『八幡』と『結衣』と『雪乃』のオムニバスストーリー   作:こもれび

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完結ですとか言っておいて、いきなり帰ってきました、すいませんw

この作品はだいぶ前に書いたものでして、以前に、pixivのとある集まりで、アロエちゃんが可愛いという話になり、というか可愛いのでw、この作品にも登場していただきました。

ということで、この作品はまだ書いてない未来の先の話の、さらに番外編(つまり関係ないお話w)となります。

息抜きがてらにどうぞ。


(60)閑話 ダンジョンに潜ったら、アロエちゃんがいました。(挿絵あります)

『マンドラゴラ』

 古来より、人のように動き、引き抜くと悲鳴を上げて、その声をまともに聞いた人間は発狂して死んでしまうとも言われた魔性の植物。

 根の奇怪な形状と劇的な効能から、中世ヨーロッパを中心に、上記の伝説がつけ加えられ、魔法や錬金術を元にした作品中に、悲鳴を上げる植物としてしばしば登場する……

 

 というのが、俺の知識ではあったのだが、まさか本当にマンドラゴラを採集させられることになるとは夢にも思わなかった。

 

「八幡さん、気をつけてくださいね。叫び声聞くと死んじゃいますからね」

 

「って、そんな危険な仕事やらせないでくれる?一応俺たちこの世界初心者なんだからね、ベル君」

 

「僕だってやりたくなんかないですよ、こんな怖いクエスト。でも、借金返さなきゃだし、ここはどうか我慢してください!」

 

 なんか、すでに半泣きになってるペテルギ……じゃなかった、ベル君が俺にずずいと顔を近づけてくる。

 

 分かってる、わぁーってるよ!!

 

 今日、俺たちはダンジョンの下層、43階層に来ている。

 そのメンバーは言うと、俺、由比ヶ浜、雪ノ下、アンの【ルビス・ファミリア】メンバーと、ベル君、ヴェルフ、リリ、命、春姫、ウィーネの【ヘスティア・ファミリア】陣営のメンバー。結構な大所帯ではある。

 

 リリや春姫なんかの低レベルのやつまで引っ張りだして、なんでこんな事をしているかといえば、ついこの前、ベル君たちと共闘したおりに、勢い余ってバベルを消し飛ばしちまったせいである。

 これに関しては色々と物申したいことは多々あったのだが、確かにあれはオーバーキルではあった。

 そんな反省もあり、俺たちは素直に罰を受けてこんな危険極まりない命がけのクエストをこなしているというわけだ。まじでついてない。

 

 で、今いるのが、43階層のモンスター達の食料庫(パントリー)。正面に水場があって、フォモールとか、バーバリアンとかの大型のモンスターもいるのだが、食欲が満たされているのかこちらに向かってもこない。まあ、来たところで、今の俺たち、特にベル君なら余裕で返り討ちにできるがな。

 

 さて、そんな俺たちが探しているのが、完全回復薬【エリクサー】の原料ともなる、マンドラゴラだ。このパントリーに群生しているらしい。

 

 これを500本集めるのが今回の任務。

 要は引っこ抜けばいい、簡単な作業ではある。まあ、抜くだけなら。

 

 一応、抜き方についてだが……

 1、見つける

 2、茎をつかむ

 3、引っこ抜く

 4、大急ぎで口を手拭いでふさぐ

 

 以上。

 

 ちなみに、失敗して絶叫されると、近くにいるやつは全員死ぬ。

 なにそれ、超怖い。

 

 一応、もしもの時のために、俺と由比ヶ浜は交互に抜くことに決めている。

 万が一誰か死んだら、生き返らせられるのは俺と由比ヶ浜しかいないからな。

 

 とはいえ、マジでやりたくない仕事だ。

 

『……ぎゃっ……むごふご……』

『……ぎゃあっ……ごごふ……』

『……GYAAa……humhum』

 

 そこかしこで悲鳴のような声が短く上がりかける度にその口を抑えるベル君たち。

 

 っていうか、よく触れるな、そんな気持ち悪い奴。根っこのところの顔なんて、それまるっきり呪怨じゃねえか。むりむり、さわれねえよ、そんなの!!

 

 と、俺が冷や汗を垂らしてる向こうで、パタリと倒れたのは……春姫たん。

 あ、死んだ?

