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「多分なんだけど……私は君の事………」
俺の事?
よく見たら陽乃さんの頬が少し赤い気がする。
陽乃さんはそこから先を言うことを躊躇っているのか口を閉じてしまった。
気にはなるけど言いたくないのなら無理に聞く必要はないよな。
「えーっと、次の質問をしてもいいでしょうか?」
「………うん」
なんか、いつもの陽乃さんと違うぞ。
あの仮面、偽物の表情ではなく、普通の女の子らしい表情というか、大人しいような、しおらしいような、何とも言えばいいのかわからない。
ただ、言えることは今の表情が『本物の彼女』なのだろう。
やっぱり雪ノ下さんに似てるな。雪ノ下さんもたまに二人っきりのときとかにこういう表情を見せてくれる。
そうなると陽乃さんは今、俺と雪ノ下さんが二人でいるときと同じような気分なんだろうな。
「それじゃあ、今日の目的であることを」
俺が陽乃さんに質問しようとしたとき、コンコンとこの部屋をノックする音がした。
嫌な予感がするので小声で陽乃さんに話す。
「……陽乃さん」
「ん?何かに?」
さっきまでの表情がいつもの偽物の笑みに変わる。
「この状況って結構危なくないですか?陽乃さん水着姿ですし、俺は上半身裸ですから、それと早く俺の服を返してください。平然を装っていますがかなり恥ずかしいんで」
それと口にはしてはいないが、陽乃さんの胸や肌が直に俺の肌に当たるので俺の中のオヤジな部分が久々に目覚めそうなんだ。
「えー、別にいいじゃん。白野くんの身体、私は好きだよ」
陽乃さんは俺の気持ちを知っているのかそれとも知らないのか更にくっ付いてくる。
ただ、この表情は面白いからって感じの表情わかってやってるな。
俺は賢者でも聖人でもないのでこの状況はそろそろアウトになりそうなので、陽乃さんの両肩に手を置いて、陽乃さんの身体を押して俺から離す。
「からかわないでください。陽乃さんも女の子なんですからいろいろと困ることになるでしょ」
「私は別に構わないよ。ほら私たちはもうお父さん公認カップルだから別に部屋で裸で抱き合おうが問題ないと思うよ」
「大問題ですよ」
主に俺の精神面が。
コンコンと心なしかさっきよりノックの音が大きくなったような。
『姉さん、いるの?もうすぐ時間なんだから早く用意して出てきてくれないかしら?』
ノックしてきてる人は雪ノ下さんのようだな。
でも陽乃さんの返事がなかったので雪ノ下さんはこの部屋を無人だと思ったのか扉の前から移動したようだ。
そういえば雪ノ下さんがもうすぐ時間って言っていたな。何かあるのかな?陽乃さんに聞いてみるよう。
「もうすぐ時間ってこの後何かあるんですか?」
「一応、この後またパーティーがあってね。それでドレス着ようと思って着替えてた時に白野くんが乱入してきたから」
ああ、だから着替えてたのか。そういえばメールにも予定に空き時間が出来たって言ってたもんな。そうなると後に何かがあるって意味でもあるもんな。
でも、そうなると
「なんで今水着姿なんですか?普通ならドレス姿だと思うんですけど……」
「白野くん、私が言ったこと忘れたの?サービスよ、サービス」
サービスって別に頼んでないんだけど……。嫌ではないですけど。
「それに雪乃ちゃんのは見たんだよね?」
雪ノ下さんの?今までの流れで考えると水着ってことでいいのかな?
