やはり岸波白野の青春ラブコメは王道か?   作:魔物Z

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今回は前回ザビ男が建てたフラグ通りエネミーが来る!

楽しんで読んでもらえると嬉しいです


月が善からぬモノを送ってきたようだ。

 

 

 

「あたためますか?」

 

「なんだよ、それ」

 

俺の言葉に比企谷は『こいつ何言ってんの?』みたいな目で見てくる。

 

「俺もあまり好きではないんだけど、むしろ苦手なんだけどさ、これを着たら言ったほうがいいかなって」

 

「意味わかんねぇよ。それに完全にお前はコスプレだろ。そのカソック」

 

そう俺は今、カソックを着ている。肝試しに用意されていたモノではなく、俺が店長から貰ったお下がりのやつ。俺は持ってきた覚えがないのだが何故か入っていたので今着ている。

 

「でも、これを着ている人はたいてい怖い人だから肝試しの持ってこいだよ。たぶん」

 

俺は笑顔でそう言う。

 

「いや、それ以前に神父って脅かすもんでもねぇからな」

 

「確かに……」

 

で、でもこれを着てると完全にフランシスコ・ザビ……。

 

とまぁそれは置いておくとして、今コスプレではなく、肝試しの衣装を着ているのが雪ノ下さん・浴衣(雪女?)、由比ヶ浜さん・ヘソ出しの悪魔?の衣装、小町ちゃん・猫耳や肉球の手袋等(化け猫?)、海老名さん・巫女服、戸塚くん・魔女(戸塚くんの場合は魔法少女って感じ)。

 

他にも衣装があるようだし、残りは今怪談を小学生たちに話している桜とカレンの分かな?

 

何々、修道服か、カレン用って感じだな。

 

で、もう一つは………アイマスクとボディコンスーツって、サクライダー?

 

「…………」

 

着せさせるかぁ!!!

 

誰だ!俺の可愛い桜にこれを用意したやつら。カソックの中に何故かあった黒鍵で……柄しかないから無理か。

 

店長から貰ったときに聞いたけど『その場で作れば問題はない』とか言ってな。どう作るんだ?魔力を流したりするのかな?まぁ使うことはないか。

 

でも、もしもの時の為にカレンあたりに聞いてみよう。

 

このサクライダーの衣装は処分する。あとで破邪刀で丁寧に切り刻んでおこう。

 

 

 

 

 

カレンと桜の会談で数名泣いてる子もいたけど肝試しは決行されるわけだ。

 

俺は変わらず神父のコスプレしてはいるが、比企谷が言ったように神父って脅かすものではないよな。

 

「あら、白野先輩。それはお父様から貰ったものですか?」

 

背後からカレンに話しかけられた。

 

「うん。何故か俺の持ち物に入っててね。それで着る機会もないだろうから着てみたんだよ」

 

俺は振り返ってカレンに言う。カレンは修道服を着ていた。

 

「カレン。似合ってるね」

 

「ありがとうございます。褒めなかったら嬲り殺しですけど」

 

「いちいち怖いよ。ところでさ」

 

俺は周りに人がいないことを確認してからカソックの中にある黒鍵の柄を取り出す。

 

「黒鍵ってどうやって使うの?」

 

俺がカレンに黒鍵の使い方を尋ねたら、カレンは少し驚いたような顔をしている。

 

「白野先輩は黒鍵を知っているんですか?と言うよりどうして持ってるんですか?」

 

「持っている理由は、店長がこのカソックをくれたときに一緒に入ってたんだよ。十二個。全部柄だけ。で、知ってる理由は一度見たことがあって、更に店長から聞いたからだよ」

 

「そうですか。ですがどうしてお父様が白野先輩に渡したのでしょうか?」

 

「さぁ?それは俺も聞きたいけど、持っているからには使いたいんだよね。それで店長に前聞いたんだけど『その場で作れば問題ない』としか教えてくれなかったんだよね」

 

「ですが、たぶん白野先輩には使えませんよ」

 

カレンがバッサリと俺の望みのようなモノを断ち切った。

 

「え、えぇー。どうしてですかカレンさん?」

 

「理由で言いますと白野先輩には魔術回路がないからです」

 

そ、そうだったのか。俺には魔術回路がないのか。

 

「言い方が違いますね。魔術回路とは別の回路のようなものがあると言うべきでしょう」

 

サーキットのことだろう。

 

「白野先輩は理解してると思いますけど、白野先輩と私たちの魔術は根本から違います。この黒鍵は私たちの魔術のモノなので先輩の魔術では使えない。と私は考えます」

 

「確かに筋は通ってるな。でも使える可能性はあるんでしょ?」

 

