□ーー

ー ☆

ーー○○ー

▲▲▲▲▲ ー

 

宝生 LP4100 手札1

 

 

手札は増え、ネオスフィアを呼び出し五味君に大ダメージを与えることもできた。

 

とはいえ、五味君には再び5枚のセットカードがあり、No. であり、まだ強力な力を残しているHeart-eartHとこちらのカード効果を書き換えるデュランダルは健在。

 

だけどーーー

 

「見えました………あなたの攻略法‼︎」

 

「何⁉︎」

 

私の言葉に五味君が目を見開く。

 

そんな五味君に、私は確かな自信を持って口を開く。

 

「五味君………あなたを、攻略します‼︎」

 

「っ、戯言を‼︎」

 

「戯言かどうか、その身で確かめてください‼︎私のターン、ドロー‼︎このカードは手札から攻撃表示で特殊召喚できます‼︎おいで、ジェスターコンフィ‼︎」

 

 

〈ジェスターコンフィ〉☆1 魔法使い族 闇属性

ATK0

 

 

現れたのは球に乗った道化師のモンスター。

 

「導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」

 

「リンク召喚か………」

 

私が正面に手をかざすと、目の前に巨大なサーキットが現れる。

 

「召喚条件はレベル1モンスター1体。私はジェスターコンフィをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚‼︎希望の守り手‼︎リンク1‼︎リンクリボー‼︎」

 

 

〈リンクリボー〉LINK1 サイバース族 闇属性

ATK300 ↓

 

 

ジェスターコンフィがサーキットに吸い込まれると、代わりに青い球体のモンスターが私の前に元気一杯に飛び出してくる。

 

「さらに手札からジェットシンクロンを捨てて魔法カード、ワンフォーワンを発動‼︎デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚します‼︎おいで、ヒヤリ@イグニスター‼︎」

 

 

〈ヒヤリ@イグニスター〉☆1 サイバース族 水属性

DEF400

 

 

現れたのは小さな水球のようなモンスター。

 

「リンクリボーをリリースし、ヒヤリ@イグニスターの効果発動‼︎このカード以外の自分フィールドのサイバース族モンスター1体をリリースしてデッキからレベル5以上の@イグニスターモンスター1体を手札に加え、このカードのレベルをターン終了時まで4にする。さらにこの効果を発動するためにリンクモンスターをリリースした場合、さらにデッキからAiの儀式1枚を手札に加えるよ‼︎」

 

「っ、一気に儀式モンスターと儀式魔法を手札に加えるつもりか‼︎ならば、チェーンしてアーティファクト-デュランダルの効果発動‼︎記憶を断つ剣(ドゥリンダナ)‼︎私は1つ目の効果を適用し、オーバーレイユニットを1つ取り除いてヒヤリ@イグニスターの効果を相手フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊するに書き換える‼︎」

 

「仕方ありませんね。破壊するのはアーティファクト-ダグサによってセットされたアーティファクト-カドケウスです‼︎」

 

デュランダルの身体から青い稲妻が放たれ、ヒヤリの身体を貫くと、ヒヤリの身体から勝手に水流が溢れ出し、五味君のセットカードを貫く。

 

破壊されたセットカードが爆散したかと思うと、煙の中からカドケウスが姿を現した。

 

「アーティファクト-カドケウスの効果発動‼︎現れよ、アーティファクト-カドケウス‼︎」

 

 

〈アーティファクト-カドケウス〉☆5 天使族 光属性

DEF2400

 

 

「でも、これでもうアーティファクト-デュランダルは使えません‼︎いくよ、導いて‼︎希望に繋がるサーキット‼︎」

 

「またリンク召喚か‼︎」

 

「召喚条件はレベル4以下のサイバース族モンスター1体。私はヒヤリ@イグニスターをリンクマーカーにセット。サーキットコンバイン。リンク召喚‼︎希望の詰め手‼︎リンク1‼︎リングリボー‼︎」

 

「リングリボー………だと?」

 

 

〈リングリボー〉LINK1 サイバース族 闇属性

ATK300 ↙︎

 

 

ヒヤリがサーキットに吸い込まれると、代わりにリンクリボーの目付きを鋭くしたような青い球体のモンスターが飛び出してくる。

 

現れたリングリボーは私の足元にくるとジーッと私を見つめてくる。

 

私はそんなリングリボーを見て、思わず笑みを浮かべるとしゃがみ込んでリングリボーの身体を優しく撫でる。

 

身体を撫でられたリングリボーはプイッと顔を背けるも、どこかやる気に満ちた雰囲気で五味君を睨みつけた。

 

