恋愛感情ゼロの幼馴染と召喚獣   作:黒ハム

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ラブレターと書いて事件の火種と読む

「う~ん……あり得ない登校時間だ」

 

 晴れ渡る空。澄んだ空気。暖かな日差し。

 珍しく早起きをした僕はいつもよりもかなり早く家を出ていた。早起きは三文の徳と言うし、今日は何か良いことがありそうだ。

 

「ん?あれは――崇彰?」

 

 何時もより早すぎた僕は少し回り道をしていこうと思い、公園にやって来た。誰もいないと思われたその公園には、崇彰がいた。

 

「おーい、崇」

 

 崇彰の名を呼ぼうとした時、もう一人の姿が見えた。女子である。しかも黒栁さんじゃない。いや、制服から察するにそもそもうちの高校の生徒でもない。なら、あの子は一体誰だろう?

 

「崇彰さん!」

 

 その女子生徒。普通に可愛い部類に入るのではないだろうか。まさか、あんな美少女に告白をされるとかぁ!?ただえさえ、黒栁さんと四六時中イチャついてて羨ましいのに加えてあんな美少女から告白!?万死に値する。よし、告白が終わって油断したタイミングで蹴りかかろう。そうすれば、いつもは無敗を誇るあの崇彰にも勝て――

 

「最後に聞きます。私とその幼馴染さんどちらが大切ですか?」

 

 激しい剣幕で詰め寄る少女。……ってこれ修羅場じゃないの!?黒栁さんがいないから流血沙汰にはなってないけど明らかに修羅場だよね!?た、崇彰!?これ答え方間違えるとゲームで言うなら確実にBADENDルート突入だよ!?

 

「え?幼馴染」

 

 そ、即答!?悩む素振りすら見せなかったよあの野郎!

 

 パンッ

 

 そして響く乾いた音。え?あの子が崇彰を平手打ちしたぁ!?

 

「もう知りません!別れましょう!」

 

 ちょ、崇彰!彼女を止めなくてもいいの!?

 

「分かった。別れるか」

 

 またも即答!?

 

「…………っ!」

 

 そして目に涙を浮かべながら走り出す崇彰の元彼女。ああそうか、きっと彼女は『幼馴染よりお前の方が大切だ』とか言ってほしかったんだろう。

 僕は見事に破局した崇彰の肩に手を置いて、

 

「まぁ、次の出会いがあるよ」

 

 でも、ここは寛大な心を持って慰めてあげよう。だって、僕たち友達だもんね。

 

「そうだな」

 

 そう言うと、携帯電話を取り出して何処かに電話をかける崇彰。

 

「もしもし。――――か?あーオレだ。崇彰だ。先日の件オッケーすることになった」

 

 名前的に僕の知らない女子に電話をかけたみたいだけど……え?先日の件?

 

「おう。じゃあ、明日の放課後、場所はあそこでな」

 

 少しの世間話の後、そう言い残し電話を切る。

 

「今の誰?」

「ん?あー新しい彼女」

「……はい?」

 

 新しい…………彼女?え?今別れたばっかだよね?しかも名前的に黒栁さんじゃないし……。

 

「簡単に説明するとだな。今の電話の相手から少し前……さっきの女子がまだ彼女だった時に告白されてな。『今は彼女がいるから君とは付き合えない』って答えて振ったつもりだったんだけど相手が引き下がらなくてさ。そしたら『なら、その彼女と別れたら私と付き合いましょう。それなら構いませんよね』って。まぁ、そんなわけで新しい彼女を……っ!?」

 

 僕の怨嗟を込めたパンチを躱す崇彰。

 

「オマエヲコロス」

「モテない男の嫉妬は醜いぞ」

 

 グハァ!く、くそぉ!自分ばっかあんな綺麗な幼馴染に加えて彼女持ちだからって調子に乗りやがって!しかも、既に何人もの人とヤッてる非童貞野郎だからって調子に乗って!

 

「まぁ、お前も姫路あたりに告白すりゃいいのに」

 

 何か言ったが聞こえない!この女たらしのゲス野郎にはFFF団の制裁が必要だ!その前に、僕の恨みと殺意と妬みとその他諸々を込めた拳をくらえ!

