随分昔の記憶なので、存在そのものを忘れていた奴らがいる。
そう、ポケモンお馴染みの悪の組織である。
サカキがロケット団を作りそうもない現状で、平和な世界が続いていくのかと言えばそうでもない様だ。
マグマ団。人間が暮らせる大地を増やそうとする悪の組織である。まぁ、日本の人口密度を考えれば、いたって普通な思考回路だ。
それに対抗する勢力がアクア団だ。奴らはポケモンの誕生する海を広げて、新種の水ポケモンを生み出そうとしている頭の可笑しな奴らだ。ポケモンの理想世界を作ると喚いているが、間違いなくヒトカゲ族は絶滅である。
さて、この両団。いつの間にかオレノ島に上陸を果たし、面倒事を起こしている。
マグマ団のボスであるマツブサは、人工島を見て歓喜。俺をマグマ団の幹部として迎えようとあの手この手で勧誘してくる。
アクア団は逆に島を潰そうと、定期的に手下を送り込んで来る。
その両者が、ポケパークで出会おうものなら路上バトルである。厄介な事にマグマ団はポケパークを守ろうとしていて、アクア団が潰そうとしている。これだけならマグマ団と協力して事態の鎮圧にあたれば良いのだが、そうするとマグマ団の一員として世界各国に手配されかねないのだ。
ポケウッドやポケモンセンターの設置を断ったツケが回って来たのである。
「どうしたものか…」
「両方と戦う訳には行きませんか?」
「それだと定期的に二つの団から攻撃を受ける事になるぞ?」
「うーん」
「奴らのアジトを潰すとか…」
「組織壊滅?……ダメだな。国際警察が危険団体として処罰する口実になる」
「他の誰かが潰してくれればいいんですが…」
主人公たちが活躍したとして、旅に出るまであと8年と少し、時間稼ぎが必要だろう。
「利用客からもクレームが入っていますし、手を打たないと」
「分かっている…がなぁ」
そう言えば奴ら、キーストーンを持っている。何所で手に入れたのか不明だが、利用できるかも知れない。
「ちょっと一人にしてくれ…」
「………わかりました。失礼します」
キーストーンがあるなら、メガシンカだ。奴らは錠前を開ける鍵を手に入れたが、施錠されている箱の方はどうだろうか?
水と火のメガシンカ石。
いや待て、それよりも彼らに相応しいアイテムがある。
「『べにいろのたま』と『あいいろのたま』…この二つを上手く使えば、ポケパークへの興味を逸らせるのでは?」
奴らが求めるグラードンとカイオーガの強化アイテム。興味を持たないはずがない。
「試してみるか…」
翌日から其々噂を聞きつけたマグマ団とアクア団が、ビクトリーショップに押しかけて来た。
「おい、店主!カイオーガをパワーアップさせる道具があるってホントか!?」
「まてまて、グラードンのパワーアップアイテムが先だ」
「…ああ、聞いた事はある」
「この店では扱っておらんのか!?」
「どうなんでぇ!」
「レプリカならあるぞ」
「「レプリカァ!?」」
「売りに来る客がいても、ピンポイントにしか使えない物は買い取らんしな?まぁ、出来上がったのは、古代ポケモンの強化アイテムだったが」
前世で誰かが言っていた。嘘を語る時は、七割の真実を混ぜろと。
「それで売りに来た奴ってのは!?」
「確か…売れないなら元の場所に返してくるっと言っていたが」
「元の場所?」
「ど、どこでい!?」
「詳しい事は知らんが、ホウエン地方(ルビー、サファイアの舞台)の何所かだと言ってたな」
俺がそう言うとドタドタと慌ただしく店を出て行った。
「一件落着だな」
「ビィ~ビィ」