「確かに可能性ならあります。魔力には変わりませんし、白野先輩の魔力保有量は異常なほど多いですから、黒鍵の刀身を作ることもできるかもしれません」

 

一応Lv99だし、礼装全装備だからね。魔力量は多いはずだよね。

 

「ですが、白野先輩は黒鍵を何に使うんですか?」

 

「………投擲」

 

「何を当たり前のこと言ってるのやらこの駄犬は……。私は何に対して使うのかと聞いたんですよ」

 

「………今後、何かに襲われたときよう。最近物騒だから」

 

「昨日の夜のあれですか?」

 

カレンはわかっているようで……。

 

「カレン、見てた?」

 

「いいえ、ただ森の中に白野先輩と似た魔力を複数感じたので」

 

「もしかしたら今後もああいうのあるかもしれないから気を付けてね」

 

「わかりました。まぁ今日はそういったものは感じないので大丈夫でしょうけど」

 

「そうか」

 

ならよかった。でも気は抜けないな。

 

「じゃあ、そろそろ肝試しの定位置に行こうか」

 

俺はそう言ってカレンと別れ、森の中に入って行く。

 

さて、どうやって小学生たちを驚かそうかな?

 

 

 

 

 

小学生たちが森の中かに入り始めて数分。

 

そろそろ留美ちゃんたちの番だよな。

 

というわけでどういう結果で終わるか気になるのでその場に向かうことにしよう。

 

今更だが俺では小学生たちを驚かしたり怖がらせたりできないと思うので、小学生たちが通るタイミングを見計らって物音を立てたりしているだけ。基本このカソックを着ている意味はない。

 

移動していると浴衣を着ている女性を発見。

 

「やぁ、雪ノ下さん」

 

「ひゃっ……き、岸波くん?」

 

「えーっとごめんね。驚かせた?」

 

「いいえ、驚いてないわ」

 

う、ウソだぁ。まぁ本人が驚いていないと言っているのだから驚いていないことにしよう。

 

「それで、岸波くんはどうしてここにいるのかしら?あなたの場所はもう少し前だったと思うのだけど」

 

「留美ちゃんたちのことが気になってね。しっかりと最後は見ておきたいんだよ」

 

「そ、なら行きましょう」

 

そう言って雪ノ下さんは歩き始めようとしたとき

 

「あ、ゆきのん、キッシー」

 

後方から由比ヶ浜さんが俺たちを呼びながら小走りで近づいてきた。

 

「やぁ、由比ヶ浜さんも留美ちゃんのことが気になったの?」

 

「うん。キッシーとゆきのんも?」

 

雪ノ下さんは「ええ」と返答し。

 

俺も頷き、自分の意思を伝える。

 

「それじゃあ、一緒に行こ」

 

そうして俺は二人と一緒に移動していると、比企谷たちを発見した。

 

「比企谷くん。状況は?」

 

雪ノ下さんが小声で比企谷に話しかけると、比企谷は振り向いた。

 

「今、葉山たちのほうへ向かってる。俺は見に行くけどお前らどうする?」

 

「当然行くわ」

 

「あたしも、行く」

 

そして俺の番。

 

「俺も―――」

 

『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!』

 

きた!

 

森の奥のほうからバーサーカーのような咆哮が聞こえた。

 

あの方向なら人と接触することはないだろう。だけどもしものことを考えると行った方がいいよな。

 

「おい、岸波どうした?」

 

「え?………いや、なんでもない」

 

比企谷には聞こえてないのか?いや、まずあれが聞こえてたらこの辺一帯が大騒ぎになるか。

 

そうなるとこれは俺にしか聞こえてない。たぶんカレンは魔力とかでわかるのか?

 

でも、こうなると留美ちゃんのことは無理そうだな。

 

「ごめん。用事ができた。だから俺は無理そう」

 

「「え?」」「は?」

 

全員が驚いた。当たり前だな。

 

「結果はあとで教えてくれないかな?それじゃあ」

 

俺は走り出そうとしたら、腕を掴まれた。

 

「岸波くん、待ちなさい。急にどうしたの?さっきまで気になっていると言っていたじゃない」

 

「えーっと、トイレ」

 

「ウソね。それ以前に方向が違うでしょう」

 

ごもっともです。

 

ならこれでどうだ。

 

俺はすました表情をして

 

「月が善からぬモノを送って来たようだ」

 

「どうしてここで中二ぶる」

 

比企谷にツッコまれた。

 

じゃあ今度はこれで。

 

俺は前髪を人差し指でクルクルいじりながら

 

「なんかぁ~あっちの方ってぇ~いい感じなんだよねぇ~」

 

