『八幡』と『結衣』と『雪乃』のオムニバスストーリー   作:こもれび

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八結ですよん!!


八幡がジャンボ宝くじに当たったというだけの話

 突然だが、なんと俺は今意識を失いかけている。

 え? 何でかって? また、車にでも撥ねられたかって?

 いやいや、そうじゃない……もう、あんな痛い思いなんてしたくはない。はっきり言ってもう二度とぶつかってやるつもりなんかない。車にぶつけられる前に、自分から前回り受け身で逃げるまである。ん? なんの話だ?

 お! そ、そうだ……そうだった。こんな与太話を脳内再生してる場合ではないのだ。

と、いうか、俺は今冷静じゃない。ああ、分かっている。冷静なら、こんなに無駄な思考に力をまわしたりなんてしない……実際にしている間は無いのだが、せざるを得ないのいだ。

 何故?

 うん、何故なら……

 

「お兄ちゃん?」

 

「ひゃいッ!」

 

 突然の声に、俺は声が裏返ったまま返事してしまった。くうぅ……いつもならこの天使の声の主、マイスイートシスター小町の声に、爽やかに答えて、『キモ』と、抉る答えを食らって悶える場面なのだが……喜んじゃうのかよ。

 ダメだ……今日はまともに答えられない。

 小町は、ジトッとした目つきで俺を見つめると、スタスタと近づいてきて俺にポツリとつぶやいた。

 

「なんか、隠してるでしょ」

 

「ひゃあ? か、隠してるわけねえだろ……ばばば、バカ言うな」

 

 いや、思いっきり隠しているんですけどね。

 

「小町に嘘ついても無駄だからね……毎日見てる小町にはお兄ちゃんのことならなんでも分かっちゃうんだよ。あ! 今の小町的にポイント高いー!」

 

「だから、そのポイント何なんだよ……っておい! 急に、俺に抱き付くんじゃない」

 

 小町は、いきなり俺の脇から抱き付くと、そのまま器用に手を滑らせて、俺のポケットに隠してあったその『紙』を掠め取った。

 

「えっへへ! もーらった。さっきお兄ちゃんが慌てて隠したとこ、小町見てたもんねー!」

 

「ば、ばか……返せ!」

 

「やー……ちょっとくらい見せてくれても良いでしょ。すぐ返してあげるからさ。えーとどれどれ……んん? これって……」

 

 小町は俺から奪い取ったその『紙』をまじまじと見つめる。

そして、点けっぱなしになっている、俺のパソコンのモニターのある一点と、その紙を交互に見比べている。そして……

 

「お、お、お、お兄ちゃん!! こ、こ、こ、これって……まさか!?」

 

 小町が驚愕の表情で、そう言った瞬間……

 

「あのー小町ちゃん? ヒッキー居た?」

 

 突然、俺の部屋の入り口から声を掛けられて、俺と小町はビクりと反応してしまう。そして、おそるおそるそちらを見てみれば、そこには、茶髪のお団子ヘアーをくしくしと触って気まずそうに佇む由比ヶ浜と、キョトキョトと落ち着かなさそうに視線を動かしている雪ノ下の二人が立っていた。

 

「ゆ、由比ヶ浜さん。やっぱり勝手に上がるのは良くないわ。本当にごめんなさいね小町さん……」

 

 そう言った雪ノ下に、小町は無反応……当然俺も固まったまま、反応なんてできやしないのだが。

暫く、固まったまま二人を見ていると、由比ヶ浜と雪ノ下は不思議そうにお互い顔を見合わせて、今度は俺に話しかけてきた。

 

「あ、ヒッキーごめんね。勝手に上がってきちゃって。えーとね、明日数学のテストでしょ?でね、さっき優美子たちにテストのヤマを聞いてきたの……ヒッキー苦手だし教えてあげようかな……って、優美子のヤマ、良く当たるからさ」

 

「「当たる!!」」

 

 俺と小町は同時にそう叫ぶ! その瞬間、由比ヶ浜はびくりと体を震わせた。

 

「ど、どうしたの……二人とも?」

 

「い、いや……なんでもないんだ。で、雪ノ下はなんの用だ」

 

「私は由比ヶ浜さんの付き添いで、来ただけなのだけれど……あ、そうそう、比企谷君、あなたのこと平塚先生が呼んでいたわ。明日『九時」に職員室にくるようにって……」

 

「「くじっ!?」」

 

 またもや同時に叫んだ俺と、小町に、今度は雪ノ下がビクッと震えた。

 

 小町が震えながら、俺の目を見つめてくる。その瞳は潤んでいて、今にも泣きそうな……って、おいおい、どこの妹モノだよこれ。なに……このまま千葉の兄として、可愛がっちゃうのかよ……うわ何想像してんだ、俺マジでキモ……