「水着姿ですか?」
「うん、仕方がないことだけど雪乃ちゃんの方がリードしてるからね。私は雪乃ちゃんよりも会える時間が少ないし……」
「リードって何をですか?」
俺は疑問に思ったことを尋ねてみる。
そしたら陽乃さんはジト目になる。
「私の目は誤魔化せないよ。気付いてるでしょ。私や雪乃ちゃんの気持ち……」
「何のことですか?」
俺がそう答えると陽乃さんは真剣な顔になる。
「本当に隠しきれると思ってるの?他の子はまだ気付いてないと思うけどいずれは見破られるよ」
……俺は自分の呪い(女難の相)を恨むよ。どうしてこうなっちゃうんだろうな。
「はぁ………他の人には内緒でお願いします。正直に言います、俺は雪ノ下さん、カレン、桜、陽乃さんの気持ちに何となくですが気が付いてますよ」
鈍感なフリをしてきたつもりはないけど、何となくだけど気付いていた。たまにみんなからセイバーとかキャスターとかエリザベートとか桜(月)とかBBとかリップとかメルトとかに似た感じを何度も感じたことある。
さっきの陽乃さんがそんな感じだ。
でも別に俺は陽乃さんよりも雪ノ下さんがリードしてるとか考えてはいないけどね。
「やっぱり……白野くんってSだったりする?」
「どうでしょうね。俺は基本受け手だと思いますけど、別にMではないですよ。本当にMじゃないんで」
ここで俺がMって勘違いされたらなんか今後変な展開になりかねないから。
「う、うん。わかった白野くんはMじゃないんだね」
あの陽乃さんが少々引き気味。でもそれぐらい主張しないとイジメられそうなんだ。
「でも白野くんがMじゃないことわかったけど、女の子の恋心を理解したうえで見て見ぬふりをしてるんだよね。それってかなり外道だよ」
ですよねぇ……でもまだ俺には不安要素がある……。
「だけどさ、どうして過去のことはみんなに話し終わってるのにそれを続けてるのかな?」
「それは……後のことを考えるとこれ以上距離を縮めていいものか」
「前じゃなくて後、過去じゃなくて未来ってことだよね」
「はい」
俺が今年の本当の誕生日に消えるかもしれないなんて言うわけにもいかないし、俺が消えたら悲しむ人だって出てくるだろう。だからこれ以上近づいてしまったらダメだろう。
そして俺が引いた距離のラインが俺が思っている『友達』という距離感。これ以上はアウトだと思っている。
でも、雪ノ下さんはどうにも友人にはなってくれないんだよな。
そこがわからないんだよな。たぶん俺の考えや陽乃さんの言い方とかで何となくだが、雪ノ下さんは俺のことを好いてくれているって思ってもいいんだよね。じゃあどうして友人になってくれないのだろう。
人を見ることは結構うまくなったと思うんだけどな。
「ねぇ白野くんその未来について私に教えてくれない?」
「別にいいですよ」
俺があっさり了承したことが意外だったのか陽乃さんは驚いている。
「え?いいの?私はてっきり白野くんが前みたいに嫌がると思ってたんだけど」
過去を話したからからこそ未来のことを話す決意ができているんだよ。
「ただ、条件があります」
「条件?……あ、もしかしてお姉さんの処女?もう白野くんのエッチ」
「いえ、違います」
陽乃さんの言葉を真顔で返した。
何で俺が陽乃さんの処女を奪うみたいな考えに至ったんだ……。冗談で言っているってわかっているけどさ。
「条件は簡単で俺が今から話す事を誰にも言わないでください」
「それって私と白野くんだけを秘密みたいな感じ?」
