東方 あべこべな世界で戦う    作:ダリエ

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38 エピローグ 本領を取り戻した蜘蛛

「ぐすっ……死ぬかと思った……死ぬかと思った……」

 

 魔理沙は泣いた。深刻に死にかけたので。本当に走馬灯を見たらしい。

 

「悪かったな。ちょっと楽しくなってついウキウキで120%中の本気を出してしまった。ごめんね!」

「ほんと。私が助けなかったら魔理沙は今頃三途の川で死神と一緒にクルージングだったところよ? 二人とも感謝してよね!」

「ありがとな紫」

「うわぁぁぁ~! ありがとうゆがりぃぃぃ~!」

「どういたしまして……ってちょっと鼻水が付くじゃない! 離れなさいっ!」

 

 そしてあの勝負はなんだかんだで俺の判定勝ちという事になった。あれ以上の続行は紫による幻想郷の環境を考慮してストップが懸かったのだが、それは置いておこう。

 

 そして、俺たちは再び博麗神社に集っていた。異変が完全解決した……という体で小さな宴会を開くことになったのだ。材料は霧雨魔理沙が持ちこんでいた食料に加えていくつか買い足してきたので心配はいらない。

 

「はぁ……一度は勝てたと思ったんだけど……まさかあそこまで強かったなんて……」

「諏訪子さま。神奈子さまどうかされたんですか? なんか元気ないですね」

「そうだね。でも意外だったな~。アトラクにいっつも素っ気ない神奈子があんなに本気出すなんて。それに一度勝ったと思ってた時の喜びと言ったら……早苗にも見せてあげたかったよ」

 

 諏訪子はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべてその情景を思い出しているのだろう。

 

「ちょ、ちょっと諏訪子?」

「ああ! でもまあ神奈子さまはいわゆる小学生が好きな男子を好意ゆえにいじめて嫌われちゃう系の女子なんで仕方ないですよ」

「そうだね~。なんだかんだ言って私らの中で一番恋愛観が遅れてるのは神奈子だしね。あんまりアレもしないし」

「ねえ、ちょっと……ここでそういうのは……ごめんなさい勘弁してください」

 

 そして彼女ら守矢神社の面々も来ていた。今度は反省の為留守番させていた早苗もスキマで連れてこられていた。今日は彼女らもここで晩御飯を済ませる気らしい。

 

 さて残りはと言うと。

 

「ちょっとあんたらの誰か手伝いに来なさいよ! 私と藍に橙だけじゃ手が足りないのよ! 」

「なら俺が……」

 

 手伝おうと名乗り出ようとしたのだが、それは止められた。

 

「今日は貴方休んでなさいよ。疲れたでしょ?」

「そうそう。同じく神奈子と魔理沙もね。私と早苗が行くから」

「え~……あ、嘘です。私も頑張りますから! あ、やめてください。そこは掴んでいい場所じゃないです。霊夢さん! 霊夢さん痛い! 胸は引っ張られると痛いんです! ……ちょ、聞いて……!」

 

 二人は霊夢に連行されて炊事場まで行ってしまった。

 

「あーそれじゃあ私は少し休ませてもらうよ。向こうの縁側で寝てるからできたら早苗でも寄越してちょうだい」

「わかったわ。ついでに魔理沙も泣き疲れて寝ちゃったしちょっと隣に寝かせてくるから」

 

 そうして俺は一人残された。

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「……ちょっと……ねえってば。起きなさいアトラク!」

 

 それからほんの少しだけ経ったのだろうか。俺は紫の声で目を覚ます。どうやら少し寝ていたらしい。どうも力が戻ってすぐに大暴れしたのは体に良くなかったようだ。特に他人の丸パクリ技は俺には合わず、燃費も極悪だった。今もかなり気怠さが残っている。頭が働かない。

 

 今は紫の顔が逆さに見える。これはどうやらご丁寧に膝枕をされているらしい。思えばこれは初めての経験かもしれない。そういう文化は長い事知らなかった。そもそも蜘蛛には膝とか無いし。節しかないし。そんなどこか他人事のような思考をしている自分がいる。

 

「貴方が人前で無防備な姿を見せるなんてよっぽど疲れたようね」

 

 そうらしい……で。わざわざそれを察しているのに起こしたという事はなにかあるんだろう?

