転生者は夢を見る   作:ソン

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今回は情報整理回です。


Seeing it now

 

 

「……よし」

 

 深夜、アンイーヴンの事務所で雅は手持ちのノートパソコンにデータを打ち込んでいた。それは彼女が勤め出してから数週間が経過しているアンイーヴンに関してのデータである。

 客観的データを彼女なりの推察でまとめた物だ。一言でいうのならば、データ整理でありこれらを行う事で、雅は改めてアンイーヴンの一員であると強く感じられるのだ。

 自身が打ち込んだデータに満足げな頷きをしてから、雅は一からデータを見直した。

 

 

 

『アンイーヴン』

ギルバが創設者である便利屋だが、店としての体裁は形骸化している。特に給料の未払いと踏み倒しが酷いが、どこからか来る金と冷蔵庫に次々と蓄えられるスナック&インスタントのおかげで食事には困らない。入浴はシャワーで就寝はソファかビリヤード台となっている。電気や金がどこから来るのかは不明で色々と謎に包まれている。

公には宣伝しておらず、来た仕事は一通り受けると言うスタンスを取っており、百夜が行動作戦者を務めギルバと雅がそのサポートと言う形になっている。報酬は依頼に応じて変化するが大抵はジャック伝いの紹介である。

アンイーヴンは「不揃い」と言う意味だが、この店名に何の意図があるのかは不明。商店街まで一時間、都心部までは二時間もかかる場所にあるため、アンイーヴンを知らなければ間違いなく来る者はいない。

 

 

『紅裂 百夜』

アンイーヴン内でもかなりの実力者で、二挺拳銃を主流とした戦闘スタイルは最早人間の範囲を超えている。瞬時に武器を出し入れする能力は恐らく何らかの要因があるとみてよい。今のところ使用している武器は大剣、二挺拳銃、槍、アームガードとレガースの四種類。特に拳銃の弾薬をどうやって確保しているのかは不明。

服装はロングコートを好んでおり、それ以外はあまり着たがらない。

身体能力に関しては異常で、壁を駆けあがったり、ビルの三階にまで一気に跳躍するなどの恐らく何らかの特異的な出生があると思ってよい。

よく分からない少年だが、内心には年相応の思いが秘められておりその純粋さはただ真っ直ぐである。それ故か、かなり血の気が濃く熾烈かつ苛烈な戦闘を好むため、ある種の戦闘民族とも言える。戦闘の直感においては未来予知にすら等しい程の動きを行う事もあり、ある意味戦いのために生まれてきたような存在ともいえる。

 

 

 

『ギルバ』

本名不詳だが、恐らく日本人であると思われる。長い黒髪の女でアンイーヴンの所長。事務的仕事をしていたが現在は雅に丸投げしている。

かなり適当な性格だが金には抜け目がない。作れる料理はインスタント限定であり未婚。年は不明だが一生結婚できないと思われる。ただし外見の見た目は二十代ほどであるが、それにしては知識が卓越し過ぎている。

作戦などに関しては天才的な指揮能力を以ていて、百夜との意思疎通は完璧と呼んでもいい。戦略、戦術、武器に精通しており情勢にも知が富んでいる。店の内装と装飾品は彼女の所有物であると思われるが、どこで集めてきたのかは不明。

何者かは不明だが、彼女も百夜に匹敵する実力者の可能性が高い。

 

 

『八坂雅』

本名更識簪。誘拐後にアンイーヴンに流れ着く。現在は事務運営を行っておりギルバが満足する領域の腕には到達している模様。眼鏡は外していて、髪は黒に染めているため変装は完璧である。

現在の目標は技術屋としての腕を上げる事であり、自作のノートパソコンを使用しては各地のIS施設や情勢をリアルタイムで観察している。

作戦遂行においてはギルバに劣るが、地理を調べる能力に関してはギルバも認める程。

まだまだ精進が必要。

 

 

『ジャック』

情報屋を名乗る謎の男性。黒のスーツと黒のシルクハットは彼のトレードマークと推察される。気配の消し方から身のこなし方は恐らく特別な家系の生まれであり、使用する武器は不明。戦闘においても百夜やギルバと並ぶほどの実力者に違いないと推察。

武器の作成においても顕著な才能を発揮しており百夜の使用に耐えうる武器を提供しているが、何故武器しか提供していないのか不明。

とにかくほとんどが謎に包まれた男で、警戒は必須。

 

 

 

「……異常だね」

 

 ぽつりとつぶやく。

 ここに記されている者は明らかに人間と言う範疇から外れている。雅とて自身の技術特化の才能が年不相応である事には気づいていた。ただそれが、姉との比較にはならなかったのだ。必要な戦闘の才能が、彼女には欠けていたのだから。

 しかしそんな事など最早どうでもよくなってしまっている。

 彼らのデータを見直して、雅は再び呟いた。

 

「本当に、異常者ばかり……」

 

 改めて自分は大丈夫なのだろうかと、雅はどこか遠い眼差しで呟いた。

 八坂雅、アンイーヴンの新参者ではあるが彼女は既に技術者として大きく貢献していた。僅か十五の少女である。年不相応は彼女にも当てはまるのだ。たった一台のノートパソコンから作戦の情報をリアルタイムで集める技術など十五の少女が持てるようなモノではない。

 彼女も中々に異常者である。

 

 

 

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