「いや、そうじゃありません。この事は陽乃さん以外の人に尋ねられても教えるつもりです。ただ俺の口から説明したいんです」
「ふーん、それは残念だなぁ。私と白野くんだけの秘密が欲しかったんだけど」
陽乃さんが拗ねたような顔をしている。今の表情は本物の表情だな。普通の女の子のような可愛らしい表情。
いつもこうしてればいいのに。まぁ今までのことを考えるとまだ無理かもね。
「それじゃあ話しますね」
そして、俺は俺が消えるかもしれないということを陽乃さんに話してみた。まぁムーンセルのことは伏せた。前世の話とかもしちゃうと時間が足りないのだ。
「うーん……よくわからないんだけど、その白野くんの本当の誕生日、今年の総武校の文化祭二日目の夜に白野くんは死んじゃうかもしれないってこと?」
「いえ、死ぬんじゃなくてこの世界から消えるんです。『俺の記録、俺のことを知っている人や生き物の記憶からも俺という存在が消える』かもしれないって感じです」
かもしれないと曖昧な言い方をした理由は心配を掛けたくないし、それにこれを防ぐ手段を見つけたからだ。
「何でそんな曖昧な言い方なの?」
やっぱりこの人はそういうところは見逃さないな。ここはウソを吐いた方がいいだろう。
「まぁ……予知、みたいな感じなんで曖昧な言い方になったんです」
「ふーん、予知、ねぇ……」
この言い回し俺がウソを吐いてるって気付いてるな。でもこの人なら次は
「それなら仕方がないね」
って言うと思ったよ。
この人はそういう人物だ。深入りせずに相手の手の内を見抜いたような感じ。
たぶん俺が確信していると見抜いた。そしてそれをどうにかして乗り越える手段を持っているのも見抜いたのだろう。
これだからこの人と会うと手の内の読み合いになる。
「でもなぁ」
「どうかしましたか?」
陽乃さんは何か思うことがあるのかもしれないので、どうしたのか尋ねてみた。
「ほら、もしかしたら白野くんいなくなっちゃうんでしょ」
「もしかしたらですけどね」
「そうなると思い出が欲しいなぁって」
俺が消えたら思い出もなくなるんだけどね。まぁそういうことになるよな。
なら俺にできることはやってあげたい。
「それじゃあ今度、何処か行ったりして思い出作りでもしますか?」
俺がそう言ったら、陽乃さんが意地悪な笑みを浮かべる。
「今度じゃなくて……今、しちゃおうか」
俺の小動物の部分が危険を感じ取った。これはキャスターがたまに出すあの感じだ。獲物に狙い襲いにくる感じ。
逃げなきゃ……やられる!
俺は反射的に陽乃さんから距離を取ろうとベットから腰を上げて陽乃さんと別の方向に移動しようとしたのだが、陽乃さんの方が少々上手のようで、俺が跳ねるときの軸足を払い、俺のバランスを崩させ俺を倒そうとする。だが俺もここで倒れるほど弱くはない。
バン!と大きな音を立てながら俺は右手で床に掌底を打ち込み、その衝撃の反動と右手の力を使い、ロンダートをして陽乃さんに距離を取りつつ体勢を持ち直す。
掌底はある程度力を加減しているから凹んだりはしてないだろう。
しかし危なかった。久しぶりの死とは違う恐怖を感じる。
「白野くんの運動神経いいね。まさか倒れそうな状態から体勢持ち直すなんて、でも私の勝ちだけどね」
な、なん……だと。
「白野くんは私から逃げれるかもしれないけど、そんな格好でこの家、この部屋から出れるとでも」
「ま、まさかそのために俺の服を……」
なんて恐ろしい人なんだ。そう考える陽乃さんの今の格好は汚れてもいいからみたいな感じかな?
