恋愛感情ゼロの幼馴染と召喚獣   作:黒ハム

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Bクラス戦と書いて心理戦と読む ②

「タカ!」

「ユリ!」

 

 保健室に着いたオレを待っていたのは捕まったユリ本人と召喚獣。そして、

 

「おっと、余計な動きを見せるなよ第六天魔王。さもないとコイツを戦死させるからな」

 

 ユリの召喚獣の首元に剣とかを当てている二体の召喚獣。後は古典の竹中先生だ。

 というか、何でそのあだ名が広まっているのか。不思議だなぁ。

 

「あっそ。試験召喚(サモン)

 

 

『Fクラス 黒栁由梨乃&神白崇彰

 古典     13点&412点

 

     VS

 

 Bクラス  モブA&モブB

 古典   194点&207点 』

 

 

「ま、待て!誰が召喚していいって言った」

 

 狼狽するBクラスのモブA。まぁ、仕方ないね。だってあの二人の点数を足してもオレには及ばないからな。

 

「よく考えろよ。お前らの目的は大方、Fクラスの主戦力であるオレを足止めすること。違うか?」

「あ、ああ」

「まぁ、点数次第じゃ勝てるとでも思ってこんな役を引き受けたんだろうがオレは腕輪持ち。君たちに勝ち目はなくなったね」

「だ、だがこっちには人質がいる」

「ふーん。で?」

「お、幼馴染なんだろ?」

「ふーん。で?」

「……ちょっと待て。お前。人質がどうなってもいいのか?」

「まぁ、人質の召喚獣なら煮るなり焼くなり好きにしたら?ただ――」

 

 最大限の笑顔を作って、続きを言う。

 

「――ユリ本人に手を出そうものならテメェら。無事に家に帰れるとは思うなよ」

 

((こ、こえぇ……!))

 

 萎縮するような様子を見せるBクラス二人。やれやれって感じのユリ。いやいや、お前が捕まってることにオレは呆れているんだが?

 

「というか、オレが召喚した時点でお前らの目的は果たしたようなものだろ?」

「どういうことだ?」

「オレはユリが人質に取られているからお前らを倒せない。味方が近くにいないからこのまま戦場に戻ろうとすれば敵前逃亡とみなされ補習室送り」

 

 床に座る。いかにもお手上げって感じを出しておく。どうせ、長期戦だ。立つのも面倒だしな。

 

「つまり、オレには今打つ手がない。分かった?」

「な、なるほど」

「なら交渉だ。オレは召喚獣の武器を捨てる。オレの武器は剣が一本に銃が一丁。銃はわざわざ弾丸を取り出してバラしてから捨ててやる。代わりにユリ本人を解放しろ。召喚獣を解放する必要はない。本人だけを解放しろ。どうだ?乗るか?反るか?」

「ちょ、ちょっと考えさせろ」

 

 まぁ、正直言って、このまま奴らの召喚獣を撃ち抜けば問題はねぇんだけどな。

 そう言ってBクラスのモブAとBがこそこそ話し合うこと数分。

 

「わ、分かった。ただ、解放する前に先に武器を遠くに投げろ」

「オッケー」

 

 宣言通り、弾丸を抜いて剣と銃を遠くに投げ捨てる。

 

「よし。人質本人を解放しよう」

 

 解放されるユリ。

 

「タカぁ~!」

 

 抱き着いてくるユリ。

 

「よしよし。なら次。場所を変えないか?こんな廊下のど真ん中でこんなことしているのはただの邪魔。保健室の中に入らないか?そうすれば実質監禁状態にできる。完璧だろ?まぁ、無理にとは言わないさ。考えるといい」

 

 少し考えるBクラスの二人。

 

「……それもそうだな。よし、竹中先生。移動をお願いできますか」

「分かりました」

 

 保健室の中に先ずオレとユリが入って次いで先生。最後にBクラスの二人が中に入り、出入り口の扉の前に仁王立ちする。まぁ、オレはベッドの上で胡坐をかいているが。

 というか、召喚フィールドを動かしたせいで投げ捨てた武器が召喚フィールドの端に行ってしまった。まぁ、いいけど。

 

「で?お前は何でここにいるんだ?ユリ」

「そ、それは……」

「その女は『神白が姫路のパンツを見て鼻血が止まらなくなって保健室に居る』って書いた紙を見せたらのこのことやってきたぞ」

「……はぁ?」

「ピュ~ヒュ~♪」

 

 するとそっぽを向いて口笛を吹くユリ。

 

「こっちを見ろ」

「はぁ。私が本当に無策でやってきたとお思いですか?」

 

 肩を竦めやれやれって感じを出すユリ。

 

「ああ、その通りだと思う」

「まぁ、その通りなのですが」

 

 おい。予想通り過ぎるが……

 

「だって、タカですよ。やりかねないじゃないですか!」

「よし、表に出ろ。一発殴る」

「暴力反対です!どうせなら殴られるよりキスされたいです」

 

 意味が分からん。

 

「まぁ、本当はタカを舐めたいのですが(ペロペロ)」

「いや、もう頬を舐められてるのだが」

「気のせいですよ(ペロペロペロ)」

「お前は犬か」

「わんわん」

「お手」

「わん(ポンッ)」

「おかわり」

「わん(ポンッ)」

「伏せ」

「わん」

「ありがと」

「って人の背中を枕にして寝るんじゃないです!」

 

 やれやれ。昨日は人を椅子にしていたくせに。

 

「なぁ、今なら第六天魔王の召喚獣を倒せるんじゃねぇか?」

「奇遇だな。俺もそう思い始めた」

「というか、いい加減我慢の限界だな」

「ああ。俺たちに彼女がいないことをいいことに……!」

「よし、俺が殺りにいく」

「おう。任せた」

 

