東方 あべこべな世界で戦う    作:ダリエ

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35 東風谷早苗の挑戦

 東風谷早苗はある日聞いてしまった。

 

「早苗には神の血が宿っている」

 

 早苗はあの日、あの時。射命丸文と闘っている最中ではあったがそのスピードに慣れて来てほんの少しの余裕が出来ていた。ゆえに離れたところの諏訪子とアトラク=ナクァたちがどんな会話をしているのか聞き耳を立てた。それがまるでダイスを振って当たりが出たかのように、たまたま成功してしまっただけだ。

 

 これが不運な出来事だったのは諏訪子はこのことを早苗には言うつもりがなかったということ。そしてその場の誰も彼もが早苗がそれを聞いていると知らなかったことだ。

 

 故に様々な人物が一切の予見をすることができないまま事態は始まる。

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「じゃあ俺はちょっと二週間くらい外界に行ってくるから。休んでもいいけど修行もしっかりやってくれよ。ちゃんとお土産買って来るからなー。何が良いー?」

「は~い。いってらっしゃい。私は食べ物がいいな~。神奈子は?」

「私はお酒で。何かこっちで飲めないような洋風の良いやつが良いわね。当然美味しいやつ。早苗は?」

「ちょっと待ってください。今欲しい物書いてますから……!」

「あんまり多いと荷物になるから手短に頼むわ……」

 

 そうしてアトラクさんが私が書いたメモを苦笑しつつ受け取ってからここから去って行った。これで持っていた本の続きが見られる!私は半ば諦めていた漫画の続きが読めると思って彼が外に行くたび、毎度の様に無遠慮に情熱を書き綴ってしまうので少し申し訳ない事をしたといつも自省している。

 

 さて、アトラクさんがいなくなり、女ばかりで神社から色気が無くなってから数日。私は言いつけ通りに休みもはさみつつ修行の日々を送っていました。

 

 私は我ながら中々にストイックな修行の日々を送っているつもりです。サボりもしないしアトラクさんがいなくてもしっかりと同じくらいの時間を修行には使っていますし。

 

 ただ修行と言ってもやることは弾幕ごっこ。ただ闘いとは言えごっこなので遊びの範疇に入らないことも無い。

 

 大切だとわかっていてもどうにもつまらなかった神事のお作法などよりもそれは万倍楽しい。私としては言ってみればドッジボールみたいなものでしょうか。キャッチはできないけど相手に当てて躱せばいい。まさしくドッジ(回避)。私の運動神経はそこまで酷くないのであとは簡単。田舎育ちは伊達じゃないんです。

 

 それに弾幕ごっこを極め、アトラクさんと闘って勝つことができれば私は人生の勝利者。負け犬街道を走りかけていた人生とはおさらばです。勝つだけで女の幸せの八割と言える理想の伴侶がゲットできる。弾幕ごっこの修行はやり得なのです。

 

 最終的に私が神社で盛大に結婚式を挙げるのはもう確定してますが強いて言うなら早めに勝ちたいところです。私も物分りの良い女なので流石に独占などと世迷言は吐きません。そんなことを言い出せば裁判所から接近禁止命令を出された挙句にネットで身元を特定されてろくな目に合わないので。(※幻想郷にインターネットはありません)

 

 産めよ、増やせよ、地に満ちよとはよく言ったものです。他宗教ですが至言であることは疑いようがないでしょう。その言葉私が最初に言ったことにできないかなぁ~…………とにかく!私も聖職者としてたくさん産んで神社を発展させなければならないのです。ついでに性の喜びを味わいます。 

 

 そして今日。その一歩として遂に!