うん、最後の詰めは頼んだよ、リングリボー。

 

「これで準備は整いました‼︎このモンスターは自分の墓地にモンスターが10体以上存在する場合のみ特殊召喚する事ができる‼︎」

 

「っ⁉︎また聞いたことがない特殊召喚条件だと⁉︎」

 

私の呼び声に呼応するかのように、私の背後に巨大な大樹が現れる。

 

そして大樹から10の光が溢れ、光の線で結ばれていくと、大樹の中から現れたのは機械の身体を持つ巨大な天使にして、時を司り、世界を壊してでも世界を救おうとした究極の神。

 

「おいで‼︎時空を超え、希望を導く叡智の神‼︎究極時械神セフィロン‼︎」

 

 

〈究極時械神セフィロン〉☆10 天使族 光属性

ATK4000

 

 

「馬鹿な⁉︎2体目のレベル10モンスターだと⁉︎」

 

フィールドに現れたセフィロンと、私を守るように立っていたネオスフィアが私を見る。

 

分かってる。

 

あなた達がやれって言うのなら、それはきっと必要なことなんだよね。

 

私のEXデッキから伝わる鼓動に応えるように正面に手をかざし、その言霊を告げる。

 

「私はレベル10のダークネスネオスフィアと究極時械神セフィロンでオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚‼︎」

 

「馬鹿な⁉︎ランク10のエクシーズ召喚だと⁉︎」

 

ネオスフィアとセフィロンが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして空に浮かんだ混沌の渦が弾けると、空から舞い降りたのは紅いマフラーをたなびかせ、巨大な盾と二振りの大剣を身に付けた漆黒の戦士。

 

「おいで、No.XX( ダブルエックス)‼︎永遠( とわ)に続く闇の中でも、希望は輝き運命( さだめ)を変える‼︎見参、インフィニティダークホープ‼︎」

 

 

〈No.XX インフィニティダークホープ〉★10 戦士族 闇属性

ATK4000

 

 

「No.だと⁉︎何故お前が………‼︎」

 

「まだです‼︎私は金華猫を召喚‼︎」

 

 

〈金華猫〉☆1 獣族 闇属性

ATK400

 

 

「金華猫の効果発動‼︎召喚した時、墓地に存在するレベル1モンスターを特殊召喚します‼︎戻ってきて、ミスティックパイパー‼︎」

 

 

〈ミスティックパイパー〉☆1 魔法使い族 光属性

DEF0

 

 

「チッ、再び蘇ってきたか………」

 

「ミスティックパイパーの効果発動‼︎このカードをリリースして自分のデッキからカードを1枚ドロー‼︎私が引いたのはジャンクリボー‼︎レベル1モンスターだからもう1枚ドローします‼︎さらに墓地に存在するジェットシンクロンの効果発動‼︎手札を1枚墓地に送り、墓地からこのカードを特殊召喚する‼︎ただし、この効果で特殊召喚したこのカードはフィールドから離れた場合、除外される‼︎」

 

 

〈ジェットシンクロン〉☆1 機械族 炎属性

DEF0

 

 

現れたのは小さなジェット機のような機械のモンスターが私の周りを飛び回る。

 

現れたジェットシンクロンを見て私は思わず笑みを浮かべる。

 

天神先生。

 

あなたが仕組んだことかは私には分かりません。

 

ですが、マスタールールが変わったことで、私はもっと、先に行ける‼︎

 

「私はレベル1の金華猫とジェットシンクロンでオーバーレイ‼︎2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚‼︎」

 

「っ‼︎次はランク1のエクシーズ召喚か‼︎」

 

金華猫とジェットシンクロンが光となり、空に浮かんだ混沌の渦に吸い込まれる。

 

そして、渦が弾けると、舞い降りたのは金色の翼を持つ小さな戦士。

 

私が呼ぶ小さき希望。

 

「おいで、No.39‼︎小さき希望は、逆境の中で進化を遂げる‼︎希望皇ホープルーツ‼︎」

 

 

〈No.39 希望皇ホープルーツ〉★1 戦士族 光属性

ATK500

 

 

「2体目のNo.だと⁉︎」

 

「行きます‼︎バトル‼︎No.XX インフィニティダークホープでアーティファクト-ダグサを攻撃‼︎そしてNo.39 希望皇ホープルーツの効果発動‼︎ムーンバリアオリジン‼︎自分または相手モンスターの攻撃宣言時、このカードのオーバーレイユニットを1つ取り除いてそのモンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターがエクシーズモンスターだった場合、このカードの攻撃力はそのモンスターのランク×500ポイントアップします‼︎」

