ハリエット(シノア)の物語    作:揚げ紅葉(カスタード)

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兄弟杖

ついに⋯⋯⋯ついに!幻覚も変身術もポリジュース薬(味改良版)も使わずにダイアゴン横丁に足を踏み入れる時がやってまいりました‼

 

ちなみに今日は7/31。つまり今の私の誕生日です。

 

 

(⋯⋯楽しそうだな)

 

『まあここまでに一騒動あったしねえ』

 

「行ってきまーす」

 

玄関のドアを開けると、昨日と同じく無表情なのに、目線にだけ愛憎が混濁しているスネイプが家の前に立っていた。憎いのはまあ、私の父との軋轢だろう。懐かしそうな視線をするのは、幼馴染の母に対する感情だろうか?

 

「遅い」

 

「すみません」

 

「さっさと摑まれ。姿くらましで向かう」

 

「はい」

 

私が左腕を掴む⋯というよりは、身長差のせいでぶら下がると同時に、バチンという音と同時に付き添い姿くらましをした。

 

 

 

 

不安定な体制だったが、姿くらましは初めてではないのですぐに体制を整えて着地した。移転先は知っている路地だ。

きょろきょろとまわりを見回す。

 

「ここがダイアゴン横丁。必要なものは全てここで揃えられる」

 

「へ~、かなり賑わってますねえ。喧騒がここまで伝わってきてますよ」

 

こちらの短い脚を全く考慮していない大股で颯爽と歩くスネイプ教授を追いながら返事をする。しばらく歩くとグリンゴッツにたどり着いた。入るのは初めてだ。

 

「スネイプ教授、ここは?」

 

「グリンゴッツ銀行だ。昨日も説明したが、ここから学費を下ろす」

 

 

 

 

「ああ、成程、例のあの人とやらがポッター家を襲ったのは財産目当てですか」

 

「(そんなわけがないだろう)」

 

わあ、スネイプとヴォルの突込みが重なった。

 

ポッター家が資産家とは聞いていたが、ここまでとは。直毛薬の力って凄い。⋯⋯もしヴォルの本体が執念と奇跡の復活を遂げたら、育毛薬と一緒に箱詰めで送ってあげるのもいいかもしれない。

 

(喧嘩を売っているのか?なあ?ハリエット(^^))

 

『⋯⋯⋯別にいいじゃないか。君だって、顔が削ぎ落ちたのはともかく、髪の毛に関しては気にしてたんだろう?体を作り変えたうえで試せば、今度こそ効くかもしれないじゃないか。育毛薬がちゃんと効いたら、直毛薬も無駄にはならないよ。それに、本体の髪事情がどうなっていようが、今の君にはちゃんと髪があるんだし』

 

(⋯⋯⋯⋯(#^^))

 

 

 

 

お金を下した後は別行動になった。

 

これから杖を購入した後に制服を仕立ててもらい、その間にスネイプが他の学用品を揃えてくれるらしい。スネイプは指示を出すと私に肝心の店の場所を伝えないままさっさと行ってしまった。⋯⋯まあ、知ってるからいいのですが。もう少しフォローがうまい人いなかったんですかね。

 

⋯⋯それ以前に、元(?)とはいえ死喰い人を私の所に向かわせるのも、どうかと思うのだが。それだけ彼はダンブルドアの信頼を得ているということなのだろう。

 

彼の今の立ち位置は本当にグレーだ。ダンブルドアの忠実な子飼いとも見れるし、いつでも私を殺せ、かつ情報を流せる位置でヴォルデモートの復活を窺っているともとれるし⋯

 

まあホグワーツに潜入して直接の接触がほぼないまま推測しているだけでは仕方ないだろう。彼に関しては要観察するとして、いったん保留だ。

 

 

 

「いらっしゃいませ」

 

オリバンダーの店で積み上げられた箱の山を見上げていると、声をかけられた。

 

「こんにちは。杖を買いに来ました」

 

「一人でかね?」

 

「スネイプ教授と来ましたが、今は別行動をしているので」

 

 

老人が急に真剣な顔になり、断りを入れて徐に私の前髪を掻き上げる。額には、とても小さいが、ヴォルが私の中に入る媒体にした為修復しきれずに残った稲妻型の傷がある。 

 

まあ今からでも治そうと思えば、治るのだが。

 

闇の魔術で付いた傷は普通は治らないし、魔法界では『ハリエット・ポッター』=この傷というイメージが定着してしまっているので、そのままにしている。⋯いっそ手を加えて着色したりして、入れ墨みたいにしてみようか?

 

 

「おお、やはりそうか。そろそろいらっしゃる頃だと思っていましたよ、ハリエット・ポッターさん」

 

「あら、私を知っているんですか?会ったことありましたっけ」

 

「お会いしたことは有りませんが、魔法界にあなたを知らないものはいませんよ。それに、あなたの目はお母様によく似ていらっしゃる。そっくり瓜二つじゃ。髪の色はお父様譲りのようですが⋯」

 

「両親をご存知なのですか」

 

「わしはこの店で売った全ての杖を覚えておる。お母様は26センチの柳の杖。お父様は28センチのよくしなるマホガニーの杖。そして⋯⋯この傷をつけたのも、悲しいことにわしの店の杖じゃ。34センチのイチイの杖じゃ。とても強いが、間違ったものの手に⋯⋯⋯そう、もしあの杖が世の中に出て何をするかわしが知っておればのう⋯⋯」

 

あの頃の記憶のトムはなんだかんだ言って可愛い子供だったのに、なんでああなっちゃったんでしょうかねえ⋯⋯

 

(黙れ)

 

孤児院でダンブルドアの魔法見て悲鳴上げるトミーちゃんなんて、もー萌え死にしそうなくらい

 

(黙れこのクソ餓鬼が⋯⋯⋯ッ‼)

 

額の傷に磔呪文並みの痛みが走った。ごめんって。

 

紆余曲折あって手に入ったのはヴォルとの兄弟杖だった。偶然なのか運命なのか、はたまた彼の分霊箱としての必然なのか。

 

柊に不死鳥の羽、28センチの杖は、大鎌【四鎌童子】と匹敵するほど同じくらい手になじんでいた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

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