家長カナをバトルヒロインにしたい   作:SAMUSAMU

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ゲゲゲの鬼太郎最新話『建国! 魔猫の大鳥取帝国』の感想。
久々に大爆笑な回でした! どこから突っ込んでいいのやら、わからないほどにカオスすぎる!
個人的に一番ツボだったのは、魔猫がどこからともなく出てきたボタンを「ポチッ」と口に出しながら押していた瞬間でしたね! 

あの魔猫、黒猫のノリノリな勢いに、何故だが昔好きだった漫画『サイボーグクロちゃん』を思い出してしまった。
昔、コミックボンボンで連載していた漫画で、間違いなくボンボンの黄金期を支えていた作品だと断言できる出来栄え。
是非ともおススメしたい作品なので、この機会に宣伝をさせていただきます!!
(別に、どこからもお金なんてもらってませんよ?)


さて、今回の話から色々とキャラの絡みなどが増えていきますので、どうか宜しくお願いします。


第五十六幕 京上空の戦い

「——どこの船だ? 月も沈んだ夜明け前……命知らずが迷い込んできたか?」

 

 鞍馬山上空より、東に約四里の地点。

 宝船で京都へと向かっていた奴良組は、そこで京の空を守護する京妖怪たちと遭遇する。既に四方を京妖怪たちに囲まれた、逃げ場のない船上でリクオたちは彼らを迎え撃つしかなかった。

 

 

 

 京妖怪たちが現れるほんの数分前。宝船甲板では奴良組の首無と遠野妖怪イタクの大喧嘩が勃発していた。

 リクオに対する礼儀がなってないと、普段は温厚な首無から「礼儀を教えてやる」とイタクに喧嘩を売り、それをイタクが「やれるもんならやってみろ」と買ったのである。

 そこから二人は問答無用にぶつかり合い、毘沙門天の間から飛び出し、広い甲板上で白黒つけることとなる。

 

 戦いが始まる前、鎌鼬であるイタクは首無のことを侮っていた節があった。

 リクオは遠野に来る前。彼はイタクたちに教えられるまで、鬼發についても鬼憑についても何も知らない無知な状態だった。何故、妖怪ヤクザの若頭ともあろうものが、そんなことも知らないのか。

 

 それは、誰もリクオに教えなかったから。奴良組の妖怪たちが、誰も鬼發や鬼憑を使えないから——。

 

 と、そのように認識していたイタク。首無の得物が自分の鎌と相性の悪い紐であったことも、彼の侮りに拍車を掛けた。こんな生ぬるい奴らに自分が負けるわけないと——イタクはそう思っていた。

 

 だが戦いが始まってすぐ、その認識が誤りであったことを彼は思い知らされる。

 

 首無が周囲に張り巡らせた紐の結界。その紐を切断しようとイタクが無造作に鎌を振った瞬間、刃物である筈の鎌が紐によって弾かれたのだ。

 ただの紐が鎖のように硬く、重く。表面はやすりのように鋭くなっていた。

 

「これは……畏!! 紐に鬼憑してやがる!!」

 

 そう、それこそ首無の畏。彼の武器である紐『黒弦(こくげん)』を鎖のように硬くする、妖怪・首無の鬼憑——弦術(げんじゅつ)殺取(あやとり)くさり蜘蛛』だったのだ。

 

「身の程を知ったら大人しくすることだ」

 

 その技により、首無はイタクの首を締め上げ、彼に詫びを入れろと冷酷に告げる。

 だが、その程度のことで怯むイタクではない。彼もまた、鎌鼬としての畏を解放——自らの姿を巨大な鼬に変え、全力で首無と戦うことを宣言したのだ。

 

「成程……アンタを甘く見過ぎていた。今度はこのナリでやらせてもらう!!」

 

 もはやただの喧嘩では収まらない。ガチの殺し合いに発展しかける両者のぶつかりあい。

 そこへようやく現場へと駆け付けたリクオ。彼は大声で彼らの戦いを止めようと、声を張り上げようとし——。

 

 その直前。リクオ以上にバカでかい声で、両者のぶつかり合いを止める者がいた。

 

「くるぁあああ!! なにしとんじゃぁああああああああああ!!」

 

 宝船の屋根の上から、首無とイタクに紫色の液体——傷薬をぶっかけ、二人を一喝する男。

 

 奴良組傘下——薬師一派の鴆である。

 

 いつの間に宝船の中に乗り合わせていたのか、彼の突然の登場に誰よりもリクオが驚いていた。

 鴆は妖怪任侠者らしく漢気溢れ、威勢がいいのだが、身体の弱い妖怪だ。そんな彼が危険と隣り合わせの京都の抗争に参加することを、仲間想いのリクオは望んではいなかった。

 しかし、反対するリクオに鴆は堂々と言ってのける。

 

「馬鹿野郎、死んで本望よ! てめぇが三代目になんのを、見届けられんならよ!!」

 

