ぐらんぶるに彼女持ちのリア充をぶち込んだら、どうなるか考えてみた 作:はないちもんめ
まだ二話しか書いてないのに、評価バーが赤なんですけど!感想の期待が凄いんですけど!
まずい…まずい…まずい…
響孝二は人生最大の危機に瀕していた。
「えっとさー、飯田さん」
「ん?何?」
隣に座っている山本が場を盛り上げようと、かなに話しかける。応えるかなは、笑顔である。
その笑顔に孝二は一筋の光明が見えた。
そうだ、彼女は俺のことを良く知っている。
俺が浮気などする男ではないことが分かっている。
そうだ、確かに俺は、かなに怒られないために合コンに行くことは黙っていたが浮気をしようと思ったことなど一度もない。
俺とかなの間には繋がりがある。こんなことで、その繋がりは切れたりはしないのだ。
その繋がりを確かに感じた孝二は背筋を伸ばす。恐れることなど何もない。俺は悪いことなど何一つしていない。
開始から吹き出していた冷や汗が少し収まる。その間にも会話は続いていた。
「今一番欲しいのは何?」
「んー、そうねぇ」
かなは、ニコッと孝二の方に微笑み応える。
「デスノ○トかな?」
……書く気だぁ!!この娘、本気で彼氏のことを殺すつもりだよ!ためらいないよ!一直線だよ!
収まっていた冷や汗が再び吹き出す。
何故だ…何故こんなことになってしまったんだ…
いや、原因は分かりきっている。こんなことになってしまった、いや、こんなことをしでかした元凶は
「おい、愛、いや、吉原さん?」
「ふあい!?」
どう考えてもテメエだ、愛菜ーーーー!!!!
先程、何とか話の流れを持っていくことで伊織たちがこの合コンを頼んだ相手が愛菜だということが判明した。
何てことをしてくれてんだ、このやろう!
しかも、こいつは俺たちのサークルに入ったらしい。
別に良いけど、よりによって何で俺が居ないときに入部するんだよ!何で俺が居ないときに、こんな話を進めてんだよ!
「何でこんなことをしてくれちゃってんのかなぁ?」
孝二はなるべく笑顔で接するように心掛けて声を発する…が、完全にひきつっている。
それを見た愛菜もひきつって焦りながら返答を探すが、孝二の質問を勘違いした木島が声を潜めて話しかける。
「おい、止めとけ、失礼だろ。もしかしたら全員物凄いブサイクなのを隠すためにあんな化粧をしてんのかもしれないだろうが」
そう。何故かかなも含めて全員がケバい化粧をしている。四人とも美少女なのを知っている孝二からしてみれば、完全に素材を殺しきる、この化粧には全く理解ができないが、前から愛菜がこのような化粧をしていた(止めた方が良いと何度も言っている)のは知っていたのでワルノリの結果だろうと予想はついていた。
しかし、そんなことを知らない木島からしてみれば、何でそんな化粧をしているのかということを聞いたように聞こえたのだろう。
「馬鹿、ちげーよ。そういう意味で聞いたんじゃねーよ」
「聞けよ。おかし過ぎるだろ、あんな化粧」
「聞いて欲しいのか、欲しくねーのか、どっちだお前は」
「二人で何を話してるの?」
ニコニコと楽しそうに、きっこが話しかけてくる。
わー、楽しそうだな、俺に恨みでもあんのか、きっこ。
「いや、大したことじゃないよ。ただ、さっきの質問てどういう意味かなと思ってさ」
「あー、なるほどね確かに」
「私も意味が分からなかったんだよね。どういう意味?」
お前らが意味を分からないわけねぇだろ、きっこと恵子。お前ら俺を見た瞬間爆笑してたじゃん。かなが無表情になって、愛菜が慌てまくる中爆笑してたじゃん。
そう言いたいのだが、女子たちと俺は初対面を装わなくてはならない。何故って?クズの童貞共がいるからだよ!
知り合いだということが分かれば、何時知り合ったのかという話になる。何時知り合ったのかがバレれば下手したらかなと俺の関係性もバレかねん。
何時も俺の学校の友達に会うことがあっても俺とかなが付き合ってることは言わないでくれと言っておいたのが幸いして、こいつらも俺の演技に付き合ってくれるようだ。
こんな童貞共のことを考えている場合ではないのだが、バレたら殺されるのだから考えない訳にもいかない。かなの誤解が解けても殺されたのでは意味がない。
正に、前門のかなに後門の童貞。やったね!モテモテだよ!
