『八幡』と『結衣』と『雪乃』のオムニバスストーリー   作:こもれび

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お世話になってるあろえさんがお誕生日だったということで、お祝いにアロエちゃんのお話を書きました! 当然番外編です。


(63)閑話 ダンジョンに潜ったら、アロエちゃんがいました。②

 今日は久々にホームでまったりしていた俺なのだが、さすがにずっとゴロゴロしすぎてそろそろ飽きてきた。

 なにしろここは異世界、というかダンまちの世界、あ、言っちゃった。

 日がな一日中ラノベを読み呆けようにも、本屋なぞそもそもないし、ゲームをしようにもゲームがない上に、コンセントすらないときてるから、家電なぞなにひとつない。

 まあ、魔石保管庫とかいうまったく腐らない便利な冷蔵庫はあるにはあるが、それで暇を解消できるわけもなく、なら何で遊ぶかっていうと、この前自作した『ジェンガ』をひたすら積み上げるくらいか……、いや、確かジェンガは遊び方が違うと、葉山とか小町に言われた気がするな?

 

 ベッドから起きて、窓の外を見ると、今日も隣の教会には長蛇の列。

 ルビス様もよくやるなー。いっそルビス教の名前で壺とかお札とか売ればいいのに。飲めば寿命が伸びますよとか適当に言っても売れる気がするな、うん、死んだら一回くらいただで生き返らせてあげればもんだいない気がする。おっと、あんまり邪念撒いてるとまた良からぬことが起こりそうだからこの辺にしておこう。

 

 いやあ、本当に今日は暇だ。

 

 このところ、ずっとダンジョンに潜っていたせいで色々なアイテムが減っていたから、今日は由比ヶ浜と雪ノ下の二人は魔石の換金がてらお買い物中だ。

 いつもはオレも一緒に行くのだが、毎回余計な買い物に付き合わされた挙げ句、精神的に完全にノックアウトされるまでファッションショーに付き合わされてしまうので、今日はあれやこれや理由をつけて留守番させてもらった。

 小町と一色はいつも通り下の店を切り盛り中。ここも閉店までずっと大忙しだからな、当然顔は絶対にださない。ちなみに、今はポリィがアルバイトしているわけだ。あいつもいい加減スリ以外の仕事をさせたかったからな。

 結構ウェイトレスのミニスカートが似合ってるとか評判もいいみたいで、本人もまんざらじゃないから、良かった良かった。

 あと、アンだが、あいつは今日もバーバリアン達のところに遊びに行ってるな。

 この前、バーバリアンとデフォルミススパイダーとサンダースネイクが、『進化』して、まさかの美女(?)になっちまったもんで、今日もどうせあれやこれや『モンスター女子会』に花をさかせているんだろうな、うんうん。

 

 と、つまり今は本当に誰もいない。

 

 いや居たな。一人(?)だけ。

 

 俺は頭を掻きながら俺と同じようにぼーっとしているであろう、あいつの所へ向かった。

 そこは、2階のテラス。

 雨が降っても大丈夫なように、屋根つきの温室のようにしているその小屋に入った。

 

「おーい、いるかー? ひまかー?」

 

「おー」

 

 適当に声をかけると、陽の光を全身に浴びながら、だるーっと気の抜けた声をあげる緑色の得たいの知れない生き物……、というか、アロエ?

 奴は眠そうに半目を開きつつ、あくびをするように俺に返した。

 

「ご主人、暇なのですよぅ」

 

「いや、俺も暇だから来たんだが、何か変わったことはないか?」

 

 そう聞いて、そういや、ここで変わったことなんてまず起こるわけねえなと一人思い、頭を掻いた……

 

 が!

 

 変わったことがすでに目の前で起きていた。

 

 なんというか、アロエが……、ダブって見える?

 っていうか、2匹いる?

