バカテスト 英語
問 以下の問いに答えなさい。
『goodおよびbadの比較級と最上級をそれぞれ書きなさい』
姫路瑞希の答え
『good ― better ― best
bad ― worse ― worst』
神白崇彰の答え
『good ― better ― best
bad ― worse ― worst』
教師のコメント
その通りです。
吉井明久の答え
『good ― gooder ― goodest』
黒栁由梨乃の答え
『bad - bader -badest』
教師のコメント
まともな間違え方で先生驚いています。goodやbadの比較級と最上級は語尾に-erや-estを付けるだけではダメです。覚えておきましょう
土屋康太の答え
『bad ― butter ― bust』
教師のコメント
『悪い』『乳製品』『おっぱい』
次の日の朝になった。
昨日の放課後は教室に戻ってみると、何故か雄二を筆頭に主力メンバーがいなくなっていたが、特に気にすることなく帰った。
「これより、対Cクラスの作戦を開始する」
そして、昨日何が起きたのかを雄二から説明をオレとユリは受けた。
どうやら、Cクラスが漁夫の利狙っていると情報を掴み雄二たちは協定を結びにいったそうだ。しかし、それはBクラスの仕掛けた罠。Cクラスの中にBクラスが潜んでおり協定違反とされ攻撃されるも、須川や明久たちのお陰で昨日は生き延びたと。
「で?結局何するの?」
「秀吉にコイツを着てもらう」
そう言って取り出したのは……うちの学校の女子の制服?え?嘘だろ?
「別に着るのは構わんのじゃが、ワシが女装してどうするんじゃ?」
いや、男としてはそこは構おう?
「秀吉には木下優子として、Aクラスの使者を装ってもらう」
なるほどな。似ている双子だから為せる業ってことか。
「と、いうわけで秀吉。用意してくれ」
「う、うむ……」
雄二から制服を受け取り、その場で着替え始める秀吉。
「…………!!(パシャパシャパシャパシャ!)」
ムッツリーニは何故か凄い速さでカメラのシャッターを切っている。何してんだろうか?
「よし、着替え終わったぞい。ん?皆どうしたのか?」
するとオレと雄二を除くFクラスのメンバーが複雑な表情をしていた。
「さぁな?俺にもよく分からん」
「おかしな連中じゃのう」
「同感」
「んじゃ秀吉、Cクラスに行くぞ」
「うむ」
「崇彰も付いてくるか?」
「分かった」
雄二がオレらを連れて教室を出る。
「あ、僕も行くよ」
後ろから明久が追いかけてくる。まぁ、いいか。
そして、少し歩いてCクラス教室前に到着。
「さて、ここからは済まないが一人で頼むぞ、秀吉」
まぁ、Aクラスの使者になりすますのに、Fクラスの三人がお供としてついてたら不自然だしな。オレたちは離れて様子を見よう。
「頑張ってあいつらを挑発してAクラスに敵意が向くようにするんだ。秀吉ならできるよ」
「はぁ……。あまり期待はせんでくれよ……」
溜息とともに力なくCクラスに向かう秀吉。
「雄二、崇彰。秀吉は大丈夫なの?」
「ああ、多分大丈夫だ」
「それより、静かにした方がいい。秀吉が入っていく」
ここからさすがに聞こえることはないと思うが念には念をだ。
ガラガラガラ、と秀吉がCクラスの扉を開ける音がして……
『静かにしなさい、この薄汚い豚ども!』
……うわぁ。
「流石だな、秀吉」
「うん、これ以上はない挑発だね……」
「本当に凄い迫力……」
もうこのままでも勝手にCクラスの敵意はAクラスに向かっていくだろう。
『な、何よアンタ!』
この声は……小山だね。Cクラス代表だからだろうか。というか、伝わってくる声だけで彼女の怒りが分かるよ。
『話しかけないで!豚臭いわ!!』
おかしいな。君、自分から話しかけたよね?