…泣きたくなってきた。
しかし、泣いていても解決しない。解決しなければ、殺される未来が待っているだけだ。
なので、孝二は顔をひきつらせながら答える。
「いやあ、こんな合コンをわざわざ開いてくれてありがとうってことさ。なあ、よ、吉原さん」
盛大な反語である。
「ど、どういたしまして!?わ、私もまさかこんなことになるとは思ってなかったのよ、孝二、いや、響君!本当だから!信じて!」
…どうやら、本当に悪気はなかったらしい。
つまり、これは愛菜が伊織たちの連れてくる合コンの参加者を知らなかったから起こった悲劇ということだ。まあ、分かったことで何の解決にもならないが。
こうなったら、会話の流れでさりげなーく、俺が来たくてこの合コンに来たわけではないということを証明するしかない。
そう判断した孝二は、目と動作で愛菜と会話を始める。
(分かってんだろうな、愛菜?お前に悪気はないのは分かったが、責任の一端はお前にある。何とか、かなの誤解を解いてくれ)
(無茶言わないでよ!?無理に決まってんでしょ!こんだけ負のオーラを発してる人に何しろってのよ!言っとくけど、隣に座ってるだけで怖いんだからね!?)
(そこを何とかしろってんだよ!言っとくけど俺、このままじゃリアルに次の朝日が見られないからね!リアルに「返事がない。ただのしかばねのようだ」になっちゃうからね!)
「二人とも楽しそうだね」
そんな風に俺と愛菜が目で会話をしているとかなが会話に入り込んできた。目だけ笑っていない冷たい笑顔で。
それと同時に俺と愛菜の頭上から不可視の霊圧が降り注ぐ。俺と愛菜の全身から謎の冷や汗が吹き出す。
((ラ、ラスボスが会話に入り込んできたー!!??))
ちょっと待って!まだ出てくるの早いよ!まだ俺たち卍解どころか、始解すら覚えてないよ!せめて、死神になれるまで待って!
「あー、もしかして愛菜、響君に惚れちゃった?」
きっこの発言で、降り注ぐ霊圧が更に強くなる。同時にかなが握っていたグラスに亀裂が走る。
((てめーは(あんたは)何でこの状況で無差別テロしかけてんだ(のよ)!!??))
「ちょ、ば、そんなわけないでしょ!?ねえ、本当に勘弁してきっこ!いや、マジで!」
「ははは、響の奴完全拒否されてるな」
「まあ、無理もない」
「ああ。こいつの隠しきれないクズさが滲み出ているんだろう」
愛菜の発言を勘違いした伊織たちがのどかな声をあげる。
何で分からねぇんだ、こいつら!?まさか、この霊圧を感じていないとでも言うのか!?
孝二は知らないことで幸せになれることがあるということを学んだ。
「へぇ、そうなんだぁ?愛菜って響君のこと好きだったんだ?ふーん?」
「違うから!勘違いしないで、かな子!お願い、信じて!」
半分泣きそうになりながら、かなに迫る愛菜。笑いながら見ることができている周りが羨ましい。これが俺に向けられたらと思うと震えが止まらない。
こうなったら、このまま愛菜を犠牲にして、この場を乗りきろう。暫くして頭が冷えたら、かなも話を聞いてくれるはずだ。
そう考えた孝二は傍観に撤することにした。ありがとう、愛菜。お前の友情は決して忘れない。
そんな孝二の態度に何かを感じたのか、愛菜は慌てて思い出したかのように喋り出す。
「そ、そういえば、かな子って彼女がいるのに合コンに来る人ってどう思う?」
裏切ったな、愛菜ーーー!!!
許せないと思った。俺は無二の親友だと思っていたのに、この女はそれを無下にしたのだ。後日、この制裁は行わなければならない。
…俺に後日などあるのだろうか。
「え?そりゃあ、許せないでしょ。ねぇ、響君はどう思う?」
笑顔の中に潜む圧倒的な威圧感に萎縮する孝二。今孝二が思うことは一つだった。
誰か~!!ヘルプミー!!!
当初の予定だと、書いても次の話で完結のつもりだったんですけど…ありがたいことに期待が大きいんですよねぇ…最初は息抜きのつもりで書いたんですけども