 急いで由比ヶ浜が駆け寄って、脈をとって振り返る。そして、頭のうえに両手で大きな丸。って、それ気絶しただけかよ。働けよ、春姫たん。

 

 ウィーネはなんか蝶々みたいなモンスター追いかけて遊んでるし、これじゃあ、いつまで立っても終わらね……え?」

 

「おりゃおりゃおりゃおりゃっ!!」

「はいはいはいはいはいっ!!」

 

 威勢のいい掛け声がすると思ったら、ヴェルフとリリの二人が、鬼の形相で、マンドラゴラを引っこ抜きまくってやがる!

 

 それから首をぐるりと反対に回すと、遠くにひとりでポツンと立っている、命姐さん。

 うん、確か俺らとタメくらいのはずだが、あの佇まいはまさに姉御。姐さんと呼ばせてもらおう。話す機会ないけど。

 命姐さんはなにやってんだ?と思って眺めていたら……

 

「でやあああああ!!」

 

 掛け声とともに、地面を踏みしめた途端に、彼女の周囲にマンドラゴラが跳ね上がる……と、ものすごいスピードで刀を振った、次の瞬間『カチリ』と、その刀を鞘に戻した。

 マンドラゴラたちは声ひとつ漏らさずに地面に落ちる。どうやらその声帯をつぶされちゃったみたいだな。

 あんたの刀は斬鉄剣か。

 

 あ、あいつら、超優秀だな。 

 これなら、達成できるかな?

 

 ま、おんぶに抱っこじゃなんか悪いし、とりあえず、俺たちも少しは働かねえとな。

 えーと、マンドラゴラって、どんなだっけか?良くわからねえが近くの奴を抜いてみるか……

 俺は花畑のようになっているその近くを見回しながら、緑の葉っぱがもっさりしている植物に近づいた。

 なんか妙に葉肉が厚い気がするな……

 その葉の付け根をつかんでグッと力を込めたそのとき……

 

「いたいいたい……」

 

「は?今のなんだ?」

 

 なにかマンドラゴラとは違う悲鳴のようなものが聞こえた気がしたが、気のせいか?

 

 俺はもう一度力を込めた。すると……

 

「いたい、いたいのですよぉ!!やめて欲しいのですぅ」

 

「はあ?」

 

 俺は声が聞こえてきた、その葉っぱの根っこに視線を向けてみた。すると、そこにはすっかり顔を地上に出した、苦悶のマンドラゴラの顔が!!

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 って、あれ?こんな女の子みたいなつるんとした顔だったっけ?それに、なんか胴体も手もあるし、なんか胸が少し膨らんでるような……

 その茎?みたいな体みたいなところをふにふにさすりながら、良く見てみようと顔を近づけて目と目があった瞬間……

 

「きゃああああああああああああああああああああああ!!」

「わああああああああああああああ!!死ぬ、死んじゃう!」

 

 しまった!絶叫聞いちまったーーーーーー!

 思わず飛び退いた俺はその場で腰を抜かした。

 そんな俺にマンドラゴラが叫ぶ。目にいっぱい涙を溜めて。

 

「いやああああん、汚されたですぅ、汚されちゃったですぅ、もうお嫁にいけないのですぅぅ」

 

「は?」

 

 泣いてるその植物を良く観察すると、スカートのような葉を広げてまるで座っているような姿勢の小さな女の子の姿。その頭には髪の毛のように葉が幾重にももっさりと伸びている。

 

 あ、この葉っぱ、アロエじゃねえか?

 俺はそいつに恐る恐る聞いた。

 

「あの、お前、ひょっとしてアロエなのか?」

 

「そうですよぅ。他になんに見えるのですかぁ」

 

 いや、どう見てもマンドラゴラだろう……

 

「どうしたのヒッキー?」

「八幡、大丈夫かしら?」

 

 由比ヶ浜と雪ノ下の二人がひっくり返った俺のそばに近づいてくる。

 抜くのに失敗すれば死ぬわけだしな、そりゃ心配だわな。

 

「いや、俺は大丈夫なんだが、変な生き物見つけちまってな。」

 

「変な生き物?」

 

 二人は身を屈めて、俺が見ている先、そのアロエらしき植物に顔を近づけた。

 そして由比ヶ浜が一言。

 

「かわいいーーーー!!」

 