 

「ええ。貴方が今日明かした件について詳しく聞かせてもらうわよ。賢者としてね」

 

 捕まってしまった以上は仕方ない。後頭部に感じる温かみで更に眠いが頑張って答えるしよう。

 

「まず最初に。今回の異変は元はどういうものだったの?」

 

 今回の異変か。あれはそうだな。大筋は一緒だ。

 

 ある日。幻想郷から見れば突然のことだが。幻想郷の妖怪の山に守矢神社が湖ごと出現するんだ。それに影響されて山の妖怪は力をつける。

 

 さらに守矢の巫女と言うべき存在。風祝の東風谷早苗が八坂神奈子の意向の下に博麗神社に対して併合の要求をする。対抗して博麗の巫女は友人の霧雨魔理沙と共に妖怪の山へと向かいあの三人や山の妖怪と闘ったって寸法さ。変わらないだろう?

 

「そう。なら貴方が変えようとしたのは結局異変の時期を少しくらいと最後の結末くらいでいいのかしら?」

 

 ああそうだ。彼女ら。特に早苗の伸び代は知っていたから早めに招いて少し修行の時期を延ばしたかったんだが……結果は変わらなかったな。いや、強さは確かにその時と比べたら上がっていたのだと思う。善戦したと聞いた。

 

「でも貴方の目論んでいた霊夢と魔理沙との対決は叶わなかったわね」

 

 惜しかった。それは心からそう思う。まだ未熟な今の魔理沙でさえ俺をかなり追い詰めたのだから。途中で仙人に戻らなければ死んでいたかもしれない。服はジュッ!ってなったし。

 

 やはり弾幕だと俺はそこまで強いわけじゃないらしい。きっと博麗の巫女である彼女とやるなら負ける可能性も多いだろう。だがもし負けるとしても敗北までに最高に楽しめるはずだ。その末の結果ならそれでいい。

 

「(……悪いけどそれは個人的に避けたいの。ごめんなさいね……)それで貴方が神になったってどういうこと? 初耳なんだけど? どういうつもり?」

 

 それは単純に影響が薄いから報告しなかっただけだよ。なった理由は機会があったからなんとな資格取ったという学生並に軽い物だし。本当に俺自身は毛ほども強くはなってない。

 

 俺の神威は蜘蛛の守護。彼らに加護を与えるだけだ。ああそうだ。幻想郷にとっての外来種は基本的に持ち込んでいないから多めに見てほしい。もし持ち込むときはオスだけとか一匹だけとかにするから。多分。

 

「そう。それなら良いわ。それでこれが一番聞きたいんだけど貴方が仙人ってどういうこと? いいえ。実のところ真相を聞いたら思い返すと少しだけ心当たりがあったのだけど。貴方の口から真相を聞かせて?」

 

 そうだな。

 

 まず最初にだ。俺は生まれてからずっと当てども無く世界を放浪していた。こういえば恰好も付くが早い話まだまだ動物だったんだ。強いて言えば温かいところや食料が豊富な地域に向かってかな。

 

 そういう時間を過ごしている間にいつのまにか妖怪になった。なっていたという方が正しいか?なにせ自覚がないからなあ。まあそのおかげで長い冬も越せたし良かったよ。氷河期だっけ?

 

 それでな。ある地域にいる時からやけに何かに襲われるようになった。それも普通に撃退していたんだが……そういう日々を送っているとある日俺の元にとある一人の男が来た。

 

 彼は俺に才能があると言ってから俺を弟子にしてくれた。仙人としてのな。それが俺の仙人としての始まりだ。最初は人の姿を手に入れる修行だった。これがそこそこ苦労した。今ではこっちの方が馴染むくらいだけど。

 

 で、その後からが本格的な仙人……この時は道士と言うんだが、とにかくその修行の日々だった。そこで俺は今現在の基礎を完成させたんだ。修行しながらも俺は彼の元で多くの闘争に明け暮れ……

 