 

「今日という日はお前を許さない!」

「来いよ童貞野郎」

「何を!ついさっき破局したクズ野郎に言われたくないよ!」

 

 この後、公園で崇彰と青春を過ごしていると巡査中のお巡りさんに見つかった。ヤバいと思った僕らは、話を聞かれる前に文月学園まで逃走した。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 明久のせいで朝から厄介事に巻き込まれた。まぁ、明久は校門を通過したタイミングで鉄人に捕まって雑用に狩りだされた。ざまぁ。

 

「工藤」「はい」「久保」「はい」

 

 チャイムと同時に明久が教室に駆け込むと、間髪容れずに鉄人が来て出席を取り始めた。分かったことだが、この人は必ず決まった時間に来る。真面目な教師だな……顔と体型に似合わず。

 

「近藤」「はい」「斉藤」「はい」

 

 眠そうな返事だなぁ……人のこと言え無いけど……ふぁぁあああ。淡々と進んでいる毎朝の出席確認。今日も平和な朝を迎えようとする。そんな静かな教室を……

 

「坂本」「…………明久がラブレターを貰ったようだ」

 

 

『殺せぇぇっ!!』

 

 

 雄二の一言が見事にぶち壊してくれた。

 

「ゆ、雄二!いきなりなんて事を言い出すのさ!」

 

 凄いな。雄二は明らかに小声で言ってたのに誰一人聞き逃さないなんて。人のこと言え無いけどさ。

 

『どう言う事だ!?吉井がそんな物を貰うなんて!』

『それなら俺たちだって貰ってもおかしくないはずだ!自分の席の近くを探してみろ!』

『ダメだ!腐りかけのパンと食べかけのパンしか出てこない!』

『もっとよく探せ!』

『……出てきたっ!未開封のパンだ!』

『お前は何を探しているんだ!?』

 

 怒号が飛び交い、クラスのほぼ全員が明久に妬みの視線を送りながら怒り狂っている。関係なさそうにしてるのは、オレとユリ、後は秀吉だ。

 

「お前等っ!静かにしろっ!」

 

 

 ――シン

 

 

 鉄人の一喝ですぐに教室が静かになった。便利だねぇ。

 

「それでは出欠確認を続けるぞ」

 

 再び出欠確認が開始された。

 

「手塚」「吉井コロス」「藤堂」「吉井コロス」「戸沢」「吉井コロス」

「皆落ち着くんだ!何故だか返事が『吉井コロス』に変わっているよ!」

 

 斬新な返事だ。こんな返事を認められるとかここは本当に学校か?

 

「吉井、静かにしろ!」

「先生、ここで注意するべきなのは僕じゃないでしょう!?このままだとクラスの皆は僕に殴る蹴るの暴行を加えてしまいますよ!」

「新田」「吉井コロス」「布田」「吉井マジ殺す」「根岸」「吉井ブチ殺す」

 

 それで済めば可愛いものだろう。まぁ、でも。これも朝の報いだな。

 

「よし。遅刻欠席はなしだな。今日も一日勉学に励むように」

「待って先生!行かないで!可愛い生徒を見殺しにしないで!」

 

 明久は保身の為、必死になって鉄人を呼び止める。

 

「吉井、間違えるな」

 

 扉に手をかけながら答える鉄人。…………間違える?

 

「お前は不細工だ」

「アハハハハハハ!」

 

 大爆笑。

 

「不細工とは言われるとは思わなかったよバカ!」

「授業は真面目に受けるように」

「先生待って!せんせーい!」

 

 西村先生は教室を出て行った。明久。君は見捨てられた可哀想で憐れな奴だ。

 あとこれは、一時間目が始まる前にFFF団の暴走が起きるな。確実に。

 

「アキ、ちょ~っと話を聞かせて貰える?」

 

 島田が明久の肩をグワシッと関節が外れてしまいそうな勢いで掴んでいた。どうやら島田が最初に仕掛けたようだな。

 

「あ、あはは……。美波、顔が怖いよ?」

「手紙を貰ったの?誰からなの?どんな手紙なの?」

 

 島田。いつもより顔怖いよ?後、何故だかポニーテールが角みたいに見えるし。

 

「あー、えっと、そのー」

 

 もし明久が正直にラブレターを貰ったなんて言ったら、島田に飛ばされ周りのクラスメートにやられるだろう。

 

「いいからおとなしく指の骨を――じゃなくて、手紙を見せなさい」

 

 明久の指に何が起きるのだろうか?

 

「あの、吉井君」

「ん?なに?」

 

 今度は姫路が明久に話しかける。さぁ、姫路はなんて言うのだろうか。

 

「その……できれば、ですけど……私にも手紙を見せて欲しいです……」

 

 おぉ。ストレートだ。さぁ、これに明久はどう返す?

