恋愛感情ゼロの幼馴染と召喚獣   作:黒ハム

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お久しぶりです。
気付けばちょうど一周年に……。
今年はもう少し投稿できるといいなぁ……。



清涼祭開始と書いて悲劇再びと読む

清涼祭アンケート

 

 学園祭の出し物を決める為のアンケートに御協力ください。

『喫茶店を経営する場合、制服はどんなものが良いですか?』

 

 

 

 姫路瑞希の答え

『家庭用の可愛いエプロン』

 

 教師のコメント

 いかにも学園祭らしいですね。コストもかからないですし、良い考えです。

 

 

 

 土屋康太の答え

『スカートは膝上15センチ、胸元はエプロンドレスの様に若干の強調をしながらも品を保つ。色は白を基調とした薄い青が望ましい。トレイは輝く銀で照り返しが得られる位のものを用意し、裏にはロゴを入れる。靴は5センチ程度のヒールを……』

 

 教師のコメント

 裏面にまでびっしりと書き込まなくても。

 

 

 

 黒栁由梨乃の答え

『■エプロン』

 

 教師のコメント

 なるほど。でも、どんなエプロンか具体的に書いても良かったと思いますよ。それにしても、何故神白君が用紙を持ってきてくれたのでしょうか。後、塗りつぶしたような跡は一体……。

 

 

 

 吉井明久の答え

『ブラジャー』

 

 教師のコメント

 ブレザーの間違いだと信じています。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 そして清涼祭初日の朝。

 

「……あ」

 

 オレはかなり重要なことに気付いてしまった。

 

「どうしたんですか?」

 

 学校に行く支度が出来たユリから声がかかる。

 

「……カラコン補充するの忘れてた…………」

「あれ?珍しいですね。タカがそんな失敗するなんて」

 

 昨日で使用期限が切れるから捨てたのは良かったが、補充するのを完全に忘れてた。しかも、普段ならサボるなり、遅刻で行けばいいが生憎今日は清涼祭だ。その上オレは召喚獣のタッグトーナメントに出場する必要がある。

 

「……さて。どうするか」

「片眼に眼帯していったらどうですか?」

「阿保。それでも、見えてる方の目の色が違うことぐらいバれるだろ」

 

 それに眼帯を外されたら終わりだ。

 

「じゃあ、両眼に」

「それ一番意味ないやつ」

 

 ただ眼を見られた場合、学園祭でテンション上がってカラコンまで入れてはっちゃけてる奴と思われる可能性がある。それか中二病発動中か。ただ両眼を隠すと言う点ではアリだが見えなくては意味ない。

 

「うーん。じゃあ、眼のところを包帯でぐるぐる巻きに」

「オレにミイラ男になれと?嫌だよ」

「……むぅ。注文が多いです。じゃあ、サングラスでもかければいいと思いますよ」

「……そうだな」

 

 やれやれ、サングラスで行くのか……まぁ、致し方なしか。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

「いつもはただのバカに見えるけど、坂本の統率力は凄いわね」

「ホント、いつもはただのバカなのにね」

 

 そして、Fクラス。オレたちの普段使ってる教室はいつもの小汚い感じから、中華風の喫茶店に姿を変えていた。

 

「このテーブルなんて、パッと見は本物と区別がつかないよ」

 

 教室内のいたるところに設置した一見綺麗そうなテーブル。このテーブルは、実はオレたちの教室にあったみかん箱だったりする。巧く積み重ね、綺麗なクロスをかけることにより、汚い箱から立派なテーブルに変身したのだ。

 

「あ、それは木下君が作ってくれたんですよ。どこからか綺麗なクロスを持って来て、こう手際よくテキパキと」

 

 尊敬の眼差しで秀吉を見る姫路。

 あのクロスはきっと演劇部の小道具を使ってるのだろうと予想する。

 

「ま、見かけはそれなりのものになったがの。じゃが、その分、クロスを捲るとこの通りじゃ」

 

 秀吉がクロスを捲ると、その先には普段オレらが見慣れてるみかん箱が。

 

「これを見られたら店の評判はガタ落ちね」

 

 確かにそうだ。こんなみすぼらしい箱が机に使われているのを見られてしまった日には、この店のイメージダウン。下手すると他の店どころか学校にすら迷惑がかかるかもしれない。

 

「きっと大丈夫だよ。こんな所まで見ないだろうし、見たとしてもその人の胸の内にしまっておいて貰えるさ」

「そうですね。わざわざクロスを剥がしてアピールするような人はいませんよ、きっと」

 

 もしそんな事をする奴がいたなら、それは営業妨害が目的でやってるとしか思えない。

 

「室内の装飾も綺麗だし、これならうまくいくよね?」

 

 まぁ、ここまでできりゃ上等だろ。

 

「ねぇ、アキ。今朝からずーっと、疑問に思ってたこと言っていい?」

「ごめん美波。何となく想像がつくし僕もずっと疑問に思ってた」

「やはり、二人も疑問に思ってたんですね……」

 