 まあ、落ち着け我が妹、小町よ……

 俺は眼光で必死に小町に訴える。

 小町も、何かを伝えようと、俺の目を見る。よし、そうだ。俺達は兄妹だ。誰よりも深い血の絆で結ばれている。例え言葉に出来なくても、これくらいのコミュニケーション、アイコンタクトだけで十分だ。

 

『いいか、小町……まずは、落ち着くんだ。今、こいつらはこれの存在に気が付いてない。余計な事を話す前に、今日のところはお帰り頂こう』

 そう、俺が目で訴えると、小町もウンウンと頷きながら、俺に合図を送ってくる。

『オニイチャン……キョウモメガクサッテテホントウニキモイね』

 ぐはぁっ!! なんでこんなにネガティブな言葉に変換しちゃうんだよ、俺の脳は…どんだけ小町にいじめられたがってんだ、俺って奴はぁ!

 

「あら? これは何かしら……何か落ちたわよ」

 

 その雪ノ下の言葉に、俺と小町は慌てて振り向く。そこには…

 

 雪ノ下が一枚の宝くじを持ってそれをまじまじと眺めていた。

 

 はうああああああ!! そ、そ、そ、それはぁああ!!

 俺と小町が無言の絶叫を上げる。すると…

 

「あれ? 宝くじだね……えーとどれどれ……」

 

 雪ノ下に近づいてきた由比ヶ浜が、ものすごいスピードでスマホを操作している。ま、まずい……このままじゃ……

 俺のその焦りは一瞬で終わりを告げた。なぜなら……

 

「えーと、このくじの番号は……」

 

 もう、指が速すぎて、由比ヶ浜がスマホの操作を終えていたからだ…オワタ…

 

「えーと……最初が0で、次が9で……その次が……」

 

 そう言いながら、読み上げている由比ヶ浜の声が次第と小さくなっていった。そして、暫くすると、その宝くじと、スマホの画面を交互に見比べだした。もう、クビのスイングが速すぎて、残像が残りそうなくらいだ。

おいおい、そんなに速く動かしたら、バターになっちゃうかもしれないぞ!

 その由比ヶ浜の異変に気が付いた雪ノ下が怪訝な表情を浮かべている。そして、その当の由比ヶ浜も口をあわあわとさせて、俺に目を向けた。

 

「ひ、ひ、ひ、ヒッキー!? こ、こ、ここここ…」

 

 こけこっこー? もはや、言葉になっていない。そりゃそうだ…ついさっきの俺も、小町も同様の反応だった。雪ノ下も目の当たりにすれば同じような反応になるかもしれない。いずれにしてもこれはあれだ……

 

 詰んだ……な……

 

 俺は静かに、由比ヶ浜の目を見ながら肩に手を置く。そして、その手に持っている一枚の宝くじを返してもらった。小首をかしげている雪ノ下が、ポソリとつぶやく。

 

「あら……その宝くじ当たっていたのね。それなら、拾った時私が貰ってしまえば良かった……」

 

 そう言った雪ノ下の両肩を、由比ヶ浜が掴んで、見つめながら首をぶんぶん横に振ってる。ふんっ……漸くこの事態を理解してくれたか。よし、じゃあ、そろそろ雪ノ下にも教えてやるか。

 

「あー……雪ノ下。もう仕方ないからお前にも教えてやる。実はな……」

 

 俺がそう言いかけたその時のことだった。

 

「あー、八幡、小町……今帰ったよ。って、ん? あれ? お友達? ああ……ゴメンゴメン急に顔出しちゃって……あはははは。えーと、ひょっとして八幡の友達かい? へー、あんたがガールフレンド連れて来るなんて思いもしなかったね。って、どうしたの? あんたたち……お通夜でもしているみたいな顔して?」

 

 突然現れて、俺の部屋の前で一気にそう捲し立てたのは、俺と小町のかーちゃん……頭のてっぺんでお団子にしていた髪ゴムをスルリと解きながら、メガネ越しに俺達を見た。両手に大量の事務ファイルの入った袋を掲げているところを見ると、どうやら、仕事を家に持って帰って来た様だ。まだ、グレーのスーツにタイトスカートのまま。はあ……せめて着替えてからとか、もう少しタイミング遅らせて現れてくれよ。

 

「あ、あ、お、お母様ですか? は、初めまして、わたし、由比ヶ浜結衣です。ヒッキー……ううん、八幡君とは友……いえ、仲良いです。凄く仲良くさせてもらってます。はい」

 

 突然、由比ヶ浜がかーちゃんに向かって頭を下げた。って、おい!今、一瞬『友達』って言いかけて止めたよな!! なに? 社交辞令でも俺、友達にもしてもらえないの? 八幡泣いちゃうよ!