 

「その……ごめん」

 

 明久は誠意を込めながら断る。

 

「でも、でも……」

 

 しかし、食い下がる姫路。

 

「いくら姫路さんの頼みでも、コレばっかりは」

「でも、私は吉井君に酷いことをしたくないんです!」

「ちょっと待って!姫路さんまで僕に暴力を加えることが前提なの!?」

 

 どうやら姫路はFクラスに馴染んだみたい。うん。ついにこのクラスの常識人はオレ一人。ふむ、これが最後の砦ってやつか。

 

「皆、ちょっと落ち着け」

 

 そんな中、パンパンと手を叩く音が教卓の方から聞こえた。発生源はこの騒ぎを起こした張本人である雄二。

 

「今問題なのは明久の手紙を見ることじゃない」

 

 そうなのか?

 

「問題は、明久をどうグロテスクに殺すかだ」

 

 本当に明久と雄二は友達なのだろうか?オレが言えたことでもないが。

 

「前提条件が間違ってんだよ畜生!」

 

 荷物を持って明久はすぐに教室から逃走。

 

「逃がすなぁっ!追撃隊を組織しろ!」

「手紙を奪え!吉井を殺せ!」

「サーチ&デス!」

『そこはせめてデストロイで!』

 

 追いかけるようにしてFFF団の人たちも出払い教室にはオレ、ユリ、秀吉の三人が残った。

 

「さて、一時間目の先生にはなんて説明しようか」

「そうですね、どうしましょう」

「お主らは落ち着いてるのう」

 

 いや~焦る必要ないですし。

 

「そう言えばタカ。その頬に出来た紅葉……どうしたんですか?」

「ん?あー今朝元カノにビンタされた」

「お主はお主で何やっとるんじゃ……」

「そして別れることになった」

「お気の毒様です」

 

 ユリは手を合わせ、合掌をする。でもまぁ、

 

 

 ガラッ!

 

 

『異端者神白崇彰!今朝方、新しい彼女を作った疑惑について処刑しに来た!』

 

 ぞろぞろと数人のFクラス生徒がやってくる。というか、話を聞く前に処刑かよ。しかも疑惑だし。これは不当だとか言えば受け入れてくれるだろうか?

 

『罪人神白崇彰。汝の首を貰い受ける』

 

 

 シュッシュッシュッ(飛来する数本のカッターナイフ)

 

 サッサッサッ(全てを綺麗にキャッチする)

 

 

『往生際の悪いやつだ!』

 

 いや、無抵抗の人間に何カッターナイフを投げつけてんだよ。全部獲ったけど。

 

「そーいえばーオレの元カノを明久が口説いていたっけー。傷ついた心に付け込んであわよくばを狙っていたみたいだよー」

『『『何ぃっ!?』』』

「うんうん。ほんとだよー」

『やはり奴は生かしておけん!』

『目標吉井明久に変更!』

『行くぞぉ!』

「いってらっしゃい~」

 

 すげぇ。あんな棒読みのあからさまな嘘で騙せるんだ。

 

「あれ?タカってもう新しい彼女作ったんですか?」

「まぁ、そうなるなぁ」

「お主というやつは……未練とかないのかのう?」

「無いね。未練なら断ち切った」

「相変わらず割り切ってますね~せっかく傷ついた心に優しさをあげようと思ったのに」

「あいにく傷つく心を持ち合わせてなくてね」

「はいはい。もちろん知ってますよ」

 

 まぁ、向こうはどうか知らんが興味ねぇ。でも女性はそう言う立ち直りが早いと、どこかで聞いたことがあるけど本当かどうかはさしたる興味もなし。

 この後、一時間目の先生がやってきて、授業開始。少しした後、ムッツリーニが明久陣営に付いたとかで教室に戻ってきた。結局残りのメンバーは帰ってこなかったけど……まぁ、どうなったのかは知らない。明久のラブレター?あー後で聞くと姫路に細切れにされ、雄二に燃やされたと。




神白崇彰プロフィール ~Part2~

成績 基本全教科400点越え。Aクラストップレベル。

召喚獣 黒のローブに細い片手剣と片手銃
腕輪 『感覚共有(リンク)
コスト 400点以上の時に点数を400点にする。
能力 『攻撃力と敏捷性を二倍にし、フィードバックと物理干渉を得る』

備考その二
運動神経、学力、性格のクズさなどほぼ全てにおいてトップレベルを誇る。
天才型の人間でその才能を惜しみなく発揮している。
バイトをよくしていて、その度に同僚の女子から告白される程のスペック。
どの彼女とも長続きがしないが、本人は原因が分かっている模様。
Sっ気があり、人を陥れることが好き。
何事よりもユリを優先する。
ユリにファーストキスを奪われ、ユリを非処女にした。
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