ハリエット(シノア)の物語    作:揚げ紅葉(カスタード)

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仲良しダーズリー家と料理

 

1986年 6月  プリベッド通り四番地 ダーズリー家 

 

 

 

 

 

ハリエットは台所にいた。

 

「チュニーおばさん、何かすることありますか?」

 

「じゃあジャガイモを潰してくれる?今日はポテトサラダにするのよ」

 

ハリエットは頑張っていた。何としてでも料理を覚えようと奮闘していた。

 

勿論純粋に、厄介者の自分を引き取ってくれているおばさんを手伝おうという気持ちはある。実際ある程度体が自由に動ける年齢になってからは、手伝えることは手伝っている。

 

ただ料理に関しては、かつてなく真面目に習得しようと頑張っていた。

何故か。

 

 

 

 

 

正直破滅した世界で食べた食事よりもイギリス料理が不味いのだ。

 

料理は勿論完食している。おばさんが家族の為に作るものを残せるわけがない。それに不味いとは言っても、食べられないほどではない。それに美味しいものもある。チュニーおばさんのスターゲイジー・パイは結構美味しかった。あとダーズリー家の朝食に外れは少ない。スコーンやミンスパイなど、甘いものは普通に美味しい。何よりシノアだった時の子供時代は料理を作ってくれる人すらいなかったのだ。出来立ての温かい料理が食べられるだけでもうれしい。それでも日本の料理がどうしても恋しいのだ。特にお米とか。

 

 

 

 

 

 

ダーズリー家でかつて一度だけシュールストレミングの缶(確かスウェーデンからの輸入品だった)が開けられたときと、初めてウナギのゼリー寄せが出たとき、 絶 対 に 料理を覚えようと誓ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「⋯⋯⋯確かにマグル界の料理は不味いが、そこまで必死になるか?」

 

『日本人の食へのこだわりを嘗めてはいけないよ。基本全てに対してあまり関心を持たない上に、フライパンを燃やしたことさえある彼女が、こんなに真剣になるくらいだ』

 

(フライパンを燃やしたのは私じゃないです~みっちゃんです~みっちゃんがいなかったらもうちょっとできましたし~)

 

「いったい何を作ろうとしていた」

 

『(オムレツ)』

 

「一体何をしたらオムレツが燃えるんだ」

 

『お酒のかけすぎ』

 

「⋯⋯⋯⋯⋯」

 

 

 

 

 

 

 

「ママ‼ポテトサラダ美味しい‼」

 

「今日のはハッティーが大体やってくれたのよ」

 

「え、ほんと!?」

 

「混ざっている細切れのベーコンを焼いたのはチュニーおばさんですよ」

 

「ハリエットは料理がうまいなあ」

 

「ほんとですか?ありがとうございます」

 

 

 

 

 

 

 

ハリエットとダーズリー家の仲は良好だった。

ハリエットは一度も魔力を暴走させたことがない。一見一般の子とそんなに変わらないのだ。それに物心がつくぐらいの年齢から、彼女は少し大人びていて落ち着きがあり、それなりに気配りもできて、なによりダドリーの良い遊び相手になっている。

はじめ難色を示していたバーノンおじさんも、いつしかハリエットを受け入れていた。

 

 

 

 

 

「⋯⋯⋯お前はあの年齢の餓鬼の面倒を見るのは疲れないのか?」

 

「何言ってるんですか。ダドリーはもうすぐ6歳⋯⋯今が可愛い盛りでしょうに」

 

実際自分はダドリーを可愛いと思っている。弟ができた感覚だ。まあダドリーはハリエットの約一月上なのだが。

 

 

 

「ま、赤ちゃんに対して躊躇なく即死魔法打ち込んだトミーちゃんには分からないかもしれませんが」

 

「Crucio!!!その名で呼ぶな!!!しかも愛称!!!」

 

「あっはは~」

 

ここはノクターン横丁にある隠れ家だ。図書館に行く前か後に立ち寄っている。

 

主に情報収集、魔法・魔法薬の研究、開発、訓練などをしている。

 

作成した魔法薬は裏で売って資金にしている。勿論偽名で。

 

しーちゃんは魔導書を買いに行った。

 

ヴォルは魔力を分けると実体化できた。

 

一応全員杖を持っている。イギリス魔法界に本格的に足を踏み入れる前に、イギリス式の魔法戦に慣れておく必要があるからだ。情報では死喰い人どもはほぼ社会復帰したことが分かっている。その中にはもしかすると言葉巧みに魔法省を騙し、機会を狙っている奴がいるかもしれない。戦闘になる可能性も十分ある。杖なしで無言呪文を扱うこともできるが、入学したての一年生がそれをやるのは流石に異常だろう。

 

「いや、杖を使用したところでホグワーツの全過程を押さえてほぼ全ての呪いを遣える一年生なんておかしいからな?悪霊の炎を完全に制御する一年生なんて俺様でも見たことないぞ」

 

「流石に人目のあるところで襲撃された場合にそんなモノ遣うつもりはないですよ――ところでヴォル、これ需要ありますかね?」

 

「⋯⋯⋯⋯効能は?」

 

「⋯例えばこれなんですけど、これを飲むと、いつか分かりませんでもいつか、

突然尿路結石になります」

 

「一体何を作ってるんだ」

 

「しかもあれですよ。確実になるのにそれが3日後か3年後か分からないんですよ。これ怖くないですか?」

 

「その恐怖に必要性を全く感じない。で、残りは?」

 

「ああ、これは⋯いつか分かりませんでもいつか、

突然全ての歯が虫歯になります」

 

「何故そんなモノを生み出した魔法界の英雄」

 

「さらにこちら、いつか分からないでもいつか、

薬が切れるその時まで3日毎にこむら返りになる呪い薬です」

 

「なんでそう次々と『周りが深刻に心配はしないが激痛を伴うもの』ができちゃったんだい?」

 

「あ、しーちゃんおかえりなさい」

 

「盗み聞きしていたのか?」

 

「私の聴力は知っているだろう?それに私はハリエットだ。彼女が見てるものは全部見てる」

 

 

 

 

 

 

薬は保管することにしました。いつか役に立つ日がくる⋯かもしれない。

 

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