ぐらんぶるに彼女持ちのリア充をぶち込んだら、どうなるか考えてみた   作:はないちもんめ

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アンケートありがとうございました。

結果から千紗ルートを書くのは止めようと思いますが、48%もの人が希望してくれるとは思いませんでした笑

ここまで競ると思わなかったのでお礼も込めて、ペース落ちない範囲でぼんやりと考えてた「千紗フィルター」の誕生話を投稿しようと思います。

なお、本編のペースを落とさない範囲なので完全なる不定期更新です。


急に過去編なんておかしいだろ! 1

春の桜も散り、夏の気配を感じ始めた時期に二人の男女が道を歩いていた。

 

「もう暑いな…半袖にすりゃ良かった」

 

「紫外線対策にもなるし、少し暑いくらいなら長袖で良いのよ」

 

「女子目線だろ、それ…まあ、最近は男子でも気にする奴は気にするだろーが」

 

とは言え、その二人の間に恋愛関係のような雰囲気は感じられない。感じられるのは気やすさと親しみといった家族に近い雰囲気だ。

 

その中の男、響孝二は隣の幼馴染である恵子に話しかける。

 

「それに俺は服を着てるだけマシだろ」

 

「誰と比較してるの?類人猿?」

 

真顔で酷いことを言う女だ。知能指数だけ見れば強ち間違いではないと思うが、類人猿に失礼な発言だ。

 

「大学の同級生の変態だよ」

 

「あら、良かったわね仲良くなれそうな人達がいて」

 

この女は一体何を言っているのだろうか。

 

「何でそうなる?」

 

「それくらいじゃないと、孝二と上手く付き合っていくのは難しいからよ」

 

「そんなわけないだろ」

 

「そんなわけあるのよ。でも、そんな人とどうやって知り合ったの?」

 

「そいつ全裸で校門の前で寝てたんだよ」

 

「中々、刺激的な出会いね」

 

「そうだな。殺意しか湧かない出会いだった」

 

これから始まる新たな学園生活。薔薇色に満ちているはずの景色は、全裸の男の熟睡姿に弾け飛んだ。今、あいつが生きているのは一重に俺の優しさのおかげと言っても過言ではない。

 

「けど、どうしてそんなことになったのかしら?」

 

「さあな。変態の理屈など俺は知らん」

 

全裸のことは全裸でないとわからない。やはり種族が異なる以上、通常のコミュニケーションは不可能だ。

 

「同類なんだからわかるでしょ」

 

「お前、それチャバネゴキブリと一緒だって言ってるのと同じだからな」

 

「そういうところよ。で?その後、どうなったの?」

 

「ああ。他の奴らの通行の邪魔になるかと思ってな」

 

「それはそうね。じゃあ、起こしてあげたの?」

 

「ああ。代わりに埋めてやった」

 

「このワモンゴキブリ」

 

ふうと恵子はそっと息を漏らす。既に心配していた事象が発生してしまっている。この幼馴染を一人で放置しておいて問題が起こらない訳がないのだ。この幼馴染はしぶとく生き残るだろうことは想像できるので全く毛ほども心配していないが、周囲の人間が心配だ。いつの日か迷惑をかける日が来る気がしてならない。

 

やはり自分はこのワモンゴキブリと同じ大学に行くべきだったのではないだろうか。とは言え、何時迄も私がコイツの保護者をやっているわけにはいかない。徐々に行動範囲が広まっているため流石にカバーしきれない。

 

自分の大学に来てくれるのならば、かな子やきっこがフォローしてくれるのだろうが…

 

むむむと頭を悩ませている恵子。おもむろに口を開く。

 

「ねぇ、孝二」

 

「あん?」

 

「去勢する気ある?」

 

「ある訳ねぇだろ」

 

急に何言ってんのコイツ…!?と内心戦々恐々しながら孝二は返事をする。いきなり爆弾を落としてくるのがこの幼馴染の怖い所だ。

 

「だって今の時代ジェンダーレスだし」

 

「お前が言ってんのはジェンダーロストだよ。レスと違ってロストは取り返しが効かないんだよ」

 

「そうよね…そうしたらかな子が悲しむし、諦めるしかないわね」

 

何故、この女は諦める理由に自分を思いつかないのだろうか。本人のジェンダーだというのにその懸念事項に本人の意思が入っていない。意思の尊重という近代の原理原則を忘れているとしか思えない。

 

「そういえば聞いてなかったんだけど、どこ行くの?」

 

この女にとって俺のジェンダーは『そういえば』で切り替えられるほど、些細な問題らしい。とんでもない暴君もいたものだ。

 

ぶり返されると恐ろしい未来しか見えないことから、話を変えることには賛成しかないのだが。

 

「水族館だよ」

 

かなを誘ったのだが、用事があると言われて断られてしまった。ならば、一人で行こうとしていたのだが嫌な予感がするからと恵子を強制的にセットにされた。信頼性の無さが露呈した瞬間である。

 

「何で水族館?」

 

「ちょっと用事があってな」

 

「碌な用事の気がしないわね」

 

勝手に決めるとは酷い女だ。どんな人生を歩んでいたらここまで幼馴染を疑えるのだろうか。

 

善性の化身であると自称する孝二には全く理解ができなかった。

 

「勝手に決めるなよ。これでもダイビングサークル所属だぞ。不本意ながら」

 