ふっ、可憐な小鳥と思っていたのだが、その実、獅子の類であったか。
「ですが、陽乃さんはもうじきパーティーに行かなければいけないはず。そちらにはタイムリミットはある。それに俺はあえて手を床に着けるときに大きな音を立てることにより、この家にいるであろう雪ノ下さんにこの陽乃さんの部屋に何かがあると思わせることもできたはず」
俺はある程度の勝利を確信した。制限時間まで逃げ切るか、雪ノ下さんがもう一度この部屋を訪れればどうにかなる。この部屋は間違いなく防音性が優れているはずだから話し声は聞こえないだろうが、さっきの掌底の音は聞こえてるはず。
「でも白野くん、雪乃ちゃんが今の私たちの姿を見たらどう思うかな?」
「………」
ミスった……。もし見られたらこの部屋が血の雨だ。主に俺の血で……。
「あ、あの……どうしましょう」
「……(いやぁ可愛いなぁ白野くんは)」
陽乃さんが俺を猫を見てるときの雪ノ下さんみたいな笑顔で見ている。
「今日はいいや、まだ時間はあるんだし。白野くん襲わないから身構えなくていいよ」
本当に襲う気だったんだこの人。それに今日はってもしかしてこれから狙ってくるのか?そう考えるとまだ危ないかもしれない。
「信じていいんですか?」と陽乃さんに尋ねる。
「あれ?お姉ちゃん白野くんからの信用なくなっちゃった?」
「いえ、陽乃さんのことは信頼しています。ですが保身としてです。そして大丈夫だって言えるのなら俺のTシャツと上着を返してください」
こうして俺は服を返してもらった。Tシャツだけ。
一応、俺はお気に入りのTシャツに袖を通す。あのムーンセルでも着てた黒地のスマイルマークが書いてあるあのTシャツだ。
「あの……上着は」
「あ、白野くん。今から私着替えるから部屋の外で待っててよ」
聞いてない。いや、まぁ分かっていましたけど。
「それとも私の着替え見る?」と陽乃さんが意地悪な笑みで言う。
「いえ、出て待ってます」
「………このチキン」
陽乃さんが小声で毒づいているが、気にしないでおこう。
そして俺はこの部屋を出た。
部屋から出て十数分。廊下に立ってはいるのだが雪ノ下さんには会わない。
そうなると俺の掌底の音は聞こえていなかったのだろう。また猫の画像でも見てるのかな?
と考えていたら、陽乃さんの部屋の扉が開いた。
俺が扉の方を向くとそこには昨日の写メに映っていたドレスを着ている陽乃さんがいた。
「水着姿もよかったですけど、そっちも綺麗で似合ってますよ」
俺は思ったことをそのまま陽乃さんに言う。
「ありがとね。でも水着のことはもっと早く言ってほしかったなぁ」
仕方がない、あの時はいろいろとあった後だったから。
「じゃあ白野くん、今日はこれでお別れだね。また今度」
「はい、また今度……じゃないですよ。今日の目的はたしてないじゃないですか」
そう、俺はまだ両親の話を聞いていない。
「ああ、アレね、アレはウソ」
「………」
俺は何しに来たんだ?
今日唯一の成果って、雪ノ下さんの父親に雪ノ下姉妹と付き合ってもいい権利をもらったぐらい?
何だろう、この絶望感に似た虚脱感。
おかしいな。嬉しくも悲しくも痛くもないのに涙が出そうだ。
「白野くんは泣き虫だなぁ」と陽乃さんが言いながら俺を抱きしめながら俺の頭を撫でる(陽乃さんの胸に顔を埋める感じ)。
あなたのせいでしょう!って怒鳴る気力もないや……。
「……岸波くん?」
ん?陽乃さんの後ろの方から雪ノ下さんの声が聞こえた。
俺は顔を上げようとするが陽乃さんがそうさせてくれない。というか俺を抱きしめている力が増している。
この人はまた面倒くさいこと思いついただろう。それと苦しいです。あと声が出せない、息もできない。
「姉さん。何でここに岸波くんがいるの?それに岸波くんはどうしてそ、そのね、姉さんのむ、胸に顔を埋めたまま」
「あれれ?雪乃ちゃんわからない?白野くんは巨乳好きで、母性に飢えていたからお姉ちゃんの胸に顔を埋めているのんだよ」