 すると何やら小声で話す気配がする。

 

「あーBクラスのお二人。オレの腕輪の能力は『感覚共有』だ。つまり、オレの召喚獣が攻撃されればオレが分かるし、言ったろ?共有って。だから、お前らが攻撃しようとすればオレが分かる。やめといた方がいいぜ」

 

 すると、歯ぎしりのようなものが聞こえたがまぁ、いいだろう。二人は召喚獣を動かすことを諦めたようだ。

 というか、これだとどっちが人質か分かんないな。

 

「で?とりあえず四時まで後、一時間はあるな。暇だが仕方ないか……」

 

 そういいながら一旦枕にするのをやめたユリの頭を撫でてやる。

 

「そうそこです~あ~もうちょい左です~」

「ここか?」

「さすが~私専属の撫で師です~。帰ったらたくさん甘えてあげますから~あ~そこそこ~」

 

 やれやれ、コイツには呆れるよ。今が試召戦争中って分かってんのか?

 そんなこんなで三時五十五分。頃合いと思ったオレは動き出した。

 

「もう、今日の戦争終わりかー何か寝てたら過ぎたな」

「そうですね。こんな楽とは思いませんでした」

 

 あれからBクラスの二人は真面目に見張りをしている。いやー感心感心。

 

「さて、飽きた」

 

 そう言うと懐に隠していた弾丸を思い切り投げつける。

 

「なっ!?」

「お前弾丸を隠し持ってたのか!」

「正解~」

 

 その一瞬をついて三体の召喚獣に近づき、Bクラスの二人の召喚獣を回し蹴りの要領で蹴り飛ばす。

 

「あっ。解放された?」

「後ろに隠れとけ。今からこいつらをぶちのめす」

 

 残り三分と少し。上等だ。

 

「テメェ不意打ちは卑怯……!」

「人質取った野郎に言われたくねぇ!」

 

 刀を振り下ろすもそれを半歩ずらし避けたうえでカウンターパンチをお見舞いする。

 

「素手なんかに負けるかよ!」

 

 そう言って突撃してくるもう片方。

 

「素手も割と強いぜ?」

 

 タイミングを合わせ、敵の召喚獣の顔面に裏拳を放つ。

 

「だったら、こっちを狙うまで!」

「えっ!?私!?」

「狙わせるかよ!」

 

 裏拳をモロに喰らった召喚獣を蹴り飛ばし、ユリともう片方の召喚獣の間に割り込ませる。

 

「な、何て野郎だ。召喚獣を何だと思ってやがる!」

「クソ、これが第六天魔王の力か……!どうする?一旦体勢を……!」

「おせぇよ」

 

 相手の召喚獣に接近。頭を掴んで床に沈める。

 

「まず一体!ユリ!」

「う、うん!」

 

 盾を構えるユリ。その盾を足場にし、跳躍する。さながら弾丸のように飛んでった召喚獣は、そのまま敵の召喚獣の頭を掴み膝蹴りを喰らわす。これで二体目。

 

「そ、そんな……!」

「一瞬で……逆転された……」

 

 

 

『Fクラス 黒栁由梨乃&神白崇彰

 古典     13点&400点

 

     VS

 

 Bクラス  モブA&モブB

 古典   Dead&Dead 』

 

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 

 四時を告げるチャイムが鳴る。一旦休戦だな。

 

「やれやれ。油断禁物だ。後は、オレを抑え込む方法を間違えたな」

「間違えただと……?」

「ああ。確かにオレには脅迫の類は通用しない。だからユリを人質に取った。でもそれは間違いだ」

「確かに、人質を取ると言うのは人として間違ってたかもしれないな」

「そういうことじゃないんだな」

「なら、どういうことだ?」

 

 呆れたな。Bクラスの人ならこれぐらいのロジックに気付いてもいいだろ。

 

「いいか?Fクラスとして、黒栁由梨乃という戦力は居ても居なくても変わらない」

「「なっ……!」」

「酷くないですかぁっ!?」

 

 若干涙目になりながら胸をぽかぽかと殴ってくるユリ。

 

「だから、ここで戦死したとしても何の痛手にもならない!」

「「こ、こいつ最低過ぎる!?」」

「言ったろ?人質の召喚獣なら煮るなり焼くなり好きにしろって」

「なら、何で戦力外の奴を助けるためにお前はここに来た?」

 

 ふっ。笑わせるな。答えは一つしかないだろう?ユリの頭に手を置いて答える。

 

「このバカで可愛い幼馴染を守るためだよ。召喚獣が何されようとオレはどうでもいいが……ユリ本人に何かしようってなら話は別だ。事と次第によっては地獄すら生温いものを見せてやるよ」

「むぅ~誰がバカな幼馴染ですか」

「ユリに決まってるだろ」

「……まぁ、いいです。ありがとう。助けてくれて」

 

 ……お礼を言われるのも悪い気はしないな。

 

「お礼に私をおんぶして家まで帰ってもいいことにします」

 

 ……ん?おれ……い?

 

「いいえ。おんぶして帰ってください」

 

 ……お礼じゃなくてそれ命令だよな?

 

「ったく。ほらよ」

「フッフッフッ。私に背中を向けましたね。あなたの首の後ろがガラ空きですよ」

「あーそうだな」

「では、このまま舐めてあげま……ひゃう!?」

 

 奇声を上げるユリ。

 

「どうかしたか?」

「ふ、太ももを撫でるのは反則です!そういうのは家でやってください」

「なら、お前も家でにしろ」

「……分かりました」

 

 本当に、この幼馴染は世話が焼けるな……まぁ、いいけど。

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