 これには流石のリクオも返す言葉を失い、渋々鴆の好きなようにさせてやることにした。

 鴆の一喝、彼とリクオとのやり取りに毒気を抜かれ、イタクと首無はいつの間にやら互いに戦意を失っていた。毛倡妓曰く「鴆の畏に気圧された」といったところだ。

 

 しかし、先ほどのぶつかり合いのおかげで、互いの力量が決して低くないことは理解できた。

 イタクも首無も互いの実力を、背中を預けるに値する相手と認めることができた。

 

 雨降って地固まるである。仲間内での内輪揉めも終わり、より団結力を固めた奴良組一同。

 後はそのまま、意気揚々と京都に乗り込むだけだと、皆の心が一つになりかけた……正にそのときである。

 

 奴良組の宝船は彼ら——京妖怪の襲撃を受けたのである。

 

 

 

「——さあ、どうした、奴良組!! なにゆえ、大将が名乗り出てこん!?」

 

 空の門番たる彼ら京妖怪の大将、白蔵主(はくぞうず)が叫んでいる。

 四メートルを越える、巨漢の妖狐。彼は「双方の大将が名乗りを上げた後、戦を始めるのが作法」と、奴良組の大将が名乗り出てくるのを律儀に待っていた。

 名乗り合う前に先に仕掛けた、味方の京妖怪すら力尽くで黙らせる徹底ぶり。その気になれば、奇襲で宝船の底を集中的に攻撃し、舟を落として奴良組を全滅させることも容易である。にもかかわらず、彼は馬鹿正直に大将同士の一騎打ちを望んでいた。

 

「ここは私が出る。大将が出る必要などない」

 

 勿論、そんな馬鹿正直に奴良組が付き合ってやる筋合いはない。首無は大将であるリクオ後ろに控えさえ、自分が白蔵主との一騎打ちに出ると言い出す。

 

「遠野勢! 大将の警護を頼む……」

 

 先ほどのイザコザでその腕を認めたイタクたちにリクオの護衛を任せ、彼は武器を構える。しかし——。

 

「…………どこに、その大将ってのはいるんだい」

「? ……リクオ様、どこに?」

 

 イタクがそのような発言をしたことで、首無はリクオの姿がいつの間にか見えなくなっていることに気づく。首無が周囲をキョロキョロと見渡したところ、リクオは白蔵主の誘いに乗り、敵の眼前に歩み寄ろうとしていた。

 

「リクオ様!! 無茶はおよし下さい!!」

「…………」

 

 首無は慌てて彼に駆け寄り、その肩を掴む。

 

「彼らは京妖怪です! 畏を自分のものとしていなければ呑まれます。恐れながら……今のリクオ様では——」

 

 そう、相手は京妖怪。以前の抗争で打ち破った四国妖怪とはわけが違う。しかも相手の大将である白蔵主は並みの妖怪ではない。体中から迸る『畏』を感じ取るだけで、かなりの実力者であることが窺い知れる。

 今のリクオ。少なくとも、遠野に修行へ出る前——首無たちの知っているリクオでは白蔵主に敵わないだろうと、無礼を承知で首無はリクオを制止する。

 

 ところが、リクオの肩を掴んだ筈の首無の手が——いつの間にか虚空を掴み取っていた。

 

「な!? ……なんだ……これは…………」

 

 気が付けば目の前からリクオの輪郭が消え去り、少し離れた別の場所にゆらりと彼の姿が現れる。困惑する首無。呆気にとられる彼を尻目に、リクオは何事もなかったように言う。

 

「首無よ。こんなとこでビビってちゃ、どの道、俺の刃は羽衣狐には届かねぇぜ……」

「……!!」

 

 リクオのもっともな発言に首無は思わず押し黙る。確かに彼の言う通りだ。白蔵主がいかに強敵とはいえ、所詮は羽衣狐の配下の一人に過ぎない。白蔵主の主君である彼女はさらに強い筈——。

 ここで白蔵主相手にビビっているようでは、羽衣狐を倒すなど夢のまた夢。

 

「し、しかし……リクオ様!」

 

 だが、長年リクオに仕えてきた首無の保護者としての側面が、主に危険な行為をさせまいと彼を呼び止めさせる。

 

「やらしてやりぁいいじゃねぇか」

 

 そんな首無へ、イタクが声を掛ける。先ほどの大喧嘩で互いの実力を認め合った者同士だが、イタクはリクオの側近である首無たちの甘い考えに言葉厳しく吐き捨てていた。

 

「だから強くなれねぇって言ってんだよ。てめぇらみてぇな、真面目な側近じゃあ……」

「——!!」

 

 イタクの言葉に首無は目を見開く。

 

 

『——お前さんホント、真面目だねぇ~』

 

 

 何故だろう。真面目な側近というイタクの言葉に、首無は今は昔——かつての主に言われたことを思い出していた。

 

 

 

×

 

 

 

『首無……俺はこいつに、選ばせてやりたいと思ってんのよ。人か、妖かを……』

『二代目……』

 

