東方 あべこべな世界で戦う    作:ダリエ

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40 儚月抄 紅魔館のニューリーダー

 

 博麗神社と守矢神社の神々の間で起きた闘争から二か月と経たない内に、紅魔館の主である吸血鬼レミリア・スカーレットは従者である十六夜咲夜に博麗霊夢及び霧雨魔理沙を引き連れて月を侵略しに、友であるパチュリー・ノーレッジ謹製のロケットに乗りこみ空へと旅立った。

 

 その行動の背景には多くの勢力、人物の思惑が複雑に絡んでいたのだが……今回はそんな陰謀とは関係ないお話である。

 

 

 

「今日からこの俺アトラク=ナクァが! 紅魔館のニューリーダーだ!」

 

 本来の主が空の彼方に行き不在である紅魔館にて、本来の住人であるフランドール・スカーレット。紅美鈴。パチュリー・ノーレッジと小悪魔。それに永夜異変の後から雇用され始めた大勢の妖精メイドの前で一人の男がそう宣言した。

 

「にゃ~ん」

 

 それと彼の傍には黒猫()がいた。おまけに彼の装束はいかにも西洋貴族で吸血鬼といったような黒を基調とした服に赤やら金を合わせ、飾り紐をいっぱいつけた西洋風の礼装だった。正直レミリアやフランよりもよほど大衆のイメージする吸血鬼や貴族らしい姿となっている。

 

 これは月での闘い(儚月抄)のお話の裏側。居残り組のお話である。

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 彼にとっての事の始まりは、いくつかあるにしろやはりあの宴会の日だろう。

 

 あの日、アトラク=ナクァはその宴の終わり際に八雲紫とした会話だった。

 

「紫。ちょっといいか? 聞いてほしいことがある」

「どうしたの? 改まって? 結婚式の日取りの話なら場所を変えて二人きりで……ね?」

「違います。勝手に言うぞ。やはりあれから体調が優れない。体の気の巡りも悪いようだ。なので俺はまたしばらく外の世界のパワースポットを回って力を蓄えようと思うんだが……いいだろうか? 次変なこと言うようなら勝手に行くから」

 

 アトラク=ナクァ。ここにおいてはあえて『蜘蛛の仙人』と呼ぼう。彼の疲弊はそれなりに深刻な物だった。普段ならすぐに回復するだろう体調が食事を摂っても戻りきらない。原因は明らかに力の過剰放出でのガス欠。自業自得甚だしいのだが本人にとってしんどいものはしんどかった。

 

「ツレないわね……どれくらいで戻ってくるつもり?」

「既に仙人に戻るのに良質な力場は世界中で粗方使ったからなー。今度は前より効率も悪いし移動にもだいぶ掛かるだろうから余裕を持って半年くらい空けるかもしれない。つまり夏の前くらいに戻る」

 

 夏の前。つまりあの比那名居天子(天人)の出現に間に合うように。

 

「半年? それは都合が悪いわね。許可しないわ。行くなら二か月で戻ってきなさい」

「えー。まあ仕方ないか。わかったよ。二か月で戻る」

「それと今度は私にもお土産買ってきなさい」

「…………」

 

 そんな無茶振りをされたがアトラクは大体の事情を察しているのでちゃんとその日から二か月ちょうどで幻想郷に戻ってきた。未来を粗方知っていればこその聞き分けの良さだ。

 

 そして、静養を終えて直接人里の自分の家に帰った彼を待っていたのはたくさんの新聞と手紙が玄関に挟まっていた。その手紙の内容はこうだ。

 

 一つは紅魔館でのパーティーのお誘い。内容の割にやたら長い。

 二つ目はパーティーの誘いを無視したお怒りの手紙。これも長い。

 最後はとにかく早く来いという内容。文字が乱雑だった。これは短かった。

 

 最初の二つはそれなりに前の日付だが三つ目は日付が昨日だったので早速彼は紅魔館へと行った。

 

「遅いわよ! あなた何してたの!? 人が折角パーティーを開いたのに顔一つ出さないなんて……! まあいいわ。私は咲夜としばらくここを留守にするからちょっと紅魔館の管理をお願いするわ。お土産にすごいの持って帰って来るから期待していてちょうだい!」