『アンタ、Aクラスの木下ね?ちょっと点数が良いからって良い気になってんじゃないわよ!何の用よ!』
勝手に誤解ありがとうございます。
『私はね、こんな臭くて醜い教室が同じ校内にあるってだけで我慢出来ないの!貴女たちなんて豚小屋で充分だわ!』
『なっ!言うに事欠いて、私たちにはFクラスがお似合いですって!?』
おかしいな。別にFクラスとは言ってないんだけど。
『手が穢れてしまうから本当は嫌だけど、特別に今回は貴女たちを相応しい教室に送ってあげようと思うの』
本当にいつかFクラスに送ってやりたい。
『ちょうど試召戦争の準備もしてるみたいだし、覚悟しておきなさい。近いうちに薄汚い貴女たちを始末してあげるから!』
靴音を立てながら帰ってきた秀吉。
「ふぅ、これで良かったかのう?」
「ああ、素晴らしい仕事だった」
「グッジョブ」
『Fクラスなんて相手にしてられないわ!Aクラス戦の準備を始めるわよ!』
Cクラスからヒステリックな叫び声が聞こえる。うん。作戦大成功。
「作戦も上手く行ったことだし、俺たちもBクラス戦の準備を始めるぞ」
「あ、うん」
「ほーい」
さぁ、やろうか。
「雄二っ!崇彰っ!」
あの後予定通り午前九時よりBクラス戦は再開された。オレはFクラスの本陣に向かい、ユリは前線に送り込んだ。ただ、ユリには後方で待機して何もするなと言ってある。また、人質に取られる可能性が無きにしも非ずだからだ。
そして、オレが雄二と共に現状戦力の確認やDクラスへの指示出しのタイミングについて話し合っていたそんな中、明久がやってきた。
「うん?どうした明久。脱走か?チョキでシバくぞ」
「じゃあ、オレは蹴るよ」
「話があるんだ」
「……とりあえず、聞こうか」
「…………分かった」
どうやら今はジョークを言えるような雰囲気じゃないようだ。。あのバカな明久が真面目な顔でこっちを見ているのだ。こっちも真面目な雰囲気で彼の話を聞こう。
「根本君の着ている制服が欲しいんだ」
……………………はい?
「「……お前に何があったんだ?」」
思わず聞き返すオレと雄二。
「ああ、いや、その。えーっと……」
でも、明久にはそんな趣味があっても不思議じゃないか。
「まぁいいだろう。勝利の暁にはそれくらいなんとかしてやろう」
「で?それだけなの?」
呆れた感じで返すオレたち。いやねぇ、だって真面目な顔で男の着ている制服が欲しいとか言い出すもん。呆れても不思議じゃない。
「姫路さんを今回の戦闘から外してほしい」
「理由は?」
「理由は……言えない」
なるほど。訳アリか。
「どうしても外さないとダメなのか?」
「うん。どうしても」
顎に手を当てて考えるオレと雄二。
正直に言うならオレの腕輪と姫路の腕輪。召喚獣の武器や性能から間違いなく姫路の方が今回の作戦には適任……いや、そもそもオレがこの作戦では役不足なんだ。
「頼む、雄二!崇彰!」
深く頭を下げる明久。はぁ。
「分かったよ明久」
「本当に!?」
そこまでしたら断われないだろうが。
「ただ、条件がある」
「条件?」
「ああ、姫路が本来担うはずだった役割をお前がやれ。どんな方法でもいい。成功させろ」
まぁそりゃそうだな。
「もちろんやってみせる!絶対に成功させる!」
「良い返事だ」
「それで、僕は何をしたらいい?」
「タイミングを見計らって根本に攻撃をしかけろ。科目は何でもいい」
「皆のフォローは?」
「ない。しかも、Bクラスの教室の出入り口は今の状態のままだ」
「……難しいことを言ってくれるね」
