恋愛感情ゼロの幼馴染と召喚獣   作:黒ハム

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Bクラス戦と書いて心理戦と読む ①

バカテスト 化学

 

 問 以下の問いに答えなさい。

『ベンゼンの化学式を答えなさい』

 

 

 姫路瑞希の答え

『C()()

 

 教師のコメント

 簡単でしたかね。

 

 

 土屋康太の答え

『ベン+ゼン=ベンゼン』

 

 教師のコメント

 君は化学を舐めていませんか。

 

 

 吉井明久の答え

『B-E-N-Z-E-N』

 

 教師のコメント

 後で土屋君と一緒に職員室に来るように。

 

 

 黒栁由梨乃の答え。

『Be+N+Zn=ベンゼン』

 

 教師のコメント

 ベリリウムと窒素と亜鉛ではベンゼンは出来ません。後で神白くんに教えてもらってください。

 

 

 神白崇彰の答え

『C()()

製法としてはアセチレンを赤熱鉄菅に通す。と高校では教えられている』

 

 教師のコメント

 流石の一言に尽きます。そのまま、黒栁さんに化学を教えてあげて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて皆、総合科目テストご苦労だった」

 

 教壇に立った坂本さんが机の上に手を置いて皆の方を見ます。今日は午前中はテストでした。そして、ついさっき全科目のテストが終わってタカお手製の昼食を頂きました。昨日は死にかけで今は亡きタカの祖母を始めとした色んな人と会っていたそうですが料理の腕は落ちていませんでしたね。

 

「午後はBクラスとの試召戦争に突入する予定だが、殺る気は充分か?」

『おおーっ!』

 

 一向に下がらないモチベーション。これが私たちの唯一にして最大の武器です。

 

「今回の戦闘は敵を教室に押し込む事が重要になる。その為、開戦直後の渡り廊下戦は絶対に負けるわけにはいかない」

『おぉーっ!』

「そこで、前線部隊は姫路瑞希に指揮を執ってもらう。野郎共、きっちり死んでこい!」

「が、頑張ります」

 

 きっちり死ぬ前提なんですね。まぁ、私は野郎じゃないので死ぬ必要はありませんが。

 

『うおおーっ!』

 

 前回とは違って姫路さんと一緒に戦える。その思いだけで前線部隊の士気は最高潮に達しようとしていました。

 

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 

 昼休み終了のチャイムが鳴り響きます。Bクラス戦開始ですね。

 

「よし行ってこい!目指すはシステムデスクだ!」

『サー、イェッサー!』

 

 私たちの作戦は廊下での戦闘を制すること。廊下での勝負に勝たないとお話にもならないそうなので戦力も五十人中四十人という戦力を注ぎ込んでいます。そこには姫路さんや私も含まれていますが、タカは含まれていません。まぁ、それでも勝てるとは思いますが。

 後はこちらの主な武器は数学です。Bクラスは比較的文系が多いそうですね。後は英語に物理だそうです。どうしましょう。私の得意教科がありません。というか、何が私って得意なのでしょう?

 

「いたぞ、Bクラスだ!」

「高橋先生を連れているぞ!」

 

 正面からBクラスの生徒たちがゆっくりとした足取りで歩いてきます。数は十人です。あくまで様子見でしょうか。

 

「生かして帰すなーっ!」

 

 そんな物騒な言葉が皮切りとなって、Bクラス戦が始まりました。

 

 

『Bクラス 野中長男

 総合科目 1943点

 

     VS

 

 Fクラス 近藤吉宗

 総合科目 764点 』

 

 

『Bクラス 金田一祐子

 数学   159点

 

     VS

 

 Fクラス 武藤啓太

 数学   69点  』

 

 

『Bクラス 里井真由子

 物理   152点

 

     VS

 

 Fクラス 君島博

 物理   77点  』

 

 

 これが桁違いの強さって奴ですか。

 圧倒的とも言える実力差によって第一陣がことごとくやられていきます。

 

「お、遅れ、ま、した……。ごめ、んな、さい……」

 

 息を切らして姫路さんがやってきました。きっと彼らの全力疾走に付いてこれなかったのでしょう。私?私はタカのおかげで体力はありますからね。そこまで心配いりません。

 

「来たぞ!姫路瑞希だ!」

 

 Bクラスの誰かが叫ぶと全員が目つきを変え、いっそう警戒を強めます。明らかに警戒していますね。姫路さんが前に行くと二人の女子が現れ、数学担当の長谷川先生に数学の勝負の立会いをするように頼んでいます。あちらは十人しかいないのに、そのうち二人も使っていますね。なるほど。ここで姫路さんを倒してFクラスの士気を下げるつもりですか。

 

 

『Fクラス 姫路瑞希

 数学   412点

 

 VS

 

 Bクラス 岩下律子&菊入真由美

 数学   189点&151点 』

 

 

「あれ?姫路さんの召喚獣ってアクセサリーなんてしてるんだね?」

「あ、はい。数学は結構解けたので……」

「?結構解けると、アクセサリーをしてるの?」

 

 そう言っていたので見てみますと確かに姫路さんの召喚獣の左手首に綺麗な腕輪をしていました。ああ、確かアレですよ。一科目で400点を超えるともらえる特殊能力って奴ですよ。

 

「じゃ、いきますね」

 

 キュボッ!