「キッシーがチャライ!」

 

「岸波くん。ふざけないでしっかり答えなさい」

 

雪ノ下さんの俺の腕を握っている力が強くなった。

 

痛くはない。でも、雪ノ下さんが出せる全開の力って感じだ。それだけ本気なのだろう。

 

「………はい。わかりました」

 

俺は観念して本当のことは言えないが、ある程度説明しよう。

 

「昨日の夜、俺が森で厄介ごとに巻き込まれたんだけどさ、今日もそれが来たみたいなんだよ」

 

「そ、わかったわ」

 

よかった。雪ノ下さんは納得してくれたようで。

 

「今回は私も一緒に行くわ」

 

ちょっと方向性を間違えたな。

 

「え!?ちょっ」

 

「比企谷くん、由比ヶ浜さん、ごめんなさい。私たちは別行動するけどいいかしら?」

 

「ああ、構わねぇよ」

 

「え!?」

 

「ゆきのん、キッシー頑張って!」

 

「え!?」

 

「さぁ岸波くん。行くわよ」

 

え?マジですか?

 

 

 

 

 

比企谷と由比ヶ浜さんと別れ、俺は森を走っている。

 

雪ノ下さんを抱えながら(お姫様抱っこ)。

 

雪ノ下さんは最初は怒っていたが今では頬を赤くして俯いて静かである。

 

少々機嫌が悪いのかな?そういえば前もあったな雪ノ下さんを抱えて走ったこと。雪ノ下さんを助けた中学三年とき。

 

今更だが、カソック姿で女の子を抱えて森の中を走るってどんなゲームだよ。

 

それに雪ノ下さん浴衣姿だし。

 

『マスター』

 

昨日と同じようにアーチャーの声が脳内に流れる。

 

アーチャーこれってどうやって話してるの?

 

『これについては後で話そう。エネミーのことだが今回は一体しかいないがマスター、君では絶対に勝ち目がない』

 

言ってもらえて助かるんだけどさ。引くにも引けないんだよね

 

『ああ、わかっている。だから十分耐えてくれ。エネミーと戦い始めて十分だ』

 

アーチャー、別に倒しても構わんのだろ?

 

『マスター、それは死亡フラグだ。十分間耐え抜くことだけを考えてくれ』

 

はい、わかりました。だけど、勝ち目がない相手に十分か、無理にも程があるな。まぁ頑張ってみるよ

 

『済まない。あともう一ついいかマスター』

 

何?

 

『どうしてマスターはカソック姿で浴衣を着た女性を抱えて走っているのかね?』

 

こっちにもいろいろあるの!俺だって、一人で行くつもりだったんだよ……

 

『まぁそれも君の『女難の相』が引き起こした結果として受け入れたまえ』

 

他人事と思って。同じ呪い(女難の相)の持ち主だろ。

 

『それではマス――――』

 

アーチャーが話している最中にザザザザとテレビの砂嵐のようなノイズが流れる。

 

『センパイ元気でした?BBちゃんと話せなくて寂しくなかったですか?』

 

今度はBBちゃんですか……。何の用ですか?

 

『その反応ひどくないですかぁ?もう少し感動してくれてもいいじゃないですかぁ?もぉBBちゃんも怒っちゃいますよぉ。プンプン』

 

可愛いなぁ。BBちゃん世界一可愛いよぉ(棒読み)

 

『もうセンパイったら。世界一可愛いなんて当たり前のこと言われても嬉しくないですよ』

 

なんか嬉しそうな声だな。

 

それでどうしたの?

 

『今回はセンパイのお手伝いをしてあげますよ』

 

お手伝い?

 

『はい。まず、センパイとエネミーが戦う場所を結界のようなモノで隔離します。あとはセンパイが作ったプログラムの一つを使えるようにします』

 

あの複数作った面白くて楽しいプログラムってやつ?

 

『そうです。で、そのプログラムを一つ使えるようにしますね。センパイの電子手帳に送っておくのでしっかりと見ておいてくださいね』

 

わかった

 

『ところでセンパイ?』

 

何?

 

『どうして、センパイはカソック姿で浴衣姿のメルトと声がそっくりな女を抱えて走ってるんですか?』

 

もう、気にしないでよ……

 

『あ、そう言えば。センパイどうして昨日『MPS』を使わなかったんですか?せっかく私たちのいる場所のリソースを使って作ったっていうのに』

 

BBだったのか……はぁ……

 

『何故ため息を吐くんですか?(おかしいですね?センパイのために用意したのに)』

 

で、あとどれくらいでエネミーのところに着くのかな?