ちょ、それはおかしい!!確かに巨乳は嫌いではないけど、小さいのも好きですよ。それにその言い方だと俺から陽乃さんの胸に顔を埋めているみたいじゃないか。
でも母性に飢えているは何となくわかるような。
考えてみれば俺は小さい頃に両親を殺されてるし、この世界では俺のことを褒めてくれたり、甘やかせてくれる人ってあまりいない。むしろ俺の方が褒めたり、甘やかしたりする方だし、それに俺がしっかりしないとみたいな感じで頑張ってきたから。
正直、今の状況は何となく気持ちが落ち着……かないな。
陽乃さんはいいんだけど、雪ノ下さんがいるであろう方から冬なんじゃないかってぐらいの寒い風のようなものを感じる。
ただ、陽乃さんから離れられない。逃げ出すのは簡単なんだが、やっぱり怪我をさせちゃいそうで。そして俺そろそろ息が出来なくて限界なんだが……。
「白野くんは雪乃ちゃんみたいな貧乳には興味がないの」
うん、今、雪ノ下さんの怒りが頂点に達したな。それと俺の意識も薄れてきたな。
息もできないのに何ん、で俺が母性、に飢えてると、か考え、て……。
そこで俺の意識は途絶えた。
目を覚ましたときには既に真っ暗だった。
俺って最近よく気絶するよな。
たぶん俺は今、布団かベットで寝ている状態だろう。
目を覚ましてから一、二分。ようやく暗闇で目が慣れてきた。
「知らない、天井だ」
いや、見覚えはあるな。たぶんここは陽乃さんの部屋かな?
そうなると、もう陽乃さんと雪ノ下さんはパーティーに行ったのか?
俺は上半身を起こして辺りを見渡す。
ここは陽乃さんの部屋ではないようだ。そうなるとここは客室ってことか。
今何時だ?俺は携帯が入っているズボンのポケットの手を入れたのだが、携帯がない。
もしかして落としたかな?または家から持ってくるのを忘れたのだろう。
仕方がない。電子手帳で見るか。俺は手帳を取り出して時間を確認する。
「22:04……」
長時間気を失ってたな。俺がこの家に来たのが十五時、それから二時間近くが変な試験に使われて、それから陽乃さんの部屋で一時間半ぐらいいた。
そうなると俺が気絶したのは十八時半から十九時の間。そこからムーンセルに行かずに三時間も気絶していたのか。
あの平塚先生の全力の一撃を無抵抗で受けたときでも気絶して目覚めるまでに費やした時間は十分だったのに。
薬でも飲まされたか?そんなはずはない。実際この家に来てから何も口に入れていない。だから違う。
「……考えすぎか」
まだ、雪ノ下さんたちは帰って来てないのかな?
それに俺も帰らないといけないし。
俺はベットから出ると、机の上に置手紙があることに気付いた。
でも、流石に暗すぎて字は見えないか、電子手帳の光で照らせばいいか。
俺は電子手帳の画面の光で手紙を照らす。
手紙は二枚、雪ノ下さんのモノと陽乃さんのモノだな。
まずは雪ノ下さんの方から。
『この手紙を読んでいるってことは無事に目を覚ましたということね』
一文目が怖いよ。何?俺死にかけてたの?もしあれで死んだらムーンセルも楽だろうに。
『今日岸波くんがこの家に来たことはある程度姉さんから聞いたわ。まぁ本当か嘘かはまたあなたに尋ねるから覚悟しておきなさい。それとまた姉さんが迷惑を掛けたようだからそのことは謝るわ』
と、書かれていた。
次は陽乃さんの。
陽乃さんの手紙は短かった。
『白野くんなら友達になってもいいよ。また遊ぼうね』
と書かれていた。最後にキスマークが付いていたけど。
一応、返答は書いておこうかな。
雪ノ下さんには『わかりました、覚悟しておきます。ですが優しくしてください』
陽乃さんには『ありがとうございます。俺も陽乃さんが友達になってくれるなら嬉しいです』
「まぁこんな感じでいいかな。ん?」
よく見たら陽乃さんの手紙の右下に小さく『裏を見て』って書いてある。
手紙の裏を見てみると、そこには『白野くんが寝ていたベットの下にいいモノがあるよ』と記されていた。
いいモノ?
