今後も少々投稿が遅れる時があるかもしれないのでその時は申し訳ありません
昼食を食べ終え、桜と小町ちゃんと一緒にお菓子作りを開始して一時間くらい、そろそろお菓子作りも終わりそうだ。
作っているお菓子はロールケーキだ。……ロールケーキってお菓子か?
まぁ後で来るみんなの分も考えて分けれるものを選んだんだけど。それに少し手間も掛かるしね。
俺たちがお菓子作りをしている間、比企谷と白乃は俺の部屋で午前中同様にゲームをしている。
やっぱり続きが気になる。本当にどうすれば聖杯戦争なんて展開になるんだろうか。仕方がないから今度、時間があるときでいいから一人でやろう。
オーブンからいい匂いがしてきたな。
あとは焼けた生地に生クリームを塗ってフルーツを乗っけて巻けば出来上がりだな。
桜と小町ちゃんには生地が焼けるまで桜の部屋で勉強するように言ったら少し嫌そうな顔をされた。
楽しんでるとき勉強の話をされるのは嫌なのは俺も同じなんだけど、一応二人とも受験生なので。
さっき小町ちゃんに聞いたが由比ヶ浜さんと戸塚くんは駅に三時くらいに着くそうなので、この家に着くのはだいたい三時半前。お茶の時間にはちょうどいいかな。
雪ノ下さんは遅れてくるみたいだから、約五時を目安にしてもいいだろう。
最初の二人は駅まで迎えに行くけど、雪ノ下さんは自分で来れるだろうから迎えにかなくていいのかな。それとも迎えに行った方がいいのかな。
メールして聞けばいいんだけど、たぶん雪ノ下さんはまだ母親の監視下にいる。でも遅れて来るってことは監視下から出れるってこと。
今日マンションに戻るつもりだったのかな。そうなるとマンション一度戻ってから来るのか、実家から直接来るのかのどっちかになるんだけよね。
「……ん?お、生地が焼けた。じゃあ、二人を呼んでこようかな」
俺はオーブンから生地を取り出してから、桜の部屋に向かった。
「出来たー」
「はい、美味しそうにできましたね」
小町ちゃんと桜が嬉しそうな声でロールケーキの完成を喜ぶ。
俺はロールケーキの端の部分(お店で捨てられたり、安く売れたりする部分)をつまみ食いをしながら、喜んでいる二人を見ている。
最後の方は俺は二人が作っているのを見ているだけだった。
いやぁ、女の子が料理をしている姿はいいものだね。しかもエプロンを着ているのは白野的にポイントが高いです。はい。
「兄さん」「岸波さん」
「「味どうですか?」」
二人は打ち合わせをしたのか疑いたくなるぐらいピッタリと同じこと尋ねてきた。
「美味しいよ。俺が食べたのは端の部分だけどその部分でも充分美味しい。俺が今まで作ってきたロールケーキよりも美味しい気がするよ」
「フルーツが入ってるからでは?」
と桜に言われたのだが、そうではない。
「何を言っているんですか桜さん。確かに俺はフルーツ入れたことはないけど、俺が食べてる部分は端だからフルーツ入ってないし」
「そうでした。ではどうしてですか?」
「うーん………これは、アレだな」
「「アレ?」」
二人は揃って小首をかしげる。
そう、アレとは……
「女の子が作ってくれたからだな」
「「はい?」」
「味覚は気分や場所の空気で変わったりもする。だから自分が作ったものよりも女の子が作ったものの方がいいはずだ」
同じ料理の腕で同じものを作った場合、間違いなく自分のものよりも他の人の方が美味しく感じる。
いい例で雪ノ下さんがそんな感じ、雪ノ下さんは俺の料理が自分の料理より美味しいと言ってくれるのだが、俺は雪ノ下さんの方が美味しいんじゃないかと思う。
こんな感じで味覚はどうにでもなるのだ。不味いものは不味いけど。
本当は最初『愛だ』とかボケをかまそうと思ったのだが、今どき女子中学生の二人にはドン引きされそうなので止めた。
「じゃあ、そろそろ駅に向かって由比ヶ浜さんと戸塚くんを迎えに行こうか。それで帰ってきてからみんなでお茶にしようか」
「そうですね。雪乃さんがいないのは残念なんですけど……」
小町ちゃんが残念そうに言う。
