ねぇ、なんで?何でそんなことを言うの?
冗談なんて、らしくないよ。
あ、わかった!みんなと一緒に私のこと騙そうとしてるんでしょ。もー、名演技するなぁ!
何個も、何個も、何個も、返事の言葉が浮かび上がっては消えていく。聞きたい。なのに、言葉がでない。
「なん、で?」
結局、絞り出したのはたったの一言だけで、歯痒かった。
「冗談じゃないよ。二ヶ月前に、皆と喧嘩して、ようやく結論が出せた。Afterglowというバンドに…いや、幼馴染五人の空間に、僕は要らないってことがわかったんだ。」
「そんなことない!」
「いいから、聞いて。」
真剣な眼差しにおもわずたじろいだ。
「確かに、最初は違ったのかもしれない。ちゃんと僕は君たちと仲良くできてたと思うんだ。部活も、入っているけど先輩たちがいたから、そこまで忙しかった訳じゃ無かったしね。一緒に帰ったり、出掛けたり、色々やれる時間はあった。」
「でも、二年生に上がると、そんなに時間はとれなくなった。蘭はB組だったし、ひまりたちはA組。僕はE組で校舎も違ったから、休み時間に顔を合わせることも減った。部活も忙しくなりはじめて、みんなとの約束には中々いけなくなった。しゃべる時間も減っていった。蘭がサボりがちになって、どうにかしようとしてひまりたちはAfterglowを作った。そこに、僕はいなかった。」
「それからは、皆で集まろうっていうのが減った。いや、ひまりたちのなかだったら≪皆≫だった。Afterglowのメンバーだけが、きっとひまりたちにとっての皆だった。君たちとはどんどん距離が離れていった。でも、しゃべるときもあって、そうなるといつもみたいにすらすら話せたんだ。楽しくて、とても安心できた。」
「じゃあ、ここに残れば…!」
悲壮な表情で声を荒げるひまり。モカは、黙って俯いていた。
「ここにいても、もうダメなんだよ。虚しいだけだ。悲しいだけだ。」
だって、誰一人、僕の誕生日を知っている人はいない。僕が辛いときに横に立ってくれる人はいない。僕の想いは、きっと君たちには邪魔なんだ。だから、離れるべきなんだ。
紡ぎかけた言葉を飲み下して一言。意地悪な言い方とわかって、聞いてみた。
「僕の誕生日、知ってる?」
びくついて俯いたひまりを見て、小さなため息をついた。
「…それ、は…」
「ほらね。君たちにとって、僕なんかはその程度なんだよ。そこら辺にいる、名前も知らない人たちみたいなもの。ただ、少し話したことがあっただけみたいなものなんだよ。だからきっと、僕が居なくても君たちは変わらない。だったら、僕はここを離れたい。」
「そんなの…ひどいよ…」
酷いのはそっちだろうという言葉を飲み下した。もう、決意は揺るがない。もう、想いは、届けない。
「話は終わり。遅くなりそうだし、早く帰った方がいいよ。」
力無く立ち上がった二人の背中は、思ったよりたよりなさげだった。罪悪感が優季を襲う。
「ああ、ちくしょう。」
溢れようとする感情は抑えきれなくて、そんな濁りきった感情しか沸かない自分に、辟易とした。
でも、しょうがないじゃないか。
だって、君たちと僕は、違うから。