「ふぅー……」
僕は扶桑人で、元日本人だ。シャワーやサウナでは満足できない生粋のお風呂好きだが、汗を流すくらいならと気まぐれでシャワーやサウナだけを利用する日もある。
今日はその『気まぐれ』が発動した日でサウナに入っていた。
「あーギモヂイイィ……」
僕は垂れてくる汗を拭いながら白樺の葉で顔を仰いだ。本当は叩くらしいが知らん。このサウナはエイラの強い要望で作られており、脱衣所には本人による「サウナの正しい使い方」という注意事項が書かれた冊子が置かれてるくらい気合いが入っている。この白樺の葉も気合いの表れだ。けど僕はサウナをたまにしか使わないので読んでいない。すまんエイラ、僕はものぐさなんだ。
しかしいくら僕がものぐさとは言えど、僕が入っている事を示す立て札を脱衣所の扉の横に設置するのは忘れていない。アレがなければ大惨事になりかねないからね。
まぁ見逃しでもしない限り誰かが入ってくるラッキースケベイベントは発生しないだろう。最も、男女逆転した世界におけるラッキースケベはあちらにとってであることを注釈する。
「ぬわーん、疲れたモー」
「今日も訓練きつかったねー」
「エイラさんはともかく、ハルトマン中尉はバルクホルン大尉から逃げ回っていただけでしょう?」
「それでも疲れたのー。ペリーヌ細かいこと気にしすぎ」
――――さて、どうやら僕の発言のどこかにフラグがあったらしい。脱衣所からウィッチの喋り声が聞こえてくるぞ?
「ウッソだろお前……」
僕は深く項垂れた――――。
待て待て待て。何の前振りもなく、本当に自然に当たり前のように入って来やがった。立て札はどうなった。まさか本当に気づかずに入ってきたんじゃないだろうな!?
「あ、服が少し破けてる……。どこかでシールド張り損ねちゃったかな……」
「ふっふっふー。油断してるリーネのおっぱいなんか……コーダ!」
「きゃっ!? ちょ、ちょっとエイラさん……!」
「ムムム、また大きくなってる……。好きな人に揉まれると大きくなるって聞くし……さては宮藤大佐に揉まれたナ!?」
「もう、からかわないでください! そんなラッキースケベ起きたことありません!」
「そう言えば宮藤大佐って、あんま女性のタイプについて語ること無いよね~。やっぱりおっぱい大きい方が好きなのかな?」
「あの方は他の殿方と違って胸の大小に拘りませんわ。『好きになった女性の胸が、好みの胸の大きさだよ』……って言うに違いありません!」
「それさー……ペリーヌがそうであって欲しいって言う願望でしょ? 芳佳のことちんちくりんとか言うけど、ペリーヌの胸囲なんか大差ないじゃん。なんならペリーヌのが小さいまであるし」
「そ、そんなことありませんわ! それに、大きさで言ったらハルトマン中尉だってそちらの方が都合が良いでしょう!?」
「まーね♪」
「私もそんな大きい方じゃないからリーネが羨ましいゾー」
「そ、そんな所で羨まれても困ります! まぁお兄さんが欲するならいつでも差し出しますけど……」
生々しいガールズトークから察するに、僕がサウナの中に居ることを知らないようだ。どうやらマジで気づかずに入ってきたらしい。今度から立て札じゃなくて、入り口にバリケードを作るかロープやテープで封鎖するかのどちらかにするようミーナさんに進言するとしよう。
なんて前向きに代案を考える僕だったが、皆さんは「何冷静に分析してんだ! 早くここから逃げろ!」と思うだろう。しかし生憎サウナ室と脱衣所しか繋がっている部屋はないため逃げ場はない。隠れる場所も勿論ない。
それに僕は……その……なんだ。
大変お恥ずかしい話で恐縮なのだが、その……このところ出撃続きで寝る暇が無くて、所謂『疲れマラ』という奴が今になって襲いかかってきていて……。
羞恥心をかなぐり捨てて直球に言うなら、僕のマイサンが半勃ちしてる。被さったタオルを押し退けて「僕はここにいるよー」と自己主張してきている。だから立てないし、このまま脱衣所に行くのもまずい。