 十年前。リクオの父親・奴良鯉伴がまだ存命だった頃。首無は奴良組の屋敷で彼と言葉を交わしていた。

 鯉伴の胸には、まだ三つにも満たないリクオが抱かれている。その息子の頭をくしゃくしゃと撫でながら、鯉伴は首無に向かって語る。

 

『一度妖怪任侠の世界に入っちまったら、もう戻れねぇ。半妖の俺は妖を選んだが……リクオには妖怪の血が四分の一しか流れてねぇ。こいつの人生は、こいつ自身が選ぶんだよ』

 

 リクオの、息子の人生を尊重してやりたい。父親としての愛情がその口調や仕草から滲み出ているようだった。

 鯉伴は誰よりもリクオのことを大切にしていた。それは彼が何よりも望んでいた自分の子供だから。

 

 

 かつて——愛した人との間には出来なかった、何百年と待ち望んでいた夫婦の愛の形だからだ。

 

 

 鯉伴は今の奥方・奴良若菜と結婚する前、一人の妖と恋に落ち、結婚をしていた。

 その妖の名を——山吹乙女。ただただ、おしとやかで美しい妖だった。

 

 もう何百年も前。リクオの祖母である珱姫ですら生きていた時代。彼は乙女を奴良組に連れてきて、周囲に何の説明もなく結婚すると告げたのだ。詳しい馴れ初めなど、父であるぬらりひょんにすら話さなかった。

 だが、乙女との結婚で鯉伴は強くなり、奴良組も大きくなった。妻という最愛の女性を得たことが鯉伴をさらに強くしたのだ。その強さで鯉伴は関東の荒くれ妖怪を束ね、妖世界の頂点まで上り詰めた。

 

 そんな乙女との幸せな生活は五十年以上続いた………………何一つ、変わることもなく。

 

 そう、二人の間には決して子供が生まれることがなかった。妖怪である二人は若い姿を保ったまま、まるで時が止まったかのように、何も変わらない日々を過ごしていたのだ。

 

 それこそが——狐の呪いだ。

 

 かつて、花開院秀元と共に羽衣狐を討伐したぬらりひょん。羽衣狐はそのことを恨み、花開院とぬらりひょんの一族に呪いを掛けた。

 花開院の血族には『本家の男子は必ず早世する』という呪いを。妖怪であるぬらりひょんの血族には『妖との間に決して子供を成せない』という呪いを——。

 鯉伴がそんな呪いに掛っていると気づくことなく、乙女は子供が成せないのは自分のせいだと、彼の下から立ち去った。

 

 それから三百年以上、自分の前から去って行った山吹乙女のことが忘れられず、鯉伴は独り身を貫いてきた。誰もが再婚しろと口うるさい中、彼は頑なに新しい恋を実らせようとはしなかった。

 

 そんな中、鯉伴は今の妻——人間である奴良若菜と出会った。

 

 彼女との出会いで鯉伴はもう一度、本気の恋というものに身を投じた。

 そして、彼は待ち望んでいた自身の子供——乙女との間に出来なかった、一人息子を授かることができたのだ。

 

 

 

『こいつは象徴なのさ。人と妖の未来のな……』

 

 自分よりも、さらに妖怪としての血の薄いリクオ。鯉伴はそんなリクオこそが、『人と妖との架け橋』になると考えていた。

 鯉伴も半妖だが、どちらかといえば妖怪に寄りすぎているきらいがある。寿命も人間以上に長いし、何より妖怪任侠の親玉として奴良組を仕切っている。

 ただのカタギの人間として生きるには、妖怪の側に足を踏み込み過ぎていた。

 だからこそ、鯉伴はリクオに期待していた。闇の薄まった時代——現代を象徴する半妖として。本当の意味で人と妖を繋ぐ絆になると、息子の未来を祝福していた。

 

『だから、こいつの前であんまり妖世界のことは語らずだ。親父にもそう言っとけよ』

 

 ぬらりひょんを始め、奴良組の中にはリクオに跡継ぎとしての役目を期待する者たちも多くいる。だが、下手に憧れを持たれ、生半可な覚悟でこっちの世界に踏み込まれても困る。

 

『まっ、自分で気づいたのなら……そんときは見せてやりゃあいい』

 

 選ぶなら自分の意思で。リクオ自身がしっかりとした考えを持てるようになってから、道を決めるべきだ。

 

 だから、そのときが来るまではただ黙って見守ってやれと、鯉伴は首無に何度も念を押していた。

 

 

 

 

 ——二代目……私は、貴方の言葉を……忠実に守っているつもりでした……。

 

 そんな鯉伴との誓いを、首無は忠実に守ってきた。だからこそ、甘い甘いと言われ続けながらも、彼はリクオを見守り続けてきたのだ。決して妖怪世界について多く語らず、鬼發や鬼憑といった妖怪として戦う術も教えずにいたのだ。