 

「これが私の新奥義! スペルカード発動! 奇跡『客星(かくせい)の明るすぎる夜』!」

「なんとっ!?」

 

 大量の光線状ビームを放射状に撃ち続けつつ同じ物を相手を挟む様にも撃つ。私自身は相手に向かって直接光弾を連射する。見た目も鮮やかな自信作。名前もきっとかっこいい。

 

 この技をトドメに、そろそろ本気を出し始めた文さんに初勝利を収めることができました。本当ならこの場をアトラクさんに見てもらってすぐにでも褒めてもらいたかったのですけれど。それは仕方ないですね。私が予想を良い意味で裏切る天才だっただけのことです。フフン。

 

「あやや。負けてしまいましたか。これでも山の妖怪代表として力を見せつけるつもりでしたが……流石は巫女ですね」

「私は風祝です。まあ世間からの認識的には巫女でも相違ないですけど一応主張はします。風祝です」

「ああ。わかりましたわかりましたから。すいませんね早苗さん。幻想郷には巫女が既にお一人いらっしゃるので」

 

 文さんが私を落ち着かせながら言った言葉が私の琴線に触れた。幻想郷に巫女がいる?

 

「そうなんですか? でも里の皆さんは守矢神社(ウチ)を大勢信仰してくれていますよ? 既に神社があるならそれっておかしくないですか?」

 

 巫女がいるならそこに宗教がある。当然です。火の無いところに煙は立ちませんし、男がいなければ子供は産めないことくらいには常識です。

 

 信仰のダブスタ……いや別に教義に矛盾がなければいいんでしょうけどそれで信仰が集まるものなのかというと私にはわからない。これでもクリスマスとお正月とバレンタインとお盆とハロウィンをやる混沌としたお国で生きてきたので気持ちはわかるのですけど。

 

 疑問に思っていると文さんが説明してくれる。

 

「ああ、あそこの神社はですね……こちらとは違って神様もいらっしゃいませんし。巫女も基本は怠け者ですので信仰も特に集めてないのです。足を運ぶ者は彼女の友人知人に我々妖怪だけ。人間なんて片手で足るほどしか訪れません。ですが彼女は異変解決において幻想郷最強です」

「最強? 文さんよりも強いんですか? 巫女ってことは多分人間ですよね?」

「ええ。人間ですが私なんて霊夢さんと比べたら大したものではありませんよ! こと弾幕ごっこに勝つのはそれこそアトラクさんにだって難しいでしょう」

 

 文さんが慌ててそう謙遜する。少なくとも文さんより確実に強いと考えて良いでしょう。ただ文さん以上と言うと私からすれば異次元の化け物と言うことになるんですけど。

 

 アトラクさん。彼のことを聞くとみんな口を揃えて強いと言う。男の人が強いというのは私としてはそこまでカルチャーショックではない。マンガとか小説ではよくあるので。実際に闘っているところをまともに見たわけではないのですが(あの小鬼とのじゃれ合いは除く)、私を鍛えてくれた方たちの言葉を無視するほど捻くれてもいない。

 

 神奈子さまは信じていないみたいですけど私は彼女らの言葉通りに彼は強いと思っています。最強の男って意表をついててそれはそれでアリと思います。小さい男の子が大きな武器持って闘うとか好きですし萌える。そういう路線もアリよりのアリです。すき。

 

 諏訪子さまはどう思っているかわからないですね。でもどこか力を感じているようで自分よりも強いとも弱いとも明確にはおっしゃられません。昔に神奈子さまに負けた経験があるからできれば神奈子さまに勝ってほしいという思いがあるように感じます。

 

「でもアトラクさんって妖怪ですし実際に強いんですよね? その巫女の人が勝てるんですか?」

「逆です。むしろここにおいてはアトラクさんが挑戦者ですよ。あの人が本気で殺害を目論むならともかく弾幕での闘いだとそれくらいの認識が博麗霊夢さんにはなされているのです」

「博麗霊夢さん……」

 

 どんな人だろうか。見た目に関しては実際に見ていないけどよろしくないと断言できますが。あるいは願望でもある。ゴリラみたいな人だろうか。いや弾幕でそんな図体は邪魔だろう。弾幕が強いならむしろ小柄かもしれない。きっと胸も無い。諏訪子さまが「早苗はこんなところに二つも当たり判定抱えて邪魔じゃない?」ってセクハラしてくるんですから。女性に対してだってセクハラはあるんですよ!?いいじゃないですか!それくらいの取り柄があっても!あった方が授乳しやすいらしいんですよ!する機会があるかはともかく!