「行ってまいります旦那様」

「お、おう」

 

 そんな要求を言うだけ言ってレミリアはめっちゃダサい三階建ての違法建築ロケットで宙へと旅立った。

 

 それとその同日に紫。というか藍からお願いされたしばらく橙の面倒を見てくれと言うお願いを同時に果たすために紅魔館に先程のメンバーが集う状況が作られたのだ。

 

「にゃ~ん。もう戻っていいですかアトラクさま?」

「ああいいぞ。後で鯛のおかしらをあげようね」

「わ~い! ありがとうございます~!」

 

 橙が人型である少女の姿に戻って彼の横にそっと立った。今の彼女のスタンスは彼の従者ということらしい。

 

「さて。じゃあ早速だが紅魔館を改革する……!」

「いや、ちょっと待ってください!?」

 

 そう言ったのは紅美鈴。彼女は今ここでは紅魔館において実質最も古株になると言える。アトラクがいなければ彼女が暫定のトップになっていたかもしれない。パチュリーはあくまで食客の知識人なので。

 

 彼女はニューリーダーに疑問をぶつけるべく問いかけようとするが。

 

「どうした美鈴。俺が納得できる答えじゃなかったら俺がいる間は露出高めのチャイナ服をお前の制服にするぞ」

 

 謎の脅しで先制される。彼女からすれば誰が得をするというのだろうかといった代物だが得する者は目の前にいる。

 

「なんですかその罰ゲーム!? いや、改革ってなんですか? というかアトラクさん。折角来てくださってなんですけどお嬢様は普段も特に何かやってるわけでもないので、代理と言っても別に特に何かやる必要はないんですよ? お料理は私と小悪魔さんと新しく雇った妖精メイドたちでちゃんとできますし……適当に妹様や私とでも遊んでいてもらえれば……」

 

 アトラクは言い終わったらしい美鈴を一瞥して無言でどこからともなく派手な糸を出し始めた。そしてそれを手早く編む。

 

「……よし。お前の制服ができたぞ。着てこい」

「え、いや私の話聞いて「ゴー」……行ってきます……」

 

 美鈴は広間から退出させられた。拳法家など力で勝てなければこんなものだ。それと目の前でできあがる自分用の可愛い服を着てみたいという欲に勝てなかったのだ。

 

「さて……話を遮られてしまったが続けよう。俺は常々考えていた。この紅魔館についてのあることを……だ。それが何か。誰かわかるかね?」

「はい! はい!」

 

 フランがぴょんぴょんと挙手してアピールする。

 

「じゃあ……フラン」

「わかんない!」

 

 またもニューリーダーは糸を取り出してすぐさま服を仕立て上げる。

 

「よし! じゃあこれあげるから着てきなさい。着方がわからないならもう美鈴に全部やってもらえ」

「わーい!」

 

 フランもまた美鈴と同じように扉から退出。どうやら先程の光景を見て、自分もおニューの服が欲しくなったらしい。

 

「さて、話をもどして……それはここの財政だ。ここは一体どうやってその経済を回しているのだ? 少なくとも俺が知る限りは一切の営利活動をしている様には見えない。そこでパチュリーに聞く」

「ああ、それはね……」

 

 パチュリーがニューリーダーの質問に答えようとした。彼女は知識人故に紅魔館の内情も知っていた。が。

 

「現状、紅魔館の財源は幻想郷に来る以前の財産を切り崩していますが……ここで問題です。人里で地味に人気を得ているノラネコの名前を答えよ」

「むきゅ?!」

 

 唐突なクイズ番組の意地悪な問題のような質問が来た。これにはパチュリーも困惑。動かない大図書館には難問だ!

 

「じょ、ジョゼフィーヌ……」

「残念! 正解は三四郎でした。パチュリーもはいこれ」

「あれはずるいでしょ……私にわかるわけないじゃない……」

 

 パチュリーは服を受け取り、そう言って退出した。確かにずるかった。

 

(やばい……この流れは確実に私も気合の入ったコスプレをさせられる……クイズに答えなきゃ!)