 

 姫路さんは腕輪を光らせ、熱線を放って、片一方の召喚獣を一瞬で灰にしました。

 そして、大きく避けて、バランスを崩したもう片方の相手を大剣で一刀両断。凄い強いです。私も特殊能力欲しいなぁ……。

 

「なっ!そんなバカな!?」

「姫路瑞希、噂以上に危険な相手だ!」

 

 まだ生き残っているBクラスの八人からは驚愕の色が見えますね。無理もないでしょう。

 

「み、皆さん、頑張ってください!」

 

 姫路さんが指揮官らしくない指示を出して、そのまま後ろに下がります。

 あの腕輪の使用には点数をかなり消費するものもあると聞きます。姫路さんのはその代表例ともいえますね。なので戦死を避けるため後ろに下がるのは当然の行動です。まぁ、向こうの士気は下がっていますし、この分なら姫路さん抜きでも渡り廊下での戦いは勝てますね。

 

「やったるでぇーっ!」

「姫路さんサイコーッ!」

 

 さっきの姫路さんの激励に味方の士気は大幅に上がって、信者は増えます。

 

「中堅部隊と入れ替わりながら後退!戦死だけはするな!」

 

 Bクラスからそんな声が聞こえてきますべ。私たちの狙いは敵を教室に押し込むことです。今の所は順調ですね。第一目標を果たすべく、しっかり向こうをBクラスの教室に押し込みたい所です。

 木下さんと吉井さんが下がっていくのが見えましたが関係ありません。

 

「あれ?なんでしょう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ。すんなり協定の話は進んだなぁ」

「ああ。最初に使者が来た時には、どうなるかと思ったがな」

 

 のんびり自分たちの教室に戻っていくオレたち。先ほどまで雄二とオレはBクラス代表の根本と協定を結びに行ってたのだ。

 そして、教室に戻ったオレたちを迎え入れるのは、穴だらけになった卓袱台と折られたシャープペンや消しゴム、後は引き裂かれた座布団などなどだった。

 

「ふーん。何というか……予想通りだな」

「ああ。教室にFクラスの奴らを残しておかなくて正解だったな」

 

 それを見たオレたちは、別に驚くこともなく淡々と話をしていた。

 

「……うわ、こりゃ酷い」

「まさかこうくるとはのう」

「卑怯、だね」

 

 すると何を思ったのか帰ってきた明久と秀吉。まぁ、普通の反応だね。地味な嫌がらせだが、これでは補給がままならない。点数にも影響は出るという、地味に後に響きそうな感じだ。

 

「あまり気にするな」

「そうそう。修復には時間がかかるかもしれないけど作戦に支障はないさ」

「雄二と崇彰が言うならいいけど」

 

 一応は納得してくれる明久。

 

「それはそうと、どうして雄二たちは教室がこんなになっているのに気付かなかったの?」

「協定を結びたいという申し出があって、調印の為に教室を空にしていた」

「協定じゃと?」

「そ。四時までに決着がつかなかったら戦況をそのままにして続きは明日午前九時に持ち越す。後は、その間は試召戦争に関する一切の行為を禁止する。という内容のな」

「承諾したの?」

「そうだ」

「でも、体力勝負にした方がウチとしては有利じゃないの?」

「姫路以外は……な?」

 

 そう。うちの主戦力の姫路が体力切れでは困る。

 ちょっと隣の空き教室に荷物を取りに行っていたが、その間に雄二が説明してくれてたそう。

 

「そういうこと。この協定は俺たちにとってかなり都合がいい」

「なるほど……ところで崇彰。その二つの鞄は?」

「ん?オレとユリの。予め避難させといた」

「なら、ワシらのも避難させてもよかったじゃろうに……」

「悪い悪い。でも、避難させ過ぎると逆に勘づかれるしな」

 

 そう。二人ぐらいの荷物が減ってもそう気にはならないが、十人分くらい減ってると流石に勘づかれるだろうな。

 

「だが、お前にも人の情はあったんだな」

「ん?どういう意味?」

「自分のだけでなく黒栁の分まで避難させてたんだろ?幼馴染だからか?」

「そうだな。アイツ。自分の私物が傷つけられたら凄い悲しむから」

 

(((……何でこの二人は付き合わないのだろうか)))

 

「まぁ、二人は戦線に……ん?」

 

 ここでオレは気付く。教卓の上に何かが書かれた紙が置いてあることに……

 

「雄二。あんなところに紙なんて置いてったか?」

「いや、そんなはずはない」

「読んでみたら?」

「そうだな」

 

 紙を取って文面を読む。

 

「『黒栁由梨乃を人質に取った。返して欲しくば神白崇彰一人で保健室まで来い』……か」

「……罠だな」

「罠じゃな」

「罠だね」

「そーだなー」

 

 ビリッ!

 

 軽い調子の返答と共に紙を真ん中から引き裂く。

 

「雄二。行くとこが出来た。しばらく帰ってこれないかもしれん」

「……お前。正気か?」

「悪いな。ただ――」

「ただ?」

 

 オレは一息吸って何時になく低い声で告げる。

 

「――ユリはオレが守る。傷つける者は誰であろうと許さん」

 

 そして、そのまま保健室に向かう。

 

「ねぇ、雄二。何で崇彰って黒栁さんと付き合わないんだろうね」

「ああ。というか、前の戦争で黒栁を戦死させたのアイツだぞ」

「あの男はよく分からんのう……」

 

 後ろの方でこんな声が聞こえていたがオレは無視した。

 保健室についたオレ。そこで目にしたのは――――――!

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