瓦解のテンシ、アクマの鮮血   作:福宮タツヒサ

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マジか!? 評価バーに色がついてる…!
評価してくださった皆様、ありがとうございます。
本編ですが、先に注意事項を言っときます。セカン党の皆さんは見ない方が良いです。


第5話 蜥蜴尻尾

鈴side

 

いよいよ今日、あいつとのクラス対抗戦が始まる。

私のシナリオの詳細は……。

まず対抗戦で私は一切手を抜かず、徹底的にあいつを叩きのめす。

後日、手も足も出せず無残に敗北したと言う噂が学園中に流れ、プライド高いあの男は鬱憤が溜まるはず。

そこへ何食わぬ顔でリェータスが登場し、苛つかせる言葉をかけて秋十の怒りを触発させる。そして一気に怒りが爆発した秋十は襲いかかり、暴力沙汰を引き起こす。

……大まかに言えばこんな感じね。

聞けば秋十は私が来る前、イギリス代表候補生を再起不能にさせたらしい。前科がある以上、いくら織斑千冬の力を持ってしても今回ばかりは庇いきれないに違いない。

アリーナに設置されたカタパルトに脚部を置き、ISが感知すると競技場へと向けて射出される。

しばらく待つと、向こう側のピットからもISを纏った秋十が飛び出してきた。

 

「お互い頑張ろうぜ、鈴!」

 

えぇ、そうね……精々頑張りなさい。

愛想笑いだけ浮かべると、あいつは何も知らずに馬鹿みたいな顔になった。

まったく、少しの間でもあんな馬鹿に好意を持ったのが私の人生における最大の汚点ね。

でも、忌々しい過去も全て消し去る。あのクズを社会的に抹殺して……今度こそ私は自由を手に入れる!

誰にも心を弄ばれることのない、私だけの人生を噛み締めるんだ!

 

『それでは両者、試合を開始してください』

 

ブザー音が鳴り響き、秋十とのクラス対抗戦が始まった。

 

 

 

〜◆〜

 

 

 

対抗戦は激戦だった。

あいつの専用機は意外にも手強かった。

私と同じ近接格闘戦型と思えば機動力が私の『甲龍(シェンロン)』より上。

……だがここでトラブルが発生した。

その途中、上空のバリアーを突き破って地面に砲弾が着弾した。見上げると、そこには正体不明の敵ISが滑空していた。

突然のことで驚愕する私だったが、秋十はこの事態を予測した素振りで対処し始めた。あいつより出遅れた!

あの鈍臭い女は何をやってるのよ!? こんな時こそあんたの出番でしょうが、殺すわよ!?

私の計画がおじゃんになるのも気に喰わない、クズ男の言いなりになるのも釈然としない。それもこれも全部、あのリェータスの所為と八つ当たり気味になる。

その怒りのあまり、冷静さを欠けてしまった。

それのせいなのか、いつもみたいにISを操縦できなかった。操縦のキレが悪くなって、まるで()()()()()()()()()()()()()()()()I()S()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……そんな気持ち悪い感覚だ。

一発、致命的な損傷を喰らってしまい、私のシールドエネルギーは枯渇してゼロになった。

敵ISに撃墜された私は地面に墜落し、体の節々に激痛を感じた。

くっ……どうやら肋骨や足が骨折したようね。

即座にISプライベート通信機であの女に呼びかける。鈍臭いゴミ女だとしても代表候補生。一応あいつも専用機を国から支給されているはずよ。

……って、さっきからコール音鳴らしているのに全然応答しないじゃない! あのバカ何やってるのよ!?

しばらくコール音が続き、ようやく受話器を取る音が聞こえる。

 

「ちょっと遅いじゃないのよ! 私が連絡を寄越したらすぐ受け取れって言ったでしょう!?」

 

『あー、ごめんね鳳さん。今こっちも立て込んでて抜け出すのに時間かかっちゃったの』

 

あんたの都合なんて知ったことじゃないわよ!

と叫んでやりたがったが、今は非常事態。要件を早めに伝える。

 

「なら良いわ。それより、今すぐ私の元まで来なさい。あんたみたいなウスノロでも代表候補生なんだから、専用機ぐらいは持って——」

 

『あちゃ〜、それは無理。実は私の専用機はグレードアップしたいから、昨日本国へ送り返したばかりなの』

 

「はぁっ!? ほんっと使えないわね、あんたは!! だったら訓練機でも生身でも良いからとっとと来なさ——」

 

『は? 何でそんなことしなくちゃいけないの?』

 

え……?

