'70年代のエンジン使って零戦に負ける戦闘機作るにはこのぐらいせんとアカンのじゃないかということで、独自設定山盛りですがよろしければどうぞ。
田舎じゃぁブイブイ言わしていたんだけど、進学で都会に行ったら大したこと無かったとか、地元でオラついていたところに名門校でレギュラー張っていた転校生にけちょんけちょんにされるとかなんてのは、まぁ希によく聞く話。
今回紹介するエルペシオ3もそんな飛行機だ。
世界のリーダーを自認する神聖ミリシアル帝国が建国以来の懸念事項としているのが、古の魔法帝国ことラヴァーナル帝国の復活。
何せこの国、「皮引っ剥がしてハンドバッグ作るから、その材料としてお前のトコとの国民奴隷として引き渡せ」とかいう無茶を素でやらかす。
いくら数万年前にこの世から消えた(別次元に旅立った)とはいえ、残存した遺跡の情報からこの世界にもどる気マンマンなのが明白だから、そりゃぁまぁ備えますわな世界のリーダーそして人類の守護者として。
その備えは「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」と孫子に有るとおり、まず「彼を知る」ところから始まったのだけれど、社会制度やら何やらはともかく軍事関係についてはいきなり躓いた。
ミリシアル帝国ってのは、建国時点で生き残りの魔帝民(光翼人)を吸収してその技術を引き継いでいるんだけど、所詮は本隊の引っ越しに置いて行かれた面々に過ぎないわけで、まぁ言ってみれば確保できた光翼人はごく普通のオジサンおばさんだったわけで、まかり間違ってでもバリバリのエンジニアだったりはしなかった。
国民の教育水準が高かったから、社会設計や法整備には色々役に立ったけど、軍事技術に明るい訳じゃないから、軍艦や軍用機の設計は遺跡から発掘した魔帝製兵器のリバースエンジニアリングから始めるハメになった……基礎技術置き去りで。
魔帝に対抗するための征空戦闘機「エルペシオ」開発計画も例外ではなく、まずは魔帝製戦闘機(戦闘用天の浮舟)の発掘・解析から始まったんだけど、これが苦難と試行錯誤と挫折と妥協の連続だった。
「戦闘用天の浮舟」のボロボロになった残骸から、まず外形とおおよその内部構造の見当は付いた、次にタンクに僅かにこびり付いていた現物から「高純度赤発魔石(液状魔石)」を燃料にしているのが判明し、やはり何らかの「魔法」を使用して推力を発生しているのが予測できたのだけど、具体的に何の魔法を使ってどうやって推力を生んでいたのかが分からなかった。だって掘り出した機体は整備中だったのかエンジン無しのドンガラオンリー状態で、側で見つかったエンジンはバラバラの残骸だったから。
肝心要の心臓部の構造がさっぱり分からず頭抱えていた解析・開発班に朗報が飛び込んだ。輸送用天の浮き舟の状態の良いエンジンが発掘されたのだ。
これで基本構造と爆発魔法の高速連続詠唱でファンを回していたという動作原理が判明し、このエンジンを「魔光呪発式空気圧縮放射エンジン(マジックジェット)」と称し本格的に開発改良がスタートしたんだけれども……カンの良い読者は気付いたと思うけど輸送機用ってコトで、そもそもがどでかい高バイパス比ターボファンエンジンなモンだから、小型化しないとスマートな戦闘機の胴体に収まらない。
ええ、小型化しましたとも、バイパス部ファンの外周ぶった切ってね。
高バイパス比ターボファンってのは、でかいファンを回して主な推力を得ているのに、そのファンをぶった切ってどうするって思うんだけど、そのファンを回すパワーソースはエンジンコアのターボジェット。実際にロッキードL1011や昔B747が積んでいたロールス・ロイスRB211の前身RB203のコアもジャギュアや三菱F1が搭載していたあのアドーアエンジンだ。発掘したマジックジェットのコア部分がアドーア並みの非力さだと仮定して、さらにアフターバーナー無しでも普通に作れば超音速は無理にしてもまぁP80程度の飛行機は作れるはずだった。
……作れるはずだったんだけどそうはならなかった、地上試験中にエンジンストールを頻繁に起こしたあげくことごとく見事にぶっ壊れたのだ。
壊れたエンジンコアをバラしてみると、ガラス状の物質がべったりと可動部分に張り付いて、これがエンジンの動作を妨げたあげく可動部分を破壊していたことが分かったんだけど、「このガラスだか溶岩だか判らん物質はどこから来たぁっ!」って調べたミリシアル技術陣はまた頭を抱えるハメになった。このガラス状物質、これは燃料の「液状魔石」が由来で、魔石の燃えかすの灰が高温のタービン部分に当たって溶け、それが固まって出来たのがその正体だったのだ。
幸か不幸か、ラヴァーナル帝国がどのようにこの問題を解決していたか、なぜミリシアルはこの問題に悩まされるのかはすぐに判明し、少なくとも現状どうにもならないことが分かったのだ……原因はミリシアル製液状魔石の精製度が低いことにあった。
魔法を使用した後の魔石はその燃えかすとしてシリカ成分(酸化珪素つまり石とか火山灰)を残すんだけど、ラヴァーナル製の液状魔石は燃えかすが残らないようにシリカ成分を極限まで取り除きエンジンコアへの灰固着を防止していた。それに対し、ミリシアルの技術ではどうしても極限純度の液状魔石が作れなかった。
苦肉の策としてエンジンの回転数つまりは爆発魔法の詠唱速度を制限し、灰が溶けるほどの高温を持たないようにした。また、バイパス部の気流も推力の発生よりもコアの冷却を意識するような設計になった結果……元々1970年代に開発されたジェットエンジンに匹敵する推力(もっとも日本の解析を受けてずいぶん後で判明したことだが。)が、あれよあれよという間に1トン切るぐらいに落ちこんでしまった。
まぁ、1トン切る推力でもちゃんと作れば橘花ぐらいの飛行機は出来るよね♪と思うんだけど現実はその域にも達しなかった、機体部分の開発も大炎上の連続だったのだ。
--機体・戦績編に続く--
機体・戦績編は近日中に投稿予定。