 何かを疑問に持っているご様子の三人。さぁ?彼ら彼女らか何を疑問に思ってるのかオレには分からない。

 

「ねぇ、崇彰。何でそんなサングラス掛けてるの?というか、見えてる?」

「ん?気分だから心配すんな」

 

 しかも濃い色のサングラスだ。だって、アレだよ。相手からオレの眼を見られたら意味ないもん。

 

「それに、眼鏡屋で買ったのだから安心だ」

 

 何か色の濃いサングラスは危険って言うが、それはあくまで市販の物で諸々の対策が足りてない物が多いだけで、眼鏡屋さんとかのは危険性はない。…………そう信じてる。

 

「そういう問題じゃないくて!アンタは女性受けしそうだからホール担当に由梨乃が推していたのに!それだと怖さで誰も近づかなくなるでしょうが!」

 

 なるほど。だからオレはホール担当だったのか。

 

「まぁ気にするな。寧ろ普段よりダンディーというか、大人っぽさが増したと考えればいいさ」

「ポジティブですね……」

 

 そりゃそうだ。オレの目的はあくまで眼を隠すこと。それだけだから、正直後は口から出まかせで何とでも言える。

 

「やれやれです。あ、吉井さんたち。こっちもオッケーです」

「お、ユリかそれと」

「…………飲茶も完璧」

「おわっ」

 

 いきなり後ろからムッツリーニの声が聞こえると明久が驚いた。相変わらず存在感を消すのが巧い。なぜ消していたかは知らない。

 

「ムッツリーニ、厨房の方もオーケー?」

「…………味見用」

 

 ムッツリーニはそう答えながら、木のお盆を差し出す。その上には陶器のティーセットと胡麻団子が載っていた。

 

「わぁ……。美味しそう……」

「土屋、由梨乃。これウチ等が食べちゃって良いの?」

「…………(コクリ)」

「はい。どうぞ試食して下さい」

「では、遠慮なく頂こうかの」

 

 姫路、島田、秀吉の三人が手を伸ばし、作りたての温かい胡麻団子を勢いよく頬張る。

 ちなみにユリはホール班だが、別に料理は上手いので準備の時は胡麻団子作りを手伝ってもらっていた。

 

「お、美味しいです!」

「本当!表面はカリカリで中はモチモチで食感も良いし!」

「甘すぎないところも良いのう」

 

 どうやら、大絶賛のようだ。

 

「お茶も美味しいです。幸せ……」

「本当ね~……」

 

 すると、姫路と島田の目がトロンと垂れていた。トリップ状態ってやつだ。そんなに旨いのか?

 

「それじゃ、僕も貰おうかな」

「ついでにオレも頂くよ」

「…………(コクコク)」

 

 オレと明久に、ムッツリーニが残った胡麻団子を一つずつを差し出す。

 楊枝がなかったので手でつまんで軽く一口頬張った。

 

「「ふむふむ。表面はゴリゴリでありながら中はネバネバ。甘すぎず、辛すぎる味わいがとっても――――んゴパっ」」

 

 オレたちの口からありえない音が出た。

 

「あ、それはさっき姫路が作ったものじゃな」

「…………!!(グイグイ!)」

「……犠牲になってください」

 

 ユリが残った胡麻団子をオレの口の中に押し込む。ヤバい!これは人が簡単に走馬燈を見ることが出来るある意味存在しちゃいけない代物だ。本気で抵抗しようと思えば殴る蹴るなどをすればいいが問題は相手がユリだということ。ユリ以外ならできるが、ユリに対してそんなこと、オレは死んでもしない。だからせめてもの抵抗としてこの最悪の危険物。喉を通すわけには、

 

「……お茶もどうぞ」

 

 隣で明久がムッツリーニに抵抗する中、オレはユリによって口の中に大量のお茶を注ぎこまれ、

 

 

 ゴクッ

 

 

 そして次の瞬間オレの目に映ったのは走馬燈と言われる、オレの十六年間の軌跡だった……。

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

「うーっす。戻ってきたぞー」

 

 何も知らない呑気な坂本さんの声が聞こえます。ですが、今の私には関係ありません。

 

「あ、雄二。おかえり」

「ん?崇彰たちは何やってるんだ?」

 

 今私は倒れているタカを抱きかかえています。うぅ……戻ってきて下さい……

 

「し、白雪姫ごっこ……」

「はぁ?というか、逆だろ。何で白雪姫役が崇彰で王子様役が黒栁なんだよ」

「さ、さぁー」

 

 白雪姫?そんな口から出任せの嘘を…………あぁっ!そうです!白雪姫です!王子様のキスによって白雪姫にかけられた毒が解かれるというアレです!

 

「お、これは美味しそうだな。どれどれ?」

 

 私がタカ蘇生法を思いつくその傍らで、坂本さんが吉井さんの食べかけである胡麻団子(バイオ兵器)を口に運びます。間接キスとかそんなこと言ってる場合じゃありません!

