恋愛感情ゼロの幼馴染と召喚獣   作:黒ハム

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Dクラス戦と書いて前哨戦と読む 

バカテスト 数学

 

 問 以下の問いに答えなさい

『(1)4sinX+3cos3X=2の方程式を満たし、かつ第一象限に存在するXの値を一つ答えなさい。

 (2)sin(A+B)と等しい式を示すのは次のどれか、①~④の中から選びなさい。

    ①sinA+cosB      ②sinA-cosB  

    ③sinAcosB       ④sinAcosB+cosAsinB』

 

 

 姫路瑞希の答え

『(1)X=π/6

 (2)④    』

 

 神白崇彰の答え

『(1)X=π/6

 (2)④ (すみません。珍解答が思いつきませんでした)』

 

 教師のコメント

 そうですね。角度を『°』ではなく『π』で書いてありますし、完璧です。ただ、神白くん。無理に珍解答を思いつこうとしなくて大丈夫です。

 

 

 黒栁由梨乃の答え

『(1)第一象限って何ですか?

 (2)①か②のどちらかだと思います』

 

 教師のコメント

 問題に質問で返さないで下さい。後、(2)はどちらも不正解です。今回の問題は答案用紙に可笑しなことを書いた神白君に解説してもらうので、教えてもらってください。

 

 

 土屋康太の答え

『(1)X=およそ3』

 

 教師のコメント

 およそをつけてごまかしたい気持ちもわかりますが、これでは回答に近くても点数はあげられません。

 

 

 吉井明久の答え

『(2)およそ③』

 

 教師のコメント

 先生は今までたくさんの生徒を見てきましたが、選択問題でおよそをつける生徒は君が初めてです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

 

 

 Dクラスとの試召戦争が始まりました。私は木下さん率いる先攻部隊に所属しています。タカはって?タカは途中退席で0点扱いなので姫路さんと共に回復テストと呼ばれる、召喚獣の点数を補充するための試験を戦争開始と同時に受けています。

 

「やれやれ、こういう時に限ってタカは使い物になりませんね」

 

 仕方ありません。使えない幼馴染に代わって使える私がDクラスのお相手をしましょう。

 

『いたぞ!Fクラスだ!』

 

 声を上げながら走ってくるのはDクラスの部隊でしょうか。そして引き連れている先生は三人。五十嵐先生と布施先生は化学、学年主任の高橋先生は総合科目を承認できる先生です。どうしましょうか。私はお世辞にも化学が得意とはいえません。ですが、隊長に命じられた時は諦めましょう。

 

「黒栁よ」

「何でしょう木下さん」

「お主。化学は得意かのう」

「いいえ。お世辞にも出来るとは言い難いです」

「そうか……なら、お主は総合科目の方へ行ってほしいのじゃ。ワシは化学を引き受ける」

「分かりました」

「ただ、先攻部隊が全滅しても困るのじゃ。じゃから、お主は戦死しそうになったら誰かと交代してほしいのじゃ」

「了解です」

 

 確かに化学はダメかもしれない。でも、総合科目ならまだ戦える気がします。そうです。私ならやれます。

 先攻部隊の中の第一陣がDクラスの部隊とと衝突しました。Dクラスとはいえ、私たちより格上です。というか、姫路さんとタカ以外にとってはどのクラスも格上なのですが……まぁいいです。まずは、ここで第一陣の戦いを観察しましょう。

 

『Fクラスのような雑魚に負けるかよ!』

『クッ……戦死しちまう!誰か助けてくれ!』

『俺が助太刀する!』

『雑魚が二人に増えたところで俺には敵わないぞ!』

『つ、強い……これがDクラス……!』

『だが俺は諦めないぞ!』

 

 ……ふむ。白熱してますね。これは私の出番はなさそうですね。

 

『も、もうダメだ……戦死しちまう』

『あ、諦めるな!ここで引いたら……!』

『隙アリ!』

『ぎゃああああああ!』

『ナイスだ!これで一人減った!』

『戦死者は補習~』

『お前の犠牲無駄にしない!誰か交代してくれ!』

 

