ぐらんぶるに彼女持ちのリア充をぶち込んだら、どうなるか考えてみた   作:はないちもんめ

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新刊出てテンション上がったので久しぶりに投稿します!短めですが笑


11 俺のバイト先にコイツらが来るなんておかしいだろ!

「バイトをするだぁ?」

 

また妙なことを言い出したものだと孝二は訝しげに伊織と耕平を見つめる。自分たちがどれほど難易度が高いことを言っているのか分かっているのだろうか。

 

こんな馬鹿どもにでもできる仕事を提案することがどれほど難しいか考えてから発言して欲しい。

 

「クズのお前なら知らないか?楽に稼げるバイトとか」

 

「クズ仲間しか知らない秘密のルートとか持ってないのか?」

 

「そんなルートがあったら、お前らの方が知ってるはずだろクズども」

 

そうだった。馬鹿の上にクズだった。

 

自分たちが頼んでいる立場であることを忘れたかのような発言に孝二は目の前のクズどもの評価を下方修正した。まだ下があったとは驚きだ。このクズどもに限界という概念は無いのかもしれない。

 

思うことは色々あったが、幸二はペラペラとそこら辺にあったタウンワークをめくっていく。この貸しは何十倍にでもして返してもらうと決めていた。

 

そんな孝二の姿を見た愛菜は、まさかと思う気持ちを抑えきれず孝二に近寄って話しかけた。

 

「言っとくけど、何も聞かずにドアの見張りをするバイトとか白い粉を運ぶバイトとかはダメだからね」

 

「そんなバイト知ってる訳ねぇだろ」

 

本当に愛菜は人のことを何だと思っているのだろうか。今度、真剣に考えの隔たりを埋めた方が良いのかもしれない。

 

「しかし、探してみると良さげなもんは無さそうだな」

 

やはり、コイツらの知能指数が問題なのだろう。可愛げがある分、猿の方が需要がありそうな気がする。

 

「そうなんだ。中々、楽に稼げるバイトが見つからない」

 

「ああ。何故、自宅警備員のバイトがないのか意味不明だ」

 

「いや、そんなもんあるわけないでしょ」

 

至極、尤もな愛菜のツッコミは無視されて、クズどもの話は続いていくが中々良い案は出ない。そろそろ、自分たちに理想的な仕事などないということを悟った方が良いのだが、それには気づかない。だって、クズだもの。

 

収拾がつかなくなりつつあることを悟ったのか、傍観していた梓がスッと助け舟を出す。

 

「自分たちが得意なことから探してみたら?やってみたら案外上手くいくかもよ?孝二は客観的に見て二人の得意なところを挙げる感じで」

 

「梓さん、ナイスアイデア!」

 

梓の案に、おおという顔を浮かべて愛菜は手を叩いて賞賛するが中々に難題である。

 

コイツらの得意なことねぇ…

 

伊織と耕平と孝二は互いの顔を見つめると、暫し考えて同時に言葉を発した。

 

「土下座」

 

「夜襲」

 

「カンニング」

 

「それをどうやってバイトに役立てるつもりよ!真面目にやりなさいよ!」

 

愛菜は三人の言葉に怒鳴り立てるが、残念ながら三人とも至極真面目に答えた結果である。

 

「そんなこと言われてもな。後は一気飲みと服を脱ぐ速さくらいしか思いつかんぞ」

 

「ここは何のサークルよ!?ダイビングとかあるでしょう!」

 

言われてみればそんなものもあった。しかし、古手川クラスならともかく、別にダイビングが得意と言ったところでバイト先候補が見つかるとも思えないが。

 

そう考えると急にコイツらが可哀想になってきた。得意なことを考えても碌に出てこないだけでなく、生涯童貞で終わることか半ば確定しているのだ。こんな底辺どもには優しく接してあげなくてはならないのではないだろうか。

 

そう思った孝二は笑顔で告げた。

 

「諦めて動物園でバイトしたらどうだ?知能指数はそんなに変わらんから猿の仲間になれるかもしれないぞ」

 

「じゃあ、お前はクズ代表として展示されろ!」

 

「ゴミとして清掃会社に回収されてしまえ!」

 

孝二の言葉を皮切りに汚い言葉のラリーが始まった。それで当然済むわけもなく、三人は取っ組み合いを始めて完全にバイトのことなど地平線の彼方に放り投げられてしまった。

 

愛菜はそれを見て頭を抱える。何故、コイツらはこの僅かな時間ですら集中することができないのだろうか。

 

「止めなさい、見苦しい!あんたらバイトの話をしてたんでしょうが!」

 

「そうそう。それに孝二。あんた、そろそろバイトの時間じゃないの?」

 

梓の言葉にそういえば、もうそんな時間かと時計を見た孝二はしょうもない争いを止めて荷物を手に取るが、孝二がバイトをしているということを今知った伊織と耕平は多少驚いた。

 

「孝二の奴バイトしてたのか」

 

「一体何のバイトをしてるんだ?」

 

「そう言えば私も知らなかった。何のバイトをしてるのよ孝二?」

 

「薬を売ってるのよ。愛菜も知らなかったとは意外ね」

 

孝二に投げかけられた問いだったが、答えを知っていた梓はあっさりと答えた。

 

梓の言葉を暫し咀嚼すると、三人は孝二の側に近寄った。

 

「自首しよう孝二」

 

「捕まる前に決断するんだ」

 

「大丈夫。アンタが罪を犯しても私はずっと友達だから」

 

「薬局でバイトしてるだけだ馬鹿野郎」

 

孝二には理解不能だった。品行方正で通っている自分が何故そのように思われるのだろうか。何か誤解をされているとしか思えない。

 

「馬鹿な…このクズが普通に社会的活動を行うだと…!?」

 

「このクズにそんな善性が備わっているのか…?」

 

「アンタら流石に失礼よ」

 

劇画調で驚きを表現する伊織と耕平に言いたいことは山のようにあったが、そろそろバイトに行かなければいけない孝二にそんな時間はない。クズに割ける時間など持ち合わせていないのだ。

 

お先〜と言いながら孝二はそのままダイビングショップを後にする。その後ろ姿を見送ってから伊織と耕平は無言で立ち上がった。

 

「あれ?アンタらもどっか行くの?」

 

「そりゃ、そうだろ」

 

「奴の後をつけるに決まっている」

 

「何でそんなことを当たり前みたいに言うのよ…」

 

愛菜には理解できなかったが、伊織と耕平にとっては常識のような行動らしい。常識って何なんだろう。

 

「アイツが働いてるバイトだぞ?何か特殊なバイトに決まっている」

 

「ああ。何か特別な理由があるとしか思えん」

 

「そんなことないと思うんだけど…」

 

「孝二って普通に頭良いんだけどねぇ」

 

そんな愛菜と梓の言葉を無視して伊織と耕平は店を出て行く。

 

その姿を見てため息を吐きながら愛菜も立ち上がる。クズ三人を放置しておくわけにはいかないという責任感からだ。

 

「あれ?愛菜も行くの?」

 

「はい。アイツら放っといたら何をするか分かりませんから」

 

「なるほどね。じゃ、保護者役よろしくね〜」

 

「不安しかないんですけどね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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