 

「何だと⁉︎だが、その前にそいつらを倒してしまえばいいだけだ‼︎チェーンしてリバースカードオープン‼︎罠発動‼︎邪神の大災害‼︎相手モンスターの攻撃宣言時にフィールドの魔法・罠カードを全て破壊する‼︎これでセットしてあるアーティファクト-モラルタをーーー」

 

「そういうカードが仕掛けてあるって思ってました‼︎さらにチェーンしてリングリボーの効果発動‼︎スケープトラップ‼︎相手が罠カードを発動した時、このカードをリリースしてその効果を無効にし除外する‼︎」

 

「っ⁉︎何だと⁉︎」

 

リングリボーが粒子に変わり、発動しようとしていた邪神の大災害に纏わり付くと、邪神の大災害はウィルスに侵されたかのようにノイズが走り、消滅した。

 

「これで阻むものはなくなりました‼︎No.39 希望皇ホープルーツの効果によりオーバーレイユニットを1つ取り除いてNo.XX インフィニティダークホープの攻撃を無効にします‼︎」

 

2体のホープが頷きあい、ダークホープがホープルーツに向けて一振りの大剣を投げるとホープルーツは背中の翼を盾に変えて弾き、空に舞った大剣を受け止め、その大剣から溢れ出す闇の力を浄化していく。

 

「No.XX インフィニティダークホープのランクは10‼︎よって攻撃力は5000ポイントアップします‼︎」

 

 

No.39 希望皇ホープルーツ

ATK500→5500

 

 

「攻撃力5500だと⁉︎っ、これは………‼︎」

 

「No.53偽骸神Heart-eartHには1ターンに1度、このカードが攻撃対象に選択された時、このカードの攻撃力はエンドフェイズ時までその攻撃モンスターの元々の攻撃力分アップする効果があるハズです。ですが、No.39 希望皇ホープルーツの元々の攻撃力は500。それだけではNo.39 希望皇ホープルーツの攻撃は防げません‼︎」

 

「っ⁉︎何故お前がNo.53偽骸神Heart-eartHの効果を………⁉︎」

 

「決めます‼︎No.39 希望皇ホープルーツでNo.53偽骸神Heart-eartHを攻撃‼︎」

 

「クッ、No.53偽骸神Heart-eartHの効果発動‼︎偽・神殺し(フェイクゴットキラー) ‼︎1ターンに1度、このカードが攻撃対象に選択された時、このカードの攻撃力はエンドフェイズ時までその攻撃モンスターの元々の攻撃力分アップする‼︎No.39 希望皇ホープルーツの攻撃力は500。よって攻撃力を500ポイントアップする‼︎」

 

 

No.53偽骸神Heart-eartH

ATK100→600

 

 

「迎え撃て‼︎No.53偽骸神Heart-eartH‼︎偽・神の手(フェイクゴットハンド)‼︎」

 

Heart-eartHが敗北を拒むかのようにホープルーツとダークホープに向かってその腕を振り下ろすが、2体のホープはその攻撃を掻い潜り空へと跳躍する。

 

「これで終わりです‼︎偽りの神を蝕む呪いを解き放って‼︎No.39 希望皇ホープルーツ‼︎ No.XX インフィニティダークホープ‼︎」

 

跳躍した2体のホープが空中で大剣を構えると、ホープルーツの大剣に光が、ダークホープの大剣に闇が集まっていく。

 

「ホープ剣ダブルクロスルーツスラッシュ‼︎」

 

再び振るわれるHeart-eartHの腕に向けて2体のホープが大剣を振り下ろすと、Heart-eartHの身体がX字に斬り裂かれ、身体から闇を噴出させながらHeart-eartHは爆散した。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

宝生 LP4100→0

 

 

ーーーーーーー

 

 

「ふぅ………攻略完了、だね」

 

「闇のカードに操られてる人をノーダメージで………す、凄いです‼︎栗原先輩‼︎」

 

「ま、まぁ、我のライバルならば当然のことよな」

 

デュエルが終わり、私の後ろに下がっていた刀花ちゃんと真紅ちゃんの安心したような声が聞こえる。

 

私がホッと一息つくと、デュエルが終わって気絶してしまった五味君のデッキから2枚(・・)の闇のカードが宙に浮き、凄い勢いで回転しながら私の元に飛んできた。

 

「わわっ‼………︎っと」

 

咄嗟にそのカードを受け止めるために手をかざすと、私の手の中に飛んできたカードが収まる。

 

手の中に収まったカード達は一瞬鈍い闇色に光った気がしたが、もう1度眺めてみてもそんな気配は全く無かった。

 