 しかし、どうやら自分は少しリクオに対して過保護になりすぎていたと、首無は目の前の白蔵主との戦いを見守りながらそう思う。

 

「——どういうことだ!? おぬし……何をした!!」

 

 リクオと白蔵主との戦い。開戦と同時に白蔵主は巨大な槍の得物——茶枳尼(だきに)を全力でぶん回し、小判屋形船にその矛先をぶっ刺し、ハンマーのようにしてリクオに叩きつけた。

 その巨大な力技を前に、成す術もなく宙に投げ出されるリクオの体。空中で静止する彼に、白蔵主はトドメとばかり茶枳尼の一突きをお見舞いした。頭蓋を貫かれ、頭を粉々に吹っ飛ばされるリクオ——。

  

 しかし、白蔵主が貫いたリクオは幻——『鏡花水月』にて映しだされた、彼の虚像に過ぎなかった。

 

 槍で貫かれたリクオは虚空に溶け、五体満足のリクオが堂々と姿を顕す。

 その技は首無のかつての主である奴良鯉伴も使っていた、ぬらりひょんの鬼憑だ。

 

「なんだか俺は今のあんたのこと、全然怖くねぇーな」

 

 リクオは鏡花水月によって動揺した白蔵主に、そのように言い放つ。

 

「! おのれぇえええええ!!」

 

 白蔵主はその動揺を打ち消そうと再び茶枳尼をリクオへと向ける。しかし、そのように狼狽した白蔵主の攻撃が、リクオに『畏』を抱いてしまった彼の一撃が通じる筈もなく。

 リクオは自分の何倍もあろうかという、その巨大な得物を真正面から——祢々切丸の一撃で叩き折ったのだ。

 

「畏を断ち切った方が勝つ。そんな槍だろうと一瞬で粉々だ!」

 

 その貫禄は、もはや何も知らない子供のそれではなかった。

 自らの意思で妖怪世界に足を踏み入れた大将としての姿。その姿に——首無は笑みを溢していた。

 

 ——ああ、本当に……立派になられましたな。リクオ様……。

 

 

 

×

 

 

 

「はぁはぁ……」

 

 リクオが白蔵主を下していた頃、京都の街中を花開院ゆらが疾走する。彼女は現在、第二の封印の地であった相剋寺から、花開院本家へと向かっている最中である。

 

 破軍を発動させて秋房を助けたと安堵したのも束の間、彼女は敵の大将である羽衣狐と対峙することになった。直に対面したことでわかる強大な妖気。それでもゆらは怯まず、そのまま羽衣狐との決戦に挑むつもりの心地でいた。

 

 だが、とある一人の陰陽師の助言により、ゆらたち花開院家は『撤退』の二文字を選ぶこととなる。

 ゆらは助言を寄こした術者のアドバイス通りに唱えた『惑いの霧』で妖怪たちをかく乱し、その隙を突いて花開院家は相剋寺を放棄して逃げ出したのだ。

 

 ——くそっ! 相剋寺の封印までも、むざむざ連中に明け渡すことになるなんて!!

 

 ゆらは第二の封印が京妖怪の手に渡ってしまったことに悔しさを露にしていた。

 これで残る封印は弐条城の一つのみ。果たしてこのような体たらくで、最後の封印を守り切ることができるのかと、ゆらは焦燥気味に息を荒げていた。

 

「——そんなに焦ったて、どうにもならんものはならんて……少し落ち着き、ゆらちゃん♡」

 

 そんな焦る彼女に向かって、のほほんとした惚けた声が掛けられる。その能天気な言葉に足を止め、ゆらはその人物——召喚式神・破軍で現世へと呼び戻した歴代当主・十三代目花開院秀元を睨みつける。 

 

「……なんでアンタ、ずっと出っぱなしなん……」

 

 他の歴代当主たちはゆらが破軍を解いたと同時に消え去ったが、何故か彼一人だけは現世に留まっている。

 どうやら本人の霊力でムリヤリ現界を維持しているらしい。流石にゆらが気を失えば消えるらしいが、それまではずっと、背後霊のように彼女の後をついてくるようだ。

 

 ——コイツ……ホンマにあの十三代目秀元なんか?

 

 ゆらは、目の前の男が本当にあの高名で名高い十三代目秀元かと疑っていた。

 花開院家の記録によれば、彼は四百年前に羽衣狐を討伐した張本人。もしも、彼が本当にあの狐を退治したのなら、奴らに対する策の一つや二つ持ち合わせている筈だ。

 しかし、彼はこれといった策を用いることなく、相剋寺であっさりと撤退を指示した。

 

『あいつらに勝てると思ってたんか? 力の差がわからんとは……君らの目は節穴やな』

 

 あのとき、恐ろしいほど冷めた目つきでゆらを見つめ、秀元は何の躊躇もなく逃げ出すことを選んだ。

 そのような逃げ腰の彼の判断に、ゆらは今でも反感を抱いている。そのような心情が、彼女に自然と厳しい目つきをさせていたのだろう。

 