 

「あれ? お前、なんか、二つに分かれてねえか?」

 

 目をこしこし擦ってもう一度見てみるも、やっぱり二人いる。というか、完全にひとつの鉢に、二つのアロエがちょこんと座っていた。

 

「あ、そうなんでうよぅ、株分けしたんですよぅ」

 

「株!?なに、お前植物みたいなことしてんだよ」

 

「アロエは植物なのですよぅ」

 

「お、おお、ま、そうか……」

 

 そりゃ植物ならそうやってふえるよなって、

 

「いや、違うだろ、お前どう見ても動物じゃねえか、なんで株で別れるんだよ。っていうか、なんで一晩でいきなりもう一人生まれちまってるんだよ」

 

 その俺の問いに、二人のアロエは顔を見合わせている。

 

「なんでっていわれても……」「ねえ、なのですよぅ」

 

「おおう、これだから異世界は……、で、どっちがオリジナルで、どっちが新しい方なんだ?」

 

「その聞き方は、アロエのアイデンティティーにすこぶるひっかかる物がありますが、私が元株ですよぅ」

「で、私が新株なのですぅ」

 

 二人で手をあげて同じ声でハモるのはなにか蝶々の怪獣映画に出てくる双子を連想させるな……

 

 と、そこへ……

 

「おお、八幡君、こんなところにいたか、探したぞ」

 

 見れば、黒のフーデッドローブを見事に着こなしたまるで骸骨みたいな骸骨、フェルズさん。

 いや、お前、もう昼間出てくるなよ。

 

「なんだよ、急に。昼間から」

 

「いや、だから私はゴーストではないと……、まあ、いい。それよりもこれだ。ついに私は自力で『異世界転移』の魔法を完成させたぞ!ふははははは」

 

「ええー」

 

 何をいうかと思いきや、こいつのこういう自信満々の台詞は完全な死亡フラグ。そもそも原作で何回フラグ立てて失敗をつみかさねてきたことか……

 最初はイケメンなできるおっさんかと思ってたのになぁ。実はダメダメちゃんだったんだよな、こいつ。

 

「ま、聞くだけ聞くけど、って、おい、なにやってんのお前?」

 

「いや、早速実演しようと……」

 

 見れば、いきなり温室の中心に魔方陣を浮かび上がらせるフェルズさん。そして、その輝きが頂点に達したそのとき……、

 

「「「「あ」」」」

 

 二人ならんだうちのアロエの一本が、ずぼぼぼぼっとその鉢から引き抜かれて、その魔方陣に吸い込まれていった。

 その刹那、

 

「アロエ!ご主人にしっかり尽くすのですよぅ」

「わかったよアロエ!ご主人は任せるのですよぅ、お達者でー」

 

 それを最後に、すぽんと飲み込まれたアロエをそのままに、どうやら魔方陣は消滅した。

 

 沈黙が支配するその空間で、硬直したまま後ずさって帰ろうとしているフェルズさん。

 

「おい、ちょっと待てお前」

「ひえ」

 

 たぶん冷や汗だらだらかいてるんだろうな、骨しか見えないけど。

 

「まあまあ、ご主人、アロエは大丈夫なのですよぅ、どこでも生きられますし。いくらでも増えますし」

 

「いくらでも増えるんだ……? ちなみにお前って、オリジナル?ニュー?」

 

「新株なのですよぅ」

 

「……」

「……」

 

「で、では、せっかくだから誕生ってことで、お祝いでもしようではないか」

「そ、そうなだ。数えで言えば、一才だしな。誕生日おめでとう! アロエ!」

 

「ありがとうなのですよぅ」

 

こうして、アロエが誕生し、アロエが去り、アロエの誕生日のお祝いをしたのだった。

 

 なんだこれ?

 

 ちなみに、とあるアクセルとかいう名前の始まりの街の、変な四人の男女が暮らす屋敷の庭に、まるで安楽少女のような可愛らしい植物がひょっこり生えたのは……

 

 また別のお話……

 

「あろえ?」

 

 

 

 to be ......

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