 

『もうじき着きますよ。その辺でその女を下して行った方がいいですよ』

 

わかった。さすがに雪ノ下さんを戦闘に巻き込めないからな。それじゃあBBまたあとで

 

『はい。センパイは死なない程度に頑張ってください。もうプログラムは送っておいたので結界のようなモノの中で確認してくださいね』

 

そしてBBとの通信が切れた。

 

『―――ター!マスター!どうした!?』

 

焦ったアーチャーの声が流れてきた。

 

ごめん、アーチャーとは別の何かが話してきたからそっちに返事をすることができなかった

 

『別の何かとは何かね?』

 

BBだよ。それじゃあアーチャー、そろそろ着くみたいだからそっちの準備みたいのが終わったらまた返事を頼んでいいかな?

 

『BBか……。ん、ああ任せたまえ。マスターまた後で連絡する』

 

そしてアーチャーとの通信も切れた。

 

俺は立ち止まり雪ノ下さんを下す。

 

「き、岸波くん?急にどうしたの?」

 

まだ頬の赤みが取れない雪ノ下さんが俺の方を見て尋ねてくる。

 

「そろそろショッ〇ーと戦わないといけないから、雪ノ下さんはここで待ってて」

 

俺はそこに雪ノ下さんを置いて目的地に走る。

 

といっても雪ノ下さんから十数M離れてところで、BBが言っていた結界のようなモノが出現。

 

こ、これは!全自動脱衣式オープンロック特許申請中!!

 

何でBBこの俺のトラウマみたいなのを出してくるんだ……。

 

でも、今回は俺ではなく俺以外の人に対して使われているわけか。

 

「岸波くん?この巨大な扉は?」と雪ノ下さんが急に出てきた巨大な扉を見て少し驚いたような声が聞こえる。

 

「雪ノ下さん。もうこれ以上は入れないんだ。だからそこで待ってて」

 

パッと見た感じでは扉以外の部分は何もないように見えるが、透明な壁のようなものがあるようだ。

 

「嫌よ。いいからこの扉を開けなさい」

 

「無理なんだ。俺にはこの扉は開けられない」

 

「どういうこと」

 

「この扉を開けるには………雪ノ下さんが下着を脱がないといけないんだ!!」

 

「………」

 

「………」

 

今ので完全にシラケたな。

 

「………岸波くんもう一度聞くのだけれど、この扉を開けなさい」

 

「俺には無理なんだ。雪ノ下さんが下着を脱がないとこの扉は開かないんだよ」

 

「………」

 

「………」

 

またシラケた。

 

「あなた、それ本気で言ってるの?」

 

雪ノ下さんは呆れ声だ。そりゃあ呆れるよねぇ。

 

「そう言われても真実だから。これは俺にはどうにもできないんだ。だから雪ノ下さんはそこで待っててよ」

 

俺は電子手帳を取り出して、BBから送られてきたであろうプログラムの内容を確かめる。

 

 

 

 

 

これは結構使えるな。ただあまり日常では使えないけど。

 

俺は移動を始めた。そして昨日と同じような草原のような空間に出る。

 

中央にはエネミーの姿がある。

 

なるほど、これは倒せないな。

 

そこには巨大な化け物。ありすたちが出した『ジャバウォック』と似た姿をしている。

 

これはたぶんサクラメイキュウの17Fにいた『NOCTURNE』ってやつだな。

 

もし『ジャバウォック』だったら完全に倒せないけど。ヴォーパルの剣持ってないし。

 

今回は十分戦い抜けばいい。または戦い始めて逃げたり避けたりして時間を稼ぐのもいいだろう。相手は昨日よりも強いが俺が倒さなくてもいいのだからまだ気が楽だし、新しい力も手に入ってるんだから大丈夫だろう。

 

それじゃあ、行こう。

 

俺はエネミーに近づこうと思ったのだが、背後に人の気配。

 

「き、岸波くん……」

 

もしかして………。

 

俺は後ろを向くとそこには、顔を赤くしてもじもじしている雪ノ下さんがいた。

 

まぁ一言で言うならば『可愛い』だよね。

 

ただ今はそれどころではない!

 

「雪ノ下さん!どうして来ちゃったの!?」

 

ここに入って来てるという事は、雪ノ下さんは今『ぱんつ はかせ ない』の状態なわけだが……。

 

「まさか、本当に………を脱いで扉が開くをは思わなかったのよ……」

 

脱ぐの前が聞こえなかったがたぶん、パンツとか言っていたんだろう。

 

「た、確かに冗談にも聞こえるかもしれないけどさ、でも、俺真剣に言ったと思うんだけど?」

 

「そうだったかしら?」

 

真顔で返された!さっきまで顔を赤くしてたのに!