「長くなりそうだからそこからは今は遠慮しておくわ。それでどうして今まで使ってなかった力を使えるようになったのか聞きたいんだけど?」

 

 ああそこか。それは単純に世界を移動する前から鈍っていたんだ。

 

 人間社会では仙人の特殊な体質は少しでなくかなり浮くからな。意図的に怠けて体を常人に近づける必要があった。流石にどんな時も汗の一つもかかないのは不気味に映るだろう。今なら日本の真夏にスーツかっちり着てても汗一つかかないだろうよ。

 

 こちらに来てからは時間を見つけてはちょくちょくパワースポットでの修行に費やしてたんだが、少し前に力不足を感じてや本腰入れてやっと最近力を取り戻したんだ。せっかく力を使える場所なんだから全力を使えるようにしていたのさ。

 

 蜘蛛の神となったのはその修行中にいくつか彼らの群生地や蜘蛛の神の伝承がある所縁の地に寄ったからだろう。そういうところが蜘蛛である俺に相性のいい場所だったから。

 

 ついでに蜘蛛の神ともいえる神性自体は異界のモノとは言えもう持っていることも大きかっただろうが。思いの外簡単になれたよ。あ、成れたわ、ってある日唐突にわかったもん。

 

「そう良かったわね。私が今聞きたいのはこんなところかしら。また少し寝てていいわよ」

 

 頭に柔らかく暖かい感覚が伝う。これは……撫でられているのだろうか。なるほどこれは中々気持ちい……い。

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「…………すーすー」

「眠ったみたいね。まったく、元からそうならさっさと教えてくれれば良かったのに……」

 

 彼は眠ったようだ。どうやら半覚醒半睡眠状態のまま答えていたようだったので彼はとてもあっさり寝入った。

 

 アトラクが仙人であることを黙っていたのは何故か。力を失っていたからだけではないはずだ。

 

 それはきっと人里での影響力を懸念したのだろうと私は推測する。ただの妖怪とうそぶいている今ですら実体としての権力はともかく、人望や発言力などその他のステイタスが人里においてほぼトップの状態の彼だ。

 

 そこに仙人という明らかに人間の味方な属性は過剰と言える。仙人であるというだけで、人々は彼の人格を無視して信仰するだろう。ただでさえ見た目も良いのだし、考えたくはないけど彼の意思を無視して彼を旗頭にするなんらかの組織すらできかねない。信仰とはそういうものだ。

 

 さらにそれが幻想郷の在り方に対する抵抗組織の可能性もゼロではない。そうなったら八雲紫はまた彼から自由を奪わなければならないだろう。それは嫌だ。

 

 現状でさえ私は彼が霊夢と直接闘わない様に手を加えている。彼が本当の意味で異変の元凶になった場合、闘うだろう霊夢とはまだ闘わせるわけにはいかない。勝敗がどう転んでも良くは無いからだ。霊夢が負けるのは巫女として最悪であるし、勝たれたら勝たれたで私が先を越されることになるからだ。まあそれは冗談にしても。霊夢とアトラクが夫婦として仲良くなった後で彼が()()()()()()で異変を起こすことになって切り札である霊夢が闘えなくなるのが困るからでもある。

 

 ……もしかしたら、彼の世界の歴史で人里に仙人が現れるような事があったのかもしれない。この人は未来から来ているのだし。私もそれを聞いている訳では無い。あちらではこちらと違い何か別の……男と女の問題以外で別の問題が根ざしているのかも。そっちについてはこの世界の私が考えても意味は無いけれど。

 

 彼の髪を撫でる。私たち女の髪と違い少々硬い。その感触が今私の膝の上に男がいるという事実をこの上なく実感させてくれる。

 

「こんなに無防備に寝て……いたずらしちゃうわよ?」

 

 そんなことを言って頬を指でツンツンしても彼は起きない。彼は普段から寝ているときもなんらかの自衛手段を持っているが今回はその余裕も無かったみたいだ。彼自身今回の仙人化は予想外だったみたいだし。

 