 

 小悪魔は身構える。主までやられてしまった。残る紅魔館幹部は自分一人。彼女の運命はいかに……?

 

「はい。小悪魔の分もできたぞ」

「え? あの……クイズは?」

 

 既に衣装ができていることに困惑する小悪魔。

 

「主が行ったのにお前は行かないのか? ほう」

「…………行ってまいります」

「ああ。全員が着替え終わったら一緒に戻ってくるように言っておいてくれ。ゆっくりでいいぞ。何か気になる部分があったら仕立て直すから」

 

 もはや暴君であった。紅魔館は既に蜘蛛の魔の手に墜ちたのだ。おおブッダよ!あなたの元部下もとんだノンケのサディストであった!ただし仕立屋としてのアフターサービスは完璧である。

 

 妖精メイドたちもこの新たな主の横暴に恐怖していた。ああ、次は誰があのやたら上質で可愛らしい服を着せられる羽目になるのかと。いっそ楽しんでいた。たくましい。

 

「じゃああいつらが戻って来る前に……本題を始めてしまおうか」

「はい! 皆さんこの度はよろしくお願いします!」

 

 居住まいを正してニューリーダーが妖精メイドに向けて告げる。そして橙が追従する。

 

 今ここに元企業経営者(アトラク=ナクァ)による紅魔館の財政改革が静かに始まった。

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「それで? 一体何をやるんですか? そろそろ教えてくれてもいいんじゃないですかー?」

「お前たちが気にすることはない。既に事は順調に進んでいる」

 

 あれから数日後、アトラク=ナクァは昔レミリアが作らせたと言う、やたらデカい豪華な王様もかくやといった玉座に腰掛け、その膝の上に美鈴を侍らせている。その様は未だに身に纏う吸血鬼風衣装も相まって悪の親玉であった。レミリアが帰ってきた時に彼女の居場所はあるのだろうか?

 

 ちなみに美鈴の門番の仕事はお休みだ。なにせ朝昼夜常に全力の蜘蛛さんが今の主なわけで、わざわざ誰かが外で門を守る必要がない。勝手に入ってきた不届きものがいたら、それは紅魔館のサンドバッグに就職するだけだ。

 

「アトラクさん、私たちみたいなのをまとわりつかせて楽しいですか? 私は楽しいですけど……普通逆では?」

「すごい楽しい。いいか美鈴。お前たちにとっての逆は俺にとっての正であり、お前たちにとっての正は俺にとっての逆なのだ」

「はあ……」

 

 よくわからないが、ニューリーダー的にはとても楽しいらしかった。美鈴としてはこれが逆ならわかるのだが。それでも男の胸にしな垂れかかっているだけでも約得だったので考えるのをやめた。ただこのチャイナ服だけはわからなかった。オプションのお札がついた帽子もだ。キョンシー?

 

「ふーん。そうなんですか。なら私のおしりで良ければ触ってみます? なんちゃって」

「じゃあちょっと失礼」

 

 むんずと美鈴の尻を掴む。速かった。彼は戦闘時の反応速度を叩き出していた。

 

「……楽しいですか?」

「わりと」

「……私も触ってみても良いですか? 流石にダメですよね」

「どうぞ」

 

 むんずと美鈴は男の尻を揉む。こちらも早かった。ぞ、と言う前に既に掴んでいたほどだ。

 

「……硬いだけでは?」

「いいえ。最高です。ありがとうございます。興奮します。これが許されるということはその先も許されるってことですよね!?」

「お前が床を舐めて掃除したいと言うのなら好きにすると良い」

「……今はこれくらいで勘弁してあげます」

「二人とも何やってるの?」

 

 フランがやってきた。保護者が二人で向かい合って手を背中に回して尻を触り合う奇特な光景は確実に幼女の教育に悪いと思われる。しかし残念なことに保健体育の分野において性知識の科目を投げ捨てた脳筋しかここにはいなかった。なお体育(実技)の方は満点だ。

 

「フランもどうだ?」

「妹様も今のうちに触っておくべきですよ! こんな幸運滅多にないですからね!」

「じゃあやる!」

 

 もみもみ。小さな手でわりと力強くもむ。

 