手紙を机の上に置き、さっきまで俺が寝ていたベットのまで移動して、ベットの下を電子手帳の光で照らしながら覗いてみると。そこにはA4サイズの封筒と俺の携帯があった。
俺の携帯がなかったのって陽乃さんのせいか。
封筒と携帯を取り出す。携帯は俺のだから持ち帰るとして、陽乃さんのいういいモノってこの封筒でいいんだよな。
俺は携帯をポケットに入れて、封筒を持ってこの部屋を出た。
そしてこの家を出ようと思って玄関に向かって行く途中、雪ノ下姉妹の母親に会った。
俺は寝てしまったことを謝罪と寝かしてくれたことをお礼、そしてこれからも娘さんたちと仲良くさせてもらいたい(友人的な意味で)と告げてから、この家を出た。
やっぱりあの二人の母親だけあった美人ですね。雪ノ下さんや陽乃さんが言うほど怖い人には見えないんだよな。ムーンセルので起きたこととかのせいでアレぐらいなら可愛いモノみたいに思ってしまうのだろう。
帰り道の俺は自分の携帯見て驚いた。
桜からの着信は五十通以上あったのだが、それよりも驚いたことが俺の携帯の待ち受けが人には見せれない画像に変わっていたことだ。
「俺、襲われてないよな……」
いや、大丈夫なはずだ。服とか乱れてなかったし。
少し怖くなってきたので、携帯の中のそのての画像は全て消した。
「あ、そういえば、上着返してもらってないや……」
上着はもういいか、何故かって、あの家にはもう行かないってことを心に決めたからだ。
家に着いたのは二十三時を過ぎたころになった。
桜は俺のことを心配して待っていてくれた。白乃は既に眠ってしまったようだ。
俺はその後、軽くトレーニングをしてから風呂に入り、自室でベットしたにあった封筒を開けると中には俺の昔の情報が書いてある紙が入っていた。
そして俺はその紙は読み始めた。
今の戸籍から、過去の戸籍、両親のお墓の場所や、昔の俺が死人として扱われていること。そして父さん、トワイスからの手紙も入っていた。その手紙には俺と出会った場所、時期について書かれていた。
そうなると陽乃さんは父さんと手紙のやり取りをしたのか。でもどうやって……。
たぶん葉山くんの母親に頼んだろう。
父さんは仕事に熱心だから、仕事仲間とはやり取りはしているはず。そして葉山くんの母親は医者をしている、それに父さんがいた病院は葉山くんの母親も務めていたはず。
本当に陽乃さんは凄いな、一人でここまでやったんだな。
俺は陽乃さんが集めた情報の全てに目を通して、あることを想った。それは………両親のお墓参り行こうということ。
夏休みだし、お金はある。俺は明日、両親のお墓参りに一人で行くことにしよう。
「行こう、俺の生まれ故郷。俺の育つはずだった場所へ。冬木市へ」
ザビ男が気を失っている間に何があったのかは皆さんのご想像にお任せします。一応まだ童貞ですよ
そして次回、まさかの冬木市にザビ男が行く!か悩んでいるんですよね。冬木市行ったら俺ガイル関係なくなりますし、どう頑張っても俺ガイルのキャラを出せないでしょうし。
なので次回はザビ男が両親のお墓参りをして帰ってきて花火大会に行くところになるかも
しかし、冬木市を出した場合いろいろと不思議に思うことがあると思います
例えば、間桐桜がいるのか?とか確か岸波桜の通っている中学校にはタイガーいるせいで、冬木の虎がいないんではないのか?とか言峰家は冬木市と関係があるのか?とか聖杯戦争起きてないの?とか色々と出てきますよねぇ
まぁその辺は気にしないでもらえると嬉しいです。ただ、もし冬木市のところを次回書くとしたらその辺は頑張ってクリアしないとですね
それではまた次回に!