蒼の彼方のストラトス 作:インフィニット・フォーリズム
「おぉー、FCの試合は見応えあって最高だな!」
ここは日本の
日本では唯一アンチグラビトンシューズの一般利用が許可されている、四つの島からなる地域だ。
俺、織斑一夏は一年に一度、夏休みの期間にここを訪れている。
その目的は、
「やっぱFCは生で見るに限るな!」
とは言っても県外から来ている俺は、四島列島のみで行われるこの大会には出ることはできないし、そもそもこれは高校生の大会。
まだ中学生の俺ではどうやっても出場規定を満たすことはできない。
「本気で四島への移住を考えてしまう」
これは割とガチだ。
もちろん今の学校にいる仲のいい友人と別れたくはないが、それを押してでもグラシュを履いて空を飛び、FCをしたいと強く思う。
「でもなあ、千冬姉が大変になるしなぁ」
どこで働いているかは頑なに教えてくれないが、基本週一、時には月一の頻度で帰ってくる忙しそうな姉に、『
「まあ、今考えても仕方ない。今はFCの試合の観戦に集中しよう」
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「はー、やっぱり真藤選手が優勝かぁ。スピードも技も他の選手とは一線を画してたもんな」
大会の優勝は、一番の注目株・高藤学園の真藤一成選手だった。
この真藤選手、実は去年も優勝したためこれで大会二連覇なのだ。
「あんな動き、俺にもできたらな」
毎年四島に来ているので、去年思い切ってグラシュを購入。
それ以来、地元のグラシュ練習場で飛んではいるが、思い描く理想の動きはできていない。
毎年利用している馴染みの民宿に戻るまでの間、脳内では真藤選手の動きをリピートして思い出し、なんとか自分の糧にしようとしていた。
「あ、戻る前に夕飯すませておこう」
宿泊代を浮かすために、食事は安い店でいつもすませていた。
「安さと量と美味さを求めるなら、やっぱりあそこだな」
泊まっている民宿を通り過ぎ、少し歩くとある店に入る。
その店の名前は『ましろうどん』
早い安い美味い、の三拍子プラス『量が多い』が揃っていて、いつも来ているのだ。
「いらっしゃいませー。あ、一夏くん!」
「お、真白。今日は店の手伝いなんだな」
エプロン姿のこの店の看板娘、有坂真白は俺と同い年で、毎年よく食べに来ているためこうして名前で呼び合うほど仲良くなった。
「今年もよくいらっしゃいました」
「ああ、この安さでボリュームと美味さの両立ができている店はなかなか無いからな。四島にいる間はたぶん毎日来るよ」
「ありがとうございます! でもそんなに褒めるとまたお母さんが『サービス』って言って大食いチャレンジみたいな量になっちゃいますよ?」
「う、それはさすがに遠慮したい。…奥に聞こえてないよな?」
「あはは、大丈夫だと思いますよ。それで一夏くん、ご注文は?」
「肉ぶっかけうどん、冷やで」
「かしこまりました」
真白が奥の厨房に注文を言いに行くと、チラッと真白のお母さんの顔が見えた。
俺に気づいた真白のお母さんは、真白と一言二言話して再び厨房に戻っていった。
話していた真白の顔が真っ赤になっていたが、何を話していたんだろう?
後で聞いてみよう。