ぐらんぶるに彼女持ちのリア充をぶち込んだら、どうなるか考えてみた   作:はないちもんめ

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新刊出たので久しぶりの投稿!


13 古手川に文化祭のチケットをあげるなんておかしいだろ

「何!?愛菜が古手川に文化祭のチケットをあげたのか!?」

 

信じられないものを見るかのように自分を見てくる彼氏にかな子は首を傾げる。

 

「う、うん、そうだけど…何、その反応?」

 

「浅はかなことを…何故俺に相談しないんだ!」

 

「コウに相談して何があるのよ?」

 

「俺のチケットで古手川も一緒に入れば良い。それで解決だ」

 

「それで何が変わるのよ…」

 

孝二の発言をイマイチ理解していないかなはジト目で孝二を見遣る。

 

だが、孝二からしてみれば何故自分の発言の真意が分からないのか理解できない。こんなものどう考えても明白だ。

 

「クズの童貞共が群がってくるのを防げることに決まってるだろ」

 

「何も決まってないよね」

 

残念ながら決まっているのである。

 

あの童貞どもの執念。

 

愛菜のポンコツっぷり。

 

これはバレて騒ぎになる未来しか想像できない。

 

「というか、別に皆で一緒に行けば良いじゃない」

 

「絶対にやだ」

 

「何でよ」

 

「理由は二つある。まず俺がかなとイチャイチャしながら学園祭を回れなくなる。かなだって困るだろ?」

 

「いや、流石に私は知り合いばっかりのところでそんなにイチャイチャしたくないから別に良いけど」

 

「そうだよな、困るよな。それが一つ目の理由だ」

 

「話聞いてないよね!?」

 

聞いているが、照れ隠しに決まっているので無視することにした。きっとそうに違いない。

 

「二つ目の理由は…少し複雑でな…」

 

カランと音をたてながらグラスを置いて空を見上げた孝ニを不思議な目で見ながらかな子は続きを促す。

 

「どんな理由なの?」

 

「俺は見たくないんだよ…あいつらの…

 

 

 

 

 

 

 

 

嬉しそうな不細工な面なんて」 

 

 

 

 

 

 

 

 

(こういう所さえ無ければなぁ)

 

目下、自分の彼氏の人間としての器の小ささがかな子の悩みだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

などと思っていた孝二だったが、学校に着いてチケットの行方を調査して直ぐに心は安穏としたものに変わり、ゆったりと落ち着きながら授業を受けていた。

 

(まさか、こんな俺にとって都合が良い流れになるとはな…やはり、俺の普段の行いの良さが原因か)

 

孝二はラピュタに乗ったムスカ大佐のような気持ちで愚かな童貞どもを見下していた。

 

勝った。最早、負ける要素などカケラも見当たらない。やはり、正義は勝つのだ。

 

誰が正義なのかはとりあえず置いておいても、孝二がチケットを手に入れることは他人から見ても既定路線だった。

 

理由など簡単だ。千紗のチケットで学園祭に一緒に行ける人を千紗が決められるというルールが追加されたからである。

 

千紗の孝二に対する評価は信じられないレベルで高い。

 

そして伊織を含め、他の男子クラスメートの評価は信じられないレベルで低かった。

 

何故、千紗の孝二への評価がそこまで高いのか理解できない周囲は時折、議論を交わしているのだが誰も満足のいく結論は導き出せない。

 

当人である孝二でさえ、完全には理解できていないのだから当然と言えば当然である。

 

孝二が全く良い行為をしていないわけではないのだが、それ以上にクズ行為を繰り返している。しかし、理解不能な千紗フィルターによって孝二のクズ行為が本人に全くその気がない節度ある行動へと翻訳されているのである。

 

なお、本人からすると自らが認識していない正しい行為を千紗だけが見てくれていると思っている。

 

完全な誤解である。

 

とにかく、そのような事情から孝二は完全に安心しきっていた。後はこの授業が終わった後で古手川に学園祭に一緒に行こうと誘えば終わりだ。

 

自身がかなから貰ったチケットは無駄になることになるがそんなのは些細なことだ。

 

あの童貞どもを喜ばせるくらいなら、このチケットも消滅した方が本望だろう。

 

そんな安心感からか眠くなってきた孝二はウトウトとし始め、首がかくんと下に崩れた。

 

その直後、先ほどまで自身の頭があった箇所の後ろにコンパスが刺さっていることに気付いた。

 

眠気は一瞬で覚め、何が起こったのかと意識を覚醒させる。

 

「おう、すまねぇ。配られた紙を渡そうとしたんだが間違ってコンパスを投げちまった」

 

前の童貞が意味の分からない言い訳をほざきながら、ハハハと笑って謝ってくる。

 

偶然…か?

