『八幡』と『結衣』と『雪乃』のオムニバスストーリー 作:こもれび
とはいえ、このシリーズの作品内部時間では、まだ1年も経っていませんけどね。
おしとやかそうなあろえさんとこのアロエちゃんとはちょこっと違うかもね、うちに来た子はけっこうはっちゃけてますね、記憶共有してるっぽいですけども。
ということで、こんなお話です。
さあ、続けちゃうのもありかもですねw
「八幡さん! アロエは今日から旅に出るのですぅ!」
「お……おお!?」
久々にダンジョンの探索を終えてホームへと戻ってみれば、そこには植木鉢の上で大きな風呂敷包みを背中に背負った我がホームのマスコットでもある、『アロエver2』の姿が!
ちなみにもともとのアロエは、この前の株分け後、アホのフェルズの転移魔法によってどこかへと消えてしまったので、ここにいるのは二代目らしいのだけど、いったいどこがどう違うのか皆目見当がつかない。
まあ、それはどうでもいいとしても、いったいこいつは何を言い出しているんだか?
確かこいつの実家は俺たちと同じ地球で、そこの篠……篠……篠なんとかさんの家で育ったとかなんとか言っていたから、ついでに連れて帰ってやろうとか思っていたのだが、もう間もなく帰還の手段を手に入れられるこのタイミングで旅に出るとか、いったい何を考えているのやら?
というか、こいつ植木鉢ごと移動する気なのかよ? 根っこ引っこ抜いて歩けるのは知ってるけど、基本光合成と水がぶ飲みで生きてるくせに何をどうしようというのか!!
そんな俺と同じ疑問を持ったのであろう、由比ヶ浜と雪ノ下が荷物をおろしながら聞いていた。
「アロエちゃん、旅に出るって、どこに行く気なの?」
「あなたがその辺のレベル3、4程度の冒険者を瞬殺出来ることは知っているのだけれど、一人旅はやはり危険よ? どこかに用があるというのなら、私たちも同行してもかまわないのだけれど……良いわよね、八幡」
「あ、あぁ……別に構わないけど……」
ほぼ断定的に雪ノ下にそう問われてしまえば、俺だってもういいとしか言えようはずがない。
それに俺だってこいつを一人で旅に出したいなどとは考えていないのだから。
そんな俺達にアロエは大きく頷きつつ答えた。
「皆さんが来てくれるなら心強いのです。アロエはアロエは……」
アロエはなにやら小さな拳を握り込むとプルプル震えながら、そして猛々しく吠えた!
「アロエは、アロエの大切な物を奪った、クソギルド【アインズ・ウール・ゴウン】の【モモンガ】のクソヤロウをぶちころがしてやるのですぅ!!」
「「「はい!?」」」
俺と雪ノ下、由比ヶ浜の三人はほぼ同時にそんな声を出してしまった。というか、女子二人は良く分かってないようだが、俺はアロエの言った文言についての知識があった。というか、また『な〇う小説』だった!!
「おいアロエ。お前何でいきなりオバロネタぶっこんできやがるんだよ。っていうか、なんで植物系モンスターのお前がそんなもんしってんだよ?」
「アロエは植物系モンスターではないのですぅ! いたって普通の多肉植物なのですよぅ」
「いや、いたって普通の多肉植物がオーバーロードを話している方がよっぽどあれなんだがな……まあいい、んで? なんだって? その小説の主人公がなにしたって?」
もはやあきれ果てて何も言えやしないが、もうどうでもいい、さっさと聞いちまおうと思ってそう言った瞬間、アロエは目を輝かせて言った!
