瓦解のテンシ、アクマの鮮血   作:福宮タツヒサ

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プロローグ 2

あれからどうしただと?

晴れて自由の身になった私は各国へ渡り歩いた。

金銭についての問題なら心配無用。幼少の頃から金の管理に慣れていたので困ることはなかった。仮に金が無くなったとしても、そこら辺の人間に冤罪を掛けて脅せば良いだけだ。

そんな生活を続けて私は15歳になろうとした。

 

さて、私の目的を教えようか。

どうしてそんなにまでして、世界を渡り歩き回ったかって?

それは———。

 

 

 

「———喜ぶが良い女。我のものにしてやる。側に置いて可愛がってやるぞ、フハハハハハハ!」

 

目の前で喚いているキザ男……。こんな輩を片付けるため。

……もう色々、不愉快極まりない。

何を隠そう、このキザ男も私と同じ転生者。女を自分の性処理道具としか考えてない、知能を下半身に任せてるクズ男。

それにしても金髪に赤の瞳、それに自称が“我”って……完全に他作品の英雄王だよね? 自分勝手で横暴な困った大人の容姿だよね、これ? とすると、こいつは『王の財宝』とか使えるのかな? ……まぁどうでも良いか。

 

「気持ち悪……生憎、私は元男だ」

 

「何だとっ!? この我を騙したのか、貴様ぁッ!!」

 

いやいや、騙したも何もそっちが勝手にナンパして来ただけでしょ?

つーか普通の容姿じゃなく、わざわざ痛々しい英雄王になりきるとかマジ無いわ。アニメにめり込みすぎて如何に本人が現実を直視していないかが伝わってくるもん」

「何だとっ!? ……さては貴様、転生者か!?」

 

あ、しまった。あまりの気持ち悪さに口が滑ってしまった……。

私を転生者と勘づいたキザ男は全身鎧を纏った。

うわ〜、いつ見てもあれは無いわ。厨二臭さがプンプンする。見ててこっちが痛くなる格好だわ、あれ。

何も無い空間から刃が検出した。標的は私。

 

「ふん! 素直に我の女になれば可愛がってやったものの———主人公よりも先に、貴様を殺してくれようッ!!」

 

……は? 何を言ったのかな、あのキザ男?

 

その瞬間———無数の刃は消失した。

と同時に、キザ男の纏った鎧が粒子となって消え去る。

それだけでなく、キザ男の全身が光に包まれた。

光が止んだかと思ったら、そこにいたのは黒髪の日系人、頭の天辺が禿げた小太りの体型の男。スレンダーとは大分かけ離れた、贅肉だらけのブタだった。あ、今のは本物の豚さんに失礼だね。豚さんは加工されて食料として皆の役に立つのに、目の前にいるデブは何の有効利用も無いもん。

 

「なっ!? どう言うことだよっ!? どうして以前の俺の姿に戻るんだよっ!!?」

 

男はパニックを起こしていた。まぁ当然と言えば当然かな。

これは初めて人を殺した時に気づいたけど、どうやら私が“自称神”から貰った“特典”と言うのは———“()()()()”だ。相手の身体能力や本来備わっている才能、他にも転生者の“特典”を奪って自分の物にできること。でもまさか容姿まで否定できるなんてね。

 

「お、おい! 今すぐ俺を元の姿に戻せよっ!! 何をしたのか知らないけど———」

 

「ねぇ、自分の置かれた状況を理解してるの?」

 

自分でも凍えると認識できるような声色で殺意を放った。

途端にデブは勢いを失って顔を蒼白く染めていた。ヒザもガクガク震わせている。まったく面白い反応をしてくれる。人を殺すことはできても、人から殺される覚悟なんて無いんだろう。

 

「自分が殺そうとした相手に不当な要求が通るとでも思ったの? そんなことも分からないなんて、脳味噌じゃなく贅肉にしか栄養が通らなかったみたいね」

 

「な、何だと———」

 

「後、私は返すつもりないから。そもそも方法も知らない……それに、ここで殺すから」

 