急に何が起こったの? まるで豹変したような、人が変わったみたいな……。

いや、それが本性なのね。

私の前だけ鈍臭いウスノロ女を演じ切って本性を隠していたのね! 道理でやけにスムーズに事が運んだと思ったわ!

 

「ちょっと待ちなさいよ! あんた裏切る気!? 織斑一夏を手に入れなくても良いの!?」

 

『“裏切る”なんて心外だね〜。一体、何時誰が君と同盟を組んだと約束したのかな? それに君がいなくても一夏は手に入れられるもん』

 

音声のみの通信なので顔は見えないが、きっと憎たらしく笑ってるに違いない! 私としたことが、あのクズ男を早く陥れたいばっかりに、完全な誤算だったわ!

でも、あんたがそう来るなら、こっちだって考えがあるわよ。

秋十の実姉——織斑千冬の力を借りるのは非常に癪だけど、なりふり構ってられないわ!

 

「……そう。あんたが今すぐ来ないなら、今すぐここに駆け付けてくれる教師達にあんたの本性を訴えてやろうじゃないの!! 本国に送り返されて牢獄に入れられたくなければ今すぐ私の元に来なさい! そして土下座して二度と私に逆らわないと——」

 

『あ、そうそう。言い忘れていたけど……今扉が全部ロックされて、誰も君を救助できないらしいよ? しかもシステムが書き換えられているから、教師はもちろん、織斑先生ですら外に出られないんだって』

 

「……え、嘘」

 

途中で遮って言ってくるリェータスの言葉に、私は唖然としてしまう。

誰も、織斑千冬ですら、救助に来れない……?

それじゃあ……絶体絶命ってわけ……?

……ち、違う、こんなの私の考えた計画とは全然違う。こんなの、私の望んだ結末じゃないっ……!

 

「う、嘘でしょ? タチの悪い冗談は止めてよ……だって、これじゃあ本当に、私が死んでしまうじゃない?」

 

『うん、そうだよ。君はここで死ぬ……私の予定通りだよ』

 

え……あんたの、予定通り?

この女は初対面の時から、私の命を狙っていたの? 中国の代表候補生である私を蹴落とすために。

通信越しで『それに』と言い続ける。

 

『君も言ってたでしょ? 織斑秋十に一生の恥をかかせたいと。だったら………幼馴染の君を無駄死にさせた、と不評された方がよっぽど効果覿面でしょ』

 

……は、はぁ!?

あのクズに一生の恥をかかせるため、私の命を犠牲にするですって!?

ふざけるな! 私はあのクズを陥れて、本物の勝者になるのよ! もう両親の勝手な都合で異国に渡ることもない、誰にも私の心を弄ばれることのない、今度こそ本物の自由を手に入れるのよ!!

こんなところで死んでたまるものか!!

 

『そもそも……私の一夏を虐めた時点で、あんたは最初から生きることなんて許されてないのよ。

あの世への切符は予約しておいたから後は自分で逝ってね♪』

 

プツン———とアイツは通信を切った。

じょ、冗談じゃないわよ!? こんなところで死ぬなんて、しかもあのクズ男に関わることによって!?

こんなこと……ま、待ってよ! お願い、誰か! 誰でも良いから助けて!! 何でもする、まだ誰にもあげたことない処女も捧げるから、助けてください!! まだ私は死にたくない! 今度こそ自由になりたいのに! 誰にも制限されることのない自由を、私は欲しかっただけなのにっ!!

……あ……巨大な鉄骨が降って来た。

足が骨折しているから体を動かすこともできない。秋十は未登録の敵ISを相手にして苦戦している。誰も私を救助に行けないのだと、嫌でも分かってしまう。

もう自分の死から逃れる術はない。もう死ぬという現実に目を背けることができない。

………どうして、こうなったのかしら?

親の都合で日本に移住して、生まれが違うという理由で差別され、クズ男に良いように利用されて乙女心をぶち壊されて、中国に戻ってからは嫌々でISの訓練を受けられて代表候補生になって……。

思い返せば、まったく幸せを感じられなかったわね。

本当……乾いた笑みしか出ない。

 

「……ア、アハ………私、何処で間違えたんだっけ………」

 

 

 

———ドシャアッッッ!!!!!

