!
「休み…だと!?」
!?
「そうですね。やはり今の状態ですと、定期便の許可を得るのは無理でしょう」
「そうですか…」
ハロー、店長だ。今日はポケパーク開園の第一歩として、定期便を作ろうとポケモン海上保安庁にやって来たんだ。
「流石にこの内容ですと、宿泊施設が無いのは…」
「あー、なるほど」
「ポケモンセンターなら宿泊、食事処を完備した上に、無料で建築できますが?」
「論外、却下」
「…」
ポケモンセンターとか全国支配を目論む施設だと思う。奴ら何の権利があって、人のポケモン管理してやがるんだろう。調べて見たら、フレンドリーショップと同じ系列なんだよな。
「ま、しょうがない。客には自力で来てもらおう」
港も出来たし、船で旅行に来る客も出て来るだろう。何なら船を買って、予約制の送迎でも良い訳だ。
「宿泊施設…ホテル?いや、腰を据えて生活する人も出て来るだろうし、貸別荘の方が良いか。いっそ町でも作るか…回復装置は買えばいいとして、食事と連絡用の電波塔…テレビとラジオも欲しいな」
「…あのー」
「そうなると最低でもラジオとレストランには人を雇わないと…」
「おーい」
「人が増えれば治安が悪くなるのが、世の習い。一応、俺のポケモンは警備用に育ててるけど警備トレーナーも必要か…」
「おいってば?」
「うっさいわ、ハゲェ!」
「ハゲじゃねぇよ!?」
何だいきなり?
「一体、何だお前?」
「なんだかんだと聞かれたら、答えてやるのがマイポリシー!当てもなく一人さまよう孤高のトレーナー、コジロウ!」
「…」
またロケット団かぁ…。
「む、やはりこの名乗り方は、今一歩物足りない…」
「相方がいないからだろ」
「その発想は無かった!」
「で、何か用か?」
「人手が足りないと言っていただろう。オレを雇ってくれ!」
「いいぞ」
「まぁ、いきなり言われても困るだろうが…何!?」
「基本住み込みだし、島に骨を埋める事になるかもしれんが…」
「不吉!?」
「…ポケモンバトルだけ出来れば、飢える事無く生活できる島だ。俺に雇われれば、もっと裕福な生活も出来る。豪華絢爛な生活ができるかは、お前次第だけどな」
「いや、オレの家は元々裕福で、贅沢な暮らしの息苦しさは良く知ってる」
「そうか…」
「でも良く知らない、オレでも良いのか?」
俺はコジロウの事を知っている。アニメで個別シナリオを幾つか見た事が有るからだ。ただコジロウからしたら、不安だよな。
「オレ、トレーナーズスクールの受験にも落ちてるし…」
「ああ、あんな馬鹿育成機関は行かない方が良いぞ。教えてる内容は古いし、間違いが多い」
「ええぇ!?」
「炎タイプが水タイプに弱いとか嘘だから」
「でも火は水で消える…」
「同じレベル台で不利に働くってだけだ。高温の熱は裕に水を蒸発させるだろ?」
「でも不利なんじゃ?」
「戦況が不利な事は、敗北が確定する事じゃない。ましてや不利なのは弱い事じゃない」
「でも相性は…あ」
「分かっただろ?馬鹿育成機関だって」
「トレーナーズスクールで学んだ子供たちは、相性の良いポケモンを使えば必ず勝てると思う…でも、そもそもそれが間違い」
「有利に戦える事は事実だが、ポケモンが強くなる訳じゃない。回避の無い殴り合いなら、強弱を語れるだろうがな。あの馬鹿育成機関は、多くの生徒を指導する為に手早く説明する。子供は純粋だから、教わったまま覚えて…」
「……トレーナーになる」
「全員とは言わないがな。ちゃんと自分で考える子供もいる」
「なるほど…」
「オーキド博士なんかはそれを嫌って、自宅はスクールの無い場所を条件の一つとしたらしい」
最初から何かを学ぶのに、手早く済ませるなど無理な話なのだ。なにしろ常識が間違いだったと簡単に覆るのが化学の世界である。
生物学に関してはもっと単純に情報が塗り替わる。生き物が相手だから、性格、環境が違うだけで細かく生態が分岐する。
「なるほど…」
「それは兎も角、家が裕福なら家族の説得とか大丈夫なのか?」
「イ、いやぁ…そのー」
「ウチは観光地になる。どうせ顔バレするんだから、ちゃんと話し合ってこい」
「うう…はい」
「今は人手が全然足りないから、心配そうにしてる後ろの奴らも纏めて面倒見てやる」
「え、後ろ?」
コジロウが振り返ると、そこには自身が所属しているチャリンコ暴走族のメンバーが扉の外に集まっている。
「ね、みんなぁ…」
「あの悪人面は、警備員に有用だな…」
こうして100人ほどの暴走族を丸ごと雇った。
オーキドのガチャ沼と後から連絡して来たコジロウの両親の資金援助で、一気に島の開発が進んだ。
コジロウの両親は、音信不通の息子が見つかった事を喜び。そこまで追い詰めていた自分たちを責めて、婚約も解消したらしい。幸いコジロウが家を出てから、寂しくなったご婦人が第二子を去年出産していたらしく、後継者問題は先送りになった。
後を継ぐかはコジロウと弟のコダチの意思に委ねる方針だそうだ。
「ラジオは受信設備で済んだな…コジロウ!」
「何ですオーナー?」
「お前、ムサシと二人でテレビスタッフやれ」
「二人でですか!?」
「マスコットのポケモン入れて二人と一匹かな。ってか撮影班な」
「あ、それなら」
「まぁ、テレビ局スタッフが入るまで二人で回して」
「無茶ぶりぃ!?」
!?!
「えーっとチャリンコ暴走族の君たちには悪いけどチャリは降りてもらう」
「「「なっ!?」」」
「島だから地面の起伏が多い。せめてマウンテンバイクに乗ってくれ」
「「「憧れのマウンテンバイク!」」」
!?!?
「ポイントカードは貰ったな。トレーナーカードを指し込め」
「「「うす!」」」
「これからポケモンバトルだ。弱い警備員など監視カメラにも劣る」
「「「うっす!!」」」
「「…」」
「ポケモン持ってない奴がいるな?」
「「…はい」」
「お前たちは別メニューの訓練だ」
「「?」」
「一人一個ポケモンのタマゴをやるから、孵化させて育てろ」
「「「おおぉ!」」」
「んで、試験に受かったら育てたポケモンはお前たちの相棒。試験に落ちたら、解雇だ」
「「!?」」
「良いか?この試験は個別に行うし、定員も定めてない。もっと言えば、生まれたばかりの子供でも受かる試験だ。…一つだけヒントをやろう。この試験に落ちる奴は、非常に高い確率で犯罪者になる」
「「…」」
(不安になる奴なら、問題ないだろうがな)
!?!?!
三日後。
「これから試験を始める」
「「うっす!」」
「番号順にポケモンと部屋に入る様に」
さて、ジックリ拝見しますか…。