そう言って掌を頭上へ上げた。

少し念じるだけで、周囲の空間から無数の刃が現れた。長剣や短剣などの多種類で、デブよりも多く鋭い。

狙いはもちろん———デブ。

 

「……遺言はある?」

 

「まっ……待ってくれ———いや、待って下さい!! その能力も差し上げます! もう2度と貴方様の前に現れないと約束します! 原作に関わろうともしません! だから、生命だけはっ!!」

 

「……言いたいことはそれだけ?」

 

「えっ?」

 

「この際言ってあげるけど……私は原作が崩壊しようが主要キャラの誰かが死のうが構わないの。一切、微塵も興味ないの……」

 

そう、この世で唯一の【天使】……私の一夏を手に入れれば、この世界に未練なんて無いの♪

 

「私は一夏と一緒になりたいだけなの……と言うわけで、一夏を殺そうとしたお前には死んでもらうわね。まぁ私の存在を知った以上、どの道生かしておかないけどね」

 

「そ、そんなっ……待っ———」

 

「さようなら♪」

 

掌をデブに向けて念じると、無数の剣が目にも留まらぬ速度で突っ走る。

 

「ガァァァァァァァァァッッッ!!?!?」

 

グサグサグサグサグサグサグサグサグサグサ——!!!!

次々と排出された剣はデブを串刺しにし、血肉と骨が斬り裂かれる騒音が周囲に響き渡る。

煙が晴れ、血だらけの達磨ハリネズミになったデブの姿が見えた。両腕両足が斬り裂かれてバラバラ、原型を留めていない。腹部にも無数の剣が突き刺さって血塗れの腸が溢れている。頭部に至っては、眼球や鼻とか顔のパーツが消滅していた。最早これが人間なのかすら分からない。

それにしても……これで3人目かな?

最初に遭遇した転生者の男は『魔眼』を与えられた騎士団を率いた黒騎士姿の転生者。次に遭遇したのは時を停められる能力を持ったメイド姿の転生者。

最初の男から能力を奪ったらデブと同様、禿げたニートに豹変した。大方自分の好きなアニメで得た“特典”で自分のハーレムを築こうとしたんだろう。殺した後の処理は面倒だったけどね。

メイドの女は“特典”を奪っただけ、容姿はそのままにしておいた。その代わり、あっち系の薬を服用している頭のヤバそうな男達に売り渡したけどね。容姿だけは美貌が整ってるからなぁ〜、今頃コスプレメイドは男達の肉奴隷と化しているんだろう。もしくはバラバラにされて売り払われているとか。

 

 

 

「ねえ貴女…」

 

背後から声が響いた。振り向くと金髪の妙齢の女性がこちらに視線を向けていた。

原作キャラの1人にして『亡国企業(ファントム・タスク)』の幹部1人、スコール・ミューゼル。何年か前に死亡した筈らしく、義手をつけたサイボーグ。そして口調の荒いアラクネ女の同性恋人を持つ女、その人だ。

 

「中々面白い力を持っているのね。それはISなのかしら?」

 

「……」

 

「ふふ。そんな顰めっ面していたら折角の可愛い顔が台無しよ?」

 

含みのある笑みを見せて尋ねてくるが、私は口を閉ざしたまま。さっきのデブみたいに殺気を放ってくれれば、どんなに楽か。

私の“能力強奪”。聞こえは最強のチートな能力だが、()()()()()()忿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。まったく面倒な能力よ。

 

「まぁ良いわ。私達と一緒に来ないかしら?」

 

どうやら向こうに殺す意思はないようだ。こっちも殺されるつもりはないけどね。逆に殺してあげるし。

それにしても、スカウトね……。

これを利用しない手は無いわね。原作ラスボスの立ち位置である天災ウサギに目をつけられたら厄介極まりない。たった1人の天災を相手に手も足も出せない弱小組織でも、後ろ盾があったほうが何かと都合が良い。

 

「……良いわよ」

 

「あら、やっと口を開いてくれたわね♪ 可愛いわよ——」

 

「黙って聞け……。

条件があるわ。私個人のプライベートには一切関与しないこと。それから私が何処の学園でも生活を送れるように、ニセの戸籍を用意すること。これらの条件を承諾できるなら貴女達の組織に加入してやる。非道なことはもちろん、貴女達の指定した人物も抹殺してあげる。貴女達の邪魔者も含めて、ね。 ——()()()()()()()()()

 

「随分勝手な注文ね……。分かったわ、本部に掛け合ってみる」

 

勝手な注文だと?