「まぁまぁ、ゆらちゃん。そんなに睨まんといて♡」

 

 ゆらの自分に対する不信を見抜いたのか、秀元は彼女を宥めるように口を開く。撤退を指示した時とは打って変わった、軽妙な物言いでゆらの頭を叩きながら。

 

「一応、僕なりに考えた作戦はある。皆が集まった時にでも話すから……なっ?」

「わ、わかってるわ……って、頭叩くな! 背が縮むやろ!」

 

 まるで子供をあやすような仕草で秀元はタムタムとゆらの頭を叩く。何故術者に従う筈の式神である彼に自分がこうも振り回されているのか。

 納得のいかない思いを抱きながらも、ゆらは仕方なく今は黙って秀元の言葉を信じることにした。

 

 

 

 

 

「——くそっ! やっぱり通じんか……」

 

 だが、ゆらは花開院家に真っ直ぐ戻ることなく、未だ街中を駆けずり回っていた。

 その手には清十字団から支給された妖怪人形——携帯電話が握り締められている。その電話からとある相手へとかけているのだが、一向に繋がる気配がない。 

 

「……ゆらちゃん? さっきから何やってるん?」

 

 これには流石の秀元も怪訝そうな顔つきになっていた。傍から見ていると『妖気も感じられない不気味な人形を片手に悪態をついている少女』の図にしか見えない。

 携帯電話なるものを知らない秀元からすれば、さらにその姿は異様なものに映っていたことだろう。

 そんな秀元からの質問に、ゆらは簡潔に答える。

 

「ああ? 電話や電話! 家長さん……友達にかけとるんやけど、全然繋がらないんや!!」

 

 余裕もなく、焦りを口にするゆら。

 そう、ゆらは花開院家に戻る前に、京都に遅れてきたカナを保護するつもりでいたのだ。既に第二の封印は解かれ、京都はさらなる『闇』に包まれようとしている

 もはや宿に籠っていても安全が確保できない。だからこそ、取り返しのつかない事態になる前に、友達であるカナと合流しようと彼女の宿泊しているという宿を探していた。

 しかし、そのためにカナと直接連絡を取ろうにも何故か電話が通じない。原因は…………

 

「やっぱ、あの柱のせいなんか!?」

 

 ゆらは忌々し気に空を見上げる。既に東の空から太陽が昇り始め、京の街はもうすぐ夜明けを迎えようとしている。しかし、京の空はどんよりと暗く、日の光など微かしか感じられない。

 その原因となっているものこそ、相剋寺の陥落と共に出現したあの『黒い柱』だ。

 

 禍々しい黒い柱が七柱。京妖怪の手によって解かれた第八から第二の封印の地点から、真っすぐ天を突き抜けるような勢いで伸びている。

 その禍々しい柱が京の空を黒く染め上げ、京全体を妖気の中に沈めているのだ。

 その影響か、通信機器の類にトラブルが発生している。電波自体が上手くキャッチできないのだろう。ゆらはカナへ連絡をとることができないでいたのだ。

 

「こんなことになるんやったら、先に白神先輩にあの子の宿泊先を聞いておけばよかったわ……くっ!」

 

 相剋寺に向かう前に、凛子から詳しくカナの居所を聞いていなかった自身の落ち度をゆらは反省する。そうこう迷っている内に、時間だけが無情に過ぎ去る。

 秀元はその間、なにやらゆらの携帯電話を興味深げに見つめ「携帯……電波……仕組みはどうなってるんやろ?」などと呟いており、ゆらの焦燥ぶりに目を向けていなかった。

 

「ああ! もう、しゃあないわ! 一旦、本家の方に戻るで、秀元!!」

 

 業を煮やしたゆら。彼女は仕方なく、カナと合流することを一度諦め、花開院の本家に戻ることにした。一度戻り、メールを受け取っていた凛子から直接聞いた方が早いと考えたのだろう。

 

「家長さん……! わたしが行くまで、絶対に無事でいてくれ!!」

 

 そう切に願いながら、ゆらは本家までの帰り道を真っすぐに駆け出していた。

 

 

 

 

 

「…………ん? なんや、本家の前が騒がしいみたいやけど……?」

 

 花開院本家に着いて早々、なにやら門の前が騒がしいことにゆらは首を傾げる。

 おそらく寄り道をしてきた自分が一番最後に戻って来たのだろう。しかし、本家の前には多くの陰陽師たちで人だかりが出来ている。

 雰囲気からして、ゆらの帰りを待ち望んでいたという訳でもない。ゆらは人だかりの最後尾にいた陰陽師に声を掛ける。

 

「これはなんの騒ぎや? 何かあったんか?」

「ん? ああ……ゆら。戻って来たか……」

 

 ゆらに声を掛けられた陰陽師が振り返り彼女の帰還に気づくが、特に歓迎する様子もなく、どこか困惑気味に彼女の質問に答える。

 