 

「気になるなら会ってみてはいかがですか? ちょうど早苗さんとも歳が近いはずですしなにより同じ神職。どこか通じ合えるところがあるかもしれませんよ」

「わかりました。とりあえず機会があれば行ってみます」

「ええ。それがよろしいかと。貴女が霊夢さんに勝つかもしくは匹敵するなら鍛えた我々の面子も守られるので。それにもし彼女に勝てるのなら弾幕に限ればアトラクさんすらも倒すのは夢じゃありませんよ!」

 

 なるほど!そういう事になるのですね!確かにその通りです。霊夢さんとやらは私がアトラクさんに挑むのに適切かを測るものさしにいい感じっぽいです。覚えておきましょう。

 

「ああ、場所に関しては向こうの方に行けば離れていても空から博麗神社の鳥居が見えるので迷うことも無いでしょう。幻想郷に住まう大体の人が場所を知っているので誰かに聞いてもいいですし」

「はい。あっちですね」

「それでは私はこれで。修行がんばってくださいねー!」

「ありがとうございましたー!」

 

 私は飛んでいく文さんに手を振って別れを告げる。しかしこれで自分より強い人と闘う機会が減ってしまった。彼女らとは基本的に私が勝てるまで付き合ってくれるというのが条件だったのです。明日からはお二方に相手をしてもらうべきか。それともどこかに相手を探しに行くかと私は考える。

 

「明日のことは後で考えましょう! さて、せっかく時間も空きましたし何をしましょうか?」

 

 今日は家人は四人それぞれ別行動。アトラクさんはずっといないし、お二方もそれぞれで修業。私は神社で修行だったので今日はお昼にお弁当を作りおきしている。かといって今はお昼には少し早く何をするにも半端な時間。

 

「せっかく山にいるのですしピクニックでもしましょうかね」

 

 別にそこまで山が珍しいわけでもないですが山に住む以上は多少は地理を把握しておくべきかなと思いたつ。山を歩けばご近所の知り合いと会えるかもしれないし、それにもし良さそうなデートスポットがあれば後々役に立つだろうという下心も満載だった。

 

 私は山を歩き回りましたが、結局山中では誰とも会えなかったので山をだいぶ下ってから、見つけた水辺で一休みがてらにお弁当を食べることにしました。一人さびしくお弁当……

 

 ただお弁当は我ながら良い出来です。神奈子さま諏訪子さまの好みの和食は既に家庭料理としては文句のない腕前を自負している。洋食系も一部のメジャーどころはバッチリ抑えてあります。前提として現代相当のキッチンが必要ですけどこれは目を瞑っていただきたい。薪で火を起こしながら火力調節とか無理ゲーです。現代人のやることではありません。

 

 あ、それと食べ物の話ついでに私はお菓子作りもわりと得意です。甘い物は全ての女の子の味方なので。甘い物……甘いといえば甘くもあるしどっちかというと甘辛い物ですが佃煮とかも作れます。虫の。それが好きな人の一番の好物というところに何とも言えない複雑な気分があります。いや食べますよ私も。親が食べる地域の人だったので。だから作れるし食べれますけど好きではない。そんな絶妙なボーダーラインに位置する存在だった佃煮が何よりも私の幸せな家族生活(予定)を後押ししていることに微妙な感情を抱くのは間違っていないと思うんです。

 

 まあいいところだけを見ればあれは私だけが作れる切り札。既にアトラクさんから毎日でも私のご飯が食べたいとのお墨付きをもらっています。つまり我が軍は圧倒的な優位を得ている状態。次回イブクローン要塞制圧。早苗の歴史がまた1ページ…………

 

 ぶくぶくぶくと私の正面の川の水面が泡立つ。するとそこから誰かが話しかけてきた。

 