 

「……たいした男じゃ」

「雄二。キミは今、最高に輝いているよ」

「?お前らが何を言ってるのかわからんが……。ふむふむ。表面はゴリゴリでありながら中はネバネバ。甘すぎず、辛すぎる味わいがとっても――――んゴパっ」

 

 すっごい既視感(デジャヴ)を感じる中、私はタカの唇へそっと口付けをします。

 ……あれ?そういえば白雪姫へのキスってディープの方でしたっけ?いや、さすがに童話ですし普通のキスですね。きっとそうです。むしろ、初対面の姫にディープのキスをする王子様ってやばそうですしね。

 

「う、うぅ……」

 

 お?これは成功ですかね。やはり白雪姫(タカ)毒リンゴ(胡麻団子)による永遠の眠りを覚ますのは王子様()のキスですね。

 

「なんだ崇彰もここに居たのか」

 

 すると、倒れた坂本さんからタカの名前が出ます。…………あれ?

 

「雄二か?オレは……」

「まぁいい。一緒にあの川を渡ろうか」

 

 もしやその川は三途の川と呼ばれるものでは?……あれれ?蘇生失敗?

 

「雄二!?崇彰!?二人ともその川はダメだ!渡ったら戻れなくなっちゃう!」

 

 どどどどうしましょう!早く蘇生しないと…………!でも方法は…………あ!そうです!きっと、アレです!

 

「……んん…………」

 

 今度はキスしたうえでタカの口の中に私の舌を強引にねじ込みます。そうです!きっと、白雪姫も王子様のディープキスで目覚めたんです!お願いです戻ってきて下さい!

 

「六万だと?バカを言え。普通渡し賃は六文だと相場は決まって――はっ!?」

 

 ポンポンという感じで背中が叩かれる気がしましたが、構わずキスを続けます!必ず戻らせますからねタカ!

 

「んんっ!?」

 

 すると、今度はタカの舌が強引に私の舌を追い出そうとしてきます。あれ?コレって……

 

「はぁ……はぁ……殺す気か……」

 

 どうやら復活したみたいです。

 

「うぅ……無事でよかった……」

「トドメ刺そうとしたのも最初に殺しかけたのもお前だけどな……!」

 

 さっと目を逸らします。え?私じゃありませんよー。

 

「今夜……覚えとけよ……!」

「え?それって……!」

 

 も、もしかしてタカからのおさそ――

 

「勉強漬けな」

「――酷いです!期待させておいてあんまりです!」

「今の言い方で期待する方が間違ってるんだ阿保」

 

 いや、どう考えても期待させるアレな言い方だったと思いますけど。

 

「てか、雄二。戻ってきてたんだな」

「ああ、ただ、これから俺と明久が一回戦を済ませてくるから、その間は頼んだぞ」

「おっけー」

「あれ?アンタたちも召喚大会出るの?」

 

 美波さんが明久さんを見て確認します。

 

「え?あ、うん。色々あってね」

 

 言葉を濁す吉井さん。タカも隠していることからきっと裏で何かあるのでしょう。

 

「もしかして、賞品が目的とか……?」

「う~ん。一応そういうことになるかな」

「……誰と行くつもり?」

「ほぇ?」

「吉井君。私も知りたいです」

 

 瑞希さんと美波さんが問い詰めています。きっと、吉井さんと親しいお二人にとっては死活問題なんですね。

 

「明久は俺と行くつもりなんだ」

 

 これは想定外です。私の想像を超えてます。

 

「え?坂本とペアチケットで、『幸せになりに』行くの……?」

 

 どどどうしましょう。これが確かびーえるって奴でしったっけ?

 

「た、タカ。しょ、衝撃の真実ですよ……」

「だろうな……」

 

 はわわ。気まずそうに目を逸らしてますよ。もしかして、こういう……

 

(おそらく、明久にとっても衝撃だっただろうな……)

 

「俺は何度も断ってるんだがな」

「も、もしかして!吉井さんからの片思い……?」

「アキ。アンタやっぱり、木下より坂本の方が……」

「ちょっと待って!その『やっぱり』って言葉凄い引っかかる!後、誤解しないで黒栁さん!」

「誤解……ですか?」

 

 今の会話に誤解する余地はなかった気がします。断言します。

 

「今の雄二の話はう……」

「う?」

「……う、嘘かどうかは崇彰に聞いて」

「紛れもない真実だ」

「そこはフォローしろよバカ彰!」

 

 バカアキ!?タカアキだからバカアキですか!……なるほど上手いです。座布団一枚です。

 

「吉井君。男の子なんですから、できれば女の子に興味を持った方が……」

「それが出来れば明久だって苦労はしてないさ」

「ああ、実に残念な話なんだがな」

「雄二に崇彰!もっともらしくそんなことを言わないで!全然フォローになってないから!」

「っと、そろそろ時間だな」

「よし、さっさと行ってこい」

「……くっ!と、とにかく、誤解だからね!「勘違いしないでよね!」って崇彰!?それじゃただのツンデレじゃないか!?」

 

 …………えーっと。

 

「結局、何が真実なんでしょう……?」

「ま、明久と雄二が仲いいのは事実だな」

 

 そんな感じで、波乱の清涼祭はスタートしました。

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