「実は……雅次と破戸が戻って来たんだが……」

「なんやて!? 雅次さんと破戸くんの二人がっ!?」

 

 同僚の陰陽師の言葉に、ゆらは声を上げていた。

 

 秋房と共に羽衣狐たちの手に落ちていた花開院分家のトップ3の二人。秋房は竜二たちによって保護されていたが、彼ら二人の行方が未だに不明だったのだ。 

 相剋寺の戦いの最中では人質として柱に括りつけられていたのをゆらは目撃していたが、その後、彼らがどうなったかまでは分かっていなかった。  

 ひょっとしたら用済みとして京妖怪に殺されているかもしれないという、最悪の予想があっただけに彼らの帰還は喜ぶべきことだ。

 だが、そんな喜びに浸る様子もなく、その陰陽師はゆらに事情を説明しようと口を開き始める。

 

「それが——」

 

 

 しかし、彼が言葉を発しようとした次の瞬間——謎の爆発音が響き渡り、辺りが騒然となる。

 

 

「な、なんやっ!? ちょ、ちょっと、通してや!!」

 

 本家の庭先から聞こえてきたその爆発音に、ゆらは人々を押しのけながら進んで行く。

 なんとか人だかりから抜け、花開院家の敷地内へと足を踏み入れるゆら。すると、彼女の眼前にその光景——二人の陰陽師がぶつかり合っている姿が飛び込んできた。

 

「餓狼、喰らえ!」

「なっ!? あれは、竜二兄ちゃん…………それに——」

 

 一人は花開院竜二。ゆらの実兄である彼が式神・餓狼を展開し、もう一人の陰陽師にけしかけている。

 

「木霊・防樹壁!」

 

 そして、竜二に敵意を向けられている、もう一人の陰陽師。彼は餓狼の攻撃を『木』の陰陽術で防いでいる。

 

「土御門!?」

 

 それは先ほどの相剋寺の戦いにおいて、ゆらの救援に現れてくれた土御門春明だった。

 陰陽師としてゆらの援護をしてくれた同じ学校の先輩。そんな彼が、何故だがゆらの実の兄と険悪な雰囲気で睨み合い、わりかしガチの戦いを繰り広げていた。

 

「——って……ちょいちょいちょい!! 何をやっとるんや、二人して!?」

 

 あまりの光景に言葉を失い、数十秒ほどその戦いに魅入っていたゆらであったが、すぐさま我を取り戻し、仲裁に入る。何故二人が争っているのか、イマイチその理由が分からないゆらだが、少なくとも今はそんなことをしている場合ではないだろうと声を荒げる。

 

「……丁度いい。ゆら、お前も手伝え。このクソ生意気な半妖小僧に礼儀を教えてやらねばならん」

 

 ゆらの姿を目に留めるや、直ぐに竜二は彼女に援護を要請する。春明も春明で、ゆらのことを視界に入れるや、彼女に向かって挑発的に吐き捨てる。

 

「はっ! 随分と荒っぽい歓迎だな、花開院さんよぉ~? わざわざ京都くんだりまで来て助けてやって、忘れ物まで届けに来てやったてのに……あんっ!?」

 

 相当にご立腹なのだろう。ギロリと睨みつけてくる春明に怯みながらも、ゆらは彼の言葉に訝しがる。

 

「忘れ物……? あっ!?」

 

 最初はその言葉の意味が分からなかったゆらだが、すぐに視界の端に彼らの姿——雅次と破戸の二人が他の陰陽師たちに介抱されている光景に、先ほどの同僚の言葉を思い出す。

 

「……アンタが二人を助けてくれたんか?」

「……………チッ!」

 

 どうやら図星らしい。初対面から春明のことを『灰色の陰陽師』として毛嫌いしている竜二が謝礼も述べず、気に入らなさそうに舌打ちする。

 

「まさか、アンタが……」

 

 ゆらもあまりに意外なことだったためか、咄嗟に礼の言葉が出てこなかった。助太刀だけでも意外なことなのに、わざわざ捕まっていた花開院の陰陽師まで助けてくれたとは。

 これまでの春明の言動や行動からでは、考えられないほどの親切心。ゆらの知っている春明という人物像から、かなりかけ離れた行動力である。

 

「別に……俺は元の所に捨てて来いって言ったんだぜ。けど、この『馬鹿』がきかなくてな……」

 

 すると案の定、春明は雅次たちのことなど見捨てるつもりだったと白状する。そして、彼は二人を助けることになった原因——その馬鹿なる人物を指し示す。

 

「——!! ア、アンタは……」

 

 その人物を前にゆらは一瞬、呼吸が止まった。

 春明の後ろに隠れ、まるで彼に護られるように巫女装束の彼女——狐面の少女がそこにいたのだ。

 

 清十字団の護衛として人間に化けている雪女たちと同じ要領で、花開院の結界に引っかからないよう妖気を押さえているのだろう。

 まるで——まるでごく普通の人間の少女のように、彼女はそこに立っていた。

 

