ハリエット(シノア)の物語    作:揚げ紅葉(カスタード)

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秘密の部屋の少女

【ううう⋯⋯もおお嫁にいけない⋯⋯】

 

「はい?」

 

(⋯⋯ん?)

 

水道管から妙な声が聞こえてきた。どこか悲壮感の漂った愚痴⋯⋯それだけなら別にいいのだが、今のは、

 

(蛇語ですよね)

 

(ああ⋯⋯恐らくこの裏の水道管から聞こえてきている)

 

蛇語の愚痴は続く。白い悪魔や化け物への悪口とともに。

 

(⋯⋯この声は、まさかバジリスクか?)

 

(秘密の部屋が開かれたのでしょうか?それにしてもこの愚痴はいったい⋯⋯)

 

水道管の裏に侵入する。ヴォルも実体化する。声のする方向に目を向けると、そこにいたのは⋯⋯

 

「「⋯⋯は?」」

 

【⋯⋯え?】

 

長い黒髪と黄色の瞳を持つ、バニーガールの女の子が、涙目でしゃがみ込んでいた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――数時間前 秘密の部屋にて

 

「目を普通に開いて、上を見て⋯ああ、顔は動かさずに。はいそのままじっとして―――うん。大丈夫。マートル、もう入ってきていいよ」

 

「わかったわ――ってきゃーーーー!可愛い!これが私をゴーストにしたあのバジリスクなの?人の姿になれるのね」

 

「いや、目が合った生物を石化させる呪いを阻害するコンタクトをつけさせるために、私がなんとか人型にした」

 

【本当にそれだけか?じゃあお前が今手に持っている、その⋯注射器?とやらはなんなんだ】

 

「まあ確かにこれの針が蛇のままじゃ肉が厚くて血管まで通らなかったのも理由の一つではあるね。じゃあ早速血液を採取させてもらうよ」

 

 

「ねえ四鎌童子、なんでバジリスクはメイド服着てるの?可愛いけど」

 

「ああ、人型になって裸は不味いだろう?だから着る服の候補を色々持ってきたんだ。あれはそのうちの一つだよ」

 

「⋯⋯⋯もしかしてあの服の山が、四鎌童子が持ってきた候補?」

 

「そうだよ。さあこれから着せ替えしていこう」

 

【え?いや、私はもうこれでい⋯】

 

「まあまあそう言わないで」

 

「(バジリスクがなんて言ってるかはわかんないけど)そうそう、せっかくこんなにあるんだから着てみなさいよ。大丈夫よ、その顔と体の細さなら大抵のものは似合うわよ!」

 

【いや、だから⋯⋯ちょ、ま⋯あ―――――――!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【⋯⋯で、最初はメイド服から始まり、チャイナ服、アオザイ、帝鬼軍の軍服、セーラー服、ホグワーツの制服などを着せられている間はまだよかったと。段々路線がずれていき、ナース、踊り子、パレオ、サンタコス、蛙の着ぐるみなどを着せられた挙句、最後にはバニーガールにされ、泣きながらその格好のまま逃げてきたんですか。大変でしたねぇ】

 

【ううう⋯⋯あの悪魔あ⋯やめろって言ったのに⋯⋯こんな格好⋯⋯マートルもすごく楽しそうに囃してきて⋯】

 

「⋯⋯そもそもあの鬼、いつの間に秘密の部屋を?というか何のために」

 

「バジリスクを調べたかっただけじゃないですかね?いつ開けたのかは知りませんが」

 

「ああ、クリスマス休暇中だよ。授業もないから時間がいっぱいあるからね」

 

「あ、しーちゃ⋯」

 

【うわああああああでたあああああああああああああ】

 

「あ!やっと見つけた!じゃあバジルちゃん、次はこれを⋯」

 

【やだ!もうやだそんなの着ないからな!?普段着の服はもう最初のやつでいいから!】

 

「なんて言ってるの?」

 

「もっと着せ替えていいよ!だってさ」

 

【フザケンナあああああ!ちょ、ほんとにもう⋯⋯あ!継承者!頼む!頼むから助け⋯⋯】

 

【⋯⋯無理】

 

【嘘だよなあ!?もう誰でもいいから、こいつらをとめ⋯】

 

「じゃあ、秘密の部屋に帰ろうか」

 

【いいいいいいやああああああああ⋯⋯⋯―――――】

 

バジリスクは水道管を引きずられていく⋯⋯⋯

 

「⋯⋯⋯帰りましょうか」

 

「⋯⋯⋯そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、秘密の部屋を訪れると、色々と悟り切った顔をしたメイド姿のバジリスクがお茶を出してくれた。今は英語で話す練習をしているらしい。

 

 

 

 

 

 

 

私のリア友が描いてくれました

【挿絵表示】

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