「それは仕方がないことだから、雪ノ下さんにもいろいろあるんだよ。家庭の事情とかさ」
「家庭の事情ですか…(今の発言は岸波さんは雪乃さんの現状をある程度把握しているってことでいいのかな?やっぱり岸波さんは雪乃さんルートに入りかかってる。雪乃さんと壁は大きいな……どうすればいいんだろう)」
なんだろ。小町ちゃんから何かを感じる。
「二人のお迎えに比企谷も来るかな?」
「戸塚さんがいますからたぶん行くと思いますけど、大人数で行くのもあれですからお兄ちゃんと白乃ちゃんには残っていてもらいましょう」
「……そうだね。比企谷たちには残っていてもらおう」
こうして俺は、桜と小町ちゃんの三人で駅に向かった。
駅で由比ヶ浜さんと戸塚くんと会って家まで連れてきた。
二人も比企谷たちと同じで様な反応をしてくれた。
桜と小町ちゃんに由比ヶ浜さんと戸塚くんを先に居間へと連れて行ってもらった。俺は比企谷と白乃を呼んでくるか。
俺は自室に向かい、二人を呼びに行くと。
「おーい、二人とも。由比ヶ浜さんと戸塚くんが来たけど、お茶の、時間に……何してるの?」
何故か比企谷と白乃が疲れている様な感じで項垂れている。
「ん?ああ、岸波か……」
「どうかした?」
「このゲーム、完全に無理ゲーだわ。詰んだ」
「恋愛ゲームに詰みとかあるの?」
「知らねぇよ」
俺はパソコンの画面を見ると『BAD END』と出ている。
「聖杯戦争ってので詰んだの?」
俺が知っている聖杯戦争はかなり過酷なものだから、死んでもおかしくないだろう。
「いや、聖杯戦争とは違う展開で詰んだ」
おや?てっきり聖杯戦争で死んでしまったのかと思ったんだが。
「聖杯戦争も終盤って感じのところまで行ったんだが、化け物みたいに強い美人が三人、ヒロインじゃなくて敵として出てきたんだけどよ」
「なるほど、そこでその三人の誰かと戦うみたいな選択肢が出てきたってこと?」
「ああ、だから全部選んでみたんだが、全部瞬殺された」
「え、えーっとその三人はどういう名前なの?」
俺が尋ねると、白乃が手帳を渡してきた。
何々……『1、真祖の姫 2、直死の魔眼(日本刀装備) 3、宇宙戦艦』の三択。
意味不明な選択肢だな。しかしなぜだろう、この選択肢の人物をなんとなく知ってる。
「ま、まぁゲームはこれで止めて、お茶の時間にしようか」
『おやつ?』
「そうそう、今日は桜と小町ちゃんが作ったロールケーキだよ、それでさっきも言ったけど由比ヶ浜さんと戸塚くんももう来てるから一緒にお茶にしようかなって」
戸塚くんの名前を聞いた瞬間、比企谷はすぐに居間へと向かっていった。
比企谷は本当に戸塚くんのことが好きなんだなぁ。由比ヶ浜さんは前途多難だ。
「じゃあ白乃、行こうか」
俺が白乃に右手を差し出すと、白乃はコクリと頷いて俺の右手を取る。
いやぁ、白乃がこの家に来て二週間程度だが早くも親子が板についてきたと思う。
傍から見たら年が離れた兄妹って感じだろうけど。
戸塚くんと改めて由比ヶ浜さんに白乃を紹介し、早くも白乃は人気者になりました。
ロールケーキをお茶請けに紅茶を飲みながら、林間学校のボランティア以降はどんなことをして過ごしたなどよくある会話をした。
そんな会話の最中は由比ヶ浜さんは時計を見て疑問に思ったことを口にした。
「そういえばキッシー、ゆきのんはいつ来るのかな?」
「ん?それについては俺よりも呼んだ小町ちゃんの方が詳しいと思うけど……小町ちゃん、雪ノ下さんがいつ頃来るとか連絡あった?」
「いえ、それがまだないんですよね。小町が思うに岸波さんの方に来てそうですけど」
「確かに雪ノ下さんのことだから家主代理である俺に連絡をしそうだな」
たしか携帯は自室で充電したまんまだったよな。
「ちょっと携帯取ってくるよ」
自室にむかい、携帯を手にして着信があるかを確認する。
メールが一件、送り主は雪ノ下さんからだ。五分ほど前にきたようだ。
『十八時前には駅に着くから迎えに来てもらえると助かるわ』
これは……俺一人で迎えに来いってことか?もしかしてバイクでかな?