「あっ——ゆらちゃん!!」

 

 狐面の少女はゆらの姿を見かけるや、親し気な様子で彼女に歩み寄り——何の躊躇いもなく、その手を取っていた。

 

「無事だったんだね、よかった!」

「え、あ……ああ…………」

 

 あまりにも親しい距離感、その手の温もりに、ゆらはまるで借りてきた猫のように大人しくなってしまう。

 

「おい、ゆら! そいつから離れろ!!」

 

 どうやら竜二は妖気を発しているその少女のことを警戒し、春明たちに敵対行動をとっていたようだ。竜二はあの少女のことを知らないのだから、その反応は陰陽師として当然のことだろう。

 

 だが、ゆらはその少女に何度も助けられた——。

 そして『信じる』と決めた。彼女が例え妖怪であろうと、自分の味方であると——。

 

 しかし、相剋寺のような緊急事態でもない平時で、このように少女と対面するのは始めてだ。

 ゆらは何を話せばいいのか分からず、しどろもどろになってしまっている。

 

「ア、アンタは……いったい、何しに来たんや……」

 

 辛うじて出た言葉がそれだけだった。

 彼女が何者なのか? 何故自分の名前を知っているのか? どうして何度も自分を助けてくれたのか? 

 疑問は山のようにあるが、とりあえずの第一声として、ゆらは彼女がここにいる理由を尋ねていた。

 

「う~ん、そうだね……」

 

 ゆらの問い掛けに対し、少女は暫し考え込む。

 どこから話したものかと迷っているような動作で首を傾げていたが、不意に真剣な様子——お面で顔を隠していても、それが伝わってくるほどの真摯さで少女は言葉を紡ぐ。

 

「私とに……春明くんにも協力させてくれませんか?」

 

「きょ、きょうりょく……?」

 

 少女のその言葉に理解が追い付かず、思わず聞き返すゆら。

 上手く伝わらなかった自分の言葉。それでも狐面の少女は辛抱強く、自分の強い想いが伝わって欲しいと、何度でもその頼みを口にしていた。

 

「私にも……守りたいものがあるから。そのために、一緒に戦わせて欲しいんです!!」

 

 

 

×

 

 

 

 ところ変わって、再び京上空。

 

 奴良リクオが白蔵主の茶枳尼を粉々に叩き折ったことで、大将同士の戦いは勝負がついた。長年連れ添った相棒である槍を失ったことで、白蔵主は己の敗北をあっさりと認める。

 

「首を切れい!! この首級を取り、堂々正面から京に入るがいい!!」

 

 そして門番である自分の首を獲り、堂々と京都へ入れと。リクオにトドメを刺すように要求してきたのだ。愛槍を失い、辞世の句もその場で読み上げ、もはや未練はないと宣言する。

 その潔さには、敵である奴良組の面々も呆気に取られていた。場の空気が静まり返り、どうにも首を獲ろうという雰囲気ではない。

 それでも早く首を獲れと急かす白蔵主。そんな彼の要求にリクオは静かに歩み寄る。

 

「……わかった」

「えっ、り、リクオ様!?」

 

 負けを認めている敵の首を獲るという、彼らしからぬ発言に思わず驚く奴良組の面々。そんな組員たちを尻目に、リクオは思いっきり刀を振りかぶった。

 

「そうだ、思いきりやれ! 南無!! 羽衣狐様!!」

 

 自身の死が迫る最後の瞬間まで、白蔵主は羽衣狐への忠誠を口にしていた。しかし——。

 

「痛いっ!」

 

 祢々切丸を振り下ろすかと思いきや、リクオはもう一本の得物——遠野で拾った霊木・多樹丸で白蔵主の頭を叩いていた。勿論、そんな木の棒で妖怪を殺せる筈もなく、一命を取り留めた白蔵主は怒りを押し殺すようにリクオを睨みつける。

 

「オイ……拙僧を愚弄する気か……」

 

 死を覚悟した武士の首を獲らず、そのような木の棒でお茶を濁すなど、白蔵主にとっては屈辱以外のなにものでもなかった。彼は怒り心頭な様子でリクオに問いかける。

 だが、白蔵主の怒りに動じた様子もなく、リクオは彼に声を掛けていた。

 

「誤解しねぇで聞いてほしいんだが……俺は、あんたが気に入っちまったんだよ」

 

 リクオは語る、首なんか要らないと。自分たちは武士ではない、ただの任侠者。

 欲しいのは自分たちの力になってくれる強い仲間。そして——面白い奴だ。

 

 リクオは白蔵主という妖怪が強くて面白い奴だと、今の攻防、その後のやり取りで彼のことを気に入ってしまった。だから、もったいなくてトドメが刺せなかった。死を選ぶくらいなら、今の一撃で死んだ気になって自分の仲間に——百鬼夜行に加わってくれないかと、彼を自分の組に誘ったのだ。

