東方 あべこべな世界で戦う    作:ダリエ

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前日譚的な物であべこべ要素ないので忙しいなら見る必要はないです




39 幻想郷縁起 妖怪図鑑 名無しの大妖怪

実在する伝承 妖怪仙人蜘蛛

 

名前 不明……不明不肖というよりも本人の弁を信じるならば言語の成立以前に生まれたため名前を持っていないのだと思われる

 

種族 妖怪(仙人)

 

職業 頭取

 

能力 金銭に困らない能力(自称) 

 

危険度 高

 

人間友好度 高

 

主な活動場所 人里 銀行及び金庫

 

 

 第1XX季に突如として博麗大結界を破り、鳴り物入りで現れたのが彼である。

 

 当時、先代の巫女である博麗霊夢が没し、博麗の巫女がまだ代替わりしたてと言える時期に現れた大きすぎる最初の異変に幻想郷の終末を幻視した者も多いと聞く。筆者もその一人である。

 

 実際に彼が現れた時にはひよっこの巫女に加勢するため、先輩巫女である東風谷早苗さんと守矢の神々。先代巫女の相棒である魔法使いの霧雨魔理沙とその友人アリス・マーガトロイド。命蓮寺住職の聖白蓮と仙人である豊聡耳神子に茨木華扇。妖怪も八雲紫に始まり、天狗の射命丸文や鈴仙・優曇華院・イナバ。鬼の伊吹萃香や吸血鬼のレミリア・スカーレットに亡霊の西行寺幽々子や閻魔さま四季映姫・ヤマザナドゥ。摩多羅隠岐奈までが出張る大騒ぎであった。

 

 あわや一触即発の事態かと思いきや意外にも仙人の茨木華扇と鬼の伊吹萃香が侵略者の知り合いだったらしく幻想郷の管理者との間を取り持ち平和的に解決することができたが、これは間違いなくこれまでで最強の異変の一つだったと思われる。※

 

※ この異変での死者や怪我人はいないが被害として博麗大結界が大規模な破損をした。

 

 その後は彼が紹介を受けたという人物の縁者だということで冥界の白玉楼が一時的に彼の身元を引き受けた。その後はまだ記憶に新しい者も多いだろう。幻想郷での戦闘行為を禁じられた彼は奉仕活動として人里での労働を始めたが彼は培った外界での経験から人里の経済を即座に掌握。第二次異変を引き起こしたのだった。

 

 そして現在は彼の稼いだ資産は全て徴収され、代わりに今まで人里に無かった『銀行』の頭取としての地位に置かれることになる。彼の能力に因るが銀行は良好に稼働し、幻想郷全体の経済を回している。

 

 

 彼は強力な妖怪だが我々にはあまり馴染みがない妖怪である。普段の人里で過ごしている姿は人間と変わらず、髪も目も黒褐色で地味な印象を受けるだろう。

 

 そんな彼の日本での活動は平安時代に記されており、藤原秀郷の近江三上山の百足退治の伝説のあまり知られていない一説に彼の姿が残っている。ここでは簡単に紹介する。

 

 通説では秀郷は八幡大菩薩に祈り、その矢で大ムカデを仕留め大いに名を上げたのだが、一部の書ではそれではやはり仕留めきれずに、祈りを受けた八幡大菩薩がさらに釈迦に祈り、その祈りを受けた釈迦が大ムカデを食い殺せる存在として彼を大蜘蛛として送りつけてそれを退治させたとされる。

 

 この伝承は特に近江三上山近辺でさかんに伝わっているが、その年代に生きていた伊吹萃香がそれを事実だと認めているためこちらの説が史実だと思われる。

 彼女の証言によるとその正体は大蜘蛛で本当に山のように大きく、萃香さんの当時の基準で一里(=現在で言う約500メートルほどと思われる)の体長を誇っていたとされる。体高は蜘蛛なので若干のブレがあるものの

 

 お釈迦様との関係についても、四季映姫さまと聖白蓮住職からの聞き取りの結果おそらく事実であると判明した。

 

 

 だが彼の本場は大陸である中国らしい。彼は前述の通り実は妖怪でありながら仙人であるらしいのだ。

 

 仙人に詳しい霍青娥が語るには、彼はそれこそ古代殷王朝時代の仙人の一人だと言う。

 その時代は封神演義と題された物語にもあるように実際に多くの仙人がいた時代だ。九尾の狐である妲己が殷王である紂王を籠絡して退廃の限りを尽くしたのが、仙界から来た太公望とその仲間の仙道の協力により妲己は敗北し、武王による新国家である周が成立する話となっている。

 