文面にはそんなことを書いてはないが何故だろうそうしないといけない気がする。
……バイクで迎えに行こう。
と、いうことだからまずはみんなに言っておくか。
俺は居間に戻る。
「雪ノ下さんから五分前にメールがあったよ。十八時前に駅に着くらしいんだけど、俺一人でバイクで迎えに行くけど構わないかな?」
全員異議なしのようだ。ただ桜が少し不機嫌のようだけど。
さて、現時刻は16:17
雪ノ下さんを迎えに行くのはバイクなので一時間半はゆっくりできる。
なので、まずは由比ヶ浜さんと戸塚くんに家を案内しながら家の間取りを説明しようか。
「じゃあ二人とも家の中案内するからついてきてくれるかな?」
こうして、由比ヶ浜さんと戸塚くんにも比企谷たちと同様に家の中を案内した。
みんな思うことは同じらしく
「敷地内に道場があるなんてすごいね」
「もしかしてキッシーの家ってお金持ち?」
「雪ノ下さんの家ほどではないけどね。父さんもそれなりに有名な人だからお金は結構稼いでるよ」
家の中の案内も終わり居間に戻ると比企谷と白乃が会話をしている。
「ヒッキーって子供から好かれるの?」
由比ヶ浜さんも比企谷に白乃が懐いているように見えるようだ。
「そんなわけねぇだろう。普通の子供なら俺に近づこうともしねぇよ」
「そうかな?八幡は優しいから好かれると思うけど」
「戸塚、それは違うぞ。俺は子供からも冷たい目で見られるからな。たぶんこいつが異常なんだろ。岸波の娘だし」
と白乃の方を向きながら言う。
それってまるで俺が異常みたいな言い方なんだけど……いや、認めるけど俺が異常なのは。
時間は流れ、現在俺は駅で雪ノ下さんの到着を待っている。
時刻は十八時になろうとしている。
俺はあたり見渡し目的の人物である雪ノ下さんを発見する。
雪ノ下さんも俺を見つけたようで歩いて近づいてくる。
「やぁ、雪ノ下さん。久しぶり」
「ええ、こちらこそ久しぶりね岸波くん」
「それじゃあ、みんな家で待ってるから行こうか。一応バイクで来たけどよかったかな?」
俺がバイクで来たことを言うと、雪ノ下さんは少し驚いたような表情をした。あれ間違えたかな?
「いえ、そんなことはないわ。私が驚いた理由はなんでわかったのかの方よ」
今、俺も驚いてるけどね。考えを読まれた。
「いやぁ、メール見たときにバイクで来ないといけない気がしたんだよ」
「そ、岸波くんは早くも雪ノ下家に仕える気になったのね」
「なってないよ!」
「この前岸波くんが帰った後、父が岸波くんを家で雇おうか本気悩んでいたわ。仕事内容は私と姉さんの身の回りの手伝いとボディーガード。まぁ執事ね」
高校二年にして早くも就職口を手に入れた。これはクラス・バトラーになる日がまた来そうだな。
「でも、雪ノ下さんも陽乃さんも大学を卒業したら独り立ちするつもりでしょ?」
中学の卒業アルバムには『父の地盤を継いで立候補』って書いてたけど。
「どうかしらね。まぁ、父の話なんて真に受けなくてもいいわ」
そう言った後に雪ノ下さんが笑顔で
「ただ、もしうちで働きたいのなら止めはしないけれど、そのとき姉さんを選んだ即解雇だから」
笑顔で怖いこと言うな。
「それって雪ノ下さんを選べってことだよね」
「そうよ、あなたが姉さんの物になることだけは絶対に許さないわ」
あれ?俺って雪ノ下さんから物扱いされてるの?
俺って女性からあまり人間扱いされないよな。物とかペットとかおもちゃとか……はぁ……。
「ゆきのん!」
家に到着してみんなのいる居間に行くなり雪ノ下さんに由比ヶ浜さんが抱き付いた。
「ゆ、由比ヶ浜さん」
雪ノ下さんは「暑苦しい……」と小声で言っているが嫌がっているわけではないようで由比ヶ浜さんを振り解こうとはしない。
いやぁ、仲がいいねぇ。ん?机の上に見覚えがあるおもちゃがある。ルーレットでやる双六ゲーム。そこのマスに書いている人生を送っていくあのゲーム。そう『人生ゲーム』。
「あれ?それどうしたの?」
「は?これお前のだろ?」
「え?」
そんなの知らないぞ。
「なんだよその知りませんみたいな態度。これお前の娘がお前の部屋から持ってきたんだぞ」
「白乃が?」
白乃がいる方を向くと白乃がコクリと頷く。
俺の部屋に俺の知らない物があるってことは、間違いなくBBかAUOのどっちかが関わってるな。
ゲームの中身がすごいことになってそうだな。
「ねぇ岸波くん」
由比ヶ浜さんに解放されたのか雪ノ下さんが俺に声をかけてきた。
「何かな?」
「あの小さい子ってもしかしたらあなたの子供だったりするのかしら?さっき比企谷くんが『お前の娘』とか言っていたけれど」
「そうだよ。いろいろあって俺の養子になったんだ。名前は白乃って言うんだ。漢字で書くと俺の『白』と雪ノ下さんや陽乃さんの『乃』で白乃って書くんだよ」
「そ、そう……(その言い方だとまるで……)」
俺が白乃の紹介をすると白乃も雪ノ下さんに近づいてから少し観察してからいつも通り手帳に文字を書き始める。
そして書き終わったようでそれを雪ノ下さんに見せる。
何々……『問おう。貴方がわたしのお母さんか』
この子は何を言っているんだろうか。
「岸波くん。この子は私が面倒を見るわ」
雪ノ下さんは白乃を抱き締めて驚き発言。
「え!?急にどうしたの」
「この子はあなたに任せられないわ」
なんだろう。俺が白乃を育てるとダメになるって言われているみたいだ。
「雪ノ下さんダメです。白乃ちゃんのお母さんの変りは私がやるんですから」
と、桜が言うと白乃がいつもと同じで『ダメ。桜は私の嫁だからお母さんにはなれないの』と桜は私の嫁宣言をする。
「もう手遅れだったみたいね」
雪ノ下さんが俺を冷たい目で見てくる。
白乃のこれって俺が悪いの?