 つい先刻まで殺し合いをしていた相手の力量を認め、その場で勧誘までしてしまうリクオの懐のデカさ。

 

「ひゅう~」

「ははは……リクオさ、ホントさ、言っちゃうよね……ふつーに」

 

 そんな彼の在り様に奴良組はおろか、遠野妖怪たちまで苦笑い。どこか和んだ空気にその場が暖かくなっていく。

 

「……なんだか若ったら、いつの間にか大将っぽくなってない?」

「ああ……二代目にそっくりだ」

 

 毛倡妓も首無も、いつの間にか成長し、父親である鯉伴に似てきたリクオの姿に、昔を懐かしむような温かい眼差しで彼のことを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「——いや~……お見事、お見事!!」

 

 

 だが——その場の温かい空気に水を差すように、パチパチと拍手の音が鳴り響く。

  

 どこか大仰な仕草から繰り出される拍手の音は、称賛よりも侮蔑的なニュアンスが強く表現されている。

 拍手と共に発せられた言葉にも、どこか人を小馬鹿にするような響きが感じ取れる。

 

「まさか、京の門番たる白蔵主をいとも容易く倒してしまうなんて……随分と立派に成長したものだね、奴良リクオくん?」

 

 自身の名前を親し気に呼ばれ、リクオはそちらを振り返る。

 

「何だ……てめぇは?」

 

 声の主に目を向け、初めて見るその人物の容姿にリクオは眉を顰める。

 

 リクオが顔を上げた先には、一羽の怪鳥が飛んでいた。

 巨大な大鷲のような妖怪。その妖怪の上に——その少年は優雅に腰かけ、宝船のリクオを悠然と見下ろす。

 

 整った容貌の、中性的な少年だった。

 その表情には微笑みが浮かべられているが、その瞳は冷たく、どす黒く淀んでいた。

 

 ——なんだこいつ……なんか、嫌な感じだ!!

 

 リクオはその少年と視線を交わし——直ぐに祢々切丸の切っ先を向ける。

 

 リクオは刹那の間に感じ取る。

 眼前の少年は自分とは全く価値観の違った相手だと。自分の百鬼夜行に加わることはおろか、わかり合うことすらできない。

 

 リクオ風に言えば、『仁義の外れた相手』だと——何故だか直感的にそう悟ることができた。

 

 その直感を信じ、油断なく武器を構えるリクオ。

 そんな彼の敵意を涼しい顔で受け流し、少年は悠々と立ち上がり、より高い目線からリクオへと告げる。

 

「初めまして、奴良リクオくん……こうして顔を突き合わせるのは、初めてだよね?」

 

 そう言いながら、厭味ったらしいほどに優雅な一礼をし、少年はリクオへと挨拶をする。

 

 

「ボクの名前は吉三郎。ボクたちは……君のファンだよ」

 

 

 意味深な発言、少年はさらにウインクまでして、わざとらしく愛嬌を振りまいて一言付け加えた。

 

 

「これから長い付き合いになると思うけど……まっ、宜しく頼むよ、三代目さん♪」

 

 

 




補足説明

 白蔵主
  京都の空の門番。「名を名乗れ」と言ったと思ったら「なにゆえ、名乗り出た?」とか言っちゃう困ったお人。キャラとしては面白いけど、流石にあの場でリクオに寝返るのは違うと思ったので、羽衣狐への忠誠を貫いたのは良かったと思う。
  身長・453cm。体重・436kg(公式ファンブック情報)
  一応、これでも狐の妖怪……どこに狐要素があるんだろう?

 十三代目秀元
  ご存じ、四百年前からこの現世へと舞い戻った天才陰陽師。
  おどけた口調から、シリアスな口調まで何でもこなせる……流石緑川ボイス。
  語尾に♡とか付ける男キャラも、彼くらいなものだろうか。
  ちなみに、彼が携帯電話に興味を持つのは公式の設定。詳しくは原作十三巻のカバー裏漫画をお読みください。

  奴良若菜
   リクオのお母さんにして、鯉伴の二人目の奥さん。
   乙女と違って扱いが悪いと一部では同情されている彼女。
   実は……一話限りの番外編で彼女を主役にする話の予定があります。
   まだまだ構想を練る段階なのでだいぶ先。多分千年魔京編が終わった辺り、百物語編をやる前の日常回で取り上げると思いますので、あまり期待はしないでお待ちください。


 今回からのキャラの立ち位置の変化
  狐面の少女=カナと春明。
   今回の話以降、彼らはゆらたちと行動を共にすることになります。どこまで一緒についていくか、先の展開を予想しながらお楽しみください。

  吉三郎
   ここでリクオとの初絡み。ですが、彼とリクオはそれほど因縁を持たせるつもりはありません。あくまで吉三郎はカナとの因縁を優先したい。
   ちなみに、彼が乗っている怪鳥は百物語編で『リクオを殺せ』と人間たちを誘導していたあの鳥です。今後も彼の乗り物としてちょくちょく出る予定。

   

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