「まず、その時点でおかしいのよね」

 

孝二の人生にダイビングの文字は無い。何故、急に始めたのか疑問しかなかった。

 

「俺だって好きで入ったんじゃない」

 

「その割には続けてるわねぇ」

 

「海には事故がつきものだからな。丁度良いと思ったのもある」

 

「とりあえず通報するわね」

 

「まあ、待て幼馴染」

 

携帯に手をかけた恵子の腕を孝二は掴む。気が早いにもほどがある。通報までに迷いがなかったことが恐ろしい。

 

「まだ未遂だ。選択肢の中に入ってるだけだ」

 

「選択肢にそれが出てる時点で通報案件なんだけどね」

 

この幼馴染は余程俺を通報したいらしい。

 

「他にも理由はあるんだよ。その理由のために魚の勉強をしたいと思ってな」

 

「ふーん。まあ、色んなことに興味を持つのは良いことだけどねぇ」

 

問題はその理由の方なのだが…と思いながら恵子は幼馴染を犯罪者を見るような目で見やる。やはり日本の推定無罪という法律は甘すぎる気がしてならない。このクズに関しては推定有罪がベストだと思っている。

 

恵子がそんなことを考えている間にどうやら水族館に着いたらしく、孝二はチケットを買いに受付へと向かう。どうやら、払ってくれるらしい。こういう所に関してだけは女性を気遣う男だ。まあ、奢って貰う気もない恵子は後でお金は払うつもりではいるのだが、女の子扱いされるのは悪い気はしない。

 

「買ってきたぞ。カップル割で安く買えた」

 

「非常に不本意だけど、まあ良いわ」

 

とはいえ、この男とカップルになるのだけはごめん被るのだが。

 

 

 

 

 

 

「久しぶりに来ると変わってるものねぇ」

 

恵子も水族館に行くのは随分と久しぶりである。

 

客観的に見てもモテる恵子は他の男たちに遊びに誘われることはそこそこ多いが、意外と水族館は行っていない。最後に来た時を遡れば高校時代にこの災害系幼馴染と一緒に来て以来の気もする。変わってはいるのだが、変わっていない光景もチラホラと目につく。

 

懐かしいわねぇと隣を見ると、その幼馴染が忽然と何処かに消えていた。

 

何処に行ったのかと周りに目をやると子供達に混じって飼育員さんの魚の説明を聞いていた。

 

そっと隣から顔を見ると意外と真剣な面持ちだ。迷惑をかけるようなら、連れ出そうと考えていたのだがこの様子なら心配ないかと恵子も話を聞く姿勢へとシフトする。

 

「さあ、皆!何か質問はないかな?」

 

どうやら丁度質問タイムに突入したらしい。子供達が恥ずかしがって手を上げない中、孝二はすっと手を挙げる。

 

「お!いいね、お兄さん!何かな?」

 

「この中で1番毒性が強いものっていうのはどれになるんですか?」

 

「すみません、ちょっと頭がおかしいだけなので無視してくださいね」

 

真剣に質問した孝二の頭を掴んだ幼馴染は細腕に信じられない力を秘めており、体格差を無視して孝二をズルズルと引き摺って飼育員さんと子供達の側から引き離した。

 

「おい、何すんだ。人が真剣に話を聞いてたのに」

 

「子供達の教育に不適切だからよ」

 

そこまで言うとニコリと微笑む。とても恐ろしい温度が感じられない笑みだった。

 

「これから一日中、飼育員さんに余計な質問は禁止よ。迷惑になっちゃうから」

 

「いや、ちゃんと金は払ってるんだから質問くらい」

 

「返事は?」

 

「はい」

 

益々笑みを深めていく幼馴染に姿勢を正した。抗議はこれが限界だろう。

 

自身は間違ったことは言っていないと確信している孝二だったが、これ以上の抗議は命に関わりかねない。

 

「というより、アンタの用事ってこれ?」

 

「そんなわけないだろう」

 

理由の一つなのは間違いないがと続ける孝二に恵子はこの犯罪者予備軍の参加するサークルのメンバーに注意喚起を行うことを決めた。

 

ふうと頭が少し痛くなった恵子が顔を上げると、そこにあった光景に目を奪われる。

 

そこでは自分たちと同年代と思われる可愛らしい女の子が、水族館の魚たちと一緒に泳いでいた。その光景に孝二のことを忘れて見惚れていたが、隣の孝二は違う驚きを持って見つめていた。

 

「予想外のところで会うもんだな」

 

「え、知り合い?」

 

「さっき言ってた同じダイビングサークルの同級生だよ。まだ喋ったことは碌にないけど」

 

「へぇ、そうなの。でも、凄いわねぇ。私と同じくらいの歳なのにあんな風に泳げるなんて」

 

「そーだな」

 

「何よ?凄いと思わないの?」

 

孝二の言い方に引っかかるものを覚えたらしい。とは言え別に、孝二に恵子の言葉を否定する気持ちなどない。

 

否定する気持ちなどないのだが

 

「いや、凄いっちゃ凄いけど」

 

水の中というある意味非日常の空間がまるで居場所であるかのように、優雅に笑顔で泳いでいる姿が凄いというよりも単純に

 

 

 

 

 

 

 

 

綺麗だと思ったのだ。

 




この段階で孝二がかな子と付き合ってないと千紗ルート入ったんでしょうね恐らく。
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