ウィッチのみんなに見られるのが恥ずかしいのも勿論あるが、この世界は男女間の貞操観念が逆転している。つまり男性の勃起というのは、元の世界で言うところの女性の愛液が垂れている事と同義である。それから連想されるに、僕が半勃ちであることを気づかれると――――驚くべき事にサウナの中で自慰行為をしていたと勘違いされる危険性がある。
その弁明に費やす労力を計算すると――――。
「えっ!? えええぇぇっ!? み、宮藤大佐!!!??」
「キャ、キャアアアアアアアァァァァァーッ!!!?!?」
「ワーオ」
「お、おぉっ!? おいおいマジかヨ!」
「君たちさぁ……叫ぶとしたら普通僕じゃね……?」
――――このように、冷静かつ堂々としていることが一番ということだ。
それぞれ上から順にリーネ、ペリーヌ、ハルトマン、エイラの四人のウィッチが入ってきた。内リーネとペリーヌだけが、タオルでしっかりと局部を隠しての入場だ。
それにしても反応は2パターンに分かれているのが面白い。上二人は顔を真っ赤にして思わず目を掌で被い隠しているが、下二人は興味津々に僕の体を目に焼き付けている。
後者二名が焼き付けようとしているのは僕の半勃ちしたナニではない。それはタオルでギリギリ隠れている。では何に魅入っているのかというと僕の『上半身』だ。この時の僕は上半身を晒け出していた。小さなボディタオルしか持ってきていなかったから、下半身を隠すので精一杯だったからだ。これでも善処している方であり、そもそも立て札をかけておいたので入ってくる方が悪い。
が、やはりこの世界で男性の上半身は不味く、特に年頃で男性との接点が少ないウィッチともなれば尚更だった。
「ごごご、ごめんなさい宮藤大佐! 私、貴方が入っているなんて知らなくて! ワザとじゃ、決してワザとじゃありませんのよ! あ、み、見てませんから! 宮藤大佐の引き締まった上半身なんて見てませんから! ご安心なさいませ!」
「お、おおおお、お兄さんの上半身ヌード……。汗ばんでて……格好よくて……キャッ!」
「み、宮藤大佐……これは事故、事故なんだナ! サーニャに誓ってこんな、こんな抜け駆けなんてしないゾ! 絶対に……ウン……」
ペリーヌは180°回転して明後日の方向を見ちゃうし、リーネは目を隠していた掌の隙間からチラチラとこちらを見るし、エイラは言い訳しながらも堂々と座り続ける僕をガン見している。
「ちょっとちょっと~……宮藤大佐さ、やっぱり私達誘ってるでしょ? 立て札も立てずにサウナに入ってて、しかもそんな扇情的な格好しちゃってさぁ……」
中でも一番酷いのはハルトマンだった。彼女に至っては盛大に勘違いして涎が垂れてるし、ダダ漏れする欲望を隠そうともしていない。というかまず、ハルトマンとエイラは欲望よりも局部を隠してくれ。僕なんか目のやり場に困ってずーっと床と睨めっこしてるよ。
「……あ? ちょっと待てハルトマン。僕ちゃーんと外に立て札置いといたぞ」
「またまたそんな嘘ついちゃって~……あ、分かった! 誘い受けって奴でしょ!? トゥルーデが好きなシチュエーションだ!」
「いいかハルトマン、よく聞け。僕は君たちがサウナに入ってきてしまったことを事故として片付けようとしているし、何ならこのまま黙っていてもいい。だが君の態度次第では、今すぐミーナさんかバルクホルンさんに泣きつく事も可能だということを忘れないでくれ」
「あっズルイ!」
「ズルイもクソもあるかぁ! いいかハルトマン、今すぐ脱衣所の入り口を見てこい! 僕が立て札をかけていたかどうか、もう一度見てくるんだ! そうすればこの事は内密にしといてやる!」
こういう興奮した奴を静めるには責任の所在をハッキリさせるのが一番だ。ハルトマンはブツクサと文句を言いながらも、脱衣室から出て入り口を確認しにいった。そして30秒も経たずに戻ってくると、頬を赤くしながらもニヤニヤとしていた表情が一変、青ざめながら小声で呟いた。