だけど、やっぱり感じる。

 

絶望神アンチホープ達と同じ………私と繋がっている感覚( ・・・・・・・・・・)を。

 

このカードも………もしかしたらーーー

 

「………なんて、考えても仕方ないよね………うっ⁉︎っ、あぁぁぁ‼︎」

 

「栗原先輩⁉︎」

 

「"小さな聖域の守護女神( リトルサンクチュアリガーディアン)"⁉︎」

 

考えるのを止め、頭を振った瞬間、急に強い頭痛が襲ってきて、思わず頭を押さえてその場に膝をつく。

 

しばらく頭を押さえているとその頭痛はすぐに消えていった。

 

「大丈夫ですか⁉栗原先輩⁉︎」

 

「まさか、さっきのデュエルでどこか怪我をしたんじゃないだろうな⁉︎」

 

「だ、大丈夫、大丈夫。ちょっと頭痛がしただけだから、平気、へっちゃらだよ。最近ちょっと多いんだよね」

 

心配そうな真紅ちゃん達に笑顔を見せて、立ち上がる。

 

やっぱり、ちょっと疲れてるのかな?

 

最近気を張ったデュエルばかりだし………

 

「………あれ?ここは………」

 

自分の体調の変化について考えていると、近くから五味君の惚けたような声が聞こえてきた。

 

「気が付きましたか?」

 

「あれ、えっと、あの3年生の先輩ですよね?あの、僕は………」

 

「あなたはここで気を失っていたんですよ。大丈夫ですか?」

 

「あ、はい。ありがとうございます。僕は大丈夫です」

 

私が手を差し伸べると、五味君は申し訳なさそうに私の手を掴み立ち上がる。

 

闇のカードから解放された五味君の声からは先程まで感じていた刺々しさはない。

 

これだけ大人しそうな五味君をあそこまで豹変させるんだから改めて闇のカードの危険性が分かる。

 

五味君を闇のカードから解放できたのはよかったんだけど、1つだけ問題があるとすれば………

 

「一体何があったんですか?」

 

「………すみません、気を失う前のことは思い出せなくて。誰かに見たこともないカードを渡されたような気はするんですけど………」

 

五味君が歯痒そうな表情を浮かべ首を傾げる。

 

やっぱり、五味君は闇のカードに操られていた時のことを覚えていない。

 

手かがりが得られるかと思ったけど、これでまた振り出しだね。

 

「とりあえず保健室に行った方が良さそうですね、気を失ってましたし」

 

「じゃあ、私が連れて行きますよ。栗原先輩は風紀委員会への報告もありますから」

 

「分かった。ありがとう、刀花ちゃん」

 

「いえいえ。これぐらい気にしないでください」

 

「ならば我は"規律の番兵( ディサプリンセンチネル)"を呼んできてやろう。汝は戦いのダメージを癒すがいい」

 

「ディサ?えっと………」

 

「風紀委員の方のことだと思いますよ」

 

「フッ、我が呪言に秘められし真実を見抜くとは………流石は我が朋友だ、"深淵の話し手( アビストーカー)"‼︎」

 

「あってるみたいですよ」

 

「………みたいだね」

 

何故か不敵な笑みを浮かべる真紅ちゃんを見て私は思わず苦笑いを浮かべる。

 

本当に、刀花ちゃんはなんで分かるんだろう?

 

私には全く分からないよ。

 

「では我は"規律の番兵( ディサプリンセンチネル)"を呼んでくるとしよう。汝は動くでないぞ、"小さな聖域の守護女神( リトルサンクチュアリガーディアン)"」

 

「あ、うん。お願いね」

 

私の返事を聞くと真紅ちゃんはニヤリと笑うと、大袈裟にマントを翻し体育館から出て行く。

 

言動や行動には分からないところもあるけど、やっぱり真紅ちゃんは優しい子だね。

 

「それでは私も保健室にこの方を連れて行ってきますね」

 

「うん、刀花ちゃんもありがとう」

 

「いえいえ。それでは先輩、念のため私が肩を貸すので保健室まで行きましょう」

 

「あ、うん。ありがとう………あの‼︎」

 

「うん?何かな?」

 

「ありがとうございました‼︎」

 

刀花ちゃんに支えられながら、保健室に歩いて行こうとした五味君はいきなり私の方に振り返ると真剣な表情で頭を下げる。

 

「私はあなたを見つけただけたがら、お礼なんて別に………」

 

「いや、あの、なんかうまく言えないんですけど、僕、闇の中にいた気がするんです。何も見えなくて晴れることのない暗い闇の中に」

 

「っ………‼︎」

 

五味君の言葉に私は少しだけ驚く。

 

まさか、覚えてる?

