第四天の逝く型月散歩(旧題:型月散歩)   作:しましまパンダ

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 特になにというわけでもないですが、出来上がったので上げてみました。
 相変わらずの語彙で申し訳ない。
 


第1章 ■■聖杯戦争 
■■聖杯戦争の記録 その1


 とある場所で戦争が行われていた。戦争と言っても国家間の戦争のように戦闘機が爆撃したり、戦艦が出てきたりと言うものではなく、ごく少数の少々一般的な人から逸脱した人間たちによる戦争ではある。

 その名は──聖杯戦争。簡単に言ってしまえば、何でも叶うアイテムをめぐって人間と特殊な術によって呼び出されるサーヴァントと呼ばれる存在のペアが七組が争う……本来は。

 この地で行われているのは本来の真似、似たような何でも叶う系のアイテムを据えてそれを本来七組の所を色々と問題があったこともあり五組しかペアが存在しないこの世界での呼称で言うのなら亜種聖杯戦争というものだ。

 

 この地に呼び出されたサーヴァントは、セイバー、アーチャー、ランサーの三騎士と言われるクラスと、バーサーカー、ライダーの三騎士ではないクラスのサーヴァント達。

 そしてそれを使役するマスター五名によって数日前に開幕した戦争。この戦争によって日々起こる破壊でお腹を痛める監督者という存在もいたようだが、流れは順調に進み、残り二騎……つまり残ったのは二ペアということだ。

 

 そして、今夜この地で最後の勝者を決める戦いが始まっていた。

 

 

 カン、キンという金属同士を思いっきり振り当たるような音と物理的ではない音が人気のない郊外の森に響く。音の響く場所には四人の男がおり、金属同士をぶつけあっている二人の男と、少し離れた場所で何かを唱えそれによってナニカを起こす──魔術で互いを攻撃、防御しあっている二人の男がいた。

 金属同士で戦っているのは、身の丈程の大剣を軽く振り回し、時には叩きつけている男と、その大剣を上回る長さを持つ槍を突き、振りまわす男だった。

 お互い得物で相手からの攻撃を弾き、逸らせ、そして攻めに転じるという戦いを行っており、少し離れた場所では──

 

 

「薄汚いネズミがッ」

 

 相手を罵りながらサッカーボールの数倍はある火球を飛ばす貴族然としている黒髪紫眼の男と、

 

「戦い方をしらないお坊ちゃんらしい綺麗な魔術だなァ! 敵を殺すってのはこうすんだよォ!」

 

 当たれば即死もあり得る火球をひらりひらりとかわしつつ、魔術と短剣の投擲を織り交ぜながら戦うぼさっとしている髪に眼帯をしている男が、先ほどの戦いとは対照的に近接ではなく、互いが見えるがある程度の距離を取る中距離戦を行っていて、

 

「魔術師の誇りも無い愚か者はとく失せよッ──」

 

 黒髪の魔術師が、術の詠唱を高速で済ませ、ソレによって紫炎の業火が辺りの木々を溶かしながら濁流の様に面で広がる。

 炎であれば炭になるはずが、この男の魔術の特性なのか木は金属のように溶けていた。

 

 押し寄せる特異な業火に、眼帯の男が何もしないで溶かされるわけもなく、

 

「おーおー、やるねえ。流石は魔術師様だ。俺みたいな半端者にはできねえ芸当だがよ……お前、俺が何もせずにここで走り回ってると思ってんのか?」

 

 そうして男が指を弾くと──辺りの地が爆ぜた。それは一箇所ではなく、連鎖的に広がっていき魔術師に襲い掛かた。

 業火の操作をしていた魔術師は自らの理の外からの攻撃に一瞬止まったが。

 

「その程度の子供だましが、私に通用するわけないだろう」

 

 自らの放った火の海を意志によって操り、攻勢に出していた火を自らの守りに転じたのである。火は広がりをやめ、呼び出し主である魔術師を守るためにその身の周りを包む。

 上下左右、空からも地中からの攻撃に対応できるように球体のように炎を纏った魔術師。

 

「穴倉に籠るのは魔術師の得意分野ってかァ? 生憎手前みたいな奴はいっぱい見てきたんだよォ!」

 

 そう言った男は独自の改良を施した対魔術師用の切り札、アンチマテリアルライフル擬きを構え──放った。

 特大の爆音を伴って改良せずとも戦車の装甲すら貫く弾丸が炎に籠る魔術師に襲い掛かる。

 魔術師は知らない。現代の兵器が自らの形成した魔術の装甲を容易く貫くことを。その現代兵器に対する不便が、この事実を……

 

「ガッ──」

 

 生んだ。全方位に張られた炎の守りは確かに脅威だが、全方位へ炎を向けているため一転突破の一撃に対して多少ではあるが弱いのだ。とはいえ、生半可な攻撃では突破できないことからも彼が現代兵器を軽視したということを愚かと言うことはできないが、結果としてライフルの一撃が彼の右肩を破壊した。

 

 銃火器による痛みに耐性のなかった魔術師は顔をゆがめ負傷した肩を抑えているが、その瞳におびえは無く、むしろ軽視してきた芥に己の魔術が破られ傷つけられたことに対する憤怒が宿っている。

 

「マスターッ!」

 

 己のマスターが負傷したことを察知した大剣を持つサーヴァントは即座に己のマスターの元へ戻る。その事実もプライドを若干刺激させられたが、間を置くにはちょうどいいと言うこともあり魔術師は軽く礼を言った。

 

「流石だなおっさん。生粋の魔術師程度に負けるわけもないか。」

 

「ったりめえよ。こいつまで出すことになるとは思わなかったが……お前の方はどうなんだよランサー。」

 

「おっさんが敵のマスターを狩るっていうから時間稼ぎしかしてないよ。あのセイバーに宝具を使えば勝てんじゃねえかな。」

 

「ねえかなって、相変わらず適当だなァランサー。まあいい、こっからは首を殺りにいくぞ。」

 

「へいへい」

 

 綺麗な主従のセイバーと魔術師コンビと比べて戦場の友のようにラフなランサーおっさんコンビ。お互い対照的ではあるものの綺麗にコミュニケーションがとれていることからも何処かの魔術師殺しの方とは大違いである。

 お互いのコンビの戦意が高まり、本当の闘いが始まる──と思ったが、

 

「誰だッ!」

 

 そう叫んだのはランサーか、おっさんか、それともセイバーか。あらゆるイレギュラーのある場所に身を置いてきた彼らはいち早く反応した。第三者の存在に……

 

「そう殺気立たないでもらいたいな。」

 

 コツコツと靴の音を鳴らしながら出てきたのは薄い、影とかそういう事ではなく、純粋に存在がブレている。老若の判別はもとより、造形すらもはっきりしていないボロ布のようなローブを纏った陽炎のようなヒトだった。

 

 




 どうでしたか、面白かったでしょうか?
 少しでもそう思えてもらえたら幸いです。
 一読、ありがとうございました。

 
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