 あれから時間は経って、総合科目の勝負はDクラス二人とFクラス二人で行われていましたが、Fクラスの一人がやられ、Fクラスのもう一人は戦死寸前です。仕方ありませんね。私が交代しましょう。幸い戦ってくれていてDクラスの方の点数も減っているはずですしね。

 

「Fクラス、黒栁由梨乃が代わります。試獣召喚(サモン)

 

 私の喚ぶ声に応えて足元に幾何学的な魔法陣が現れます。現れたソレは、聖騎士のような姿で純白の鎧を着て、片手に剣、もう片方の手に盾を持ってます。しかし、それ以外の髪の色やら目やら顔つきは私にそっくりです。まぁ、身長は80センチほどですが。この姿を一言で表すとすれば『デフォルメされた黒栁由梨乃』って、感じですね。

 

 

『Fクラス 黒栁由梨乃

 総合科目  782点

 

     VS

 

 Dクラス   モブ男&モブ男

 総合科目 1084点&1106点』

 

 

 ……どうしましょう。お相手のお二人。普通に私より格上なんですけど。え?彼ら二人に私一人で戦えと?無茶にもほどがありません?

 

『悪いな。女子だからって容赦はしない』

 

 そう言って剣を構えるモブ。あの~容赦して欲しいんですが……

 

「だ、誰か点数の残ってる人はいないのですか!?」

 

 Fクラス陣に問い掛けても答えは帰ってきません。よくみたら生き残ってるFクラスの人たちは化学の方に集まってますね。つまり、援護は期待できない。そのうえ戦死したらここを突破されて不利になる……と。無理ゲーですね。

 

「仕方ありません。私の真の力を解放しましょう」

『真の力……だと』

「えぇ……行きますよ!」

 

 

 

 十数分後……

 

 

『Fクラス 黒栁由梨乃

 総合科目   42点

 

     VS 

 

 Dクラス   モブ男&モブ男

 総合科目 1075点&1098点』

 

 

『これで終わりだ』

 

 あれから、逃げたり盾でガードし続けましたがどうやら、ここまでのようです。

 

『一思いに切り裂いてやる』

 

 相手の召喚獣の剣が私の召喚獣の首元に迫ります。ここまで頑張ってくれた盾も今は私の召喚獣の手元にはありません。理由は簡単です。死闘の最中に叩き落とされ私は今剣も持ってない無防備なのです。ああ、補習は嫌でしたのに……仕方ありませんね。これが私の運命なら受け入れましょう。ただ、デフォルメされた私が首を斬られるなんて、残酷なところを私は見ていられません。目を閉じて西村先生の『戦死者は補習~』というのを待ちます。

 

 

 バンッ

 

 

 一発の銃声。あれ?銃を使う召喚獣なんてここに居ましたっけ?

 

「ったく。世話の焼ける幼馴染だ」

 

 そして、普段から飽きるぐらいに聞いている声。

 私はそっと目を開けると……そこには。

 

「タカ!」

「戦死は免れたな。ユリ」

 

 私の召喚獣の前には、私の召喚獣を守るようにして立つタカの召喚獣が。

 私本人の横には、私と肩を並べて立つタカの姿がありました。

 

 

『Fクラス 黒栁由梨乃&神白崇彰

 総合科目   42点&1427点

 

     VS

 

 Dクラス   モブ男&モブ男

 総合科目 1075点&813点』

 

 

 あれ?不思議ですね。

 

「タカにしては点数低くないですか?」

「こっちは、全科目を満遍なく受けてきたんだよ。この短時間でな」

 

 なるほど。全科目ということは13科目をトータル2時間もないぐらいで私の約二倍の点数と。なるほどなるほど。

 

「タカ」

「なんだ?」

「一回死んで下さい」

 

 何ですかこの男!私が一時間ずつ頑張って全教科受けてこの点数なのに!ムカつきます!

 

「あっそ。なら、一回死ぬ?」

 

 そう言って私の召喚獣のこめかみに銃を当ててきます。こ、この男本気です!本気で味方である私を殺す気です!