さて、みんなで人生ゲームをすることになった。みんなも俺と雪ノ下さんが来るまでやっていなかったらしいから、この人生ゲームはどんな内容なのかはわからないそうだ。
まぁやり方は基本と変わらないだろうから大丈夫だろう。
ルーレットを回す順番は俺、雪ノ下さん、比企谷、由比ヶ浜さん、戸塚くん、桜、小町ちゃん、白乃の順。
お金の単位は何故かムーンセルのPPTで、最初の所持金は30000PPTからスタート。
「じゃあ、回すよ」
俺はルーレットを回し、出た数字の分だけ進む。
「えーっと『両親が他界。全財産500000PPTを受け取るが、周りの大人たちに所持金をほとんど奪われ異国へ売られる。所持金は1000PPT』―――なにこれ……」
なんだこの出だし。もうゲームオーバーにしか思えないんだけど。
「ま、まぁゲームだから仕方がないよね。確かお金は銀行に渡すんだよね」
みんなが俺を憐みの視線で見てくる。
全財産を銀行に置く。ああ、早くも路頭に迷った。
次、雪ノ下さんがルーレットを回す。
「『父親が会社を設立し、成功。県議員にもなる。50000PPTを貰う』だそうよ」
何この格差!俺泣いちゃうよ。
次、比企谷がルーレットを回す。
「『両親が妹には優しいのだが、自分には厳しい。もしかしたらこの世界は俺を見捨てたのだろうか。3000PPTを払う』意味が分からねぇけど岸波よりはましか」
「次、あたしだね。『両親に大切に育てれた。5000PPTを貰う』やった。お金増えた」
「えっと僕の番だよね?あ、由比ヶ浜さんと同じマスだ。そうなると追突しちゃったからお金払うんだよね」
このゲームは追突した場合は、5000PPTを払うみたいだな。
「よかった。一応、プラスマイナス0だ」
「おい、由比ヶ浜。戸塚から金巻き上げてんじゃねぇよ」
「ヒッキー、なに怒っての。ゲームなんだから怒らなくてもいいじゃん」
この後、少々罵り合いがあったが戸塚くんと小町ちゃんが仲裁に入って収まった。
「では、私の番ですね。『養子に出され、知らない土地で辛かったが優しい義兄ができた。4000PPTを貰う』変なマスじゃなくてよかったです」
「小町は、なになに『両親に兄の分も可愛がってもらえた。6000PPTを貰う』」
その6000PPTの内3000PPTは比企谷の分だったりして。
次は白乃の番。白乃は話せないのから俺が代理でマスの文字を読もう。
「『後ろ盾に皇帝、正義の味方、大妖狐、英雄王を得て、銀行の支配権を得る。今後このゲームには参加できないが、PPTの設定を自由にできる。やる場合は職業カードを取る。やらない場合は100000PPTを貰う』……なにこのチート?」
同じ名前でもこの格差ですか……。というより英雄のみんな甘すぎだから!俺には後ろ盾になってないくせに!
まぁ白乃はゲームをやめる気がないようなので100000PPTを受け取った。
一周して、次は俺の番。
手持ち金額は、上から白乃130000PPT、雪ノ下さん80000PPT、由比ヶ浜さん40000PPT、小町ちゃん36000PPT、桜34000PPT、戸塚くん30000PPT、比企谷27000PPT、俺1000PPTってことになる。
俺だけ貧乏すぎやしませんか?これがハサン……。
逆転してみせる。いや、億万長者じゃなくていいから人並みの幸せを掴んでみせる。
次回は人生ゲームの続きです
恋愛ゲームで出てきた敵は皆さんが知っている型月最強ヒロインの人たち。最初は『ヒロインX』も入れようか悩んだんですが、『ヒロインX』は唯一ザビ男が会っていないから抜きました
三人の名前も『路地裏さつき[ヒロイン十二宮編]』の名前を使ってみたかったんですけどね
それではまた次回!投稿が遅れないように頑張ります