「アリマシタ……」
「ね? 僕そういうコンプライアンスちゃんとしてるから。僕が原因でそういう間違いって絶対起きないようにしてるんだよ」
「ゴメンナサイ……」
「ンダよー。折角合法的なラッキースケベだと思ったのに……」
なんだよ合法的って。意図せずして起こるからラッキースケベなんだろうが。
「す、すみませんでした宮藤大佐。ハルトマン中尉が堂々と入っていったので、てっきり中には誰もいないのかとばかり……。私としたことが、完全に不注意でしたわ」
「ごめんなさいお兄さん! でもありがとうございました! とっても綺麗でした!」
「おぉそうだった。サンキューな大佐、これでまた明日も頑張れるゾ!」
まともに謝ったのはペリーヌだけ、他の二名は何故かお礼を言ってくる始末。だが疲れを癒すためにサウナに入ったのに、これで怒ってしまうのは本末転倒だ。頭ごなしに怒り散らすのは止めておこう。
「それじゃ、隣失礼するゾ」
――――だがエイラ、それは流石の僕もキレるぞ。事もあろうに彼女は僕の右隣に何事もなく座ってきた。しかもすっぽんぽんで。何とか目を瞑ることでやり過ごしたが、この流れでよく居座ろうと思えたね、君。
「あ、大佐の事だから知らないだろうけど、故郷のサウナは男女共有が当たり前ナンダ」
「えっマジで!?」
「それも裸で。まぁ中にはタオルや水着着けてる奴もいるけど」
知らなかった。混浴且つ裸が基本なんて……なんだそのサービス精神溢れるサウナマナーは……最高じゃないか! 僕が世界で一人の男ウィッチという責任ある立場じゃなければ今すぐスオムスに旅立ってただろうさ。
「それに坂本少佐から聞いたけど、扶桑には『裸の付き合い』って便利な言葉があるらしいナ。偶には私達と隠し事無しでふれ合うのもいいだろ?」
「そ、そうですよお兄さん! お兄さんだって扶桑料理のマナーには厳しいじゃないですか! だったらここでも他国のマナーを尊重すべきですよ!」
「そっそうだそうだー! 私達がサウナに入ることに何の問題もなーい! だからトゥルーデには内緒にしてお願い!」
「貴方達なんてことを!?」
なんだその暴論は。そりゃスオムスのマナーで考えれば男女混浴が正しいんだろうが、僕という異物を抱えているんだぞ。今回は例外も例外、じゃなくちゃあの立て札に何の効力があるっていうんだ。
しかし、スオムスがそういう仕来りでやってきたのならそれに従わなければならない気がしてきた。『郷に入っては郷に従え』とも言うし、ううむ……同調圧力に屈するのは嫌気が差すが、なんだか彼女達の言っている事が正しい気がしてきた……。
「まぁみんな疲れてて一々入り直すのも面倒だから……良い……のかなぁ?」
「宮藤大佐!? ほ、本当によろしいんですの!?」
「うーん……。扶桑にも混浴文化はあるし、一緒にサウナ入るくらいだったら良いんじゃない? ……ただミーナさんや坂本さんに怒られないって保証は無いから、怒られても自己責任でよろしくね」
改めて弁明するが、僕は彼女達の裸体見たさに同室を許可したのではなく、彼女達がまた服を着て、僕が出て行くのを待って、再度服を脱いでという手間が面倒だからという親切心からだ。まかり間違っても僕の性的欲求を満たすためではない。
だってよく考えて欲しい。僕のマイサンはまだ半勃ちしてるんだ。それがバレたら僕は彼女達に襲われる口実を作ってしまう。僕はまだ誰とも肉体関係を持つことは考えていないし、彼女達がウィッチを辞めるのも勘弁してほしい。だから本来はそんなリスクを背負う必要は無いんだ。それでもここに居ても良いと許可することが、親切心でなくてなんなのだ。
「じゃ、じゃあ私も、その、お言葉に甘えさせていただきますわね……?」
「どーぞ」
