特別編小説投稿部屋   作:シュン@ヨハネ

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新庄雄太郎様のコラボ企画です。
生まれて初めてのミステリーものとなっていますが、正直自信はないです。
お見苦しいかと思いますが、よろしくお願いします。


くろしお特急南紀・大和路殺人事件:前編

 とある日。

 早朝の静岡駅に橘廉(たちばなれん)の姿があった。

 

「ふわぁ〜」

 

 大きく口を開けながら大欠伸をする廉。

 そんな彼の姿を見てクスクスと笑うのは梨子だ。

 

「ふふっ。廉君大きな欠伸しちゃって」

「あ、あぁすいません・・・昨日は準備に時間をとりまして」

「まぁ仕方ないよ。」

 

 恥ずかしそうにしながら謝る廉に梨子はクスクスと笑いながら話をする。

 すると廉の隣にいたお団子頭が特徴的で、キリッとした目つきの女の子である津島善子ことヨハネが“ハァッ”とため息をつきながら廉を見て話す。

 

「もう。情けないわね」

「そういう よっちゃんも、昨日寝れなかったんじゃないの?」

「あら?そんなレンち〜みたいに子供じゃあ無いの・・・ふわぁ〜」

「あ〜!欠伸してるし!!」

「チ、ちが!これは・・・そう!これは全国のリトルデーモンが私の噂をしてたのよ!?」

「よっちゃん・・・苦しいよ?」

「うぐぐぅ〜」

 

 欠伸をする廉に対してバカにしていたヨハネだったが、彼女自身も欠伸をしてしまう。

 廉のツッコミにヨハネは言い訳をするも、その内容はかなり苦しく梨子に苦笑いされる始末である。

 今日は廉を始めヨハネ、梨子と共に旅行へ行くため静岡駅の新幹線ホームへといる。

 しかし今回は3人だけではなく、もう一人参加者がいる。

 

「てか、マリーはどこよ?!」

「あぁそういえばいないね〜」

 

 その最後の参加者は小原鞠莉ことマリーだ。

 だがヨハネの言葉通り、彼女はいない。

 

「あ、いた」

「ごめんね〜♩」

「どこ行って・・・って!何よそのお菓子の量はぁ!?」

「ん〜♩売店見てたらぁ、美味しそうだったんだもの♩だから買っちゃった♩」

「だから買っちゃった♩じゃ無いですよぉ〜」

「おぅ♩リリーのモノマネ似てる〜♩」

「そういうの・・・良いですから・・・」

 

 両手にお菓子がいっぱいに詰められたビニール袋を持ちながらテンション高めに話すマリーに梨子はため息をつく。

 

「そうだ廉君♩一緒に付いてきてくれてありがとね♩」

「いえ、こちらこそ誘ってくれて有り難うございます。楽しみです♩」

「楽しみましょ♩それにぃ、善子と一緒に行けるしね〜♩」

「ヨハネよ!って・・・どどどどそういう事かしらぁ?!」

「おぅ〜。知ってるくせに〜」

 

 顔を引きつらせながら答えるヨハネにニヤニヤしながら話すマリー。

 そんなやりとりをしている内に、新幹線ホームに「ひかり」が入ってきた。

 四人は到着した新幹線へと乗り込み座る椅子をひっくり返し向かう会うように変え座る。

 

「ここお菓子置いとくわね〜♩」

 

 口を開いたポテトチップスを置くマリー。

 一行はお菓子を食べ、おしゃべりをしながら西へと向かって行く。

 西に向かいながら新幹線を走らせて行く。

 

「そう言えば、今日はどこに行くんですか?」

「あぁ、今日は南紀と大和路方面だよ?」

「へぇ〜、南紀ですかぁ」

「ねぇレンち〜、南紀って?大和路?」

 

 廉の質問に答える梨子。

 その梨子から出た言葉にヨハネは首を傾げながら廉に聞くと、廉は話を始める。

 

「あぁ、南紀って紀伊の国を相当する地域の事だよ。場所は和歌山らへん。んで大和路は奈良県を指してて、京都から大和(奈良)へと向かう道の事を大和路って言ったんだよ」

「へぇ〜・・・」

「よくわかって無いでしょ?」

「うん」

「だよね・・・」

 

 廉の質問にピンとこないヨハネ。

 そんな笑い声が聞こえる雰囲気の中、新幹線は西へと向かい新大阪へと到着した。

 

「次は、くろしおに乗って移動だね」

 

 スマフォで乗り換えアプリを見ながら話す廉。

 こういう時に、頼れる男性が一人いると違うものだ。

 新大阪から白浜行き「くろしお3号」へと乗り換える。

 

「えっと席は・・・」

 