「こんなところに人間がいるって聞いてどこの輩かと思って来てみたら早苗じゃん。どうしたの?」

 

 水の中からざぶりと緑色の帽子が浮き上がってくる。濡れた髪が顔に張り付いていて真昼でなければ普通にホラーっぽい演出です。でも河童ってあんまりホラーっぽさないですね。なんでだろう。

 

「あっ。にとりさん。こんにちは。私はやっと文さんを倒せたので今日はピクニックです」

「一人で? えっ、というかもう天狗まで倒したの!? 流石に早すぎるでしょ。なんかズルしてない?」

「してませんよそんなこと! まあ私ほどの才能ならそれを妬んでズルと言いたい気持ちもわからなくもないですが!」

「はいはい。まあ暇ならちょっと駄弁ろうよ。私もご飯持ってるし。あ、おいしいきゅうり分けてあげようか? 使用済みだけど」

 

 彼女が見事に反り返った立派な緑色を服の中から取り出した。女子の間で棒状の物が使用済みとはつまりそういうことです。

 

「知り合いと言えど退治しますよエロ河童。よくもそんなもの人に食べさせようと思いましたね! それをアトラクさんにやったら警告なしで攻撃しますからね!」

「やってみたい気持ちも多分にあるけど理性を総動員してやらないようにしてるよ。でも早苗もめいゆーのお風呂の残り湯でご飯炊いてるんでしょ?」

「しませんよ! たっぷり頭まで浸かってる時にちょっと口に入ってしまったり、ついお水が足りない時に沸かして自分のお茶用のお湯として使ってるだけです!」

 

 ちょっとした事故とお水の節約なので合法です。そこに猥褻は存在しないのです。イイネ?

 

「早苗もスキモノみたいで嬉しいよ。今度から盟友と呼ばせてもらおう」

「それアトラクさんのと微妙にニュアンス違いません?」

「めいゆーは後々それ以上の関係に発展する事を願って曖昧に呼んでるんだよ。願掛けってやつ。早苗の盟友は友達ってことさ。サナエマイフレンド」

「それはどうもありがとうございます。では今度、私秘蔵の薄い本貸してあげましょう。間違ってもきゅうりはいりませんが」

「残念。それはさておき外界の艶本だね。興味あるなぁ。めいゆー似のある? できれば河童モノで尻子玉抜くようなの」

「ありません。そんなキワモノ需要無いですよこのアナルフェチ妖怪。でもアトラクさん似のモノならたくさんありますよ。やっぱり黒髪赤目ってメジャー属性ですよね。創作だとありきたりですが現実ならそれだけで既にちょっと濡れます。ました」

 

 テンプレ?いいや王道だ。金髪碧眼の王子様と合わせて黒髪赤目の魔性は王道なのだ。ダークな雰囲気のヒーローは約束された勝利である。そういうタイプは多分いざ情事に至ると女性よりもやる気になり一晩中狼になるのだ。ネットと薄い本で見ましたし諏訪子さまも言ってた。

 

「ないんだ。がっかりだよ。でもわかる。妖しい魅力があるよねー妖怪だから当然だけど。人間の匂いもほんのりして最高に興奮するよね!」

「それはよくわからないけどわかる」

 

 微妙に性癖が合わない感じですがこういう猥談ができる気安い関係は良い物です。あちらでは私はちょっと優秀すぎてノーマルな高校生では付いて来れませんでしたからいつも諏訪子さまとだけそういう話をしていましたので。諏訪子さまとはやたら話が合いますがそれは血筋というオチでした。嬉しいようなちょっぴり残念なような。

 

 それから私はにとりさんとひたすら猥談して神社に帰りました。

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「あ~楽しかった~」

 

 女子と言う生き物は会話をするだけでかなりの楽しみを見出すことができる生き物だ。座って水のせせらぎをBGMに猥談しているだけで幸せなのです。とにかく一人じゃないって素晴らしい。

 

 私は満足感と心地のよい疲労を土産に自室に帰りました。

 