ペリーヌが怖ず怖ずと僕の空いていた左隣に座った。彼女の付けていた眼鏡が一気に曇ったため、彼女は渋々と言った様子で眼鏡を取り外す。
「やったー! 宮藤大佐とサッウナ! サッウナァ!」
「ハァッ……ハァッ……お兄さんと……一緒に……サウナ……現実……?」
そしてウキウキ気分のハルトマンと、息の荒いリーネが入室してドアが閉め切られた。にしてもペリーヌは二人きりじゃないと本当に大人しいな。
さて、ここからは時間との勝負だ。このままこの空間に居続けることは好ましくない。絶対に――――絶ッ対に間違いが起こると断言できる。腹ぺこで飢えているライオン四頭が閉じこめられた檻の中に、放り込まれた一羽の兎の気分だ。僕はハルトマンとエイラの裸を見ないように地面と睨めっこしてるけど、先ほどから四人の視線が痛いほど全身に突き刺さっている。
しかし僕がサウナから出て行くためには立ち上がる必要があるのだが、そのためには別の意味で勃ちあがりかけているのを静めるのが先決だ。そうでなければ彼女達に性的興奮を感じていたと勘違いされ(もう半分事実になってるんだけど)、大義名分を与えて即アウトになってしまう。
「ご、ゴホン! あー、しかし今日の訓練は疲れたナー」
「ほ、ホントだよね! まぁ私は半分くらいトゥルーデから逃げ回ってたから、あんま訓練参加しなかったけど」
「その話さっきもしてたじゃないですか。でも前居た基地から寒暖差が大きく変わりましたから……ジュルッ……。その、頑張って環境に適応しないと……フゥーッ……!」
「ま、まぁそうですわね。そういう意味ではとても有意義な訓練でしたわ!」
――――なので、僕の半裸をチラ見し精神的に舞い上がっている彼女達を現実に突き落とすことになって申し訳ないのだが、とっておきの奥の手を使うことにした。
「ハァ……」
「お兄さん……? 溜息なんか吐いてどうかしましたか?」
「あぁいや、ちょっと考え事をね……」
「なんだよ歯切れ悪いナー。もっと楽しそうにしろヨ!」
「そーそー。全ウィッチの中でも選りすぐりのエースがここにいるんだよ? ちょっとは喜んだらどうなのさ」
「お二人とも、宮藤大佐は日夜心身を削って私達以上にネウロイと戦ってますのよ。少しは気持ちを汲んであげてはいかがでして?」
「だったら先ず私達の気持ちを汲めー!」
「ソウダソウダー!」
「全くこの人達は……!」
「でも『ウィッチの抗うつ剤』って呼ばれてるお兄さんが溜息なんて珍しいですね……。何か困り事ですか?」
「え、僕そんな呼び方されてたの? 初耳なんだけど……。まぁそれは置いといて、これからの事を考えるとちょっと憂鬱になってね」
「これから……ですか?」
「うん。いつかは話すことになるかもしれないから、今の内に話しておこうか」
そう区切って僕はわざとらしく咳払いをした。
「……少し真面目な話なんだけどさ、この世からネウロイを殲滅したとして、その後には本当に平和が待っているのかな?」
マイサンを静めるためにシリアスな話を持ち出した。かなりメタ的発言になるが、アニメを鑑賞していた時からずっと考えていたテーマであり、この場で即興で思いついたわけではない。そのためスラスラとこの世の行く末を憂う言葉が口を突いて出た。
「僕たちが頑張って、死ぬ気で領土を奪い返して、全世界中からネウロイがいなくなって、そしたら……そしたら僕たちを待っているのは、大量生産された軍事兵器と行き場を無くしたウィッチ達……。束の間の平和が訪れたとして、それを世界が放っておくのかな……」
「大佐……お前、ソンナ事考えてたんだナ……」
「お兄さん……」
浮かれていた彼女達の表情に影が差し始める。ごめん、本当にごめん。僕の半勃ちしたマイサンを静めるにはこうするしか無かったんだ。ウキウキ気分を台無しにしてごめん。でも間違いを起こすわけにはいかないんだ。もう少し狂言に付き合ってくれ。