 

「え? あ、うん……よろしくね結衣ちゃん! こいつ全然友達いないからさ、仲良くしてやってよ。あ、そうそう、欲しいならいつでもあげるからさ……好きにしていいよ」

 

 かーちゃんは、ニヤリとメガネの内側で笑って由比ヶ浜を見た。って、母親! あんた人をなんだと思ってるんだよ。せめて成人するまで大事に育ててくれよ! まあ、小町は大事にするんだろうけどさ。

 その後、雪ノ下もきちんとした挨拶をする。そして、その後、荷物をおろしたかーちゃんが俺の側に近づいて来た。

 

「ん? なんだいそれは? んん? 宝くじ……」

 

 しまった! 突然のかーちゃんの出現で、隠すのを忘れてた。俺は慌ててそれをポケットにねじ込もうとしたが、かーちゃんに手首を掴まれそれを阻まれる! くっ……どこの凄腕のハンターだよ!

 

「ははーん……八幡……あんた当たったんだね」

 

 ご明察。ニヤニヤした顔で俺を見たかーちゃんがそう言いながら、俺から宝くじを奪い取る。もはやこれまでか。

 だが、次の瞬間、想いもかけないことを言われた。

 

「良かったじゃないか。くじなんてなかなか当たらないもんだ。まあ、日ごろ何かとツイてないあんたの事を神様が見ていてくれたんだろうよ。でもね、無駄遣いするんじゃないよ。友達も出来たからってぱあーっと使っちまおうなんてのはダメだ。せっかく当たったんだから、きちんと貯金でもしなよ」

 

 かーちゃんは微笑みながら俺にそう話す。そして、くじをそっと俺に差し出して来た。今まで、ほったらかしで、全然甘えさせてもくれなかったかーちゃんだけど、やっぱりかーちゃんなんだ。そのかーちゃんの優しい言葉に、胸がジーンと熱くなった。

 

「サンキューなかーちゃん。分かってる。こんな大金使っちまおうなんて思ってねえよ。大事に貯金させてもらうよ」

 

 俺が話すその最中に、一瞬かーちゃんが動きを止めた。確か『大金』と言った辺りだったか……?

 かーちゃんはにこにこした表情を崩さないまま、もう一歩俺に近づいてきた。え? ち、近い!!

 

「本当におめでとう八幡……まあ、八幡? 一応聞いておくけどな。いや、だからって、別にどうということはないんだけどな……その、いくら当たったんだ。や、や……別にそんなに気にするようなことでもないのだけどな……ただ、ちょっと知りたくて……あはは……」

 

「お、おお……そのあれだ…………〇等が当たったんだよ」

 

「え?」

 

 一瞬で空気が凍り付いたのを感じた。八幡センサーが非常事態警報を鳴らしている。

 こ、これは……や、やばい……

 そう感じた時には、もう遅かった……俺の目の前には、顎部ジョイントを破壊したエヴァ2号機が!!

 

 ガッ!

 

 目を血走らせたその獣が、俺の両肩に指を食いこませる……やばい、これはやばいぃ……

 

「ちょ、ちょっと、お母さん!?」

 

 咄嗟に小町が声をかけるも、それには無反応。俺を睨み付けたまま、かーちゃんはもう一度聞いて来た。

 

「私は残念ながら、難聴系主人公じゃないんだよ。八幡。はっきりしっかり、もう一度言いな!」

 

 俺は諦めた……ことこうなれば、もはやかーちゃんが俺に耳を貸すことなんてない。全てを洗いざらい言うほかない……たく……仕方ねえ……

 覚悟を決めた俺は、腹に力を入れて、白状した。

 

 

 

 

 

「一等……5億円が当たった」

 

 

 

 

 

 その瞬間、全員の時間が止まる。なに? 俺やっぱりスタンド使いかなんかなのか? あ……雪ノ下がゆっくり白目剥いて、あ……倒れ………………た。どさり。

 気を失った雪ノ下をそのままに、みんなの時間はまだ動きださない……いや、動いていた。一人だけ……指がぐいぐい肩に食い込んでくる。いたたたたた……

 

「は~ち~ま~ん~……!!」

 

 地の底から沸き上がるように低くドスノ利いた声に俺は戦慄する。なんだよ、ちゃんと言っただろうが! そしてかーちゃんは言い放った!

 

「なんで、連番で買わねえんだよ! このど阿呆がぁ!! 前後賞取りそこなってんじゃねえかよ!!」

 

 ええー? そこ?