 そしてやる気のないデザインの部屋着に着替えてから敷きっぱなしの布団に寝転ぶ。

 

 アトラクさんがいる時はいつもできるだけ気合の入った可愛い服を着たり、布団も毎日畳んで干すのですが男の人がいない女の暮らしはこんなもの。虚勢を張る必要がないのは楽ですがなんともつまらない物です。アトラクさんがいたら頑張っていたらいっぱい褒めてもらえますし。

 

「はぁ~神奈子さまも諏訪子さまも帰ってこないし少しお昼寝でも……」

 

 修行と山歩きの疲れがあるので二時間くらいは寝られそう。一応目覚まし時計はセットする。ソーラー対応なので毎日お日様の当たる所に置いておけばここでも長く使えるから大事にしている。

 

「お布団気持ちいい……」

 

 お昼の程よい温かさとお布団の寝心地に私はすぐにまどろむ。思えば久しぶりに落ち着いた昼下がりです。いつもはもう少し遅くまで修行に打ち込んでいる頃。そして疲れた体でそのまま夕飯の準備をする。はっきり言ってキツイ。男の人という潤いがないとキツイ。まさか家族以外の男性といるとあれほどやる気が満ち溢れてくるなんて思わなかった。

 

 というか神奈子さまも諏訪子様も料理手伝ってはくれませんし。なのにアトラクさんは手伝ってくれて腕も結構良いので私が楽できた上に新婚気分が味わえて最高なのですが、今回みたいにいない時も多いので私が一人で作る時が多いですよね。

 

 あ、朝はあえて寝てもらっています。寝顔が高確率で見られるというボーナスタイムなので。早起きは三文の徳と言いますが私的には現代の貨幣価値で一万円くらいに相当します。ただ朝這いはもう成功する気がしません。あの男強すぎる。

 

「………………」

 

 寝ようとして布団の中に入ると逆に頭が回ることってありますよね?

 

 だから私はつい考えてしまいました。

 

 ずばりアトラクさんの攻略法です。今わかっている事は少なくとも無防備な状態は逆に危険と言うことです。あの糸の結界は人間の範疇の力では斬ることも千切ることもできませんでした。少しでも触るとくっついてそのまま絡め取られます。火は有効のようで試しにマッチで火をつけたらやたらよく燃えて朝っぱらから家が火事になりかけて、神奈子さまに久々に泣くまで怒られて半ばトラウマになりました。 

 

 ここはやはり本人が言っていたように弾幕で真っ向勝負と行くべきでしょうね。

 

 元々弾幕は人間でも神様と同等の強さを発揮できるように制定された決闘法。神の如き力を持つアトラクさんと闘うのにはそれこそうってつけでしょう。

 

 そもそも人間を圧倒的に超越する生命体にだまし討ちしたり寝込みを襲う方が愚かだったのです。

 

 彼に勝つにはレベルを上げて弾幕で勝つ。これが一見遠回りに見えて逆に最短のルートだったのです。これに気付くとは、さすが私賢い。偉い。これはもう良妻賢母まったなしですね。私が神になった暁にはそういうの司りましょうそうしましょう。学歴は高校中退ですけど。賢いってのはそういう勉強ができたり成績が良いのとは別なんですよ。

 

「そうなったらこんなところで惰眠を貪っている訳にはいきません! もっと経験値を手に入れないと!」

 

 しかし山の妖怪の人達は粗方に負けていますし、お二人は弾幕よりも先に神力を取り戻すことを優先しています。

 

「ああ! あの人がいましたね!」

 

 私の頭の中に浮かんだのは今朝方文さんに聞いた人物。博麗霊夢。彼女を倒せればアトラクさんにも勝てるということは彼女を倒せば私の勝利は事実上の勝利確定。これはもうやるしかない。そう思うといても立ってもいられなくなった私は部屋を、家を、神社を、山を飛び出した。

 

「博麗霊夢さん! 博麗神社の存亡を賭けて勝負です!」

 

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