まぁ、仕方のないことだろう。現状、戦闘はBクラスの前後の扉の二ヶ所で行われているらしく、場所の条件から常に1VS1の状況になっている。そんな中、教室の奥にいる根本君に近付くには圧倒的な個人の火力が必要不可欠だ。オレにも無くはないが、あんまり使いたくないんだよなぁ……オレの腕輪。
「もし、失敗したら?」
「失敗するな。必ず成功させろ」
雄二の口調は何時になく強かった。
「それじゃ、うまくやれよ」
「え?どこか行くの?」
「Dクラスに指示を出してくる。例の件でな」
教室を出ていこうとする雄二。
「明久」
その雄二が明久に声をかける。
「確かに点数は低いが、秀吉やムッツリーニ、崇彰のように、お前にも秀でている部分はある。だから俺はお前を信頼している」
「……雄二」
「うまくやれ。あと、そこの崇彰は好きに使ってもいい」
そう言い残し、教室を後にする。……やれやれ。勝手に言ってくれるよ全く。
「さて、明久。オレらはどうする?」
別に幾つか策はある。ただ、雄二は明久に託したんだ。なら、オレは何も言わず明久に従うのが筋だろう。
「……ねぇ、崇彰。こういうのは……どう?」
明久が端的に作戦を伝えてくる。
「…………マジ?」
「うん」
あまりにバカげた作戦に思わず問い返してしまう。
「分かった。やろうか」
まさか雄二の奴。これを見越してオレを置いてったのか?
「二人とも、本当にやるんですか?」
Dクラスに召喚獣勝負の立会人として呼ばれた英語の遠藤先生がオレたち二人に念を押す。
「はい。もちろんです」
「コイツとは一度決着をつけないといけないんです」
向かい合うのはオレと明久。
「でも、それならDクラスでやらなくても良いんじゃないですか?」
「仕方ないんですよ。コイツは《観察処分者》です。オンボロのFクラスで召喚したら、召喚獣の戦いの勢いで教室が崩れちゃう可能性があるので」
「もう一度考え直しては」
「いえ。やります。崇彰には日頃の礼と日頃の恨みを晴らさないと気が済みません」
有無を言わさぬ口調で言い切る明久。
「――わかりました。お互いを知る為に喧嘩をするというのも、教育としては重要かもしれませんね」
大きく息をつき少し離れフィールドを展開してくれる。
「「
お馴染みの召喚獣。
「行けっ!」
オレの召喚獣目がけて駆け出す明久の召喚獣。木刀を強く握りしめ、壁を背にしたオレの召喚獣に対し、駆ける勢いを乗せて大きく拳を振るう。
ドンッ!
「ぐ――ぅっ!」
当然そんなモーションの大きな攻撃はたやすくかわす。
「次はこっちの番だ!『
壁に攻撃した状態でいた明久の召喚獣めがけ、拳を振るう。当然だが、そんな大振りの攻撃は躱され……
ドンッ!
「くっ……!」
壁に直撃し、脳天から爪先まで激痛が走る。
何でオレは観察処分者では無いのに物理干渉が行えてフィードバックがあるのか。
オレの召喚獣の腕輪は、昨日言っていた能力とは違う。昨日のアレはブラフというか何と言うか。ともかく、本来の能力は『攻撃力と敏捷性を二倍にし、フィードバックと物理干渉を得る』というもの。コストは400点以上の時に400点に点数を合わせる。
要するに、今のオレの召喚獣は明久仕様の召喚獣と一緒ってわけだな。
「アキ、神白、時間がないわよ」
壁にかけてある時計を見上げながら一緒に来ていた島田が告げる。
現在の時刻は午後二時五十七分。作戦開始まであと三分。
『お前らいい加減諦めろよな。昨日から教室の出入り口に集まりやがって、暑苦しいことこの上ないっての』
『どうした?軟弱なBクラス代表サマはそろそろギブアップか?』
根本と雄二の声が聞こえる。姫路が参加できない分、雄二率いる本隊まで出動せざるを得なくなったのだろう。
「らぁっ!」
大振りの明久の召喚獣の拳が再び壁に叩きつけられる。