 

「ホント―にしょうがない奴だ……まあ、言ってもしかたないね。どれ、じゃあ、お母さんが預かってやるからそれ寄越しな」

 

「ちょ、ちょっと待て! それさっきと言ってること違うじゃねーか。大事にしろとか何とか言ったろうが」

 

「はあ? あたしはそんなこと言ってねーんだよ。ガキの癖に親に逆らうんじゃねえよ。ほれ、さっさと寄越せ」

 

「い、いや……銀行に預けるくらい俺でも出来る。大丈夫だ」

 

「ばっ……阿保かオメーは。ガキが一人で大金持ってるのがあぶねえって言うんだよ。それに、お前は未成年だ。お前を養ってるのはあたしたちだ。だからお前の金もアタシらが管理しなきゃいけねーんだよ」

 

「どこのジャイニズムだよ!! もういいから、ほっといてくれ。俺はこの金銀行に預けて、利息で生活するんだよ」

 

「ばっか、オメー。いいか、この低金利のご時世に、そんな都合よく生活できるわけねーだろ。そんなのに金使うくらいなら、家のローン返して、家族でハワイに旅行してだな……」

 

「てめー、最初から使う気満々じゃねーか。俺の金云々はどこ行ったんだよ!」

 

「がたがた抜かすな!! 親に歯向かうんじゃねーよ。ゴルワァ!」

 

 もう……なにが何やら、まさに阿鼻叫喚。修羅と化したかーちゃんを止められるものはなにもなく、俺はとにかく宝くじを守り続けた。そして数十分の攻防の末、ついにかーちゃんは折れた。

 

「……はあはあ……わかったよ、八幡……あんたの言う通りにしよう。あんたの口座を作りな……で、大事にしな……。ま、この先色々金もかかることもあるからね。あ……みんなには恥ずかしいとこ見せちゃったね。勘弁しておくれよ。これからも八幡のことをよろしくね……えーと、由比ヶ浜さん?」

 

「は、はい!」

 

 そう言ったかーちゃんは、床に置いてあった荷物を持って、静かに階段を降りて行った。

 

「はあ……勝ったか……」

 

 がっくり膝をついた俺に、小町が飛びついてくる。うん、マジで強敵を退けたヒーローって感じで悪くない気分だ。おっと、雪ノ下は……

 気を失っている雪ノ下を、由比ヶ浜が抱き起す。どうやら無事の様だ……って別に当たり前なんだけども…

 

 その後は、小町も含めて4人で、ジュースを飲みながら当初の目的の通り、テスト対策の勉強をする。大金が当たってしまい、確かに動揺もしたが、こいつらは特に問題ない。

由比ヶ浜も雪ノ下も、逆に俺に気を遣うような事を言ってくれる。今日はそれが素直に嬉しかった。そして一通り用事が済んだ後、俺は二人を送って家を出た。そしてその足で銀行に向かう。この手の事はさっさと済ましてしまうに限る。そして俺は、5億円の貯金を手に入れた。

 

 

 そして次の日。

自転車で学校に向かっているとなにやら異変が起きていた。

 

「おはよー、比企谷君!」

 

 は? いきなり見知らぬ女から挨拶された。制服を着てるから、うちの学校の生徒なんだろうが……。

それから暫くそんなことが続く。

話したことも無い連中から次々とあいさつされて、正直気分が悪い。

学校に到着して教室に向かっている途中、やはり俺は複数の女子に挨拶をされた。だから、なんなんだよ、いったい……

 

「ちょ、ちょっと……ヒッキー! 大変だよ!!」

 

 廊下で俺を見つけた由比ヶ浜が俺に駆け寄ってくる。

 

「おお……昨日は悪かったな。それにしても、今日はどうなってんだか。知らないやつに声を掛けられまくるんだが……」

 

「そう、それ! ヒッキー良い? 落ち着いて聞いてね」

 

 由比ヶ浜が焦った顔で俺にそう話しかける。落ち着いてね……って、まさか、由比ヶ浜にそんな風に言われるとは……

 

「で、なんなんだよ」

 

「えーとえね……今日、朝からみんなこの噂でもちきりなんだけど、『ヒッキーの彼女になると5億円もらえる』って、みんなこの話しで盛り上がってるの! みんなヒッキーが宝くじ当たったこと知ってるみたい!! ねえ……どうしよう」

 

 由比ヶ浜はそう言って泣きそうな顔を俺に向ける。どうしようって……そりゃ……

 

「ど、どうしよう……」

 

 由比ヶ浜と同じことをポツリとつぶやいて、俺はその場に立ち尽くした。 

 

 

 ◇

 

 

 その日、俺は一日最悪の気分のまま過ごした。理由は言うまでもないだろう。

どこでどう聞いて来たのか、まるで砂糖に群がる蟻のように、一度も話したことも無い女達から声を掛け続けられたからだ。正直耐えられない。たまったもんじゃない。これが金の力なのか。

 休み時間のたびに、数人の女生徒が、俺の周りに集まってくる。そして、他愛もない話をしてくるわけだが、小心者の俺は必死に愛想笑いに終始して、なんとか乗り切ってきた。

我ながら情けない。そしてそのせいで、戸塚は全く俺に近づいて来ない。くっ……俺の教室での唯一の楽しみを……

 そんな俺を、由比ヶ浜や、川なんとかさんなんかが見つめてくるって感じだ。

そんなに冷たい視線送るんじゃねえよ。そりゃ滑稽だろうけどよ。このボッチの俺が突如人気者みたいになってるなんだからな。

 くっそ! くそっ、くそッ……何だっつーんだ……頼むからほっといてくれよ!!