 それを考えると神奈子と魔理沙はよくやってくれた。仙人になる前なら彼は強いが勝てない強さじゃない。弾幕も意外に素直。それにファイナルスパークで命が危険になるくらいの体力。今まで誰もあの状態の彼には殺すほどの攻撃を加えた事がなかったのでこれは大きい。仮定として通常の彼が変化なしで最後まで弾幕戦を行うなら普通に勝ち目はある。

 

 彼自身あまり率先して普段以上の力を使おうとしない以上私も安心できる。彼が普段以上の力を使ったのはそれぞれ上げると最初に発現したらしいフランとの戦闘。私との戦闘。妖夢との修行で一瞬。そして永遠亭の彼女らとの戦闘。最後に今回。こう見るとかなり少なく感じる。外界に出る時は少し使っているようだけど私が意識しても全くわからないし影響は軽微でしょう。

 

 彼自身使うのを控えているただただ強大な原型やあの異質な力と比べると、さっきのは妖怪とはいえ仙人の類なだけあってどこか神聖さを感じるモノだったし、幻想郷への影響も無さそうだと確認されている。どこかの馬の骨に負けられても困るし仙人の力は使っても良いと言っておきましょう。

 

「ただ一つ……怖くて聞けなかった事が一つだけ」

 

 貴方が闘っていた最中。私が霊夢と話していた時に聞いたある言葉が頭に引っかかる。 

 

 それは彼が復活して魔理沙のマスタースパークで反撃をした時だ。

 

 

「あの人。魔理沙のこと知っているって言っていただけはあるわね。あいつの十八番を使うなんて」

「そうなの?」

「ええ。私もこんなことならああいう派手な技使っとくんだったわ。私のことは知らないらしいし」

「え? どういうこと?」

「なんか私のことは()()で知らないんだって……これでも結構異変解決頑張ってるんだけどなぁ……」

 

 

 霊夢が珍しく消沈していたけど私にとってはそれどころでは無かった。

 

 彼の私たちについての知識は未来での異変の記録や縁起から得た物だ。だからレミリアや輝夜なんかの私たちから見た新参に対しても知識の面で誰よりも有利に動くことができた。あちらでも公になってないであろう私の情報すらもそれなりに知っていたんだから少なくとも彼の情報収集能力は低いわけじゃないことがわかる。

 

 その前提で考えると、彼が霊夢に関して知らない訳がない。

 

 博麗の巫女は幻想郷における異変解決のプロフェッショナル。つまりもっとも戦闘をする機会が多い人物になるのが道理だ。必然、彼女は彼が情報を得やすい人物になる。

 

 事実、彼が今まで言及したあちらでの異変でも霊夢の名前が出ている。だからあの子もいると思っていた。でも……思えば彼が博麗の巫女を博麗霊夢と言ったことがあっただろうか。ほとんど記憶にない気もする。彼はいつもただ博麗の巫女とだけ言っていなかっただろうか。

 

 もしかしたら彼にとっての博麗の巫女とは博麗霊夢じゃない……そういう可能性もあるのではないかと。私はその結論に辿り着いた。正確には彼がよく知っている博麗の巫女は霊夢の次代の人物。

 

 それならばわからなくはない。だって彼は未来から来たんだから。彼は明言していないが人間の世代が変わるくらい先から来たのだと思えば不思議なことではない。でもダメだ。私はもう知っている。彼が今の時間に生きる多くの妖怪や()()も含めて知己のように語るのを。

 

 だから答えとして。博麗霊夢は他の人間が世代交代で死するよりも早く。なんらかの理由で博麗の巫女で無くなるという嫌な未来が導き出されてしまった。

 

 これを私はすぐにでも彼に聞くべきなのだろう。でもどうしても……今はどうしても怖くて尋ねられない。

 

 よしんば私はそれを聞いたとして、どうするべきなのだろうか。

 

 少なくとも彼は極端に未来を変えるようなことはしていない。

 

 私にそれを確認する術はないのだがあくまで結果の上では彼がいなければどうしようもなかった……なんて事態はないはずだ。事実ほとんどの異変は霊夢と魔理沙で解決できていたはずだし、唯一失敗している永夜異変も藤原妹紅が解決したか、もしくは私が倒れた時点で自然解決するはずだった。つまり彼はやろうと思えばいくらでも介入して変えられた事象を大きく変えていないという認識は間違ってないだろう。

