『八幡』と『結衣』と『雪乃』のオムニバスストーリー 作:こもれび
「なあ、どっか別の場所にダンジョンの出入り口が、あるんじゃねえか?」
その言葉に反応したのはアスフィさん。
「ちょっと、待ってください。ダンジョンは塔バベルの地下1階部分の約20Mの大穴を頂点に、一層下がるごとに広さが増す円錐型をしています。そして、ダンジョンは生きているとも言われるように、破壊したりした場合でも復元されるんですよ。ここ1000年あまりのダンジョンの知識からみても、他に出入り口があるなら、神ウラノスやそこのフェルズ様がご存じないはずがありません」
年長者への気配りを感じたフェルズが、ちょっと照れた感じで頭をかいていた。普通にうれしいんだな。
「確かに、わたしの知識の内でもダンジョンの他の出入り口など聞いたこともない。だが、それがだからといって、それがない理由にはなり得ないのだ。私の考えを聞いてもらえるか?」
そう言って立ち上がったフェルズが、ローブを翻して俺の脇に並んだ。そして、発声器官などないだろうに、咳払いをしてから、話始めた。
「先ほどの八幡君の話に出てきた、ダークエルフや黒ローブの集団についてなんだが、その衣装の集団に私は心当たりがある。多分、
そして、フェルズはイヴィルスについて説明を始めた。
彼らは世界の終焉に向け様々な悪辣非道を進んだのだが、これも元々はその神々の暇潰しによる悪いジョークだったらしい。
当然だが、悪ふざけの過ぎたその神々は、他の神の不興を買い、その悉くが天界へと送還された。
だが、事態はこれで収まらなかった。
残された眷族たちは、主神なき後もなお、邪神崇拝を進め、各地で世界を混乱と混沌に落とすべくテロ活動を行い続けている。そして、その影響はこのオラリオや、ダンジョンでも散見されているのだという。
「実は、これはまだ一般に周知出来ることではないのだが、ダンジョン内でかつてないほど大規模なイヴィルス残党の手による事件が起きている。アンドロメダ嬢もこの件には遭遇しているから、事実確認は可能なので疑う必要はない。ここで、重要なのは、彼のイヴィルスどもが、ダンジョンに如何にして潜入したかについてだ。当然だが、バベルのダンジョン入り口からの侵入はあり得ない。私の分身が昼夜を問わず見張ってもいるしな。では、どういうことが考えられるのか、それは……」
フェルズは一度言葉を区切ってから、話した。
「ダンジョンの下層、いや、少なくとも中層に別のダンジョン入り口が開いている可能性が高い」
確かに、フェルズのいうとおりなんだろうな。
ダンジョン入り口は螺旋階段になってて一本道だ。どうしたってそこを通らなきゃならない上に、周りからも丸見え、どうしたって隠れようがない。
それこそ、アスフィさんの作った
となれば、ダンジョン内のどこかに出入り口があるとは思うのだが、そうだとすれば、地上のどこに出るのか……って、そうか、アンを見つけた場所。
「フェルズの言う通りだとすれば、地上に出るための出口もどこかにあるはずだ。で、この前アンを助けたあの場所。あの付近に地下への繋がる入り口がありそうだな」
俺のその言葉に、雪ノ下と由比ヶ浜も頷く。
「本当か?なら、その場所を教えてもらえないだろうか」
「ああ、でも、実際にその場所を知ってるのはポリィなんだ。あ、ポリィは知ってるよな?昨日案内してくれた。詳しいことはあの子に聞いてくれ」
「そうか……ちなみにどのあたりなんだ?」
「ああ、ええとな、この近くなんだが、『ダイダロス通り』の外れだな」
とりあえず、この地上への出口に関しての調査はフェルズが執り行うことになった。
ただし、過去にもこの辺りの調査はしたことがあったようだから、今回果たして見つけることが出来るかは疑問ではあるが……
「さて、ダンジョンの出入り口に関してはフェルズが調べるとして、そう言えばアスフィさん、今日は何か用があって来たんだよな。さっきの【イケロス・ファミリア】の荷物の報告ってことで良かったのかな?」
俺がそう尋ねるとアスフィさんは居住まいを正して話した。
「ええ、そうなんですが、【イケロス・ファミリア】の物と思われるオラリオからの輸出品を乗せた荷車が明日出発するとの連絡があったので、一応みなさんにお伝えしておこうと思いまして……でも……」
アスフィさんは肩を竦めて続けた。