 気が付けば4限の終了のチャイムが鳴っている。

 また、知らない女どもが群がって来るのか……俺は憂鬱な気分になりながら、立ち上がった。その時……

 

「ヒッキー!」

 

 声を掛けた主は俺の良く知る人物だ。でも教室でこいつが話しかけて来るなんてな……由比ヶ浜は何かもじもじしながら俺に話しかける。

 

「ねえ、ヒッキー、このままだと大変だし、良かったら一緒に部室でご飯食べ…」

 

「ちょっと、どいてよ、ねえ、比企谷君……私達と一緒にご飯たべようよ! ねえ、お願い!」

 

 由比ヶ浜の肩に手を掛けたその女生徒達が、彼女を押しのけて俺を囲む。その当の由比ヶ浜は……顔を俯かせて顔を逸らしてしまった。

 ちょ、待ってくれよ……

 俺が声を掛けようとしたその時……

 

「おい……比企谷はいるか?」

 

 不意に、教室の入り口から声がして、そちらに顔を向けると平塚先生が立って俺を見ていた。

 

「比企谷……お前には9時に職員室に来いと言っておいたはずなんだがな。なぜ来なかった」

 

 そう言えばそうだった。昨日雪ノ下の奴がそんなことを言っていたっけな……今日のこの異常事態の所為ですっかり忘れていた。

 

「あ、す、スイマセン」

 

「ホントにしょうがない奴だな、君は……まあ、良い。今からすぐに来たまえ」

 

 その言葉に促されて、俺は席を立つ。そして、平塚先生について教室を出るその時、ふと、振り返ると、先程俺に群がっていた女どもが、今度は由比ヶ浜を囲もうとしていた。俺は……

 そのまま、教室を後にした。

 

 先生に連れられて職員室に向かっていた俺だったが、先生は職員室を通りすぎた。そして、その足で生徒指導室に入り、そしてカギを掛けた。

 

「さあ、掛けたまえ」

 

 そう言うと、先生はいつものように奥の椅子に腰を下ろす。俺は手前だ。座ってすぐに、先生は俺の前に菓子パンとMAXコーヒーを置いた。

 

「これは?」

 

「私からのサービスだよ。君については色々話は聞いている。今日の様子じゃ食事もままならないだろう」

 

「はあ……ありがとうございます」

 

「まあ、遠慮せずに食べたまえ」

 

 そう言われて、俺はそのパンに齧りついた。先生も何かヨーグルトの様な物を取り出してそれを食べ始める。で、何も聞いていないのに、「これはプロテインだ」と、ニヤリと笑って話した。

 

 暫くして、先生が唐突に口を開いた。

 

「どうも君には似合わない話が付いてまわっているようだが……どうかね? 人気者になった気分は?」

 

 冷やかし半分といった様子で、先生が俺にそう語り掛ける。

 

「どうもこうもないですよ……最悪です。知らない連中に挨拶されるは、話しかけられるは、ホント堪りませんよ」

 

「そうか……ま、その類の話は普通の事だとは思うのだがな。まあそうか……」

 

 先生は苦笑交じりに俺にそう話す。

 

「で、この先どうする気かね? この妙な噂が真実であれ、嘘であれ、このままにしておけば、君にとっての安穏の日々は永久に戻っては来ないだろう。というよりも、君が大事に思っているものまで失われてしまうのではないかね?」

 

 それを聞いて、俺は唇を噛む。一瞬、先程の由比ヶ浜の姿を思い出した。あの後……俺が教室を出た後……いったいどうなったんだろうか……

 その俺の表情を見ていた先生が口を開いた。

 

「君が想っている以上に、君を助けたいと思っている人間は多いという事だよ。もう少し頼ってみてはどうだ? そろそろ人を信じて見ても良いと私は思うがね」

 

 そう言って微笑んだ先生の表情は、どこか優しげだった。そんな先生に俺は声を掛けた。

 

「先生……一つ。俺の頼みを聞いてくれませんか?」

 

 先生は静かに頷いた。

 

 

 

 

 その後、午前中と同じように俺は静かに耐えた。俺に話しかける女たちも、会話に苦労したことだろう。それよりなにより、そんな俺を見る男どもの冷たい視線がなにより応えた。

 もともと、俺の耐久値は低い。だから敢えて関わらず、最小限に被害を抑えるがごとく振る舞っているのだ。ところがだ。

こと、この事態に及んでは、そんなニュータイプ張りの回避をすることも出来ない。四方八方から嬲られてるのと同じだからな。

それでも、俺は耐えた。どうにかしてこの状態から脱しなくてはならない。そのためには何とか今日を乗り切らなくては……そして、何が何でも、元の嫌われ者のボッチに戻るのだ。

