土日が明けて、気が付いたら2ヶ月がもう終わっていた。
ただ、寝て、起きて、ご飯を食べて、登校して、授業を受けて、塾へ行って、帰って眠る。それだけの日々。つまらないとは思わないし、これがこの時期は普通だと思っていたから、別に辛くはなくて、だからかもしれないが、彼女たちとの時間は無くなっていた。
話しかけられることも、なにも。帰宅するときでさえ、彼女たちとの距離は離れていっている。帰り道はどこか寂しくて、それを隠すようにマフラーに首を埋めた。常に付きまとうように首もとに存在する違和感を振り払いたくて、思いきってマフラーを外してみた。冬と秋の混じりあった冷たい空気が、体に付きまとっていた違和感を和らげてくれる。少しだけ清々しい気持ちになって、足取りが軽い。あと少しだけだけれど、今日は良い日になりそうだった。
「行くよ、夕凪」
「あーい」
数歩後ろを歩いていたひとりの少女に、声を掛ける。気だるげに返事をした彼女はのらりくらりと横まで歩いてきて、ピタリと隣にくっついた。
「サーブ15本で、サービスエース6本決めたら私の勝ちね。報酬は優希んちの前のコンビニのフカヒレまんで。」
「僕が勝ったら角煮まんで。」
「負けないからね」
「こっちの台詞だよ」
何気ないやり取りを交わしながら、まだ日の高い道を歩いていく。明日から、冬休みだった。
「ねー、らーんー?」
「なに、モカ?」
ブレザーのポケットに手を突っ込みながら、足元を見ている蘭に声を掛けてみる。何時もより寒そうな格好で、マフラーすら着けていないその姿は、妙に寂しげで、心が痛んだ。
「寒くない~?」
「寒くない。」
耳、赤いよ~?という言葉を飲み込んで、そっかー、と笑う。そんな取り繕った会話しかできない自分が嫌で、ゆっくりと息を吐いた。
「もー、蘭、風邪引くよ~?私、カイロあるから、はいっ!」
ひーちゃんが差し出した手袋を受け取って、ん、と呟く蘭。その横顔はとても寂しげで、でも少し嬉しそうな、複雑な表情だった。
このままじゃ、だめだ。
互いに傷つけあったこのままじゃ、だめなんだと、分かっている。それでも、私の足は、体は、声は、彼のところへ向かわなかった。向かえなかった。皆の中から外れたくなくて、でも、彼との繋がりを無くすのは怖くて、辛い。だから、結局私は、この心地よい関係に依存してしまうのだろう。どうするべきなのか、分からない。きっと、わかっても私じゃ行動に移せない。
私は、未だに一歩を踏み出せずにいる。