『はァ?ギブアップするのはそっちだろ?』
『無用な心配だな』
『そうか?頼みの綱の姫路さんも調子が悪そうだぜ?』
『……お前らじゃ役不足だからな。休ませておくさ』
『けっ!口だけは達者だな。負け組代表さんよぉ』
『負け組?それはお前のことになるだろうな』
「はぁぁっ!」
二人合わせて四度目の攻撃。再び激痛がオレの身体を襲う。
よく見ると拳が既に紅く染まっている。
『……さっきからドンドンと、壁がうるせぇな。何かやっているのか?』
『さぁな。人望のないお前に対しての嫌がらせじゃないのか?』
『けっ。言ってろ。どうせもうすぐ決着だ。お前ら、一気に押し出せ!』
『……態勢を立て直す!一旦下がるぞ!』
『どうした、散々ふかしておきながら逃げるのか!』
「二人とも、そろそろよ」
「うん。わかっている」
「おう。任せとけ」
周りにいる奇襲部隊の皆にも目配せをする。
皆は黙って頷いてくれた。
「吉井君、神白君。二人とも何をしようとしているのですか?」
困惑する遠藤先生がオレたち二人を交互に見る。
そう。問題はこの先生に召喚獣を戻される前に決着をつける必要があると言うこと。もし、決着が付かなければ直接殴って破壊しないといけなくなるから。
「「おおおおおおおっ!」」
腹の底から力を込め、雄叫びを上げる。
これがオレたちの最後の一撃だ。
『あとは任せたぞ、明久!崇彰!』
敵の本隊を引き付けた雄二が、壁の向こう側からよく通る声で告げて来る。
ジャスト午後三時。作戦開始。
「「だぁぁーーっしゃぁーっ!」」
召喚獣に持てる力全てを注ぎ込んで、壁を攻撃する。
本来。この腕輪の能力がなければこんなことにはなっていなかったが今更遅い。オレたちの狙いは最初からこのBクラスとDクラスの繋がる壁。
「「――ぐぅぅぅっ!」」
全身に走る衝撃に神経がきしむ。
久々に気絶しそうなほどの痛みがオレを襲う。
ドゴォオオオオオッッッ!
豪快な音を立て、Bクラスへの道が開かれる。
「ンなっ!?」
驚く根本。敵の本隊は雄二を追って既にいない。
「くたばれ、根本恭二ぃぃぃ!」
「行くぜっ!」
「遠藤先生!Fクラス島田が――」
「Bクラス山本が受けます!試獣召喚!」
「くっ!近衛部隊か!」
オレたちと根本の距離は20メートル程度。広い教室のせいで随分と距離があるため近衛部隊はすぐさまカバーに入る。
「は、ははっ!驚かせやがって!残念だったな!お前らの奇襲は失敗だ!」
取り繕うように笑う根本。
「お前ら神白を最優先で警戒しろ。奴は姫路に次いで危険だ」
あーあ。ここまで警戒され、身を固められたら、確かにオレたちの奇襲は失敗だ。既に周りを近衛部隊全員に取り囲まれているしな。こうなった以上、オレたちにこの状況を打開はできない。
だがオレたちの役目はすでに達成した。
ダン、ダンッ!
出入口を人で埋め尽くされ、四月とは思えないほどの熱気がこもった教室。
そこに突如現れた生徒と教師、二人分の着地音が響き渡る。
エアコンが停止したので、涼を求める為に開け放たれた窓。そこから屋上よりロープを使って二人の人影が飛び込み、根本恭二の前に降り立った。そう。体育教師だからこそできる荒業だ。
「…………Fクラス、土屋康太」
「き、キサマ……!」
「…………Bクラス根本恭二に保健体育勝負を申し込む」
「ムッツリィニィーーッ!」
オレたちが近衛部隊を引き付け丸裸になったので、根本にもう逃げ場はない。
「――
『Fクラス 土屋康太
保健体育 441点
VS
Bクラス 根本恭二
保健体育 203点』
ムッツリーニの召喚獣は手にした小太刀を一閃し、一撃で敵を切り捨てる。
これにて、Bクラス戦は終結。