「あんまり楽しくない? 硬いし」

 

 未だに精神の成長が未熟なフランにはその価値がわからなかったようである。まあ実際彼女からすれば硬いだけの肉なのでそれなら美鈴の胸か尻でも突いていた方が柔らかくて楽しいだろう。価値がわかるのは一体何年後かはわからない。

 

「だろうな。ほれじゃあ抱っこしてあげよう」

「やったー!」

「残念。おしまいですか。ふふ。でもこう見ると親子みたいですね。良かったですね妹様」

「うん!」

 

 フランはアトラクとお揃いな感じな吸血鬼衣装だった。おそろな服を着ていれば存外親子に見えなくもなかった。眼の色という共通点はあるので血縁を感じられなくもない。その実態は蜘蛛とコウモリの廃墟にいそうなペアだが。

 

 二人は親子じみたふれあいをしつつ美鈴はそれを嬉しそうに眺めて微笑む。実際家族団欒めいた空間が構築されつつあった。そうして先程とは路線を変えてほのぼのとした雰囲気でしばらく過ごしているとドアが開き団欒に入ってくる者がいた。

 

「あら? 随分微笑ましいわね。悪いけど今ちょっといいかしら」

「このままでいいなら構わんぞ」 

「話があるだけだから構わないわ。フランに恨まれるのも嫌だもの。美鈴。悪いけど椅子を一つ貰える? 少し歩いただけだけど疲れたわ」

「はい。どうぞ。少しは運動もされた方がいいんじゃないですか? どうです? 朝から八極拳でもします?」

 

 パチュリーは礼を言って腰掛ける。動かない大図書館である彼女が図書館から出てくるのはやはり珍しい。

 

「ありがと。それはきつそうだから遠慮するとしても散歩くらいはしようかしら? 人里にノラネコでも見に行きましょうかね。さて、私はこの衣装については大体察しがついたのだけれど。貴方の財政改革についてはやっぱりわからないのよね。妖精メイドを何に使っているのかしら? あの子たちをどうもどこかに消えているみたいだし……貴方自身もたまに姿が見えないようだけど」

 

 そういったパチュリーは真っ黒い服に黒い三角帽子。それに彼女の身長ほどある杖を持たされている。非常にステレオタイプな魔女の姿になっていた。魔理沙のコスプレでは無い。

 

「外にいたらちょっとしたことがあって良いかぼちゃがある程度まとまった数手に入ったからな。時期的には少しずれたがやってもいいだろ?」

「ハロウィンね。ここで流行るのかしら? そもそも妖怪やお化けなんて物にはここでは人間はなりたがらないわよ? 恐怖と醜悪の代名詞だもの」

「まあコスプレは俺がやりたかっただけだ。昔は会社でやってたからな。今回の本題は宴会の方だよ。色んな意味でな」

 

 パチュリーは「はぁ」と溜息をこれ見よがしに見せつけてくる。それは彼女は納得していないことを示す。

 

「その本題が私たちに全く知らされていないというのが問題なんだけど? 貴方に知らぬ間に紅魔館乗っ取られました~じゃ流石にレミィが泣いちゃうのよね。貴方が相手だと力づくで取り戻せないし困るのよ」

「取らんよ。それにまだ俺たちは細かいところは知らなくていいんだ。成功した時に動けばいい。最初は楽しく手探りでやらせてやればいい。それに」

「それに?」

「偉い奴ってのは普段はただふんぞり返ってデカい顔をして問題が起こっていざという時に怖い顔して脅かすように出ていく方が上手く行く。幻想郷では特にな」

「そんな物かしら? まるでヤクザね。まあ楽して収入を得られるのならいいかもしれないわ。でもそれはそれとして教えなさい。大まかなところすらわからないのは気持ちが悪いの」

「まあそれもそうか。驚く顔が見たい気持ちもあったけど……じゃあ移動しようか」

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「おーい橙ー! いるかー?」

「アトラクさまー! どうしたんですか皆さん連れて?」

「「「!?」」」

 

 俺はあれから紅魔館を出てからそのまま庭に来ていた。

 