 

得体の知れない悪寒を全身で感じながら孝二は気をつけろと紙を貰う。

 

その瞬間、今度は隣から物凄い速さで分度器が投げつけられるのを寸前で回避した。

 

「お、すまねぇ。俺も手が滑っちまった」

 

「おいおい、お前もか」

 

「全くこんなこともあるんだなぁ」

 

穏やかな会話を繰り広げているが、孝二はその笑顔の下に隠されたドス黒い感情に気が付いた。

 

そして、それに気がつくと連鎖のように自身を取り巻く周囲の殺気に気が付いた。

 

孝二は全身に冷や汗をかく。間違いないこの童貞どもは

 

(俺を…殺す気だ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー授業が始まる少し前ー

 

「おい、どうした北原?急に全員呼び出して」

 

「いや、ちょっと話しておくことがあってな」

 

伊織と耕平に呼び出された面々は要件を中々話さない伊織に怒りを覚える。

 

何時もなら構わないが今日はそんな時間などないのだ。一刻も早く少しでも古手川の好感度を上げる必要がある。

 

「ちっ、用がないなら帰るぜ。俺は忙しいんだ」

 

「何か用でもあるのか?」

 

「当たり前だ!こんな暇があるなら古手川さんに賄賂でも渡しに行くんだよ!」

 

「止めておけ、そんなことをしても無駄だ」

 

好感度を上げるために賄賂を渡す段階でクズだが、ここでは主題ではないので無視する。

 

「何が無駄なんだよ!」

 

「そんなことをせずとも、古手川が選ぶ奴なら響に決まっている」

 

「はあ、何でだよ?彼氏の北原なら分かるが」

 

「俺と奴との好感度では比較にならない」

 

「ああ。そこらに落ちている犬のフンとエメラルドくらいの違いがある」

 

「「「お前、本当に彼氏だよな!!!???」」」

 

彼氏とは何なのだろうかと疑問に思う発言だが真顔で肯定する伊織と耕平を見ると真実であることだけは伝わった。

 

だが、それを理解した童貞どもは嘆きの声を上げながら地面へと膝をつく。

 

何故、あのクズだけが美味しい思いを味わうことを神は許したのだろうか。

 

「顔を上げろお前ら」

 

「北原…今村…」

 

崩れ落ちた童貞どもには自信に満ちた伊織と耕平の在り方は神のように見えた。実際にはただのクズが汚い笑みを浮かべながら立っているだけである。

 

「何か手があるのか…?」

 

「当然だ。なあ、北原」

 

「ああ。ゲームが始まる前に奴の勝ちが決まっているのならば…

 

 

 

始まる前に殺れば良い」

 

 

 

 

 

伊織の発言に崩れ落ちた童貞どもの間にざわめきが広がる。

 

倫理観や道徳などを放り投げれば伊織の発言は間違ったものではない。

 

やれば負けることが決まっているゲームに負けたくないのであれば、やらなければ良いだけの話だが、勝ちたいのであればルールを変えるかゲームを始める前に細工をするかどちらかしかない。

 

この場合、その細工がクズどころか完全に犯罪者の思考なのが問題なのだがこの面子に限って言えば

 

「まさかとは思うが、この中に」

 

「学園祭のチケットよりも奴の命の方が大切だと宣う臆病者は居ないだろうな?」

 

「「「笑止!!!」」」

 

そんな倫理観を備えている人間などいるわけがない。今更だが全員クズなのだ。

 

「ふっ、流石だなお前ら」

 

「あたぼうよ」

 

「あんなクズ居なくなった方が世のためだぜ」

 

クズをクズと呼ぶクズどもは武器を高らかに掲げて叫ぶ。

 

「「「さあ、行こう!俺たちの幸せのために!!!」」」

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

(あの、クズ童貞どもがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

 

孝二は信じられない思いで一杯だった。

 

何故、奴等は自分の幸せのために他者を蹴り落とすことが平然とできるのだろうか。

 

人として失ってはいけない大事な部分が欠損しているとしか思えない。

 

お前だよとツッコミたい気持ちはよく分かるがここではスルーして欲しい。

 

奴等が童貞なのが非常に良く分かる腐った思考回路に自称真っ当な人間である孝二は驚きを隠せないが、そんなことをしている場合ではない。

 