 

「そんなことより。雪ノ下さん、ここは危ないからここから離れたほうがいいよ」

 

雪ノ下さんは真剣な顔つきになった。

 

「そんなこととは何?岸波くん、今私は下着を脱いでいるのよ。いいえ、あなたに脱がされたと言ったほうが正しいわね」

 

「え!?そっち拾うの!?普通は危ないってほうでしょ!?それに俺が脱がせたっておかしいよ!?雪ノ下さんは自分の意思で―――いえ、なんでもありません」

 

俺が反論しようとすると雪ノ下さんはいつものように凍えるような冷たい視線で睨んでくる。

 

何で睨むのさ。

 

「はい、俺が悪かったです。ですから雪ノ下さんは扉の前で待っててください。俺は今からアレと戦わないといけない。だからこの辺は危険なんだ」

 

俺はこっちに気付いていなエネミーを指さして雪ノ下さんにここは危険だから戻るように言う。

 

雪ノ下さんは今までエネミーが俺と重なっていて見えなかったようで、今初めてエネミーの姿を目の当たりにした。

 

「何、アレ?生き、物?」

 

「一応、分類的には生き物って括りには入らないよね?たぶん、ゴーレムみたいな感じなのかな?」

 

「ゴーレム?」

 

「実際は敵性プログラム、エネミーって言うんだけど、俺はアレを倒さないといけないと思うんだよ」

 

「思うって確定ではないのね。それで何故、エネミー?だったかしら。エネミーはこっちを襲ってこないの?」

 

「エネミーは単純でね。一定の距離に入ってこないと襲ってこないんだよ。でも、その一定の距離に入ったら、自分より強い相手以外は見境なく襲うんだ。だから俺はアレと戦わないといけないんだよ」

 

「よくわからないけれど、あなたはアレを倒せるの?」

 

「無理だね。間違いなく負ける。いや、殺されるね」

 

俺は真実を述べる。大切な人は悲しませたくはないんだけど、ここでウソは吐けない。

 

俺の言葉を聞かされた雪ノ下さんは、怒りたいのか泣きたいのかわからない表情を浮かべる。

 

ただとても辛そうなことだけはすぐにわかった。

 

俺は雪ノ下さんに近づいて抱きしめる。

 

「大丈夫だよ。しっかりと秘策みたいなのもあるみたいだから。俺は戦い始めて十分間、耐え抜けばいいんだ。絶対に生きて帰るからさ」

 

「まさか普通に生きてて、そんな映画みたいな台詞を実際に聞く日が来るとは思っていなかったわ」

 

「俺も、この世界ではないと思ってたよ」

 

「この世界?」

 

「それはまた今度かな」

 

俺は雪ノ下さんから離れて、笑顔で

 

「だから雪ノ下さんは俺のことを信じて待っててよ」

 

俺の笑顔を見て雪ノ下さんも気分が少しは楽になったのか、笑みを浮かべた。

 

「ふふ、そうね。私は一応、あなたのことは誰よりも信頼しているもの。信じてあげるわ」

 

雪ノ下さんはそう言ってこの場から離れて行く。

 

 

 

 

 

と、その前に気になったことが。

 

「雪ノ下さん」

 

「何かしら?」

 

「今聞くようなことじゃないんだけどさ。いいかな?」

 

「ええ、私の答えられる範囲でなら構わないわよ」

 

「そうか、なら聞くんだけどさ」

 

俺が雪ノ下さんを抱きしめたときある疑問が生まれた。

 

それは

 

「雪ノ下さんって『ノーブラ』派なの?」

 

「………殺すわよ」

 

「ごめんなさい!」

 

渾身の土下座。

 

俺の土下座を見て雪ノ下さんは呆れながら答えてくれた。優しいな。

 

「あなたが下着を脱げば扉が開くって言ったから脱いだのよ」

 

おや?

 

「ってことは上も下も両方?」

 

雪ノ下さんはまた顔を赤くして頷いた。

 

「そうだったのかぁ。あはははは」

 

俺の説明が悪かったな。パンツって言わなかったせいで雪ノ下さんは今、浴衣の下は何も着ていないのかぁ。

 

うん、エロい。

 

ただ、このことは言わないでおこう。死にたくないからな。

 

 

 

 

 




「あたためますか?」って一度でいいから使ってみたかった
そして秘策とプログラムはどんなのになるか!?次回のお楽しみ!

脱衣トランプでゆきのんの脱衣ができなかったので、ここに来て下着だけを脱衣。「ぱんつ はかせ ない」

それではまた次回に!

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