 鞠莉が切符を見ながら席を探す。

 すると向かい側からフラフラと酔っ払った感じの男性が歩いてくる。

 鞠莉らは、その男性を避けようと身体を寄せるが男性は御構い無しにフラフラと肩を揺らしながら鞠莉らに軽く当たりながら真ん中を通って行く。

 

「もう。謝ってくれたっていいじゃ無いの?」

「まぁまぁ。結構出来上がってるっぽいし。まだ朝だけどねぇ・・・」

 

 ムッと片頬を膨らませながら怒る鞠莉に梨子が苦笑いしながら宥める。

 4人は席へと座り後は目的地である白浜へと向かう。

 朝早くに出発したためか、電車に揺られながら眠りについてしまった。

 

「んぁ・・・あ、着いた」

 

 タイミングよく起きた廉。

 白浜駅へと着き4人は荷物を手に駅のホームへと降り立つ。

 

「長かったぁ〜」

「そうだねぇ〜」

 

 ヨハネが身体をググッと伸ばしながら話す。

 梨子も荷物を肩にかけながら背伸びをし身体を伸ばす。

 

「レンち〜は来た事あるの?」

「いえ。俺も初めてです。すっごい楽しみです」

「ンフフ〜。楽しみましょ♩」

 

 パチンとウインクしながら話す鞠莉に廉も笑顔になる。

 

「じゃあ行きましょう・・・ん?」

 

 歩き出そうとする廉。

 すると、何やら電車の中が騒がしくなっていた。

 

「ん?何?」

「いや、なんか電車の中が騒がしい・・・あ」

 

 廉がポツリと言葉を発すると電車の中から一人の人物が飛び出してきた。

 その人物は、先ほど新大阪駅で道でぶつかりながらすれ違った男性だった。

 勢いがある事から慌てて出てきたのかな?と感じる4人、だが彼の青ざめた表情と口元には白い泡のような物が出ているのを廉は見逃さず、その瞬間にヒヤリと背筋が凍る。

 

「あ・・・よっちゃん!!」

「ん?・・・え?」

 

 先に歩いていたヨハネを呼ぶ廉。

 ヨハネが振り返り廉を見るが、すぐ後に来た嫌な存在感に気がつくとゆっくりと振り返り直した。

 

「・・・え?」

 

 振り返った先には、男性が迫っていた。

 ヨハネが反応する前に、その男性はヨハネの両肩をガッシリと掴んだ。

 

「え?!ちょっ!?な、なに!?」

「うぅ・・・たす、けて・・・」

「ぎにゃ〜!!」

 

 振り払おうとするヨハネだが、男性の力には敵わず両肩は掴まれたままだ。

 すると廉が荷物を地面に置きヨハネの元へと走る。

 

「おっさん!手を離せ!」

 

 男性の腕を掴み引き剥がそうとする廉。

 片方の腕がヨハネの肩から離れると、ヨハネはもう片方の腕を振り払い抜け出す事が出来ると、鞠莉と梨子の元へ半泣き状態で走って行く。

 

「リリー!マリー!」

「よっちゃん大丈夫?!」

 

 梨子の元へと向かうヨハネ。

 半べそをかきながら梨子に抱きつくヨハネに、梨子は頭を撫でる。

 

「おっさん。犯罪だよぉ?って・・・なんだ?」

 

 先ほど感じた背筋が凍る感覚は、思い違いではなかった。

 間近で見た男性の表情は苦悶で満ちており顔色は青白く、額からは脂汗が流れていた。

 そして口からは泡状のものが垂れてきており、廉は尋常では無い光景を目の当たりにしたのだ。

 

「うぅ・・・」

「え?おっさん!?」

 

 そのまま膝から崩れ落ちる男性。

 廉は慌てて男性の腕を掴もうとするも力が及ばなかったのか地面へと倒れ込んでしまった。

 

「大丈夫?!」

「あぁ・・・うぅ・・・」

 

 何かを言おうとする男性に廉は少し顔を近づけ耳を傾けると、男性は震える声で話す。

 

「電車で・・・注射を・・・打たれて・・・」

 

 断片的に言葉を話す男性だったが、最後まで言い切れずに事切れてしまった。

 

「おい・・・おい!マジかよ・・・」

 

 目の前に起こった光景に愕然とする廉。

 また周りも騒然としており人だかりも出来ている。

 

「ほらほら!どいてどいて!!」

 

 頭の中が真っ白になりかける廉。

 そんな彼の所に人だかりを退けながら二人の男性が割って入って来ると、廉はハッと我に帰り二人の男性をみる。

 

「君!!大丈夫かい!?」

「あ、はい・・・」

「えっと、君がやった・・・訳では無さそうかな?」

 