「ネウロイという共通の敵がいる今ですら、主要各国は世界の主導権を握ろうと牽制し合う始末さ。なまじ世界に一人しかいない男のウィッチで発言権がある分、扶桑のお偉いさん方の会議に呼ばれるけど酷いもんだよ。互いの欠点を論う会議という名の揚げ足取り合戦。自国の会議ですらそれなんだ。このままネウロイを殲滅したら、その先に待ち受けているのは、僕たちを、ウィッチを軍事兵器としか使わなくなった、各国同士の戦争――――」
「――――それ以上はいけませんわ。宮藤大佐」
項垂れた僕の両手をペリーヌが両手で優しく包み込んでくれる。重火器を扱っているのに女の子特有のスベスベ肌に、汗でへばりついた髪の毛がセクシーだったが、そのにこやかな顔は聖母のように見えた。
……クソッ、どうしてくれるんだ、折角上手くいってたのにまたアソコが熱くなりはじめたぞ。
「ペリーヌ……」
「そんなこと絶対にさせませんわ。私達ウィッチは、ネウロイと戦う人類の切り札ですもの。どれだけ上から命令されても、他国と事を構えようなんて本気で考えているウィッチ、居ようハズがありませんわ」
「ソーソー。私がサーニャや大佐と戦うと思うか? あり得ネーだろ」
エイラは「ニヒッ」と快活に笑った。偶然にもここに居合わせた皆は生まれも育ちもバラバラ。そんな多国籍軍に所属している彼女達は一様に、僕を安心させるように微笑みを浮かべていた。しかしその眼差しは真剣そのもので、妙な説得力があった。
「うんうん。コレばっかりはボスに命令されても嫌だねー」
「私も、芳佳ちゃんやお兄さんと戦うなんて嫌です!」
僕が絡むと頭がお花畑になりがちなリーネですらこれだ。確かに、あの冷血漢ならぬ冷血女として名を馳せたゴロプさんですら、いざウィッチを使った戦争となったとしたら命令に従わないだろうと容易に想像できる。ウィッチは皆、元々そういう人を思いやれる気質のある人しかなれないのかもな。だから僕の『魔力タンク』も、今後も使い所を気をつけなければならない。
「みんな……」
よし……オッケーだ。
ミッションコンプリート。
話があっちこっちに逸れたが、みんなの頑張りのおかげでようやくタオルを押し除けようとしていたアレが収まった。これで何事もなくサウナを出られる。全く、生理現象ってのはこれだから厄介なんだ。24時間フライトなんて色んな生理現象が襲ってきて地獄だったんだぞ。
「……ごめん、いきなり変なこと言いだして。確かにそうだ。ウィッチ同士が憎み合い、戦う姿なんて想像できないや」
「フフッ、気が晴れたなら何よりですわ。それにしてもちょっと意外でした、宮藤大佐がナイーブになるなんて……」
「私も、お兄さんが真剣な悩みを打ち明けてくれるなんて思いもしませんでした」
「でも真剣な顔した宮藤大佐って、いつ見ても格好いいよねー」
「激しく同意ダナ。ガリア解放戦の時とか、大規模作戦前夜くらいにか見られるモンじゃないからちょっと得した気分だゾ」
「ハハァ……そんな激レアなんだ、僕の真面目な顔って……。さてと……」
「あら、もう出ますの?」
「うん。僕の悩みも解決したし、それに君たちが来るよりずっと前から入ってたからのぼせ気味でさ。じゃあみんな、お先に失礼――――」
完璧な言い訳と共にサウナから退出するために起ちあがろうとしたが、そのタイミングでドアがガラッと開いた。見れば、一つの影が堂々と勇ましく入ってきた。
「オーッス! みんなここにいるなんて珍しいなー。話し声が外まで聞こえてきたけど、何かあった――――あれ……私の見間違いか……? 宮藤大佐がいるような……」
ああ最悪だ……。やってきたのはよりにもよってグラマラスシャーリーだ……。しかもタオル巻いてないし、余す所のない豊満な肉体を直視しちゃったし、アレだけ静めるのに苦労したマイサンが鎌首を持ち上げちゃったし最悪だ。これじゃ出るに出られないじゃないか――――。
さぁ、ウィザード解体ショーの始まりや……。