 

さっきの五味君とのデュエルを?

 

「そんな暗闇の中で、声が聞こえた気がするんです。闇を照らす、陽だまりのような優しい声が。根拠とか、ないんですけど。その声は先輩の声だった気がするんです。だから………」

 

五味君は1度顔を上げると、もう一度深く頭を下げる。

 

「僕を闇の中から救ってくれて、ありがとうございました」

 

「………何のことかは分からないけど、どういたしまして」

 

私の言葉を聞いて五味君はもう1度頭を下げると刀花ちゃんに連れられて体育館から出て行った。

 

2人が体育館から出て行くのを見送った後、私は思わず呟いた。

 

「あなたも今闇の中にいるんですか?紅葉さん」

 

脳裏に浮かんだのは、行方不明になっている私が私で在るために必要なことを教えてくれた優しい友人の姿。

 

きっと行方不明になっている人達は五味君のように晴れることのない呪われた闇の中に囚われてる。

 

そして闇のカードの呪いを祓うために、きっと私は戦うことになるだろう。

 

紅葉さんとも、きっと。

 

「必ず助けてみせます………絶対に、絶対です」

 

違うことが赦されない誓いを言霊に変え、胸に刻む。

 

私の力は………きっとそのためにあるのだから。

 

「………あ、そういえば‼︎」

 

私はふと思い出してポケットにしまった操られていた五味君が投げてきたカードを改めてみる。

 

取り出したカードはやっぱり白紙のままだ。

 

「これ、どうしたらいいんだろう?」

 

白紙のカードからは闇のカードの時に感じた嫌な感じはしない。

 

だけど、元が闇のカードだったからこそ、放置しておくのも少し怖い。

 

「うーん………えっ?」

 

私が頭を悩ませていると、いきなり私のデュエルディスクから闇が溢れ出し、私が手にしていた白紙のカードを呑み込んだ。

 

私が慌ててデュエルディスクかやカードを取り出して見てみると、白紙のカードを呑み込んだ闇を溢れ出させていたのは究極時械神セフィロンとNo.XX インフィニティダークホープのカードだった。

 

「えっ⁉︎だ、ダメ‼︎えっと、食べちゃ?いや、食べてるのかは分からないけど、と、とにかく呑み込んじゃダメ‼︎ぺっ、して‼︎ぺっ‼︎」

 

私の言葉が聞こえているのかいないのか、しばらくすると白紙のカードを覆っていた闇が霧散する。

 

「一体何が………えっ⁉︎」

 

今までにない出来事に戸惑いながら、私は改めて白紙のカードに目を向けると、そこにあったのはーーー

 

「新しいカードに変わってる?」

 

ーーー白紙のカードではなく、イラストやテキストが記入されている1枚のカードが存在していた。

 

 




次回予告

幻騎や行方不明者について情報収集をしていた美傘と夜は、突如聞こえた叫び声を追って路地裏に入るとそこで闇のカードを回収していた大和と遭遇する。
過去の因縁から大和に噛み付く夜は、大和の提案に乗りお互いの闇のカードをかけてデュエルをすることになる。
譲れない思いの果てに響くのは………1人の少女への懺悔の声。


次回 遊戯王Trumpfkarte
『不揃いな決闘者』


次回は夜と大和のデュエル回。
第3者視点でお送りする予定です。
夜と大和の因縁が少しだけ暴かれる?
次回をお楽しみに。


それじゃあ今回はここまで。
緊急事態宣言が終わり、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
私は何とか修羅場を乗り越えしたが疲労が凄く、相変わらずぎりぎりな日々を送っています。
最近気付いたら意識がとぶことが多くてまともに小説も書けません、マジで休みたいです無理だけど。
それはそれとして、私が仕事で忙しかった間にも色々と新しい情報が入ってきてますね。
個人的に嬉しかったのはヌメロン関連のカード化決定。
嬉しい気持ちとホープゼアルが禁止になりそうでハラハラする二律背反です。
とはいえヌメロンはやっぱり嬉しいです。
新しいランク1が増えますしね‼︎
ふふっ、ふふふふふ‼︎
因みに今週末はクリボー三幻魔remixやクリボー機皇帝remixで遊んでました。
つまりはそういうことです。
それではそんなところで今回はここでお開き。
次回もなるべく早く更新したいですが、2周年記念も同時進行で書いてるのでいつできるかは未定です。
もしかしたら次回更新は2周年記念になるかも。
ではでは〜
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