 廉の近くに来て言葉をかける男性に、廉はコクリと頷く。

 その男性も状況が未だ飲み込めていないのか、まずは男性を掴んでいた廉を疑う。

 しかし周りの人からの説明もあり、廉がヨハネを助けた後にこの状況になってしまった事を理解した。

 

「なるほど・・・」

「あの、あなたは?」

「あぁすまない。俺は東京公安特捜班の南達仁だ。」

 

 そう言いながら警察手帳を見せる南達仁と名乗った男性。

 彼が警察とわかると、体の力が一気に抜けたのか廉はその場にへたり込んでしまった。

 

「はぁ・・・良かった」

「さて少し聞いてもいいかな?」

「あ、はい」

 

 南にここまでの経緯を話す廉。

 ヨハネに掴みかかった事、腕を引き離し男性の表情がおかしくなり倒れた事、そして最後の力を振り絞った様に注射を打たれた事を全て記憶を辿りながら話した。

 

「ふむ。なるほど・・・」

「俺が覚えてるのはこれだけです」

「電車の中で注射を打たれた・・・」

「そう言っていました」

 

 顎に手をやりながら考える南。

 廉は力が入る様になったのか立ち上がると遠くで見ていたヨハネを見る。

 

「あの、友達の所へ行って良いですか?」

「ん?あぁ構わないよ?でも後でもう少し事情聴取をさせてくれないか?」

「はい。大丈夫です」

 

 そう言い残し廉はヨハネたちの元へと向かう。

 

「だ、大丈夫だった?!」

「うん。俺は大丈夫。よっちゃんは?」

「私も大丈夫だけど。。。その、ありがとね。助けてくれて」

「ん♩」

 

 恥ずかしそうにお礼を言うヨハネに笑顔を見せる廉。

 無事そうだった事に安堵する廉。

 その後、廉とヨハネは南達仁に事情聴取を受ける事になる。

 質問に対し、ヨハネは先ほどの出来事がトラウマなのか声を震わせながら断片的に言葉を発している。

 廉自身、こんなに狼狽えるヨハネを見るのは初めてだった。

 

 そして廉はと言うと、はっきりとした口調で質問に答える。

 

「君は肝が座ってるね」

「え?」

「あんな事が起きた後に、ここまでしっかりとした話が出来るのはそうそういないよ?」

「いえ、自分も正直いっぱいいっぱいです。でも・・・」

 

 笑いながら答える廉。

 その彼の目線の先にはヨハネがいるのを南は確認するとフッと笑いながら話す。

 

「よし。以上で大丈夫だ。悪いねせっかくの旅行に」

「いえ、大丈夫です」

「あの子。恐らく精神面的に参ってると思う。だから、君がフォローしてあげなさい」

 

 南が話しながら指差す先にはヨハネがいた。

 廉はヨハネを見ると、南の方へと振り返りニッと笑顔を見せながら頷いた。

 

「有り難うございます。では失礼します!」

 

 ペコリと深々と頭を下げてヨハネの所へと向かう廉。

 

「行こう、よっちゃん」

「うん・・」

 

 南の言う通り元気がないヨハネ。

 そんな彼女に廉はスッと手を差し出し優しく手を握る。

 

「レンち〜?」

「大丈夫。俺が付いてるから」

「あ、ありがと・・・」

 

 頰を赤らめながらヨハネは廉の手を握りかえす。

 二人が鞠莉と梨子の元へと向かう。

 

「ゴメン。お待たせ」

「ううん。大丈夫よ〜♩」

「大変そうだったね」

「大変でした」

 

 鞠莉と梨子の言葉に笑いながら答える廉。

 こうして四人は改めて駅から出るために歩き出すのであった。

 

「あの少年。将来警察官になれますね」

「あぁ。良い肝の座り方だ。それに度胸もある。本人が望むなら良い警察官になれるよ」

 

 南に話しかけてくる男性がもう一人。

 彼の名前は高山直人、南と同じ公安特捜班である。

 南も高山も廉に一目置いている様で、その話に盛り上がる。

 

「さて話はさておき、仏さんの情報は?」

「えぇ。亡くなったのは田村泰三(たむらたいぞう)54歳。薬品会社の社長ですね。今日は休みを取って単身旅行に来ていたみたいですね」

「旅行か、俺らも今日非番で旅行のはずだったんだがな」

「まぁ仕方ないですよ。たまたま同じ車両に乗ったのが運のつきです。」

「まぁいい。地元警察や公安に亡くなった田村の情報を調べるんだ。」

「了解です。」

 

 南が高山へ指示を出すと、高山はすぐにスマフォを取り出しどこかへ連絡を入れ始めた。

 

(薬の様なものを注射で打たれたか・・・、田村は薬品会社の社長・・・何か繋がりはあるのか?)