 

 放課後……

 俺は一目散に部室へと向かった。いつもよりも早く出たのだが、それでも行く先々で声を掛けられる。そして、ようやく部室に辿り付いた俺を待っていたのは……

 

「あ、比企谷君だぁ! ねえねえ、わたしも奉仕部? に入りたいの……ね? いいでしょ」

 

 またもや数人の女子に囲まれてしまう。

 

「奉仕部の理念を理解せずに、興味本位での入部は絶対に認めません」

 

 そんな女どもを強気にあしらう雪ノ下部長。マジで頼もしい。今日ばかりはコイツが部長で良かったと本気で思った。遅れてやってきた由比ヶ浜も加わり、いつものように席に着く。だが…

 部室を取り囲む女どものざわめきが全く消えない。こいつらどんだけ暇なんだよ。しかも連中の声が聞きたくもないのに耳につく。

 そのざわめきに俺は不快になった。

 

『雪ノ下さんは分かるけど、あの由比ヶ浜って子、なんなの?』

 

『ちょっと私達より早く比企谷君と知り合ってたからって当たり前のように近づいちゃって、本当ムカつく』

 

『そんなにお金が欲しいのかしらね……ホントあさましいよね』

 

 いったいどの口がそれをほざくんだよ。昨日まで全く俺に興味なかったくせに……それにしても。

チラリと由比ヶ浜を見ると、いつものようにスマホを片手にその画面を見ている。だが、見ているだけだ……文字を打ってもいないし、文章も読んでもいない。こいつ……

 そんな俺達を見る雪ノ下が、しずかに顔を上げて言った。

 

「今日は部活にならないわね……御終いにしましょうか」

 

「う、うん」

 

 雪ノ下の言葉に由比ヶ浜が静かに頷く。そして、立ちあがった由比ヶ浜が俺のそばに近づいて、一言囁いた。

 

「ヒッキー……あたし、ヒッキーの事助けてあげるね」

 

「は? お、おい……ちょっと待て……」

 

 由比ヶ浜は俺にニコリと微笑むと、俺の制止も聞かずに一人速足で扉へ向かって行った。そして勢いよく扉を開け放った。

 そこには驚いた顔の女生徒達が……彼女らは、一斉に部室に雪崩れ込んで来ようとする。それを由比ヶ浜は、腕で制した。女生徒達は一斉に非難の眼差しを由比ヶ浜に向ける。

 

「なによ……あなた、邪魔する気なの? ホント、何様?」

 

 その言葉に、由比ヶ浜は、大きく笑った。

 

「あはははは……ほーんと、バカばっかりね! 何をみんなムキになってるの?」

 

 大きく声を張り上げる由比ヶ浜に、そこにいる女生徒達は呆気に取られている。あのバカが……

 

「はんっ! 彼女になればお金がもらえる? ホントにそんなこと信じてたの? ばっかみたい……そんな事あるワケないでしょ……みんなホントにばか。あははははははは」

 

「な? あんた何言ってんの? あんた比企谷君の何を知ってるっていうの? 比企谷君ひとりぼっちで淋しいから彼女を欲しがってるのよ。かわいそうな彼を救えるのは私たちだけよ!!」

 

 そう言われた由比ヶ浜が、その女生徒にずいと近づき、見下ろす様にして言った。

 

「それがバカだって、言うんだよ……結局彼女になりたい理由は、お金お金お金……あははは、ばっかみたい。だって、あの噂……流したの私だもん」

 

「な!?」

 

 その場にいた全員が絶叫する。そりゃそうか……自分の信じてた事を全否定されたんだ。しかも、掌の上で操られたかの如く言われて……

 

「う、嘘よ……それならなんでこんなにみんなが信じてるのよ。こんなのあんた一人で出来るわけないじゃない」

 

 そう言われた由比ヶ浜がさらに言葉を続けようとする。その時、由比ヶ浜が拳を握りしめるのを、俺は確かに見た。

 

「出来るよ……そんなの簡単だよ! だって、あたしはコイツが……比企谷が大っ嫌いだったから! このムカつく男に一杯食わしてやりたかったから! だからあたしはあの噂を流して……「それは違う、由比ヶ浜は何も言ってない」……ヒッキー? な、なんで?」

 

 俺は由比ヶ浜の両肩に後ろから手を乗せた。それから由比ヶ浜の身体を俺の方に向ける。そして教えてやった。

 

「あのな、由比ヶ浜…威勢よく啖呵切るのはいいんだけどな、そんな涙流しながら言っても誰もそんなハッタリ信じやしねえよ…」

 

 由比ヶ浜はグスッと鼻をすすりながら俺を見ている。もう目は真っ赤で鼻水だって垂れてきてしまいそうな顔になっていた。そんな向かい合う俺達を見ながら、まわりの女生徒達が話しかけてきた。

 

