ぐらんぶるに彼女持ちのリア充をぶち込んだら、どうなるか考えてみた   作:はないちもんめ

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久しぶりの投稿です。


7 ダイビングサークルがテニスをするなんておかしいだろ!

外では雨が絶え間なく降っている。遠くでは、ゴロゴロと雷鳴の音まで聞こえてきそうな気がする。

 

そんな天気の中で、とある学校の一室で二人の男は向かい合って座っていた。

 

チャラついた色黒の男は、ニヤニヤ笑いながら一枚の写真を差し出した。

 

受け取った男は無言のまま。恐ろしいまでの無表情だ。

 

その無表情のまま、男は視線を受け取った写真に向けたまま色黒の男に尋ねた。

 

「…それで?俺に何をしろと?」

 

「へっ。なぁに、そんな難しい話じゃねぇよ。簡単なことだ」

 

ピカッと空に稲妻が走った気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うー…あそことテニスの勝負か…思うことはあるけど、それよりさ」

 

テニスラケットを構えた愛菜は、複雑そうな顔をしながらも後ろに振り返り、その中の一人の男を指差す。

 

「何で、言い出しっぺのあんたが出ないのよ孝二」

 

「指名されてないからな」

 

サラリと答える孝二。片手にはパソコンを持ち、完全にテニスをする気がない格好である。

 

そんな会話に、孝二の隣の耕平が乱入した。

 

「まあまあ、そんなに言ってやるなよ、ケバ子」

 

「何よ。てか、ケバ子言うな」

 

「運動に自信がないから恥ずかしいんだろ?やれやれ、情けない奴だぜ全く」

 

「存在が恥ずかしいお前に言われたかねぇよ」

 

話は、3時間前に遡る。突然、孝二にテニサーとのテニスの勝負をすると言われた伊織達は、全員でテニスをするためにテニスコートへと向かうことになった。

 

当然、最初は渋っていたのだが勝てば賞金が手に入ると聞かされ、面倒臭いと思いながらも行くことになったのだ。

 

「しかし、工藤達が孝二に連絡するとはなぁ」

 

「ああ、確かに。もしかして、顔見知りだったのか?」

 

「ええ、まあ、一度だけ」

 

自分たちと同学年の知り合いが後輩に直接連絡するのは意外だという先輩達に無表情のまま答える孝二。

 

そんな孝二の様子を愛菜は訝しげに見る。根拠はないのだが、何となく怪しい感じがしたのだ。

 

自分以外にも、同じ感想を抱いている人がいるかもしれないと思い、隣にいた千紗に声をかけた。

 

「ねぇねぇ、千紗。何となく孝二の様子が変じゃない?」

 

「響君?別にいつも通りだと思うけど」

 

話しかけられた千紗からすれば、何が違うのか分からないくらい、いつも通りである。

 

「何か気になることでもあるの?」

 

「いや、そんなことはないんだけど…でも、何となく変だなと」

 

「ああ、確かに俺も変だなと思ってる」

 

「伊織も?何処が変なの?」

 

後ろにいた伊織も会話に参加し、孝二の様子が変だと言ってくる。

 

自分がもしかしたら違和感に気付いていないだけではないのかと考えた千紗は、伊織に違和感の正体を尋ねた。

 

「賞金があるんだから、あいつなら毒を盛ったり、夜襲したりするはずなんだが…そんな様子が全くない…妙だ」

 

「響君をあんたと一緒にしないで」

 

呆れたように言う千紗だが、聞いていた愛菜も伊織の話を聞き自分も完全に同じ点が気になっていたのだと気付いたが黙っていたのはご愛嬌である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして試合が始まった。

 

最初は寿・時田ペアの試合。テニスは未経験だが、圧倒的な身体能力で相手を全く寄せ付けない試合運びは圧巻の一言である。

 

しかし、それは序盤までの話。現在は

 

「おっとっと」

 

「真っ直ぐ立つのがこんなに大変だとは…」

 

ただの酔っ払いと化している。当然、試合も逆に圧倒されているのは言うまでもない。

 

「だから呑むなと言ったのに隠れて呑んでやがったな…」

 

先輩達の体たらくに青筋を浮かべながら、イラつく伊織の肩を孝二は、ポンと叩く。

 

「細かいことを気にするな、伊織。あれが先輩達なんだ。しょうがない」

 

「そりゃあ、お前は良いだろうよ!試合出ねぇんだからな!見ろ、あのカメラを!あいつら、俺たちが負けたら俺たちの恥ずかしい姿を世間に晒すつもりだぞ!」

 

「そんなもん知っている」

 

「てめぇ、知っていて黙ってやがったな!」

 

「俺は勝ったら賞金があると言っただけだ。負けても何もないとは言っていない」

 

「ただの詐欺じゃねぇかぁ!」

 

こんな状態にも関わらず相変わらず喧嘩している伊織と孝二の間に呆れながら愛菜は割って入った。

 

「喧嘩してる場合じゃないでしょうが!何か対策を考えないと!」

 

「とは言ってもな。あれだけ酔っ払ってる状態から正常に戻すのは至難の技だぞ」

 

説教する愛菜の後ろから話しかけてきた耕平の言葉に愛菜は言葉が詰まる。確かに、あれだけの酔いをどうやって直すのか愛菜も分からない。

 

なので、ヤケクソ気味に怒鳴り散らす。というか、それしかできない。

 

「あー、もう!誰よ、先輩達に酒なんて呑ませた奴は!」

 

「あー、俺」

 

「…は?」

 

「だから、俺」

 

信じられない言葉に、ギギギと音を立てながら声の主の方向に首を向ける愛菜に再び孝二は自分が犯人だと告げる。

 

一瞬の沈黙があった。そして、

 

「「「何やってんだ(のよ)孝二(響)ぃ!!!」」」

 

次の瞬間怒号が響く。愛菜だけでなく、側で聞いていた伊織と耕平も一緒である。

 

そんなブチギレた三人を前にしても孝二は冷静に告げた。

 

「落ち着け。仕方なかったんだ」

 

「何がしょうがないだ!」

 

「裏切り者は腹を切れ!」

 

「開き直ってんじゃないわよぉ!」

 

「だから落ち着け。しょうがないだろ?脅されてるんだから」

 

意外すぎる孝二の言葉に怒り狂っていた三人も静かになる。そして、

 

「「「はあ!?脅されてる!?」」」

 




次回の投稿は何時だろうか…

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