こっちはスカウトされた身なのだ。しかも無理強いさせるつもりは毛頭ない。これくらいの我儘も許されないなら、いつでも組織を壊滅させてから脱退してやるさ。

 

「絶対よ。これらの条件にそぐわない対応だったら、お前達の組織ごとまとめて潰す……」

 

「あらあら、怖い怖い♪ ……そう言えば聞いてないわね。貴女の名は?」

 

“怖い”なんて嘘つけ、この年増女が……と内心毒吐きながら「名前か……」と顎に手をつける。

前世、男だった頃の名前は覚えてないし、クズから貰った名前は要らないや。大体あいつらは私のことを「お前」とか「あんた」とか、まともに呼ばなかったし。

そうだなぁ………決めた。

 

「ディアナ……私の名はディアナ・リェータス」

 

 

 

〜〜◇〜〜

 

 

 

『亡国企業』に所属してから月日が流れた。

この頃から頭痛の日々だった。天災ウサギが開発したIS《インフィニット・ストラトス》が一般企業でも開発されるようになった時期だったらしく、私の所属する企業でも取り入れたらしい。

思えば最初の頃……同期の奴らから煙たがられたものだ。

立場を追われた者や金が底を尽きた者の中、私だけ条件付きのスカウトで加入したからである。特にアラクネ女は私をスカウトした人物がスコール・ミューゼルであることが気に入らないらしく、目線が合う度に喧嘩をふっかけてくる。最も私は全然気にしないが。

もしも実力行使で仕掛けてきたら返り討ちにすれば良いだけのこと。貢ぎ品と称して痺れ薬を飲ませ、身動き取れないところで一方的に殴る、蹴る、歯を2、3個引っこ抜く……etc。同性でも気分悪くなるくらい。

 

さて、昔話もここまでにしよう……。

 

 

 

「弱いわね……」

 

「だ、黙れっ!」

 

今、私の眼前にはIS『ラファール』を纏った女がボロボロの姿で倒れていた。原作キャラである織斑(おりむら)千冬(ちふゆ)を、学生時代まで巻き戻した私と同い年な風貌の女、エムこと織斑マドカ。

ミッション遂行のためなら他人でも同僚でも平然と殺害できる冷酷な性格。自身の持つハイスペックな能力故に他人を常に見下す傾向がある。

うん……。この娘が冷酷なら私は何だろうね? サイコパス?

さて、どうしてこの様な状況かと言うと……。

このエムは仕事の実績はトップクラスで、幹部の何人かが一目置いてる。しかし前述で言った通りの性格なので命令違反を犯すことが多く、手を焼かせるじゃじゃ馬だと。

そんな中、私も同じくらい実績を残した。それに加えて命令違反など組織が困るようなことは特にしなかったのでエムよりも評価が高い。組織に従順で助かると何人かが褒めていたが、私個人は早々揉め事を起こしたくなかっただけだ。

プライド高いエムちゃんはそんな私に目をつけて「私と闘え」とほざいた。貴方はどこのチョロコットさんですか?

相手を刺激させないように丁寧に断ったのに、彼女は懐からナイフを取り出して私に襲いかかった。難なく躱したが扱いにメンドくさくなり、決闘を承諾した。彼女の得意なIS戦で。

 

「何故なんだ……IS戦を得意とする私が、何故貴様のような素人に……っ?」

 

勝敗の理由は簡単……マドカの能力を奪っただけだ。身体能力やIS適性など。その所作で彼女のIS適性は一気にDまで下がり、運動音痴な女子ぐらいまで低下して、一般の中年男性でも捕縛できるほど弱くなってしまった。

因みに私の適性はBでそこそこ。しかしマドカから貰った能力で値上げし、今は適正Sだ。

素人以前に、圧倒的な能力の差に、彼女は私に勝てる筈もなかった。

 