 

 顎に手をやりながら考える南。

 だが情報が少ないため、南は今は考えるのを辞め情報取集に力を入れる事にしたのであった。

 駅のホームで起きた喧騒が収まっていく。

 その場面を物陰から見ている人物がいるとは知らずに・・・・

 

 

 

「さて!まずはアドベンチャーワールドね!」

 

 鞠莉がニコニコと笑顔を見せる。

 4人は今日泊まる宿に荷物を預け、観光へと向かう事にした。

 

「ほら行こうよっちゃん」

「うん・・・」

 

 まだ元気が出ないヨハネに廉は手を繋ぎながら軽く引く。

 

「よっちゃん、俺が付いてるから」

「レンち〜・・・」

「あんらぁ?告白〜?」

「え?!」

 

 廉の言葉に鞠莉がニヤニヤしながら揶揄う様に話すと、廉とヨハネはボッと顔を真っ赤にする。

 

「ま、マリ〜!!」

「あはは〜、怒った〜♩」

「あぁコラ!!待ちなさいよ〜!」

 

 逃げる鞠莉を追いかけるヨハネ。

 

「よっちゃん。少しは元気になるかな?」

「あ、梨子さん。どうでしょう・・・そう滅多にない出来事でしたからね」

「廉くんは平気そうだね?」

「いえ、自分も正直いっぱいいっぱいですよ・・・」

「廉くん・・・」

 

 心配そうに廉を見る梨子。

 廉は無理してるのだろう、そう感じてはいるが梨子はそれ以上のことは言わなかった。

 

「でも、気を切り替えて今日は楽しもう」

「ですね♩」

 

 四人は最初にアドベンチャーワールドへと向かう。

 アドベンチャーワールドは動物ふれあいテーマパークだ。

 特徴は、パンダの保有数であろう。

 

「すっごい〜♩あんなにパンダが!!」

「上野では一匹生まれただけで大騒ぎなのにねぇ」

 

 目をキラキラと輝かせるヨハネに廉は笑いながら話をする。

 またここにはイルカショーを見たりできたり、サファリゾーンといった多種多様の施設が盛りだくさんだ。

 ここだけで1日は過ごせるのだろう。

 だが廉たちは昼食を食べたお昼過ぎには出る予定となっている。

 

「はぁ〜。伊豆三津シーパラダイスより大きかったわね」

「そりゃあねぇ」

 

 ヨハネの言葉に苦笑いをしながら話す梨子。

 アドベンチャーワールドを後にした4人は白良浜へと行き浜辺を歩いたり、おみやげ屋さんで買い物をしたりと午後はほのぼのとした時間を過ごす。

 そして夕方になると宿へと戻り部屋で夕食を食べる。

 

「ん〜♩美味しい〜」

「美味い〜」

 

 出された料理に舌鼓を打つヨハネら。

 廉も美味しそうに食べているが、ある事に対して話をする。

 

「あのさぁ・・・俺も一緒に寝るの?」

「あら?嫌だった?」

「いや、嫌って訳じゃあ」

「大丈夫よ〜廉くんなら」

「俺なら・・・(それは俺が男とみられていないのでは?)」

「あはは。まぁ確かに廉くんなら心配なさそう」

 

 廉の言葉に鞠莉が話し、梨子が苦笑いを見せながら話す。

 そしてヨハネはというと、パクパクと料理を口に運びながら廉に話をする。

 

「いいんじゃない?私は構わないわよ?」

「まぁ皆んなが良いって言うなら・・・」

 

 了承をする廉。

 女子高生4人と一緒の部屋に寝れるとは何とも羨ましい展開ではある。

 

「明日は何処行くのよ?」

「明日は移動して大和路方面かな。」

「大和路・・・?」

「あぁ奈良の方」

「奈良かぁ・・・鹿いる?」

「いるいる」

「へぇ〜♩」

 

 目を再び輝かすヨハネに廉は笑う。

 

「な、何よ?」

「ううん。元気になったみたいで良かったと思ってね」

「あ・・・そうね。心配してくれて、ありがとね」

「いいえ」

 

 頰を赤らめながらお礼を言うヨハネに廉は笑顔を見せる。

 また鞠莉と梨子もヨハネが元気になったのを確認し喜ぶのであった。

 こうして夜は老けて行く。

 

 そして翌日、四人は再び電車へと乗り込む。

 白浜から「くろしお」へと乗り天王寺まで向かい乗り換えをし、奈良へと向かう。

 

 

 

 そして、この奈良で四人待ち受けているもの。

 運命の悪戯か・・・第二の殺人が起こるのであった。

 

 

 後編へ続く。




とりあえず全編という事で。
本当はヨハネ誕生祭に全て投稿したかったのですが、間に合わず全編を本日投稿する事にしました。
初のミステリー・・・難しいですね・・・

また後日後編を投稿させていただきます。
宜しくお願い致します。
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