 そして俺が連れてきた三人が驚いた理由は一つ。何もない空間から橙が顔だけ出したからだ。妖怪でも生首が白昼から現れたら驚く。生首ではないのだが。

 

「え? アトラクさんなんですかこれ!? あの、首が!?」

「……いいえ。これは……異空間? 位相がずれているから首だけしか私たちには見えていないのね。初めて見るわ。咲夜とはまた違った空間のいじり方ね」

「察しがよくて助かるパチュリー。じゃあ入るのも初めてだな。いいぞ百聞は一見になんとやらだ。入ってみろ」

 

 俺たちがぞろぞろと何もない空間から中に入るとそこでは妖精メイドたちがおのおの作業をしていた。空間の中は正確に距離を測れないが明らかに広く、それこそ屋台が数十個あってもなお余裕があるほどだ。

 

「これなんですかアトラクさん!? どうせまた貴方なんでしょ!?」

 

 美鈴が驚きのあまり捲し立ててくる。咲夜が似たようなことできるのでここでは受け入れられると思ったのだが。

 

「そうだ。これは俺が仙人の力で新しく作った空間だ。咲夜の空間を拡張するのとは違う。俺は橙に妖精メイドとこの空間を預けて彼女らに屋台を引かせることにした」

「なんで?」

 

 フランがそう聞いてきた。

 

「いやだって…………レミリアが雇ったメイド妖精ほぼ全員料理得意なんだし仕方なくない?」

「ああ……」

「レミィ……」

 

 パチュリーと美鈴の二人は心当たりがあったようだ。

 

 何故レミリアが料理担当メイドばかり雇ったのか。それは多分永夜異変辺りの話を見てもらえればわかるのだが、簡潔に言うと咲夜がいない間の自身の食糧事情を心配したからである。だからと言って物には限度があると思うのだがあいつはどうもすごく馬鹿だったようでなんと採用した全員が料理可能というか八割くらいが料理しか能のない妖精だった。あいつは一体どこを目指していたのか。

 

 おかげで社内ニートとも言うべき妖精が館には溢れていた。人材の墓場紅魔館である。

 

 そして自称匠である俺はここに目を付けた。余っている人材に外で料理をさせれば稼げるのではと。妖精ならば単純に貧弱なので人里でも警戒されない。囲んで棒で叩けば大人なら勝てる。しかし雑魚だからと虐めようものなら紅魔館から怖い妖怪が飛んでくる。営業妨害の心配はない。ついでに彼女らに俺がマージンをもらって儲かると言うヴィジョンが見えたので動き出した。

 

 最初の立ち上げを橙の部下を動かす修行という名目で彼女に任せて少しの知恵と助言を与えて、資本を紅魔館の財布から用意することで俺が大して働くことなく形になった。

 

 ゆえに俺は今回とてものんびりと過ごしつつも良い成果を出せるところまで来たのだ。

 

「ほんとお祭りの時のヤクザみたいなやり方ね。それに本当に、貴方自分は動かずに結果を得ようとするの好きね」

「そりゃあ当然だろう。仙人の間ではできるだけ楽して成功しようという風潮が蔓延してたから俺も乗っている」

「仙人なんて今時見ませんよ。いつの話ですか? 私が大陸にいる時には……アトラクさん仙人さまなんですかーーー!?」

「それはさっき言った」

「はぁ……とりあえず紅魔館の財政は雇った妖精メイドで非番の奴らに出店させて稼ぐというので良いのよね? ちゃんと採算は取れているの?」

「ああ。紅魔館という後ろ盾があれば大体の懸念は排除可能だ。幸いにしてここは洋食のレベルが高いから今いる他の屋台や店とはジャンルが競合しない。つまり商機はある! そして今回はまず宴会で妖怪を大々的に招いてそれを告知するのだ。天狗は間違いなく食いついてくるから後は奴らを使えば簡単だろう。あいつらも話題に飢えている」

 

 既に料理のメニューも各チーム毎に調整済み。屋台の完成度も九割。妖精に足りなかった足し引き計算の勉強も俺と橙で教育済み。後は実働での稼働状況を見る宴会を開くだけだ。

 

 さあ! 満を持して宴会を開こうか!

 

 

  

 




次は十日くらいに投稿します
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