「エムさん……だっけ? あなたに何があったか知らないけど、一々私に突っかからないでくれるかしら?」

 

「お、お前を……ッ!」

 

あーあー、まったく人の話を聞いてないや。

彼女ったらシールドがゼロになってISが解除されたのにも関わらず殺気を放ってくるもん。どこにそんな気力があるのか。

また奇襲をかけられても困るなぁ……。仕方ない、少し予定が早いけど、実行に移そう。

ISを解除して彼女に近づくと、彼女の胸元を弄って取り出す。

 

「っ!? そ、それを返せ! それが無いと、私は——」

 

「え〜? どうしてこれが必要なのかしら? とっくに縁を切られた関係なのに」

 

私の手の中には、織斑千冬の写真が埋め込まれたペンダント。彼女にとって唯一の繋がり。

血相を変えて彼女は取り戻そうと、百足みたいに地面を這いずり回る。

だが私は口の端を上げ、三日月みたいな笑みを見せた。

 

「ねぇ、どんな気分かしら? 格下の相手に手も足も出なくて………ねぇ?」

 

少し手の圧力を加えただけで、バキャッとペンダントが粉々に砕け散った。

 

「あっ……あぁ……ッ!!?」

 

エムはこの世の終わりのような表情を浮かべ、粉々になったペンダントの欠片を集めようと必死に手を伸ばす。

その前に私はペンダントの残骸から1つの写真を取り出す。言うまでもなく、織斑千冬が映った写真だ。

その写真を摘み、エムの眼前でビリビルに破る動作をした。

エムは止めてくれと、必死に懇願する目を見せてくる。

 

「貴方は力が無ければ何もできない、組織のお荷物。いたことにすら気づかれないんだよ?」

 

「や、止めろ……っ! それ以上は……」

 

「力が無くなった今……貴方は誰からも愛されない、必要とされないの……。

 

 

 

そうでしょ? 織斑千冬の贋作」

 

ビリビリィ———と写真は無惨に散った。修復不可能なほど。

その瞬間、織斑マドカの精神は完全に崩壊した。

この世に絶望しきった瞳を浮かべ、立ち上がろうともしなかった。

 

「……わた、しを……殺、して……」

 

掠れるような声で私に懇願した。

現実を言い当てられ、格下と思い込んでた者に力で屈せられ、自分の力も奪われて自暴自棄になってるんだろう。どの道、実力主義の組織に加入した時点で、役立たずを生かすことなんてないだろうけど。

良識ある人なら素直に手を下す。もしくは「生きろ」と声を激昂をかける。そう、良識ある人はね……。

 

「……巫山戯るな」

 

「うぐっ!!」

 

エムの腹部に溝打ちをかます。

 

「何の理由も無く生まれて死ぬだと? 1度“生”を受けた身なら1つでも私のために有効利用されろ、エム」

 

「私、が……?」

 

オロオロこちらを見つめるエム。

するとエムの体が発行した。自分の体を見て「私の力が、戻った……っ!?」と驚いていた。

どうやら私の“特典”は、私が任意した相手にのみ能力を返上できるようだ。

 

「……貴女様は……」

 

エムは私をうっとりと見上げていた。それは神を妄信する信徒の如く。

計画が順調過ぎて、私は笑みを抑えるのに精一杯だ。気を抜けば、今にも【悪魔】のような笑みを浮かべてしまうからだ。

 

「もうどうでも良い生命なら、私が有意義な存在にしてあげる………私の役に立ってから死ね、エム。いや、マドカ」

 

「……はい、ディアナ様……」

 

狂気と幸福を孕んだ瞳で彼女は私を見つめる。もう彼女は私に逆らうという選択をしない。永遠に私の言葉を信じるだろう。

たとえ……()()()()()()()()()()

これで駒が1つ手に入った。誤算だったけど、どう利用しようかな〜?

