ずっと、変わらないと思っていた。
幼い頃の約束は、想いは、ずっと変わらないものとばかり思っていた。自分でもまだ理解できていない。今見ている情景は夢なのではないか。質の悪い悪夢なのではないか。それとも、皆してどっきりでも仕掛けているのではないか。
認めたくなかった。友に否定されたと言うことが。いや、違うか。認めたくなかったのは否定されたことじゃない。
その否定の言葉を発したのが、美竹 蘭―――
こちらに引っ越したときに初めてできた友人だったということだった―――
「じゃあ、何?最初から邪魔だったの?」
ずっと一緒だという約束も嘘だったのか。
「一緒に遊んでるときも、出掛けているときも、僕は要らなかったの?」
あんなに笑っていたくせに。
「あの約束の中に、僕は入ってなかったの?」
今までの全てが、嘘だったの?
胸の中で溢れだした言葉を、濁流のように流していく。
「……っ…」
僅かな沈黙がその場を支配した。勢いを衰えさせた蝉の鳴き声だけが、暗くなり始めた空に響いていた。
沈黙は金とよく言われるが、今回に関しては肯定の意味を持っていた。と思っている。
数分とも、数時間にも感じられた沈黙が破れることは無くて、僕の目の前に立っている5人のうち殆どが僕と露骨に違う方向に視線を逸らした。
なにかが軋んだ。そんな気がした。
持っていた紙袋を強く握りしめる。中に包装された金属が手のひらに食い込んで痛みを生じた。でも、そんなことはどうでも良いほどに、頭の中を悲しみが支配していた。
「もう、いいや。」
声が出ていたかは正直、分からない。ただ、一人の少女の顔が悲痛に染まったことだけは、確かだった。
弾かれるように走り出した。階段を駆け降りて、門を目指して走る。あの場にいることすら苦痛だった。走る。走る。走る。走る。ただ、走っていく。かつて彼女たちと共に歩いたことのある道を、走る。走って、走って、もう何分たったろうか。
それでも、走る。走って、走って、走って、走って、ようやく足が止まった。いや、止まってしまったという方が正しいのだろう。やるせなさに心まで浸された僕はその場で座り込んだ。秋の終わりのこの季節、止めどなく流れる汗を拭って、一息つこうと顔を上げた。ちょうど、子連れの女性が僕の横を仲睦まじく会話をしながら通りすぎていく。小学生くらいの少年少女が肉まんや餡まんを頬張りながら、笑いあいながら帰っている。
その様子がとても眩しくて、自分にもあったはずのそんな時間が、もう訪れないことに気がついて、虚しくなる。びゅうっ、と風がうねるように吹いて、僅に残っていた銀杏の葉をさらっていった。
「そろそろ帰るか…」
ぶるり、と身震いをしてから立ち上がって、無防備に外気に晒していた両手をダウンジャケットの中に入れ、ゆっくりと歩き出す。暖かな夕焼けの、黄色と緋色と茜色のグラデーションが地平線に暮れていく。
優しい明かりは、思いの外すぐに夜の闇にとっぷりと暮れてしまった。