「よくぞ聞いてくれやがりましたです! あれはまだアロエが篠山さんちに居た頃のことですが……」
「ちょまっ! お前あれだろ? バージョン2だろ? なんでそんな大昔の記憶を持ってんだよ?」
「何を言ってやがりますか? アロエはアロエで、株分けしまくってるだけで記憶が同じに決まってるのですよぅ。なんなら、今全次元にいるアロエの記憶を共有できるまであるです」
「……もう……いいや。わかった。お前が普通じゃないってことがよーくわかった。はあ。続きをどうぞ」
アロエはフンスと鼻息荒く大きく頷くと、それから話の続きに移った。
「要はですねぃ……あの頃毎日欠かさずにログインして、篠山さんから貰った貴重なお小遣いで課金までしまくって、みんなで育て上げた大事なクランをですねぃ、あのクソモモンガの野郎のギルドにぶっつぶされたのですよぅ。しかもですよぅ? レイド攻略をしていた【ナザリック地下墳墓】の攻略の最中に! あいつらアロエたちを潰した挙句、クリアボーナスでナザリックまで手に入れて、それを本拠地にされて、アロエは、悔しくて悔しくて……」
たんたんたんと、自分の鉢の中の地面を叩き続けるアロエ。
見事な悔しがりっぷりだ。
「えーと、それ、【ユグドラシル】ってゲームの話だよな? ま、まあ、なんとなくわかったが、確かにゲームとはいえ、共同攻略中に裏切るとか最悪だよな。うん、最悪だ」
「あ、いえ、先に裏切ったのはアロエたちの【レッド・チリ・ホット・ペッパーズ】の方なんで、その辺はあんまり気にはしてないんですけどねぃ」
「っておい! お前らが裏切っちゃったのかよ? というか何そのクラン名。なんか色々間違ってる上に、ちょっと辛めで美味しそうな料理が載ってそうなグルメ情報サイトみたいになっちゃってるぞ!? ってか気にしろよ!」
「そんなことはどうでもいいのですよぅ。アロエたちは
「いや、それお前らが完全に悪いだろ。襲い掛かって負けて悔しがるなよ、謝れよ」
「アロエは悪くない! 世間が悪いのですよぅ!」
「ぐぬぅ、どこかで聞いたようなセリフ抜かしやがって……」
「それいつも言ってるのヒッキーだよね」「八幡の教育が悪いせいで、アロエさんがこんなになってしまったのね……はあ、かわいそう」
「ちょっと待て、俺は悪くない。全部この世界が悪い! ……あ!?」
なんか本気でみんなの視線が痛いのだが……
ええい、もういいや。さっさと話しを終らせちまおう。
「でアロエ? ゲームでお前がけちょんけちょんにやられたってのは分かったけど、それがいったいどうしたんだ? なんで旅に出ようとしてんだよ!」
と、そこでアロエが喜色満面になって言ったのだ!
「アロエは知ってしまったのですよぅ! なんとですねぃ、この世界にあのナザリック地下墳墓が現れたらしいのですよぅ。支配者の名前が、アインズ・ウール・ゴウンというらしいですからねぃ、あのギルドの頭はモモンガのくそ野郎でしたしこれはあいつがいるに決まっているのですよぅ」
「はあ? お前それ誰情報だよ? 俺達はそんな話聞いたこともないぞ!」
由比ヶ浜たちを見ればやはりふるふると首を振っているし。
そんな様子の俺達にアロエが言った。
「教えてくれたのは、ヘルペス……じゃなかった、神ヘルメス様ですよぅ。この前ふらっとお茶を飲みにきたので、くそモモンガの話を怒りを込めて熱弁したのですよぅ。そうしたら、東方の王国にそんな名前の集団が現れてそこの神達も困っているみたいなことをいっていたのですよぅ。これは好機! と、当然思うじゃないですか」
「絶対それ好機じゃないと思うけどな。で、お前はそいつらに仕返しに行くというわけだな? ただの逆恨みで!」
「ですです!」
にこりと可愛らしく微笑むアロエ。
まるで天使だが、話の内容からして、はっきり言ってくそはこいつだ!
「一緒に行ってくれますか?」
目をキラキラさせてそう懇願してくるアロエだが、どうしたら今の今までの話の後で付いてきてくれると思うのだろうか。まあ、ついていくわけだが。
「仕方ねえから一緒に行ってやるよ。だけどあれだからな? 俺達のターゲットの
「あ、ナースもナザリックのそばにいるとか、神ヘルペスが言ってましたのですよぅ」
なんてことはないように、そう言い切るアロエ。
あの、くそ神がぁ……
それもう判明したんなら、アロエの前に俺らに言えってんだよ。くそ、また面白がって適当なことをやってやがるな。マジムカつく。
「はあ、しょうがねえ。黒竜がいるなら、もう行くしかねえよ。いいなお前ら」
「うん!」「問題ないわ」
にこりと微笑むアロエを見ながら、めちゃくちゃ面倒なことになったと頭を抱えたのであった。
こうして俺達は準備を整えてこのオラリオから旅に出る。
さて、この先何が待ち構えているのやら?
とりあえず聞きたいのだが……先頭に浮かぶアロエ? お前の乗っているそのフリ〇ザのポッドみたいな乗り物は一体なんなんだ!
了
to be Prologue……?