 

「ご、ごめんなさい!冗談が過ぎましたから!」

 

 そう言ってタカの腕に抱き着きます。え?軽そうな女に見えるって?そんなことありませんよ。こんなのタカにしかやりません。

 

「まぁ、いいや。……今はコイツらを倒すか」

 

 タカの召喚獣は細めの片手剣に片手銃。後は黒を基調としたローブですね。何か、中近距離タイプみたいですね。

 

『こ、こいつがあの有名な……第六天魔王か!』

『ああ、間違いない。「神白崇彰」と召喚獣にもあった……奴がそうなのか……!』

 

 だいろくてんまおう?何ですかそのカッコイイというか、厨二病くさいあだ名。そんな風に呼ばれていたんですねタカって。坂本さん。聞いてませんよ?そんなあだ名があっただなんて。

 

「へぇ~君たちそうやってオレのこと呼んでいたんだ~」

 

 まぁ、当の本人はある程度納得した様子。というか、初めて呼ばれてたのを知ったみたいですね。というか、タカが魔王って……クスッ。

 

「テメェら……処刑だね」

 

 そう呟いた瞬間。タカの召喚獣は銃を一発放ち、片方の召喚獣の眉間に当てます。

 

『なっ……!いきなり攻撃を仕掛けるなんて卑怯だぞ!』

「卑怯?勝負においてはな……!」

 

 そのまま、戦死していない方の召喚獣に急接近。剣で首をはね、弾丸を撃ちこみます。オーバーキルですね。

 

 

『Fクラス 黒栁由梨乃&神白崇彰

 総合科目   42点&1427点

 

     VS

 

 Dクラス  モブ男&モブ男

 総合科目 DEAD&DEAD  』

 

 

「……敗者の戯言に重みはねぇんだよ」

 

 冷たい眼光がDクラスの二人を貫きます。怖いですよ?タカ。……まぁ、今回のはタカが卑怯というよりかは、勝負の最中に勝手に油断していた相手の落ち度だと思いますが。

 

「さぁ、楽しい補習の時間だ!」

 

 すると、西村先生がやってきました。こちらも相変わらずの威圧感です。

 

「て、鉄人!?」

「い、嫌だ!補習室は嫌なんだっ!」

 

 今にも逃げださんとするDクラスの二人。

 

「黙れ!捕虜は全員この戦闘が終わるまで補習室で特別講義だ!終戦まで何時間かかるかわからんが、たっぷり指導してやるからな」

「た、頼む!見逃してくれ!」

「あんな拷問耐え切れる気がしない!」

「拷問?そんなことはしない。これは立派な教育だ。補習が終わる頃には趣味が勉強、尊敬するのは二宮金次郎、といった理想的な生徒に仕立て上げてやろう」

「お、鬼だ!」

「誰か、助けっ――!」

 

 そのまま連れてかれ、何処かの部屋に入れられたDクラスの二人。……あ、後少しで私もあんな目に……!タカが助けに来てくれてよかったです。

 

「いいかもな……」

 

 タカが何かを呟きました。あまりに小さくて聞きとれませんでしたが次の瞬間。

 

 パンッ

 

「…………へ?」

 

 一発の銃声。そして、

 

 

『Fクラス 黒栁由梨乃

 総合科目  DEAD

 

     VS

 

 Fクラス 神白崇彰

 総合科目 1427点』

 

 

 私の召喚獣は……戦死していました。

 

「戦死者は補習……って、お前か」

「た、タカぁっ!?アンタ何考えてるんですかっ!?」

「あー手が滑ったなー」

「このおバカぁ!ワザとですよね!?ねぇ、ワザとですよねぇっ!?」

「西村先生。後、よろしくお願いしますね」

 

 私の言葉を無視して、爽やかな笑顔で西村先生に託すタカ。そして、クールに去っていきます。あの男には人情というものがないのですかぁ!?

 

「あーなんだ。黒栁」

「……何ですか?」

「特例として――」

 

 特例?まさか、補習免除……?

 

「――みっちり指導をしてやろう」

「いいいぃぃぃぃやぁぁぁぁっ!!」

 

 私の叫びも虚しく、補習室に入れさせられました……。

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