「今までのお話しだと、多分今回の荷車には何も問題は無さそうですね。これは私の想像の話ですが、彼のファミリアはダンジョンに繋がるその場所に隠れ家を用意していて、そこから秘密裏に荷物を運び出していると考えます。そうでなければ、人目につかずに密輸を繰り返すことは不可能だと思いますし……それと、先ほど話に出た、
実に明快な解析。
俺たちとは頭の出来が違うな、やっぱり……
うーん、でもそうなると、まずは奴等の隠れ家をみつけなくちゃいけないわけか……さて、どうすりゃいいか……
明日はあれもあるしな……
「いっそ、神イケロスに直接頼んでみるか……」
「「「「「え?」」」」」
俺の独り言に全員、目を丸くして絶句。
そんな奇妙な生き物見るような目はやめろって……
「い、いや、あのな?奴等がどうやってアンたちを捕まえてるのかもいまいち分かっていないし、アジトもダンジョンの別の出入り口も分からねえと来てる。そしたら、闇雲に手がかりさがすより、直接神に話した方が早いだろ。大体、最初に声かけて来たのは向こうのほうだしな」
「で、でもですね、八幡さん、自分達が後ろめたいことしてるのに、それを自分から白状するとは思えませんが……」
「それにな、もう時間がないんだよ。アンの友達を助けるのには」
「え?」
「!」
全員が驚く中で、特にアンの表情が変化した。さっきまでニコニコとずっと微笑んでいたというのに、急に眼を見開いて呆然となってしまっていた。
「アスフィさんの言うことももっともなんだが、俺は、あの時、神イケロスに言われた『デック・アールブ』のことが気になっててな、あの神が探してるのがこの前俺たちが会ったあのダークエルフのことなら、そのネタで巧く交渉出来そうな気がするんだよな。少なくとも、アンと一緒に捕まったゼノスに関しては、大分時間が経っちまって、もう一刻の猶予もない。だから、今回だけは搦め手だ。どこかに運ばれる前に向こうの神と交渉しようぜ」
俺のこの提案に、一同唖然。言葉もない。まあ、普通じゃないのは、俺もわかってるよ。
ただな、助けてやりてえしな。
見つめた先にいたアンは、今にも泣き出しそうな顔になっている。こいつも、明るく振る舞い続けてくれていたが、心のどこかでやっぱり仲間のことを気にしていたんだろうな。
「う、うん!そうだよ!アンちゃんの友達助けてあげよ!」
由比ヶ浜がぐっと拳を握って俺を見る。そして、となりにいた雪ノ下も続いた。
「そうね、初めからアンさんの友達を助けるつもりではあったわけだし、少しでも可能性があるのなら試してみるのも良いわね」
「お、お前ら……」
「ふぇえええ…………、ユイユイ~、ユキユキ~、アリガト、アリガトォ……」
見れば、ワナワナと震えながら両の翼で顔を覆ったアンが嗚咽をあげていた……
今まできっと、我慢し続けてたんだろうな。気付いてなかったわけじゃないが、焦りや不安は相当だったんだろうな。
俺は改めてアスフィさんに向き直って依頼をした。
「アスフィさん、神イケロスと話をしたい、【ヘルメス・ファミリア】の情報網なら、神イケロスと接触出きるんじゃないか?ちょっと頼めないかな」
俺の言葉に、アスフィさんも諦めたように嘆息、そして……
「わかりました、早速ヘルメス様に報告して、先方と接触を図ってみます」
「わりぃ、サンキューな」
「ただ、向こうは実力も規模も不透明な【ファミリア】です。八幡さん達がいくら強大な魔法使いだと言っても、不意を突かれたらどんな事態になるかわかりません。ですので、最大限用心した方が良いかと」
アスフィさんの忠告はもっともだ。なら、どうすればいいか……用心棒でも雇うか?それとも、何か他の手を……
そんな風に試案していた俺に、アスフィさんが問い掛けてきた。
「そう言えば八幡さんたちのレベルはいくつなんですか?いえ、本来はこんな話をすること自体失礼極まりないことは重々承知しておりますが、あれだけの魔法を使われるということは、かなりのレベルの方だとお見受けしたのですが……いえ、ホント、失礼を承知で聞いてます、ど、どうかご無礼ついでに教えてくれちゃったりしません?なんか、ついポロッと言っちゃったなー。みたいな?」