悠長にこんな処刑場に居続ければ間違いなく死ぬ。

 

思い立ったが吉日と言わんばかりに孝二はスッと手を上げる。

 

「先生。少しお腹の具合が悪いので早退してもよろしいでしょうか?」

 

「おや、それは大変だねぇ」

 

当然のごとく仮病だが、それを理由に孝二はこの場から逃げようと試みる。

 

「あの先生。ちょっと良いですか?」

 

「俺もです、先生。ちょっと良いですか?」

 

「何だい山本君と野島君?」

 

「響は俺達の親友なんです。心配なので俺達も早退して良いでしょうか?」

 

(何が親友だ、このクソ共が!!!)

 

心配顔の裏に見える殺意に気付かない孝二ではない。即座に前言を翻し、席に座るとこの場を切り抜ける別の方法を考える。

 

(正攻法では無理だ。アプローチを変えよう。そもそもコイツらがここまで必死なのはまだこのゲームの勝者が決まっていないからだ)

 

この場合の勝者とは言うまでもなく古手川と一緒に学園祭を回れる者である。

 

逆に言えば勝者が決まってしまえば孝二を狙う理由がなくなる。嫉妬で狙う奴等も多いかも知れないが少なくても今よりはマシだろう。

 

であればさっさと古手川と連絡を取り、一緒に学園祭に行ってくれるように頼めば孝二の場合それで勝ちが確定である。

 

周りのクズどもの攻撃を掻い潜り、古手川と会話をするのは不可能だが文明の利器を使えば攻撃を避ける必要などない。

 

そう判断した孝二は携帯を手に取り、古手川へと連絡を取るが何故か一向に届かない。

 

不思議に思い、良く見れば携帯が圏外なことに気が付いた。

 

(変だな…?この教室で圏外なんてことはあり得ない…)

 

直後、孝二はある可能性に思い当たり周囲を見渡す。そこでニヤリと笑う耕平が持っている物に気が付いた。

 

(妨害電波か!!!)

 

ギリっと孝二は歯軋りをする。

 

あのクズどもがそこまでの備えをしていたことに憤慨するが、直後に携帯に見切りをつけて古手川の姿を探す。

 

直ぐに見つけることはできたが、側にクズの総本山である伊織が座っていた。

 

これでは何か紙を投げたとしても叩き落とされるのがオチだ。

 

(マズイ…詰んだ…)

 

幾ら考えてもこの場を打開できる策は思い浮かばない。そうこうしている内に授業の終わりが近づいてくる。

 

(くっ…やむを得ない!)

 

授業が終わればいよいよ物理的に殺される。それを避けるために孝二は授業の終了直後に窓へと突き走る。

 

「「「「殺せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」」」 

 

さらにその直後に怒りに狂った童貞どもは隠し持っていた武器を孝二に向かって放り投げる。

 

圧倒的な殺意に恐怖を覚えるが立ち止まることはできない。立ち止まれば待っているのは死のみだ。

 

それを知っていた孝二は減速せずに3階の窓から身を投げ出した。

 

「「「「何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」」」」

 

その行動は予想外だったのか驚きの声を上げながらクズどもは窓へと近づき、木をクッションにして無事に着地した孝二の姿を忌々しげに睨む。

 

「まさか、あの自己保身に長けたクズが3階から飛び降りるとは!!」

 

「自分の身だけは第一に守るクズがこんな手段を!」

 

妙なベクトルで驚いている周囲を尻目に伊織は冷静に指示を飛ばす。

 

「待て、慌てるな」

 

「北原…!?しかし…」

 

「落ち着け。あのクズがこんな手を使ったということは逆に言えばそれしか逃げる手段がなかったからだ。奴には手が無い!範囲を徐々に狭め確実に滅ぼせ!!」

 

「「「「おおよ!!!」」」」

 

伊織の声に謎の連帯感を強めたクズどもは揃って孝二を殺しに外へ出る。

 

そんな姿を黙って見ていた千紗はジト目で伊織を見る。

 

「で?今度は何の騒ぎ?」

 

「気にするな。ただの鬼ごっこだ」

 

「いや、響君しか逃げてなかったけど」

 

「少し特殊なルールがあってな」

 

「どんなルール?」

 

「鬼は一人で逃げて周りの奴等が鬼を追い詰めるんだ」

 

「いや、その段階で鬼ごっこじゃないから。ただの鬼いじめだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




話の都合上、原作の時系列を少しイジる予定です
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