 

 

 

——中国娘は最期まで理解できずにいた。無自覚で【天使】の少年を嘲笑ったために【悪魔】の少女の怒りを買ってしまったことが死因だということに。

 

 

 

〜◇〜

 

 

 

一夏side

 

「ど、どうしよう……!?」

 

僕は狼狽を隠せずにいる。

さっきまで秋十兄さんと鳳鈴音との対抗戦で盛り上がっていた観客席は、突如現れた謎のISによって阿鼻叫喚の巷と化した。

至るところから悲鳴や喚き声が聞こえ、避難活動は満足に進んでいない。

こんな時こそ、専用ISを持っている()()()が皆を救わないといけないのに。

……専用機が反応してくれない。まるで機能が全て停止したかのような。

どうしよう、どうしよう!?

もしかして僕は……また見捨てられるの!?

すると僕の不安をかき消すように、ディアナさんが背後から僕を抱きしめてきた。姿が見当たらなかったから既に避難していたのかと思ってた。

 

「大丈夫。一夏がたとえどんな存在でも……私はず〜っと味方だよ♪ この気持ちは、織斑先生より本物なんだからね」

 

そう言って微笑んでくれる。

魅了されそうな魔女の笑み、だけど僕にはどうしても【悪魔(サキュバス)】に見えてしょうがない。

………でも、僕の不安を大きく塗り潰すように安堵が押し寄せてくる。

こんなにも僕は彼女に心を許してしまったんだ。実の家族である秋十兄さんや千冬姉さんよりも、ずっと深い安らぎを感じたんだ。

だから僕は……彼女から離れられないと自覚してしまう。

巣離れしてしまえば、幸せの青い鳥が逃げてしまえば……残された巣はボロボロに朽ちてしまうから。

 

 

 

〜◇〜

 

 

 

ディアナside

 

ここで一つ、私は野望を達成した。一夏の一番の信用を得ることだ。

一夏には可哀想だったけど、万が一にも心優しい一夏に戦闘を巻き込ませるわけにはいかない。

だから敢えて私の“特典”を駆使して、一夏の専用機をしばらくの間無力化させた。ちょうどこの間のダサ男から奪った“機械を操れる”能力だ。これで一夏のISをしばらくの間停止させた。

ごめんね一夏、カッコいい活躍を奪ってしまって。でも誰かを助けるなんてことすれば、その牝豚が発情して君は狙われるかもしれない。まぁ、そんなことをすれば私が黙ってないんだけどね。

でも、この埋め合わせはいくらでもするからね……主に身体で。唇でも涎でも汗でも血でも骨でも眼球でも歯でも……何でも要求して構わないからね?

だって……私の身体は隅から隅まで全部一夏のものだもん♡ むしろ好きにして!!

あ、そうそう。あの口煩いセカンドは死んだ。いなくなって清々するわ。やったね♪

セカンドの頭上に鉄骨が降って来て即死だったんだって……まぁ、その鉄骨も私が用意したものだけど。

その場にいた生徒はもちろん、死骸を回収に来た教職員も吐き気を催されたらしい。まぁ無理はないかもね、何せ……割れたガラス瓶みたいに頭蓋骨がバラバラの破片と化して脳髄や神経が丸見えだったからね。これは元が女だったの? と誰もが疑う感じ。

何はともあれ、これで邪魔者(原作ヒロイン)がまた一人消えた。

あの敵ISは結局、駆けつけた教師達が倒したから、自称オリ主くんは、また盛大に落ち込んだみたいだね。

でも案外、次はフランス娘やチビドイツ娘とかに期待を寄せてるかもしれないね。

でも……できるかなぁ〜〜〜?

だって………もうこの世界(物語)にあの二人は存在しないからね♪




自分で書いてなんですけど……本当に主人公(女)が外道!! っていうか怖いよ!?
こんな奴に狙われる一夏(男の娘)が可哀想スギィッ!!

流れで鈴は救済なしの死亡となってしまいました。
セカン党や貧乳ファンの皆様には本当に申し訳ないです。
いやマジで!!! すんまっせーーーーーん!!(土下座!!!)
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