「じゃ、じゃあ、噂は本当なんだよね。えーとね……比企谷君、良かったら私と……」

 

「ダメダメ、私と付き合ってよー」

 

「ううん……私とだってば…おねがいー」

 

 わらわらと群がってくる彼女らにではなく、俺は由比ヶ浜に声をかけた。

 

「なんで、こんな慣れない事したんだよ……お前らしくも無い……おかげで俺が考えてた方法がダメになるとこだったじゃねえか」

 

 由比ヶ浜は涙を流し続けたまま俺を見上げる。そして微かな声で呟いた。

 

「だ、だって……。ヒッキーを助けたかったんだもん。あたしいつも、いつもヒッキーに助けられてばっかでさ。だから……こんなことくらいしか出来ないけど、ヒッキーの辛そうな顔……見てられなかったから……だから」

 

「だからって、あんな言いかたしなくても……俺マジで傷ついたんだけど」

 

「ご、ゴメン……」

 

「あのな由比ヶ浜……俺にとっちゃ誰かに嫌われるなんてなんてことないんだ。知らないやつに何を言われたって、俺自身のことなら全然平気だ。でもな……俺にとって大事な奴がそうされるのは本当にきついんだ。そんなところ見たくもないし、考えたくも無い。分かってくれるか」

 

「う、うん解る……わかるよ。でもね、ヒッキー……それはあたしも一緒だよ。あたしだって大事な人が人に酷く言われるところなんて見たくないよ。もう……ヒッキーがみんなに酷いこと言われるところなんて見たくないの」

 

「由比ヶ浜……」

 

「あのね、ヒッキー……本当は今この言葉は言いたくなかったの。だって、今言ってもそれは別の理由で言ってると思われちゃうと思ったから……でもね……あたし言う。後悔したくないから……もうこれ以上辛い思いのままで居たくないから……あのね、あたしね……」

 

 そう言った由比ヶ浜は、俺の制服の胸に手を置いて言った。

 

「好き……なの。ヒッキーが好き」

 

 突然の告白だった。でも、予期していた。そう、俺は解かっていた。前からずっとコイツの気持ちを……。今更、誤魔化したり、勘違いを装ったり、茶化したりもしたくなかった。コイツがこんな状況で俺の為にふりしぼってくれた勇気。俺を思って行動してくれたそれを。なぜなら、俺だって、コイツの事を。

咄嗟に沸き上がった切ないくらいの愛しさに、俺は無我夢中になって由比ヶ浜を抱きしめた。そして、そっと由比ヶ浜に言った。

 

「ああ……俺も好きだ……ありがとう由比ヶ浜……」

 

「ひ、ヒッキー……」

 

 由比ヶ浜も俺の背中に手をまわす。そして咽び泣いた。

 

「ちょ、ちょっと!? 比企谷君? これ、どういうこと? 由比ヶ浜さんを選んだってことなの?」

 

 焦った口調で俺にそう問いかける女子に、俺は答えた。

 

「ああ……まあ、そういうことになるのかな? ええと、はい」

 

「じゃ、じゃあ、5億円も?」

 

 俺はその言葉を聞いて、内心にやりとほくそ笑む。そして用意しておいたテンプレの回答をここで述べた。

 

「はあ? 5億円? 何言ってんだ、そんな大金あるもんか、ちょっと考えればわかるだろ」

 

「え? え? いや、だって……」

 

「5億円じゃなくて、これだよこれ」

 

 俺はポケットに忍ばせておいたそれを手で掴みあげると、周りに群がる彼女たちに見せた。穴の開いた丸いそれを。

 

「え? それって……ご、5円玉!?」

 

 俺はそのまましたり顔で続けた。

 

「ああ、そうだ。5円玉だよ。前に葉山たちと話した時に、彼女欲しいんだけどどうしたらいいかって聞いたら、縁結びだから、願かけの意味で5円玉のお守りとかいいんじゃないかって言われてな……ほら、ご縁がありますようにって。だから、彼女が出来たら、このお守りの5円玉をあげようと思ってたんだよ。でも、5億円? それ、どこの5ちゃんネタ?」

 

 そこまで言うと、彼女たちはお互い顔を見合わせた。そして、頃合いを見計らって、俺は抱き付いてる由比ヶ浜をひき剥がして、彼女の眼前にその5円玉を差し出した。

 

「由比ヶ浜……これを貰ってくれないか?」

 

 由比ヶ浜はそれを聞いて満面の笑みを浮かべた。

 

「うん! 嬉しい……好きだよ、ヒッキー」

 

 そう言って5円玉を嬉しそうに受け取った由比ヶ浜をを見た周りの女連中は、一斉にその場を離れていった。後に残されたのは再び抱き合った俺達二人と、ずっと静かにことの成り行きを見守っていた雪ノ下の三人のみ。

 