うふふふふふふふふふふふふふふふふふ♪

 

 

 

——その日、【悪魔】は微笑んだ。それと同時に、世界崩壊へのカウントダウンが近づいた——

 

 

 

 

 

???side

 

“織斑家の出来損ない”——それが僕の貼られたレッテルだ。

 

そう呼ばれる原因は僕の身内だ。

まず僕には姉と双子の兄がいる。姉は第1回モンドグロッソの優勝者にして世界最強“ブリュンヒルデ”の称号を持つ。兄は勉強やスポーツ問わず、何でも1番の成績を残せる万能の天才児。誰もが彼らを“神童”と謳った。

……それに対して、僕は2人に比べて“非才”だった。必死に頑張って上位の成績を取っても、いつも兄と比べられて周囲の人から認められることがなかった。

姉の友人である篠ノ之(しののの)(たばね)さんは僕に興味無さそうな冷淡な態度。その妹である篠ノ之(しののの)(ほうき)に至っては「信念が足りん!」と言って、嫌がる僕に剣道を無理矢理させて、いつも兄と2人掛かりで僕を傷だらけにする。

僕の姉———千冬姉さんは身体中に絆創膏を貼られた僕の姿を見て、いつも心配してくれた。けど僕は夜遅くまで出稼ぎに行ってる千冬姉さんの事情を知っていたので何も言えなかった。

 

そして……篠ノ之束さんがIS《インフィニット・ストラトス》を開発してから周囲の環境が激変した。

この極めて強力な兵器が開発されてから『女尊男卑』という風潮が生み出された。

そんな中、優秀な姉と兄を持った“非才”の僕はどうなるか。

 

『あんたって本当にクズね〜。こんなのと兄弟なんて千冬さまが可哀想だわ!』

 

『生きてるだけで罪なのよ! 織斑家の出来損ない!!』

 

千冬姉さんを崇拝する女子から罵倒を浴びせられ、暴力を受けた。

それだけでなく……。

 

『お前の姉の所為で俺達の立場が危ないじゃねーか!! どーしてくれるんだよ!?』

 

『死んで責任取りやがれ!!』

 

男が冷遇される世界、その元凶とも言える兵器の操縦者の姉という理由で、男子からも虐められる。1歩間違えれば死ぬかもしれない内容だ。

いつしか学校全体で僕を虐めるようになる。しかも先生も見て見ぬ振り。

兄の方は“神童”と謳われるほど優秀なので、迂闊に手が出せない。だから男子の怒りは全部僕の方に集まった。

そうして僕の評価は下がり、兄の評価は上がるだけ。

 

いつだってそうだ。

何か行為をしても、全部兄の方に評価が回るだけだ。

中国から転校してきたって理由で虐められた鳳鈴音(ファン・リンイン)と言う同級生も……僕が助けたのに、容姿が似てるから兄と間違えて兄にばっかり構ってしまった。兄は僕に対して辛辣な態度。必然的に鳳鈴音の僕への評価は低くなる。

 

そのストレスが溜まった所作なのか……()()()()()()()()()()()()()()

思春期を迎えても声変わりすることなく、小学生と間違われそうな幼い外見が残ったまま中学生を卒業してしまった。

 

そして15の春———。

 

初の男性IS操縦者が現れた……。僕の兄だ。

兄が動かせるという理由で、強制的に僕もISの検査を受けるハメになった。

すると僕も動かせてしまい、2人目の男性操縦者としてIS学園に入学することになった。

 

 

 

明日から、僕は兄と共にIS学園に入学することになる。

少しでも自立できるように、就職率の高い藍越学園に入学するため、必死に勉強してきたのに………すべてが水の泡になった。

 

いつもそうだ。

僕の意思は無視され、いつも誰かに流されるだけ……。

 

 

 

いつも……いつも……いつもそうだ………ッ!

 

 

 

「……ヒグッ……誰か、僕を認めてよぉ……っ!」

 

 

 

——その夜も人知れず、世界の被害者である【天使】———織斑一夏は涙を流す。温もりが欲しくて——

 

 

 

——故に【悪魔】は怒りを撒き散らす。世界は滅びへと向かう——

 

 

 

——自身を守ることしかできない愚者は、自分の世界を守ることしかできない——

 

 

 

——故に愚者達は気づかない。自分達の世界が壊れることを——

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