 そりゃ、見掛けは泣いてる目を両手で擦る小さな女の子にしか見えないもんな。

 

「これもマンドラゴラなのかしら?」

 

「いや、アロエらしいぞ」

 

「これがアロエ?信じられないわね」

 

「まあ、ファンタジーだしな。なんでもあるだろうよ」

 

「本当に可愛い。どうしたの?なんで泣いてるの?」

 

 うっうっと嗚咽をあげるそのアロエが、由比ヶ浜の言葉で、顔をあげる。

 

「こ、この殿方に、私は辱しめられたのですぅ。わ、私の穢れのない体を、その手でめちゃくちゃにされたのですぅ。まだ誰にも触らせた事なかったのにー!!もうお嫁にいけないーーーー……ぐす……」

 

「ちょ、ちょっと、ヒッキー!!」

「八幡!!」

「お、俺かあ!?いや、してない、なんにもしてないぞー」

 

 ちょ、ちょっと胸を揉んじまっただけ……げふんげふん。

 

 いきなり二人に睨まれひっくり返った俺達の見ているわきでそのアロエが動いた。

 

「よいしょっと!」

 

 なぜか、地面から足を引き抜くように立ち上がり、スカートをパンパンとはらうと、俺に向かってスタスタと歩いてきた……って、お前足あるのかよ!?根っこじゃねえの?そのスカートの中いったいどうなって……って、俺に鑑賞する趣味はねえからな!!お前ら二人とも、腐ったもん見るような目はやめろっての!!

 

「うう、頭がもっさりなのですよぅ……」

 

 いや、知らねえから……

 そのアロエは俺の体をよじ登ると、俺の肩の上にちょこんと座る。

 そして、言った。

 

「こうなったら、責任をとってもらうのですぅ。アロエと結婚するですぅ」

 

「「「はあ?」」」

 

 な、何を言い出すんだ、このアロエは!!

 由比ヶ浜が慌てた感じで、アロエに近づく。

 

「だめだよ。それは!!」

 

「なぜです?」

 

「それは、えーと、えーと……ヒッキーはもう、す、好きな人いるし!ね、ヒッキー!!」

 

 って、俺にふるんじゃねーよ。なんて言えばいいんだよ。

 

「そうよ、八幡は、もう私と結衣さんと結婚することが決まっているのよ。だからダメよ!」

 

 カッ!と目を見開いて、言い切った雪ノ下の後ろから。

 

「アンもアンも~、アンもマスターと結婚するのー」

 

 いや、アン。お前まで来たら、収集が……

 

「だったら、アロエも結婚するのですぅ。3人も4人も変わらないはずなのですぅ」

 

 腕を組んで、ふんすと鼻息を荒くするそのアロエ。

 その言葉に、雪ノ下と由比ヶ浜が顔を見合わせて……

 

「それならいっか」「そうね」

 

 って、おい!!

 

「あんたらちゃんと働いてくれよー、げっ!なんだぁそのもっさりとしたマンドラゴラはぁ?」

 不機嫌そうな顔をして近づいてきたのは、着流しを着た赤髪の鍛冶師。その後ろからちょこんと顔を出したのは、白いフードを被ったサポーターちゃん。

「そんなロリロリしたのと遊んでるなんて、リリは本気で八幡様を軽蔑します!!行きましょ、ベル様~」

「あー!!リリ、ずるい!ウィーネもベルに抱っこしてもらうの!」

「はれぇ?なんでベル様がリリ様とウィーネ様を抱いて……はっ!!まさかこれから、夜伽をーーーーーぷきゅぅううう……」

「って春姫!?てめえも寝てねえで働けよ、これじゃいつまで経っても帰れねえだろうが」

「ヴェルフ、た、たすけてー」

「ベル様~」

「ベルーーー」

 青筋を立ててるヴェルフの向こうで、リリとウィーネに抱きつかれたベルくんが悶えてるし。

 そんなベル君一行を見つつ、

 

「あっちも大変そうだな」

 

「そうね」「だねー」

 

 なんとなく、俺のスキル『女難の相(ハーレム)』がベル君の人間関係にも影響を及ぼしている気がするが……まあ別にいいだろう。主人公君、強く生きろ!!

 

「それではよろしくなのですよぅ」

 

 俺に頬擦りをするアロエが新しく仲間になったのだった。

 葉っぱがちくちくして痛い!!

 

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