 彼はその中でも殷に組した仙道が多くいた金鰲島という勢力に所属したとされている。金鰲島には彼と同じく妖怪から仙人になった者が数多くいたそうだ。彼は始めは野良の妖怪であったが才覚を見出した金鰲島の仙人、趙公明に弟子として育てられたそうである。

 

 しかしある日、封神演義の時間軸からおよそ1500年前。師匠である趙公明が金鰲島から追放される事件が起きる。趙公明は彼と同じく戦闘狂の部類であり、闘いのない平和な時間が耐え切れなくなってもう一つの仙界である無許可で崑崙山に攻め入ったことが理由で前述の通りに追放されたのだ。

 

 その後、彼は金鰲島の十天君という偉い仙人の筆頭である王天君の部下としてそのペットのダニの世話役として買われ、王天君の下で修行をしつつ禄を食むことになったそうだ。

 

 その後は仙界は殷周革命に巻き込まれ、仙界同士も戦争が起こって崑崙金鰲共に崩壊。仙道は新たなる仙界に行って人間界は仙人の居ない世界になった。

 

 では何故彼が仙界ではなく人間界にいるのか。それは単純に馴染めなかったかららしい。仙人ではあるが元が生臭を食べなければ生きていけない生物であるのもあったし、人間出身者が多数を占める新仙界では肩身も狭かったそうだ。上司が二人とも崑崙の仙人と闘った強敵だったのもあるだろう。

 

 ゆえに彼は様々な国を渡り歩いて各地に少数の伝承を残すのみの存在となったようだ。

 

 茨木華扇は彼に対して並々ならぬ恩があるようで、彼の為にと尽力した。噂では彼と出会い仙人の道を目指し始めたというものが流れている。真偽は不明である。

 

 

 目撃報告例

 

 

 彼は基本的に人里の銀行から動かない。その為銀行に行けばほぼ確実に会える。

 

 これは彼自身が金庫番であり、最強のセキュリティであるからだ。幻想郷には多くの猛者と厄介な能力を持つ曲者がいるが銀行に巣くった彼の前では分が悪い。金庫からお金を盗もうとしてもすぐにお縄をちょうだいすることになるだろう。

 

 あの霧雨魔理沙氏からも「あいつから金取るとか無理。それなら紅魔館の図書館まるごと盗む方がよっぽど楽だぜ」とコメントがもらえた。

 

 そして彼は数か月に一度外出許可が貰えるので、その時は彼と闘ってくれるという人物の元まで足を運んでいる。紅魔館の紅美鈴や迷いの竹林の藤原妹紅などとかなりセーブして闘っているようだ。

 

 他にも仙人の先輩として豊聡耳神子らと交流したり、仏門の徒から当時の話を求められて命蓮寺に赴いたりしている。外界に長くいたこともあり守矢神社の住人と世間話している姿も見受けられた。

 

 

 対策

 

 

 他の妖怪の項目でも述べたがこういう上位の存在は賢く、力も強く、足も速いので、基本相手にしてはいけない。しかも彼の場合は相手が強いほど本気を出してくるので腕に自信のある者ほど逃げてほしい。

 

 現在は八雲紫に同意の上で戦闘行為を封印されているので安全である。ただ彼を封印していると言っても口約束に過ぎないので過信は禁物である。もしも近くで彼が戦闘をしそうなら逃げることをおすすめする。

 

 彼は人間の間で長年生きてきただけあり、その振る舞いは非常に穏やかで実のところ安全な部類の妖怪であるので普通に暮らす分には無害である。むしろ長生きで人生経験豊富ながらもいつもは銀行にいて暇なので頼めば悩み事など聞いてくれたりする。貴方も一度は行って見るとどうだろうか?

 

 

 

 追記

 

 

 先月から彼の姿が見られなくなった。残された書き置きから察するに幻想郷から……推測によるともはやこの世界から去ったとみられる。

 

 散々な書き方をした本著だが今では人里でも親しまれ、一部勢力からも頼りにされていた彼がいなくなったことには筆者も一抹の寂しさを覚える。

 

 ただ、銀行の制度は彼の存在に大きく因っていたのでおそらく縮小、廃止になるだろう。既に八雲紫などが慌ただしく動いているようだ。これほど根ざした便利な機関が無くなるのは我々にとってちょっとした異変だと思われる。

 

 彼は短い期間で三度の異変を起こしたある意味で伝説の存在となってしまったようである。

 

 

 




仙人と言ったら封神演義(フジリュー版)なんでたっぷりネタ入れました
本筋での封神要素はこれからいくつか宝貝使うくらいなので完全に趣味です
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