 

 そんな彼が守っている現在を私が、自分の都合で変えてもいいのだろうか。幽々子の時は結果を知った上で万全にしただけだったけど、結果を知った上で変えることは許されることなのか。

 

「………………」

「すーすー」

 

 答えは出ない。彼は何も言ってはくれない。

 

 いいえ。私が聞けないだけなのだ…………

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「「「かんぱーい!」」」

 

 博麗神社の居住スペースにて盛大な音頭が上がる。

 

 普段は一人。もしくは二人で侘しく食事をする巫女も宴会とあっては豪華な食事にありつけるのだ。

 

「ああ……あったかいおかず……白米だけの生活で耐え忍んできた甲斐があったわ……」

 

 博麗霊夢はその目をほんのり潤ませながら温かい食事を噛みしめる。

 

「霊夢さん……前のウチでの宴会の時は正直意地汚いなと思ってたんですけど本当に貧乏だったんですね……」

「おっ? 早苗も台所みたのか? 何も無かったろ?」

「はい……凄かったです。見事にお米しかなかったです。魔理沙さんはよく食料持って来てあげてるんですか?」

 

 魔理沙はまあなと一言だけ言ってバター醤油で焼いた香ばしいきのこを口に入れて笑顔で酒を流しこむ。

 

「それに皆さん未成年なのに本当によく飲みますよねー。私も郷に入ってはの精神で飲むべきでしょうか? どうですかアトラクさん? お酒に強い女性って?」

「無理しなくていいさ。現代人なんだから。ほら、俺の用意したアルコールが入ってない飲み物を分けてやるから。コーラもあるぞ」

「わーいコーラだー!」

 

 唯一の酒を飲まない男が早苗にいくつか自分の分を分け与える。

 

 幻想郷ははやはり文明と共に保存技術の発達が遅れているので常温での保存が効く酒類ばかりが豊富で子供も早くから酒をたしなむ風習が根強い。そのため飲料の選択肢が限られているのだ。

 

「あ。それ香霖の店で飲んだことあるな。ちょっと私にも飲ませてくれよ」

「それ賞味期限とか大丈夫だった? いいぞ。霊夢もどうだ? 若いうちに酒ばかりというのも個人的にどうかと思うから良ければ飲んでみないか?」

「はい。それではいただきます……ああ! 酌なんて自分でやりますから!」

「大丈夫よ霊夢。神様だ男だ仙人だって言ってるけど結局は妖怪。説明したとおり接する感覚は女妖怪と同じくらいで良いわよ。こんなのでも萃香並に喧嘩っ早いんだし」

 

 霊夢は器に注いで貰うことすら遠慮する。流石のアトラクもこれに困り顔だ。すかさず紫が助け舟を出す。ちなみに魔理沙は形としては殺されかけたのに既に気にせず慣れ合っている。泣いて寝てスッキリとメンタルリセットすれば彼女は男慣れしている分早かった。

 

 実のところ彼は前の世界でも魔理沙とは比較的仲が良かったという事もあるし、根本的なところで馬が合うところがあったとも言える。

 

「そこまでじゃない。それだけは言っておく。もう少し大人しい」

「ふーん。どうだか?」

「でもやっぱり……」

「煮え切らないなー霊夢。香霖みたいなもんだと思っとけばいいんだよ。なあアトラク?」

「ふむ……そうだな。あいつとどれくらいの仲かよく知らないんだが……それが気安いと魔理沙が言うならそうして欲しい。別に俺は人間に対しては神様としてご利益は与えられないし大っぴらに仙人をする気も今は無い」

「それなら……どうぞよろしくお願いしますアトラクさん。それとたくさんのお賽銭ありがとうございます。これでしばらくは生きていけます!」

 

 霊夢は大仰に頭を下げた。結局巫女にとっては賽銭を恵んでくれるものこそがもっとも尊い存在であった。

 

 

 風神録 終わり




これで風神録シナリオ完結です
昼くらいに短めの話投稿します

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