ハアハアしながら、そう言うアスフィさんの上目遣いの目は、好奇に満ちちゃっている。知りたい欲求が勝っちゃったんだね……でもな、教えてやりてえけど、俺達だって自分のレベル知らねえし、そもそも、この世界に来てからステータスみたいなもん確認できてねえからな。
ルビス様の眷属ってことで、ここで恩恵を受けると、どうなるのかな?頭はドラクエの知識が残ったままだし、実際にじゅもんもバンバン使えてるから、そこだけ見ればレベル60クラスのドラクエ時のステータスなんだろうけど、実際鍛え上げた肉体は向こうの世界の俺たちに返しちゃったし、この今の体は完全に地球産のそれだしな。なんとなくだが、レベル1の0からスタートになる気がするな。
「えーと、俺達まだ、ルビス様の恩恵をうけてねえんだ。だから、今レベルいくつなのかわかんなくて……って、あれ?」
さっきまであれほど騒いでたアスフィさんの動きが止まったので、気になって見やると、隣のフェルズも一緒になって
「ふぁ、ファルナを受けていない……だと!?それで、あの魔法の数々を……し、信じられん」
「いやいやいや……待て待て待て……べ、別に隠す気はサラサラないんだが、俺達は一応ルビス様の世界でかなりレベルは上げてたんだ。ただ、今の俺たちの体は、その時の鍛えた肉体とは別物だから、たぶんレベルは初期値だと思うってことなんだよ」
「そ、そうなんですか」
俺の話を聞いたアスフィさんが力なく肩を落とした。
なんか、俺が悪いみたいで、ものすごく罪悪感が募るのだが……
「ま、まあ、でもとりあえず恩恵ってやつを受けてみるよ。ルビス様?出来るんですよね?」
そう言って聞いてみると、ルビス様はニカっと笑ってサムズアップ。それだけ見てると、とてつもなく不安にかられるんだけどね。
「出来る、出来るよ!この前
手をワキワキさせたルビス様がにじり寄ってきた。で、なんか知らんけど俺たちに早く上着を脱げとジェスチャーしてくる。
え?今やんの?
由比ヶ浜と雪ノ下を見たら、顔真っ赤にして恥ずかしそうにしてるし……ここ、いつも通りなら、男は俺しかいないわけだし、それなら3人で上半身裸になっても、たぶん今のこいつ等なら平気そう……うん、でも俺は間違いなく失神だな。
ただ、ガイコツだからよく分かんねえけど、一応フェルズ男だからな、分類上。というわけだから、当然雪ノ下達はNOだ!
はあ、じゃあ、俺か……
「えーと、そしたらルビス様?お願いします……」
「おお!任して!絶対失敗しないから!」
いや、その言葉、余計に心配になるんですけどね……
俺は言われるままにシャツまで脱いで、ルビス様に背中を向けた。そして、台の上に上ったルビス様が俺の背中に向かって一言二言、なにか呪文のようなものを呟く……
そして……
地下室全体が眩しくなるほどの光が現れて、俺の背中に文字が刻みこまれていく。ヒリヒリと灼けるようなその熱い感覚を我慢しつつ、俺はこの儀式が終わるのをジッと待ち続けた。
この場の全員の視線は俺の背中に集まっていた。
そして……
「ふうー。終わったよー。我ながら完璧でした」
「って、俺自分じゃ見えないんですけど」
「あ、そうだったそうだった、メンゴメンゴ!紙に写してあげるんだった」
「スゲエ言葉知ってますね?ちなみにそれもう死語だからな」
そう言いながら、スススーイと背中の紙に指を滑らせたルビス様は俺にそれを差し出してきた。
そしてそれを受け取ると、今度は全員がその紙を見ようとにじり寄ってくる。って、ちょっと女子率高すぎて、くらくらする……フェルズはくんな!どっか行け!
俺は何が書かれているのか、ドキドキしながらのぞき込んだ。
さて、どれどれ……
比企谷八幡
HP 10/10
MP 444/444
称号:元ゆうしゃ(暫定)
性格:ひねくれもの
せいべつ:おとこ
レベル78
ちから : 8
すばやさ : 8
たいりょく : 8
かしこさ :123
うんのよさ :116
最大HP : 10
最大MP :444
こうげき力 : 8
しゅび力 : 8
Ex : 4330725
《じゅもん》
ホイミ べホイミ
ベホマ ベホマズン
ザオラル ルーラ
リレミト トヘロス
メラ ニフラム
アストロン ギラ
マホトーン ラリホー
ライデイン ベギラマ
イオラ ギガデイン
《スキル》
・良くも悪くも女性が寄ってくる。
・女性がらみの行動は良くも悪くも効果が数倍する。
《発展アビリティ》
なし
って、オイっ!!