「上手くいったようね……本当に冷や汗ものだったわ。でもまさか由比ヶ浜さんがあんな風に啖呵を切るなんて夢にも思いもしなかったわ」

 

「ああ……まったくだ。由比ヶ浜にコイツムカつく呼ばわりされた時は、本気で立ち直れなくなるかと思ったよ」

 

「え? あ……ご、ごめんね。あの時は何とかしなくちゃってばっかり思ってて……」

 

「まあ、でもお前のおかげで上手くいった。計画とは違っちゃったけどな」

 

「計画って?」

 

「ああ、平塚先生に頼んでおいたんだよ……5億円の噂を5円に変更してくれってな。そう葉山たちを説得しておいてくれって。まあ、まさかこんなに早くこの設定を使うことになるとは思わなかったけど、万事OKだ。これで、俺も……それに由比ヶ浜、お前も、変な連中に難癖つけられることももうないだろ……ほんと、ありがとうな」

 

「う、うん……ヒッキー好き! 大好き!」

 

「お、おお……お、俺もだよ……う、なんだか恥ずかしいな……これ」

 

 その俺の言葉に雪ノ下がため息をつく。

 

「はあ、全く……恥ずかしいのはこっちなのだけれど。まあ、でもこれで解決の様ね。あなたの5億円の貯金も秘密に仕舞われたわけだし、彼女が云々の噂も、この5円玉と、由比ヶ浜さんの存在で全て落ち着くでしょうしね」

 

「いや、そうでもないな……まだ一つ残ってるよ。一番厄介なのが」

 

 

 

  

 

 

 その日、俺達3人は俺の家に向かった。今回の大騒動の元になった人物に制裁を加えるためだ。そして、悪の本拠地である我が家に着くと、予てより連絡を入れておいた小町も交えて、その下手人に詰問した。

 

「へ? あたしは何も言ってないぞ」

 

「しらばっくれるなよかーちゃん、あの時この5億円のこと聞いてたのは、俺達4人の他はかーちゃんだけだろうが……ならこの5人の他に誰が知ってるって言うんだよ」

 

 かーちゃんは顎に指を当てて暫く考え込む。そして……

 

「ああー! そういえば昨日、酔っぱらって帰ってきたとーちゃんに、八幡に彼女が出来たかも―って話をして……あ、で、5億円当たったとは言ってないけど、5億円当たったらどうする? って聞いてみたな……確か」

 

「あ、じゃあ何か? 親父の奴寝ぼけて聞いて、適当なことしゃべりまくったっていうのか?」

 

「まあ、そんなとこじゃないの? とーちゃんのことだからね、仕方ないよ。それよかあんた、由比ヶ浜さん? 本当にこんなんで良いの? 勧めておいてなんだけど、こいつロクデナシだよ?」

 

 なんてこと言うのこの母親は……自分の息子捕まえて! っていうか由比ヶ浜のやつ、さっきから俺の腕に抱き付いたままだし! 一応、彼氏の母親なわけだし、ちょっとは恥じらいとか……あ、かーちゃんは関係なかったか……この分だと息子の俺のポジションに由比ヶ浜を代わりに入れるまであるな。

 

「はい! 大好きなんです!」

 

 その言葉に、その場の全員の魂が持っていかれた。ホント……無垢って罪だと心から思った。

 

「おお……帰ったぞぉ!! ヒック……今日も5億円当たったのかぁ~? なはははは……」

 

 おおっと……玄関の方からA級戦犯の声が聞こえて来たぞ。これはあれだ……かーちゃんに任せて俺達は退散しよう。

そう思って、かーちゃんを見れば、親指を立ててサムズアップ。そして口を何度も動かしてる。よく見ると……『ハワイハワイハワイ……』だー、もう分った! 行くよ、行けば良いんだろ!? そんときゃ結衣も一緒だっつーの!! ったく仕方ねえ……俺もサムズアップで返すと、かーちゃんは飛び跳ねて喜んだ顔を見せた。

そして表情を鬼へと変えて奴の前に立った。

 

「あんた~!! いったい誰に何を話したんだぁ……ああん!?」

 

 俺達の背後で、恐ろしい魔獣の咆哮が響き渡った。

 

「さーて、これで本当に解決だな……雪ノ下、由比ヶ浜、本当にありがとうな。お前らがいなかったら、本当に人間不信になるところだったよ」

 

「そうね。以前のあなたならそうだったでしょうね。でも、これでも私は貴方の事存外信頼してるのよ、リア充谷君」

 

「えへへ……あたしは前からヒッキーのこと信用してたよ。だからこれからも宜しくね!」

 

「ああ。俺の方こそ、宜しくな」

 

 ま、色々あったが、いい教訓になった。『金は怖い、女はもっとこわい』だから、せっかく出来たこの関係……大事にしよう。これからも奉仕部に俺は居る。

 ただ……

 もう、ボッチとは誰にも認めて貰えないだろうけどな……

 

 

 

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